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平成28年5月12日 知事定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006860 更新日:2016年5月12日更新

知事定例記者会見

日時:平成28年5月12(木曜日) 10時00分から
場所:知事応接室

動画

 動画はこちらからご覧いただけます。<外部リンク>

会見録

 知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
 なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。

コメント

質疑応答

コメント

「平成28年熊本地震」について

蒲島知事

コメントする蒲島知事の写真
​画像の説明を記述します。

 はい。4月14日、16日の二度にわたる震度7の地震発生から、約1カ月を迎えます。

 改めて、今回の熊本地震によって尊い命を失われた皆さまのご冥福を心からお祈りいたします。

 また行方不明になっておられる方とそのご家族、そして被害を受けられた全ての皆さまにお見舞いを申し上げます。

 地震発生からこれまでの約1カ月を振り返り、改めて私の気持ちを述べさせていただきます。

 今回の震災は、極めて短期間のうちに震度7という阪神・淡路大震災と同規模の地震が2回続き、熊本都市圏、阿蘇地域を中心に、多数の家屋倒壊、大規模な土砂災害等の被害が発生しました。さらには熊本城や阿蘇神社など熊本の宝や、阿蘇の雄大な山々も、広範かつ甚大な被害を受けており、本県にとって未曾有の大災害となりました。いまだに余震が続き、終息の見えない事態に、不安を抱かれている方も多くおられると思います。

 県では自宅に帰れず、避難所での生活を余儀なくされている方々に対して、より生活環境の整った宿泊先の提供や、生活再建までの仮設住宅の建設など、全力を挙げて取り組んでいるところです。

 被災された方々のニーズは刻々と変化し、将来に対する不安も大きなものになっています。全ての方が、元のような生活に戻るためには長い時間を要します。またその道のりは決して平たんなものではありません。これまで当たり前のようにあった普段の生活が、いかにありがたいものであるか、そして、普段の生活を取り戻すことが、どれだけ大変なものであるかを痛感しております。

 しかし、関係機関や全国の皆さまからの温かいご支援をいただきながら、復興に向けた動きが広がりつつあります。多くの市町村では、小中学校が再開されるなど、子どもたちも普段の生活を取り戻しつつあります。

 一方で、道路などの公共施設に加え、地元経済を支える中小企業や本県の基幹産業である農業にも、甚大かつ深刻な被害が及んでおり、一刻も早く熊本の経済活動を力強いものに再生していく必要があります。そのためには、国の強力な支援が必要です。財政基盤がぜい弱な市町村、さらには本県についても復旧に要する費用は非常に重たいものです。このままでは今やるべき復旧工事さえできない状況です。被害を受けた地域が安心して復旧・復興に取り組めるよう、国とも手を携えながら、この問題の対応をしていきたいと考えています。

 また昨日までの2日間にわたり「くまもと復旧・復興有識者会議」を開催しました。早期かつ大胆な熊本の再生について、わが国の叡智を結集して、緊急提言をいただきました。今後この提言を踏まえ、熊本地震からの創造的な復興に向けた「復旧・復興プラン」を策定いたします。

 私は自分自身の人生から「逆境の中にこそ、夢があり、変化のチャンスがある」と考えています。まずは被災された方々の痛みを最少化し、その上で創造的な復興、さらには熊本の発展のために着実に歩みを進めて参ります。

 今回の地震を受け、私の3期目を、熊本の創造的な復興に捧げることを決意いたしました。

 しかし、この難局を乗り越えるためには、私だけではなく、全ての県民の皆さま、そして県庁のみならず市町村、国、関係機関が「チームくまもと」として一丸となる必要があります。

 1日も早い熊本県の復活・再生に向けて、引き続き皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

 以上が私のコメントです。

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質疑応答

「平成28年熊本地震」について・1

(幹事社)
 それでは、幹事社から2問、質問させていただきます。

 1問目が、まもなく1カ月が経ちますけれども、現在の復旧・復興の進み具合を、どのように感じていらっしゃるのか、これが1点です。

 2点目が、地震の発生から、行政として対応に苦慮した点というのは、どのようなことでございましょうか、お願いします。

蒲島知事
 はい。まず、進み具合ということですけれども、1カ月、関係機関と事業者の方々の努力によって、ライフラインがほぼ回復したと思っています。このライフラインが回復することが痛みの最少化にも結び付きます。関係者の方々に心からお礼を申し上げたいと思います。

 それから、自衛隊、消防、そして警察の方々の初期の動きがとても早くて、おかげさまで1,200人以上〔※正確には1,700人以上〕の方々の救助ができました。これも、様々な関係機関の方々、それから消防、警察そして自衛隊だけでなくて、地域の防災関係の方々、例えば消防団であるとか、あるいは地域のコミュニティの力によって、多くの方々が救われたのではないかなと思っています。そういう意味では、まず命を救う、そのステージ。それについては皆さんのご努力で、とてもよくいった方ではないかなと思っています。

 その後、2回目の強大な地震がありましたので、避難所に避難される方あるいは外に避難される方が一時20万人ぐらいになりました。正確な数字は、車中に避難された方がどのぐらいおられるか、また指定避難所以外にどのぐらいおられるかということで、確実な数字ではありませんけれども、20万人近かったということを伺っています。

 そうすると、想定していた避難者数、食料、水、それから住まいの場所、避難する場所など、それらを超えておりましたので、きっと多くの方々が苦労されたのではないかなと思っております。それに対して、政府のほうがプッシュ型の支援物資を送っていただいたので、少し時間は遅れたとしても、皆さんに届いたのかなと思っています。そういう意味で、様々なトラブルはあったし、それから時間的なギャップはあったかもしれませんけれども、食料と水もある程度行き渡ったのかなと。

 その次のステージが避難所におけるアメニティの問題で、例えばトイレであるとか、あるいはプライバシ-の問題にどうやって対応するかということ。それと避難される方々が、想定よりも多かったということもあり、なかなか同じ場所におられないので、例えば車中におられる方にどういうふうに手当をするかという、そういうことが適切にやられたかどうかというのはこれから検証しなければいけないなと思っています。いずれにしても、関係機関とともに市町村も一生懸命にやられたと私は思っています。

 今は、そのステージから次の住まいの場を移す、例えば仮設住宅、みなし仮設住宅、そしてその後は住宅の建設という形になると思います。今は避難所をまず縮小して、そこの快適さをさらに追及するのが1つ。2番目がみなし仮設、例えばアパートであるとか公営住宅であるとか、旅館、ホテルであるとか、そういうところに移っていただくのが1つあります。それとともに今仮設住宅も建設しておりますので、仮設住宅ができ次第移っていただく、もっと必要であればもっと建てると、そういうふうなステージであります。

 評価というのは、それぞれの立場におられた方によって違うと思いますので、評価をすることは控えさせていただきますけれども、今、行政、県庁として、市町村として、関係諸団体、国も最大限の努力をされたと思って感謝いたしております。

(幹事社)
 2番目の、対応で苦慮した点というのは、どのようなところでしょうか。

蒲島知事
 1つは、震災の複雑性ですね。本震だと思ったのが前震であった。それで、余震と思ったのが本震であったということで、阪神・淡路大震災並みの2つの大きな地震が28時間以内に起きたと。そうすると、初動と思って最初に対応したものが、その段階で次はまた初動になりますよね。人命救助などが入ってきます。それとともに、最初の地震に遭われた方々への対応、水とか食料とか、そうしたことを並行してやらなければいけなかったのが1つですね。

 それから、昨日有識者会議で指摘を受けたんですけれども、ボランティアの受入れ方。あの受入れ方で良かったのかなと今は少し考えています。というのは、河田先生のご意見によると、熟練したボランティアの方は、震災直後から入ってもらった方がいいと。そして、自分たちでどんどん進めていける。そうでない方はやっぱり、時間をずらして入ってもらうと。そういうところまで、行政として頭が回らなかったことが、少し、これから教訓として残るんじゃないかなと思っています。

とにかく想定外というのは想定してないことが起こるわけですから、いろんな面で行政が悩んだことはあります。しかし、想定外というのがほとんどの災害では言えるのではないかなと思いますので、あらゆる事態に対応できる「対応力」を、兼ね備えなければいけないなと思いました。そして、その段階で適切に判断できる人が指揮を執ると。そういう意味では、常に想定外だと思いながら、災害対応をし、そして、「対応力」でもってそれに対応していくという形が、今後、災害が多発する時代には必要かと思いました。

(幹事社)
 各社どうぞ。


 今、常に想定外と思いながら、災害多発に対応する必要があるということを最後に仰っていたと思うんですけれども、それに対して、具体的な施策と言いますか、行政として今、こういうことやっていかなきゃいけないんだという、着手したいことっていうのをお伺いできればと思うんですけど。

蒲島知事
 例えば、想定外の2回の地震の時に、プッシュ型の支援がありました。普通はどういうふうなニーズがあるだろうから、それに対応するような支援物資の送り方が普通ですよね。でも、今回はこういうものが必要ではないかなということで、それも私どもが要請したのは3倍、想定される3倍の支援物資を国に対して要望しました。そういう意味では、想定外に対応するため、そのような判断も必要であろうかと思っています。

 通常の考え方だとこれだけの避難所があって、これだけの方々が避難されてくるだろうと。物資はどのぐらいそこで持っておくかと、貯蔵しておくかと、足りない分はまた様々な形で物資を支援してもらうというのが合理的な考え方ですよね。しかし、その合理性がなかなか想定外の場合は通じませんから、3倍ぐらいの支援物資をそっちで思うものを送って下さいというプッシュ型なんかも、想定外に対応した1つの例ではないかと、そういうのがたくさん今回はあったと思います。

Q
 知事よろしいでしょうか。1カ月経ちまして、まだ被害の全容がよくわからないところもありますけれども、全体の復興のプランなり、計画なりという話がそろそろ出てくる時期かなと思います。全体の復興計画なるものはどのぐらいのスケジュールで作っていこうと思っていらっしゃるのか。

それと、空前の被害ですので、そのスケジュールを作る上で、どんな困難があるのか、そこら辺、知事はいかがお考えでしょうか。

蒲島知事

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 はい、幸いなことに1カ月以内に緊急の提言がまとまりました。この提言というのは、復旧・復興のあり方を示すものです。これから、これに沿って、県庁の中の復旧・復興プランができていく(ことになります)。もうすでに、それと並行しながら進めておりましたけれども、復旧・復興プランの道筋のようなものを出していただきました。実際に正式に出てくるのは6月5日ですが、6月5日まで待つのではなくて、並行しながら、きのうの4つの緊急提言に沿って、復旧・復興プランを作っていきたいと思っています。

 そういう意味では、まず、あるべき姿が分かったことはとても大きいと思いますし、あるべき姿もこの混乱の中で全く道筋を考えないで作ってしまうと、例えば復旧はできたかもしれないけれども、創造的復興の部分が足りなかったということも出てくるかもしれません。予算措置も必要ですから、同時並行で、なるべく早く、やりたいと思っています。具体的に何日ということは言えませんけれども、復興プランについてこれから迅速に進めていく段階であると、その準備ができた段階であるということです。

 それから困難は、結局、財政的な裏付けですかね。巨大な額の復旧と、その上に創造的(復興)ということでありますので、将来を見越したそのようなプランになるということでありますから、この復旧・復興にどのぐらいの財源が必要なのか、それが1番の問題ではないかなと思っています。

 そういうこともありましたので、私は東京に行って、各省とそれから、自民党と総理官邸にも行って参りました。1番大事なことはどんどん復旧・復興プランを安心して進められる、財源のことをあんまり関係なく、安心して進められるようなそういう状況を作って欲しいと、そういうことをアナウンスして欲しいということをお願いに参りました。それで、政府の方は「検討する」とおっしゃいましたので、今、検討中だと思います。私どもが言ってきましたのは、この復興会議でも出ましたけれども、東日本大震災のあの優しさと言いますかね、被災地に対する優しさ、それを崩してはいけないのではないかということです。

 これは東日本大震災と比べると、熊本の地震は小さいという理由で、それよりも低いレベルに(というふうにしてはいけない)。せっかくあそこまで到達したんですよね。被災地に優しい、被災された方々に優しいレベルに東日本大震災では到達しています。特措法という形で今決められていますけれども。そのような特措法を決めていただいて、同じレベルのそういうふうな財政措置をお願いしたいというふうに、党と関係省庁、総理大臣にもお願いしていますので、そのような形で検討されることを祈っています。

 そうすることによって、熊本も大胆に創造的復興に向けて踏み出すことができると、そして時間的な安心感と額的な安心感もあって進むことができると思っています。


 今、財源のお話がございました。東京のほうで100%国のほうに負担して欲しいというふうな趣旨のご発言あったと思うんですけれども、どうも何かそれが1人歩きしているような印象を覚えまして、東日本の場合も、ある程度、実際の負担を求めているような、復興期間によってはですけれども、ケースがあろうかと思うんです。本意をお聞かせいただければと思います。

蒲島知事
 最小限の負担で済むようなというのが私のスタンスであります。1番大事なのは県もそうですけれども、市町村の財政を超えるような工事がこれからどんどん出てくると思うんです。

 例えば、数10億円規模の予算しかないところに、10%の負担といっても100億円だったら10億円負担しなければいけませんよね。これは被災した市町村にとっては、とても不可能な、その1個だけならいいですけれども、それが何十も出てくると、やらなければいけないこともやれないんですよね。そうすると、裏負担のことを考えると、政府の、今どんどんやるべきことをやって下さいと、急いでやって下さいとおっしゃっているので、やりたいけれども、それは本当に負担されるんだろうかとそういう気持ちになってしまうので、この復旧・復興が委縮してしまうんですね。

 だから、どんどんやりなさいということの担保ですかね。私はいろんな財政的な負担を市町村にとっても、県にとっても最小限にする形で(求めています)その地方が負担をしなくて済むような形まで到達したんですよね、その優しさまでね。だから、その優しさをそのまま(にして欲しい)。これだけの地震が起きて、それは、市町村、県の不備で起きたわけではなくて、天災ですから。それに対して、今までも様々な地震の時に、例えば阪神・淡路大震災、そして東日本大震災、その手当というのはとても改良されてきたと言いますか、その1番最近の東日本大震災のその時のレベル、それはとても私は被災地に対して優しいし、被災された方々に対してもとても優しい対応だと思います。そこの到達したレベルを下げないでいただきたいというのが私の意見でもありますし、それから、これは昨日実施しました「復旧・復興有識者会議」の意見でもあります。


 知事、すみません。応急仮設についてなんですが、昨日で着手の件数が1,000件を超えたと思うですけれども、当然2,100戸分の予算を確保されていると思うんですが、今後の見通しについてどう見ていらっしゃるかということと、後、みなし仮設のほうの対応状況、申し込み状況はいかがでしょうか。

蒲島知事
 仮設住宅は、我々は足りなければ予算措置をするということで、数が決定して、地元の市町村との交渉というか、話し合いが終わればどんどん仮設住宅を作っていきたいと思っています。実際の今の仮設住宅に関する数的な状況、みなし仮設住宅の数字的な状況については、担当者のほうから正確に伝えていただきたいと思います。

(事務局)
 応急仮設住宅については、当初、全壊とか、半壊の数を確認をして、東日本のケースを見ながら、当初2,100戸ということで、あらかた、そういった数が必要じゃないかという見込みを立てています。その後は、それぞれの市町村で、被災者に対する意向調査をやっていらっしゃいますので、その状況を確認しながら、候補地として提案があった敷地については、配置計画を作りながら、今、適宜対応しているという状況であります。最終的に何戸という数については、まだ今のところは決定していない状況にあります。

蒲島知事
 よろしいですか。


 すみません。立野地区のことが、緊急提言の中にあったと思うんですけど、阿蘇方面に住めなくなっている中で、今、立野の未来というのをどのように考えていらっしゃいますか。

蒲島知事
 立野(地区)についてはすでにプロジェクトチームを作って、この立野の今後の将来について住民の方々と、丁寧に話し合いながら、将来像を模索しているところであります。

 そういう意味では、これからも話し合いを続けながら、立野の方々がどういうふうな安心する生活ができるかということも含めながら、話し合いながらやっていきたいと(思っています)。昨日の有識者会議にもありましたけれども、なるべく住民の方々の意向を尊重しながら、上からこれがいいんじゃないですかという、そういう押しつけをするのではなくて、丁寧にこれから話し合っていきたいと思っています。


 もうすでに聞き取りも始まっていると思うんですけれども、まだどういう方向でというのは、まだ固まっていないんですか。

蒲島知事
 どういう方向でというのは、これはまだ聞き取りが終わらなければいけないし、それから住民の方々の意見が1番大事だと思います。

 東日本大震災でもいろんな意味で、例えば高台移転とか、その大きな決断を、そこの集落が、あるいは市が、市町村レベルで決めなければいけなかった時に、東日本大震災で復興会議の議長を務められました五百旗頭先生がおっしゃったのは、そこでみんなで話し合ったところが、時間はかかりそうだけれども、最後には早く決着できたと。

 だから、上から「これがいいんじゃないですか」という合理的な判断のもとに進めても、住民の意見が真っ二つに割れたりして、結局進まなかったということがありますので、時間はかかるかもしれないけれども、丁寧に皆さんがどういうことを思っているのか、その中に県が入っていって、そして一緒に考える、そういうことをやるためにプロジェクトチームを作ったと言うふうに思っていただければいいと思います。


 地域防災計画を見直すお考えというのは、今おありでしょうか。

蒲島知事
 これは、これから検証しなければいけません。当然検証して、不備があれば見直す方向に行くと思います。

 ただ、今はその前に検証がまだ終わっておりませんし、これから様々な対応によって不具合が出たところとか、見直すべきところとか、そういうのが出てくると思いますので、それはその段階でやらなくてはならないと(思っています)。

 ただ、今、何月何日まで見直しますということよりも、対応することが大事ですので、対応の方に力を注いでいるところです。


 知事、すみません、昨日までに公立の学校が全部再開ということになりましたが、長いところ3週間ぐらい休みがあった所もあって、子どもたちも地震の経験もあっていろいろな問題があると思うんですが、知事、今、学校の生徒さん、子どもさんたちへのこれからやっていかなくてはいけないこととか、問題どういったことがあるとお考えでしょうか。

蒲島知事
 はい、学校がこの時期に再開されたことはとてもうれしく思います。やはり皆さん学校に行きたいなという意見が強かったんですね。私も避難所に訪ねた時に、お子さんたちとても元気そうだったんですけれども「何をしたいか」と聞いたら「学校で遊びたい」と「学校に行きたい」ということがとても印象的でした。だから、この時期に再開されて良かったなと(思います)。それから、テレビなどで学校に行く姿を見て、県民の方々もこれですごく力を得たんじゃないかなと、元気をもらえたのではないかと思っています。そして、みんなが学校に行けて良かったなと思ったのではないかと思っています。

 避難所に行って、子どもたちがボランティア活動をしたり、それから、これは新聞で読んだんですけれども、子どもが、夜、やかんに水を持って立っていたと。そしてトイレに行っていた人達の手をそれで洗うような形の、そういうボランティアの姿がありました。この震災の経験が、私は子どもたちの将来の人生にプラスになって欲しいなと思うんです。そういうふうなきっかけもこの震災で、休みはあったけれども、(学校に)行けない時もあったけれども、それ以上のプラスの面があったんじゃないかとも考えています。社会の重要さであるとか、協力の重要さであるとか、あるいは震災とはこのようなものかというのを、自ら知ったとかですね。

 私も自分の経験でいうと、町村合併が私の村であった時に、町村合併反対派の親だったものですから、市町村合併反対派は3ヶ月ほど学校に行かずに、公民館で勉強したことがありました。しかし、今、考えてみると私の人生にとって、それはとても有意義な意味があったなと、そのように考えています。何でもプラスに考えるようにしています。


 すみません、何度も。先ほど財源の話で、国との連携が非常に大事だという趣旨だと思うんですけれども、1カ月振り返っていただいて、各種報道で屋外避難に関して、知事がこう不快感を示されたであるとか、まわりで政府の対応に、会議で白々しい空気が流れたというような報道が一部でされておりまして、そういった論評というのが事実に即したものかどうか、知事としてご感想を、改めて振り返っていただいて、この1カ月、国との関係がどうだったかというのをお聞かせいただけますか。

蒲島知事
 国との関係はとても良かったと思っています。例えば、松本副大臣が最初に赴任されて、本部長としていらっしゃいましたけれども、その時のことがメディアで違った形で流れたのではないかと思います。

 私は最初の初動を松本副大臣と2人で、スタッフとともに乗り切れたと思っています。プッシュ型支援についても、副大臣のほうから提案があって、成功したと思っていますので、それからその後もですね。だから、メディアに流れた対立構造というのは正しくないと思います。

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質疑応答

副知事人事について


 あした臨時県議会があります。そこで執行部のほうからは副知事の人事案が提案される予定ですけれども、この震災対応のさなかに副知事と知事公室長が変わるということになるわけですが、このタイミングで交代というのは、知事はどのように判断されていますか。

 それと、震災対応への影響はありませんでしょうか。この2点をお願いします。

蒲島知事
 適切に人事というのは、やらなければいけませんので、いずれにしても適切な判断のもとに行いたいと思っています。適切であるということは、この災害対応にも、マイナス効果がないようにやらなければいけないと思っています。

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質疑応答

「平成28年熊本地震」について・2


 すみません、農業関係で対応をお伺いしたいんですけれども、農林水産業の被害が推定で1,022億、農業だけで750億以上ということで、算出額の2割以上の被災を受けて、壊滅的な打撃を受けたと思うんですが、そういう中で、今までの農政のルールを変える新たな震災の影響を受けまして、やはり農業分野についても専門家会議なる有識者会議とか、そういう外部からの提案を受けて、新たな農政を推進するお考えはないでしょうか。防災とか、天災の対応とかあるいは農村集落のコミュニティが破壊されたり、高齢化担い手の問題とか、様々な問題に対しての対応は県庁だけではどうかなと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

蒲島知事
 熊本県は、農業大県でありますので、農業の再生というのは実は熊本の再生でもあります。そして、この1,022億という巨大な被害がありますけれども、これをどのようにやっていくかというのは、まさに創造的復興になるのではないかなと思っています。この創造的復興というのは、現状を回復するだけではなくて、創造的復興によってより強い農業にしていきたい。

 例えば、農地がずいぶん荒れていますけれども、それを圃場整備によって、今の倍にしたり、3倍にしたり。そうすることによって、より強い農業になることができますし、これまでも稼げる農業という形で熊本は全国をリードしてきました。農地集積もこれを機に進めることが可能ではないかなと。農地集積を進めるプラスそういう圃場整備、これも復旧工事だけではなくて、創造的に復興ということで先ほど言った形で、より生産性の高い形にやっていかなければいけない。やっていきたいじゃなくて、私はやっていかなければいけない。それは、農業が元気にならないと熊本も元気になりません。

 そこで有識者会議を作るかどうかということは、ここで今考えておりませんけれども、何よりも有識者会議で明快に述べられたように、経済を強くするためには農業も強くしなければいけない。創造的な復興をしようという意味では、農業にも当てはまるのではないかなと思っています。

 そういう意味で、熊本の農業を強くすることは、私の3期目の目標。もともと農業は強かったもんですからね。この強かったのをさらに今のレベルよりも強くするために復旧・復興をやっていきたいと思っています。


 今回、農業のインフラ問題で、特にため池なんかがかなり老朽化している中で、漏水のおそれあるいは決壊のおそれも出てきているところもあるみたいですけど、その辺の対応、防災上の農地整備と言うんでしょうか、その辺はどのようなお考えでしょうか。

蒲島知事
 これも危ないというのは防災上とても大事なことですから、他にやり方があるかどうかという創造的復興という観点から考えながら、この問題にも適時取り組んでいかなければいけないと。

 そのためには膨大な費用と、膨大な日数がかかります。それをどう調達できるかということが大事ですよね。

 私が1番恐れるのは財政破たんが来るのではないかと思って、そのために対応が遅れることですよね。それでアナウンスメント効果として、国のほうが東日本大震災のあのレベルの被災地への対策をしますよと言ってくれると、私どもも全速力で取組みができるんです。それが、アナウンスメントがないと、常に財政破たんを恐れながら、これひょっとすると出してくれなかったらどうしようと思ってやると、対応がどんどん遅れて、マイナスのサイクルになっていくのではないかなと思っています。

 何よりも大事なことは、そういうアナウンスメント効果ですよね。これは私どもが求めることであります。

(幹事社)
 それでは、時間過ぎましたので終了します。ありがとうございました。

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