本文
令和2年(2020年)12月25日 知事年末記者会見
知事年末記者会見
日時:令和2年(2020年)12月25日(金曜日) 13時30分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
コメント
発表項目
質疑応答
- 令和2年7月豪雨に係る在宅避難について
- 令和2年7月豪雨に係るすまいの再建について
- 新型コロナウイルス感染症について
- 「新しいくまもと創造に向けた基本方針」(素案)等について・その1
- 令和2年7月豪雨に係る在宅避難と長期避難について
- 「新しいくまもと創造に向けた基本方針」(素案)等について・その2
コメント
新型コロナウイルス感染症対策について
蒲島知事
年末最後の記者会見にあたり、まず、新型コロナウイルス感染症について、改めて県民にお願いを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の現況は、県内での感染者が累計1,500人を超え、12月だけで500人が感染しています。今、私たち熊本の医療はとてもひっ迫しています。昨日時点の入院患者は157人、病床使用率は37.4%と、引き続き高い水準が続いており、医療の現場における負担が大きくなっています。
県では、来年の1月11日まで、感染拡大防止に向けた集中対策期間とし、県民の皆様に基本的な感染防止対策の徹底をお願いしています。
また、医療提供体制の強化も進めており、昨日、2棟目となる宿泊療養施設を開設し、新たに80室を確保しました。次の3棟目の開設の準備にも着手しています。今後、軽症・無症状の方の入所を積極的に進め、入院治療が必要な方に、確実に医療が提供できる体制を確保して参ります。
現在のところ、本県の感染状況は、国が示す「ステージ3」には該当していません。これから人の移動が集中する年末年始を迎えます。
今後の感染拡大を防止するためには、県民お一人お一人が「感染しない」、「感染させない」ように注意していただくことが何よりも大切です。新型コロナウイルスを正しく理解し、引き続きマスクの着用、こまめな手洗いと手と指の消毒、人と人との距離の確保など、基本的な感染防止対策の徹底をお願いします。
年末年始も県内各地で診療や検査を行いますので、発熱などの症状がある場合は外出せず、すぐにかかりつけのお医者さんに電話し、受診するようにしてください。
また、感染が流行している地域にお住いのご家族やご親戚、ご友人の方々に対し、ふるさとやご家族の方のことを考えて、本県への帰省を控えていただくようお伝えいただきたいと思います。私も娘たちは帰省を予定しておりましたけれども、帰省しないように伝えておきました。
さらにご家族や友人などと会食される際は、本県で作成した「会食時の感染リスクを下げる4つのステップ」を参考にしていただき、感染リスクを下げる取り組みの徹底をお願いいたします。
今が医療崩壊の防止、そして感染拡大の防止のための正念場です。自分を守り、愛する人を守るために、県民一丸となってこの難局を乗り越えていきたいと思っていますので、一緒に頑張りましょう。
発表項目
2020年 県政10大ニュースについて
蒲島知事
次に、この1年を振り返っての「県政10大ニュース」を発表します。時間に限りがありますので、項目を簡単にご紹介します。詳細はお手元の報道資料をご覧ください。
まず、「新型コロナウイルス感染症対策に全力」です。
先ほども申し上げたとおり、今が正念場となっております。特に医療従事者の方におかれましては、昼夜を問わず、現場の最前線で業務に当たっていただいていることに感謝申し上げます。
引き続き感染拡大防止を最優先としながら、地域経済や県民生活回復とのベストバランスを目指し、全力で対応に当って参ります。
次に、「令和2年7月豪雨の発生」、「被災者・被災地の復興支援に全力」、「球磨川流域の新たな治水の方向の表明と復旧・復興プランの策定」の3つです。
7月4日に記録的豪雨が本県を襲い、各地に甚大な被害をもたらし、尊い命が失われました。県では発災直後から、人命救助やすまいの確保、なりわいの再建などの復興支援に全力で取り組んでいます。
また、11月に「新たな流水型ダム」を含めた「緑の流域治水」を進めていくことを決断し、「復旧・復興プラン」を策定しました。
次に、「熊本地震からの暮らしの再建が進む」です。
仮設住宅等の入居者のうち、ピーク時の約98%にあたる4万7,000人を超える方が住まいの再建を果たされました。また、益城町の復興まちづくりでは、土地区画整理事業で宅地の引渡しが始まるなど、目に見える形で復興が進んでいます。
次に、「阿蘇へのアクセスルートが異例のスピードで開通」です。
8月にJR豊肥本線が、10月に国道57号北側復旧ルートと現道部が4年半という異例のスピードで開通しました。来年3月には新たな阿蘇大橋も開通する予定であり、阿蘇観光の再生に向け、さまざまなプロモーションを行なって参ります。
次に、「くまモンポート八代がプレオープン!阿蘇くまもと空港の創造的復興も進む」です。
大小さまざまなくまモンがお迎えする「くまモンポート八代」が、県民を対象にしたプレオープンをしました。また、阿蘇くまもと空港では、4月から民間運営がスタートし、地震からの創造的復興が進んでいます。
次に、「熊本地震の教訓を次世代へ」です。
熊本地震震災ミュージアムの中核拠点内に整備した「旧東海大学阿蘇校舎1号館」と地震の断層の一般公開が8月から始まりました。また、県内各地への設置が進む「麦わらの一味」の仲間像に、11月に、チョッパー、ブルック、フランキーの3体が加わりました。
次に、「環境に配慮した取組みを推進」です。
SDGsの理念に沿った海洋プラスチックごみゼロに向けた取り組みや、気候変動に対応した2050年までにCo2排出実質ゼロを目指す取り組みなど、環境にやさしい熊本づくりが進んでいます。
次に、「くまモンデビュー10周年」です。
くまモンは、10周年という記念すべき年を迎えました。新型コロナウイルス感染防止や7月豪雨の被災地支援などでも重要な役割を果たしています。
最後に、プラス1項目として「正代関が大関に昇進」です。
正代関の苦しい場面でもあきらめずに戦い抜く姿は、新型コロナウイルスや豪雨災害などに直面する県民に、大きな感動と勇気を与えてくれました。
以上が今年の県政10大ニュースです。
今年は、熊本地震に加え、新型コロナウイルス、豪雨災害と、まさにトリプルパンチに見舞われ、本県にとっては県政史上例を見ない大変厳しい一年でありました。
そのなかで私が感じたのは、県民の『絆』の大きさです。コロナ禍で発生した災害で、ボランティアの募集地域が限定されるなか、本当にたくさんの県民ボランティアの方々が、被災地に駆けつけてくれました。
熊本地震を経験して強くなった県民の『絆』が今回の豪雨災害にもつながり、復興を後押ししてくれていると感じています。
「逆境の中にこそ夢がある」というのが私の信念でありますけれども、コロナ禍を克服し、必ずや2つの災害から創造的復興を成し遂げて参りたいと思います。
発表項目
「新しいくまもと創造に向けた基本方針」(素案)等について
蒲島知事
続いての発表です。
このたび蒲島県政4期目の「県政運営の基本方針」の素案を取りまとめました。その内容を説明します。
この基本方針は、私の任期中に重点的に推進する主な取り組みの方向性を示したものです。
トリプルパンチに見舞われるなか、これらの課題に立ち向かい、熊本の更なる発展につなげていくことが私の4期目の使命であります。
この基本理念の実現に向け、重点的に推進する主な取り組みを県民の皆様にお示しするため、次の4つを基本方針の柱としました。
一つ目は、令和2年7月豪雨からの創造的復興。二つ目は、新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応。三つ目が、熊本地震からの創造的復興。四つ目が、将来に向けた地方創生の取り組みです。
今回の基本方針では、SDGsの理念に沿って取り組みを推進します。「誰一人取り残さない、持続可能な社会づくり」の視点が極めて重要と考えています。
また、基本方針の4本の柱に沿った具体的な施策については、「第2期熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略」にお示ししています。
報道機関の皆様には昨日事前に資料を提供いたしましたが、この「基本方針」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」について、本日からパブリック・コメントを実施します。たくさんの皆様からご意見をいただきたいと思います。
発表項目
令和2年7月豪雨に係る被災者支援の状況等について
蒲島知事
続いての発表です。
県政10大ニュースでも触れましたが、7月の豪雨災害から、約半年が経ちました。
本日は、現時点における主な被災者支援の取り組みを発表します。
一点目は、避難者数についてです。
最大で2,512名の方が避難生活を余儀なくされましたが、仮設住宅への移行に伴い、今月24日時点で23世帯45人になりました。内訳としては、指定避難所9世帯14人です。それからホテル・旅館に14世帯31人となっています。
人吉市とあさぎり町の指定避難所も年内をもって閉鎖されます。今後、継続して避難が必要な世帯については、人吉市内のホテル・旅館で受入れを行って参ります。
二点目は、仮設住宅の入居状況についてです。
建設型の応急住宅については、808戸が12月9日までに完成し、みなし仮設住宅についても順次入居手続きを進めていきます。
公営住宅も含めた仮設住宅全体では、12月20日現在で1,791戸、4,215名が入居されています。
被災者の皆様には、少しでも健やかな年末年始をお過ごしいただけるよう心から願っております。
三点目は、地域支え合いセンターについてです。
令和2年7月豪雨の被災地で、仮設住宅が建設された7市町村すべてに、「地域支え合いセンター」が設置されました。
12月15日の時点でセンターの支援対象世帯は5,278世帯であり、そのなかには在宅被災者も2,614世帯おられます。
コロナ禍により、一部で活動自粛を余儀なくされておりますが、「みんなの家」を活用し、入居者同士によるコミュニティづくりにより孤立の防止に力を入れて参ります。
四点目は、被災者の生活再建支援についてです。
県では、本年7月15日付けで、県内全市町村に被災者生活再建支援法を適用しました。
本年11月末現在で、対象となる世帯のうち、約9割の方に最大100万円の基礎支援金が支給されました。今後、建替えなどの再建の状況に応じ、報道資料に掲載されている加算支援金の支給を進めて参ります。
また、本日付けで、湯前町の1世帯、あさぎり町の1世帯、合計2世帯を被災者生活再建支援法に基づく「長期避難世帯」に認定しました。これにより認定された世帯には、全壊世帯と同等の支援が行われることになりました。
現在、他の市町村でも調査が進められており、認定が適当と認められる世帯について、順次認定を行っていきます。
さらに、義援金についても、年内には熊本地震と同水準の第二次配分の振込みがなされ、生活再建の後押しになるものと考えています。
最後に、県では被災者に対する様々な支援をお知らせするため、この画面に映っていますガイドブックとリーフレットを作成し、市町村などに配付しています。県ホームページにも掲載していますので、被災者の皆様にも活用していただけるよう、報道機関の皆様にも紹介させていただきます。
県では、5つの支援策など、熊本地震で培ったノウハウを最大限に活用し、「すまいの再建」をはじめ、今後本格化する被災者の生活再建に全力で取り組んで参ります。
ここで私のコメントはすべて終わりましたけれども、最後にもう一度コロナウイルス関して県民の皆様にお願いがあります。
先ほども申しましたように、今、医療崩壊を防止するため、そしてコロナ感染症の拡大防止をするためのまさに正念場に立っています。
私はこの年末年始がとても大事だと思っています。皆さんに危機感をもって、この年末年始を過ごしていただきたいなと思います。
県民の皆様、まず自分を守ること、そして自分を守ることで愛する人を守ること、そしてみんなを守ることでこのすばらしいふるさと熊本を守ることができます。
その意味でこの年末年始をどのように過ごすか、危機感をもって過ごしていただきたいなとこのように思います。
そして県民一丸となってこの危機を避けることによって、我々はまたコロナに悩まされない平和な生活を取り戻すことができると、このように思います。
ぜひ、そのような形でこの年末年始を過ごしていきたいなと思いますので、よろしくお願いします。
質疑応答
令和2年7月豪雨に係る在宅避難について
(幹事社)
発表項目のことでお尋ねしたいんですけれども、豪雨の件で、仮設が808戸、半年を前に完成したと喜ばしいことだと思うんですけれども、一方で在宅避難の方が12月15日現在2,614世帯あるという発表がありました。
この受け止めと、地域支え合いセンターの職員も数に限りがあると思うんですけれども、この方たちをどうやって支援していくのかについて知事のお考えをお聞かせください。
蒲島知事
我々が思ったよりも、在宅避難の方の数が多かったような気がします。
ただ、その方々に避難所に行ってくださいとか、強制的に避難所に移っていただくことはできません。
様々な理由があって在宅避難、とりわけ自宅を再建するために、2階に避難しながら自宅再建を図っておられる方が多かったというふうに思います。
でも、その方々もだんだん時間が経つにつれて、疲れてくる方もいらっしゃいます。
そういうことで、地域支え合いセンターの方々もそのことをよく認識していただき、そして地域支え合いセンターの方々が支援する人たちも随分多くなっています。それはやはり在宅避難の方々に対して、手を差し伸べてきておられるという一つの証拠じゃなかろうかなと、このように思います。
そういう意味で、県もそうですし、市町村もそうですけれども、在宅避難されている人たちも同じようにお困りであれば、一緒にこれからこの危機を乗り越えていきたいと、そのような形でこれからもいきたいと思います。避難所は閉鎖されてしまいますけれども、支え合いセンターは残り、次のステージ、本格的な住まいの確保に入っていきます。
でも、在宅避難の方はもう一つ難しい選択が迫られます。それは自分の家をまた建て直すのか、あるいは修理するのか。自分たちの今避難している自宅がどのくらいの水位になるのか、そういうのが判断材料になってくるのではないかなと思います。
そういう意味では早く治水の方向性を決めたのは、私はとても今よかったと思っているところです。以上です。
(幹事社)
関連してなんですけど、委員会でもあったと思うんですけど、以前、在宅避難者の数は1,600何世帯という発表があったと思うんですけれども、そのときは仮設と同じくらいだったんですけれども、今回は1.5倍近い数までふくれあがっているんですけれども、その理由と、支え合いセンターが支援しているということなので、実態はもっと多いというふうに捉えていいんでしょうか。
蒲島知事
支え合いセンターが把握しているということですので、それが100%実態とあっているかどうかを私も確かめなければいけませんけれども、支え合いセンターの方々が、そういう在宅避難の方々も困っておられるんじゃないかなということで、より積極的に(実態把握に努めた結果)、この数が増えたというか、多く把握されたんじゃないかなというふうに思います。
そういう正確な数字とどのくらいのずれがあるかどうか、この段階でわかりませんけれども、この正確な数に関して担当者のほうからお願いします。
【事務方】
前回11月2日に公表をしておりまして、そのときの在宅避難者の数が先ほどお尋ねがありましたとおり1,646だったと思うんですけれども、その時から今回増えている大きな理由としましては、支え合いセンターが10月に7市町村で発足したんですけれども、前回は10月15日時点ということで、支え合いセンターの活動がまだ本格化する前だったというところがあります。その数字を、今回12月15日時点の状況に即して見直したところ、これは市町村のほうで確認をしているんですけれども、そういった数字になったということです。
また今回避難所からの退所が進む中で、避難所から仮設住宅に移られた方や、それから自宅に戻られた世帯、そういったところでセンターの支援が必要な世帯が新たに加わったのだと、そのような状態でございます。
質疑応答
令和2年7月豪雨に係るすまいの再建について
(幹事社)
知事、熊本地震のときも住まいの再建が非常に重要だと繰り返しおっしゃってまして、今回、7月豪雨もこれから住まいの再建の段階になってくるかと思うんですが、さっきのご説明でもありましたとおり、地震のときの経験が活きる部分と7月豪雨ならではの地震とは違う難しい要素もあると思うんですけれども、経験が活きる部分と難しい部分とそれぞれどう今お考えでしょうか。
蒲島知事
はい。経験が活きるという意味では、熊本地震のときに一番多くの質問があったのは、自分はもう60歳を超えていて高齢なので銀行からなかなかお金を借りることができないと。そういうときに我々はリバースモーゲージという方法を皆さんにご紹介しました。
これは月に1万ずつぐらい払っていけば、1千万円ぐらいする住宅を、最後に土地と建物で清算するという形(の支援策です)。月に1万円ぐらいだったら払えるなという人たちが、それを利用されました。
それ以外の若い方々は、月に2万円ずつ払っていけば、時期がくればそれ(=住宅)が自分のものになるという、そういうふうなローンの組み方をしてもらいました。
そういう支援策は今でもありますし、できればそういう形で今回の水害で被害を受けた方々にも使っていただきたいなと思っています。
その他にも転居の費用など、大体5つか6つぐらいの方法でこれ(=すまいの再建)を支援しました。
これは同じですから多分使えるでしょう。それを皆さんに提供します。
地震のときは壊れたか壊れないか、全壊か半壊か、明快にわかりますよね。今回は水害にあって床上(浸水)だったけれども、このまま住めるかなと思い始めた人もいらっしゃいます。
それから、まだ次の水位がわからないと、どこに帰っていいか分からないというので、決断がなかなかできない。そういう意味では決断するのが水害の場合は難しいのではないかなというのがあります。
公費解体もそういう意味では、地震のときはものすごい速度でできましたけど、今回はちょっと考える人が多いと。解体したほうがいいのか、とっておいたほうがいいのか、考える時間がとても増えているのが今回の違いです。
(幹事社)
できるだけ早い段階で災害公営住宅とかそういう選択肢も提示できるようにしたいというお考えですか。
蒲島知事
はい。皆さんもご存知のように、半年以内に仮設住宅が808戸完全に完成しました。
仮設住宅(の建設)を始めたのが(発災から)1週間後でしたので、まだそんなの早いんじゃないかという議論もありました。しかし、やはり早く始めておいたから、もう既に仮設住宅がすべて完成したと。
そういう意味で、災害公営住宅と同じように、先に先に考えて、まだそこは考えなくていいんじゃないかと思えるぐらい早めに、我々は進めていきたいなと思います。そしたら選択肢がある。
災害公営住宅の場合は、(災害公営住宅を)建てる市町村が水位とかランクとか考えますので、それを使う人たちは、そこまで考えなくていいのかなと。そういう意味で、早く進めることができるというふうには思います。
特に高台移転なんかは災害公営住宅がとてもこれから優位性を持つんじゃないかというふうに思います。
質疑応答
新型コロナウイルス感染症について
Q
先ほど冒頭の発言でコロナウイルスに関して、病床がひっ迫しているというご発言があったかと思うんですけれども、これまで40%のときにひっ迫しているという認識を示されないで、今回、急遽ひっ迫しているという認識されたのは何か理由があるんでしょうか。
蒲島知事
数字的に言うとあまり変わりませんけれども、状況を見ますと何が起こるかわからない。クラスターがとても発生しやすくなっている。それから例えば熊本市の接待を伴う飲食店なんかに行って、そこで感染するだけではなくて、最近の状況をみると、家庭に感染が広がったり、事業所に感染が広がったりしていますので、それがクラスターになる可能性があるので、数値といいますか、感染者数、それが100%読めたらいいんですけど、急速に増えたときに病床の不足が生じるんじゃないかと。これがひとつ。
それから熊本市のほうの病床の利用率がとても高くなっている。それで、熊本市外にその患者の方々に移っていただくとしても、その時間が少しかかっているのかなということで、同じ40%でも今はちょっとひっ迫感が私は出てきたような気がします。
そして何よりも日本中の、例えば東京、大阪、そういうところの新しい感染者数が全然止まらないということです。そういう意味で日本全体がちょっと感染者数の増加の中に入っていますから、あまり安心してはいけないと。
そして、医療従事者の方々、お医者さんたちが、あるいは医療従事者の看護師さんたちが、病床はあってもそれを支える人たちが足りなくなっている。この部分もひっ迫感があるのかなというふうに思いますので、油断してはいけないと、そのためには何よりも新規感染者を出さないということが大事なことです。それで医療提供体制をきちんとすること。例えば、ホテルの借り上げも、三棟目を今考えているというふうに担当者から聞いています。数字だけではなくて、趨勢がひっ迫感を感じるというので、今日はこういう形で発表させていただきました。ただ、実際には、ステージ3になったときに、新たな方針をとるということを言っておりますので、ステージ3にならないことを祈ってはいますが、分かりません。
質疑応答
「新しいくまもと創造に向けた基本方針」(素案)等について・その1
Q
県政の基本方針を今日示されましたけれども、昨日、資料提供という形で、報道各社に配布されたのですけれども、2016年のときは、知事が自ら会見して、口頭でご説明されたかと思うのですけれども、なぜ先に資料提供だけだったんでしょうか。
蒲島知事
今日の記者会見が、今年の最後になります。しばらく記者会見はありません。今日の前から、この4カ年戦略についてのレクがあり、そして、パブリックコメントを行うと。
ただ、今日の段階で、皆さんに情報を知っていただくために、早く出したほうがいいのではないかと。それをもとに皆さんのご質問があれば(していただき)、そして、私からの正式の報告を今日この記者会見を通してできるということで、前もって皆さんのお手元に、資料として配られたと。それからパブリックコメントも始めたということであります。
Q
すみません。お言葉を返してなのですけれども、明日知事が説明しますという説明が一切なくて、ただ資料だけボンと置かれて、なんだこれと思って見てみたら、県政の一番大事な、県政の基本方針という、いわゆる4カ年戦略ですね、前で言うと。それを何も言わずに資料提供だけでドンとされて、取材していったら、明日は知事が会見でお答えしますという話が出てきたのですけれども、進め方として、この一番大事な県の方針なのですけれども、自らの口でまず説明するべきではなかったのですか。
蒲島知事
私が知事(の4期目)になって、今、5か月近くですけれども、皆さんもご存知のように、コロナウイルスへの対応、これが知事(の4期目)になって直後の一番大きな仕事。そして次に7月豪雨、これも大きな出来事です。そして、熊本地震からの創造的復興が続いていると。そのなかで、この方向性をどのような形で4カ年戦略にしていくかという、その時間的な余裕が今回までなかったということが、なかったというとおかしいけど、考える余裕がなかったということですね。
この3つの出来事を、これから4カ年戦略、あと3年とちょっとしかないですけれども、そういう時間的なスケジュール感も含めて、本当は4カ年戦略というのは、知事になった直後にやらなければいけないのですけれども、みなさんもご存知のように、熊本はトリプルパンチのなかにあります。そのなかでスタッフが最大限考え、そしてこれとの整合性、整合性というのは、治水の方向性と、復旧・復興プランを作らないかぎりこれが出てこないですよね。当然4カ年戦略ですから、それが入らなければいけない。
それを待ったということもあって、今日の熊日の記事にもありましたように、4カ年戦略はなんでできないんだというふうな記事だったのですけれども、そういう非常にタイトな状況のなかで作り、タイトな状況のなかで皆さんにお示ししたいと思ったけれども、復旧・復興プランができましたので、スタッフに聞くと、今日のこの記者会見に間に合うように、皆さんに配布したほうがいいのではないかという、そういう気持ちで配布したと聞いております。
スタッフの人たちも大変な状況のなかで、この4カ年戦略を作ったと思いますし、私も感謝をもって、今日はよくぞ作ってくれたというふうに思いました。遅れてすみませんということです。
Q
遅れたことを責めるつもりは全然なくて、それを批判したことも記事にはないと思うんですけど、知事として県民に、このメッセージを直接伝える必要はなかったのですか。
蒲島知事
それが今日の記者会見でもあるし、それからパブリックコメントでもあるというふうに思います。またこれは案ですから、決まったわけではなくて、案の段階でこれから正式化していくということです。その案の段階で、様々なご意見を伺い、その伺う時間がこのパブリックコメントだというふうに思います。
治水の方向性とか、そういうのについても、それはご意見を聴いたあとで、時間を決めるのですけれども、これに関しては方向性がつい最近、治水の方向性のあとの復旧・復興プランができたうえでの4カ年戦略で、この時間になったというふうに理解していただければと思います。
Q
直接の基本方針ではないのですけれども、人口ビジョンが一緒に発表されていて、3万人くらい人口維持目標が下がっているのですけれども、これは当初の目標というのを達成するのが難しいという判断だったのでしょうか。
蒲島知事
それについては、担当者からお願いします。
【事務方】
人口ビジョンにつきましては、4年前の人口のビジョンというのが、2010年の国勢調査に基づくものでございまして、今回、2015年の国勢調査のデータが出ていますので、それに基づきまして前回と同じ前提で、時点修正をさせていただいた結果が、3万人ほどの減になったという改訂内容になっております。
Q
行政の仕事なので、前提となるデータが変わったから下がるというのは分からないでもないのですけれども、144万人の維持というのを目標に、様々な施策を打っていくと、そういうのがなかったのでしょうか。
【事務方】
今回の試算において、希望出生率ですとか、理想出生率ですとか、そうしたものにつきましては、前回と同じ前提で算定をしておりますので、そうした意味で、人口増を諦めたわけではないということであるのですけれども、ただ同じ前提以上には出生数等のアップは見込んでいないと。同じ前提で算定した結果が141万人となったというふうに理解していただければと思います。
Q
この4本の柱がありますけれども、この中では知事は特に重視されるようなところはどこになるのですか。
蒲島知事
この(4本の柱のうち)最初の3つは当然やらなければいけない対応ですよね。対応の政治と言いますけれども、いかに熊本地震に対応していくかと。それから対応してきたけれども、その創造的復興は今どこまで進んでいるかと。進んでいないところをきちんとやらなければいけない。というのは、私の災害対応というのは、まずは創造的復興を成し遂げて、その次の地方創生に繋げると。そういう意味で、これから4年間についてこのようなことをやりたいというものですからとても大事なものです。
それからもう一つは、この豪雨災害。これはこれから始まります。今は住まいの再建に本格的に入ったところです。住まいの再建に本格的に入る前の避難所まで、どういう状況であったかというのを検証しなければいけないと思いますけれども、これについては国の手厚い支援もあって、避難所運営についての不満はそれほど聞かれなかったんじゃないかなと思います。ただ、今お話があったように、在宅避難というのが新たに入ってきていますので、それを踏まえて、次の段階にいかになりわいと住まい(の再建)を本格化させるかということがとても大事なので、(4本の柱のうち)一番目にきています。
この2つを進めるにあたって、コロナウイルスの感染症を踏まえた対応ということが出て参ります。そういう意味で、この最初の3つというのはとても大事です。しかし、これまでやってきたこと、例えば、これまで将来に向けた地方創生の取り組みをやって参りましたけれども、この中でもやはりこの4カ年でやらなければいけないことがたくさん残っていますので、この4つを捉えて、これをパッケージとして私の4カ年戦略としたいというふうに今、進めています。
予算が無制限ではないし、やはり熊本地震と豪雨災害、これからの創造的復興を両輪に、そしてコロナウイルスの影響によって社会が変わってきています。例えば、地方に移ってもいいとか、そのようなこともきていますので、1、2、3、4のうち最初の1、2、3は、基本方針の柱として位置付けて、これまでやってきたなかでどうしてもこれはやらなければいけない、4年間でやらなければいけないことに関して、これに取り組み始めたというのがこの4つの項目です。
質疑応答
令和2年7月豪雨に係る在宅避難と長期避難について
Q
まず被災者支援のところで少し細かいんですけれども、在宅被災者の2,614世帯は、大まかに約を付けて結構なんですけれども、何人というのが出せますか。
もう一つ、長期避難世帯なんですけれども、今回2つの町で計2世帯ですが、今後の見通しとしてはどういったものがありますか。
蒲島知事
ちょっとこれは具体的な数字なので、担当者のほうからお願いします。
【事務方】
世帯単位になりますので、人数については確認はできておりません。
それと続けて長期避難世帯についてでございます。長期避難世帯につきましては、今後の見通しでというところでございますが、他市町村でも現在避難状態の方がある地区について、土砂災害発生の危険性などの詳細調査が進められております。県ではそれらの調査結果を踏まえ、認定が必要と、適当とされる世帯については順次認定を行なっていくこととしております。以上です。
Q
すみません、大体何市町村からそういった相談だとかがあっているというのは、言えるものがあれば教えてください。
【事務方】
いくつかの市町村から相談はきているんですけれども、なかにはその相談の後で確認をしたら、近いうちに道路が(啓開し)、避難状態が解消される見通しであるというところも出てきておりますので、現時点で申し上げられるのは、芦北町、津奈木町については、今、調査が進められております。
質疑応答
「新しいくまもと創造に向けた基本方針」(素案)等について・その2
Q
もう一点、基本方針についてのなかなんですけれども、このなかでちょっと目を引いたのが、「くまモンランド化構想」という単語が入っているんですけれども、これは具体的にどういったものを言っているんでしょうか。
蒲島知事
すみません、これも担当者にお願いします。
【事務方】
「くまモンランド化構想」につきましては、まだ構想の段階なんですけれども、熊本においでいただいた方に、あらゆるいろんなところでくまモンを楽しんでもらえるような、そういったものが作れないかということを、今、検討しております。
蒲島知事
漠とした構想ですよね。
Q
今の質問に関連してなんですが、特にテーマパークみたいな、そういうものができるわけではないということですか。
【事務方】
はい。
(幹事社)
よろしいですか。ではないようですので、これで終わらせていただきます。今年もお世話になりました。また来年もよろしくお願いします。
蒲島知事
じゃ皆さん、よいお年を。