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平成23年 2月16日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成23年2月16日(水曜日) 午前10時00分から
場所:知事応接室
発表項目
質疑応答
(幹事社)
おはようございます。
知事の方から、まず発表項目の説明をよろしくお願いします。
発表項目
香港における知事トップセールス出張報告について
蒲島知事
今日は4項目、発表項目があります。まず第1は、「香港における知事トップセールスの出張報告について」であります。去る2月10日から13日まで、香港においてトップセールスを実施しました。香港でのトップセールスは一昨年に続いて2年目となります。ちょうど2年前に第1回目を行いました。今回のトップセールスでは、大きく分けて2つの成果があったと思います。
まず第1に、これまで築いてきた香港経済の中枢となるキーマンとの信頼関係によって、本県の農林水産物等の販路拡大、それから観光客誘致などの具体的な道筋をつけることができました。例えば、現地の菓子類流通の最大手であります四州集団有限公司(ししゅうしゅうだんゆうげんこうし)においては、タイ会長と面談しまして四州集団のネットワークを活かした県産品の販路拡大を約束していただきました。また、前回トップセールスを致しました「ひのしずく」、イチゴですけれども、その後、現地百貨店においてしっかりと香港の方々に評価されていることを私自身、熊本県のフェアでの店頭PRで感じてきました。
次に辛亥革命100周年を迎える本年、孫文と宮崎滔天(とうてん)のそれぞれの子孫の方との対面が実現し、孫文と宮崎滔天の功績を熊本と香港のお互いで確認することができました。今回の訪問で、私から香港経済界の要人であります中華総商会、これは経団連にあたるものですけれども、経団連会長のチョイ会頭をはじめとし、関係者の方々に孫文を命がけで支えた宮崎滔天の重要性を伝えることができたと思います。現在、孫文を主人公とする映画の計画が行われています。映画の進行にあわせて、宮崎滔天とのストーリーを深く取り上げていただくよう映画関係者にも要請してきました。今後の展開を期待しております。
私は、今回、お会いした多くの方々が熊本ファンになっていただいており、今後、香港でも十分やっていけるのではないかという手応えを感じることができました。その意味で、大変有意義な香港訪問になったのではないかと思っています。香港については、来年度から新たなビジネスアドバイザーを配置することとしておりますので、県内企業等に積極的に活用していただき、具体的なビジネスに繋げていただきたいと思います。
発表項目
九州新幹線全線開業記念「5連貼ポスター」完成
2番目は、九州新幹線全線開業記念「5連貼ポスター」の完成であります。ここに5連貼のポスターがありますけれども、JRグループとのタイアップにより、今年、4月の1ヶ月間、全国のJR主要駅1,380箇所に貼り出す予定であります。貼り出す予定の5連貼ポスターは皆さんの前に(掲示して)あるものです。九州新幹線全線開業は、熊本が九州観光の中心として大きく飛躍する絶好の機会であります。新幹線全線開業で近くなった熊本の魅力を全国に向けて発信し、誘客に繋げることがポスター制作の目的であります。ポスターの名称は「ゆうゆう自適旅」です。県内5エリアの観光地のイメージを「5つのゆう(遊、優、勇、悠、雄)」という漢字で表現しています。熊本県宣伝部長のスザンヌさんとくまモンが「ゆうゆう自適」な楽しい熊本の旅を提案しています。新幹線であっという間に熊本に来て、熊本でゆっくりと旅を楽しんでいただきたいというコンセプトであります。なお、このポスターは4月の全国展開に先立ち、3月から県内の観光案内所や観光施設、銀行などで掲示致します。また、一般企業や飲食店など、熊本県のPRにご協力いただく方にお配りしますので、どんどんお申込みいただきたいと思っています。
発表項目
九州新幹線全線開業直前、関西で更なる一手!
3番目は「九州新幹線全線開業直前、関西での更なる一手!」であります。3月12日の九州新幹線全線開業に向け、その集大成として2月18日に「ウェスティン都ホテル京都」主催による「熊本、うまかもん祭り」のオープニングパーティーが開催されます。パーティーには山田京都府知事も来場していただく予定であります。また、19、20日に、大阪ミナミで「くまもと逸品縁日(いっぴんえんにち)&ミナミあっちこっちラリー」を開催します。19日は私も駆けつけますし、「くまモン」や「ゆるキャラ仲間」、吉本の芸人さん達を招いたイベントを実施します。既に報道資料にてお知らせしておりますので、是非取材についてもよろしくお願い申し上げます。
発表項目
荒瀬ダム撤去に係る技術提案募集について
最後ですけれども、荒瀬ダムについての技術提案募集であります。昨日、この募集を締切りましたけれども、結果的に25件・12社からご提案をいただきました。この荒瀬ダムの撤去は、全国初のモデルとなるような準備を進めており、その中でもコスト縮減というのは重要な課題であります。それについて民間の方々より、このように多くの応募をいただき感謝しております。今後、提案された技術が、コスト縮減に繋がるのかどうか、庁内での検討のほかに研究委員会の学識経験者から意見を聞くことになっております。最終的には国との協議の中で検討し、技術として採用できるかどうかを判断することとなります。なお、業者名の公表につきましては、募集要綱の中で、荒瀬ダム撤去計画で採用した技術提案を平成23年秋頃に公表することとしておりますので、民間業者の方々もそのことを理解して提案されてきたと思っております。その意味では、この段階では公表できかねますのでよろしくお願いします。
以上が、私の方で用意したコメントであります。
質疑応答
新幹線開業に向けた取組みについて
(幹事社)
まず新幹線についてお尋ねしたいんですが、「関西で更なる一手」ということもありますし、集大成という言葉も知事の方からありましたが、これが開業前の最終段階のPRになるのかと思いますが、その意気込みと新幹線のこれまでのPR全体に対する手応えというものをあわせて教えてください。
蒲島知事
これまでKANSAI戦略として、新幹線の(開業)効果を県内に最大化するために一生懸命にやってきました。いろいろなことがありましたけれど、私にとって印象に残っているのは、沿線の各知事とお会いしてご協力をお願いしたことであります。(大阪府)橋下知事をはじめ、(京都府)山田知事、それから広島県知事、岡山県知事、兵庫県知事、そして関西の知事会にも押しかけていって、そこでもお願いして、その手応えはとてもあった気がします。
それから「くまモン」と「スザンヌ」を投入し、特に「くまモン」の投入は関西、特に大阪では効果的ではなかったかと思っています。私とくまモン、それからスザンヌも吉本興業で舞台に立ちまして、下手な芝居を打ってきましたけれども、それなりに手応えがあったのではないかと思っています。それらを続けていく中で、もう全線開業直前でありますので、更なる一手はないかということで、2月18日に「ウェスティン都ホテル京都」でこのような「熊本 うまかもん祭り」を開くことは、とても嬉しいことであります。また、山田京都府知事も駆けつけてくださるということも、とても心強いと思っています。翌日からは(大阪)ミナミ、吉本興業があるところですけれども、そこで「くまもと逸品縁日&ミナミあっちこっちラリー」というのを開催して、「くまモン」と私、それから吉本の芸人さん達もそのイベントに参加されるということですので、とても最後の一手としては良い一手になるのではないかと思っています。ただ、これも継続してやらなくてはいけませんので、私は新幹線が実際に開業した後も引き続き、この関西に向けての手は打たなくてはいけないと思うし、関西を越えて今度は東京、首都圏対策、そういうことをやっていきたいと思っています。そういう意味で、手応えはとてもあったような気がしますので、今、関西で「熊本へ行ってみたいか。」という調査をすればかなり上がっているのかではないかと私は思っています。大阪に行くと、もう熊本だらけです。
質疑応答
荒瀬ダムについて
(幹事社)
知事よろしいですか。最後に発表があった荒瀬ダムですけれども、まだ募集が終わったばかりだと思うのですが、現段階で知事がご覧になって、これは「ものになるのではないか」というようなものがあったのかどうかと、その結果に関わらず、今後もコスト縮減策というのは国の一手というのを検討していかなくてはいけないと思うのですけれども、その辺をどうお考えなのか。その2点をお願いします。
蒲島知事
私は、最初からこのコスト縮減のためには、全国の様々な方々の提案をもらった方がいいのではないかということをずっと思ってきました。そこで荒瀬ダムについての技術提案募集というものを行いました。かなり短期間にも関わらず、12社から25件もの提案があった。それはコスト縮減に向けての提案ですけれども、その他にコストだけではなく、様々な技術的な提案、環境的な提案もあるのではないかと思っています。なにしろ昨日、夜遅く締め切ったものですから、まだ私自身がそれを見るところまで至っておりません。ただ、多くの方々がこの問題に、全国的に関心を持ってくださっていることを大変嬉しく思います。全国初のモデルですので、そういう意味では多くの方々の注目の的で、多くの企業の方々が最大限の努力をし「こうしたらコスト縮減で安全にできます」と、工法を含めた形で技術の提案、応募があったというふうに聞いております。そういう意味で、まず心配していたのは何の提案もないのではないか(ということでした)。昨日ギリギリまではなかったものですから。しかし最終的には大変多くの方々が提案してくださってとても嬉しく思っています。
(幹事社)
次の一手というのは、この結果に関わらず、コスト縮減と国への要請というのは両輪としてやっていかなくてはいけないと思うんですけど、そのコスト縮減に関して次の一手は。
蒲島知事
先程も言いましたように、これが本当にコスト縮減につながるのかどうか。あるいは安全性の問題、環境問題を含めながら庁内でまず検討するということが一つ。その次に(荒瀬ダム撤去技術)研究委員会がありますので、学識経験者から意見を聞くこと。最終的には国との協議の中で技術として採用できるかどうかということが判断されると思います。今はその原材料があるということで、それを基に、庁内そして学識経験者、国との協議ということになっていくのではないかと思っています。
質疑応答
ダム建設事業の中止に関して
Q
ダム関連で一つお尋ねします。今日は大阪府の橋下知事が槙尾川ダム、既に着工しているダムの中止を決めたというのが新聞に出ているんですが、巨大な公共事業の中止を決断した先輩知事として、感想というかアドバイスがあれば。あるいはアドバイスを求められてはいませんか。
蒲島知事
私も、川辺川ダムの時の判断は全身全霊をかけて判断をしました。それからそれほどたくさん時間をかけたわけではありません。ただ十分な手続き、透明性と議論の包括性、決断の合理性、そういうものを考えながら決断を表明したわけです。そういう意味で橋下知事も同じように苦しまれたと思いますし、最終的な決断に至るまでは様々なことを考えられたのではないかと思っています。私も今日のニュースで見ましたので、橋下知事がどういう心境のもとでやられた(決断された)かというのは、まだ私自身も理解していませんが、きっと決断は困難なものであったのではないかと思っていますし、その判断されたことに敬意を表したいと思っています。
Q
蒲島知事と違うところは、今回の状況で行くと(槙尾川ダムは)着工済みのダムということですけれども、これについては極めて異例ということで、ある意味これから賛否が分かれるところかも知れませんけれども、これについてはどうお考えですか。
蒲島知事
私もこのダムについては殆ど情報がありませんので、着工済のダムでこの段階で中止というのは極めて珍しいということを新聞報道で知りました。それを含めて橋下知事はコストの面、それからダムの賛否を巡って検討されたのではないかと思っています。
質疑応答
川辺川ダム問題について
Q
関連ですけれども、川辺川ダムのダムによらない治水というのは、先程荒瀬ダムの撤去は全国の初のモデルとしたいとおっしゃいましたけれども、川辺川ダムでの「ダムによらない治水」というものもモデルとする意欲で、知事をはじめ着手されてきたと思うのです。
「すぐできること」と「今後検討する施策を整理するところ」まではいって、そこからがなかなか進んでいないような。先進事例として始まっているのですけれども、槙尾川をはじめ、追い越されつつあるのではないかという感じがするのですけれども。
蒲島知事
川辺川ダムのダムによらない治水が、どのような状況にあるかということの感想ですか。
Q
はい。
蒲島知事
川辺川ダムについては「ダムによらない治水」という方向で、流域市町村、県、それから国で検討の場を設け、すぐにやるべきこと(直ちに実施する対策)と、長期的に検討すべきこと(引き続き検討する対策)の2つに分けて(協議)しています。そういう意味で、昭和40年の記録的な大洪水をクリアするため、すぐにやらなくてはならないことについては十分検討され、国の方も理解されていると思いますので、そのスピード感がどうかというのは個人的な差があると思いますけれども、その方向に向かうことは、私は間違いないと思うし、その方向に向けて、すぐにやらなくてはならない治水対策(直ちに実施する対策)、それは着々と進んでいくのではないかと思っています。それを引き止めるようなことは、政治状況から見てあり得ない。そちらの方に進んでいるような気がします。スピード感を持ってやって欲しいということは、私も菅首相にお願いしたところでもありますし、国土交通省にもお願いしています。ただ国土交通省の方から見ると、限られた予算の中でどこに予算をつけるかという優先順位は問題になってくると思います。私が菅首相にお願いしたのは、これは菅首相の目玉政策として「ダムによらない治水」を早く進めて欲しいということと、五木村の振興をお願いしたところであります。私の希望としては、もう少し早くやって欲しいという気持ちであります。ただ、方向性は変わらないと確信しています。
質疑応答
荒瀬ダムについて
Q
荒瀬ダムに戻りますけれども、コスト縮減に関してですけれども、業者名及び技術を決定まで公表しないということですけれども、過程も公開するというのを含めて全国的に注目を浴びていると思うんです。それに関しては。
蒲島知事
全国的な注目を浴びているからこそ、12社から25件という全国的な応募があったものだと思っています。やはりこのようにコスト縮減に向けた技術的なものは、県庁内あるいは(荒瀬ダム撤去技術)研究委員会の学識経験者、国土交通省の中で考えられないような問題もやはり出てくるのではないかと私は思っていたんですね。研究会の席上だと思いますけれども「このようなものができないのか」という提案もあったような気がします。そういう意味でこの提案は、公共事業ではとても異例な提案ではないかと思っていますけれども、そういう英知を結集して、安全で、安く、そして環境に配慮した撤去というのが長期的に一つのモデルですね。そういう意味で技術提案を含めたモデルを提案し、それがこういう形になったというのは私自身、嬉しく思っているわけです。
Q
だからこそ、こういう技術があって、庁内でこういう検討がなされ、有識者がこういうアドバイスをし、こういう結果になりましたという過程をすべて隠してしまうということになりませんかね。
蒲島知事
隠すことではないのではないですか。ただ業者名の公表については、既に募集要綱の中で平成23年秋頃に公表するということですから、それに沿った形でやらないと勝手にこちらが公表するということはできないのではないでしょうか。募集要綱に沿って応募していると思いますので。ただ、全体の工法とか金額、あるいは有識者による評価とか、そういうものについて、どのような形で進めていくかということについては、昨日締め切ったばかりなのでここで答えることはできませんが、隠すことはしません。
Q
中身を見せるような工夫を検討するということでいいんですか。過程を。こういう技術の提案があって、その審議の流れとか、中身とか。
蒲島知事
公開かどうかというのは別にして、いずれにしてもそれは皆さんも県民の方々も、知る権利はあると私は思いますので、私自身は技術が一番良く、環境にも配慮したものであるという確信を持って選ぶ。あるいは確信を持っていけるような工法が選ばれるべきだと私は思っています。ただ、公開についてはちょっとこの段階で、昨日の夜決まったところでありますので、私自身ここで答えるのは待っていただきたいと思います。
(政策審議監)
少し補足させていただくと、今の件は募集の時に、採用されたものを会社名と技術を公表するということで提案いただいていますので、今の段階でまだ会社名とか技術の内容を公表するということは考えていないというのが正式(な見解)です。
Q
今のところという意味ですか。
(政策審議監)
今の段階です。募集の段階ではそれを条件に応募していただいているので、それを採用するかどうかまだ決定していない段階で公表することは、今の段階では考えていないというのが企業局の見解です。具体的な内容についてあとで企業局に確認していただきたいと思います。
Q
これは採用された技術、企業があったとしたら、工事の発注はそちらにお願いするということなのでしょうか。
蒲島知事
これは私も発注、それから入札について、明解にここで私自身が軽々しく言えません。これは別なのでしょう。
(政策審議監)
あくまでも工法をどうするかという問題で、発注とは全然別だというふうに説明を受けています。その問題についても非常に微妙なところもございますので、考え方については企業局の方からきちんと説明させますのでよろしくお願いします。
質疑応答
中国市場における知事トップセールスについて
Q
香港でのトップセールスの件ですけれども、「ひのしずく」をはじめとして、熊本ブランドが、成果が得られたというお話もあったのですけれども、中国市場での今後の戦略的な課題についてどのようにお感じになったのかということと、トップセールスの中で知事との個人的な信頼関係というのはかなり大きな部分を占めているように感じました。そういう意味でいくと、次期以降も知事が引き続き担われるか否かで戦略というのもかなり変わってくると思いますけれども、どのように考えていらっしゃいますか。
蒲島知事
香港の重要なところは、香港を突破口にして中国本土に販路が拡大することですね。記者さんもずっと取材されておられますのでよくお分かりかも知れませんけれども、四州集団のタイ会長も「最終目標は中国だ。香港はそういう意味では中継点であって、そこからネットワークを広げて中国に売り出したらどうか。」という提案も出されました。そういう意味で今回は個人的な信頼の部分もとてもあったのかと思っています。会長の発言を、私に対するプレゼントというかたちでおっしゃっていましたけれども、こういうことをやってあげたいということも言っておられましたので、信頼関係を崩さないように熊本の本当のベストのものを出せればいいと思っています。その中で信頼関係がさらに深まっていく。今後もこのトップセールスはやはり続けていかなくてはいけないし、毎回、毎年行く必要はないと思いますけれども、行って頼まないと、多分、手紙で頼んでできるようなものではありません。その場の緊迫感みたいなもので、そこで初めてその会社のトップの人たち、他のトップの人たちも、会長は本気なのだというのが分かると思います。そういうものがトップセールスの醍醐味なのかなと感じました。
Q
引き続き担われていくということ。
蒲島知事
香港だけというわけにはいかないでしょうけれども、これから東アジアの活力を熊本に呼び込むというのが熊本県政の重要な目標でありますので。観光も含めて。観光の方もやはりEGIさんが将来はチャーター便も含めて熊本ともう少し観光の交流ができないかということを提案されましたけれども、そういう面を含めて取り込んでいきたい。一つは熊本県産品を売るということと、それから中国・香港の方々を熊本に来てもらうということ。この2つの面で続けていきたいと思っています。
よろしいですか。それじゃ。
(幹事社)
ありがとうございました。
蒲島知事
はい、どうも。