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平成24年 7月25日 知事定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006797 更新日:2012年7月25日更新

知事定例記者会見

日時:平成24年7月25日(水曜日) 10時00分から
場所:知事応接室

会見録

知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。

発表項目

 熊本広域大水害について

質疑応答

(幹事社)
 知事の方からお願いします。

発表項目

熊本広域大水害について

蒲島知事
 今日は1つだけコメントがあります。熊本広域大水害についてであります。

コメントする蒲島知事の写真

 皆さんもご存知のように、本県は7月12日未明からの、「これまでに経験したことがないような大雨」と形容された、大豪雨に見舞われ、極めて甚大な土砂災害や河川の氾濫が発生いたしました。

 この豪雨により、阿蘇地域では23名の尊い命が奪われ、今なお、2名の行方不明の方がおられます。また、家屋被害も県下全域で発生し、約4000棟に及んでいます。死亡された方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 今回の災害に際しては、自衛隊、消防、警察、日赤、国土交通省等の防災関係機関のみならず、農林水産業や医療・福祉等の関係団体、さらには、建設業協会、産業廃棄物協会をはじめとする民間の皆様方には、夜を徹しての救出や、被災地支援、被災者支援等に全力を尽くしていただきました。深く感謝を申し上げますとともに、改めて敬意を表します。

 また、数多くの民間企業や個人の方々、さらには友好提携している中国の広西壮族自治区や他県などから、人的支援、物資の提供、お見舞金の贈呈、ボランティア支援など、本当に数多くの温かいご支援をいただいております。心より感謝申し上げます。

 こうした中、県では、災害発生後直ちに災害対策本部を設置し、人命救助を最優先に、救出と捜索に全力を尽くしてきました。また、1日も早い復旧・復興を目指し、被災者・被災地の支援に全力で努めています。

 ただ、今回の災害は、被災の規模も甚大かつ広域にわたっており、交通や本県の基幹産業である農林水産業、観光産業など、様々な分野に深刻な影響を与えています。今後、施設の復旧とともに、地域経済、さらには地域の復興を1日も早く成し遂げなければなりません。そのためには、1人でも多くの方々の支援が必要であります。

 昨日、私は、県職員に対し、直接メールで3つの協力をお願いいたしました。1つ目は災害義援金への協力、2つ目はボランティアへの協力、3つ目が風評被害の防止への協力であります。

 どうか、県民の皆様におかれましても、被災地に対する義援金やボランティア支援、また、夏休みのこの時期に阿蘇に旅行に行っていただき、「阿蘇は大丈夫、熊本は大丈夫!」とのメッセージを発信していただきたいと思います。

 被災地の復旧・復興に向け、県庁はもちろん、市町村、国、関係機関、民間が一丸となり、「チームくまもと」として懸命の努力を続けていきたいと思っています。県民の皆様のご協力を、是非、よろしくお願いいたします。

 以上です。

質疑応答

山地の災害対策について

(幹事社)
 幹事社から質問させていただきます。今、知事のコメントにもありましたが、「阿蘇は大丈夫」というような方向に持っていかなくちゃいけないというのは分かるのですが、これまでの阿蘇地域に限って言えば、山地の災害の危険地区なんかに指定してある場所が資料によると164ヵ所、整備率が85%というような現状もあったように聞いているんですが、そういった、対策の状況が十分であったのか。そして今後、予算を投じて対策・整備をやっていく方向が果たして妥当なのか。現場なんかを見てみると、過去にも災害もあってますし、今回も同じ場所で災害が起こっている。そういった地域に果たしてまた住んで大丈夫なのかっていう疑問とか、心配もあるんですが、そこに崩れた山をもう一回整備していくっていうような方向で果たして正しいのか、知事の認識を聞かせてください。

蒲島知事
 はい。阿蘇の外輪山はこれまでも何回も土砂崩れを起こしています。そして過去にも、同じような事故が、歴史的に知られていないのも含めて相当たくさんあったのではないかと思っています。それをすべて人の力で防ぐということは、私は難しいのではないかと思っています。完璧に防ぐことはできません。

 今回も、読売新聞の今日の記事にもありましたように、土砂崩れがあった所は必ずしも警戒区域の中ではなかったということもありますし、人の目で見て、あるいは人の力で全てを防ぐことはできないと、私は思っています。ただ、そのために何もしないかではなくて、そういう中でどのような対策を講じればいいのか。そしてこれから、阿蘇の復旧・復興に向かっていくわけですけれども、そのディスカッションの中で一番効果的な方法を探していかなくてはいけない。

 1つはハードの整備ですよね。ハードの整備をどのようにしていくか。でも、ハードだけでは守れないということが、今度分かりましたので、ソフトの整備(が重要だと思います)。そして、これまでの「既に家屋がある所を守る」というような、そういう災害を防ぐやり方でいいのか、あるいは移転などを含めた形で検討しなくてはいけないのか。そういうこともすべて考えながら、これからの復興計画を作っていかなくてはいけないと思っています。

 この時点で、こうすればいいということを今日お答えはできませんけれども、そのような認識の下、人の力(によるハードの整備)は限られていると、それをソフトと掛け合わせて、そして一番効果的な方法を探していくということになっていくと思います。

質疑応答

農林水産業の復興について

(幹事社)
 農業新聞ですけど、関連で、今現在被害額は340億円、そのうち約半分以上の140億円が農林水産業の被害ということで、知事が4カ年戦略の中で掲げられました、稼げる農業づくりについて大きなダメージを受けたんじゃないかと思うんですけれども、それに対して復興・復旧策について、あるいは知事の見解をお願いしたいと思います。

蒲島知事
 私が知事になって、政治・行政には3つのパターンがあります。

 1つは「決断の政治」であります。それは川辺川ダムに代表されるもの。それから2番目に、例えば稼げる農業を目指すという「目標の政治」。3番目が今回の災害にどう対応するかという「対応の政治」。そういう意味では今回、農業被害が非常に多額になっておりますけれども、これに復旧だけではなくて、将来の「稼げる農業」というものを目指した復興を、これをきっかけとして、阿蘇の農業はどうあるべきかと、そのことを考えながら、復興策を作っていかなくてはいけないと思っています。それで、農業の被害は大変大きいので、どうやって農家の人々の痛みを最小化するかということとともに、復旧だけではなくて、それを更に高めた形で阿蘇の農業を考えるような、そういう方向性でやっていきたいと思っています。

 ただ、今、私にどういう具体的な農業振興を今考えているのかというのは、ちょっとこの段階では(答えることができません)。今、被害者の方々の支援、補償額、あるいはその被害額の認定、調査、いろいろなものが行われていますので、そういうものを踏まえた上で、これで潰されることなく、皆一丸となって、「チームくまもと」としてこれを乗り越えていかなくてはいけないと思っています。

 確かにおっしゃるように、(「稼げる農業」を目指す取組みを)これからやろうという時に、こういう大災害が起きましたけれども、これにめげずに頑張っていきたいと思っています。

質疑応答

仮設住宅の建設と旅館・ホテルを利用した避難所について

(幹事社)
 幹事社の朝日新聞です。家屋が大分被害を受けていますけれども、今後の地元の意向も踏まえた仮設住宅の建設についてのお考えが1点と、あと知事が現地に入られた時に、地元の旅館・ホテルを代用して利用するという考えを表明されていますが、これについての今後の考え方について、新しく何か考えておられる部分があったらばお聞かせいただきたいんですけど。

蒲島知事

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 私は、先ほど「対応の政治」と言いましたけれども、どのように対応するかという目的は1つであります。それは、被害を受けられた方々の痛みを最小化する。そして、最後にそれを通して、被害を受けられた方々が将来に向かって夢を持てるような、そういう復旧・復興をしなくてはいけないと思っています。

 痛みを最小化するという意味では、私は(災害対策)本部の会議でも申し上げましたように、これまで災害があったら、大体パターン化された方式で対応しているんですよね。例えば、まず避難所を作って避難所に避難してもらう。その後、スチール製の長屋のような仮設住宅を造る。そこに2年間いてもらって、その後はどうなったかよく分からないというのが今の支援策ではないかと思っています。

 だから、その対応でも創造的な対応策ができないかということで、私は2つのことを考えました。

 1つは、まだ今は非常に大量の方々が避難されておりますので、当然体育館とか大きな所が必要だと思いますけれども、段々多くの方々が家に帰られて、そして避難される方々が長期化、そして人数も少なくなった時には、むしろその方々の負担を小さくするために、旅館・ホテル、そういうものを…。特に(被災した)地域の旅館・ホテルのキャンセルが相次いでいますので、その人達がそこで生活できるようになればいいのではないかということで、それを提案しております。実際に、熊本市の方ではそのような方向(での対策)も大分とられているようなことだと思います。当然その前には、県営住宅、市営住宅、そういうものを利用するということもあると思います。

 それから、先ほどの仮設住宅の話が出ましたけれども、私が関係者に指示したのは、もうテレビで見るようなパターン化された仮設住宅は止めようと(いうことです)。せっかく阿蘇という素晴らしい森林地帯にあって、林業の盛んなところでありますので、木造の仮設住宅はできないだろうかと(考えました)。そして、その後また2年後に(仮設住宅から)出なくてはいけない時に、それがまだ使えるのであればですね、そこでずっと住みたい方は住めるような、そういう形の一人一人の被災者に合った住居のあり方、当然その仮設住宅を出て家を建てたいという方は、勿論その方策を早い時期から模索してもいいし、そういうことで、避難所、スチール製の仮設住宅、そして、その後の生活支援という形で考えられていますけれども、より創造的な仮設住宅のあり方、支援のあり方を皆で考えようということで、(災害)対策本部では言っています。

 そういう方向で進んでいるとは思っておりますけれども、これは県の考え方だけではなくて、被災者の方々の考え、それから阿蘇市、あるいは市町村の考え方もありますので、それぞれと連携しながら、何よりもその被災者の方々の痛みを最小化するための仮設住宅のあり方、あるいは避難場所のあり方、そういうことを考えていきたいと思っています。

 1番楽なのは、もう決まった形で対応することが簡単で一番いいんです。先ほど「対応の政治」という話をしましたけれども、口蹄疫の時もそうでしたが、あの時も普通は口蹄疫が発生するまでは、農林水産部長が本部長になるんですけれども、あの時私が早速、本部長になって対応しましたので、「対応の政治」にもいろんな創造的なものがあるのではないかと私は考えております。

 そういう意味では今回、仮設住宅の話が出ましたけれども、そういうことも頭の中に入れて、支援をしていきたいと思っています。

質疑応答

仮設住宅の建設について・2

(幹事社)
 各社から質問をお願いします。

Q
 すみません。今の話に関してなんですけれども、もしも住み続けたい方がいたら住めるような仮設住宅とおっしゃったんですが、一方で仮設住宅は建設のスピードも求められると思いますが、そのあたりの折り合いというか、それはどう考えていらっしゃいますか。

蒲島知事
 3.11(東日本大震災)があった後、建築業の方々、あるいは木造住宅の協会の方々と随分前に、半年程前になると思いますけれども、熊本での仮設住宅のあり方について話し合ったことがあります。「みんなの家」というのを熊本発で仙台に仮設住宅の中に建てましたけれども、その時にプレハブの木造の仮設住宅というのは、可能性はないだろうかということを考えていました。その時は、可能性があるのではないかというのが業界の方々のご意見でありました。それで、もしスピード感をもって、価格は当然少しは高くなると思うんですけれども、撤去の費用とかいろんなことを考えた時に、総合的にどうなのかと。スピード感と費用、そういうものを勘案しながら、さっきの方法が可能かどうかというのを模索していきたいと思っているところです。

 でも、今の段階で、スピードが大幅に遅れるという話は聞いていません。それから価格も倍以上になるとか、そんなものではなくて、少し上がる程度だとは聞いています。住宅の場合はむしろ、水回りとか、排水とか、ああいう所が多分大事になってくると思いますので、それに掛かる費用とか時間はあまり変わらないんですよね。

質疑応答

県の初動体制について

Q
 1つお伺いしたいのは、県の初動体制についてなんですが、災害対策本部の設置の具合でありますとか、いろいろ県のとった対策でありますとか、その辺について本部長としての知事としてはどのように今の時点では評価されてますでしょうか。

蒲島知事
 災害対策本部のあり方、あるいは初動のあり方についてどのように評価するかと。むしろこれは、当事者が評価するというよりも、皆様が評価すべきものだと思いますけれども、少なくとも最善の方策で対策本部を立ち上げたのではないかと思っています。

 まず7月11日に、前日の(午後)4時〔※正確には午後4時5分〕に本庁では9名それから地域振興局では28名、全部で37名の体制で注意体制を敷いています。

 それで、12日の当日ですけれども、0時30分、警戒体制に入っています。この時点では、本庁24名それから地域振興局で104名の、128名で警戒体制に入りました。

 そして、朝の5時20分ですけれども、災害警戒本部を立ち上げて本庁が57人、そして地域振興局が104人の161人体制でやりました。

 そして7時に災害対策本部を立ち上げて、130人の本庁詰め、505人の地域振興局詰めで、7時には635人体制を敷いています。

 私は残念ながら、その時、韓国に行っておりましたので、早朝から電話がありました。それで、それを聞いてすべてのスケジュールをキャンセルして、こちらに午後4時51分に帰ることができ、それで対策本部に詰めることができました。それまでは、小野副知事が私の代理として詰めていたと思います。

 そういう意味で、私は、できる限りのことをしたのではないかと思っていますけれども、そういう体制を皆様方がどう評価されるかということだと思いますが、私自身はこれが最善、最速の方向ではなかったかと思っています。そして何よりも自衛隊の出動も6時半近くには依頼しているということを聞いています。そういう意味では自衛隊との連携もとてもうまく取れていたのではないかと思います。

 以上です。

質疑応答

県の防災体制の検証について

Q
 ちょっとそれに関連してなんですが、今回大きな被害を被った地域とかでですね、熊本市北区の龍田地区という所があります。ここが熊本市からの避難指示がやはり午前9時頃ということで、遅れたという状況があったんですが、この地区については白川の河川の管理区域というのが県の管理区域ということになっております。

 それで、この白川のこの地区においては水位観測所というのが特に設けられてなかったというふうなこともありまして、被害が拡大した中で、県の体制のあり方といいますか、従来からの防災体制のあり方というのもどのように検証されていくのかという。

蒲島知事

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 はい。この問題については、確かにそういう施設面だけ見ますと、国の管理区間と県の管理区間は、財政的な違いもありますけれども、国の方にはたくさんそういう施設があります。

 ただ大事なことは、県も例えば上流、立野地区でも監視体制を取っておりまして、そのシステムの情報は(熊本市に)どんどん入っているはずなんですね。だからそういう意味では、川下の情報はいっぱいあるけれども、川上の情報は県のものしかないわけですから、それをどのようにその分析して、そして何分後にここがどのくらいになるということを警戒するのが、この災害対策の重要な役割ではないかと思っています。それ(白川上流の河川の情報)に関してはずっと、市町村に対しては、その情報は提供したと聞いております。

 具体的な、どのようなシステムで、どのような形で配信したかということについては担当課長に後で説明させますけれども、たくさん情報があるからいいわけではなくて、適切な場所の情報がちゃんと分析されて、それがその下流に流れるのは何分後か(というようなことではないかと思っています)。だから現状の下流の状況と、それから上流の状況、それを足し合わせながら、あるいは掛け合わせながら、今後の警戒体制を取っていくことが重要ではないかと思っています。その(それに必要な)情報は提供されていると聞いています。

 それで、ここで大事なことは、県が悪い、市が悪いと言い合うのではなくて、そういう問題が起きたことを両方で謙虚に出し合って、それでそれを検証して、今後再びこのようなことがないようにするためには何が必要かと、それを模索するのが私は大事だと思っています。

 幸いにして、奇跡的という言葉が適切かどうか分かりませんけれども、これだけの大水害で、熊本市では軽傷の方が3人だけで済んだということでありますので、それにも関わらず避難の指示が遅れたということはどうしてかということについての検証を熊本市の方で始められると聞いていますので、熊本県もオブザーバーとして入って、謙虚に何が問題だったのかと、二度と起こさないような形で、そういう意味でも私は責任のなすり合いとか、そういうことは絶対してはいけないと思っています。

質疑応答

水俣病保健手帳切替え者の再申請等について

Q
 よろしいですか。水俣病の救済のことでお尋ねなんですが、一旦、いわゆる手帳の切替え申請がきた。上天草の方々が県の説明が、当初の説明が不十分だとして、自分達は受給の資格があったんじゃないかということで、申請のやり直しとか、あるいは交通に係る支援というのを求めておられますけれども、この件について知事はどう受け止めておられるのかというのが1点。それから申請期限がこのまま行けば残り1週間なんですけれども、こういった要望に対してどう県庁で対応されているのか。

蒲島知事
 この特措法の特徴、それからこれに関わる行政側の対応、それについてはあたう限りすべての人を救済するという、そういう精神に則っていると(思っています)。だから、なるべく窓口を少なくして、ケチると言ったらおかしいですけれども、そういうことではなくて、自分は救済されるべきだと思われた人はどんどん手を挙げて欲しいという、その気持ちが溢れる特措法ではないかと私は思ってますし、その特措法プラス環境省も熊本県も水俣市もそういう(思いを持ち、)行政の形でやってます。

 だから、県庁が(保健手帳から被害者)手帳に切り換えるための、恣意的な指導をするとかということはあり得ません。そういう意味では、私もそうですけれども、熊本県庁の職員、特に担当の人達は、是非手を挙げて欲しいと(思っています)。そしてそういう意味を込めて私自身もPRに努めていますし、県庁の職員(に対して)もそういう形で私は言っておりますので、今おっしゃったように、恣意的に誘導するとかそういうことは一切ないと私は聞いておりますし、そう思っています。

 それから、もう1つの7月31日の締切りについては、これは様々な方々のご要望を聞いたり、あるいは細野大臣が熟慮に熟慮を重ねて7月31日という設定をされたのではないかと(思っています)。ちょうどこれをアナウンスされた時に、あと半年あるという、そういう段階でありました。その間必死に、国も県も、そういう(7月31日の特措法の申請期限について)周知徹底を図ってきたところでありますし、私もその気持ちで多くの方々に周知徹底を図るような形で行動してきました。そういう意味では、7月31日までにあと1週間ありますので、是非自分は特措法に申請すべきだと思う人は、どんどん、あと1週間の期間で申請して欲しいと思っています。

 今、5万人以上の方々が申請をされていると聞いていますけれども、この特措法というのは、私自身も成立に関わりましたけれども、極めて成立過程も稀であるし、こういう法律が短期間にできたことは稀な法律だと思っています。私はこれを大事にしたいと思っていますので、これを基に救済されるべき方々が全部これで手を挙げて欲しいと、そのように感じています。

質疑応答

水俣病特措法申請受付期限の見直しについて

Q
 朝日新聞の水俣の担当です。今の関連のお尋ねなんですけれども、この間何度も質問がございましたけれども、今のお答えですと、申請期限のそのものについて見直しを環境省に改めて打診をする、相談をする、そういうふうなお考えはないということですか。

蒲島知事
 天草市長から要請がありましたので、それについては、この前、環境省の方に行って、伝えてはおきました。ですが私自身が、見直しを国に対して要請することはありません。

質疑応答

水俣病保健手帳切替え者の再申請等について・2

Q
 関連ですけれども、先ほどの県職員は、手帳切替えを恣意的にやってはいないという、そのお話は分かったんですが、ということは、再申請は認めないということを結論として…。

蒲島知事

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 現在のところ特措法の申請は1回限りとなっています。それについてご意見があることは知っておりますし、国の方にもその要望を伝えているところであります。

 それで、まだ国の方からの回答はないということでありますけれども、原則は特措法の申請は1回限りということは、大原則ではないかと思っています。

 ただ、国との協議は行っていますし、あるいはそういう要望は伝えています。その天草市の安田市長の要望は、私自身が直接伝えております。

質疑応答

仮設住宅の建設について・3

Q
 ちょっと話を戻させていただくんですが、もう1回、仮設住宅の木造仮設住宅の話が今ひとつピンと来ないんですけれども、スチールの、本当にスピーディーにできる仮設じゃなぜ駄目なのか。それと、そこにずっと仮設住宅にお住まいになりたい方がずっとそこにお住まいになってもいいということであるならば、確かに土地とか建物の権利関係とか、またそこは複雑な話が出てくるかと思うんですけれども、その辺も踏まえたうえでそういう新しいご提案というか、お考えなのか。ちょっともうちょっと詳しく教えてください。 

蒲島知事
 もともとこの発想は、鳥取大地震の時に、片山知事(当時)が仮設住宅を建てるぐらいだったら、それぞれの方の住宅支援をしよう。仮設住宅の先に夢がないということがありました。もう随分前の話ですよね。その頃は国の政策として、個人財産に国のお金を使うことはまかりならんという、それが厳然としてあった時代ですから、相当な抵抗の中で片山知事はそのような方向を出されました。私はそれを1つの行政の手法として、あるいは地方分権のあり方としてとても感銘を受けて、まだ東大時代でしたが、印象に残っておりました。

 災害対応、あるいは「対応の政治」というのは、決められたことを淡々とやるのは楽なんです。決められたその枠の中で、決められた財源の中で、決められた期限の中で。でも、創造的な災害対応というのは、そういうことではないのではないかと(思います)。一人一人の被害者の方々の、被災者の方々のペインというんですかね、苦痛を最小化すると。そして将来につなげるようなそういう対応があって然るべきだというのを、私は片山知事のその方法で学びました。

 片山知事が様々な国から(の反対)、特に財務省や国土交通省からの反対を押し切った時の彼の信念は、憲法違反じゃなければやろうというふうに考えられたそうなんです。そして、住宅を皆が建てるような形での補助をされたと。そのことによって仮設住宅の費用と撤去費用は無駄にならなかった訳ですね。だからそういう意味で、そこまでは今回のケースでは成熟をしてなかったんですけれども、人数も多いからですね。ただ、仮設住宅をスチールでやらなければいけないという発想は、これは固定化していますけれども、(建設にかかる)時間さえ同じであれば、また、値段もあまり変わらなければ、仙台での「みんなの家」で証明されたように、温かみのある家が皆いいんですよ。やっぱり木の温もりのある家が。だから、そのようなものをまず建てて、それでお年寄りの方々が、もう自分達は家はわざわざ建てなくてもいいと思った時に、そこにも長く住めるような形での、そういう建て方もあるのではないかと(考えました)。当然、家を建てたい方は(仮設住宅から)出て行って建てられるでしょうけれども、必ずしもご高齢の方はそういう方ばっかりではありませんよね。

 そういうふうにして、将来の苦痛を最小化できるような意味での木造仮設住宅のあり方もあっていいのではないかと。木造仮設住宅はいらなくなったら何も使えないかといったら、それは「みんなの家」のやり方と同じように全部プレハブにしてしまって、どこかでとっておけばまた建てられますよね。そういうリサイクル(も可能になる)。まず林業の盛んな阿蘇で、そして木造で将来の可能性もいくつかの選択肢がある。そして、その二軒1つが1セットの仮設住宅ができるとすると、それを途中で外せばまた永久に住めるような家になるかも知れませんよね。そういう様々な選択肢の中でやるような仮設住宅のあり方はないだろうかと私は問い掛けました。

 でも普通は、「いやそれはありません」で終わるんですけれども、わが県庁の職員の方々の優秀なところは、皆で考えてみようということで、そしてそれは行政的にいうと敢えて困難な道であるわけです。仮設住宅をよそから買ってきて建てるのはすぐできるんですけど、そうではない、熊本県における仮設住宅のあり方というのを今回やれないかと(思っています)。まだやると決めてはいませんよ。やれないかという模索をしているという段階であります。

Q
 知事、関係市町村とかとのご相談というか、協議というのは、まだこれからという段階なんですかね。

蒲島知事
 正確には…、私自身が阿蘇市長には申し上げたところでありますし、今の現状をお願いします。

(知事公室長)
 今の問題については、仮設住宅を木造化するということと、仮設が終わってどうするかという2つがあろうと思いますが、それについてあとでまた財政当局も含めてご説明しますので。

質疑応答

旅館・ホテルの避難所としての利用について・2

Q
 先ほどの話で、今度は旅館・ホテルの利用のところなんですけれども、この場合は住まれたい方が、被災された方は、それは有償で利用されるのか、そこに対して県が何かしら補助、国の何かを使って、支援制度を使って補助するのか。イメージは、やりたいことは分かるんですけれども、それはどう…。

蒲島知事
 私の大目標は被災者の方々の苦痛を最小化するというものでありますので、その意味から、まず避難所にいらっしゃった方々が訴えられたのは床が固い(ということです)。体育館ですから。それに対して、早速マットを運び入れたところ大変喜ばれました。

 そういう意味でそれも1つですけれども、長期化すれば、お風呂であるとか、ベッドであるとか、畳であるとか、そういうことがとても懐かしくなってくると思います。ただ、自宅には帰れない方がいらっしゃいますよね。とりわけ家が壊れた方々。そういう方々が地元のホテルや旅館を使えるシステムはないだろうかということで、スタッフの方に指示したところ、借り上げ方式というものは可能だということを聞きました。

 多分、熊本市の方は、そういう形で私どもの提案を受けてそれを借り上げられたと思いますけれども、そうすれば、これは国と県の両方で払うんですかね。

(知事公室長)
 そうです。いわゆる福祉避難所の制度の話です。

蒲島知事
 これは3.11(東日本大震災)で始めて適用されたケースですけれども、そういうふうな事ができれば、例えば仮設住宅に入るまでに、少し時間があったり、あるいは家を建てるかどうかと決めたり、そういう判断の間でもですね、十分な時間が快適に…、快適と言ったらおかしいですね。苦痛が最小化される形で過ごされるのではないかと思っています。

 ただ、1つだけ言いたいのは、立野〔※「立野」は「一の宮」の誤りです。〕の避難所に行きましたけれども、皆さん一人一人のご意見を聞いて何かご要望はありませんかと聞いたところ、皆さんとても今回の行政の対応には満足されておられました。食べ物もちゃんとあるし、それから避難所もコンフォタブルに運営されている〔※できるだけ快適に過ごせるように配慮して運営されているとの意〕し、お風呂もちゃんと入れるということで、そういう意味ではそのような避難者の希望に沿った形で、今回避難所に対する支援などを行えたことに大変喜びを覚えています。

質疑応答

「これまでに経験したことのないような大雨」との情報について

Q
 すみません。災害対策関連でお伺いしたいんですけれども、今回気象庁が新たに予報官の危機感を伝える考え方として、「今までに経験をしたことのない大雨が降る可能性があります」というような新しい表現を使って、実際に危機感を呼びかけたんですけれども、こうした表現が県内の危機管理体制にうまく活用されたと知事はお考えでしょうか。

蒲島知事

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 コミュニケーションというのは大変難しゅうございまして、発信者の意図と受信者の準備がちゃんとマッチしていれば、それがうまく働くでしょうけれども、発信者の意図というのは危機感を表明するために、敢えて「かつては経験したことがない豪雨」ということで言われて、受信者である我々がそのことをそれと同じ状況〔※気象庁の予報官の意図を理解しての意〕で受け入れたかどうか。それは検証が必要ではないかと思っています。

 ただ、一度そういうことがニュースになって、それからこのような形で議論されることによって、今後は生かされてくると思いますけれども、一番最初のケースだったんですね。ただ、阿蘇の方、それから先ほど言った警戒体制を含めてみますと、その言葉も大事でしょうけれども、雨のすごさとこの異常さに皆気付かれたのは確かであって、阿蘇でも4時、市役所の方でも4時近くのあの時間帯にもう活動されていますし、それから熊本県でも先ほど言ったように、前の日から警戒体制を敷いておりますので、それから地元の人は「山が鳴った」とかですね、それから「匂いがした」とか、そういう異常を感じられているんですね。だからそういうものに対する受信もあったのではないかなと(思います)。だから、ただ単なる言葉だけに対してどうでしたかというのは、検証しないとここではちょっと分からないですけれども、ただ、そういうことが2度目(から)は確実に皆さん真剣になるというふうに思っています。

Q
 すみません。関連で質問なんですが、熊本市などではですね、これまでに経験がしたことがない大雨というメッセージを受けていても、やはり大量の情報があふれていて、更に少ない職員の方で対応されている中で、そういったメッセージが言わば無視されて、運用されていたということが次第に分かっています。

 これに対して熊本県はどういった対応を取っていたのか、あるいは県として、こういうメッセージが災害に有効だと考えるのかどうかというのは現段階で分かる範囲で教えてください。

蒲島知事
 さっき言ったように、受信者と送信者の意図が一致しない限り、これ〔※今回の「これまでに経験したことのないような大雨」というメッセージ〕は有効性を持ちませんよね。今言ったコメントは熊本市に対しては、非常にそこに受信者の方の意図と送信者の意図がマッチしなかったというケースの1つではないかと思っています。

 ただ、熊本県には担当者がいますので、それにどういうふうな対応をしたか、ちょっとすみません。

(危機管理防災課)
 はい。気象情報については、常にタイムリーにその段階で市町村に送るシステムができておりますので、情報発信については当然きちっとやっているところであります。

 ですから、先ほどの(「これまでに経験したことのないような大雨」というのは)6時45分に出された情報だと思いますけれども、それについては、当然県も市町村も見ているという状況に(あったと思います)。後は、それをどう受け止めてどう行動するかということだと思いますけれども、それについてはまた今後しっかり検証していきたいと思っています。

質疑応答

旅館・ホテルの避難所としての利用について・3

Q
 知事すみません。福祉避難所の話なんですけれども、災害救助法に基づく福祉避難所ですと、いわゆるハンディのある方が対象になってくるかと思うんですが、知事の先ほどの旅館・ホテルの活用という言い方ですと、一般の方にまで適用を広げたいというお考えなんですか。それとも旅館・ホテルを借り上げるのはやはりハンディのある方対象にということなんですか。

蒲島知事
 私の発想というのは、当然一時避難されておられる方は家に帰られますよね。家が壊されたり、帰れない人達、そういう方々は(避難所での生活が)長期化していきますよね。そういう方々にその利用〔※旅館・ホテルの活用〕はできないかということで、それが可能かということを関係部局に問い合わせたところ、可能であるというふうに聞きました。

(知事公室長)
 すみません。当然、福祉避難所の制度ですので、高齢者の方々だとか、障がい者が中心になりますけれども、いろんな選択肢があります。公営住宅もありますし、そういう中で、特に高齢者とか障がい者の方をそちらの方に誘導するということで手法として提案したということです。

質疑応答

水俣病被害者救済の給付申請に係る判定結果に対する異議申立について

Q
 すみません。水俣病の関係で、また戻って申し訳ないんですけれども。水俣病の救済策の判定結果に対して不服を申し立てていらっしゃる方が何人か、熊本県と鹿児島県と両方にいらっしゃって、今はまだ協議中ということなんですけれども、この不服をどう扱うかということに対して知事はどうお考えになっていらっしゃいますか。

蒲島知事
 特措法の中において、それが、異議申立てが可能かどうかということに関しては現在環境省と協議中です。

Q
 熊本県としては、どういうふうに対応したいというか。お気持ちを。

蒲島知事
 これは、熊本県としてというよりも、我々は環境省と一緒にやっていますので、そちらの方がどういうふうに考えられるかということが大事だと思います。

 ちょっと課長の方で、現状を説明してください。

(水俣病保健課)
 水俣病保健課でございます。今お話がありましたように、環境省の方と実は協議をやっております、断続的に。これは特措法の解釈に関わることでございますから、つきましては法を所管しております環境省の権限でございますので、環境省の見解を待っている。これが出ましたところで県は必要な対応ということになると思います。以上です。

質疑応答

オスプレイの配備及び本県上空での飛行訓練について

Q
 すみません。前回もお聞きしましたけれども、オスプレイの話が、あれからまた、どんどん大きくなっていって、それこそ沖縄県も岩国市とか山口県も含めて、やっぱり政府に対する働きかけをやっておられる首長がどんどん出てきましたけれども、今朝も、やはり熊本というか、阿蘇、まさに阿蘇の上空を低空で飛ぶコースがもう設定されているというような報道もされている中で、改めて熊本県としてどういう対応をとろうとお考えなのか。

蒲島知事

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 はい。オスプレイについては、一般論から言いますと、米軍の方から見ても、そういう危険なものに自国の兵士を乗せるということはしないと思います。だからそのための様々な検証は行っていると思いますし、それから、そのための安全策なども検討されていると思います。

 ただ、それが誠意を持って日本に伝えられていない。それが問題ではないかと(思います)。つまり、自国の権利として、日米安保体制の中における権利として、当然のごとくそれが試験飛行なり、あるいは供用されることに関する日本国民の不信感、とりわけ基地がある沖縄や岩国に関しては強い反発があるのは当然であります。だから、それが安全であるということを、米軍あるいは米国側が誠意を持って情報公開し、そしてそれが理解できるような形で提供されることがとても大事だと思います。

 それから熊本県としても、それから日本としても、知事会もこのような見解でありますけれども、その(安全であるという)情報を出すまでは飛行して欲しくないというか、飛行を拒否するような態度、これは必要だと私は思っています。政府の方が(アメリカに)言われたままやっているような印象、それからアメリカの方は自分の権利を当然のごとく主張する、そのようなイメージ、この2つのイメージが、私はこの問題を悪い方向に向かわせているのではないかと考えているんですね。だから、1つはアメリカの誠意ある安全性に対する保障と対応。そして日本側はそれを要求して、要求する権利があると思いますので、その権利の行使、この2つをやっぱり早急にやらないと、この問題はこじれるばかりじゃないかと私は思っています。

 その部分が足りない。両方とも意図はあるかもしれませんけれども、完全にマッチしていないような気がするんですね。だからそういうアメリカ政府に言われるままにやっているような政府のイメージに対しての不信感。それからアメリカ側は当然の権利として執行しようとする、それに対する国民の不信感。この2つが今あって、大変、更に混乱が生じているような気がします。だから両方とももう一度原点に戻って、米国側に対しては、そういう誠意ある安全性の検証と確保と証明。それを日本は求めるという、そういうことが必要ではないかと思っています。

 ただ少しはそっちの方向に移りつつあるのかなという気配はありますけれども、まだ足りないような気がします。

Q
 国民の理解が得られるというようなところまで行くまでは、逆に言うと、配備なり訓練飛行なりは…。

蒲島知事
 少なくとも、配備というよりは、飛行ですよね。私はすべきではないと思っています。

Q
 すべきではない。では前回の時の回答からすると大分認識が変わられたというふうに取ってよろしいですかね。

蒲島知事
 変わったというよりも、それからの展開を見てみると、さっき言ったような、米国側の権利の行使というんですかね、それがより進んだ。それで、日本側の(安全性の)証明の情報開示の権利の主張が少なかったという(こと)、それが前回(7月4日)の記者会見から更に進んだような気がするんですね。私の印象はそういうものであります。

 それからもう1つは、知事会も私どもの大事な連携するグループでありますし、そういう知事会としての見解も含めた上での今日の回答です。