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平成28年2月2日 知事臨時記者会見
知事臨時記者会見
日時:平成28年2月2日(火曜日) 11時30分から
場所:知事応接室
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会見録
知事臨時記者会見の会見録を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
コメント・質疑応答
水銀に関する水俣条約締結の閣議決定について
(幹事社)
今日の政府による水俣条約の閣議決定について、どう受け止めていらっしゃるかお願いします。
蒲島知事
平成25年10月に本県で開催されました外交会議で「水銀に関する水俣条約」が採択されました。その水銀条約の締結が本日閣議決定されました。
私は、外交会議の開会式典において、世界で水俣病のような悲劇を二度と繰り返してはならないとの決意から「水銀フリー熊本宣言」を発表しました。そして、このたび、条約の締結が決定し、水銀削減の取組みが前進することを大変嬉しく思っています。
本年は、水俣病の公式確認から60年となります。条約の効力発生に必要な50ヶ国が一日も早く締結し、国際社会全体が水銀削減に向けた新たな段階に進むことを期待しております。
本県では、水銀フリー社会の実現を目指し、水銀含有製品の使用削減や回収など、先導的な取組みを進めております。
今後も、国を、そして世界をリードするような行動と提案を続けて参ります。
以上が今日のコメントです。
(幹事社)
幹事社から何点か質問させていただきます。
今回の閣議決定を受けて、国に対してどういったリーダーシップをとっていこうと思っていらっしゃいますか。
蒲島知事
皆様のお手元に配っておりますけれども、水銀フリー推進の主な取組みをそこに記しています。もともと、開会式典で、熊本がまずは水銀フリー社会になるということを宣言いたしました。それに基づいて、県では国をリードする形で水銀フリー社会の取組みを進めております。具体的には、そこに書いてありますが、例えば、昨年12月から、家庭の水銀体温計、血圧計の回収キャンペーンを行ったところ、約50kgの水銀を家庭から回収することができました。また、医師会などでもそういう取組みをやられておりますので、国に先んじてというのは、そういう意味であるわけです。
また、まず宣言をしたこと、それから宣言に基づいて具体的な行動をとったこと、そして、委員会などで具体的な回収方法などを含めて検討していただいたこと、それらは、環境省に大きな貢献をしたのではないかなと思っています。
(幹事社)
先ほど、お話の中にもありましたけれども、発効に向けて50ヶ国の締結が必要ということで、まだ半数ぐらいですけれども、それが50ヶ国になるために、熊本県としてどういった役割、発信をしていきたいと考えていらっしゃいますか。
蒲島知事
日本が締結すると23ヶ国目になります。50ヶ国必要ですから、約半分近くまできたのかなと思います。当然、国におかれましては、中国、韓国、EU諸国に対して、早期締結を呼びかけていらっしゃると思います。それに呼応して、熊本県はまず水銀フリー社会を実現して、そして、そのやり方など、回収方法など、色々なことを先導的に取り組んでいますので、そういうものが情報として発信できるのではないかと思います。それが多くの国にとって、水俣条約を締結しないといけないという機運になることを期待しています。
Q
先ほど50ヶ国の締結のために、県として先導的な取組みを続けていくということをおっしゃいました。コメントの中にも、今年公式確認から60年という言葉がありますが、条約の発効が年内、この60年の年に発効して欲しいという願いはございますでしょうか。
蒲島知事
各国の事情があると思いますけれども、やはりちょうど60年という記念すべき年といいますか、水俣病のような悲劇が二度と繰り返されてはいけないという発信の年でもあると思います。これを契機に50ヶ国が早く締結することを私としては希望しています。23ヶ国ですので、半分はきたということですから、これから加速度的に締結する国が増えることを祈っています。
Q
県の率先行動というのは、頂いている資料にありますけれども、使用製品の回収から水銀の適正な処理、それと代替製品の普及というところに今あると思いますけれども、県の率先行動として、この先どのようなことが必要なのかというお考えがあれば聞かせていただきたい。
蒲島知事
今、回収した水銀は、県で保管しています。しかし、国の方でどうやって処理していくかという技術的なものが必要になってくると思います。外に出さないという意味では、県で回収した分は、県で持っていますが、ずっと持つというのを、最終的には国と地方自治体を含めて回収の方法、そしてそれをどうやって処理していくのかというのが必要だと思います。
回収はできますが、それをどうやって処理して無毒化してくかということがこれから求められていくのではないかと思います。
Q
国レベルの検討課題としてあるのではないかということですか。
蒲島知事
国レベルでやっていただかないと、各県で効率的な処理というのはできないと思います。ただ、その間は出してはいけないわけですから、技術が確立するまでは、我が県では持っておくということになります。キャンペーンで50kgを回収しましたが、適正な処理方法が開発されるまでは、50kgを県で保管しておく。外に出さないということが大事ですね。
Q
それに関連しますが、条約の中身で言いますと、水銀の輸出が原則禁止となっていますが、完全に閉ざされているわけではない、同意があれば出せるという状況にあるわけですが、その辺りが条約の問題点ではないかという指摘もありますが、知事ご自身は、日本、水銀の被害を受けた国として、輸出する手段が残っているという状況をどのようにお考えですか。
蒲島知事
それはですね、そこまで詰めて条約ができなかったんだろうと思います。日本は当然輸出はしてはいけないと思っていますし、それから、熊本県がどうして水銀を保管するかというと、そういう可能性を0にしたいということなので、県では処理方法が確立するまでは保管しておく。そういう形で国全体も、私は、輸出するようなことは、もうないんじゃないかなと思っています。
Q
知事としての考えでも、できても輸出するべきではないということですか。
蒲島知事
はい。少なくとも、私は、日本はすべきではないと思います。
Q
発展途上国でも実現していかないとなかなか条約の実効性が出てこないと思いますが、県として提言されていかれることはございますか。
蒲島知事
提言というよりも水銀留学生というものを熊本では奨学生として年に2人ほど発展途上国から来てもらっています。こういう形で、技術移転というとおかしいですが、水銀の問題点、悲劇を外国に発信していくことが、この問題に対する関心の高さを示すことにつながっていく。
そういう意味では、もちろん技術移転というのも必要でしょう、回収の方法とか処理の方法、これを県レベルでやるのはなかなか難しいですけれども、県レベルでやれることはやっていきたいですし、実際、回収でも様々な課題が見つかりました。処理方法がないというのも大きな問題ですけれども、水俣病の悲劇を繰り返さないためにも、水銀留学生を受け入れて、その人たちを通して、水銀の怖さ、そして、問題点、それを発信できるのは、熊本ならではではないかと思います。
Q
条約の目的は、水俣病のような水銀被害を繰り返さないというのが大きな目標です。ですが、海外のNGOなどからは、日本はまだ、足元の水俣病問題が解決できていないのではないかという指摘があります。この条約と今年60年ということを考えて、知事の中で、水俣病対策について、改めて思うこと、心新たにするようなことというのはありますでしょうか。
蒲島知事
私も8年前に知事就任以来、私の第一声が1月29日に水俣湾でキャンペーンを、選挙活動を始めました。そして、その時に、私が誓ったことは、この水俣病問題をぜひ解決したいということで、まず当初は、特措法の進展がありましたので、それに貢献するという形で、特措法の成立に全力を傾けました。何かしらの役割があったとすれば、当時野党であった民主党に働き掛けて、与野党一致で特措法が成立したこと、特措法によって3万7千人の方々が何らかの形で救済されたことです。
ただ、水俣病はまだ続いています。そういう意味では誠実にこの問題に取り組んでいきたいと思っています。3期目も、もしやることができたなら、きちっとこの問題を、誠実に、そして被害者の方々に寄り添って解決の方向に進みたいと思います。
(幹事社)
ありがとうございました。