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平成23年 9月 6日 知事定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006817 更新日:2011年9月6日更新

知事定例記会見

日時:平成23年9月6日(火曜日) 10時00分から
場所:知事応接室

会見録

知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。

発表項目

質疑応答

(幹事社)
 今月から幹事社が変わりまして9月、10月は読売新聞とKKTが担当いたします。よろしくお願いいたします。では、早速ですが、今日の発表項目のご説明からお願いいたします。

発表項目

新幹線開業「秋の盛り上げイベント」について

コメントする蒲島知事の写真

蒲島知事
 はい、2つあります。まず、第1に「新幹線開業関連の『秋の盛り上げイベント』について」始めます。

 新幹線の全線開業から約半年が経ちました。JR九州のデータによると、(利用状況は)3月(12日の)開業日から6月11日までの3か月間は、博多~熊本間において前年比135%でありました。7月には143%、8月は145%まで伸びてきております。

 また、関西からの個人旅行商品による送客実績、これはJR西日本(管内発)のデータでありますけれども、昨年度展開しました観光キャンペーン等の成果もあって、開業前では前年比の200%を超えておりましたけれども、開業後、4月から7月も前年比500%を超えるなど、順調に伸びております。

 ただ、3月の開業時に合わせて予定しておりました開業記念イベントの多くが、残念ながら東日本大震災の影響により実施できませんでした。私はその時結集した市民力、あるいはそのエネルギー、そしてその爆発力は熊本の大きな宝だと考えています。

 そういう意味で、新幹線開業効果を県全体に波及させること。それから、この開業後の滑り出しを更に高めるために秋にこの力を再結集させたいと思っています。そこで「くまもとの食と文化でおもてなし」をテーマに、春以上のスケールで熊本の多彩な魅力を、県内外に発信できるよう県内各地でイベントを実施する予定であります。

 詳細についてはお手元にお配りしているパンフレットをご覧いただいきたいと思います。特にその中で、小山薫堂氏によるサプライズフィルム完成版の初披露を行う「くまもとサプライズナイト」、また「くまモン」を全面に押し出した「くまモンまつり」などを予定しています。私が聞いたところによると、この小山薫堂さんのサプライズフィルムというのは素晴らしい出来だというふうに聞いています。

 これらについては、午後1時から「くまモン」が直接私の代わりに説明いたします。

発表項目

くまもとのお茶を全国ブランドに!「くまもとのうまかぁ!お茶キャンペーン」を開催します

報道資料:くまもとのうまかぁ!お茶キャンペーン(PDFファイル:627KB)

くまもとのうまかぁ!お茶キャンペーンポスターの写真

 それから2番目であります。2番目は「熊本のお茶を全国ブランドに!」。

 熊本には古くからお茶の産地があります。生産者の努力によって、とても美味しいお茶が生産されています。ただ、全国的に見ますと熊本のお茶というのは、認知度がとても低い。このことをとても残念に思っています。このため、今回、県と県経済連が連携して「くまもと茶」を広く県外の皆様に知ってもらうためのキャンペーンを実施いたします。

 キャンペーンは10月1日から19日まで行う予定です。10月1日から販売するくまもと茶「湧雅(ゆうが)のここち」、これを全国からおいでになるお客さまにPRいたします。

 ソラシドエア(SNA航空機)の全便でのキャンペーンに加えて、東京、京都、福岡の飲食店での試飲、それに加えて銀座熊本館や阿蘇くまもと空港で県産茶の試飲や販売を行う予定であります。

 皆さんのお手元に、この「湧雅のここち」が来ていると思いますのでちょっと飲んでみてください。私も楽しみながら飲んでみますので。(知事、「湧雅のここち」を飲む)

 うん。私のリクエストで濃いめで入れろと言ったからちょっと濃すぎたかもしれませんけれども、とても美味しいです。

 私も今まで、あちこちに行ってお茶をご馳走になったことがありますけれども、京都のある会社でのお茶が一番美味しくて、2番目に美味しかったのは、静岡県の知事を訪ねた時に出たお茶であります。私はこれ、3番目に今日のお茶は美味しいと思いますけれども、皆さん如何でしょうか。京都のお茶は宇治茶ということでした。でも今日飲んだら、それに全然、引けをとらない味がしたと思います。

コメントする蒲島知事の写真

 以上が私の発表項目であります。

質疑応答

新幹線開業「秋の盛り上げイベント」と開業効果の評価について

(幹事社)
 ありがとうございました。発表項目に関して幹事社から1点なんですが、新幹線の秋の盛り上げイベントですね、知事からもありましたように、全線開業の際には震災の影響でイベントの多くは中止になったということで、半年経ってからのここでの盛り上げということで、改めてそこにかける知事の思いというのもあると思いますので、その点と、それから九州新幹線の利用状況ですね、熊本まで利用される方の実績が非常に大きく伸びているということなんですが、一方で指摘されるのがやはり、どうしても終着地点という効果ということでやはり鹿児島の方がちょっと盛り上がっているんじゃないかとか、鹿児島の方にやはりお客さんが行っているんじゃないかというような指摘もありますが、この半年間のそういった新幹線そのものの利用だけではなく、熊本県内全体への観光客の入り込み状況とかですね、そういったところ、知事はどのように評価なさっていますでしょうか。

蒲島知事
 実は、新幹線の開業前に様々なイベントを、特に市民の方々と共に考えてきました。そういう意味では、3月11日の大震災を踏まえて、その日のうちにそれを中止しなければいけない決断をしなきゃいけなかったんですけれども、その時に市民の方々のこのエネルギーをいつかは爆発させたいなと思っていました。その「いつか」は、やっぱり秋だろうということで、秋にさらにこれを再結集して、新幹線の効果を更に高める。でも、ちょうど良かったのかなと思っています。あれ(開業後の実績)はじわじわと伸びていますよね。だから、ずっとこのKANSAI戦略の効果、あるいはくまモンの効果が上昇気流に乗るわけはないので、ちょうど秋ぐらいにもう1回これを立ち上げてですね。今までは本来の新幹線効果だったと思うんです。今回は秋に更に加速化させるために大きなイベントを考えているというので、私もとても期待をしていますけれども、なによりも市民の方々がこれにかけるエネルギーと、それからその時間を最大限に生かせたらなと思っています。

 それから2番目に、福岡あるいは鹿児島、そして熊本、この3県の効果がとても大きいと思うんですけれども、鹿児島と較べるとまだまだじゃないかという意見もあります。でも関西から前年比500%というのは、かなり成果としては大きいのかなと思っています。

 ただ皆さんも御存じのように、福岡から鹿児島となるとですね、やっぱり福岡から熊本まで新幹線で観光に来るかというと、むしろそれよりも、新幹線ができたからちょっと遠い鹿児島に行ってやろうという、そういう気持ちになるのは理解できますし、それからどうしても新幹線の終着駅効果は大きいと思います。

 でも黙ってたらそっちの方に行ってしまいますので、一生懸命KANSAI戦略(を行ったり)、あるいはスザンヌやくまモンを投入して関西あるいは中国地方でキャンペーンを行った効果が先ほどのデータに表れているのではないかなと思っています。

 熊本は2つの意味で、バレーボールのセッターの役割を果たしたいと思っています。1つは、熊本駅の阿蘇とか天草とか、あるいは人吉とか、あるいは山鹿、菊池、そういう所へのバレーボールのセッターとしてのお客の送り込み。それから横軸、特に宮崎、大分、長崎、佐賀への(観光客の)送り込みですかね。そういうバレーボールのセッターの役割も必要なのかなと思っています。そこで熊本の魅力を更に高めて、セッターの魅力も高めながら、時にはこのストライクを打つという、そういう戦略を今練っています。

 そういう意味で、今までの集客効果は、いっぺんに爆発するんじゃなくて、じわじわと伸びていくいい形じゃないかなと私は思っています。最初こんな沢山伸びて、後は下がるだけというのは、私はとても耐えられませんので。そういう意味では135%から143%、145%、これを200%に持っていくと。10月に予定されている「ねんりんピック」、これも大きな力を持つのかなと思っています。それから、Mr.Childrenのコンサートは4万人の人を集めましたけれども、多くの方々が新幹線、それから熊本での宿泊をされたと思いますので、そういうイベント、コンベンション、そういうものも併せて考えていかなきゃいけないなと思っています。

質疑応答

荒尾競馬事業の廃止表明について

(幹事社)
 発表項目に関して各社から質問ありますでしょうか。では、ありましたらまた後ほどお願いいたします。では、発表項目以外で幹事社から1点質問なんですが、昨日もぶら下がりの取材に応じていただいたんですが、荒尾競馬の問題ですね、昨日荒尾市長が表明なさいまして、廃止という方針を正式に打ち出されたわけなんですが、今日も午後荒尾市長とお会いになられるということも伺っております。1日経って改めてその荒尾市長とお会いになられてどんなお話をされるのか、その点を。

蒲島知事
 荒尾競馬というのは80年近く続いた、非常に伝統のある競馬であります。80年というのはそれに伴う様々な仕事、それからいろんな団体(があり)、そういう意味でそれを廃止するとなると様々な問題が起きたのではないかなと思っています。

 その中で荒尾市長は苦渋の決断をされて、今回荒尾市の将来のためには荒尾競馬を廃止するという決断をされました。

 そういう意味で、同じ政治家として、決断の苦しみを知っているだけにそれをよく理解して、そして協議あるいは相談があれば、私としても前向きに市長の相談に乗るというふうに思っています。

 そして多分、また議会で表明されると思いますけれども、表明されましたかね、昨日でしたね。それで議会の前に昨日の早朝、私の方に電話がありまして、苦渋の決断をいたしましたということを言われましたので、私の方からは大変でしたねと、そういう理解を示したところであります。

質疑応答

松下政経塾及び日本新党出身者に対する評価と期待並びに野田首相への期待について

(幹事社)
 では各社から質問ありましたらお願いします。

Q
 政治マターの話で1つお伺いしたいんですけれども、野田新内閣が発足して、その顔ぶれを見ると、1つの局面から見ると、松下政経塾とか日本新党出身者が中枢を占め、また与党の要職にも配置されるというのも1つの特徴かなというふうに見えるわけですけれども、知事は政経塾の理事でしたよね。されてきましたよね。教え子もおられるでしょうし、日本新党という点では熊本が発祥の地だったと、両者の人材というのはダブりも、非常に繋がりが深いわけですけれども、日本新党ができてから20年近くなりますけれども。松下政経塾・・・。

蒲島知事
 正確に言うと、1979年にできていますので。

Q
 松下政経塾ですね。

蒲島知事
 政経塾です。

Q
 そうですね。だから30年を超えている。それで、それが蒔いた人材の種というのが、収穫の時期を迎えているのかなという感じも受けるんですけれども。そこに関係してこられた知事は、政経塾とか日本新党がこの日本の政治史の中で果たしてきた役割をどういうふうに評価されているのか。それからこれに対して、期待とか、逆に心配とかおありならば教えていただきたいと。

蒲島知事
 正確に言うと松下政経塾と私の関わりは1985年。その時に京都大学の高坂正堯先生と私が、政治学を政経塾で教えました。その時の最初の学生が6期生であります。6期生が今はとても活躍しておりますけれども、それから講師を何年か務めて、そして評議員になりました。多分評議員を20年ぐらいやったと思いますけれども、それから知事になる前は理事を務めていました。

 そういう政経塾との深い関わりがあり、教師、評議員、理事として政経塾生と付き合ってきました。先生と生徒の関係であるという意味では、とても皆可愛い弟子達だと思っています。

 一番関わりが多いのは8期生で、私が面接の審査員もしましたし、それから実際に教えたのもありますので、その時の学生が、玄葉外務大臣、今回の内閣で言うと。それから前原政調会長ですね。野田さんは1期生ですので、理事と塾員生という関係で付き合いました。そういう意味では、政経塾の人たちはとても理想に燃えた、そして地盤(ジバン)・看板(カンバン)もない、お金(カバン)もない、それから名声もない中で最初は野田さんなんか県会議員になりました。

 そして一番大きなチャンスになったのは、日本新党だと思います。日本新党が集めた人達は、そういう政経塾のように地盤・看板のないような人たちが多かったんですね。そういう意味で、ダブっているのはそこからあるんですよね。

 日本新党が登場したのは、1993年の総選挙だと思いますけれども、92年に細川さんが始められて、それが政権交代に結びついたと。政権交代に結びついたけれども、すぐに自民党が復活したという苦い経験があると思うんですね。そういう意味で民主党という政権に入っていったのが日本新党ではないかなと思っています。

 両者に重なった印象としてあるのは、先ほど言った理想主義。ただ政権の経験があまりありませんので、理想主義と現実主義の絶妙なバランスというのが私は政治だと思うんですよね。そういう意味で、その理想主義の面が強すぎたのかなと。政経塾出身の民主党議員を見た時に、それがやっぱり期待を皆に持たせたけれども、それに応えられなくて失望に結びついていったと。

 私も選挙学を政経塾で教えましたけれども、むしろハンチントンの「革命の理論」とかですね、あるいは「期待と失望の政治学」を教えていた方が良かったかなと今は思っています。選挙にどうやって勝つかというよりも。

 そういう意味で、今回2年間、民主党の中で政権を担いましたけれども、様々なことを教訓として学んだんじゃないかなと思っています。

 その中で野田さんの印象というのは、とても重厚で、自分のことをドジョウと言っていますけれども、地味で、ただ、すごく信念がある人だと私は見ていました。それが示されているのは24年間、毎日辻立ちをしたことであります。

 私も選挙期間中に、辻立ちを朝からしましたけれども、毎日というのは大変なことなんですね。それを雨の日も風の日も彼はやり遂げたということだけでもとても偉いと思いますし、それが彼の秘めた力に結びついているのかなと。そういう意味では今回、彼が首相になったことに、私は期待を持って見ております。あの候補者の中でも、早くから野田さんがなればいいなというふうに思っていました。

Q
 日本新党とか松下政経塾出身者の方に対するイメージとしてはですね、清心な印象を受ける人が多かった反面、か弱さを指摘する方も少なくなかった。そういう意味から言うと、今知事がおっしゃったように、野田さんの場合はかなり重厚さを持って、その意味では理想主義と現実主義を、バランスを取ってくれそうな、そういうふうな期待をお持ちということですか。

蒲島知事
 人は変わりますから。様々な時代の要請によって。今、野田さんに求められているのは、党内をいかにまとめるか。党内をまとめた上で、野党とどういうふうな形で連立、あるいは妥協をするか。政策を合わせる、調整するかということだと思いますね。そういう意味では、自分を出さないこと。無欲さというのが一番私は大事になってくると思います。

 それから国民に対してのメッセージを発する力、これは24年間辻立ちをしたということがとても生きてくるんじゃないですかね。ああいう、誰も聞いていない所で必死で自分の気持ちを表明するというのは、大変難しくて恥ずかしいんですよね。私も実際に選挙の時にやりましたけれども、選挙の時に限って、誰も私の話を聞いてくれないんですよね。それを必死で言わなきゃいけないんです。それはすごく屈辱感にまみれるんですけれども、ただそれを24年間やられたから、多分聞く人も増えてきたんじゃないかなと思うんですね。だからメッセージ性が、彼にはそういう意味であると。それから無欲さ、いわゆるあんまり自分を出さない所がありますよね。

 彼が成功するかどうかというのは、私は今の問題の大きさ、国難の大きさをいかに国民に対してメッセージとして伝えるかどうか。国難の大きさというのは震災の復興と、その復興をいかにして日本全体の発展に繋げるか、これが大事なんですね。もう震災地かそうじゃないかというゼロサムの関係は、これは良くなくて、やっぱりWin-Win(ウィン−ウィン)の関係で、震災復興を日本全体の発展にどう繋げるかというのが僕は一番大きな合意争点だと思うんですね。それとの絡みで、復興増税、これも賛成が多いことも最近の世論調査で分かっていますけれども、あるいは海外への企業の脱出、それをどう抑えるか。

 だから、やっぱり震災を大きな柱として、それからの復興と日本全体の発展というかな、それとその周辺部分としての税金の問題、それから円高不況の問題、そういう形で提示すると、すべての方々の理解を得られるのではないかなと。これは野田さんからすれば「いらん世話」かも知れませんけれども、知人として、そういう方向でやっていけば、非常に限られた時間ですので、難しいかもしれませんけれども、成功する確率もあると。これが成功できなかったら民主党だけでなくて、政党政治そのものへの不信感が増大すると思うんですね。

 もう1つ、やっぱり時間的緊迫性があるのはとてもいいことじゃないかと思うんです。彼に与えられた時間は多分1年でしょう。(しかも)本当にできる時間は半年だと思うんですね。半年間をどうやるかと。私もハーバードで授業を受けた時に、大統領制の有名なリチャード・ヌースタットという先生から「アメリカ大統領といえども与えられた時間は半年間。半年間のうちに重要な問題を解決できなければ、もうそれは失敗だ」ということを習ったことがあります。そういう意味で川辺川ダムの時も私が半年と言ったのはまさにそういうことで、だから半年というふうに時間を区切って、合意争点、それは震災の復興をいかに日本全体の発展に繋げるかという合意争点をやり遂げるということが彼に与えられた時代の役割じゃないかなと思っています。

 ちょっと今日は喋りすぎたかも知れませんけれども。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

質疑応答

大震災により熊本に避難されている方々について

Q
 すみません。別の質問よろしいでしょうか。今大震災の話も少し出てきましたが、大震災から間もなく半年、福島の原発の件など見てみてもちょっと長期化している中で、県内には95世帯、230人が避難されてきているというふうに伺っていて、県では最長1年の公営住宅の無償での提供であったり、また人材派遣会社を通じた仕事の紹介などをしているというふうに伺っているんですが、なかなかその避難されてきた方たちに聞くと、安定した仕事であったりとか、安定した暮らしというのが手に入らないというのが現状のようなんですが、その現状をどう捉えていらっしゃるか、また更なる支援とか、何か知事としてやりたいことがあれば教えていただければと思います。

蒲島知事
 はい。熊本県は長期的にこの震災に対する対応を考えています。まず、支援の問題としては今、宮城県を対象に様々な行政的な支援をしております。

 そして、熊本に来てくださる方には、最大限の配慮を示したいと。農業をやりたい方も熊本に来ていらっしゃいますけれども、そういう意味で熊本にいらっしゃったら、もう熊本県民であるという、そういう気持ちで接していきたいと思っています。

 ただ熊本県民として通常どおり接するんじゃなくて、もう自分の想像もできない災害に遇われたわけですから、そういう意味では接し方もまた特別な配慮を示しながら接していきたいと思っていますので、この前も私が熊本にいらっしゃっている被災者の方々を招待して、交流会を開きました。

 そこで様々な問題を聞きました。担当者も一緒にその交流会に出ましたので、そこでそれをすくい上げながら、対処できないかということも考えています。

 そういう意味で最大限の配慮、これはもう私というよりも、県庁というよりも、熊本県民皆がそれを望んでいるんじゃないかなと思っています。

 熊本県は支援の時に、本当に自分たちの善意を届けたいというその気持ちは強かったし、それからその気持ちが今でも続いていますし、それから熊本にいらっしゃった方々は本当は本意じゃないかもしれないですよね。工場が向こうでは操業できないので、熊本にいらっしゃった方も大変たくさんいらっしゃるんですけれども、そういう本意でないのに熊本にいらっしゃったとしても、熊本としては最大限のおもてなしの心で接したいと思っています。

Q
 避難されてきた方から交流会ではどういった声があがって、何かできることっていうのは何か出てきたんでしょうか。

蒲島知事
 やっぱり市町村によってちょっと違うという、そういう意見もいただきました。例えば、自分の友達(の所の市町村)はとてもよく面倒見てくれるけれども、自分の所(の市町村)はそうじゃないと。そういう意見。それから、まあ殆どの場合は感謝の心が大きかったと思います。とりわけ一番多いのは、自分の配偶者の親戚、あるいは実家が熊本にあるという人がまず一群として多いですよね。

 そうすると、そこの教育委員会の方とか、あるいは家族の方とか、それからそこの村の方、町の方、市の方がとても良くしてくれるという、そういう声が多かったと思います。

 もう一つの大きなグループは、工場が被災してしまったのでその関連の工場が熊本にあると、熊本出身ではないけれどもいらっしゃった方々。この方々も熊本に一つ否定的な意見は、ちょっと暑い、暑すぎるというのがありましたけれども、それ以外はとても好意的だったと私は思います。

 そういう意味で、知事と被災者の方々が一堂に会して、交流の会を開いたことに対してはとても喜ばれていましたし、そこに来た職員の人たちも、そこで殆ど全員と話すことができたので、そういうのも大きかったかなと思っています。

 それから熊本は農業県でありますので、農業をやりたい方は、住宅、それから交通費、それから農業従事に対する給料、それをセットで今提供していますので、次第にそれも浸透してくるのかもしれません。

質疑応答

熊本市の政令指定都市移行について

Q
 知事、よろしいですか。8月末に霞が関の総務省に、片山前総務大臣に幸山市長らと政令都市指定に向けた、政令改正を要望されましたけれども、その場でかどうか、私は知らないんですけれども、片山総務大臣の方から「蒲島知事ほど政令指定都市の、政令市との関係、市との関係を強調して、そっちの方向に向いている方っていうのはあまりいない」とおっしゃった。それは本当にそういう事実、やりとりがあったのかどうかが1つと、なぜ熊本市が政令市になること対して、熊本県として知事として、そのバックアップされているのか。そこをちょっとお伺いしたいんですけれども。

蒲島知事
 片山(前)大臣とは、彼が大臣になる前に、私との対談のために熊本にいらっしゃいました。その対談の内容は「世界」という雑誌の中に入っていますので、詳しくはそれを見られたら分かりますけれども、その中で、私が熊本市を政令市にしたいという熱い思いを語ったんです。それに対して、それがとても印象的だったと思いますので、今まで知事をたくさん見てきたけれども、1人として自分の県庁所在地が政令市になるのを好んだ人はいないと。そういう意味では蒲島さんは珍しいですね、というのが多分、彼の発言のポイントだし、それはどこから来たかというと、「世界」の対談だと思います。

 私がなぜ熊本市が政令市になるべき(と思う)かということをお話しますと、非常に短期的な考え方でいうと、多くの知事と同じように、権限を移譲しなきゃいけない、あるいは権限がなくなるという意味では、政令市の誕生をあまり喜ばないのが普通ですね。

 しかし、大きな、熊本のこの長期的な展望を見ると、やはりそれではいけないと私はずっと思っていました。だから選挙期間中から熊本市の政令市(化)は進めるべきだと本気で思っています。それは、熊本市の政令市(化)はワンステップに過ぎないんですよね。熊本市が政令市になることによって、2つの意味があります。1つは、その熊本市の力を熊本県全体に波及させる波及効果。もう1つは、もし将来的に道州制になった時に、九州府ができます。その中で、九州府の中での州都を目指すと。

 これまでは、(州都は)当然福岡だという、そういう議論がありましたけれども、私は、福岡はニューヨーク的な経済的な大都市、そして熊本はワシントンDCみたいな政治都市、それを目指すべきだと思っていますし、この大震災の結果分かったことは、やはり集積というよりも、ある種の分散が大事だと思っています。だからそういう意味では経済と政治の分散というのは、災害にも強い都市であると。これが2番目の理由であります。そういう意味では、熊本市の政令市(化)というのは目的ではなくて、県からすれば手段であると、そういうふうに思っていますので、一生懸命に運動しました。

 私のこの方針に熊本県の職員の方々も賛同してくれてですね、本当にあれほど一生懸命にやるかというほど、合併のため力を注いで、来年春4月1日、私は、熊本市は九州3番目の政令市として飛躍するんじゃないかなと思っています。

 政令市になったからもう知りませんということではなくて、あくまで目標は、熊本市が熊本県全体の牽引力と、それからその力を波及効果として県内に発揮することですから、熊本県としても応援すべきところ、これは予算も含めてやらなきゃいけないと思っています。だからそこで、「はいどうぞ」じゃなくて、「一緒にやりましょう」という形でこれからいけるんじゃないかなと思っています。

 もしそこで、私が熊本市の政令市(化)反対の立場をとって、非常に冷ややかであったとしますよね。それでもし熊本市が政令市になった時には、大変仲の悪い関係になりますので、そういう事にならなかっただけでも、やっぱり私が応援した甲斐があったのかなと思っています。そういうことは片山(前)大臣から見ると、非常に珍しいことだと、奇異に感じられたことも確かであります。でも、そのことを説明しましたので、今回、4月1日の政令市(移行)についてはよく理解してくださったと思っています。

Q
 その場の席でそういう話は出たんですか。

蒲島知事
 はい。今の話は「世界」での内容と、あそこでの話と。それから、多分皆さんが頭にあるのは、最後の閣議の後の総務大臣会見の内容だったと思うんです。

質疑応答

荒瀬ダムについて

Q
 よろしいですか、知事。荒瀬ダムなんですけれども、先日、除却申請を手続きの1つとしてされましたけれども、いよいよ来年度になれば工事に着手するという段階まで来まして、資金不足というのを、当然これからも国に求めていくというスタンスを続けていくということですが、より具体的にどういう戦略を描いておられるのか、来年、工事着工するまでにそのお金を揃えようということなのか、それとも、いわゆる工事は6年間続きますんで、取りあえずは持っているお金で工事を始め、その6年間のうちで、例えば国からそういう、最初ありましたけれども何か法律を作るとか作らないとか、そこまでいくか分かりませんが、そのお金をそこの間で調達をするという戦略だってあると思うんですけれども、考え方はいろいろ、今、知事はどうお考えでしょうか。

蒲島知事
そういう後者の戦略というのはあり得ません。それは、ちゃんと6年間の予算が確保できない限り着工はできないと。だから、皆さんが考えている行政とちょっと違うかもしれません。行政で「決めること」と「実行すること」はすごく違いがあるんですよね。だから私が、荒瀬ダム撤去と言うことと、実際に撤去をするためには、その予算措置が伴わなきゃいけないと。だから、最初の1年目(に予算)があればいいなという感じで、この撤去計画ができるわけじゃありません。だから、12月まではですね、撤去計画が示されて、それに対して予算の裏付けがなければ議会に出せないというふうに私は思っています。

 それで確固たる計画があるかというと、今は示すことはできませんけれども、今一生懸命にそれに向かってやっているところであります。1つは財政支援を求め続けるというのは、ずっとこれからもやらなきゃいけないし、それから撤去費用がどのくらい縮減できるかという、そういう縮減のための努力、これは幸いなことに国土交通省の方も一緒に考えて縮減の努力をやって下さっています。もう1つは、企業局の経営努力、そういうものをやっている。それから国の交付金の活用、これについても知恵を出していきたいなと思っています。

 そういう意味では、年度内には大まかな資金計画をお示したいというふうに思っています。

Q
 ということは、今年度内までに不足額を埋める資金計画を必ず立てるということでいらっしゃいますかね。それが立たないならば、来年度もう着工しないという今お考えというふうに。

蒲島知事
 来年度着工は前提であります。

Q
 ということであるならば、そういうことですね。

蒲島知事
 来年着工が前提だから、今回の除却申請をやっているわけですね。だから、そういう意味では、その除却申請も3か月ぐらいかかりますので、その間もこの資金計画についても、まあ大まかには示していますけれども、頑張らなきゃいけないと。

Q
 足りない部分が大きいですから、それを埋める。それは年度内までに必ず埋めるという、そういうご決意ということで。

蒲島知事
 そうしなければ、来年度からの着工にかかれないと思います。ちょっと、担当者の方から補足説明を。それでよろしいですか。

(企業局)
 先ほど知事が申し上げたとおり、いわゆる国の支援の継続と、そして年度末までに、いわゆる資金計画、大まかな資金計画を皆さんにお示しする。その内容については、全体の、今、総額の92億円に係る不足額に対して、大まかな資金計画を立てるということで間違いございません。

蒲島知事
 だからぎりぎりまで出さなきゃいけない、ぎりぎりまで資金調達の努力はしていくということになる。

(政策審議監)
 すみません。ちょっと誤解がないようにもう一度補足します。当然、収支見通しは出すということで間違いございませんけれども、先ほど知事が言った「資金を確保する」というのは、ちょっと意味が違うかもしれません。当然、国の財政支援も前提になると思いますので、着工時点で資金が確保できるかどうかというのは、その時点では分からないかもしれません。

 ただ国費をどれぐらい、それと県がどれぐらいということは示せるかと思います。そこはちょっと誤解のないように確認していただきたいと思います。

蒲島知事
 今のが正解ですので。

Q
 今おっしゃったのは、24年度以降の6年間の国からの一括交付金を見込みでやる可能性があるという意味ですか。その時点では資金は確保できていないけれども、翌年度以降の交付金も見込みとして入れますという意味でおっしゃったんですか。

(政策審議監)
 今、撤去費用の確保について、新たな制度も含めて国に要請をしています。そういう中で新たな制度ができるのか、それとも今の制度の中で財源確保が見通せるのかというものを、ある程度、年度末まで出すということは、今、知事がおっしゃったとおりだと思いますけれども、そういう中でどういうような見通しになるかというのは、非常にまだ不安定な部分がございますので、それを確かに何億円、何千万まで確保できるかというものを明確に示すというのは難しいこともあろうかと思います。

蒲島知事
 ということです。ただ、大まかな資金計画を示さないということはあり得ませんよね。当然。

Q
 それはそうですね。

蒲島知事
 ただ、さっき言ったとおり、何月何日にこの交付金が将来来ますということも、6年間かかりますから、それは確実には言えません。そういう意味での確保としては言えないけれども、大まかな資金計画を示さなきゃいけないというのは、今年度中にそれを示さないと着工にかかれないということになります。

Q
 ということは、結局、その大まかな資金計画はお示しして、県民に示すと。ただその時に不足額というか、その不足額を国から出してもらうという見方をするのか、それができないという見方をするのかで、評価は変わるんでしょうけれども、そういう不足額というのも入った形で示してもう着工をするということなのか。いや、ここも埋めたうえでの資金計画を作ってじゃないと着工しないということなのか。

蒲島知事
 まあそれを含めて今年度中に作ると。だからその大まかな資金計画をお示しした段階で皆さんの質問も再度受けるということになります。

Q
 知事、いずれにしろ。

蒲島知事
 まだ我々も完璧にこの段階でね、お示しできないから、今年度中に大まかな資金計画、今年度中というと、あと半年ぐらいしかありませんけれども、それ以内でやるということです。

Q
 それは国のある程度の合意というか、何らかのコンセンサスがある程度取れているという意味ですか。国の支援も含めて。

蒲島知事
 それを踏まえて資金計画を今年度中に示すということしか、ちょっとこの段階では言えません。

Q
 すみません。知事、今の知事のご発言の中で、もう一度ちょっと確認なんですが、当然予算の裏付けがないと、撤去なり何なりというのはできないというのは、もうこれは当然そうだと思うんですけれども、その資金計画を示した段階で、どうしてもその段階では不足分の中のある部分がちょっと埋められるかどうか分からないという状況がもし仮に出たとした場合でも、その来年度から撤去というのには着手されるということで間違いないんでしょうか。

蒲島知事
 これは、ちょっと制度上のことを事務方に補強してほしいんですけれども、来年度、これ1年度予算ですよね。だから、大まかな資金計画は6年分あるでしょうけど、実際に来年度工事費があるかどうかということに関しては、単年度でいいんですね。単年度の確実な予算を示す・・・。

(企業局)
 不足額を埋める方法としましては、現在分かっている部分は、国の「地域自主戦略交付金」として道路嵩上げ部分については、今後13億円程度は見ていくということは国の方で認められております。それはすべて単年度予算で国の方で予算措置があります。まだ将来に向かって単年度ごとに予算がついていくことから確定できない。

 それともう1つコスト縮減につきましては、現在、国とコスト縮減について調整をして、その削減額を今年度内に決めていきたいというのが第2点。

 それと第3点でございますが、それ以外に不足する部分については、先ほど知事が申し上げられましたとおり、国に新たな制度等を要望しており、今、国にいろんな形でお願いをしています。

 その部分につきましては、国の予算ということで平成24年度以降になりますので、年度内には確定することができない。そういうことでまだ不確定ということになります。

 それ以外の部分につきましては、県の企業局の中で、どれくらい資金が生み出せるか、今後、経営していく中で資金がショートしないように資金、いわゆる内部留保金と申しますか、それを含めて今後企業局が毎年工事をしていく、その他の発電所の運営経費、それを踏まえてショートしない形で、資金をどう運用していくか。それを踏まえた上で、荒瀬ダム(撤去)にどれぐらい確保できるか、それを含めて撤去期間中のいわゆる資金計画というものを作るということです。先ほど申しましたように、まだ未確定な部分があるというのがそういう意味でございます。

Q
 未確定な部分がたくさんあるからこそ伺っているんですけれども。結果的に、さっきからずっと言ってるんですけれども、結果的に不足した場合に国の支援というのも分からないという状況で、選択肢の一つとして一般会計からの貸付けとか、繰入れというのは選択肢としてありますか。

(企業局)
 私どもとしては、企業局として企業会計の中でやっていくというスタンスに立ちますと、基本的には企業局内で努力をして、不足額がないような形で皆さんに年度末にお示しをしたいというふうな考えでございます。

Q
 じゃそういう選択肢はないということですね。

(企業局)
 現在のところ、資金計画の中でそれを検討したうえでお示しをするということでございます。

蒲島知事
 とにかくこの段階では、除却申請をしたということは、来年度から除却・撤去にかかるということでありますので、それで、じゃ資金はどっから来るのかということについては、大まかな資金計画は今年度内に示すということでありますので・・・。

Q
 知事、繰り返しになりますけれども、同じ質問なんですけれども、今の段階で一般会計からの貸付けとか繰入れは知事としても想定していないということは変わりませんでしょうか。

蒲島知事
 それも含めて、本年度中にお示ししたいと思っています。

Q
 だから選択肢としては残っているということ。

蒲島知事
 私としては、あらゆる選択肢を自分の手の中に置いとかなきゃいけないと思います。

Q
 明快なことは24年度から除却を始めるというのは今の段階で変わりはないと。

蒲島知事
 はい。これはもう明快であります。除却申請を今したのは、そういうことであります。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

質疑応答

球磨川のダムによらない治水について

(幹事社)
 時間も大分押しましたが如何でしょうか。

Q
 1問だけ。昨日、「ダムによらない治水を検討する場」があって、その中で九地整の方から人吉地区などについて、中上流域に関しては氾濫するという可能性がある、氾濫するという指摘があって、それを受けて遊水地を導入しようという話がありました。

 そういう氾濫するという試算が出たことの受け止めと、遊水地対策を導入するという議論の提言があったことに対しての知事の受け止めをお伺いしたい。

蒲島知事
 特に私は四国それから中国地方の大洪水を見て、あれは100年に1度というのを将来的には計画にしていたということだったんですけれども、でも、その計画があって、そこに到達できないと何もできないという、その時間的なスピード感が、やっぱり今回球磨川の洪水を考えた場合、スピード感を持ってできることをやらなきゃいけないなと私は思っていました。

 「球磨川方式」というのは、ある基本高水みたいな「何年に1回」というものを決めた後で、その目標に到達する形じゃなくて、できることをどんどんどんどん積み上げている、積み上げ方式というんですかね。それを最大限に極限まで持っていくという、そういうものなんですね。

 そういう意味では「直ちにやる治水対策」、それからもう1つは、「引き続き検討する対策」、これが、現状では直ちにやるのは勿論直ちにやらなきゃいけないし、これはもうダムを作ったとしても直ちにやる政策だったわけですから、それを進めていくというのは大事です。それをやった場合の治水の安全度みたいなものが昨日示されたんですね。それで、やっぱりもっと足りないということで、遊水地のことと市房ダムの話が出てきてまして、そういうものも検討から直ちに実施の方に向かうようなスピード感が必要だというのを、昨日、共有したんじゃないかなと思います。国と県と、それから流域市町村でね。そういう意味で、私はスピード感というものを皆が共有して、とにかく今考えることを最大限にやろうという、そういうコンセンサスができたことは、昨日の会議でとても前進(したの)ではないかなと私は評価しています。

 それでは時間が長くなりましたので。これで。

(幹事社)
 はい。じゃよろしいですか。ではこれで終了します。ありがとうございました。

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