本文
令和3年(2021年)4月8日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:令和3年(2021年)4月8日(木曜日) 10時00分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
説明用資料(スライド資料) (PDFファイル:1.95MB)
コメント
発表項目
コメント
質疑応答
- 新阿蘇大橋開通の経済効果について
- 熊本地震の記憶の風化防止について
- 熊本地震からのすまいの再建について・その1
- 飲食店に対する感染拡大防止の取組みについて
- 熊本地震からのすまいの再建について・その2
- GWの観光と感染拡大防止のバランスについて
- 聖火リレーについて
- 益城町の土地区画整理事業について
- 選択的夫婦別姓について
コメント
新年度を迎えて
蒲島知事
本日は、令和3年度最初の会見ですので、県政の運営に対する私の所信を述べさせていただきます。
蒲島県政4期目も2年目を迎えました。熊本は今、「熊本地震」、「新型コロナウイルス」、「7月豪雨」というトリプルパンチの逆境から、立ち上がろうとしている中にあります。
まず、「熊本地震」については、まもなく発災から5年を迎えます。県では、「熊本地震からの復旧・復興プラン」に掲げた「重点10項目」を中心に、創造的復興の取組みを進めてきました。
住まいの再建や益城町の復興まちづくり、阿蘇へのアクセスルートの回復など、目に見えるかたちで着実に復興が進んでいます。引き続き、一日も早くすべての創造的復興が実現できるよう、時間的緊迫性を持って取り組んで参ります。
次に、「新型コロナウイルス」についてです。新型コロナウイルス対策については、県民の生命と健康を第一に、県庁一丸となって取り組んでいます。
今後も、感染拡大防止と地域経済や県民生活の回復とのベストバランスを目指して、医療提供体制の強化や、営業時間短縮などで甚大な影響を受けた事業者への支援など、必要な対策を躊躇なく実行して参ります。
次に「7月豪雨」からの復旧・復興についてです。昨年11月には球磨川流域の治水の方向性として「緑の流域治水」を進めていくことを表明するとともに、「令和2年7月豪雨からの復旧・復興プラン」を策定しました。
3月には復旧・復興に向けた重点10項目をお示しし、国や流域市町村とともに「球磨川水系流域治水プロジェクト」を取りまとめました。これらを踏まえ、出水期までに治水・防災対策を時間的緊迫性を持って進めて参ります。
地震、コロナ、豪雨災害の「トリプルパンチ」はいずれも、県政史上に残る歴史的な困難です。これらに果敢に立ち向かい、新しい熊本の発展に繋げることが、蒲島県政4期目の最大の使命であります。
3月には、その大きな取組みの方向性を示す県政運営の羅針盤として、「新しいくまもと創造に向けた基本方針」を取りまとめました。
「トリプルパンチ」それぞれへの対応に、「将来に向けた地方創生」を加えた基本方針の「4つの柱」に沿って、熊本の更なる発展に向け、着実に取り組んで参ります。
また、基本方針では、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を、すべての取組みの基本として掲げています。
災害からの創造的復興を進めていく一方、取り残されていく県民の方がいないか、このような意識を常に持ちながら、あらゆる政策を推進していくことが必要だと考えています。
併せて、社会変革の波に対応する、デジタル化の推進も重要な課題の一つです。昨年度立ち上げた「DXくまもと創生会議」における産学行政が一体となった取組みにより、強力に推進を図って参ります。
本年度も、蒲島県政最大の目標である「県民総幸福量の最大化」に向け、全力で取り組み、そして「誰一人取り残さないくまもとづくり」を進めて参ります。
発表項目
熊本地震からのすまいの再建について
蒲島知事
続いて、発表に移ります。
来週4月14日で、熊本地震発災から5年が経過します。この間、私は被災された方々の「住まいの再建」を最重要課題に位置付け、全力で取り組んで参りました。
令和3年3月末時点の仮設住宅の入居者は、150世帯、418人となり、ピーク時の99%の方が再建されました。
現在入居されているのは、自宅の工事完了や土地区画整理事業などの公共工事の完了を待っておられる方々です。
今後も市町村や地域支え合いセンター等と連携し、最後のお一人が住まいの再建を果たされるまで、引き続き寄り添って支援して参ります。
発表項目
「熊本地震から5年」に係る情報発信について
蒲島知事
続いての発表です。
県では、「熊本地震から5年」が経過することを契機に、熊本地震からの創造的復興の取組みの紹介など、様々な情報発信を展開しております。
本日は、「ワンピース熊本復興プロジェクト」による新しいPR動画と、「熊本地震から5年」ロゴマークについてご紹介します。
くまモン入っておいで。
~くまモン入室~
蒲島知事
先ほどご覧いただいた動画が、「ワンピース熊本復興プロジェクト」による新しいPR動画です。
ワンピースの主人公「ルフィ」と、バギー海賊団船長の「バギー」、そして「くまモン」の3人が、県内各地を巡り、熊本地震からの創造的復興の状況や、熊本の魅力などを紹介していく物語となっています。
この動画の制作には、「ルフィ」の声優を務める田中真弓さんと、「バギー」の声優を務める本県出身の千葉繫(ちばしげる)さんにご協力をいただきました。
先ほどご覧いただいたのは、物語の「あらまし」となるエピソード0です。4月14日には、このエピソード0に加え、熊本城や阿蘇神社など、地域のシンボルを紹介するエピソード1を公開します。その後もエピソード2以降、全6本の動画を、順次県ホームページなどで公開していきます。
次に、「熊本地震から5年」ロゴマークについてです。創造的復興が進む熊本を全国に発信するため、このロゴマークを制作しました。
こちらは、熊本地震からの創造的復興のPR用として、どなたでもご利用いただけますので、ぜひ名刺やノベルティなどにご活用ください。
それじゃくまモン、ありがとうね。
~くまモン退出~
コメント
新型コロナウイルス感染症対策について
蒲島知事
最後に、新型コロナウイルスについてコメントがあります。
本県では、4月1日から昨日までの直近1週間の新規感染者数は23名となっており、その前の1週間と比較して感染が増えている状況です。
また、国内では明らかに感染の増加傾向が現れています。大阪、兵庫、宮城においては「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、大都市を中心として急な感染の再拡大が見られています。
さらに、県内でも、変異株の可能性がある事例を含み、東京、大阪、福岡などの県外に関係する感染者が多く確認されています。
このような状況も踏まえ、県では、第4波に備えて、検査体制や医療提供体制の拡充などに取り組んでおります。
県民の皆様におかれましても、引き続き、感染が流行している県外への移動を控えていただくとともに、発熱など症状が生じた際には、仕事などを休まれて医療機関を受診いただきますようお願いいたします。
併せて、お一人お一人が「感染しない」、「感染させない」ことを意識しながら、感染拡大の防止に努め、行動していただくようお願いします。
来週からは、医療従事者以外の一般の高齢者の方へのワクチン接種が始まります。まだワクチンの配分量が少なく、ごく一部の方のみの接種となりますが、来月以降の本格的な接種に向けて、県としても、円滑に接種が進むよう市町村を支援して参ります。
最後に、新型コロナウイルス感染症は、誰もが感染しうる病気です。感染された方やそのご家族、また、医療従事者等に対する差別や偏見、誹謗中傷などは絶対しないよう、改めてお願いいたします。
私からは以上です。
質疑応答
新阿蘇大橋開通の経済効果について
(幹事社)
間もなく熊本地震から5年ということで、先ほど知事もおっしゃったように、目に見えるかたちでの復興というのはほとんど済んでいて、新阿蘇大橋が、1か月前ぐらいに架かりました。
この新阿蘇大橋の周辺では、渋滞が起きたり、ほどほど人が集まっているんですけれども、何か経済効果だとか、そういった波及効果が見えてきてますでしょうか。
蒲島知事
数日前の新聞だったと思いますけれども、一面に、新阿蘇大橋を渡られた方が大変増えているということと、それからその沿線にあるお店がとても賑わっているという、そのような記事がありました。
そういう意味では、この新阿蘇大橋は、阿蘇に行きたいと思う人にとっては、本当に待ち遠しかった橋だと思いますので、それを使って阿蘇に行きたいと思う人が、とても多いんじゃないかなと思います。
それから、二重峠トンネルのある北側復旧ルートも、やはりとても魅力的です。だから、魅力的な阿蘇へのルートが、これほど早く完成したことによって、阿蘇の観光も復活するんじゃないかなと思います。
ただ、大事なことは、まだコロナ禍にありますので、それを皆さん自覚して、人にうつさない、それから自分もうつらないという、そういう新しい生活様式のもとで、観光を楽しんでいただきたいなと思います。
波及効果は、そういうかたちで、皆さんが実感しているというふうに私は感じています。
質疑応答
熊本地震の記憶の風化防止について
(幹事社)
(熊本地震から)5年を機に、報道各社いろいろ取材してまわっているところなのですけれども、地震の跡というか、ひび割れたところだとか、倒れた家屋だとか、そういったものはほとんど目に見えなくなってきています。そういった意味で、風化が進んでいるのではないかという懸念もあるのですけれども、そこについて、知事、いかがお考えでしょうか。
蒲島知事
風化が進んでいるのではないかという世論調査の結果も、今、出ています。ただ、風化をなるべく抑えるために、今、回廊型のミュージアムを、鋭意整備中であります。そういう意味で、それ(=熊本地震)を決して忘れてはいけないだけではなくて、被災のときに多くの支援をいただいた全国の皆さまに、これはどういうふうな教訓だったのか、それから我々がどういうことを学ばなければいけないのか、そういう熊本地震からの教訓を広く発信していかなければいけないという、それが我々の責務ではないかなと思って、今やっています。
もう一つ、回廊型のミュージアムとは言えませんけれども、熊本城の見学通路が、今、できております。これは日本財団のご支援でできたものですが、これは一つの風化を防ぐ仕掛けではないかなと思います。
皆さん、天守閣を見に来られると思いますけれども、崩れた石垣、それから宇土櫓の未完成の被災した建物、そういうものを同時に見ることによって、この地震はすごかったんだと、そして熊本城の復興ぶりを見て、みんな頑張ってこれから復興しようとしているんだということの両面を、観光客の方に見ていただく、そういう一つの仕掛けではないかなと思います。
皆さんがこの熊本地震の5年という、これをテーマに今さまざまなかたちで記事に書いてくださっておりますけれども、これもやはり風化を防ぐと。
そして熊本地震からの創造的復興が、どのくらい進んでいるかということで、また県民の元気になってくるというふうに思います。よろしくお願いします。
質疑応答
熊本地震からのすまいの再建について・その1
(幹事社)
先程もございましたが、(令和3年3月末の仮設住宅の入居者は)150世帯、418人、残り1%ということでございますけれども、知事も誰一人取り残さないとおっしゃっておりますが、今年度の目標、この150世帯418人、とくに益城が多いのは区画整理等があるというのは承知しておりますが、今年度にあたって、この人数はどれくらいまでですとか、そういった見通しがあれば、まず教えていただきたいと思います。
蒲島知事
はい。現在残っているのは、150世帯と先程ご報告いたしました。それで、公共事業の関係で仮設住宅に入られているのが、そのうちの100世帯です。そしてこの中にはすでに自宅再建工事に入っている方々もおられます。
今後も徐々に再建が進んでいくものだと思います。それから残る50世帯、この方々は公共事業とは関係なく、自宅再建の工事完了待ちの世帯でありますので、この方々に関しては、この公共工事、益城町の区画整理とは無関係に進んでいくんじゃないかなと思っています。
そういう意味で、この100世帯の公共工事を待っていらっしゃる方々に対応するためには、なるべく早く区画整理を進める、それから4車線化を進める、これがとても大事なことだと思います。
これまでの経験から言うと、そういう区画整理なり、あるいは4車線化のイメージが見えてくると、「ああこういう町になるのか」と、「ここに自分の家が建つのか」と、そういうイメージが見えると、決断も早くなってくるのではないかなと(思います)。そういう意味では、それを急いでいきたいなと思っています。
そして、この公共工事を待っていらっしゃる方の100世帯については、今年度の仮設住宅への入居の延長はもうすでに決まっていますので、この方々については、いわゆる仮設住宅の確保はできていると。その確保をしながら、公共事業を早くやっていかなければいけないなというふうに思います。
いつどのくらいかというのを、今、私が具体的には言えませんけれども、そういう流れがあって、すべての方が目途が立っているということだけは理解していただきたいなと(思います)。目途が立たないで待っているのと、目途が立っているのとでは全然違いますので。(熊本地震から)6年目にならなくても、ここで皆さんにこの150世帯が、例えば半分になりましたとか、3分の1になりましたということを、早くご報告したいなと思っています。その都度ご報告したいと思います。
質疑応答
飲食店に対する感染拡大防止の取組みについて
(幹事社)
全国的に(新型コロナの)感染がまた再び拡大をしている中で、飲食店での会食等によるリスクがやはり高まっているということで、他県の事例を見ますと、マスク会食の義務化までいくのかは分かりませんが、そういった取組みですとか、飲食店に鏡を設置したりですとか、飲食店に対する会食時の注意喚起等というものが進んでおりますが、知事として、熊本の飲食店に対する、更なる感染防止対策の何か取組み等お考えがあれば、まだ今収まっている時だからこそできることかと思うんですが、お考えがあれば教えてください。
蒲島知事
はい。今、直近1週間の新規感染者数が23名ということを申しましたけれども、やはり心配なのは、前週と比べると増加していること、それから県外に関係する感染者が多く確認されること、それから変異株の可能性がある事例もみられることです。そういうことですので、決して(新規感染者が)少ないからといって、油断してはいけないと私は思っています。
他県の例でも、大人数で飲食店で飲食したとか、そういうふうなケースが報道されておりますので、改めて県民の皆様には、感染が流行している県外への移動は控えていただくとともに、マスクの着用、それからいわゆる新しい生活様式、そして基本的な感染防止対策の徹底を、改めてお願いしたいと思います。
そのうえで、飲食店の方々に対しては、仕切りとか、そういうことをなるべくやっていただきたいと思います。というのは、我々は、きちんとした対応を取っているところの飲食店に行くということを推奨していますし、それから、そのための手当てといいますか、県のほうでも(市町村と連携して)、そういう支援策を取っておりますので、それを活用しながらやっていただきたいなと思っています。
それで、第4波が出ないことを一番祈っていますけれども、出たとしても、小さく、なるべく遅く、そういうふうなかたちで進めていきたいなと思っています。
そして、我々が前回(県独自の緊急事態宣言を)解除した時に、再増加を確認した場合は、これまでよりも早いタイミングで強い対策を行うことを、既にアナウンスしています。
そういう意味では、再増加の傾向を的確に把握して、ピンポイントで営業時間の短縮要請、不要不急の外出の自粛要請など、早い時期に行うことを言っておりますので、そのことを飲食店の方々も一緒に共有していただきたいなと、そういうことを思いながら、緊急事態宣言の解除を行いました。そのことも多分、皆さんと共有できているんじゃないかなと思っています。以上です。
質疑応答
熊本地震からのすまいの再建について・その2
Q
住まいの再建についてお尋ねするんですが、まず99%住まいの再建は果たしたということで、数値はさらに復旧復興へ進んできているというふうに思うんですけれども、一方でいまだ残っている418人の方からすると、やはり仮設住宅の暮らしも長くなってきて、取り残されていると、知事は取り残さないとはおっしゃるんですが、そう感じている方もいらっしゃると思います。
知事、ここ(=知事コメントのなか)にまだ最後の一人まで寄り添うとあるんですけれども、改めてどのように知事として今後対応していくのか教えてください。
蒲島知事
先ほども言いましたように、公共事業と関係ある方は、どうしても公共事業に影響されますよね。だから公共事業に影響を受けた世帯に関しては、公共事業のほうをもちろん早めていかなければいけないと。特に益城のまちづくりと4車線化ですよね。
それプラス、それが次の自宅再建に影響するわけですから、それができないと仮設住宅にずっと住まなければいけない。そういうことで、既に今年度に関しては、内閣府と調整済みで、その方々に関してはそこ(=仮設住宅)にもう一年(入居が)延長できたということです。
もう一つ、先ほど言ったように、公共事業と関係のない方々が50世帯おられます。その方々は、既に契約書を提出してもらって、工期も確認しております。工事の進捗状況についても確認しておりますので、被災者の方々と一緒に、時期などを確認しながら、再建について話しながら進めていきたいと思っています。
そういう意味で、寄り添って考えるというのは、それぞれの事情が当然ありますよね。
例えば、財政的な事情、そういう時は、例えば、リバースモーゲージではどうでしょうかとか、様々な住宅政策を持っておりますので、そうして寄り添って考えていきたいなと思っています。
公共事業については、今言ったようにイメージしていただくと。例えば区画整理事業で、まだ承諾されていない方が20%近くおられると思いますけれども、その方々も全体の町のかたちがだんだん見えていき、そして家がどんどんどんどん建ってくると、やはり自分たちもここに住みたいという気持ちになって、話もスムーズに進むのかなと、私はこのように思います。
先ほどの内閣府との調整の件で付け加えることはありますかね。
【担当課】
すまい対策室です。来週の4月14日以降につきましては、公共事業の完了待ちで仮設住宅に入居されている方については、(入居期間の)延長はできるということで、昨年の10月に内閣府と協議がまとまりまして、延期手続きを進めているところです。最後まで寄り添って、というところで申し上げますと、手続きとかに関しても、そういったかたちでこれまで同様の措置を取ってもらって、公共事業が多い熊本市、西原村、益城町につきましては、支え合いセンターも継続して実施するようにしておりますので、生活面の支援についても、これまでと同じようなかたちで実施できるという体制をとっていくということになります。以上です。
蒲島知事
私が最近強く言い始めましたのは、これまでも言って参りましたけれども、「最後の一人まで寄り添って考える」ということを、とても強調しているところです。今も話しがちょっと出ましたけれども、地域支え合いセンターについても、これが終了したところもありますけれども、終了しても福祉サービスの必要な支援に繋がるように、県がそこに入っていって、市町村や関係機関と連携して取り組み、行政だけではなくて、民生委員とか民間事業者の協力を得ながら、地域全体で見回り体制をとっていきたいなと思っています。
質疑応答
GWの観光と感染拡大防止のバランスについて
Q
新型コロナウイルスに関連してなんですが、ベストバランスという言葉、知事が先ほどおっしゃったところなんですが、大型連休、ゴールデンウィークを控えて(観光を)計画されている方も多いと思うんですけれども、県外にはやはり行かないほうがいいとは思うんですが、そのなかで経済活動とそれから感染拡大の防止というところで、観光に関して知事はどういうふうなお考えをお持ちですか。大型連休に皆さんどういうふうな行動をとってほしいですか。
蒲島知事
これまでの我々のスタンスは、とにかく「新しい生活様式」、きちんとコロナ対策をした上で自分も出かける、そしてなるべく家族と出かける、そして県内に出かける、そういうかたちで、我々は宿泊助成のほうもやっているところですね。
県内の宿泊施設も、「熊本再発見の旅(県独自の宿泊助成事業)」というかたちで(事業を実施していますが)、宿泊施設はきちんとコロナ対策をしているところを選ぶというふうな制度となっています。動けば必ずコロナ問題に直面するかもしれませんけれども、それはやはり最小化して、そしてやはり宿泊施設も経済活動の一つですから、それぞれに活動しなければいけませんので、両方が気を付けながらリスクを最小化することが、ベストバランスに繋がるのではないかなと、このように私は思います。
今回4月2日現在で、「熊本再発見の旅」が参加の宿泊施設が551施設で、旅行会社が72社、そして利用状況も、4月2日現在で予約も含めて2万8,200となっています。だからそれなりに効果が出て、県内の宿泊施設を県内の方が利用されているのかなと思っています。
今そういうことができるのは感染状況が落ち着いた状況であることが大きいと思いますけれども、リスクレベルが4になった場合は、一時停止するということを考えていますので、これは両方にとって不利益ですよね。だから、このリスクレベルが4以上にならないようにみんなで守って県のリスクレベルを3以下に収めて、そしてこの熊本の旅を楽しんでいただければうれしいなと思います。
ただ、現時点で国のほうの方針がまだ分かりませんので、今我々ができることは「熊本再発見の旅」として熊本県内における旅行を勧めているところです。
質疑応答
聖火リレーについて
Q
今の大型連休中の話に関係しますけれども、この5月5日には聖火リレーが熊本に来る、5日、6日の予定で。大阪では公道で中止するような動きもあるんですけれども、県としてはどうでしょうか、予定どおり実施する考えなんでしょうか。
蒲島知事
熊本県に国又は、県独自の緊急事態宣言が出された場合、これは組織委員会と協議してリレーは見合わせる可能性があります。
ただ、この場合は、セレブレーション会場における観客なしの点火セレモニーは行うというふうに決めています。
ただ、現時点ではその状況にありませんので、感染症対策をしっかりと行いながら予定どおり実施する方向で、今、進めています。
ただ、5月5日と6日ですから、それまでこの状況(=新規感染者が少ない状況)があることが前提です。
Q
県独自の(緊急事態)宣言が出たらセレブレーションだけですか。
蒲島知事
(はい、)独自の緊急事態宣言ですから。
Q
今、全国各地で(聖火リレーを)やっていますけれども、密になっているような映像とか写真とか出ているんですけれども、知事として、県民に対して呼びかけみたいなものがありましたら。
蒲島知事
いずれにしても、そういう緊急事態宣言が出ていなくて聖火リレーを行うにしても、やはり行う我々も注意して密にならないように、それから見学する方々も密にならないように、そういうことをお互いに注意し合い、かつお互いにアドバイスし合うことがとても大事じゃないかなと思います。
行政もそういうことをもちろん考えながらやっていますけれども、いずれにしても5月5日にそんな緊急事態宣言が出ないような、そういうふうなところに熊本県全体を持っていかなければならないと思っています。
質疑応答
益城町の土地区画整理事業について
Q
区画整理についての質問です。
住民の方と合意形成していくために、しっかりと時間をかけなくてはいけない一方で、やはり事業も進めていかないと再建が遅れてしまうという、二つのトレードオフがあると。
神戸のときは、早く住宅の建築制限をかけた関係で、住民の方から不満が噴出したという経緯もあって、県の方はかなり合意形成を重視して進めてこられたと思うんですけれども、そこの合意形成にかかる時間と事業スピード、そこの難しさをどのように感じながら進めておられますか。
蒲島知事
ちょっとすみません。詳しく正確に(質問を)理解したかどうか分かりませんけれども、益城町の区画整理事業ですよね。
ご存知のように、最初、これ(=土地区画整理事業)を権限代行として熊本県が代行するといったときに、委員会で否決されたことがあります。
そのときに住民の方々が、やはりこれはやるべきだというふうに言われて、立ち上がられたので、賛成派も反対派の方々も同じ方向で、これはやると。そのときに感じたんですけれども、やはり住民の方々が自らやりたいという気持ちが、とても合意形成には大事なことですよね。そういう合意形成をやはり持っていかなければならないというふうに思います。
それで、熊本大学のこの区画整理に関係している先生に聞いたところ、異例の速さで進んでいるというふうに聞いています。熊本県内もそうだし、他の日本全国のなかでも。そういう意味では、合意形成が最初に否決されたということも踏まえると、とても進んでいるのかなと思います。
私も2月に視察に行って参りましたけれども、とても最初の震災直後の状況の写真を見た後で、想像もできないぐらい区画整理がきれいにできていると思っています。
それで、そこに家を建てられた方もとても喜んでおられましたし、それから区画整理の近くだと思いますけれども、災害公営住宅に住まれている方もわざわざ外に出てこられて、「ありがとうございます」と、「こんな立派なものを作っていただいて」と。だから、そういうできていくことが、一つの賛成派が増えて合意形成ができていくものかなというふうに感じました。
スピード感と合意形成というのは、そういう新しいイメージをみなさんが理解してくれること、どういう町づくりなのか、どういう町になるのかと、そこに自分たちも住みたいと思う、そういう気持ちにみんながなることで、今まで以上に合意形成を早めることができるんじゃないかなと私は思います。
そのことを、熊本県から行っている復興事務所の方々も言っておられましたし、そういう経験を踏まえて、復興事務所の方々が県南の球磨川流域の復興についてもアドバイスをしたいという、そういうことを言っておりましたので、自信を持ってやっていらっしゃるんじゃないかなと私はそう感じました。
スピード感と合意形成は両方必要なんですけれども、ただそれは実際に出来上がった成果を皆さんが見ることがとても大事なので、それを早く出すことが大事なのかなと思っています。
質疑応答
選択的夫婦別姓について
Q
知事、よろしいですか。
選択的夫婦別姓についての考え方をお願いします。
蒲島知事
前回の記者会見で伺いましたので、それについて私は、議会で岩田先生の提出された意見書、それについてご意見を伺って、初めて夫婦の別姓制度に関するいろんな問題点を理解し、かつ、問題がないようにやっていくべきだというふうに、皆さんがあのとき読まれたんじゃないかなと、このように思います。
それでそのあと、夫婦別姓制度についての考えを、私もずっと今までまとめて参りましたけれども、これは、文化的にも、法的にも、とても複雑で、簡単に「これがいいです」というような、小さな問題じゃないなと思っています。
平成27年の12月に、これについての最高裁判決が出ていますけれども、「夫婦同姓規定を、合憲であると考えるけれども、選択制、選択的な夫婦別姓制度・別氏制度に合理性がないとは断じられない」と。最高裁の判決としては、とても踏み込んだ判決じゃないかなと思います。
そしてそこで最高裁が言っているのは、国会で議論されるべき、そこで判断されるべき事項であると述べられています。これは県民のあいだでも賛否が分かれて、この前、議会でも賛否が分かれていると思いましたけれども、そういう意味では、賛否が真っ二つに分かれている、県民の(意見が)分かれている議論のなかで、私が、「私の考えはこうです」というのを、ここで表明するのは控えたいと思います。
ただ、先ほど言いましたように、国会で論ぜられ、判断されるべき事項というふうに、最高裁は言っております。この問題については、家族に関する法制度にかかる大きな問題ですので、司法判断などもふまえて、国会においてしっかりと議論される必要があると思います。それによって初めて制度化ができて、個別の問題がその制度化によって解消できるんじゃないかなと思っています。
今そういう意味では、岩田先生の問題提起と、それから意見書の提出、これはちょうど国のほうでも同じようなかたちで、例えば超党派で分かれたかたちでやっておられますので、この流れのなかで、国会で議論され、審議され、制度化され、その制度化のなかで定着していく、そういう問題ではないかなと私は思います。
Q
ちょっともう一つこの件で、衆院選の一つの争点になってもおかしくないと思われますか。
蒲島知事
これは国会の議論のなかで、そういう選挙の争点というのは、議員の方々のお考えで、選挙は行われるわけですから、争点になってみんなが全員、国民が改めて考えると、そういうことも大事じゃないかなと私は思います。