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平成25年 4月 3日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成25年4月3日(水曜日) 10時00分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
質疑応答
- 「赤」のブランドについて
- 百年の礎について
- 道州制について
- TPPについて
- 包括外部監査について
- 臨時財政対策債について
- 包括外部監査について・2
- 五木村の振興について
- 衆院選の1票の格差について
- 包括外部監査について・3
- 全国知事会の会長選について
- 衆院選の選挙区割り改定案について
- 衆院選の1票の格差について・2
- 県民総幸福量の最大化について
(幹事社)
まず最初に知事から発表項目からお願いいたします。
発表項目
新年度を迎えて
蒲島知事
今日は、コメントが1つあります。新たな年度を迎えるに当たって、県政運営に対する私の決意を述べさせていただきます。
今年度は知事として2期目、2年目であります。
任期4年という中、「新4カ年戦略」の実現に向けては、大変大事な年であります。
このため、まず、蒲島県政の羅針盤とも言うべき「新4カ年戦略」の実現に向けて加速化を図ります。
第1に「活力を創る」では、国の経済対策を最大限利用する、活用することであります。第2に、研究開発部門の企業誘致を促進すること。第3番目に県民参加による新エネルギー政策を推進すること。4番目に「赤」を統一ブランドイメージとして県産品を売り出すこと。そして5番目が、理想郷的な農村を創造すること。この5つの取組みを積極的に行っていきたいと思っています。
2番目の「アジアとつながる」では、対中・対韓関係は、外交的に大変難しい時期にあります。しかし、この逆境を乗り越え、「チャイナ・プラス・ワン」として、今後は中国だけではなく、東南アジアをはじめとする地域とのつながりを積極的に強めていきたいと考えています。
「安心を実現する」では、東日本大震災と熊本広域大水害の教訓を踏まえて、安心・安全な熊本づくりに向けてまい進して参ります。また、1期目の「長寿を恐れない社会」の実現を更に発展させて、2期目は健康寿命を延ばすことに取り組み、「長寿を楽しむ社会」の実現につなげて参りたいと思います。
最後に、「百年の礎を築く」であります。将来の州都を目指し、「すべての道は熊本に通じる」政策を進めて参ります。
また、熊本に「知の結集」を図り、熊本の宝である地下水、阿蘇の大草原、加藤・細川家の400年以上の素晴らしい歴史と文化を守り抜き、後世に伝えていく取組みを進めて参ります。
次に、熊本広域大水害からの復旧・復興にも引き続き、取り組んで参ります。
熊本広域大水害の発生から8ヵ月が経ちました。現在、河川、山地、農地の復旧に向け、用地等が確保されているところから工事に着手して参ります。そして、歴史に残る災害復旧・復興にしたいと思っています。
また、今年は水銀に関する外交会議や第33回全国豊かな海づくり大会など、大きなイベントも控えています。これらの会合を県内外にアピールするため、本日の定例記者会見からバックパネルを取り替えました。
開催まであと半年となりました。地元の市町村の方々や県民の方々と連携して、着実に準備を進め、訪れる方々を温かく出迎えることで、熊本の素晴らしさを国内外に伝えて参りたいと思っています。
4月1日に、私は職員に対して2つのことを指示しました。
1つは、「熊本県民の幸福量の最大化」を基準に仕事をして欲しいということであります。
2つ目は、「第2のくまモンを探そう」ということであります。
これについて少し説明しますけれども、私は1期目から熊本県民の総幸福量には4つの要因があるのではないかと思っています。
1つは経済的な豊かさ、それから品格、長寿安心、夢、この4つが県民の幸福量に貢献するとすれば、いろいろな政策を考えたり、あるいは進めたりする時に、本当にこの4つに貢献して幸福量にプラスの影響を与えるかどうかという観点から、政策づくりに励んでほしいと述べた次第であります。
もう1つは、「第2のくまモンを探せ」ということでありますけれども、このくまモンは新しい政策であります。くまモンは、5つの面で幸福量に貢献していると考えています。
1つは、経済的豊かさに貢献している。2番目は、熊本県民であるプライド(誇り)に貢献している。それから3番目に、くまモンは老人福祉施設などの訪問などを通して、安心・安全にもプラスの効果を与えている。そして子ども達に夢を与えていますので、この夢にも貢献している。様々な要因をプラスの方に向かわせている素晴らしい政策ではないかと思っています。それプラス、くまモンの存在そのものが県民の幸福量に影響を与えていると思っています。
そういう意味で、「第2のくまモン」というのは、別に新たなゆるキャラを探せということではなくて、そのような(県民の幸福量に影響を与える)効果を持つ政策を打ち出そうと、それを今年は新年度の訓示として述べた次第であります。
今年も1年1期という時間的緊迫性を持って、蒲島県政の大目標であります「日本で一番幸せを実感できるくまもと」の実現を目指して参りたいと思います。
以上が、私の新年度に当たっての決意であります。
質疑応答
「赤」のブランドについて
(幹事社)
ありがとうございます。それでは幹事社からまずご質問させてください。
「赤」の統一ブランドに関してですが、今、取り組みが進んでいらっしゃると伺ったんですが、これに関してちょっと具体的に期待というか評価というか、コメントをいただけますか。
蒲島知事
鹿児島は「黒」の統一ブランドでやっていらっしゃいます。
熊本は「赤」でいこうと。特にトマトの赤、それからスイカの赤、それから天草の鯛の赤、それから赤酒も含めて「赤」というものでこれから熊本の素晴らしいブランドを展開していこうと。いくつか(熊本の県産品にもすでに)トップブランドがありますけれども、最近は赤牛もとても人気でありますし、天草大王もとても人気であります。
そういう「赤」のイメージ、それを今後打ち出して、「黒」のイメージの鹿児島との差別化(を図る)。差別化といいますか、とにかく「赤」のイメージでいこうというのが、今回の農林水産物の統一イメージであります。
それをどういうふうに売り出すかというのは、これからも展開していきたいと思っています。
質疑応答
百年の礎について
(幹事社)
知事、今、お話があった中の百年の礎のお話なんですけれども、先日、州都構想の策定を県がされまして、その中で横軸の交通ネットワークの話と、あと危機管理拠点を目指すという大きな柱がありますけれども、新年度、どのような具体的な取組みを考えていらっしゃいますか。
蒲島知事
先ほども「百年の礎(を築く)」の中で言いましたように、全ての道が熊本に通じるという(取組みの中で)、とりわけ2つが大事だと思っています。
1つは中九州横断道路〔※正しくは九州中央自動車道〕、これは今回の補正予算でもかなり大きく予算が付いたので、進むのではないかと思っています。
もう1つは、(熊本と)大分を結ぶ、これは中九州横断道路ですね。さっきのやつは九州中央道路〔※正しくは九州中央自動車道〕で、中九州横断道路については、(国道57号)滝室坂のトンネルを将来、中九州横断道路に利用できるような形でできないかということを国に対して要望しております。
それ〔※国道57号滝室坂のトンネル利用〕ができれば中九州横断道路の方向性が見えてくるのかなと(考えています)。中九州横断道路、とりわけ滝室坂のトンネルについては、私と広瀬大分県知事の両県の知事で、もう既に3回だと思いますけれども、国交省の方にお願いに行っています。
それから熊本−大津線もやっぱり中九州横断道路の一部ですけれども、その計画の促進など様々なことに今年度は取り組みたい。この2つの道路、その他にも様々な立派なアイデアもありますけれども、州都を目指すとすれば縦軸の方は大体つながっていますが、横軸がとても弱いというのが、(くまもと)未来会議でも多分出た意見ではないかと思っています。
(幹事社)
危機管理拠点(を目指す取組みの方は)。
蒲島知事
危機管理については、熊本は例えば西部方面総監部がありますし、それから水も豊富ですし、食料も豊富であります。それから医療大県でもあります。
そして、ワクチンの生産工場もありますし、そういう意味では、ここ〔※熊本〕が一旦何か起こった時の危機管理の基地として機能できるのではないかなと思っています。
「大空港構想」という構想もありますけれども、その中の一つとしても、空港を中心とした危機管理の基地、そのようなことも可能ではないかなと思っています。
そういう意味では、州都を目指した動きの中でも、危機管理の基地として食料備蓄を含めたそういうものが考えられないか、今、部内で検討中であります。
質疑応答
道州制について
(幹事社)
関連して、やっぱりその道州制に対する関心というのがなかなか高まらないという現状があると思うんですけれども、そうした中で世論喚起というのは何か具体的なアイデアというのは。
蒲島知事
道州制に関して、議論が高まって、例えばすぐに実現すると思った時に、急いでやってもこういうものはだめであると私は思っています。
だから1期目からこの問題に取り組み、そして州都を構想すること自体が熊本の品格、あるいは熊本の経済的な豊かさ、熊本の安全性、それから熊本の将来の夢、これら全てにわたってプラスの影響を与えていると私は思っています。
だから仮に道州制の下で州都にならなくても、それを目指した、この私は今2期目ですけど、8年の動きというのは必ずや熊本のプラスになると確信しています。
そういう意味では、州都を目指して、(熊本の)レベルアップを図ろうと。州都を目指して九州全体のセッター役を担おうと。そういう県政の中心課題〔※州都を目指すこと〕、それそのものが私は熊本の発展にとって良かったと今でも確信しています。
もう一つは、道州制が出来なかったらどうしますかということでありますけれども、今、道州制の議論は自民党政権の一つの約束でもありますので、5年後を目指して、いつどういうタイムスケジュールでこの議論が展開されていくか分かりませんけれども、それ〔※道州制〕に向かっていることは間違いありませんよね。そして、決まった時に今から考えますというのでは、絶対遅いと私は信じています。道州制が実現した時には、素早く熊本が(州都に)手を挙げることができる体制を持っている。そして、州都を目指すことによって自らのレベルアップのために働くと、そういう状況じゃないですかね。
質疑応答
TPPについて
(幹事社)
知事、すみません。もう1点だけお願いします。TPPに関してですが、先だって県の影響額が発表されました。非常に大きい金額だったと思います。その後、要望書を持って要望に行かれました。この影響額の受け止めと、今後の国へのアプローチを教えてください。
蒲島知事
869億という額は大変大きなものです。そして、今度公表したこの試算額というは、政府が示した試算の方法に基づいて、国と同じ条件で、本県の農林水産物の生産額への影響額を算出いたしました。
それで、TPPに対する要望も行いました。これは3月25日に林農林水産大臣と、それから内閣府の西村副大臣にお会いしました。
そこで、私が要望書で述べたのは、政府におけるTPP協定の加入の是非です。もう交渉入りは決められましたので、加入の是非を判断する前に、わが国の農業、農林水産業の将来ビジョンを示すこと、これが第1であります。第2に、国民に対する十分な情報提供に努めること、この2点を強く要望してきました。
私は農業県の知事として、常に農家の側に立って発言することが重要だと認識しています。両大臣も、十分このことに関しては認識されているのではないかと感じました。
ただ、お二人からはTPPの有無に関わらず、農業をどうするかということは喫緊の課題であり、振興策が必要であると、そういうお話をいただいたところであります。
(幹事社)
今後のアプローチというのは、何か具体的にお考えですか。国と政府に関してですが。
蒲島知事
今、この農林水産大臣とそれから内閣府の西村副大臣(に対する要望により)、もうできることを最大限にやってきたのではないかなと思っています。
(幹事社)
じゃ、各社さんどうぞ。
Q
すみません。時間があまりないということなので先にします。
蒲島知事
はい。
質疑応答
包括外部監査について
Q
先日、包括外部監査というのがありまして、その中でですね、3点、県立博物館松橋収蔵庫敷地、阿蘇ソフトの村予定地、それと氷川警察署予定地、これが少なくとも10年から20年保有したまま、実際はあまり利活用されていない。収蔵庫については倉庫として使われてはおりますが、それ以外の広い土地が余って使われていないという指摘が、そこの監査の中で出てきてますが、それについて知事としては今後どのようにされるというようなお考えはございますか。
蒲島知事
はい。指摘された事項については改善に向けて全庁を挙げて取り組むというのが一般的なお答えになります。
ただ、今、個別の案件、県立博物館の松橋収蔵庫、それから阿蘇ソフトの村、私は両方とも見ましたけれども、それぞれの土地については、所管部局を中心に、利活用あるいは売却の両面から地元を含めて検討させているところであります。
様々な課題がありますけれども、なるべく早く方向性を見い出したいというのが、今日のお答えです。
Q
検討させているというのは、その包括外部監査結果を受け、知事がその後に指示を出したという、そういう認識でいいですか。
蒲島知事
私がこの松橋収蔵庫を見たり、あるいは、災害の後でしたが、(阿蘇ソフトの村を)見て、それなりにそれぞれの部局は考えていたと思います。ただ、今回指摘を受けて、更に具体化、利活用するのかあるいは売却するのかという、その両面から、地元の意見もありますので、それを含めて検討させる、そういうことであります。
だから、この包括外部監査というものが、大変立派な報告書が出ていますので、(検討を)加速化させたことはあると思います。
質疑応答
臨時財政対策債について
Q
知事すみません。もう1点、よろしいですか。
ちょっと先日、うちも報道したんですけれども、臨時財政対策債の話なんですけれども、うちとしてはあの件については4年前も同じような指摘をさせていただいてて、どんどんどんどん膨らんでいって、交付税は増えない中で、どんどんどんどん償還額が膨らんでいっていると、このままでどうなんだろうかと、国も打ち出の小槌があるわけじゃないので、どうしようもないというのは多分関係者の中ではよく分かっている話だと思うんですが、それを知事としてというか、いわゆる地方自治体としてどのように今後あの問題というか、今後かなり大きな問題になると思うんですけれども、どういうふうに政府に対して話を持っていくというか、どういう動きをしていこうかとか、そういう今後の動きとか考え方について。
蒲島知事
はい、私ども県ができることについては、例えば通常債残高が1兆円を切るよう、4年間で財政再建に取り組んできましたし、特に職員数の削減、それから給料カット、本当に血の滲むような努力をして、我が県としてできる財政再建はやってきたと思っています。
ただ、今おっしゃったように、国がやらなくてはいけないこと、県としてどうしようもないことがそのまま積み重なっているという(状況です)。私は(記事掲載の)グラフは、ちょっとミスリーディングだと思います。あれ〔※臨時財政対策債〕をただ県債残高に積み上げてしまうと、借金が増えているように感じられますけれども、決してそうではなくて、県として努力できる分、できない分というのはやっぱり国に対して、これからちゃんとその部分〔※県として努力できない部分〕を交付税、あるいは措置をしてくれるとか、そういうことを(国に)言っていかなくてはいけないと思いますし、国もちゃんとそのことは考えていると思います。
あれ〔※臨時財政対策債〕を県の借金だと思っていることは絶対ないと思いますので、そういう意味では、知事会でも時々その話が出ます。早くこれをどうかしてくれと。ただ、今のところ国としてもお金がないものですから、ああいう形でやっているんでしょうけれども。ただ、知事会の認識、我々の認識としては、あれ〔※臨時財政対策債〕は国の借金であって、県の借金ではないと。それで、(国は)税制改正なんかをやるわけですから、そういう消費税、あるいは税制改正の機を利用して、(我々は)アプローチをしなくてはいけないのではないかなと思っております。
Q
最悪のシナリオとして、知事がおっしゃったとおり、今の段階ではあれ〔※臨時財政対策債〕は国の借金を肩代わりして県が持っているという、そういう形にはなってますが、消費税税率アップとかいろんなタイミングでですね、やはりもう国としても持てなくなってきているのは事実だと思うんですよね。最悪のシナリオとして申し訳ないけれども、もう地方で持ってくれと。そういうことも想定し得るのではないかと思っているんですが。
蒲島知事
そういうことは私はあってはならないと。そういう、約束と違うようなことはしてはいけないと、それが政治だと思っていますので、そうはならないと思うし、(仮に)なるような状況になれば、知事会を挙げて大反対ののろしが上がると私は思います。
質疑応答
包括外部監査について・2
Q
外部監査の関係に戻ってお聞きしたいんですが、県立博物館の事業に関しては、監査結果を受けても担当課の方では凍結の方針を、当面の間は続けるというようなことをおっしゃっています。一方で、監査人の方はそういった塩漬け状態というのは民間企業でもあり得ないことだといったようなコメントをされていますが、こうした状況を知事としてはどう受け止めて。
蒲島知事
先ほど言いましたように、この監査報告を受けて、県としては利活用と売却両面から検討して参り、早急に結論を出したいと思っています。
現段階ではそこまでしか言えない。
Q
時間的に、今年度中に結論を出すとか。
蒲島知事
地元の意向などもありますので、時間を区切ることはちょっと難しいんですけれども、ただ、これ〔※監査指摘〕を受けて、なるべく早く(結論を出したい)というところまでで、私のコメントは止めたいと思います。
質疑応答
五木村の振興について
Q
知事すみません。知事も現地に行かれたかと思うんですが。先日、五木村の頭地大橋が完成、開通、供用開始ということになりました。改めて現地でもいろいろお話をされていらっしゃるとは思うんですが、改めてこの頭地大橋の完成を受けまして、今後、五木村の振興も含めてですね、どのように県として進めていくのかというお考えをお願いします。
蒲島知事
私が、2008年9月11日の白紙撤回で最も悩んだのは、川辺川ダムの白紙撤回をしてしまえば、五木村の振興事業が止まるのではないかと。制度的にはそういうふうになっていました。それを止めないために、私もその発表直後に(当時の)福田首相にお会いして、五木村の振興は是非そのまま進めてくださいということをお願いしました。
予算の項目は正確には思い出しませんけれども、川辺川ダム関連事業となっていたと思います。その意向を受けて、川辺川ダム調整事業に変わって、そして頭地大橋の事業はそのまま進められて、他の様々な振興対策も続けてくださったのではないかと思っています。
そういう過去の思いがありますので、頭地大橋が立派にできたことに対してはとても嬉しく思いました。
そしてそれが何よりも五木村の観光、あるいは振興、五木村だけではなくて、球磨川流域の振興策に結びついていけばいいなと思って、心から喜んで落成式というか、開通式に参加したところです。
Q
今後の五木村の振興が、ある意味では頭地大橋という大きな構造物といいますかインフラ整備の中核を占めていた部分もあったかと思うんですが、そういったものができたというのが1つ区切りとなるとしますと、今後また改めて五木村の振興というのはどういうふうになりますか。
蒲島知事
今、国、県、それから村の三者合意でハードの部分は振興策を進めておりますし、それから、2008年の白紙撤回の表明直後に、10億円の基金を積んで五木村の振興についてのソフト対策を、今、行っています。
そしてそのソフト対策の結果、観光客もそれ以前と比べると倍になっています。そしていろいろなアプローチが今、行われておりますので、その対策はこれから生きてくるんじゃないかなと思っています。
何よりも、五木村の方々がとても元気がよくなったと私は思っています。私も頭地大橋の開通式の前に五木村に泊まりましたけれども、次の日の朝起きて、あの素晴らしい景色を見て、観光地としての五木村の可能性が非常に大きいことを感じました。
それをどんどんどんどん、我々県も応援して、そして五木村と一緒になって振興策を進めていきたいと思っています。
だから、頭地大橋が出来たからそれで終わりではなくて、区切りがついたのではなくて、五木村の振興はずっと続けていくものだと私は思っています。
Q
それからハードの部分のお話でいきますと、先程知事も冒頭おっしゃいましたように、制度的にその白紙撤回によって五木村のハード整備をすることができないという点にも関係すると思うんですが、そういった部分で現行制度でできることを進めるということでやってきたかと思うんですが、一方で、ダム中止後のその補償法案というのが民主党政権時代から俎上に上がりながらもできなかったり、今もまだ国会にも上がっていないという状態が続いていますし、それからもう一つは関連するところでいくとダムの基本計画ですね、これはハード整備を止めないためというところもあったと思うんですが、まだ正式にはその廃止の手続きにはなっていない、そういった課題もまだ残っていると思うんですけれども。このあたりはいかがでしょう。
蒲島知事
本来は、政府が約束したように、補償法案を作ることが正当な対応だと思いますし、それが国民に対する約束だったわけであります。ただ、それが非常に長引いて、我々はそれを待っていたらどんどん遅れるだけですから、それがあってもなくてもできる形で、国と県と村の三者合意を行いました。
多分、県の政策としてはものすごく珍しいと思いますけれども、県が三者合意を促進するために、ハード事業があった時の県の負担分を約束するという形で三者合意がなされて、今、その三者合意に従ってハード面の整備が行われている状況でありますから、それに沿って粛々とやっていきたいと思っています。
だから、補償法案ができる、できないに関わらず、それをただ待つだけではなくて、自ら動いて三者合意に基づく振興策をやっていきたいと思っています。
質疑応答
衆院選の1票の格差について
Q
すみません、衆議院選挙の定数、1票の格差是正をめぐり政府の審議会が小選挙区の区割り案をしましたけれども、これについての見解を。
蒲島知事
今、全国の高裁で違憲判決が相次いでいます。中でも選挙無効の判決がなされたことは司法の方が衆院選において著しく投票価値の平等が損なわれているとの判断を示したものではないかと大変重いものがあると考えています。
ただ、選挙の効力については各地の高裁判決でも見解が分かれておりますし、また、いずれの裁判も上告されると聞いておりますので、今後の裁判の推移を見守りたいと思っています。いずれにしても、早急に投票価値の平等を実現する制度改正がなされる必要があると考えています。
ただ、選挙を専門とする政治学者の立場からいうと、今の議論は水平的価値、水平的平等というんですか、人口の水平的な平等に価値観がより置かれているのかなと思っています。
平等には、水平的な平等と垂直的な平等があります。例えば所得税を考えると分かりますけれども、消費税は全く水平的平等ですよね。誰が買っても同じ税率です。そして垂直的平等というのは所得税のようなもので、多額の納税を課せられるお金持ちと、それから納税をしなくてもいい経済的に恵まれない人、これが垂直的な平等だと思うんですよね。多分この2つが私はこの一票の格差にも重要ではないかなと思っています。
そういう意味では、地方の声が十分に反映される、そういう垂直的な平等の議論も必要ではないかと思っています。
これはマスコミの人達も是非(議論に)参加して、水平的平等ばっかり言わないで(欲しい)。垂直的平等も重要だというのは、分かりますよね。そういう意味ではアメリカの上院と下院は、下院は全く水平的平等で、それから上院は垂直的平等という形で処理しているのかと思っています。
質疑応答
包括外部監査について・3
Q
知事すみません。また外部監査に戻るんですけれども、今後の方向性の話は先程伺いましたけれども、そもそもですね、財政再建を進める中で、こうしたその塩漬けの土地というのは真先におそらく売却したりですね、見直しの対象というふうに上がってくるべきものだったと思うんですけれども、これがなぜこれだけの長期間、塩漬け状態で放置されておったというふうにお考えですか。
蒲島知事
財政再建戦略で多くの財産を処分したことは皆さんもご存知だと思いますし、それによって財政再建の戦略が随分と前進したと思っています。
ただ、これらの土地について、財政再建的な観点から見られていたのか、あるいは将来の利活用を中心に見られていたのか、あるいはそれを考えないで置いていたのか、ちょっと私もここにお答えできません。管財課が来てますかね。
(知事公室長)
これについてはそれぞれ所管の考え方がありますので、また適切なご説明をさせますのでよろしくお願いします。
質疑応答
全国知事会の会長選について
Q
もう1点、今月、全国知事会長選挙があるんですけれども、それについてどなたを支持されるとかいう、もしあれば。
蒲島知事
全国知事会の会長選ですか。
Q
はい。
蒲島知事
はい。私は既に山田現会長を推薦することに決定しております。
Q
理由は。理由もお願いします。
蒲島知事
知事の中でも傑出した実行力と、それから能力のある方でありますし、また、個人的にも、熊本県にとても好意を持たれているというふうに思っています。だから熊本県のためにも素晴らしい会長ではないかと思います。
質疑応答
衆院選の選挙区割り改定案について
Q
知事、行ったりきたりして申し訳ないんですけれども、さっきの選挙区の話で、県内では美里が5区にということで、美里をはじめですね、宇土や宇城の議会でも、それに反対する意見書が可決されていますよね。県としても意見書、そういう美里とかの意見を受けた形で、何というかな慎重な議論というか…。要するに否定するような話が。
蒲島知事
美里町からは、地域の一体性が損なわれること、それに対して強い懸念が出されました。
県ではそれを踏まえて、具体的な選挙区画の見直しに当たっては地域の実情を是非考慮して欲しいと。そういう意味では抜本的な制度改革を含めた慎重な検討が必要だという意見書を出しました。
ただ、今回の区割りの改定というのは、平成23年3月の最高裁判決を受けて緊急の是正措置として行われるものでありますし、区画審においては是正のために必要最小限の区割りの見直しが行われたものでありますので、やむをえないものと受け止めています。
衆院選の1票の格差について・2
Q
先程知事は、ちょっと難しい話をされてよく分からなかったんですが、水平と垂直という話をされたんですけど、要するに人口比例で定数を決めてしまうと、地方の声が届かなくなるんじゃないかという。
蒲島知事
例えば一番いい例が、島根、鳥取の人口は少ないですから、そうすると、100%水平的な区割り、水平的な配分でいけばですね、そこは議席がなくなるという、今はそうでないですけど、将来そういう可能性もありますよね。
将来的に、人口がどんどん減少していく所、そこの声は少なくなっていくと。それが水平的な議席の配分ですよね。
そうではなくて垂直的というのは、そういう所の声も届くような、そういう配分。だから先程言ったアメリカのような上院は垂直(的配分)と、つまり各州に(議席を)2席ずつ置きますよね。どんな小さなアラスカ州でも2議席あるわけです。
しかし、下院は全く水平的ですから、アラスカは1議席しかないんです。下院はね。だからそういう意味では、両方のバランスを考えた抜本的な改革が本当は必要なのではないかと。今の議論はどちらかと言えば、水平的な価値観が強いと私は感じています。
Q
ということは、その人口比で、必ずその人口比だけで決めるべきではないというお考えですか。
蒲島知事
人口比例だけが平等なのかという本質的な議論が必要ではないんでしょうか。
人口比例は勿論大事です。ただ、垂直的な、例えば日本で所得税を廃止して、全部その消費税でいくとか、それでいいのかと。
あるいは、累進課税はお金持ちがより払うようになっていますけれども、それは水平的な平等ではないですよね。
だからまさにその2つをどう考えるかというのが選挙の難しいところではないですかね。ただ、人口割でいくと分かりやすいのは分かりやすいですよね。でも、そうなった時に議席が減る県が出てきますし、地域が出てきます。
それは議席減となるかもしれないし、このような形で区割りの変更となることによって、地域の一体感がなくなるとかですね。
だからいろんな面からこの問題を見るべきだと私自身はそう思っています。
Q
じゃすみません。そろそろお時間が過ぎていますので。
県民総幸福量の最大化について
Q
すみません。朝日新聞です。
知事、4カ年戦略のお話冒頭にされましたけれども、その中で県民総幸福量の評価の指針といいますか、評価法を導入されておりますが、今まで2ヵ年分の数値を発表されていると思いますが、今年は去年の11月にアンケートを採られて、今年は春、実施されるとか、あと1年目と2年目だと若干設問を少し調整されたりとかありますが、今後の方針といいますか、どのようにその県政の評価に導入されていくのかと、方針を。すみません、繰り返しになるかもしれませんが。
蒲島知事
幸福量の最大化を、幸福をどう測るかというのはとても難しいことなんです。それで私どもは、例えば県民所得であるとか、あるいは持ち家であるとか、あるいは大学進学率であるとか、そういう客観的な指標に基づく幸福量ではなくて、主観的な県民総幸福量「アグリゲート・クマモト・ハッピネス」という「AKH」という形で、今、指標化を進めておりまして、これは多分学問的にも、それから政治的にも行政的にも大胆なアプローチだと思いますけれども、それをする時に、質問というのはとても大事なんです。質問は毎年毎年変えていったら、出てくる数値が信頼できないですよね。
だから質問をよりいいものにしたという意味では1度は変えましたけれども、今後は同じ質問で、それが主観的な幸せ度を測る、そういう指標にしていきたいと。
だから、知事としては大変厳しいんです。あるいは県庁としては。それはなぜ厳しいかというと、主観的なハッピネスを常に測り続けるわけですから、それが上がるように、少なくとも下がらないように、一生懸命に知事も県庁もそれに向かっていかなきゃいけない。
まさにそれが私は行政ではないかなと思っていますので、そういう真剣勝負、そういう気持ちで、この県民の幸福量の最大化を図っていきたいと。
だから、何が幸福量に影響するかというのを常に考えておかないと、幸福量は上がりません。先ほど言ったように、4つの要因を出したんですけれども、これは1期目に出したものですけれども、私が考えるには、この経済的な豊かさと品格と長寿安心と夢でまとめたんですけれども、それ以外にもたくさんあります。
例えばくまモンなんかはその当時考えもしませんでしたよね。でも、くまモンが登場したら、考えてみれば4つの要因にすべて影響を与えて、そしてくまモン自身もプラスの影響を与えている、幸せ度に。
そういう意味では、このような政策をいくつ探し出すことができるか。必ずしも箱ものを作ったからといってこれが上がるはずないですよね。
だから、県庁の職員に年度当初の訓示をした時に、くまモンを例にとって、新たな政策を考えていこうと。そうすればこの幸福量が上がっていくと。もう十分、今、私は幸福量は熊本県の場合は高いと思いますけれども、より一層上げていきたいなと思っています。
Q
じゃ今後も年に1度、継続してやっていかれる。
蒲島知事
継続してやっていく。
年に1度かどうかはそれはちょっと分かりませんが、継続してやると。
少なくとも私の任期中はですね。
(幹事社)
ありがとうございました。