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平成26年 2月12日 知事臨時記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006763 更新日:2014年2月12日更新

知事臨時記者会見

日時:平成26年2月12日(水曜日) 11時00分から
場所:知事応接室

会見録

知事臨時記者会見の会見録を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。

コメント・質疑応答

瀬戸石ダムについて

コメントする蒲島知事の写真

蒲島知事
 今日は、瀬戸石ダムについて、緊急の記者会見を開きたいと思います。

 瀬戸石ダムについては、河川法の規定に基づき、1月17日付で、国土交通省から、許可したいので、県知事の意見を求める旨の、意見照会がありました。

 国土交通省に対し、知事意見を本日付で回答いたしましたので、これについて御説明いたします。

 まず、結論から申し上げます。私は国土交通省の許可したいとの方針に対し、附帯意見を付けたうえで、「支障なし」と回答いたしました。

 その附帯意見とは、

 第1に、地域の生活環境、自然環境などの保全について十分な対策を取っていただきたいというものです。そして、対策後も環境調査などの措置を講じていただき、必要があれば追加の対策を講じていただきたいと思います。

 第2に、球磨川における水産振興に十分な対策を講じ、流域の農業振興についても配慮をしていただきたいと思います。

 第3に、瀬戸石ダムは、国が実施したダム定期検査で、ダム湖に堆砂があり、「早急な対応が必要」との判定を受けています。このため、今後、河川の治水面での安全性を損なわないように、環境に十分配慮したうえで、迅速かつ的確な対策を実施していただきたいと思います。

 第4として、今後の許可期間内における地域からの要望・意見に対しては、真摯に耳を傾け、十分な配慮・対応をしていただきたいと思います。

 これが、4つの附帯意見であります。

 次に、検討の内容について御説明いたします。

 今回の許可申請は、瀬戸石ダムの設置者である電源開発株式会社、以下、電源開発と呼ばせていただきます。電源開発から、許可権者である国土交通省に対し、「最大使用水量の変更が無く、期限の更新のみ」のいわゆる“単純更新”として申請がなされたものです。

 これに対し、国土交通省はそれを認め、河川法第36条の規定に基づき、県知事に対して、今回「許可期間を更新し継続して取水することは問題ない。」との方針を示して意見照会がなされました。

 私は、今回の意見照会に対し、所管の土木部のみならず関係する部局が連携し、その内容をしっかりと把握・検証したうえで意見を取りまとめるよう指示いたしました。

 一方で、県民から、「瀬戸石ダムが球磨川や下流の八代海の環境悪化の要因となっていること。」また、「赤潮・アオコの発生や堆積ヘドロにより悪臭が発生している。」、「ダム放流による騒音、振動が激しく夜も眠れない。」などといった御意見が届けられています。

 私は、この様な御意見が寄せられた際に、自ら要望書を読むとともに、担当者から報告を聴き、そして、これらの御意見をしっかりと検証し、知事意見として反映すべきものがあれば、しっかりと取り入れるよう指示いたしました。

 このような全庁的な取り組みの中で先程述べた知事意見を取りまとめました。

 ここで改めて、ダムに対する私の考え方を説明いたします。

 蒲島県政が誕生して以来いくつかのダムの在り方について判断をしてきました。具体的には川辺川ダム、荒瀬ダム、路木ダム、五木ダム、立野ダムです。

 私は、ダムの在り方を検討するにあたって、「ダムありき」あるいは「ダム廃止ありき」のどちらの立場に立つものでもありません。「一つ一つのダムは、果たすべき役割、歴史的背景、事業の進捗状況、流域住民や市町村の受け止め方など、それぞれ状況が異なっています。そのため、個々の状況に応じ、総合的に検討し判断することが重要。」というのが私の考え方です。

 私は、それぞれのダムの在り方について、このような考え方に基づき、全庁的な検討を行い、総合的な判断を行って参りました。

 最後に、電源開発と国に求めることを申し上げます。

 今回、意見を求められた瀬戸石ダムも、現在撤去を進めている荒瀬ダムと同様、戦後間もない我が国の復興の時期に建設され、電力の供給という役割を立派に果たして来ました。しかしながら、生活環境や自然環境、漁業などにダムが与える影響は否定できません。電源開発と国には、そのことを是非認識していただきたいと思います。

 特に、今回の附帯意見について、ダム設置者である電源開発においては、できる限り、迅速かつ的確な対応を講じていただきたいと思います。

 さらに、これらに対する基本的な考え方や具体的実施のスケジュールについて、協議の場を設けるなど、地域の住民の方々に対して、十分な説明を行っていただきたいと考えています。

 また、許可権者である国土交通省においては、今回の附帯意見が確実に実施されるよう、必要な指導監督をお願いいたします。

 このことにより、瀬戸石ダムが環境や地域と共生し、今後も、再生可能エネルギーの確保や地域の雇用、経済などにも貢献していただくものと確信しています。

 以上が、瀬戸石ダムの意見照会に対する私の説明であります。

(幹事社)
 附帯意見を4つも付けられましたけど、それでも支障がないというような結論を出されたという部分について、もう少し。どうして附帯意見を付けながらも、よい〔※「支障なし」〕という風に判断されたのかを教えてください。

蒲島知事
 これ〔※瀬戸石ダム〕は県営ダムでありません。電源開発のダムであります。そして、既に国土交通省の方から、どちらかというと回答がほぼ決まっている中での私への意見照会でありました。逆に言えば、国土交通省の方は結論が出ていた中での照会であります。

 そういう中で、様々な地域の意見が寄せられました。県民からの意見もたくさん寄せられました。そのような意見を最大限に取り入れていただくということを附帯意見という形で、これまでの意見照会に対する回答としては、かなり異例だと思いますが、県民の側に立って、そして様々な御意見を反映する形でこの附帯意見を申し上げたというところであります。

Q
 附帯意見の第2のところで、「水産振興に十分な対策を講じ」とありますが、これに関して、球磨川漁協は知事に対して、荒瀬ダムが撤去されることに伴って、今ある漁業補償が切れてしまって、Jパワーに、鮎の遡上分(の補償)を求めるように知事に意見していた〔※して欲しいと要望していた〕と思うんですが、それに関しても「水産振興に十分な対策を講じ」に含まれているという理解でよろしいか。

蒲島知事
 様々な意見が私の方に届いております。そういう意味で、この第2番目の球磨川における水産振興に十分な対策を講じていただきたいという形で附帯意見を申し上げたところです。

Q
 様々なことの一つに、今、私が申し上げたものも入っていると。

蒲島知事
 様々な意見の中で、それを考慮した形で附帯意見を申したということです。

Q
 附帯意見という言い方ですが、最後のお話を聞くと、国交省には、これらが確実に実施されるよう指導監督して欲しいということですし、Jパワーにはちゃんとこれを履行してくれということをおっしゃいましたけれども、その中で、Jパワーには、協議の場を設けるなどと書いてありますが、これは、まさに地域の住民であったり、球磨川漁協であったり、関係者との協議の場はちゃんと設けてねと明確に今日、おっしゃって。

蒲島知事
 具体的にいうと、荒瀬ダムの存続撤去にかかわって、県が対応してきた経験を加味しながら、この附帯意見を付けさせていただきました。

 この附帯意見は法的に拘束力があるというよりも、これからJパワーさんが20年後の次の更新までに、附帯意見に沿ってやっていただくことによって、先程言ったように、環境との共生、地域との共生、あるいは雇用の場の確保(に貢献されること)、そういう形で存続出来るかどうかことについては、この附帯意見に沿って行動されることが大事ではなかろうかということを、我々も荒瀬ダムの経験から感じておりました。そういうことも含めながら、今回の附帯意見を付けさせていただきました。

 だから、拘束力というよりも、これをやらないとJパワーさんそのものも、様々な反対運動、あるいは県の次〔※20年後の更新時〕の意見、それから国土交通省の判断(など)、様々なことで、20年先のことになりますが、それに向けての行動の指針となるのではないかと思います。

Q
 先程、様々な意見があったということをおっしゃいましたが、知事が結論を導かれるまでに、瀬戸石ダムの撤去というのが必要ではないかと思われたことがあるのかどうかということをお聞かせください。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

蒲島知事
 私は、「球磨川は宝」という言い方で、川辺川ダムの中止を求めたり、最終的に荒瀬ダムの撤去を決めたりしましたが、先程も言ったように、ダムそれぞれによって違うんです。背景も違うし、その置かれた役割の重要性の違いも出てきますし。そういう意味で、今回は既に国土交通省の方から結論を示して、意見照会がありましたので、この意見照会の中で、意見を申し上げられるとすれば、「支障なし」と(だけ)答えるというのは、普通、通常のパターンかもしれません。

 しかし、様々な県民の思い、流域市町村の思い、それを反映する形で、やや異例ではありますが、4つの附帯意見を付けて回答したということであります。

 その附帯意見は、先程から申しますように法的拘束力はないかもしれませんが、更に、Jパワーさんがそれを続けたいとしたとき、これはとても重要なポイントになるのではないかと思っております。

 特に、様々な御意見が県民の皆様から寄せられた中で、漁業振興の面、環境の面、地域振興の面、様々ありました。それをこういう4つの附帯意見という形でまとめさせていただいたところであります。

Q
 慎重な対応を求める方々の中にはですね、知事に現地に来ていただいて、まず見てもらって、地元の住民の方と話をして欲しいということが、再三、河川課に要望が上がっていたかと思うんですが、それについてはどういう形で。

蒲島知事
 私も瀬戸石ダムは何度も何度も見ておりますし、荒瀬ダムも何度も何度も見て、たぶん、歴代の知事の中でも最も現場に足を運んだ方ではないかと思っています。それで要望の内容も、各担当者からよく聞いておりますし、私宛にこのような手紙〔※住民団体からの要望書を示しながら〕もいただいて、それをしっかりと読ませていただきました。それで、スケジューリングの関係とか、あるいは、いろんな県庁のスケジュール、特に知事のスケジュールというのは全庁的な形で決められますので、私自身はお会いすることは全然嫌でもなんでもなかったんですが、こういう情報はすべて私の方に参っているということで、私自身も状況は十分把握しています。

 そういう形で、その要望にどのようにして応えられるかという中で、「支障なし」と回答するけれども、附帯意見を付けると。附帯意見の内容については、先程詳しく述べましたが、そういうこと〔※附帯意見を付けること〕は、やや異例であると思いますが、県民の皆様の御意見に耳を傾けて、そして、しっかりと自分自身で応えられるような形で、今回の形で回答させていただきました。

Q
 附帯意見はあくまでも国交省への回答に付けられた意見と思いますが。

蒲島知事
 附帯意見そのものは、(国交省への)回答に付けられていますが、今の説明で申し上げましたように、Jパワーさんへの要望がほとんどで、それを国交省の方はきちんと見ていただきたいということ。たぶん、熊本県もこれからきちんとどのような形でJパワーさんがこの附帯意見を考慮されるのかというのは見届ける責任があります。

Q
 見届ける前に、これをJパワーの方に、直接、県から伝えに行くとか、伝える文書を送付するとか、そういうことはされないんですか。

蒲島知事
 これ(附帯意見)は、一緒に送付するんですね。どういう形になりますか、事務的には。

河川課長

 回答文はあくまでも国交省だけに(送付することに)なります。

蒲島知事
 両方とも(回答を)やるんでしょう。

河川課長

 いえ、Jパワーの方には、この回答文は手続き上、いきません。

蒲島知事
 回答はあくまで国土交通省に対する回答だということであります。

Q
 ということは、この会見というのは大事かと思いますが、今、知事がおっしゃったこの要望というのは、少なくとも法的拘束力はないでしょう。ただの県の要望・要求でしかない。知事がおっしゃったJパワーが20年先、さらに更新しようと思うのであれば、こういう県の出した意見に沿って、やっていかないとその先は分からないよというそういうお気持ちがあるということですね。

蒲島知事
 20年先がどうなっているかは、ここで私はコメントできませんが、20年前の(今回の)県の判断というのは、県の判断ですから。それで20年後にもし単純更新かどうか分かりませんが、Jパワーさんが存続を希望されるとしたときに大きな意味を持ってくるのではないかと私は確信しております。そうすることがこの拘束力があるなしに関わらず、今求められている発電ダムの役割ではないかと思っています。それを私自身は荒瀬ダムで深く認識しました。

Q
 手続上の、確認みたいなものが入って恐縮なんですけれども、今回の水利権更新の際に、定期検査というもの、いわゆる国交省のダムの定期検査が6回ですね、早急な対応が必要と。これは「支障なし」の答えを導くにあたっては考慮されたのかどうか。

蒲島知事
 「支障なし」(の意見について)は、一定の水量が決められていますし、それに(最大)取水量に変更がないということで、そういう観点から、この治水面の問題については、これには反映されていません、この意見の聴取には。しかし、そういう判断が出ているということを我々は深くみて、第3番目の附帯意見で、瀬戸石ダムは国が実施したダム定期検査で、ダム湖に堆砂があり、早急な対応が必要との判定を受けていると。これは間違いないことです。今後、治水面での安全性を損なわないように、環境に十分配慮したうえで、迅速かつ的確な対応をして欲しいということであります。

 だから、「支障なし」の回答(となりました。)(国交省の許可妥当との判断や県への)質問文、国交省の意見聴取はこの分〔※ダム検査のこと〕は入っていないですよね。この分〔※ダム検査のこと〕は、「支障なし」には入ってないというように国交省は見ているわけですよね。(それで)私どもは附帯意見として出したということです。

Q
 そうはいっても、河川法第1条の目的というそもそもの所を見るとですね。安全性とかそういったところを目的とする安全保持とか公共の福祉の増進とか 河川法に基づくとなるとそれこそ安全性というのは。

蒲島知事
 それは私が判断すべきものではなくて、国交省が判断すべきもので、それに基づいて「支障なし」と。我々は、国交省の更新が妥当という結論に支障ないと答えたと。更新は妥当と答えた時に、その分も当然、国交省は考慮されているでしょうから、我々は、附帯意見にこういう形で国交省からの検査の結果(を受けた対応)を付けたということですね。

Q
 そもそも意見照会の段階で、更新を許可したいということで認める方向で意見照会したと。そのことについてどのように受け止められますか。意見照会ならば、全くまっさらな状態でするという手もあったかと思うんですけれども、国交省が。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

蒲島知事
 私自身は、国交省が自分たちの意見をしっかり出したうえで意見照会すべきだと思います。これは県に決めてくださいということではないでしょう。だから、方向性が許可の方向で結論が決まっておりますし、その中で県として何ができるかと。そして様々な御意見が寄せられていると、それを、反映すべきものはどのように反映できるかということを各部局に総合的に検討してもらって、今日の結論が出たということであります。

Q
 意見照会するなら、国交省も意見をある程度出してからやると。

蒲島知事
 それは様々なケースが考えられると思います。今回は、国交省の方が明確に更新が妥当という方向性を示されておりましたので、その方針に基づいて、我々はどのような意見が可能かということで、支障はないけれども、4つの附帯意見を出しましたと。4つの附帯意見については、皆さんのお手元にあるような附帯意見であります。

 これが、県知事として、これまでの様々な御要望・御意見・御批判、そういうことを踏まえながら、それを反映させたものであります。

Q
 県民からヘドロの問題であったりとか、騒音の問題であったりとか意見が出ておりましたけれども、知事が総合的に判断する材料の一つに、市町村の受け止め方というのをここに書いてありますけれども、ダムそのものに対する市町村の受け止め方というのをどういうふうに判断されたのかというのを教えていただけますでしょうか。

蒲島知事
 市町村の判断を求めるのであれば、国土交通省の方から直接、判断を求められるものではないでしょうか。もちろん、市町村の方から様々な御意見が上がってくれば私も考慮しますが。少なくともすべて、今回は御要望・御意見、様々なものが寄せられましたが、それは責任者、そして私の方にも届いておりますので、それを最大限に配慮して、この4つの附帯意見を述べたということであります。

 市町村長への意見照会というのは、国土交通省からはなかったですよね。

河川課長

 はい、今のところ、把握してません。

蒲島知事
 たぶん単純更新ということでなかったのだと思いますが、必要だとすれば、国土交通省が求めるべきものだと思います。

Q
 知事自身が市町村がどう受け止めているかということを判断されて、今回の決断に至ったという訳ではない。

蒲島知事
 私どもは、流域市町村、県民、それぞれの御意見を反映しようとは思っていましたので、今回の4つの附帯意見は、流域市町村の御意向にも適っているのかなと思っております。ただ、その場を設けたか、設けなかったかに関しては、正式に求めたことはありません。

幹事社
 よろしいでしょうか。では、終了いたします。ありがとうございました。