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平成24年 5月 9日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成24年5月9日(水曜日) 10時00分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
発表項目
質疑応答
- “州都”をテーマとした「くまもと未来会議」の開催について
- 災害廃棄物の広域処理について
- 原子力発電所の再稼働問題、九州電力との安全協定及び夏の節電要請について
- “州都”をテーマとした「くまもと未来会議」の開催について・2
- 「州都構想」について
- “州都”をテーマとした「くまもと未来会議」の開催について・3
- 「州都構想」について・2
- 災害廃棄物の広域処理について・2
- 税と社会保障の一体改革について
- TPP(環太平洋連携協定)について
- 熊本県総合エネルギー計画の策定について
- 「州都構想」について・3
(幹事社)
5月から幹事社が、熊日、共同通信、KABの3社になりましたのでよろしくお願いします。知事、まず発表項目の方から、よろしくお願いいたします。
発表項目
“州都”をテーマとした「くまもと未来会議」の開催
報道資料:将来の道州制を見据え“州都”をテーマとした「くまもと未来会議」を開催します!(PDFファイル:52KB)
蒲島知事
蒲島知事
はい。今日は2つあります。
1つは、“州都”をテーマとした「くまもと未来会議」の開催であります。
私の二期目では、熊本の「百年の礎」を築きたいと考えております。
そのため、「くまもと未来会議」を、より具体的なテーマごとに分かれて議論していただく小委員会方式で運営することにいたしました。
その第一弾として、まず、将来の道州制を見据え、“州都”をテーマに議論を行う「くまもと未来会議」を開催いたします。
この会議には、県立大学理事長の五百旗頭真(いおきべまこと)氏をはじめ、別紙のとおり州都構想議論を牽引するにふさわしい方々に委員のご就任をお願いしております。
再スタートの第1回目は、5月27日日曜日午後3時からホテル日航熊本で開催いたします。
今後、この会議で議論していただきながら、将来の州都を睨んだ構想づくりにつなげていきたいと考えております。
皆様にもぜひご参加いただきたいと思っております。
発表項目
熊本県総合エネルギー計画の策定について
次に、熊本県総合エネルギー計画の策定についてであります。
昨年の福島第一原発事故により、新たな原子力発電所の立地は事実上困難となりました。これにより、原発に代わる新エネルギーの確保や省エネルギーの推進が喫緊の課題となっております。
そこで、本県は全国に先駆けて、総合エネルギー計画の策定を進めております。
計画では、本県の豊かな自然を活用した新エネルギーの導入加速化や、省エネルギーの推進強化など4つの施策の柱を掲げております。
このような取組みにより、例えば「家庭で使うエネルギーは、新エネルギーと省エネルギー等で賄える」ような「持続可能な社会の構築」を目指していきます。
6月議会にて、計画の概要についてご報告させていただき、パブリックコメントを経て、9月議会にて提案・承認を得たいと考えております。
詳細については、本日午後1時から、エネルギー政策課長から記者会見室で説明させたいと思います。
以上が私の方からの報告であります。
質疑応答
“州都”をテーマとした「くまもと未来会議」の開催について
(幹事社)
知事、幹事社からの質問として、項目関連1点と、それ以外で1点、熊日からさせていただきたいんですが、まず項目関連で「未来会議」に関してなんですが、将来の州都構想づくりにつなげたいということなんですが、どういったことを委員の方々から、求めたいというか、意見を言ってもらいたいとお考えですか、具体的によろしければ。
蒲島知事
この委員の方々、2つのグループがあります。
1つは、全国的な視点から、五百旗頭、伊東、それから姜、坂東、御厨委員の人達であります。それから当然、熊本県の立場からということで、小野、甲斐、田川、3委員にお願いして、それに私が入るという形で(あります)。
ただ熊本県の利益とか、そういうことではなくて、州都とは一体どういうものであるか(について意見をいただきたいと思っています)。五百旗頭理事長は歴史家でありますし、それから御厨さんは、政治と建築という分野の専門家であります。ですから、そういう意味では、適任の方々が揃われたのではないかと思って楽しみにしております。
質疑応答
災害廃棄物の広域処理について
(幹事社)
ありがとうございました。その他の関連で1点なんですが、4月25日に環境省からの市町村、あと一部事務組合向けに瓦礫受け入れに関する説明会が開かれたと思うんですが、一部十分な説明がなかったというふうに言っている担当者もいた中で、知事は十分な説明があったとお受け止めでしょうか。
蒲島知事
私自身がそこにいたわけではありませんけれども、その後のいろんな報道あるいはコメント、それから報告を聞いておりますと、明快な回答がなかった部分もあって、今回の説明会により十分な説明が行われたと、また市町村の理解が得られたとは考えておりません。
今後必要とあれば、再度、説明会の開催について環境省とも相談していきたいと思っています。
(幹事社)
具体的に二回目を求めるとか、そういったもの固めてありますか。
蒲島知事
いや、まだそこまでは考えていません。そういう必要があればということであります。
(幹事社)
わかりました。KABさんからもう1点。
質疑応答
原子力発電所の再稼働問題、九州電力との安全協定及び夏の節電要請について
(幹事社)
原発停止の状況について、いくつか伺いたいんですけれども、エネルギー計画の策定というのは当然それを念頭において作られていると思うんですが、改めて再稼働の問題について、知事としてどうお考えなのかというのが1点。
あともう何点かなんですが、九電とは、こういう状況で原発協定を結ばれるということなんですが、その中身と、協定を結ぶことについての知事の真意。
もう1点なんですけど、今後現状では、九電からの節電要請ということにもなるかと思うんですが、それについて県としてどう対応していくのか。ちょっといくつか多いんですけれども。
蒲島知事
既に先ほども述べましたように、福島原発の事故によって、新たな原発の立地というのは、私は事実上困難だと考えています。
では今あるものをどう安全性を保ちながら利用するかということに、今大きな関心が移っていると思っています。
私は、これ(について)は、究極(的に)は安全性をいかに確保できるかということと、それからその安全性について国民の理解を得られること、この2つに尽きるのではないかと思っています。その努力を国において、責任を持ってしていただきたいと思っております。
それから九電との原発の詳しい形の合意、協定については、担当の方からお願いします。
(危機管理監)
危機管理監でございます。九電とはまだ何分交渉中でございますので詳しい内容は今のところ言えない状況でございますが、前回も申し上げましたとおり、鋭意進めているところでございます。
蒲島知事
ということだそうです。これまでは、遠いからとただ機械的に、あるいは距離が何キロ以内に入っていないかと、そういうことで(安全)協定はなかったんですけれども、この原発事故を受けて、そういうものもやはり越えて〔※単なる距離的要件などによらず、との意〕必要ではないかという形で、今、協定(締結協議)が進んでいるのではないかと思っています。
(幹事社)
再稼働の可能性は低いけれども、やっぱり協定は結んでおく必要があると知事はお考えですか。
蒲島知事
そういう考えで、今は協定(締結協議)が進んでいるということです。ただ、その内容についてはまだ詰めてないんですかね。
(危機管理監)
そうですね、内容については詳しいことは申し上げられませんが、前回の知事の会見でも申し上げましたとおり、何かあった場合、いわゆる事故等があった場合、速やかな連絡を中心とする協定を考えております。
(幹事社)
夏の節電要請というような事態にもなるかとは思うんですが、その点については。
蒲島知事
節電要請はなくても、ずっと熊本県は節電をしてきております。そして、県庁も中心となって節電を行っておりますが、この省エネルギーというのは、これからとても重要な課題になっていくと思っています。節電要請があったとしても、なかったとしても、当然節電をやっていくと(いうことです)。
ただ問題は、県庁だけで言いますと、これまでものすごく節電をしていたので、この「伸び代」というんですか、これがちょっと、そうはないのかなという気もします。もうギリギリまで節電しているので、「もっと。」というところがちょっと難しいのかも知れませんが、とにかく県を挙げて節電を、省エネルギーと言いますか、進めていきたいと思っています。
5月1日からクールビズ〔※熊本県庁の取組みは、正式には「クール・エコ・スタイル」。〕に移行しましたので、その取組みの1つだと思っています。
(幹事社)
幹事社からは以上です。各社さんお願いします。
質疑応答
“州都”をテーマとした「くまもと未来会議」の開催について・2
Q
知事、州都の関係なんですけれども、ここの話し合われるペースというか、どのぐらいのペースでいつまでどんなものをまとめるのか、そういう何かスケジュール的なものというのはどういうふうにお考えでしょうか。
蒲島知事
まず、この「州都構想」がどうして必要かということから考えますと、マニフェストで私が述べましたように、「百年の礎を築く」ということが、私は、県政ではとても大事だと考えています。
政治には2つあって、1つは対応型。いろんな問題が起きた時に対応していく「対応型の政治」。それから、やはり目標を明確にして、その明確な目標に向かって進む「目標の政治」があると思っています。
この「州都構想」は、「目標の政治」の1つだと考えています。
多くの名知事と言われる方々がこれまでもたくさん生まれてきましたけれども、その人が代わると、また元の県になってしまう。それは私の考えでは好ましいものではなくて、できれば人が代わっても(続いていく)発展のシステム、それを考えるのが「百年の礎」だと考えているんです。
その1つがこの「州都構想」で、州都を構想することによって、より品格のある、それから活力のある、それから国際性のある、そういう県になっていきたいと思っています。
そういう意味で結構先の目標ですが、「百年の礎」というぐらいの目標ですので。ただ、その目標に向かってどういうことを検討しなくてはいけないか、あるいは考えなくてはいけないか、歴史的にはどういうものがあったか、そういうものをこの委員会の中で議論していただきたいと思っています。
具体的にいつまでにこの議論が終わるかということについては、明快な目標があるわけではないんですけれども、今年度中、そして、必要な限り委員会を開きたいとは思っています。しかし、皆さん何しろ忙しい方ばかりですので日程調整も大変だと思いますが、まずは5月27日に設定しました。
4月17日に(私の)二期目が出発しましたので、1カ月後ぐらいに、これが発足できてよかったなと思っています。
Q
関連してなんですが、この州都についての構想づくりなんですが、知事としては、「くまもと未来会議」の場で、構想を進めていくということですか。
蒲島知事
くまもと未来会議の中での小委員会方式というふうに捉えていただいて。ただ、未来会議の他の方々も当然これについて議論されることもあると思いますけれども、まずは未来会議を拡大して、その中で小委員会方式ということが今の私の考え方であります。
そういう意味で、このリストを見られると、新たに未来会議のメンバーとなられた方々が、五百旗頭、伊東、小野、甲斐、田川、御厨ということで、大分増えています。
Q
他にですね、例えば県民も交えてとかあるいは議会とか、いろんな場を踏まえてということで、構想を…。
蒲島知事
これは県民運動ですから、それ(州都)は県民全体の目標で、その目標を共有することに喜びがあるわけですね。ただその議論として、県民全体が集まってやるというよりも、まず未来会議の中の州都構想委員会で議論してもらって、それが県民全体に広がっていくというのが、私は理想的な形だと思っています。当然議会も、それからマスコミの人達もそうですね。
ただ、まず、州都構想委員会というのを立ち上げたというのが今の段階であります。
質疑応答
「州都構想」について
Q
知事、幸山市長は、道州制の中身がはっきりしないうちに、州都争いみたいになるのを非常に懸念されていますけれども、地道に積み上げていく方と目標としての州都というのを構想の中で、どのように夢物語じゃないものにしていきたいというふうにお考えですか。
蒲島知事
アプローチは2つあると思います。
ずっと下から積み上げていって、それでコンセンサスを得た後で実際にやると。もう1つは、このような形で目標を設定する。もし道州制が実現した暁には、熊本がすぐにでも候補となれるような、そういう用意をしておくこと。だから、幸山市長の考え方が1つの考え方、私の考え方が1つの考え方、その多元性が大事ではないかと思いますね。
私の場合は、幸山市長の考え方に何のコメントもありません。そういう考え方もあるし、幸山市長も私の考え方は理解されていると思います。両方がそういう考え方の下で動いていくことが大事だと思っています。
これによって、道州制の議論がまず進むということが1つ。それから大分市がやはり州都を目指すということを明言されましたけれども、他の九州の各都市もそのような形で州都構想ということを考えてよりレベルアップすれば、熊本だけではなく、九州全体の都市のレベルアップに結びついて好ましいのではないかと思っています
そういう意味では、二期目の私のマニフェストが「州都構想」を謳っておりましたので、マニフェストに沿って委員会を立ち上げたというのが、今日の報告であります。
Q
関連してですけれども、今度15日にですね、全国の20政令指定都市の市長が集まった会議が熊本で行われるんですけれども、そういう、県と同様の権限を持った政令市が活発に議論していくということに、知事が期待することと、逆に何か懸念されているようなことはありますか。
蒲島知事
道州制の議論が、大都市の議論とともにより活発化することは好ましいことだと思っています。だから懸念することは一切ありません。ただ、それぞれが議論して、最終的には形となるのは1つだと思います。
例えば九州府になるのか。それから、九州府と違った形で、大都市の州ができるのか。そういうことはいろいろ考えられますけれども、まずは、熊本県知事としては九州府ができる可能性が高いと(考えています)。
九州府ができた時には州都は必要になってくるだろうと。その時に州都として、どのようなことが熊本ではできるかということを考え、そして用意しておくこと。それがとても大事だと思っています。
そういう意味ではもう準備を始めたということで、そこは大都市の議論、これはこれでやられたらいいと思いますし、ただ、私としては、州都の議論を今から始めたいというのが今日のご報告であります。
でも「夢物語」と言ってしまうとですね、あるいは、「コンセンサスがあるまでやらないほうがいい」と言ってしまうと何もできないですよね。ですから目標を設定して、それに向かって推進するというのが、私はリーダーの役割だと思っています。
質疑応答
“州都”をテーマとした「くまもと未来会議」の開催について・3
Q
すみません。確認なんですけれども、私の理解がちょっとあやふやだったのかなと思いますが。今、手元に未来会議委員という名簿をいただいているんですけれども、今回のテーマの小委員会の委員はその姜さんと坂東さんを除く6人という、そういう捉え方でよろしいんですか。
蒲島知事
(姜さんと坂東さん)が入って8人です。
Q
あ、やっぱり入るんですね。
蒲島知事
はい。
質疑応答
「州都構想」について・2
Q
それと今年度中まで議論を続けるということなんですが、知事がマニフェストでも掲げられた構想というのは、どのタイミングでどういう形でまとめるご予定、おつもりなんでしょうか。
蒲島知事
今年度中を射程に入れてまとめるということですね。
Q
議論は議論として踏まえた上で、あとは企画か何かでまた形にして。
蒲島知事
まあどういう議論があって、どういうふうに進むべきだという、そういう…。私は報告書ができればそれで終わりという訳ではないと思います。マニフェストから考え方をより一歩進めて、新4カ年戦略に落とし込んでいますけど、それをどのように進めていくかということについては、今年度中ぐらいにやらないと。残された期間は4年しかありませんので、その中でやるためには、今年度がとても大事だと考えています。
Q
その州都構想、熊本県州都構想なる、何かまとまったものを今年度中に作ると。
蒲島知事
そう思っています。
Q
そういうイメージですかね。
蒲島知事
そういうイメージです。ただ、明快に今年度中にできるかというと、そこまで約束はできませんけれども。議論がこれから始まりますからね。ただ、私のイメージの中では、これから熊本が発展していく、その1つのきっかけとして州都の目標というのはとても大きいと考えています。
これからの投資、活力、アジアとつながること。そういう意味では、構想だけではなくて、もう既に「知の集積」ということで、熊本に知的な人材を集めたいということも始めていますし、それから「全ての道は熊本に通じる」ということで、九州中央自動車道延岡線、それから中九州横断道路、そういうものも積極的に展開していかなくてはいけないと思うし、また「大空港構想」もその中の1つであります。
それから「加藤・細川の歴史と文化」を守って磨くというのも、これは品格という意味でですね。そういう「百年の礎を築く」ということは、別に州都だけではなくて、マニフェストに掲げた他の様々なものに非常につながっていると私は思っています。
それからそれは、またもう1つの柱である「アジアとつながる」にもつながっているし、「知の集積」にも、「活力を創る」にもつながっていると、そういうそれぞれがつながりを持っているというふうに私は思っています。
その中で大事なことは、この州都のことについて目標を持って進むことだと思っています。
Q
すみません。朝日新聞ですけれども、この州都をテーマとした会議というのは分かるんですが、かつ州都を目指すというのは、知事が前々からおっしゃっていることだと思うんですけれども、その会議の中で、具体的にはどんなテーマについて話し合ってもらうんですか。
蒲島知事
具体的なテーマ設定も含めて、最初の会議で多分委員の方々から出てくると思いますけれども、州都とは一体どういうものか。それから州都にふさわしい様々な要素というのは一体どういうものか。熊本に足りないものは何か。あるのはどういうものか。そして、もし州都の議論が出た時に、熊本が提案できるものはどういうものか。そして、熊本を選んでもらうためには、どのような条件が整っていなくてはいけないのか。そういうことが議論されるんではないかと思っています。
特に、御厨先生は「政治と建築」分野の専門家でありますし、五百旗頭先生は歴史的な、両方とも政治史の先生ですし、それから伊東先生は、もう当然皆さんご存じのように世界的な建築家であります。
そういう意味で、多彩な議論が出ると私は思っていますけれども、どういう議論が出るのかは、皆論客ですので、ちょっと想像ができません。
私のイメージは今言ったようなものです。
Q
すみません。もう1つ、今度はちょっと根本的な話なんですけど、知事が州都を目指されるとずっとおっしゃってて、ただそれはある意味州都になることが手段であると思うんですね、考え方として。州都になればどうなるから、州都を目指すんだという、そのちょっと根本的な部分を知事のイメージとしてお答えください。
蒲島知事
手段と目標が一緒にあるのが州都だと思うんですね。熊本県の発展、九州の発展というのが大目標であります。
だからそのためには、熊本が州都になることは手段としても素晴らしいと考えています。ただ、その手段である州都ということを目指すことによって、まず、夢、県民の目標を達成する喜びと夢が出てくると私は思っています。
それから、新幹線の全線開業と政令市、ここまではもう来たわけですが、あとはジャンプの部分。ジャンプというのは、私のイメージは、私の任期が終わってもですが、やはりあの(蒲島県政の)時にした「州都構想」、あるいは政令市というのは熊本県民の喜びと誇りとそれから活力に結びついたなと(思ってもらえる)、そういう20年後、30年後、40年後でありたいなと思っています。
ですから、県の活力がそれによってもう1度、ワンランク上がっていく。その1つとして、この「州都構想」はあると思います。
Q
すみません。熊本の発展とかいう言葉で言うと、大人は分かるんです。分かるというかイメージ的にそうかなということですが、例えば中学生とかに言っても、「熊本の発展て、何ですかね。」という形になるんです。もっと具体的に言うと、例えば、州都になればこういうことが県内では起きてきて、これが例えば活力とか発展に繋がるという、そこまでのもうちょっと噛み砕いたところを。
蒲島知事
はい、噛み砕いて言いますと、まず、プライド。県民としてのプライドが湧いてくるのではないかと。
それから2番目に、経済は期待で動くんですよね。だから、熊本が州都を目指しているという、「ひょっとすると州都になるんじゃないか」という期待、それが投資を呼ぶと思うんですね。その「投資を呼ぶ」というのは、1つは、一生懸命企業誘致をやってますよね。一生懸命に中国からあるいはアジアからのエアラインを呼んでますよね。そのように、今の段階で一生懸命しているけれども、もっと根本的なところでワンレベルアップしますよね。例えば、州都という形でね。あるいは中核性、州都にならなくても中核性を確保できる。そうしたら、自動的に(投資などが)来るように(なる)。向こうからそのような投資なり、あるいはエアラインの導入〔※航空路線の阿蘇くまもと空港への新規就航〕なりが、こちらで一生懸命にやらなくても自動的に来るような、そういう県にしたい。
そういうのが活力(を創るということであり)、そこにまた知的なレベルのものも集まって、知的な空間ができる。そしてそこで、もう十分熊本は安全な所なんだけれども、安全性もさらに高まって、九州の全体の防災基地(となる)、そういうことも考えられる。
だから、そこから熊本をよくするだけではなくて、九州全体、日本全体にどれだけ貢献していくかという、バレーボールのセッター説ですけれども、そういう他者への貢献、そういうものが総合的にこの問題には関わっていると私は思っていますから、1期目の時から政令市と州都という形でずっと主張してきました。最初は皆さん馬鹿にしましたけれども、4年間経つと次第になんとなく皆さん理解してくれたのかなと思っています。
それを記者さんがちゃんと噛み砕いて書いていただくと、皆よく理解してくれるのではないかと思ってます。
質疑応答
災害廃棄物の広域処理について・2
Q
瓦礫の話に戻していいですか。
蒲島知事
はい、どうぞ。
Q
先ほど知事は、この間の環境省の説明が不十分だというふうに、否定的な考えを示されたんですけれども、国は2013年度中の処理を目指していて、昨日の細野大臣の会見でも、見通しは立っていないという発言がありました。
もう既に、そもそもこの間の説明会は、知事が安全性が分からないということで呼びかけられて開かれたわけですけれども、その結果、2週間経って、もし前向きに判断されるお気持ちがあれば、そろそろ分析なり評価なりをしてもいいんじゃないかというふうに思っていまして、ちょっと結論をペンディング〔※先延ばし〕しているようにも見受けられるんですが、その点如何ですかということと、そもそも広域処理というのは、必要だというお考えでしょうか。
蒲島知事
私は前から言っているように、いわゆる瓦礫を全国民で考えて一生懸命やりたい、一緒にやりたいという、その気持ちはとても貴重な「絆」という感情で言われていて、それを国民全部、県民全部が共有することはとても尊いことだと思っています。
ただ、私は県知事として、ずっと将来に亘って県民の幸福量を最大化することが唯一の目標です。そういう面からもこの問題を考えなくてはいけないと思っています。
ですから、この瓦礫処理をどうにかしたいという気持ちと、それから安全性を確保できるかどうかという、それは両方とも私にとってはとても大きな問題なんです。(必要なことは)安全性の確保、あるいは明快な説明、将来に亘る安全の保障ですかね。実際に南関(町)に自分で最終処分場の説明に行った時に、私は、将来に亘って県が絶対保障しますということを言い切りました。そのことにより、今の状況に至ったのではないかと思っていますので、そのくらいの強い決意がやはり必要なんですよね。
また、市町村の方々の合意を得るということはとても大事で、そういうことも含めて私がこれまでずっと言ってきたのは、県知事として市町村に指示する立場ではないと。それぞれが安全性を理解して、そこから考えるべきものではないかということでこれまで来ましたし、その立場は今でも変わっていません。その1つとして、この前国から説明会があったんですけれども、残念ながらその評価については先ほど言ったとおり、市町村等の理解が得られたとは考え難いんではないかと思っています。
ですから先延ばしというよりも、そんなことではなくて、これは安全性(の問題)。多分「絆」の気持ちは全員あると思うんですよね。全ての市町村が(「絆」の気持ちを持っている)。
同じように、安全性への懸念と、それから将来の安全性、そういうものを含めた形での、特に熊本は地下水がありますので、そういう個別の事情もあると私は思っています。
Q
分かりにくかったのは、先ほどの発言で、必要があれば、再度、説明会の開催求めるというのがあったんですが、必要がある状況というのは、どういう状況の時になりますか。
蒲島知事
だから(再度説明会を開いて欲しいという)リクエスト(があったなら)。
Q
基本的には、再度説明会をして欲しいというお気持ちですか。
蒲島知事
開催については、必要であれば再度環境省と相談したいと思っています。
質疑応答
社会保障と税の一体改革について
Q
知事、先日、川端総務大臣を招いて「社会保障と税の一体改革」に関して、知事もご発言なさいましたけど、そこで「消費税は避けて通れない。」とはっきりおっしゃったと思うんですが、昨日から国会でもようやく関連法案が審議入りしました。それで、本国会での法案の成立を知事が望んでいらっしゃるのかどうかを確認したいんですけれども。
蒲島知事
これは、「明日の安心対話集会in 熊本」の中でも述べましたように、私自身は、安定的な財源が必要という、それから、特にこれからの福祉、少子高齢化対策にとっては消費税の導入は必要であるという考え方であります。
ですから、今回の国会でそれができるかどうかということは、ちょっと私自身の口からコメントするのはなかなか難しいんですけれども、私は、今しかできないのではないかと思っています。具体的に言うと、政党間の差はそれほどないのではないかなと思っているんですね。だから、歩み寄ることができないような状況にはないような気がします。国会・政党というのは、あくまで手段であって、国民の幸福量の最大化が目標ですから、その国民の幸福量の最大化のために自分たちがあるという、そのような国会・政党であると、再度、皆が考え直さなくてはいけないのではないかと思っています。
質疑応答
TPP(環太平洋連携協定)について
Q
もう1点、先日、日米首脳会談で、野田首相はTPPに関して特に提案をされませんでした。それで、県議会は臨時議会の中で反対する意見書をまた可決されました。現時点で知事のTPPの考えをもう1回お伺いしたいんですけれども。
蒲島知事
もうずっと前から言っていますように、日本は貿易立国でありますから、自由貿易体制は必要です。ただ同時に、農業はとても大事なもので、特に熊本県知事としては農業は最も重要な産業であります。
そういう意味で、2つのことが必要だと。TPPの交渉に入る前に、農業のビジョンを示すこと。そして、TPPの様々な影響について国民的な議論とコンセンサスが必要であること、この2つが今はまだ叶えられていないと私は思っていますので、今の段階で(TPPの交渉に)入ることについては反対です。これが私のこれまでの答えであります。
質疑応答
熊本県総合エネルギー計画の策定について
Q
すみません。エネルギー計画のことで念のため確認なんですけれども、説明の時に、新規は困難だというお話があったんですが、計画の前提として、将来的に原子力発電所は日本としては全廃される、あるいは全廃すべきだというのが前提の計画だという理解でよろしいですか。
蒲島知事
私は全廃すべきだということに能動的ではありません。事実上困難であると。ですからそういう前提の下で、県も日本もエネルギー計画を立てていかなくてはいけないと私は思っています。
そういう意味では、新しいエネルギーはどういうものが可能か。それとともに省エネが進まなくてはいけない。この二本立てだと思うんですね。それで、熊本県は率先してその2つをやっていきたいと(思っています)。具体的に言うと、家庭で使う(エネルギー)は、この2つで調達できるような形までもっていきたいというのが、今度のエネルギー(計画での)県の考え方です。
ただ、国のエネルギー政策が近く出されるのではないかと思いますけれども、それとの整合性についても当然検討しなくてはいけませんが、まず県としてどう考えるか。もう、「国が、国が」というのは、あまり嫌なんです。ですから、率先して考えてくれた担当者にとても感謝しています。
質疑応答
「州都構想」について・3
Q
すみません。ちょっともう1つだけ、こだわるんですけど。また元に戻ってですね。先ほどの道州制のところで、発展のお話をいろいろお聞きしましたが、確認なんですけれども、この間、推計人口の話を知事もしましたけれども、やっぱり日本全国そうですけれども、熊本だってもうあと2、3年後には180万人を切ると、そこまで見えている。そしてまた10年後、20年後、どんどんどんどん今のままでは減っていく。そこがベースになってのこういう「州都構想」、いわゆるいろんな魅力をアップし、発展させるための構想と、そういう理解でよろしいですか。
蒲島知事
私も、人口減というのは、これは避けられないものだと思っています。ただ、交流人口を増やすことによって人口減をある程度カバーできるし、「活力」ですよね。
ですから、半分の人口で今の活力を保つことができれば、それは大変な進歩だと思いますし、そういう意味では「知の集積」であるとか、それから「州都構想」であるとか、そこに人が集まるような仕掛け、発展する仕掛け、それを今の間に作っておきたいというのが私の「州都構想」の根本的な考え方であります。
ただ、熊本のことだけ考える「州都構想」というのはだめで、日本全体あるいは九州全体に何が貢献できるか、私はそういうものが一番大事だと思っています。ですから選んでもらわなくてはいけませんから、「選ばれる熊本」というのは、まさにそこにあって、「州都構想」を出す間に、期待が高まり、そして人が集まり、そして企業が投資し、そして様々な航空会社も熊本に乗り入れようという、そのようなものが自然に出てくるように。一生懸命に、補助金を出すから「やってください。やってください。」というものよりも、むしろ構造から建て直すような(考え方)。「箱モノ」ではそれはできないと思うんですね。
それは文化であるし、あるいは期待であるし、それから人材であるし、そういうものを「州都構想」という名の下に集めておきたい。そして、誰が知事をしても、自動的に人が集まり、自動的に投資が進み、自動的に海外とつながるような、そのような未来図ですね。その中心になるのが「州都構想」であります。
(幹事社)
もう時間が迫ったようなので。ここで終わらせていただきたいと思います。
蒲島知事
はい。ありがとうございました。