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平成23年10月20日 知事定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006815 更新日:2011年10月20日更新

知事定例記者会見

日時:平成23年10月20日(木曜日) 10時00分から
場所:知事応接室

会見録

知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。

コメント

発表項目

質疑応答

(幹事社)
 KKTさんと幹事社を務めさせていただいております読売新聞です。進行させていただこうと思います。よろしくお願いいたします。今日は、まず発表事項があるということですので、知事からご説明方よろしくお願いいたします。

コメント

「ねんりんピック2011(ふれ愛)熊本」お礼

蒲島知事

コメントする蒲島知事の写真

 はい。まず私の方から、ねんりんピックが10月の15日から18日まで開催されましたけれども、皆さんもご存じのように、大変成功裏に終了いたしました。県民の皆様と関係者のご努力に心からお礼を申し上げたいと思っています。それから私が感じた、高齢者の方々の元気さに大変圧倒されました。

 「長寿を恐れない社会」、「長寿を楽しむ社会」にとって、参加すること、参加の場を作ることは、とても重要だなと感じました。

 それから延べ50万人の参加ということを予定しておりましたけれども、最終的には55万人ということで、経済効果もとても大きかったんじゃないかなと思っています。

 それから皆さんも感じられたと思いますが、開会式における奇跡的な天気。開催されるまで雨が降っておりましたし、それから開会式の間だけ雨が降らずに、(終了後に)また雨が降り出したという、とてもいい形でねんりんピックが終了したのではないかなと思っています。マスコミの皆様方にも、心からお礼を申し上げたいと思います。

コメント

熊本市の政令指定都市移行について

 2番目のコメントは、政令指定都市移行であります。10月18日に決定しましたけれども、熊本市がいよいよ4月1日から政令指定都市になることになりました。

 昨日、私とそれから幸山市長と、また、市議会議長、県議会議長、そして協議会の会長とともに、川端総務大臣にお礼に参りました。総務大臣からは、熊本市は他の政令市と違って、都市型ではなくて、農村と都市が両立できる日本の縮図のような都市だから、モデルとなるような政令市にして欲しいという激励をいただきました。

 私ども、改めて「100年に1度のチャンス」を生かして、そして「県民、あるいは市民、住民の幸福量の最大化」、それには「経済的な豊かさ」、「プライド」、それから「夢」、これらを最大化できるような形で、この政令市が進むことを祈っておりますし、県と市と連携しながらその波及効果を最大限にしていきたいと思っています。

コメント

国への要望活動について

 それから次は、国への要望活動についてであります。「(新熊本)合同庁舎B棟の早期(整備)促進」と、それから「TPP協定」への意見について、私とそれから市長他何人かで陳情に参りました。

 まず鈴木筆頭副幹事長、この方は民主党の副幹事長でありますけれども、TPPと、それから合同庁舎B棟の両方についてお願いいたしました。

 そして、次に奥田国交副大臣にお会いして、合同庁舎B棟の完成をお願いしたところであります。奥田国交副大臣の方からは、大変好意的な返事がありました。

 その後、もともとの(要望)の発祥の地であります自民党サイドとして谷垣自民党総裁のところに参りまして、この合同庁舎B棟は大変重要であるということを述べて参りました。

 その後、鹿野農水大臣の所に行きまして、TPPの協定については、農業の将来ビジョンを先に出すべきではないか、それから国民的合意を得るべきじゃないかということを申し上げました。

 大変有意義な要望活動になったのではないかなと思っています。

発表項目

飼料用米を利用した畜産物の認知度向上や消費拡大の取組みをスタートします

「くまもとの米粉商品を食べつくそう!キャンペーン!!」について

知事とくまモンの写真

 今日のメインのコメントは、蒲島農政の重要分野の一つであります「休耕田の利用」と、それから「自給率向上」の活動について述べたいと思います。休耕田を利用することによって、遊休農地を無駄にしない、それから自給率を向上させるために、県では今、2つのアプローチをやっています。

 一つは「飼料用米」を作ること。つまり米を飼料として利用する。もう一つは、「米粉」を利用したパン、米粉パンの消費、これをたくさんやってもらうことが大きな目標であります。それで作付面積で見ますと、大体この3年間で(飼料用米と米粉用米を合わせて)30倍ぐらいになっています。

 そのためには、どうしてもまだ消費を拡大しなきゃいけないということで、牛肉や卵、牛乳のブランド化にくまモンを利用しますので、今日はくまモンに来てもらっています。

えこめ牛と八十八卵の写真

 これは「プロジェクトF88」と名付けています。なんでF88かと言いますと、このFはFeed〔※フィード〕、飼料、あるいは食料のことです。このFと、それから88というのは米〔※米を示す八十八〕という意味であります。そういう「プロジェクトF88」に、絶大な人気があるくまモンに登場してもらって協力してもらいたいと思っています。

 PRの方法としては、ロアッソのゲームの時に商品を食べてもらう、サンプルを食べてもらう、あるいは農業フェアでPRをする、それから農林水産省の「消費者の部屋」というのがありますので、そこでプロモーションを行いたいと思っています。

プロジェクトエフハチジュウ八のポスターの写真

 それから「米粉商品を食べつくそうキャンペーン」、これは10月15日から(来年)1月末まで考えておりますけれども「米咲かじいさん」洋風バージョンが登場いたします。

 それを利用しながら米粉商品をたくさん食べて欲しいというプロモーションを行いたいと思っています。元々30店舗しか米粉の様々なお菓子やパンを取り扱う店はありませんでしたけれども、現在240店舗あります。

米粉商品の写真

 これが今日の発表項目であります。

知事とくまモンの写真

質疑応答

新熊本合同庁舎B棟整備促進の要望について

(幹事社)
 ありがとうございます。幹事社の方から1点伺わせていただこうと思います。B棟の件なんですが、先ほどの知事のご報告の中で、奥田国交副大臣の方から好意的な発言をいただいたとありました。具体的にはどういうふうな発言をいただかれたのかという点と、それについて県としてはB棟について、建設についてですね、今のところ受け止めとしては計画どおりということでいいのかその点伺えればと思うんですけれども。

蒲島知事
 もともとこれは凍結されたものであります。それで我々、市とそれから経済界の方々、様々な方々と共同し、それから国会議員の先生達にも働きかけをしていただいてB棟がようやく凍結解除になりました。23年度予算からついています。もともとこういう努力をして凍結解除になったものでありますから、ただ急に方向転換されても大変困りますし、それからこれは10年ぐらいかけて、熊本城の合同庁舎を、古くなっていますので熊本駅の前に移すという、長い間の一つのプロジェクトの流れだったんですね。それでそれを申し述べまして、奥田国交副大臣はそのことに大変理解を示されたと思っています。

 合同庁舎に対する一番の国の意識というのが、これでは有効利用されないんじゃないかということが懸念材料としてありましたので、もし有効利用されない時には、県と市で協力して、空き部屋がないような形で努力したいということも言っております。これは熊本市の問題だけではなくて、熊本駅の開発にとってはとても重要な問題でありますので、県としても最大限、市と連携をとりながら努力していきたいと思っています。

 もう一つ申し上げたのは、これはPFI方式でありますので、当分の間、国の予算の出動というんですかね、財政出動が必要でないと。だからそういう意味では、これを止めたからと言ってすぐに東日本大震災の方にお金を移すことができるというような問題でもないということを言って参りました。多分それについても理解されたのではないかなと思います。

 それで、もう既に精査された後で、凍結解除ということでありますので、そのことについては、奥田国交副大臣も十分ご認識でありました。


 やはりその凍結、ある意味危機感がおありだったんじゃないかなと思うんですけれども、会話の中で十分にもう確約はとれたという印象というふうに。

蒲島知事
 これは総理大臣マターですので、国交省の範囲内ではできること、最大限のことを言われたと思います。ただ、最後の総理大臣がどういうふうに判断されるかという、私どもも懸念材料があったものですから、早速行動に移して要望活動をしたところであります。

 他の地域もそういう意味では要望活動を始めたということを聞いております。やはりこういう大きな都市開発プロジェクトというのは何年にもわたって行われていますので、ただの思いつきで発言されると当事者にとっては大変戸惑いを覚えるようなものであります。その戸惑い感を率直に述べて参りました。


 知事、先ほども空き部屋が出ない形で努力したいというお話だったんですけれども、もともと凍結された時も、空き床の懸念などがあってという話で凍結された部分がありました。実際に仮に空き床が出た場合に、じゃ県の施設を入れるとか、どういうふうな方向性をお持ちなんですか。

蒲島知事
 まだそこまでは決めておりませんけれども、立地の有利性からいって、それほど空き部屋が出るはずはないし、それからもう既に移転すべき官庁も決まっており、どこが移るかっていうのが分からない状況ではありませんので、それで大体詰まるだろうと。それでそれプラス、もし空き部屋が出たとしても、マーケット、つまり場所がいいですから、多くの人が入りたいんじゃないかと。それでも駄目だった時には、県と市が出動するという3段構えの感じになっておりますので、それは凍結の解除の時に国の方にも、私どもも申し上げた次第であります。

 だから今は、完璧に100%、あるいは120%確実性がないと動かないというふうな方向は、少なくとも蒲島県政になってはとらないと。とにかくリスクもあるかもしれないけど、そのリスクよりもB棟が来ない状況の方が、熊本県にとっては非常に問題であるというふうに考えていますので、楽観的に考えております。


 思いつきで発言されると戸惑い感を覚えるというのは、野田首相が、あの朝霞の宿舎と同じような位置づけのような形で言われたことに対しておっしゃったと。

蒲島知事
 朝霞というのが引き金になったとは思いますけれども、それとこの合同庁舎の問題は、私は違うと思っています。特に合同庁舎の問題は県と市と地元の経済界、それから駅前開発、それからお城の跡をどうするか、様々なことを県と市がこれまで検討してきて、代替地をあそこに持ってきたという、そういう経緯があります。そこまで多分ご存じの上で答弁されたとは、ちょっと考えられませんので、改めてそれを申し述べて、そしてそれを踏まえた上で判断していただくことが大事ではないかなと思っています。


 知事すみません。関連ですが、奥田副大臣から了解を得られたということなんですけれども、具体的な言葉でですね、何かその大丈夫だとか心配しないでくれとか、そういった何かこう、いただいたというのは。

蒲島知事
 いや、それはありません、大丈夫だとか。ただ国交省としてはすでに精査した後での決断であるということでありますので、それを主張されるのではないかなと思います。


 精査された後の判断というご説明はあったんですか、奥田さんから。

蒲島知事
 説明は、昨日の段階では我々の要望に理解を示されたということで、それから精査された後の決断であるということは、そうです。

質疑応答

TPP(環太平洋経済連携協定)について


 知事、引き続き昨日の話なんですけれども、TPPについてですね、知事の姿勢がいまいち分かりにくいところがありまして、基本的に国民的合意を取って欲しいと、慎重な議論をして欲しいという意見だと思うんですけれども、一方で、昨日の知事の発言だとですね、「携帯電話がなくても生きていけるが、食料がなくなると1日も生きていけないので、その重要性を認識していただきたい」というようなことで、比較的反対とも取れるような発言をされていながらですね、そこまで、実際踏み込んだことを・・・。

蒲島知事
 熊本県は、農業と工業、両方抱えていますので、当然プラスの面とマイナス面は両方あると思います。

 ただ、私がこの問題について考えるのは、食料はとても大事だということであります。特に私は食料難を経験しておりますので、携帯電話が1週間ぐらいなくても生きていけますけれども、食料がなければ本当にもう飢え死にしますから、そういう食料の重要性が一つ。

 それから今、農業は非常に曲がり角に立っています。担い手の問題、自給率の問題、そういう形で将来の農業のビジョン、これを示すことによって、私はTPPと両立出来るんじゃないかなと思っています。ただそれが示される前にですね、このTPPだけ動いて、その後で農業問題というものになってくるのは・・・。また、農業が一度壊滅的な打撃を受けたら、そんな簡単には回復しないんですよね。今、休耕田、それからとりわけ耕作放棄地の解消に取り組んでいますけれども、実際に農援隊活動として耕作放棄地に行きますと、ものすごくゴミがあったり石があったり大変なんですね。そういう意味ですぐには回復しないから、年に大体1回しか作物はとれません。そういう意味で、きちっと将来の農業のあり方を示した上でTPPの参加について考えるべきではないかというのが私の2番目のポイント。

 それから3番目のポイントは、情報があんまり出ていないんですよね。TPPがどこまで進展しているのか、あるいは他の国と日本の対立な部分はあるのかどうか、そういうことはあまり知らないまま参加というのを決めるのは時期尚早じゃないかというので、国民的合意をまず取って欲しいというのが昨日の私の要望でありましたし、それについては、鹿野農水大臣も理解を示されたのではないかなと思っています。


 知事の後に行かれた北海道の高橋知事は断固反対ということで、オール北海道で反対しますとはっきり言われているんですけれども、知事はそこまで言われないのは当初おっしゃった熊本は工業も抱えているということで排除されているというところがあるということなんですか。

蒲島知事
 基本的には貿易立国の日本としては、自由貿易の方向に進まざるを得ないと私は思っています。だからそれと農業問題の両立がどこにできるのかと、そこを明解にしたうえで入るべきじゃないかというのが意見であって、入口からですね、このTPPに反対しているということはありません。


 その意味ならですね、今、政府が議論しているのは、TPPの交渉に参加するかという話なので、入口から否定しないというのであれば、TPPの交渉参加については理解を示されているのかどうかを聞きたいのが1点と、この月内には、政府として知事がおっしゃる農業の将来ビジョンを一応出して、その上でやろうとおっしゃっています野田政権は。だからそういう意味では知事がおっしゃっている一つの条件とクリアするのかなと思うんですが。

蒲島知事
 それがまだ理解される形で出ていないということで、交渉に入るのであれば、その前に示してほしいというのが要望書の内容であります。


 交渉自体についても同じような意見なんですかね。

蒲島知事
 交渉と、それから交渉に参加するかどうか、交渉内容、これも例えば交渉する前にですね、介入する前にある程度の態度を示しておかないと、「はい、今から交渉します」と言って、その議論に参加しても、建設的な議論は出来ないような気がします。

 きちっと自分の立場が明らかになった上での交渉参加、だから交渉参加して何かそこでうまく日本を有利に持って行くかという、そういうふうに交渉は簡単じゃないなと私は考えています。

 それからやっぱり交渉するためには、やっぱり絶対的な、国全体の支援が必要なんですね。それから信頼感。だからその部分がないまま交渉に参加するというのは、交渉としてはあんまりいい戦術じゃないんじゃないかなと、政治学的にはそう思います。


 同じTPPの関連ですけど、その国民的な合意を得るということを知事は言われていますけれども、この民主党の中でも二分している中で、果たして短期間でAPECまでまとまる見通しがつくのかどうか、知事のお考えと、それから将来の農業のビジョンを示すということを言われていますけれども、近く政府が食と農林漁業の再生実現会議で農水産物の輸出戦略と、それから規模拡大、20ヘクタールから30ヘクタールに規模拡大するという柱を示されると聞いておりますけれども、それが将来のビジョンとして認識できるのかどうか、その2点をお伺いしたいんですけれども。

蒲島知事
 将来のビジョンというのは、机上の理論とまた実態は違うと思いますので、やっぱりウルグアイラウンドの時もありましたけれども、お金をたくさんつぎ込めばいいというわけでもありません。だからそういう意味で、今、日本が置かれている現状、そしてそれは地方によってどう違うか、そしてそれは将来の国民的目標である自給率の向上と食料の安全保障ですよね。それとその今回のTPPにおける交渉の両立性みたいなものがですね、やっぱり明快じゃまだないと思うんです。情報が出されてませんよね。だからそれを今回求めたところであります。

 それで最終的に、国論が分かれております。今、民主党の中でも分かれています。私は昔から持論として言っているのは、こういう国難を抱えた政治状況にある時には、なるべく合意争点を解決の目標とすることによって、合意争点というのは全ての国民がそうだと思う合意争点ですね。その合意争点、つまり東日本大震災からの復興と、その復興を日本全体の発展にどう結び付けていくかというのは、国民的合意で、これは誰も反対する人はいないと思うんですね。そういうところにエネルギーを集中すべきであって、分裂争点っていうんですけれども、分裂争点というところにエネルギーを集中すると、本来の合意争点になかなかエネルギーが割けないんじゃないかなと私は思っています。

 だからそういう形で、野田首相のリーダーシップを今注視しているところであります。

質疑応答

県の財政再建について


 知事、県政で個別の課題というのは、その都度たくさんありましたけれども、この10数年ですね、熊本県政を通じた最大の懸案というのは財政だったと思うんです。財政について、お伺いしたいんですけれども、15年振りぐらいに県債の残高が1兆円の大台を割り込もうという見通しになっているようなんですけれども、まだ基金の残高とかは依然として低いので、楽観はできませんけれども、なんとなくそのトンネルの出口みたいなものが見えてきたかなという感じがするんですね。知事は選挙の時の、最大の克服すべき困難として県財政の再建を挙げてらっしゃたんですけれども、現状、達成度というのはどういう認識をお持ちですか。

蒲島知事
 私が、「3つの困難」の中で一番最初に取り上げたのは財政再建であります。財政再建というのは、これも合意争点なんですよね。すべての県民が財政を再建すべきだという、そういう合意争点なんですけど、それをどう達成するかというのはなかなか難しい。多くの場合、財政再建が成功した例はありませんけれども、私は、給料100万円カットということから始めて、「隗より始めよ」ということで良かったんじゃないかなと今はとても思っています。

 (ホワイト・ボードに「プライマリーバランスの推移(通常債ベース)」 (PDFファイル:91KB)を掲示して、)これは私の県政時代と潮谷県政時代と、それから福島県政時代の借金がどういうふうに動いているかというのを示したものです。この「傾き」が私はとても大事だと思っているんですね。微分積分してもいいと思いますけれども、これは平均をとったんですけれども、この傾きが、借金が増える方向だったんですよね、福島知事の時はね。この「傾き」がかなり大きな「傾き」で借金が増えていると。この「傾き」を潮谷県政の時には、丁度止めた。止めたということが正しいと思うんですね。これを私の時には更にマイナスの「傾き」にしたというのが、3つの県政の違いじゃないかなと思っています。だから、絶対額は当然もう一つの議論だと思いますけれども、「傾き」が私はとても大事だと思っています。それから、「借金上昇」、「借金止まり」、「借金減らす」、というので、今の感じでは皆さんのお蔭で借金が減る方向に進んでいます。

グラフを使って説明する知事の写真

 それから貯金も僅かでありますけれども、8億円積み増すことができています。8億円とわずかだけどとても大きな金額なんです。例えば、荒瀬ダムもあと12億円あれば撤去できるぐらいの金額ですから、そういう意味では貯金についてもプラスにしたことは良かったかなと思っています。

 ただ、借金を減らすだけでいいのかと。本当の県政の目標っていうのは、「熊本県民の幸福量の最大化」ですから、借金を減らしながら、幸福量を上げていかなきゃいけない、そういうふうなものがとても大事になっていると思います。

 一番いい例が、借金が増えた時にはとても多くのハード事業が行われました。「ハコモノ」という言い方もされますけれども、県庁を建てたり、免許センターを建てたり、それによる県民の幸福量の最大化。例えば、「くまモン」にあんまりお金をかけていません。でもくまモンの登場による県民の幸福量は、どっちが高いだろうかと考えると、私は「くまモン」の登場の方が、より県民を幸福にしたんじゃないかと思っています。

 そういう意味で、ハードで県民を幸せにするのか、あるいはそれ以外で、お金を使わなくても幸せにできるんじゃないかという方向を探すということが私はとても大事だと思っています。

 今日、記者さんの記事に「ハコモノ」について書かれておりましたけれども、私は「ハコモノ」を新しく造るということではなくて、(いま現在)あるハコモノをいかに活かすか、それも新しく公共事業を起こさないで、それをどう活かすかということに懸けています。そうすることによって、今まで使った投資を無駄にしない。もう使ってしまった後は、壊すわけにはいきませんので、それをいかに使うかと。

 例えば今、空港から肥後大津駅までタクシーで空港ライナーを作っていますけど、当初はですね、もし私がハード路線であれば、あそこの肥後大津駅から空港まで、鉄道を通したでしょう。大体200億円ぐらいかかります。200億円を考えてみるとですね、あそこ〔※肥後大津駅〕まで、私は空港だと考えてますので、空港の中はどこでもタダですよね、バスも、タクシーも。そして2000万円の予算の空港ライナーを200億円あったら何年間、運転できるかというと、1000年なんですよね。1000年間、(一度に)200億円を使わずに2000万円を使えば、タクシーの運転手さんの雇用にも繋がるし、そういう意味では、1000年間鉄道(を利用すると)したら、多分20年ぐらいしか耐用年数考えてないでしょうから、20年ごとに(設備を)替えなきゃいけない。そうすると鉄道を引くよりもタクシーを利用した方がいいじゃないかという、そういう発想になりますよね。

 だから県民の幸福量はどっちの方が高いかという観点からいって、やはりソフトを見直し、あるいは福祉を見直し、雇用を見直すということに、財政再建の方向は今は、そういう方向にしているんです。

 同じように熊本港もそうですけれども、あそこはもう造ってしまったんです。造ってしまって、そして有効利用しなきゃいけない。ただガントリークレーンは新たな投資ですから、それは「ハコモノ」と変わらないので、私の観点からいうと、別に新品じゃなくても中古でいいんじゃないかというふうになって、有効利用して、きっとあれは、今後熊本が「稼げる県」になるための有効な手段になるんじゃないかなと思っています。

 それから財政再建でも必要なところには金をかけなきゃいけないと私は思っています。だから必要な時には、どんな苦しくてもかけなきゃいけないと私が考えている一つの理由は、私もアメリカに8年間留学して、子どもを育てながら学校に行きましたけれども、大体生活費全体の半分ぐらいは本とかあるいは教科書とかに使っていたんですね。後の半分でいわゆる食べ物とそれから住居費、あと諸々。だからそういう意味では異常な教育投資だったんですけれども、でもそれなしでは留学の実が成りませんので、熊本県でもお金がないからといって、全て使わないんじゃなくて、将来の投資になるところ、そこにはどんどん使うべきではないかなと思っています。

 この財政再建が一番難しいのは、熊本県だけで解決できない問題(であるところ、)つまり外部要因、私が知事になってもリーマン・ショック、あるいは東日本大震災がありました。そしてヨーロッパの経済危機が迫っています。だからといって、そこで悲観的にならずに、財政再建をしながら、そういう「逆境の中にも夢がある」と。そういう意味では「夢挑戦(予算)in 大逆境」というのが私の予算であるし、それがまあ、これまでの私の財政を示しているのではないかなと思っています。

 だから夢のある、あんまりお金を使わないけれども県民が幸せになるような、そういう県政。往々にしてこの「ハコモノ行政」というのは、建物が手段になるんですよね。そうじゃなくて、その先は何かというと、県民の幸福量にこの建物はどのくらい貢献するか。私はそういう意味では「くまモン」の登場というのは、大きな建物、ハコモノ一つ分ぐらいは貢献しているんじゃないかなと。そういうのをたくさん探す、それがこれからの県政のあり方ではないかと思っています。


 もうちょっと質問しようと思っていましたけれども、長くなりそうなので。他の質問もあるでしょうから。

質疑応答

特産品である馬刺しについて


 知事、すみません。ちょっと県の特産品の一つである、馬刺のことについてちょっとお伺いしたいんですけれども、先月、馬刺しをめぐる食中毒事件が発生しまして、保健所の方からは冷凍処理の指導の徹底が図られると。その一方で消費者からはやはり一旦冷凍したものはあんまり美味しくないというふうなことで、かなり消費も落ち込んでて、業者にとっては売上げも半分以下に落ち込んでいるという所も結構出ているそうなんですけれども、こうした熊本の特産品である馬肉がピンチにあるという状況の現状認識と、あと対策、今後どういったことで振興につなげていきたいかということについて考えをお聞かせいただきたいんですけれども。

蒲島知事
 馬刺しは熊本の特産品の中でも最も重要なものであると思いますし、熊本の食文化にとっても、観光にとってもとても重要なんです。

 ただ、馬刺しの消費について分析してみますと、この冷凍処理というものが出る前からやはり景気に随分左右されているなと思っています。リーマン・ショック、東日本大震災、それを踏まえて消費が大分減っております。

 それから、もう一つは牛肉のユッケの問題。あの時に生肉に対するセンシティヴィティっていうんですかね、敏感性が高まってきていますので、それも影響しています。

 そして、じゃ冷凍処理について美味しくないから消費が下がったのかというと、冷凍処理の問題が顕在化したのはまだデータ的には9月ですから、期間が短いので、何とも言えませんけれども、今のところそれが影響を大きく及ぼしているというふうには分析していません。

 ただ、私は熊本県の特産として、より安全安心であるということは、とても大事です。だから私も冷凍のものを食べて、冷凍じゃないものと食べ(比べ)ましたけど、差は残念ながら分かりません。

 だから是非、皆さんと一緒に冷凍と冷凍じゃない馬刺しを食べ比べする、そういう会でも設けて、焼酎でも飲みながら、当てた人は商品でも貰えるぐらい、そういうふうにやると(皆さんにもわかってもらえるのではないでしょうか)。食わず嫌いじゃないけど、(冷凍処理した馬刺しは)美味しくないんじゃないかという認識が強いんじゃないかなと思っています。

 そういう意味では、県としては、何がすぐやれるかというと、皆さんと一緒に馬刺しの食べ比べをして、実際に我々が味が分かるかどうか、そして味が変わらなければ安全志向ということになるんじゃないですかね。


 イメージが大きいということですか。その冷凍にすると鮮度が落ちるじゃないかと。

蒲島知事
 いや、そう言われているけど、本当にそうかというのは、私が知っている限り誰も断言した人はいません。だから冷凍処理といっても、長期間冷凍をするわけじゃないですからね。(飼料用米で育てた「えこめ牛」のサンプルを見て)これは何ですか。すみません、違った。馬刺しじゃないみたいです。


 知事は生と馬刺しの冷凍って食べられたことはありますか。

蒲島知事
 馬刺しの冷凍も、とりわけ脂身の多い馬刺しありますね、あれはとても美味しいんですけど、あれに関していうと、もうほとんど、全然(変わりません)。多分、私の所は安いのを買っているので冷凍かも知れませんけれども、どっちが冷凍でどっちが生かと考えたこともなくいただいていますので。特にサシの多いのは全く関係ないと聞いています。


 データ的にはまだ、具体的に減少、売上げが落ち込んでいるとかないんでしょうけれども、取材した感じでは結構危機感を抱いていらっしゃる馬肉店というのが結構多い気がするんですよ。

蒲島知事
 うん。それはそういう不安感はあると思いますけれども、不安感を払拭するためにも、安全でおいしいというのを確立しなきゃいけないし、特に熊本で食べる馬刺しはおいしいというのが今の評判ですよね。だからこれは観光客にも結びついています。私も東京でいただく馬刺しと熊本でいただく馬刺しは全く違いますので、今は馬刺しのとてもファンになっています。あんまり東京では食べてなかったんですけれども。

質疑応答

たばこ税の増税について


 知事、政府が今たばこ税の増税という議論をしています。今日の朝刊でも公明党さん、それに賛成に回るというような報道もあっていますけれども、タバコの生産量ナンバーワンの熊本県としては、やっぱり生産者としてはすごく、ついこの間、たばこの値段が上がったばっかりで、さらにということで、県内のその経済にとっても影響が大きいとも考えられるんですが、政府の考えに対して今どういうふうにお考えになられていますか。

蒲島知事
 たばこ増税というのは、増税をするかしないかというのが、これは政府の考えであって、県がどうこうすればできるわけではありません。多分国民的合意がそれで得られるかどうかということであれば、段々今たばこを吸われる方々の主張が通りにくくなっていますので、今自民党と公明党が賛成するということがあれば増税になる可能性が非常に高いと思っています。

 それを踏まえて、JTの方も、タバコ農家の生産者の数を減らすというかたちで今進めておりますので、県として大事なことは、転作はどのように可能か、だからタバコ生産をやめられた方々、この方々は自分達の将来というのを、今の国の方向性、あるいはたばこの商品開発の動向、これらをすべて総合的に考えられて、この段階で転作した方がいいと、やめた方がいいと思われてやめられる方がたくさんいらっしゃると思うんですけどね。その方々が次のステップとして転作を含めて、どのように農地を有効利用していくか、あるいはその面的集積を含めてですね、これについては日本一タバコ農家の多い熊本は、是非考えなきゃいけないんじゃないかなと思っています。


 国が考えることっていう最初のお話ですけれども、まさにTPPにしても、そういう態度に対して県として声を上げられているわけで、つまりそのたばこ税増税に対して熊本県として政府にものを申すというか、声を上げるというお考えはないということですか。

蒲島知事
 今、私の現段階では熊本県知事として増税反対という意見書を持って農水省に行って断固抗議を申し込むという考えはありません。


 もう一点。

蒲島知事
 ただ、これは私(の考え)ですね。農林水産部はどうですかね。そうして欲しいのかな。

質疑応答

万日山の土地取得について


 いや、いいです。知事にお伺いしているんで。

 あともう一点はですね、9月定例県議会の中で、知事が万日山の山頂部を京王電鉄から買い取りたいというようなご発言をされました。すごくちょっと聞いてる側からすると、唐突だったような気がして、具体的にその景観の面を重視されているのかなというのは分かるんですが、一方で熊本県の財政再建ということで、いろんな財産を今、切り売りとは言いませんけれども、売っている状況で、なぜ今万日山なのか。そこの説明が今ひとつ議場では分からなかったので、もう一回お聞かせ願えますか。

蒲島知事

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 はい。今財政再建のために、県有財産を売って、目標を大きく超えて今84億円、多分任期中にはもっといくのではないかなとは思っておりますけれども、そういう意味では財政再建に大きく貢献しています。それから、同じように県有財産をまた増やすということに対して違和感があるということでありますけれども、私は、大事なものには投資するという発想であります。特に万日山の場合は、西口、あそこで止まった時に一番目にする所なんですね、新幹線を下りる時に。そこの景観、それから公園化、それから隣にいろんな建物が建っていますけれども、必ずしも風致的には素晴らしい風景じゃないなというところもありますよね。花岡山なんかについてはね。だから、万日山についてはとにかくそういう乱開発ができないような形で、県が取得して、素晴らしい風景をあそこで見せることができないかと。そのかわり、例えば、今まで使った分ぐらいそこにつぎ込むとか、そういうことは勿論経済的ではありませんけれども、経済的合理性のもとで有効利用できないかというので今はその方向で動いております。それでそれは、今、じゃ判断するのかというと、やっぱり100年後にあれはよかったなと思ってもらわないと仕方がないなと思っています。


 この今回のご判断はですね、県は新幹線開業前にしても良かったんじゃないかという言い方もあると思うんですが、一つは「一本の木」財団が県有地に桜を植えていこうという動きがあったのが、やっぱり一つ判断材料として大きかったということなんですか。

蒲島知事
 私はもう就任当時から、花岡山と同じぐらい万日山は大事な所だなと思っておりましたので、(財団が)桜を植えたからそれで変わるという、判断したわけではありません。


 計画としては取得された後、あそこを県としては散策路か何かを作られて、更に「一本の木」財団が桜を植えていただければそれはそれでありがたいと、そういうお考えなんですか。

蒲島知事
 まだ取得するかどうかという方向を決めただけですので、それが実際に取得された段階で明らかにしなければ、まだ人の土地ですので。


 それは順番が逆じゃないですか。どういう形にしたいから取得するというのが。

蒲島知事
 もちろんありますけれども、こういう形にしたいという、まだ取得する前に言えるようなもんじゃないんじゃないかなと思っています。でもいずれ明らかになると思っております。

質疑応答

国の出先機関改革について


 国の出先機関改革についてお聞きしたいんですけれども、昨年末にですね、政府は、来年の2012年の頭の通常国会で、(地方に)移す関連法案を通して、2014年度から移すという計画を、閣議決定されました。今、政府のアクションプラン委員会の中で、国交省とかですね、官庁側の抵抗と言いますか、その理由というのが、震災があって、震災前に決めたスケジュールで進めるべきじゃないというような見解を出されてる。野田首相は官僚と融和路線をとっていらっしゃって、かなり官庁側の抵抗が目に見えて見えるんですけれども、この件に関して知事はどう思われるかお聞きしたいんですけれども。

蒲島知事
 最初は、民主党の約束は、地方分権、これは1丁目1番地だということで、大変積極的でありました。それを受けて、熊本県を含めた九州全体の知事会でそれでは丸ごと出先機関を受け入れようと。それは別にですね、九州知事会が完璧にコントロールするという意味ではなくて、今のまましばらくはやっておいていただいて、向く方向が九州の発展、今は霞が関の方に向いていますので、そういうふうな形で緩やかな統治というんですかね、そういうことを狙いながら「九州広域行政機構」というのを打ち出しました。同じように関西の方は関西広域連合で受け入れるという形で、実際、具体的にそこまでいっていったんですね。

 それに対して当然、賛成の方向性と、あるいはその当事者である霞が関の方は反対の方向に向いていますけれども、これはやっぱり最終的には政治的判断、私はいつも言っていますけれども、「できないことは言わない、言ったことは守る」という、これは党として言ったことでもあるし、公約の重要部分でありますので、野田首相は大変優れた首相でありますので、その辺りも含めながら政治的決着をされるのではないかなと思っています。

 ただ、スピードはちょっと遅いですよね。そういう感想を持っています。ただ、総務大臣とお会いした限りでは、一生懸命に取り組むということをおっしゃっておりました。

(事務局)
 すみません。次の公務の出発時間が迫っておりますので、これでよろしいですか。

蒲島知事
 すみません。じゃ、ありがとうございます。

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