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平成28年12月28日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成28年12月28日(水曜日) 10時30分から
場所:知事応接室
動画
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会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
コメント
発表項目
質疑応答
- 今年の所感と来年の抱負について
- 熊本地震における宅地被害への対応について
- 鳥インフルエンザの発生について・1
- 平成29年度政府予算案について
- 「大空港構想Next Stage」の策定について
- くまモンの著作権対策について
- 平成28年県政10大ニュースについて
- 鳥インフルエンザの発生について・2
コメント
鳥インフルエンザの発生について
蒲島知事
発表に先立ち、コメントがあります。26日に南関町で発生した鳥インフルエンザは、本日午前3時25分、封じ込めに当たって最も重要となる24時間以内の殺処分を、無事に終えることができました。
自衛隊、警察、建設業協会、九州農政局、九州地方整備局、市町村、JA関係団体など夜を徹して作業にご協力いただいた方々、資材を提供していただいた関係者、全ての方々の御支援に心より感謝申し上げます。
今現在も、封じ込め作業に全力を尽くしていますが、第二の感染を出さないためにも今が正念場です。絶対にここで食い止めるという気概のもと、総力を挙げて対応していきたいと思います。
なお、南関町の現場での鶏の埋却、鶏舎の消毒作業等の進捗状況は、刻々と変化しておりますが、私も自ら足を運び、作業している皆さんをねぎらいたいと思っています。
発表項目
平成28年県政10大ニュースについて
報道資料:平成28年県政10大ニュース(PDFファイル:298KB)
蒲島知事
それでは、発表に移ります。
まず、年末記者会見に当たり、恒例の「県政10大ニュース」を発表します。
今年は、蒲島県政3期目のスタートの年でした。これまで2期8年で築いてきた熊本の良き流れをさらに加速させ、取組みを進めようとしておりました。
その矢先、くしくも、3期目就任の日、未曽有の大災害となった熊本地震の本震が発生しました。熊本の復興こそが私の3期目の最大の使命であると固く決意し、震災対応に全力で取り組んだ1年となりました。
それでは、お配りした報道資料を御覧ください。
最初のニュースは、「『平成28年熊本地震』発生」です。
今回の熊本地震は、阪神・淡路大震災級の震度7の地震が2度も発生し、4,200回を超える余震が続くという、かつて経験したことのないものでした。災害対応は複雑かつ困難を極めましたが、「復旧・復興の3原則」を基本に、全庁を挙げて災害対応に当たっています。
また、熊本地震の傷も癒えない中、6月には豪雨災害が発生、10月には36年ぶりとなる阿蘇中岳の爆発的噴火が観測され、自然の脅威を痛感した1年でもありました。現在、熊本地震の経験や教訓を幅広く検証しています。今後、アーカイブ化を進め、国民全体で広く共有し、防災対策に活かしてまいります。
次に、「天皇皇后両陛下被災地御見舞い」です。熊本地震発生から約1カ月後、余震の続く中、天皇皇后両陛下が熊本を訪問され、被災者一人一人に温かい励ましのお言葉をかけられました。両陛下の御訪問により、地震で元気をなくしていた県民が、どれだけ勇気づけられたかわかりません。両陛下には心から感謝申し上げます。
また、日本全国のみならず、世界中から温かいご支援を頂き、感謝の念に堪えません。皆さまからの御支援に応えるためにも、県民が一丸となって、復興の歩みを力強く進めてまいります。
次に、「『平成28年熊本地震からの復旧・復興プラン』及び『熊本復旧・復興4カ年戦略』の策定と復旧・復興の取組み」です。
復興した熊本の姿やそこに至る方向性、具体的な取組みをいち早く示すため、8月3日に熊本地震からの「復旧・復興プラン」を策定しました。
また12月には、蒲島県政3期目の基本方針となる「熊本復旧・復興4カ年戦略」を策定しました。
復旧・復興の取組みについては、「安心で希望に満ちたくらしの創造」「未来へつなぐ資産の創造」「次代を担う力強い地域産業の創造」「世界とつながる新たな熊本の創造」の4つの柱に沿って進めているところです。
主なものを挙げますと、まず、「安心で希望に満ちたくらしの創造」については、応急仮設住宅が全て完成し、現在、「くまもと型復興住宅」のモデル住宅を公開するなど、被災者の皆さんの住宅の自立再建を後押ししています。
また、公費解体についても、12月15日時点の解体状況は、想定棟数ベースで31.3%、申請棟数ベースで40.8%となっており、計画通り進捗しています。
「未来へつなぐ資産の創造」では、阿蘇へのアクセスについて、国道57号の北側復旧ルートが着工され、また、県道熊本高森線・俵山ルートが先日24日に暫定開通するなど、復旧は着実に進んでいます。
また、南阿蘇鉄道の復旧が課題として残っておりますが、地域にとって不可欠な交通基盤であり、是が非でも復旧させないといけないと考えています。現在、国が復旧方法等の調査を実施されていますが、本格復旧に当たっては、関係自治体の財政等に影響が出ないよう、必要な財源スキームをしっかりと要請してまいります。今後とも南阿蘇鉄道の全線復旧に向け、地元と一緒になって取り組んでまいります。
さらに、JR豊肥本線についても、国、県の治山、砂防事業とJR九州の工事が一体となって復旧に向けて取り組んでまいります。
「時代を担う力強い地域産業の創造」については、「グループ補助金」による経営再建支援などに取り組みました。景気は回復基調にあり、震災関連の県内企業の倒産も、5件にとどまっています。
「世界とつながる新たな熊本の創造」については、「大空港構想 Next Stage」を策定しました。その大きな柱は、阿蘇くまもと空港の運営を民間に委託する「コンセッション方式」を導入し、国内線・国際線ターミナルビルの一体的整備・耐震化を目指すことです。また、県道熊本高森線の4車線化の方針も決定しました。
次に、「くまモンが復興のシンボルとして活躍し、キャラクター好感度が全国 1 位」です。熊本が誇るくまモンは、地震直後は活動を控えていましたが、「こどもの日」以降、被災者を励ます活動を再開しました。
復興のシンボルマークも作成し、県民の「経済的豊かさ」「誇り」「安全・安心」「夢」の実現に大いに貢献しています。
また、民間のキャラクター好感度調査で幅広い地域や年代から支持を受け、見事全国 1 位となりました。
さらに、これまでのフランスとの文化的交流の実績が評価され、フランスの「モンマルトル共和国」から名誉市民などの賞を授与されました。今後も、くまモンが全国そして世界で活躍することを期待しています。
なお、今年のくまモンの仕事納めは、紅白歌合戦です。どうぞ、ご期待ください。
次に、「『国立公園満喫プロジェクト』に“阿蘇くじゅう国立公園”が選定」です。7月に、阿蘇くじゅう国立公園が、世界水準のナショナルパークを目指す「国立公園満喫プロジェクト」のモデル地域の1つに選定されました。このほど策定した「ステップアッププログラム2020」に沿って、外国人観光客を呼び込むための環境整備を進め、阿蘇の「創造的復興」につなげてまいります。
次に、「『天草の※埼津集落』の世界文化遺産への国推薦及び『八代妙見祭の神幸行事』ユネスコ無形文化遺産登録決定」です。7月に、天草の崎津集落を含むキリスト教関連遺産が世界文化遺産への国推薦候補に選定され、9月には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に名称が変更されました。
(※埼津集落の「埼」の字は、正しくは右上が「立」)
また、12月には「八代妙見祭の神幸行事」を含む「山・鉾・屋台行事」がユネスコの無形文化遺産に登録決定となりました。熊本の歴史と文化が世界的に評価されたものであり、これをチャンスに熊本の宝を「世界の宝」として発信してまいります。
次に、「インドネシア・バリ州とのMOU締結」です。11月に、世界的な観光地であるインドネシア・バリ州の州知事一行が来熊され、国際交流促進の覚書を締結しました。
民間交流や農業・水産業及び観光分野での人的交流、さらに大学間交流などを進め、本県とバリ州がウィンウィンの関係でともに発展していけるような関係を築いてまいります。
次に、「国際スポーツ大会の開催に向けた準備が加速」です。2019年に熊本で開催されるラグビーワールドカップ、女子ハンドボール世界選手権大会、翌年の東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ地誘致といった国際スポーツイベントの成功に向け、県民、企業、各種団体が参画した実行委員会が11月に設立されました。
これらの国際スポーツ大会を震災復興の1つの目標地点、いわゆるマイルストーンとして、復興する熊本の姿や感謝の心を世界に発信してまいります。
次に、「熊本時習館海外チャレンジ塾から初の海外難関大学進学者が誕生」です。私は、これまで百年後のくまもとの姿を見据え、その礎を築き上げるために、グローバル人材の育成に取り組んでまいりました。
今年、この「海外チャレンジ塾」で学ぶ塾生が初めて、ハーバード大学など4つの海外難関大学に合格されました。最終的に、マサチューセッツ工科大学に進学されています。これからも塾生たちが次々と海外に羽ばたくことを期待しています。
次に、「水俣病公式確認60年を迎えての様々な取組み」です。5月1日、昭和31年の水俣病公式確認から60年の節目を迎え、地元の団体などが主体的に取り組まれる事業について支援を行いました。また、水俣病資料館の情報発信機能の更なる強化に向けた取組みや、水俣環境アカデミアの開設への支援も積極的に行いました。
60年という歴史と責任の重さをしっかりと受け止め、被害者の方々に寄り添いながら、引き続き、水俣病問題の解決に全力で取り組んでまいります。
最後に、プラス 1 項目として、「鳥インフルエンザ発生―迅速な初動対応で封じ込めへ」です。冒頭でもお話しましたが、12月26日、県内2度目の鳥インフルエンザが発生しました。直ちに、(1)迅速な「初動対応」(2)ウィルスの「封じ込め」(3)「監視体制」の強化(4)風評被害防止のための「広報」の4原則を掲げ、国、市町村、関係団体の総力を結集し、72時間以内での防疫措置を目指して対策を実施しています。以上が、今年の10大ニュースです。
発表項目
「大空港構想Next Stage」の策定について
報道資料:「大空港構想Next Stage」(熊本都市圏東部地域グランドデザイン)の策定について(PDFファイル:64KB)
蒲島知事
続いて、2つ目の発表です。
「大空港構想 Next Stage」を策定しましたので、皆さまに発表いたします。
本県では、阿蘇くまもと空港とその周辺地域を一体の「大空港」と捉え、地域の可能性を掘り起こし、その最大化を図る取組みとして「大空港構想」を進めてきました。
そうした中、今年4月の熊本地震により、阿蘇くまもと空港をはじめとした益城町、西原村及び熊本市東部地区の熊本都市圏東部地域は、県内でも特に甚大な被害を受けました。
この「大空港構想 Next Stage」は、「くまもと復旧・復興有識者会議」からの提言を踏まえ、阿蘇くまもと空港の創造的復興を核として、この地域が持つ可能性を最大限に引き出し、創造的復興を推進するグランドデザインとして策定するものです。
まず、基本的な考え方です。阿蘇くまもと空港を熊本地震からの「創造的復興のシンボル」として、空港周辺地域の活性化につなげることを目指します。
次に、全体の将来像として「空港周辺地域のポテンシャルを最大限に活かした創造的復興の実現」を掲げ、「熊本県経済を力強くけん引する地域」及び「誰もが安心して便利に暮らせる地域」の実現を目指します。
この「大空港構想 Next Stage」でお示しした、空港を核とした周辺地域の活性化は、必ずや県民の総幸福量の最大化に寄与するものであると考えます。その意味では、阿蘇くまもと空港は「第2のくまモン」と言えるのではないでしょうか。
この構想の推進による効果を、県民の総幸福量の最大化を示す公式に当てはめて言うと
- 「民間活力で新たな産業や雇用を創出」することで「E:経済的豊かさ」を実現できます。
- 「新たな国内線・国際線ターミナルビルの一体的整備を創造的復興のシンボル」とすることで「P:地域の誇り」につながります。
- 「広域防災拠点としての阿蘇くまもと空港」とすることで「S:安全安心」を実現します。
- そして、この地域の創造的復興が「熊本の50年・100年の発展の礎」となり、県民の「H:夢」につながるものと考えます。
この数式は、県民の幸福量の最大化が、E:経済的な豊かさ、P:プライド(誇り)、S:安全・安心、そして、H:夢によって導かれるという数式を示しています。どうして「第2のくまモン」と言うかといいますと、くまモンはこの4つにプラスの影響を与えながら、県民の幸福量に貢献しています。同じように「大空港構想」もまた、阿蘇くまもと空港が、そういう形で創造的復興を遂げることによって、4つの要因にプラスの影響を与えながら、県民の幸福量に影響を与えているというのが、この考え方です。
この「大空港構想 Next Stage」については、今後、関係市町村等とも密接に意見交換・連携し、デザイン自体も進化(深化)させながら、地域の発展につながるものを実現させていきたいと考えております。
発表項目
JR肥後大津駅の愛称化について
報道資料:「JR肥後大津駅」に愛称が付くことになりました!!(PDFファイル:125KB)
蒲島知事
3つ目の発表です。
JR 肥後大津駅の愛称化について、発表いたします。
これは、先程の「大空港構想 Next Stage」や「熊本復旧・復興4カ年戦略」にも掲げている阿蘇くまもと空港へのアクセス改善や、空港周辺地域の活性化のための取組みの1つであります。
今回、JR九州熊本支社及び大津町との協議の結果、肥後大津駅の愛称化が実現し、愛称名が決まりましたので、ここに発表させていただきます。
愛称名は「阿蘇くまもと空港駅」です。
来年3月4日のJRのダイヤ改正日から、この愛称名を使用する予定であり、肥後大津駅の看板や県内各駅の時刻表等にも、この愛称が表記されます。
この愛称化により、阿蘇くまもと空港の玄関口と位置付けるJR肥後大津駅が、空港から最も近く、使いやすい駅というイメージを県内外に広くPRします。これにより、鉄道及び空港ライナーの利用による空港利用者の増加を図り、空港周辺地域の活性化にもつなげてまいります。
発表項目
熊本地震における宅地被害への対応について
報道資料:熊本地震における宅地被害への対応について(PDFファイル:82KB)
蒲島知事
最後の発表です。
熊本地震の特徴として、約1万5千件という多くの宅地被害が発生し、生活再建の基礎となる被災宅地の復旧が課題となっています。
県では、被災宅地の復旧に係る負担の最小化を図るため、国に対し、様々な機会を活用して要望を行ってまいりました。
その結果、東日本大震災並みの要件緩和や新たな拡充制度が実現することになりました。それでもなお、被災宅地全体の3分の2に当たる約1万件の方々については、国庫補助事業の対象とはなりません。
そこで、これらの方々が被災宅地を復旧し、1日も早く生活再建を実現するために、復興基金を活用した県独自の制度を創設して支援することとしました。
これで、ほとんどの宅地被害が支援できることとなります。基金事業の補助額については、50万円を超える工事費に対し、補助率3分の2の手厚い支援を行います。対象工事費の上限も、復旧に必要な様々な工法が採用できるよう1千万円としています。
また、対象工事としては、宅地内の地盤復旧や擁壁の復旧・撤去、住宅基礎の補正などを幅広く支援します。
なお、既に自力で宅地を復旧された方々も、さかのぼって支援の対象とする予定です。年度内には、事業主体となる市町村において事業が開始できるよう、準備を進めてまいります。
これにより、県が今年度策定した「復旧・復興プラン」に示すとおり、平成31年度の完了を目標に、スピード感を持って宅地被害の復旧を支援してまいります。
新しい年を少しでも希望をもって迎えていただけるよう、年内に公表させていただきました。被災された方々には、安心して御活用いただきたいと思います。
私からの発表は以上です。
質疑応答
今年の所感と来年の抱負について
(幹事社)
はい、ありがとうございました。
今年は、やはり地震に始まり、そして、年末も鳥インフルエンザが発生しましたけれども、改めて今年を振り返られて、今年の所感と、来年に向けての気持ち、決意などございましたらお願いします。
蒲島知事
何と言っても、今年の私にとって印象的なものは、熊本地震です。
私が3度目の選挙に出た時には、これまでの良き流れを止めないように、さらに強くして行くということを約束し当選することが出来ました。
しかし、くしくも私の3期目の就任の日が本震の日でした。その時に、改めてこの熊本地震からの復旧・復興、それもただの復旧ではなくて、創造的復興を遂げることが、私の最大の使命であると感じました。
これまで、私が震災対応で1番考えてきたことは、わが恩師のサミュエル・ハンティントン教授が教えてくれた「ギャップ仮説」です。それはどういうことかというと、人々の不満というのは、期待と実態によって決まるということです。
これは数式にすれば簡単ですけれども、期待値が分子にあって、実態が分母にあります。だから、期待値がとても大きくて、実態が動かないとすごく不満が増えるわけです。逆に、期待値がとても小さい時に、実態をどんどん大きくいしていけば、不満はほとんどありません。
だから、とにかく前に向かって、急いで進めることで、皆さんの期待が次に変わる前に実態を揃えることが出来ます。それが震災対応ではとても大事だと思い、それに沿ってやってまいりました。これは痛みの最小化のことです。
2番目は、やはり創造的復興を遂げること。英語ではビルド・バック・ベターと言いますが、前より良い形で復旧・復興を遂げようと。今ご紹介しました阿蘇くまもと空港のコンセッション方式、つまり、民間の知恵と資金を元に、国内線と国際線ビルを一体的に開発しようというのも、創造的復興の1つではないかと思っています。
それ〔※創造的復興〕をやろうということで、8月3日に復旧・復興プランを作成し、そして今それ〔※復旧・復興プラン〕に沿って進めているところです。
先ほども言いましたように、4つのポイントがありまして、くらしの創造、未来の資産の創造、産業の創造、そして世界とつながる新たな熊本の創造という形で、今進めております。これを今後も私の任期中にやり遂げたいというのが、今の気持ちです。
質疑応答
熊本地震における宅地被害への対応について
(幹事社)
宅地被害の対応についてですが、復興基金で手当てするということですが、財源として、それは十分なのかどうか、復興基金で賄いきれるのかどうか、それについてお考えをお伺いできますか。
蒲島知事
これまで、どうして復興基金を使うと言わなかったかというと、なるべく国において補助率あるいは補助の枠、補助の方法等、制度の拡充を求めてきました。
これまでに、国の方で、盛土2メートルまでは宅地被害に助成しようということで、新たに制度を拡充してくださいました。ここまでが国の方針ですから、残された約1万件については、復興基金でやろうということで、今の試算では、だいたい復興基金の百億円ぐらいでこれが賄えるのではないかという算定をしています。ただ、正しくはこれから検証していかないと分りません。
少なくとも方向性(を示すこと)と、今回の熊本地震の特徴は、住家と宅地(の被害が多いこと)ですから、それにいかに対応していけるか、それも迅速にやっていけるか(です)。今までなかなかはっきり言えなかったのは、どこまで国が助成してくれるか分からなかったからですが、ここまで拡充してくれたことは大きいと思っています。
Q
知事すみません。関連して宅地被害の基金事業についてお尋ねしますが、先ほど、年度内の支給を目指すというようなコメントがあったと思いますけれども、この基金事業は、本年度内に被災者に届くようにスタートする予定なのか、それとも、年度明け、来年度から事業化する予定なのか、そのところを確認させてください。
蒲島知事
なぜ、年内に発表したかと言うと、皆が希望を持てる(ように…)。宅地被害にどう対応するか、人々にとっては未来が見通せなかった、そこまでなかなかお金がないという方が多かったですよね。家までは建てられるけど、宅地まではなかなか手が伸びないという声が、私のところにもたくさん届いていました。しかし、実際は、その場所で家を建てられることとセットだと思います。そういう意味で、年度内というよりも、もっと長期的なスパンではないですかね。
Q
いや、年度内にこの事業がスタートするのか、つまり、補正予算で対応するのか、それとも来年度予算で、来年度事業としてスタートするのか、その確認をさせていただきたいのですが。
蒲島知事
これは間違うといけないので。
(事務局)
都市計画課です。年度内の補正で対応させていただく予定としております。
質疑応答
鳥インフルエンザの発生について・1
Q
すみません。鳥インフルエンザについて、お伺いしたいのですが、まず、24時間以内の殺処分が完了したということで、今後、72時間以内の埋却というのは、見通しはいかがですか。
蒲島知事
先ほどの鳥インフルエンザ防疫対策本部会議でも言いましたが、24時間以内に(殺処分を)したことを、私はとても素晴らしいことだと思っています。
というのは、農水省の目安によると、ゲージに入れられている鶏を殺処分するのに必要な時間というのは、24時間で3万羽から6万羽ぐらいだろうと。だから、私も今回はすごく難しいケースだなと、24時間では無理ではないかと思っていました。
1つ1つ上に登って、金網を開けて、そこから取り出して、ゲージに2羽入っているらしいんですけど、それを殺処分するわけです。ブロイラーみたいにグループで押し込んで、手で取るのとだいぶ違って、難しかったと聞いています。それを22時間30分でやってくれたのもうれしいです。
それは、次の埋却処分にも大きく貢献します。それが遅くなると、埋却処分も遅くなりますので。だから、埋却処分も72時間の中でやれるのではないかと、期待しています。期待していいですかね。〔※事務局に向かって〕
(事務局)
頑張ります。〔※12月28日(水曜日)午後8時30分防疫措置完了。殺処分開始から防疫措置完了までの所要時間39時間30分。〕
質疑応答
平成29年度政府予算案について
Q
話は変わるんですけど、来年度の政府の予算案が発表されました。知事は常々、地方の負担が、最大限、軽くなるようにというようなことでおっしゃっていましたけれども、知事が政府の予算を見られて、この政府の予算案は、それに十分答えているものだというふうにお受けとめになっていらっしゃるのでしょうか。
蒲島知事
予算案だけではなく、これまでの政府の対応ですか、補正予算、復興基金、予備費、そして今度の予算案、それらを一連として考えると、政府は、負担の最小化ということを念頭に置きながら、予算化されていると思っています。
良い例、分かりやすい例を、2つ挙げたいと思います。1つは、県にとって、とても大きな出費はグループ補助金です。これは国が2分の1、県が4分の1、自己負担が4分の1で、これまでのグループ補助金の事業総額が、1千6百億円です。そうすると、その半分の8百億円を国が払う、それで、4百億円が県の支払い、あとの4百億円が事業者です。
普通、4百億円という巨大な額を県がそれだけ払えるかというと、他にもたくさん払うものがありますから、きついだろうなと思っておりました。しかし、最終的には、交付税措置があるということで、20億円で済むということです。これは政府としては、負担の最小化ということをとても考えておられるのかなと(思いました)。県に関してはそうです。
では、益城町とか、西原村、南阿蘇村の1番大きな問題は、がれきの処理です。益城町の場合、がれきの処理に230億円かかると言われています。益城町の230億円というのは、ものすごい額です。
負担の最小化になってないのではないかということに関して、政府は、がれきの処理の益城町の負担額を、0.3パーセントにしましょうということで、約7千万円になりました。これもやはり政府としては負担の最小化を打っているのではないかと思います。
最初の我々のアプローチは、東日本大震災と同じように負担ゼロを要請していました。
でも、負担ゼロにするための交渉というのはものすごく難航するものです。ゼロと決まっていますから、予算をそれに合わせなければいけない。将来の負担が確実にゼロですから、それは、なかなか前に進まないのです。
まず、増税もしなければならないだろう。また負担ゼロにするためには、どういう事業量があるか、確実に分らないと予算が組めない。そういう不確実性と難しさの中で、私は、スピード感がとても大事だと思います。
例えば、益城町にとって、1年後に負担ゼロが決まる場合と、不確実性はあるけれども、政府も一生懸命努力して、負担を最少化していく場合では、早く進めた方が、私は良いのではないかと(思っています)。そういう意味でも、政府も良く分かっていらっしゃると思います。
安倍首相が「必要なことを躊躇なくやって下さい」「そのことによって、地方公共団体が財政的なダメージを被ることはない」と断言されましたので、それを信じて、とにかくこれまで躊躇なくやって来たところです。
グループ補助金も、あの時期にアナウンスされたので、多く事業者の方が、「じゃあ、やろうか」と、自分たちで、もう1度立ち上がられたから、震災関連の倒産が5件で済んだと思います。
負担ゼロを求めて、必死で1年ぐらいグループ補助金を求めていたら、その間に多くの倒産があったのではないかと思います。だから、スピード感と、時は金だということを考えながら(やるべきだと思います)。
スピード感を持つためには、国も不確実性はあるかもしれない。それから、我々補助を受けるほうも不確実性はあるかもしれないけれども、お互いの合意は、とにかく負担を最小化しようと、そのために努力しようという(ことです)。将来に少し含みを持たせたような制度で、私は、今回の予算措置もそういう形でやられているのかなと思っています。
皆さんは負担ゼロを求めるようおっしゃいますが、確かに負担ゼロは理想的ですね。ただ、そのために1年もかかって増税があって、負担ゼロにするために、いくらかかるかを政府も必死で考えて、そして負担ゼロだともっと過大な要望が出てくるでしょうから、もっと予算が伸びてくるのではないかと(思います)。
そういう意味では、両者が、国も、我々地方公共団体も、負担を最小化する形で早くプロジェクト〔※復旧・復興〕に進むことが、痛みの最小化ではないかなと、またそれが創造的復興ではないかなと、私はそう思ってこれまで進めてきました。自分自身は間違っていないと思っています。
Q
知事、すみません。今の関連ですが、確かに復旧に関しては、補助のかさ上げ、拡充等が割と手厚いということかと思うのですが、一方で知事が今後進めて行く、いわゆる創造的復興のビルド・バック・ベターの部分ですかね、例えば県道の熊本高森線の拡幅もそうだと思うのですが、その辺りは、やはり県の負担も、確か半分程度と聞いていますが、かなり、財政負担が出てくると思うのですが、創造的復興に充てる財源の確保に対しての不安感というのは、ないのでしょうか。
蒲島知事
それについては、さらに政府に要望しなければいけないと思います。
創造的復興で1つ難しいケースとしては、阿蘇くまもと空港の国内線と国際線の一体化です。県費をあまり使わない、コンセッション方式で行こうという新たな考え方です。民間の知恵と資金により、創造的に空港を整備していこうということですから。
色々な創造的復興の考え方があって、ただ国にお願いするというよりも、新しいアイデアを持っていく。例えば、八代港の整備もそうですが、岸壁の耐震化と同時にクルーズ船対応もやっていただきたいと、そういうお互いに知恵を出すことが大事だと思います。
だから、「創造的」という意味は、とにかく熊本県に将来ビルド・バック・ベターとして、投資以上のリターンがあるような創造的復興をこれからやっていきたいと(いうことです)。
もし負担ゼロを求めるとすれば、また難しい交渉が起こってくる気がします。負担ゼロではやれませんということになるかもしれないし、そういう意味で、お互いに、霞ヶ関も、永田町も、熊本県全体も負担の最小化という合意点でもって、とにかくスピード感を持って創造的復興をやり遂げると。
私も4年間と限られている時間の中で、創造的復興をやらなければいけませんので、これからもものすごいスピード感を持ってやりたいと思っています。
質疑応答
「大空港構想Next Stage」の策定について
Q
大空港構想の大まかなスケジュール感を教えていただけませんでしょうか。
蒲島知事
まず、大事なことは、(空港の復興については)国は当然賛成ですので、一緒にやっていくのはもう決まりました。
次に、コンセッション方式と、具体的な将来像を示すというのは相反します。
コンセッション方式というのは、設計の段階から民間委託にするということですから、誰がやるかという民間のグループ主体が決まらないといけない。その方々が能動的に決めるということですから、我々がその方々に代わって、何月何日までにこういうことをしてください、この予算規模でしてくださいということは言えないので、そういう意味で、具体的なスケジュールを示すのは難しくなります。
Q
いつぐらいに完成を目指されているんですか。
蒲島知事
とにかく、全部が私の任期中にできるか、難しいかもしれませんけど、少なくとも、ある程度の道筋と、動きというか、工事というか、それが見えるようにするのが、私の任期中にやらなければいけない責務ではないかなと思っています。
質疑応答
くまモンの著作権対策について
Q
全く別件ですが、中国にこの前できた大江戸温泉で勝手にくまモンが使われたのですが、今後、アジア戦略を強化していく中で、くまモンの著作権管理、ニセモノ対策についてどのようにお考えですか。
蒲島知事
くまモンの著作権はとても大事です。ただ、くまモンというのは、楽市楽座というコンセプトで分かるように、なるべく制約を設けないようにしています。くまモンの共有空間は、皆が自由に参入できて、それによって熊本県も利益を得るし、参入した人たちがそれを使って利益を得るという、ウィンウィンの関係にしようということでやっています。
ただ、全く無制限に、無秩序に使われるということは、我々は想定していませんので、それについては法的措置も含めて検討していかなければいけないと(思います)。
今回のくまモンの大江戸温泉について、どういう措置をとったかについては、具体的にはどうですか〔※事務局に向かって〕。
(事務局)
今日は、(担当者が)来ていません。
蒲島知事
具体的な措置については、たぶん、今、アクションは取られていると思います。以前も中国についてはアクションを取ったことがあります。顧問弁護士さんを通してですね。
質疑応答
平成28年県政10大ニュースについて
Q
すみません、1点。ちょっと10大ニュースの話に戻って恐縮ですが、今年の振り返りを見ますと、やはり、地震が中心だったというのは、当然になるのですが、一方で後半部分の国立公園の満喫プロジェクトだったり、ユネスコ無形文化遺産だったりとかいう明るいニュースも多かったと思いますが、明るいニュースの部分のこういう成果というのは、知事はどのように評価されていらっしゃいますか。
蒲島知事
地震以外に明るいニュースももちろんありましたね。私が1番明るいと思ったのは、バリ州との提携、MOUです。これは、バリ州という、願ってもなかなか叶えられない相手と、観光についてのMOUを結ぶことによって、観光面での明るさが出てきたような気がします。
また、我々がどういうものをオファーできるかというと、農業分野です。バリ州は、ものすごくたくさんの観光客が来ますので、安心・安全な農産物を提供してあげたいという気持ちがとても強く、熊本県からは農業分野での提供ができるのではないでしょうか。
それから、大学とのつながりもあります。それらがうまくいくと、我々がバリ州から受け取るだけではなくて、我々も提供できるウィンウィンの関係になるのではないかと(思います)。
そういう意味で10大ニュースの中では、明るいニュースの筆頭にあるのではないかと私は思います。
でも、どれが1番大きなニュースかと言うと、地震が圧倒的です。「逆境の中にこそ夢がある」という観点から、今進んでいます。さっきの4つの「経済的な豊かさ」、「誇り」、「安心・安全」、「夢」にプラスに貢献するような形で地震対応を行って、何十年後には、熊本県がより幸せになったと、前より大きくなったと思えるように、創造的復興をしていきたいと思っています。
それが、「逆境の中にこそ夢がある」という私のコンセプトに1番近いと思います。だから、常に楽観的に(考え)、悲観的には考えない。
すみません、ちょっとコメントが多過ぎたので、時間が無くなりましたけど、もう1つぐらい、次どうぞ。
質疑応答
鳥インフルエンザの発生について・2
Q
知事、すみません、先ほど、コメントの中で、鳥インフルの防疫先の現場に知事も行かれるということをおっしゃっていたように思うのですが、今から行かれるんですか。
蒲島知事
今日、今からというか、夕方です。
(幹事社)
どうもありがとうございました。
蒲島知事
じゃあ、皆さん、良いお年を。