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平成27年 9月 3日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成27年9月3日(木曜日) 13時30分から
場所:知事応接室
動画
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会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
コメント
発表項目
報告事項
質疑応答
コメント
質疑応答
(幹事社)
今日の会見を始めたいと思います。
今日は、いつもの発表項目の質疑の後に、水俣病特措法の判定結果について、コメントがおありということで、その流れで進めたいと思います。
まず、知事からよろしくお願いします。
コメント
台風第15号について
蒲島知事
はい。まず、このたびの台風第15号で被災された多くの方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
球磨川で身元不明の遺体が発見されたと報告を受けております。水俣市在住の行方不明になられた方の可能性があるのではないかということです。大変いたましいこととお悔やみを申し上げます。
本県への台風の上陸は16年ぶりです。土砂崩れにより道路が寸断され、孤立する集落が発生したほか、一時、県内全域で20万世帯以上が停電し、復旧にも時間を要しました。
さらに、収穫を前にした梨、栗、柿などの果物が落果したり、文化施設や学校施設の一部が破損する被害も発生するなど、県民生活に大きな影響が出ました。
今後、被害の詳しい状況について情報収集を行うとともに、被災した施設等の復旧や、被害を受けられた方々への支援など、必要な措置を速やかに講じて参ります。
これから本格的な台風シーズンに突入します。県民の皆さんには、避難所や避難経路の確認、防災グッズの常備などをお願いするとともに、明るいうちに避難する「予防的避難」を心掛けていただきたいと思います。
発表項目
くまもとを応援する映画制作について
報道資料:くまもとを応援する映画制作について(PDFファイル:134KB)
蒲島知事
それでは、発表に移ります。
現在、策定を進めております本県の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」については、先月、素案をお示しし、明日まで、パブリックコメントを実施しているところです。
この素案は、新4カ年戦略の取組みを基本に、さらにこれを発展させ、熊本ならではの資源や自然環境など、本県の強みを活かした新しい取組みをいくつか盛り込んでいます。
本日は、こうした地方創生に向けた新しい取組みとして、「熊本にゆかりのある方と一緒に熊本を盛り上げていく応援映画の制作」と、「東京一極集中の是正に寄与する政府関係機関の地方移転」の2つについてご紹介いたします。
まず、1つ目は、熊本を応援する映画制作についてです。
2002年の日本アカデミー賞最優秀賞監督賞受賞で脚光を浴び、その後、「世界の中心で、愛をさけぶ」「北の零年」「春の雪」などの作品でヒットメーカーとなった行定勲監督は皆さんご存知のとおり熊本県のご出身です。
その行定監督が、今年の4月に県庁にお越しになった際に、私から地方創生の取組みとして、熊本を紹介する映画制作ができないかとの働きかけを行いました。
それを受け、今回、行定監督から、ふるさと熊本を応援する目的で、熊本の街並みや大自然を舞台に、首都圏で活躍する本県出身の俳優や著名人を起用した映画制作のご提案をいただきました。
県出身の出演者の皆さんは、「地方創生版チーム熊本」として、熊本を応援する気持ちで前向きに検討されています。出演者の決定を楽しみにお待ちいただきたいと思います。
事業主体は、行定監督等が所属する映像作品の企画会社「セカンドサイト」さんを中心に、撮影場所の熊本市、菊池市、阿蘇市を加えた「くまもと映画制作実行委員会」となります。
事業スケジュールについては、この秋から撮影を開始し、年明けの完成を予定しております。
その後、東京での完成披露試写会、各地で開催される映画祭などでの上映、動画配信サイトなど、広く発信される予定です。
今回の取組みは、キャスティングからストーリー、撮影場所に至るまで、全面的に熊本を押し出した内容となっております。
県としては、本県への交流人口の拡大や、移住定住の促進等が期待できることから、地方創生における目玉事業の1つとして、積極的に支援して参ります。
詳しい内容については、撮影の際に監督と出演者出席による制作発表会が開催されるほか、公式ホームページや公式フェイスブックで順次発表される予定です。
なお、報道資料裏面には、作品に関して、行定監督のコメントが掲載されています。
皆様も今回の映画制作に、是非ご注目いただきたいと思います。
報告事項
政府関係機関の地方移転について
蒲島知事
2つ目は、国から提案募集があっている政府関係機関の地方移転についてです。
政府は、地方創生に掲げる「地方への新しいひとの流れをつくる」との方針の一環として、政府関係機関の地方移転の提案募集を実施していました。
具体的には、東京への一極集中を是正し、国と地方の双方にメリットを生み出す地方移転となるよう、去る8月31日に、本県から、熊本の多様性の高い農林水産業や環境立県の取組みを活かした3つの提案をいたしました。
まず、1つ目は「次世代型施設園芸の研究拠点の新設」についてです。
埼玉県と茨城県にあります国の研究拠点を日本一の施設園芸県である本県に誘致し、施設園芸の生産性向上やコスト縮減のための先進的な研究拠点を新たに設けることで、現場密着・地域連携による研究の加速化、本県農業の成長産業化を進めるものです。
移転先は、八代市又は玉名市を候補地として国に提案しています。
2つ目は「有明海・八代海再生の総合的研究拠点の新設」についてです。
神奈川県と茨城県にあります水産研究所の機能を移転し、熊本に有明海・八代海の漁場環境再生のための総合的な研究拠点を新たに設けることで、研究の高度化、有明海・八代海の漁場環境修復の取組みを加速化するものであります。
移転先は宇城市又は長洲町を候補地として国に提案しています。
3つ目の「環境調査研修所の移転」については、埼玉県にある同研修所を水俣市に移転し、公害の原点である「みなまた」を学ぶフィールドワーク等により、環境政策を担う国・全国の自治体職員のレベルアップに寄与することができます。
また、環境首都みなまた・環境立県くまもとの取組みを全国に広げていく絶好の機会にもなると考えています。
これらの3つの提案について、今後、国と協議し、移転の実現に向けて取組んで参りたいと考えております。
発表は以上です。
質疑応答
政府関係機関の地方移転について・1
(幹事社)
はい。では幹事社から。
蒲島知事
はい。
(幹事社)
地方移転の提案のところですけれども、(1)〔※次世代型施設園芸の研究拠点の施設〕と〔※有明海・八代海再生の総合的研究拠点の新設〕(3)〔※環境調査研修所の移転〕のうち、(1)と(3)はこれ一般的な内容の項目、研究内容だと思いますけれども、(2)は有明海、八代海というふうにそこに特化した機関としての移転をご提案されるということでしょうかね。
蒲島知事
やっぱり有明海の大きな問題は漁場の修復であります。
それで有明海に特化できるような、そういう移転というのが、むしろこの地方移転についてはふさわしいんじゃないかなと思っています。
そういう意味で有明海・八代海再生のための総合的な研究拠点を新たに設置したいと、そのためには移転してほしいというのが、国に対する要望であります。
また、双方にメリットがあるというのがとても大事なことですよね。
移転した先にもメリットがあるし、それから地方移転することによって人口減少、地方における人口減少を防ぐということもありますので、そういう意味では、2番目は、今おっしゃったように、これに特化したものです。
(幹事社)
全国から、提案が各県から出ていると思いますけれども、熊本が今提案しているこの3つについて、ライバルといいますか、他のところと競合するものっていうのはもう既に出ておりますでしょうか。
蒲島知事
ライバルとして、なるべくないようにすると熊本への移転が可能になると思いますけれども、長崎と少しかみ合っているということを聞きました。担当者のほうから競合している場所について(説明をお願いします)。
(事務局)
先日国のほうから、今回都道府県から出ています募集の一覧が発表されておりまして、その中で本県の提出している(提案)が、複数重複しているということになっております。
一覧を見ていただいたほうがわかりやすいと思いますのでお願いします。
質疑応答
くまもとを応援する映画制作について・1
(幹事社)
じゃ、発表項目について各社さんいかがでしょうか。
Q
すみません、映画の件なんですけれども、知事が冒頭4月に行定監督に映画の依頼をされたということがあったんですが、その時のやりとりを知事がどういうふうにおっしゃって、どういうふうにお答えになったのかちょっと教えていただきたいのですが。
蒲島知事
もともと、行定監督もそのような気持ち〔※何らかの形で熊本に恩返ししたいという気持ち〕を持ってらっしゃった。そういう観点からお話した時に、それでは地方創生という観点から熊本の発信、それから熊本に来ていただく人を増やすと、そういう話をお互いに話し合った。話し合ったというか、自然にそうなったんですけれども、そこで提案があったのは、熊本出身の著名人と、それから俳優の方々を活用して、熊本に特化したそういう応援映画は作れないだろうかという提案があったので、今回のプロジェクトになったということであります。
Q
知事のほうからは、どういった映画、こんな映画があったらいいねというようなお話をされたんですか。
蒲島知事
熊本を発信できる映画ですよね。
ただ私は専門家じゃありませんので、知事として、そういうものがあったらいいなということを言ったところ、行定監督より具体的に、発信するにあたっては、著名な方でないといけないということ、その際に私は熊本の有名人はくまモンなので、くまモンも活用してくださいということは頼みました。
実際に決まってくると、もっと皆さん具体的にイメージがわくと思いますので、それを楽しみにしていただきたいなと思っています。
Q
すみません、今のお話で、くまモンが入るかどうかは、まだ決まっていないんですか。
蒲島知事
まだ、確約はいただいていませんけれども、好意的な状況であったと私自身は思っていますけれども。
Q
知事、くまモンと一緒に知事に出演のオファーがあった場合は(どうされますか)。
蒲島知事
いいえ。それはありませんでした。(笑)
Q
今後あることは(考えられませんか)。
蒲島知事
ただ、熊本出身の著名人の中では、もうこれは言ってもいいのかな。
(事務局)
大丈夫です。
蒲島知事
私の友人でもあります、姜尚中さんが出演されるということであります。
Q
すみません、その映画の関係で、製作費というのはどのぐらいで(しょうか)。
蒲島知事
まだ、今出演者も含めて最終調整でありますので、事業費については映画の作成発表会で明らかになるというふうに思います。
県としては、広域連携プロジェクトスクラムチャレンジ補助金で支援していく予定であります。
詳細については、地域振興課のほうに、より具体的にお尋ねください。
Q
その実行委員会には県も入るんですか。
蒲島知事
実行委員会には3市と県も入ってくると思いますけど。
(事務局)
今回の実行委員会につきましては、先ほどありましたように、撮影箇所である熊本市、菊池市、阿蘇市、それと民間会社ということで、県は先ほど言いましたように補助を行う立場ということでございますので、実行委員会には含まれておりません。以上でございます。
Q
すみません、この映画祭というのは国内全国ということですよね。
蒲島知事
国内でそういうのが行われた時には、映画、これを行定さんの知名度ですから、いろんなところでその可能性があると思いますし、別に国内だけとは決めてないんでしょう〔※事務局に向かって〕。
(事務局)
はい。今後、国内の映画祭には幅広く上映を働きかけていきたいと思っています。
Q
すみません、出演者なんですけれども、姜尚中さん以外に決まっている方っていうのはいらっしゃらないんですか。
蒲島知事
まだ、私は聞いておりません。
Q
すみません、聞き逃していたら申し訳ありません。制作発表会の予定時期はいつごろになりますか。
蒲島知事
制作発表会はいつごろになりますかね。
(事務局)
今年の秋に撮影が入りますということを先ほど申し上げたと思います。
その撮影の間に制作発表会を行う予定としております。
蒲島知事
たぶんお忙しい人が一番たくさん集まれる日になるんじゃないでしょうかね。
そういう意味では、まだどの日というのはこの段階では決まっていないと思います。
Q
知事すみません。表現として短編映画と考えていいんでしょうか、それとも普通の長編映画という(ことでしょうか)。
蒲島知事
私のあれ〔※記憶〕では、長編映画ではなくて、短編映画だというふうに思いますけれども、その短編の長さがどのくらいか、ちょっとわかりません。
(事務局)
大体、30分から40分の尺で映画を制作するというふうに聞いております。
蒲島知事
そうすると中編ですね。(笑)
Q
もう1つお尋ねしますけれども、熊本県が、特定の映画制作を、補助金を出して制作支援したことって今までにあるんでしょうか。
蒲島知事
私が知事になってからはないと思いますけれども、「くまもとで、まってる。」というのは、あれはみんな実行委員会でやられていますよね。あれは県からの補助金は少し入っているんですか〔※事務局に向かって〕。
私が知る限り、県がこのようなかたちで映画を作成するというのはちょっと記憶ありませんけれども。
(事務局)
すみません。後でまた、しっかり報告します。
質疑応答
政府関係機関の地方移転について・2
Q
今、地方創生の取組みということで、2本、大きな発表がありましたけれども、これらがどのような効果が発揮されることに知事としては期待をしていらっしゃいますか。
蒲島知事
1つは地方移転というのは、私は筑波に住んでおったわけですけれども、筑波に相当たくさんの国の研究所、研究機関が来ました。それによって、茨城県の西のほうですけれども、ものすごく発達したと思うし、それは茨城県全体にとってものすごく効果があったと思います。
そこまでいかなくても、研究施設が来ることによってその産業の開発、それから知の集積も含めて、その影響はあるんじゃないかなと思っています。
ただこれだけではちょっと小さいので、今は企業の研究開発部門も鋭意進めていますね。
そういう意味では知の結集を産業界、そして国の機関も、進める一環だというふうに考えていただくことが1つ。
人口減少社会の為には首都圏から地方に人口が移転したほうがいいわけですから、その一環でもあるんじゃないかなと思っています。
地方の創生に役に立つような研究所ですから、それも国と同じ方向を向いているというふうに思っています。
だからウィンウィンの関係ですよね。国のほうも地方創生が成功すると、地方のほうも、この研究機関をテコに更なる地方創生を図るということじゃないでしょうか。
質疑応答
くまもとを応援する映画制作について・2
Q
すみません。今の質問で、映画のほうについても教えていただけますか。
蒲島知事
映画のほうは、さっき言ったように熊本の発信、熊本は今とてもくまモンが成功して、多くの方々が熊本にいらっしゃるし、熊本に愛着を持っていらっしゃいますよね。
そして移住人口も増えていくでしょうから、今はくまモンだけですけれども、この行定監督の映画、それから「くまもとで、まってる。」という映画ですか、あれも小山薫堂さんを中心にやっていただいたものも、とても成功を収めていますので、そういう意味では、ソフト対策で熊本の発信をするということであります。
(幹事社)
発表項目についていかがでしょうか。
よろしいですかね。
発表項目でなかったら、水俣病の関係で(コメントをお願いします)。
コメント
水俣病特措法の判定結果について
蒲島知事
はい。
それでは水俣病特措法の判定結果についてコメントさせていただきます。
特措法の判定結果については、昨年8月、3万7千人を超える方々が救済を受けられたことを公表しました。
そして先週、8月25日には、報道機関各社等の要望を踏まえ、「特措法判定結果の出生年別、ばく露時の居住市町村別による集計」を公表いたしました。
この中で、3千人を超える「対象地域外」の方々が、救済を受けられたことが確認されました。
このことは、「救済措置の方針」に沿って丁寧に審査した結果だと考えております。
こうした中で、先週公表した集計に関して、「対象地域外に汚染が広がっていることを示しているのではないか」などの声もいただいておりますので、県としての考えを説明させていただきます。
まず、特措法の成立経緯やその趣旨について、改めて申し上げます。
平成16年の関西訴訟最高裁判決を機に、新たに水俣病問題をめぐって、多くの方々が救済を求められ、その解決には長期間を要することが見込まれておりました。
私は、この多くの方々の早期救済を求める切実な思いに応えるため、知事就任以来、超党派の国会議員の方々に特措法の成立を要請してまいりました。
このように、特措法による救済は、紛争解決のための政治的な救済策であり、公健法の判断条件を満たさないものの、救済を必要とする方々を水俣病被害者として受け止め「あたう限りすべて」の救済を図るものでありました。
次に、対象地域の考え方について申し上げます。
特措法の救済対象になるためには、まず、「通常起こり得る濃度を超えるメチル水銀のばく露を受けた可能性」、言いかえれば「水俣湾又はその周辺水域の魚介類を多食した」可能性について、申請者お一人おひとりに対して審査する必要があります。
今回、紛争の解決に向けて「対象地域」を定めて救済を行いましたが、方法としては、「対象地域」を一切定めず、全ての申請者の方について、多食の可能性を示していただくという考え方もありえました。
しかし、公健法による認定患者の方が居住されていた地域にお住まいであった方は、「水俣湾等の魚介類を多食した」可能性があると考えられます。
このことから、そうした地域を「対象地域」として設定し、1年以上の居住の事実さえ確認できれば、多食の可能性を示す資料そのものをお示しいただかなくてもよいとしました。このことにより、申請者の方々の負担軽減及び救済の迅速化を図ることとしました。
「対象地域」を設定したことは、「対象地域外」にお住まいだった方を排除しようとしたものではないということを、まず申し上げたいと思います。
そして、具体的な「対象地域」については、県だけの判断で一方的に「線引き」するのではなく、公健法の認定患者が居住されていた地域を基準として、ノーモアミナマタ国賠訴訟に関する熊本地裁の和解所見や、被害者団体の意見を踏まえて定めました。
県としては、対象地域内外を問わず全国に特措法救済制度の周知を行い、「対象地域外」にお住まいであった多くの方々からも申請がありました。
これらの方々でも、多食の可能性について判断できれば、当然対象としました。
具体的には「対象地域外」の方から聞き取りを行うとともに、漁業許可証など水俣湾等の魚介類を多食した可能性を示す資料の他、ご家族の方々などのお話や県が保有する資料も活用するなど、「あたう限りすべて」の救済の観点から個別丁寧な審査を行いました。
次に、特措法の判定方法についてですが、今申し上げた疫学要件の審査に続いて、症候要件の判断を個々に行いました。
症候要件については、公的検診と提出診断書により、一定の症候が確認されれば、救済の対象としました。
ここで、1つ申し上げておきたいのは、公健法においては、メチル水銀のばく露と症候、そして、それらの因果関係を含めて総合的に判断しているのに対し、特措法においては、「あたう限りすべて」救済するという観点から、公健法のような審査は行わず、疫学要件と一定の症候により迅速に幅広く救済を行ったということであります。
以上、説明しましたように、「対象地域」の設定や判定方法等は、政治救済、すなわち紛争の解決を念頭に置いたものになっておりました。
したがって、特措法の判定結果は、政治救済の事実を示すものではありますが、例えば「対象地域外」にお住まいであった方が救済対象となったことをもって、「対象地域外」に汚染が広がっていたということを科学的に示すものではないと考えています。
繰り返しになりますが、あくまでも特措法による救済は、公健法の判断条件を満たさないものの、救済を必要とする方々を水俣病被害者として受け止め、「あたう限りすべて」の救済を図り、地域の紛争を終結させるための政治的救済策である、ということであります。
県としては、国に対し、公健法の世界を閉じないことを求めるとともに、引き続き相談窓口での対応や、公健法の認定業務の促進に取り組んでまいります。
また、胎児性・小児性患者及び家族への支援、偏見差別の解消など、これからも水俣病問題に真摯に向き合い、被害者の方々に寄り添い続けて参ります。私からは以上です。
今のコメントを間違ってはいけないので、皆さんにお配りします。これが正本です。
質疑応答
水俣病特措法の判定結果について
(幹事社)
各社さん、どうぞ。
Q
すみません、よろしいですか。
蒲島知事
はい。
Q
先ほど知事がおっしゃいました、この特措法の結果で、「対象外」の地域からも3千人を超える方が出られて救済対策をやったということについて、知事が終盤おっしゃったように政治的救済の結果を示すもので、水銀の汚染が対象外にも広がっていたという事実を科学的に示すようなものではないというようなお話。従前にも田中課長のほうが議会でも述べられていたかと思う内容ですけれども、知事が今、改めてこの説明をする必要があると思ったことは、どこに真意があるのか、是非、聞かせていただきたい。
蒲島知事
はい。この問題については、毎回記者会見で聞かれていますし、それから最初の前提条件、特措法ができた前提条件、ちょっとスパンの長い話なんですよね。
だからそれを含めて、もう一度一昨年の12月19日のステートメント〔※声明〕のように、県としての正式な立場、これをお示しして、それが繰り返し、繰り返し同じことが聞かれないように、例えば熊日新聞は今日ちょうど「広範な水銀被害裏付けた」と書いてありますけれども、今日ちょうど関連があるんですけれども、これは特措法の救済によって、この地域外の人がたくさん出て、3千人以上おられたということをもって、広範にこの汚染されていたという科学的根拠がないということであります。
そういう意味では今の私のステートメントが県の正式なこの問題についてのステートメントであります。
公健法とまた違うというのはそういうことで、一番大事なことは、我々がこの地域を指定しなくてもやり得たということもありますけれども、たぶんそれは労力的にも大変難しいことだったと思います。1人1人を、公健法と同じようなかたちで多食を証明するとか、1人1人についてですね。
だから今のこういう地域の方々は1年以上住めば多食をされたという前提のもとで迅速に、この特措法の申請に応えることができると。
ただそれ以外の方は、やはり例えば漁船をつかって漁をしていたとか、そういう何らかのかたちの証明というんですかね、そういうものを我々もとても厳しくしたわけじゃないと思いますけれども、一生懸命、なぜかといったら、これはあたう限りの方をここで救済したいということで、期間もとても長く、そして周知期間も長くとったというふうに思います。
だからそういう意味で、そこに指定された、いわゆる(対象)地域以外の方々がたくさん出られたということは、あまりこのハードルを高くしないで、救済の(ハードルを)下げ(ること)を行ったと、私は思っています。
それでたくさん出てこられたことで、だからこそ水銀の汚染が広がっていたということにはならない。そういうことは科学的にはいえないということを今日申し上げたところです。
Q
続けてで、すみません、言葉を返すようで恐縮なんですが、その科学的に汚染が広がっていたことを示すものではないというご意見に対しては、先般からも逆に言ってもその被害がなかったことを示すものでもないのではないかと、科学的にですね。
汚染が対象地域外になかったということを科学的に立証したものでもないというような反論があったかと思います。
それについては知事はどうお考えなのかというのが1点です。
で、もう1点はこの対象外の地域からも3千人を超える人がいたという事実を県として、もうこれでそれだけいましたということで終えるのか、このデータを何らかの活用で例えば今特措法に書いてある、その健康調査を国に急ぐように、1日でも早くするように求めて全容を姿を見せろというのかどうか、どういったような活用の仕方を考えていらっしゃるのか、その2点です。
蒲島知事
これは鹿児島県や環境省のほうに、このデータは当然示しておりますので、そちらのほうできちんとしたかたちで使われるんじゃないかと思います。
そういう意味では貴重なデータだと思います。ただおっしゃったように、環境調査については、特措法の中にもう既に示されておりますので、その方向で国のほうはお考えになるんじゃないかなと思っています。
Q
その健康調査は、確かに国が主体にやると法律で定めてありますけれども、その地元として、地元、県として国に対して急ぐように申し入れるような、お考えとかはおありでしょうか。
蒲島知事
これは法律にちゃんと書いてあるわけですから、国がこの法律に沿って粛々と行われるべきだと思うし、県側も例えば改めて要請するというそういうものでもないような気がしますけどね。
これはもう十分わかっていることであって、県としてもまだその方法論について考えないということであります。
Q
すみません、先ほど質問の前段のほうの汚染地域、対象地域外にも汚染がなかったことを示すものではないのではないかという指摘があることについては(いかがでしょうか)。
蒲島知事
それはその考え方の相違だと思いますけれども、それは科学的な、何らかのかたちの結論が出ればそうなるかもしれませんけれども、我々の立場としては、今日のステートメントで述べたことにすべて言い尽くされていると思います。
そういう意味で、私達の考えを明解に示すために今日はコメントを用意して、そして皆さんにお渡ししましたので、もう一度それを読んでいただいて、それに対する反論でもあれば、書いていただければまたいいんじゃないでしょうか。
我々はそう思うと。それはおかしいと書いたり言ったりすることが大事ですね。我々が科学的に考えたら、それはおかしいということも言い得るし、それは誰も絶対ということは言えないかもしれませんけれども、今我々が想定し得るこの特措法における対象地域の集計の中に表れたことについての解釈というんですかね、これがこういうことです。
〔※事務局に向かって〕課長のほうから補足があれば。
(事務局)
特措法の対象地域につきましては、今知事が申しあげましたように、厳密にどこまでの地域が、汚染が広がっていたかということについて、議論したうえで決定をして、この特措法をスタートしたわけではございません。
その厳密にいろいろ詰めるよりも、広く可能性があれば救済を目標としての特措法ですから、そういう考えで運用をしていこうということで始めさせていただきました。先ほど知事が申し上げました、そういう前提があるということをご理解いただきたいと思います。
それから、そういうことでこの特措法自体が、地域のこの結果自体が地域の広がりを示すものではないと思いますが、また、水俣病の被害がどこまで広がっていたかということにつきましては、これも先日私が申し上げましたけれども、まずもって、私は公健法、これは指定地域は水俣市と葦北郡になっておりますけれども、それ以外の地域からのご申請も当然出来るわけですし、今もなさってますし、これまでもご申請をなさった方がたくさんあります。
私の記憶する限りでは、本渡にずっとお住まいの方でご申請になった方がありましたが、その方については棄却というふうになっております。
そういう地域外の方もご申請をいただいた結果、これまで水俣、芦北、その周辺以外から認定された方が出ていないということは、それ以外の地域に汚染が広がっていたのではないというふうに考えております。
1つの汚染の広がりに関する根拠はそこにあるというふうに思っております。
以上でございます。
質疑応答
台風第15号について
Q
すみません、台風15号の被害報告の件なんですけれども、先ほど農作物には梨・栗・柿などの落果があったということなんですが、被害状況については県のほうから十二報も出ていますけれども、農政のほうの被害状況というのが第一報も何も出ていないんですね。どういう被害があったのかということが、まだ出ていないので、農水省のホームページを見ますと、既に21件が報告、暫定値ですけれども報告されているんですけれども、国の政策を先取りして、スピード感あふれる農政を展開されている蒲島農政にとってはいかがなものかと思うのですが、どんなものですか。
蒲島知事
私が推測するに、後で本当(の理由)を聞かせてもらいますけど、推測するに、被害が日々広がっているんじゃないかと、どんどん、どんどん被害の情報が示されている。
だからまだ未確定の時に、少ない量の被害を届けて、それをどんどん広げていくというのは、私はかしこい考えではなくて、ある程度確定した段階で国に対して被害のあれ〔※報告〕を出すと。
たぶん熊本が(被害が)一番ひどいほうだったと思います。
Q
九州3県ではほとんど出ているんですよね。農作物。
熊本も、林(業)や水産(業)は出ているんですけれども。
蒲島知事
ちょっとすみません、担当者(からお願いします)。
Q
その中間報告も出されてないんですけど。
蒲島知事
担当者から聞きましょう。私も疑問です。
Q
1ヶ月後ぐらいに確定値しか出さないと言われるんですけれども、どうも解せない話なんですけれども。
蒲島知事
はい。〔※事務局に向かって〕ちゃんと答えて。
(事務局)
はい。
農業被害については日々調査をしております。
栗とか梨のようにその時に落果して分かる被害はその時点で把握できるんですが、強風がありまして、葉が痛む、植物の場合は収量に影響してくると、後日影響してくるということもございますので、ずっと経過を観察して最終的にその被害がどれだけあったかということを確認したうえで報告をするということで進めておりますので、今しばらくお待ちいただきたいと思います。
Q
中間報告ぐらい是非出してもらいたいと思うんですけれども。要望しておきます。
蒲島知事
正式(な数字)じゃなくてもいいですのでね。
質疑応答
県知事選挙について
(幹事社)
ちょっと、最後の1問ということでよろしいでしょうか。どなたか。
Q
知事、自民党の県連の前川幹事長が、9月議会で、知事の今後について代表質問で聞くと、記者団に明らかにされたんですが、そちらのほうに答える用意というのはいかがでしょうか
蒲島知事
どちらかの答えかどうかは別にして、私の進退をそこで言うかどうかを含めて、熟慮中ということです。
(幹事社)
では、よろしいでしょうか。
蒲島知事
はい。