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平成23年 1月 4日 知事年頭記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006494 更新日:2011年1月4日更新

日時:平成23年1月4日(火曜日) 午前11時00分から
場所:知事応接室

発表項目

コメント

新年を迎えて

質疑応答

発表項目

新年の抱負

蒲島知事
 皆様、明けましておめでとうございます。

 熊本にとって今年は、100年に1度とも言えるビッグチャンスの年ではないかと思っています。まず3月12日に新幹線の全線開業。来年の4月には熊本市の政令指定都市(への移行)。その先の州都を目指して今、頑張っております。ホップ・ステップ・ジャンプということで、今年はジャンプの年、そういう意味で今年の一文字を皆さんに見せますと、飛躍の「飛」です。こういう年にしたいと思っています。ホップ・ステップ・ジャンプ。大きくジャンプしたい。そういう年にしたいと思っています。

コメントする蒲島知事の写真

 先ほどの訓辞でも述べましたけれども、私のマニフェストにおける3つの困難と4つの夢について、財政再建の中にありながらも、いくつか確かな手応えを感じるものがあります。

 財政再建と川辺川ダム、水俣病問題は、良い方向に向かっていると思っております。それから4つの夢、「経済上昇くまもと」は、熊日新聞と研究所が合同でされた経営者の調査でも明るい方に向いているなと(感じています)。やはり経営者の人が期待を持って明るい気持ちを持つということが、経済を明るくするのではないかと思っていますので、「経済上昇くまもと」についても今年はジャンプの年にしたいと思っています。

 それから「長寿を楽しむ社会」も今、着々と進めているところであります。「品格あるくまもと」づくりについても新幹線(全線開業)、(熊本市の)政令指定都市(への移行)、そして更に品格を磨くために、今年は3つのことを主にやりたいと思っています。一つは阿蘇の草原を守ること。2番目は熊本の地下水(を守る)。これは熊本の宝であります。3番目は加藤・細川400年の歴史と文化を守り継承すること。これに向けてやっていきたい。それから教育の部分ですけれども、「夢のある教育」も時習館構想を更に進め、熊本県の教育のレベルアップを図りたい。もう一つは、貧困の連鎖を教育で断ち切りたいという気持ちでやりたいと思っています。

 これが私の今年の抱負であります。

発表項目

新幹線全線開業に向けてラストスパート

報道資料(PDFファイル:1.1MB)

 それから皆様のお手元に報道資料が来ておりますので、報道資料に関していくつかコメントしたいと思います。今年は全体的には新幹線全線開業に向けてラストスパートの年ではないかと思っています。そのためにいくつかのことを計画しております。県内、それから関西が主であります。

 県内では次のようなことを考えています。一つは「くまモンの商品化」、それから2番目は「くまもとサプライズアワードの実現」、3番目は「九州新幹線おみやげ開発プロジェクト」です。皆さんのお手元に資料がきていると思います。

くまモンの商品化については、現在30件以上の申請が出ております。私は職員には、なるべく(事業者等の方々が)自由に使えるようにしたほうがいいのではないかと(話しています)。(織田)信長の楽市楽座ではありませんけれども、規制を加えるよりも自由に、それぞれの責任でこれを使う。くまモンに傷を負わせないように、それぞれが責任を持ってやる。そういうことでやって欲しいと思っています。

 「くまもとサプライズアワード」の実現については、お手元の資料にもありますように、3つの団体が実行することになっています。「おてもやん」をイメージした観光案内、八代特産のい草を使った茶道文化の紹介、九州の人力車を集めた人力車絵巻に取り組む予定であります。

 3番目の九州新幹線おみやげ開発プロジェクトについては、2月4日、熊本城本丸御殿で予定しております発表会で、熊本市長と共に披露する予定であります。

これが新幹線全線開業に向けたラストスパートです。今日の訓辞でも述べましたが、皆さんもご存知のように、新熊本合同庁舎B棟の整備が前進したことで、連続立体交差事業や駅舎、駅前広場とともに、熊本の玄関口にふさわしい、賑わいのあるまちづくりにとっての条件が整ったのではないかと思っています。

 関西では次の4つを展開します。一つはくまモンが関西等で引き続き出没して熊本の認知度を高める。今、大阪に行くと分かりますけれども、大阪は熊本だらけです。東京に行くと青森だらけです。そういう意味では、熊本の認知度が関西で飛躍的に高まっているのではないかと思っています。それを更に高めるために、くまモンに更に活躍してもらいたい。皆さんのお手元に資料がありますけれども1月24日~30日には、吉本興業とタイアップして、「吉本くまもとウィーク」を開催し、私とくまモンが共に熊本をPRします。詳細については1月14日に大阪で吉本興業と共同記者会見を実施し、発表致します。

 2番目のKansai戦略として、「ウェスティン都ホテル京都」で「九州フェア−熊本、うまかもん祭」を行います。これは2月18日から2月28日の期間、開催する予定です。2月18日には600人から700人規模のオープニングパーティーを開催しまして、熊本の食の素晴らしさをアピールするとともに、熊本を売り込んで参ります。

 3番目は、大阪のミナミで「くまもと逸品縁日(いっぴんえんにち)・あっちこっちラリー」を2月19日と20日に開きます。これは大阪ミナミの地元商店街のご協力によって、スタンプラリーや、逸品縁日(いっぴんえんにち)と称した物産イベントやステージを企画し、約3万人を超える方々が参加されるようなイベントにしたいと思っています。

 それから大阪環状線「ラッピング電車」、1月22日から28日の間、大阪環状線普通電車1編成、1編成が8両ですので、8両に「スザンヌ」とくまモンなどを散りばめた車体ラッピングと車内広告ジャックを行います。車内広告ジャックというのは、車内の広告はすべて熊本の宣伝ということになります。また1月から3月用のポスターやパンフレットも製作し、本県の宣伝部長「スザンヌ」をキャンペーンキャラクターに、本県の豊かな観光素材を西日本エリアにPR致します。

新幹線全線開業に向けたPR素材の写真

 こういうかたちで関西に熊本のPRを行うことにより、ますます熊本の認知度と熊本に対する関心度が高まるのではないかと思っています。これが新幹線全線開業に向けたラストスパートであります。

発表項目

東アジアへの販路拡大に向けた取組みについて

 次はお手元の資料にありますように、「東アジアへの販路拡大に向けた取り組みについて」です。今年も行います。

 まず1月13日、14日の2日間、熊本のメルパルクKUMAMOTO(くまもと)において、「九州東アジア食の商談会」を開催します。

 2番目として、私が香港に出掛けトップセールスを行います。2月10日から13日にかけて、農林水産物や加工品等の県産品の海外における認知度向上と販路拡大を図るために私自らトップセールスに出掛けます。詳細については、皆さんのお手元の資料に書かれております。私も一度行ったことがありますけれども、香港は大変購買力の高い所です。例えば高級ホテルのレストランにおいて熊本の県産品、黒毛和牛が昨年8月から採用されております。そういう意味で、香港で熊本の農産物のPRを行うことは大変効果的ではないかと思っています。このほか味千ラーメンさんも香港に進出されておりますし、そこと連携して様々な農産物、あるいは加工品等を売ることができるのではないかと思っています。

県産品(ひのしずくと大阿蘇牛乳)と県産品PRポスターの写真

それから香港では「ひのしずく」はとても人気です。日本では「あまおう」が有名ですけれども、香港では「ひのしずく」の方が人気です。私も「あまおう」と「ひのしずく」を一緒に食べたことがあります。熊本県知事だから言うわけではないですけれども、「ひのしずく」がとても美味しいと思います。説明するよりも皆さんのお手元に2個ずつ差し上げましたので是非お召し上がりください。

発表項目

ねんりんピック2011(ふれ愛)について

報道資料(PDFファイル:191KB)

 3番目は「ねんりんピック2011(ふれ愛)熊本」の開催です。今年10月15日から4日間、第24回「ねんりんピック2011(ふれ愛)熊本」を開催します。この大会は、九州新幹線全線開業後に県内で開催される最大のイベントであります。熊本を全国にアピールする絶好の機会でありますので、これを是非成功させたいと思っています。全国から参加される1万人の選手団の皆様を、心を込めておもてなしをしたいと考えています。今、県民総参加で準備を進めております。これまでも県民の皆様からのおもてなし募金をはじめ、団体、企業からの協賛や開会式に出演いただく学校等、たくさんの支援をいただいており、心より感謝申し上げます。

 これが今年の抱負と、それから今日のコメントであります。

コメント

新年を迎えて

 また先程の職員に対する訓辞にありましたように、今年はとりわけ3つのことを職員にお願いしました。

 一つは、「政治の可能性を信じること」。これは最初に私がマニフェストを作成し、元の県の幹部の方にお見せしてアドバイスをいただいた際、「これはすべて不可能です。」と言われたんです。でもやればできるということで、「3つの困難」の川辺川(ダム問題)や財政再建、あるいは水俣病(問題の解決)について困難を乗り越えたことをお話しました。やはり政治の可能性を信じることが大事だ。ただ、政治の可能性を信じて私が決断するということは、それなりの職員の痛みを伴う。それから仕事量も飛躍的に大きくなる。そういうことに常に感謝をしながら決断をしていきたいと思っています。

 それから2番目は、「運と政治」という話をしました。運は誰にも廻ってくると私は思っています。私はとりわけ運の良い方だと自分でも信じておりますけれども、その運が来た時に、全身全力をもって、その運を呼び込むことが大事だ。持っているすべての自分の資源や人脈を駆使して、運を呼び込むために今年もまた頑張りたいと思っています。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 3番目に、これはマスコミの方々にも是非共鳴していただきたいんですけれども、「皿を割ることを恐れるな」と。たくさん皿を洗う人は、皿も割るんです。皿を割ることを恐れると皿洗いもあまりしない。たくさん仕事をする人は失敗もする。そういう意味で皿を割ることを恐れないような、そういう姿勢を持ってほしい。マスコミの人も共鳴していただき、少しヒビで割れたくらいはあまり批判しないでいただければ皆が、たくさん仕事ができるのではないかと思っています。以上です。

質疑応答

新幹線全線開業に向けた取組みについて

(幹事社)
 では、幹事社の方から新幹線に関しての質問をさせていただきたいと思います。現状の取り組みに関しての評価、これを点数で表されても結構です。それがまず一つと、それから新幹線の沿線、先ほどのお話の中でも玄関口に関しては整備が整ったという話がされていました。ただ新幹線というのは沿線の繁栄だけではなく、県下全域にその波及効果がもたらさなければいけないわけで、そういう意味でいうと、そのための今後必要な施策、もしくは地域の方々にこういう形で協力していただきたいという、知事の方から思っていらっしゃることがあれば、その3つをお答えいただきたいと思います。

蒲島知事
 後の質問から先に答えさせていただきます。

 私の役目は、新幹線全線開業は熊本市だけのメリットではなく、熊本市の政令指定都市も含めながら、県下全域にこのプラス効果を及ぼすこと。その一つにコンベンションシティ構想があります。(例えば学者が)学会に来る際、3日間の学会で3日間ずっと学会に出られる(出席する)と思っていらっしゃるかもしれません。これまでたくさんの学者の行動を見てきましたけれども、学会に行く(参加する)ことは、学会プラスそこの観光資源であるとか、その土地を楽しむという気持ちもあります。きっと学会で熊本地域に来られて(参加されて)も、阿蘇や天草や人吉、そして荒尾、玉名、山鹿、菊池、そういう所へ行かれるなど波及効果が大きいと思っています。人が熊本に観光客で来るということも大事だし、人が学会で集まることも大事と思っています。

 それからもう一つは、熊本市が人を呼び込むためには、熊本市だけが良くなっても駄目で、それ以外の土地に魅力がないと駄目なんです。プラスアルファがないと駄目。阿蘇とか天草とか、あるいは人吉とか、様々な地域、県北の山鹿、菊池、玉名、そういう所の魅力が高まれば、熊本(県内)全体に行こうということになると思うんです。そういう意味で熊本市がハブ機能を発揮する。熊本市にまず来て、そこから県内の様々な土地に行く。プラス九州全体に波及効果がある。いわゆるハブ機能を果たして欲しいと思っています。

 3番目に、やはり県民総参加でやらなくてはいけないと思っているんです。熊本県の一番いい所は、市民力がとても強いんです。東京と比べてもそうですし、福岡と比べても多分そうだと思いますけれども、市民の人達が市民力を発揮した時にとても強い。「みずあかり」であるとか、あるいは今回の「時代祭り」、そういうかたちで市民の方々が計画されて、市民力を発揮しながらおもてなしの力を発揮する。そういう力を更に発揮してもらえば、この熊本の魅力が高まるのではないかなと思っています。

 それからおもてなしは、旅館とか飲食関係の人だけがおもてなしをするのではなく、いろいろなおもてなしの仕方があると思うのです。一つはイエロープロジェクトと呼んでいますけれども、農家の方々がレンゲや菜の花を植えて、熊本に新幹線が来た時に花で一杯にするというおもてなしの仕方。それからSLで人吉に行くとわかりますけれども、(沿線の方々が)みんな手を振ってくれるんです。その手を振ることに対してとても皆が喜んでくれる。それから大事なことはやはり教育だと思いますけれども、小学校、中学校、高校生が見知らぬ人に会っても「おはようございます」、あるいは「こんにちは」と(挨拶をする)。その爽快さというんですか、これは大都会ではとても経験できない。そういうかたちの県民総参加のおもてなしというのはできるのではないかと思っています。

質疑応答

県政への評価について

 最初の質問は、私の政策に対する評価をということですか。これに対しては「3つの困難」と「4つの夢」に対する評価だと思いますけれども、これは私自身が評価するというよりも、県民の皆様に評価していただくのが正しいのかも知れませんし、メディアの人に評価してもらうことが正しい評価方法だと思います。自己評価で言わせていただければ、財政再建については貯金を減らさないで借金を減らしていくということが財政再建の鉄則です。そういう意味で私が就任した時は、借金、県債、県の純粋な借金が1兆700億円近くありました。それが私の任期が終わる24年度までには1兆円を切ることになると思います。そういう意味で借金は減らした。貯金はどうかというと、大変少ない貯金ですけれども、少なくとも私が就任した時と同じ貯金額を保っている。借金は減らしながら貯金は取り崩さない。では政策は何もしなかったのか、と言うと、先程の「皿を割る」(の例え)ですけれども、皿を割ることを恐れず、色々な政策に取り組んでいくつか夢のある政策を行ったのではないかと思っています。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 川辺川ダム問題については、この1年、2年を見ると何か進んでいないと皆さんは思われるかもしれませんけれども、40数年間の中でこの2年間を見ると、とても大きく進んだのではないかと思っています。一つはダムによらない治水が決まった。それからダムによらない治水で「直ちに実施する対策」と、それから「今後もう一度検討する引き続き検討する対策」、に合意できた。3番目に、五木村の振興がとても大事ですけれども、五木村の振興に関して国と県と村の協議の場ができ、(五木村の)振興という方向に向かっています。今日現在、あるいはこの1か月ぐらいを見ると、何か進んでいないようだけれども、この(長い)川辺川ダム問題全体の中において、私の任期中には激動したのではないかと考えています。そして(現在は)ダムによらない治水を進めているところであります。

それでもやはり遅いと感じましたので、全国知事会の席で菅総理に対し、手を挙げて、「総理が望んだことでもあるので、政権の目玉として是非、ダムによらない治水(の検討)をスピードアップして欲しい、五木村の振興をスピードアップして欲しい」ということをお願いし、菅総理もそのようにフォローするということをおっしゃいましたので、その方向に進むのではないかと思っています。

 水俣病の問題は、これはやはり50年以上の問題でありますので、簡単に解決できるという問題ではありません。少なくとも特措法による救済策と和解による救済策が進んで、「広く」、「早く」(救済する)、これが水俣病の問題の対処方法ではないかと思っています。完璧な方策を示して時間が経ってしまうより、時間的緊迫性の中で、少なくともできることからやる。なぜならば多くの方が高齢化していますので、「早く」そして「広く」これが水俣病対策のキーワードではないかと思っています。

 先程、財政再建という非常に限られた予算の中で、夢のある政策はどうかということで「4つの夢」について述べました。「品格あるくまもとづくり」に関していえば、新幹線開業は今年の3月12日(に開業日が決定しました)。そして政令(指定)都市(実現について)も県庁として本当に頑張ったと思います。特に植木町と城南町の合併には、県庁の職員も私とともに、夜、出掛けてセミナーを行い、誠心誠意尽くしてきたと思っています。様々な方のご努力によって合併し、そして政令(指定)都市(実現)に繋がっていった。これが「くまもとの品格」。更にこの品格を磨くために、これから3つのことをやろうとしているのが「阿蘇の草原」と「地下水(保全)」そして「加藤・細川家の400年の歴史と文化を守る」ということです。

 重なりますので後は端折りますけれども、「夢のある教育」については時習館構想と貧困の連鎖を教育で断ち切る。そういう方策を行ってきました。

 「稼げる県」については農業に関して、口蹄疫を阻止したことが一番大きかったと思っていますし、(くまもと)農業経営塾の開講(もあります)。あるいは企業誘致について、研究開発部門を熊本に誘致することによって不況期における誘致のあり方というものを模索したと思っています。

 「長寿を楽しむ社会」については、「認知症サポーター日本一」ということもありますし、認知症の熊本モデルというものも提示しました。私の(知事の任期の)最終年度までには、特別養護老人ホームやグループホームなどを4千(床)以上に、格段の増床を計画しております。

 自己評価としては、少し甘いかも知れませんけれども、予算がない中で確実に「4つの夢」に向かって踏み出したのではないかと思っています。この次の予算は私の任期の最後の本格予算でありますので、そこで更に夢の加速、新しい分野への挑戦をやっていきたいと思っています。幸いなことに、今までよりも夢への挑戦予算の枠が得られましたので、予算を見ていただいて、夢が少し膨らんだと思っていただければとても嬉しく思います。すみません質問がとても大きな質問だったから長くなってしまいました。

質疑応答

新年の抱負について

(幹事社)
 各社さんからご自由にお願いします。


 まず知事、冒頭に「飛」という字を書かれましたけれども、いわゆるホップ・ステップ・ジャンプという意味で、「飛ぶ」という意味なのか、もう一つ幅跳びの「跳」という字がありますけど、この飛行機の「飛」という字を選ばれたのは。

蒲島知事
 大きく飛ぶという(ことです)。


 ありがとうございます。


 今年のやりたい3つのこと(について)、(知事の本格予算の)最後の年でありながら、「阿蘇草原」と「地下水」と「加藤・細川家の継承」の3つを選ばれた理由はどこにあるのでしょうか。

蒲島知事
 それ(3つ)以外にもありますけれども、(熊本の)品格をさらに磨くという(ことで)、政令市を目指した動き、州都を目指した動き、(さらに)熊本市のハブ機能を県下全域に広げていくうえで、今、守らないとならないものがあるのです。熊本の宝を更に守り、磨き抜くという意味で「品格あるくまもとづくり」の延長線としてこれまでも取り組んできましたけれども、(さらに)私が任期中に気付いたこの3つを付け加えたいと思っているところです。もちろんそれ以外にもたくさんありますけれども、とりわけ品格については、一応、政令(指定)都市までは実現しましたので、あとはその先の州都に向かって

取り組みます。制度的には九州広域行政機構での合意、これは大きなステップです。同時に(新熊本合同庁舎)B棟の整備というのも州都への第一歩でもあるのです。あそこ(駅周辺)に多くの人がいらっしゃるということを含め、先程言ったような形での品格を磨くという3つを特に出したわけです。

 私は細川家、細川幽斎を勉強するに従って、最近細川幽斎の偉大さをとても感じています。やはり「文化と美」、それから「武」、文武両道というのをやられたから、水前寺公園であり細川コレクションが残されているし、泰勝寺、北岡自然公園が残っているのではないかと思っています。こういう細川家の400年の文化を是非、活用して守りたいと思っています。私が行政文書を保存すると言ったのも、細川家をより勉強する中で、やはり細川家の行政文書に対する保存方法(が優れており)、これ(保存されていた文書)が今、宝になっているからです。(織田)信長からの手紙など(が残っており)、そういうことを含め、細川幽斎、あるいは細川家に学ぶことが多い(と思います)。細川家の美と文化、これは加藤清正からの継承でもあるわけですけれど、やはりきちんと整理しておかなくてはならないと思い、この3つを選んだわけです。

 阿蘇はいうまでもなく世界の宝です。(また)地下水も熊本の宝ですから。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真


 あまり行政がメインの項目として挙げるには珍しい項目かなと思って聞いたんですが、長期的に考えた時に、こういう所の充実が必要と訴えたいということですか。

蒲島知事
 今やっておかないと駄目だと(思います)。常にそういうものを守るという気持ちがないと、当たり前だと思った時が危ないのです。大事な宝を当然あるものだ(と思い)、地下水も(当たり前に)あるものだと思ってはならない。細川家の至宝も(当然)残るものだと思ってはいけない。阿蘇のあの素晴らしい草原が(当然)残るものだと思っていたら、私が40年ぶりに帰ってみると木が一杯生え、以前の風景がなくなっているということにも気付きました。やはり気付いた時にきちんと、その時の為政者が守るということが大事なことだと思います。そういうアナウンスメント効果も含め、この3つを改めて今回は提案したところであります。

質疑応答

来年度予算について


 知事、先程予算の話に触れられて、次の予算が最後の本格予算ということで、まさに今年は任期中最後の年ということになるわけですね。正確にいうと来年度ということになりますけれども、何かこれまでの3年間と、新たな年を迎えて知事のお気持ちとして、何か心境の変化でありますとか、これまでの3年間と今年の新たな年に何か違いというものがあるのでしょうか。

蒲島知事
 私が就任した1年目には、予算がほぼ決まっておりましたので、手を着けることは不可能でした。そういう意味で1年目は困難に立ち向かう任期ではなかったかと思っています。2年目の予算は、先程言ったように財政再建の中における予算ですから、大変厳しいものでしたけれども、幸いにして政府の経済対策に助けられ、あまり地方に負担がない中で予算を編成することができました。だから「夢挑戦in財政再建(夢挑戦予算in逆境)」という、財政再建の中で夢に挑戦できる予算ではなかったかと思います。

 今度3回目の本格予算になります。3回目にして初めて、少し夢に挑戦できる枠が広がったのではないかと思っております。経済対策の基金を含めて財政に弾力性が出てきた。財政当局の努力のおかげで知事の夢をもう少し叶える予算にしようという余裕が出てきたのではないかと思っています。そういう意味で、最後の本格予算で、これまでの総仕上げ(として)、少なくとも「3つの困難」と「4つの夢」を約束したわけですから、これについて約束を守るという「夢の(を)『より』促進」という予算を組みたいと思っています。

質疑応答

経済対策・雇用対策について


 経済対策の話も出たんですけれども、やはり雇用情勢が県内、依然厳しい状況にあるのですが、企業誘致であり経済対策、それを生み出すための熊本の力づくりというのは今後、何か考えていらっしゃることがあるのでしょうか。

蒲島知事
 雇用は依然として厳しいものがあります。しかし経済というのは、長い間見ていますけれども、実態が厳しいというよりも、雇用も含めて期待で動くものです。例えば企業が熊本に来るのも、やはり熊本に対する期待が高ければ、前倒ししてでも工場を拡げようということが行われると思います。だからまず期待を高めることがとても大事なこと。そして多くの企業が熊本に来たいと思うこと。そういう意味では、大企業に関しては相当、熊本に集積してきているのではないかと思っています。

 次は熊本の中小企業、地場産業ですけれども、これを活性化しないと雇用の大部分がここにありますので。中小企業あるいは熊本の地場産業の活性化のために、リーディング産業を選んで県も一緒になり、その企業の成長を助け、そこに雇用を生み出そうということです。

 3番目には新幹線ができた(開業する)ということは、雇用の拡大にもなります。例えば玉名あるいは熊本市から33分で福岡に行きますから、熊本で仕事が見つけられなくても福岡で見つける。そうすることによって雇用の場は格段に広がります。そういう意味での新幹線を活用し、できればJRの通勤割引なども是非、大きくやって欲しいと思っています。福岡が雇用圏になるという形で雇用を生み出していかなくてはならないと思っています。

 それでも雇用が(拡大)できない時にはやはり雇用対策を行っていかなくてはいけない。大きな意味ではやはり(熊本の)経済の発展(が重要)ですね。熊本の良さを活かした経済の発展が第一。第二に雇用の場の拡大を新幹線で伸ばす。それでも難しい時には行政が乗り出し、一時的でも雇用が欠けないようにする、というのが我々の仕事ではないかと思っています。

質疑応答

政権に対する所感


 菅総理が先程、年頭会見をしましたけれども、今年は政治と金についてけじめをつける年にしたいということを中心に話しておられたようなのですが、知事として今年は中央政権としてはこういうことをやってほしい、あるいはこういうことを期待しているというような点がありましたら。

蒲島知事
 今頃、「政治と金の問題」ということを言っているのは悠長過ぎるような気がします。私も熊本県政で「政治と金の問題」が一切無かったというのは、とても良かったと(思っています)。そういうことを考えている間にどんどん政治、経済状況が動きますから、(その動きを)的確に把握、対応できないような気がするのです。だから早く「政治と金の問題」というものが、前提条件として無い中で(政治を)やらないと、足をとられてしまいます。(中央政権が)こういう困難な状況にあるとしても、私が望むことは中央政治における安定と「予想可能性」です。(国政が)どこに行こうとしているのか。やはり安定的な政権というものを望みたい。あまり多くは望みませんけれども、それが地方にとってはとても大事だと思います。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

ただ、地方政治も私が考えるに、中央(政府)が全部やらないと何もできないという考え方は良くないと思います。やはり今の状況の中でどういうことが可能か(を考えると)、イチローをよく(例えに)引っ張り出しますけれども、イチローはあらゆる状況の中でヒットを打ち続けます。どんなピッチャーやグランド、相手チームが変わっても(打ち続けます。)、そのように知事は対応していかなくてはならないと思っています。「中央政府がこうでなければ(どうにかしてくれなければ)何もできません」という考え方ではなく、(地方政治は)あらゆることをやるけれども、やはり(政府には)しっかりして欲しい、安定して欲しいということと「予想可能性」はとても大事ではないかと思っています。

質疑応答

大空港構想について


 弊社で年末と年始に、一つは大熊本空港構想で無料シャトルバスを来年度走らせたいということを県が検討しておられる。もう一つは、いわゆる民間資金を活用した社会資本整備で道路整備というのを県として、国、国交省に提案して、その可能性を探っておられるというお話をニュースとして出したんですけれども、知事としてこの2つについて意気込みというか、どういうふうに今年、取り組んでいくかというのをお聞かせ願えればと思います。

蒲島知事
 熊日新聞で大きく扱っていただいてありがとうございました。大空港構想というのは私が就任以来、温めていた構想ですけれども、なかなか県庁全体に浸透できなかったところがあるのではないかと思っています。

最初に出てきた争点は、豊肥線の肥後大津駅から空港まで線路を引いたらどうかという話でした。これは皆さん多くの方が言っておられます。当時の石原JR社長にその話をしたところ「不可能だ。まず金が掛かりすぎる。その割には乗客が少ない。とても考えられない。」ということを言われました。では利便性を高めるためにはどうすればいいかと思ったところ、別に空港に駅を造らなくてもいい、空港を広げればいいのではないかと思ったのです。空港を広げ(ることにより)、(空港敷地そのものの)端が肥後大津駅にかかる。肥後大津駅を熊本空港の駅にしようというのが熊本大空港構想で、(肥後大津駅と)飛行場の間は、成田や羽田のようにシャトルバスや空港バスを走らせればいいのではないか(と考えました)。そうすると飛行場を造る必要もない。飛行場はコンクリートで敷きつめられているというイメージがあると思いますけれども、飛行場の中にゴルフ場や田んぼがあってもいいし、工場があってもいいわけです。全体として日本一の飛行場に見立てようというのが大空港構想です。

 もともとこれを考えたのは、パリの空港に行った時に、(パリには)2つ空港があるんですが、そこを延々とシャトルバスが走るんです。それから比べると(熊本空港から)肥後大津(駅)位までは、すぐではないかと(考えました)。最高でも15分(程度)でしょう。日本一の空港にするためには西原村、益城町、あるいは大津町、菊陽町、そういう町の一部まで広め、田園まで取り込んだ空港にしたらどうかと(考えました)。空港の中に工場があり、ゴルフ場や病院があると、様々なことが可能になってくる。そして熊本空港は日本一美しい空港とも言われているのです。観光客もいらっしゃるぐらいですから。阿蘇まで取り込んだ大空港構想は、熊本市の政令指定都市としての発展も考えられるけれども、副都心機能としての大空港構想も考えられる。

第一段階として、今、テストしているのが空港から肥後大津駅までのシャトルバスです。テストケースですけれども、今、(肥後大津駅と熊本空港間のバスは)お金(料金を)を取っていますが、空港の中(空港内のシャトルバス)は無料ですね。だからそのようなこと(無料シャトルバス)は可能かというのを、大空港構想の中で考えているものです。これは乗客増というミクロなものではなく、もっと夢の膨らむような一つの大きな都市計画というか、空港を中心とする都市計画で、将来は特区になるかもしれないという可能性もあります。ただ今は目標です。「夢と目標の政治」なので、それに対して一歩一歩どうやって踏み込んでいくか。ちょうど州都(の実現)と同じように、大きな長期目標ではありますけれども、少なくとも私の任期中に一歩一歩進めていきたいと思っています。

質疑応答

PFI方式による社会資本整備について


 PFIの方は。

蒲島知事
 そちらの方は、民間で早くやって(整備して)おいて、後で借金を返していくという方法ですね。借金が激しく膨らんできて、今、私が直面している大きな問題(財政再建)と同じように、後世に借金を残すという大きな問題もありますので、PFI方式は魅力的ではありますけれども、これからより検討していかなくてはならない課題であると思っています。ただ、とても急いで絶対に必要だという時には可能かも知れませんけれども、始めると、どんどん借金は後世に残して、今やりたいことをやるという悪いパターンになってしまうことを恐れています。

 大空港構想の方はそうではありません。金を使わないで大空港構想を行うというのが大空港構想です。


 ただ唯一、熊本県内では天草−熊本間(熊本天草幹線道路)というのは90分構想を実現していない路線であって、それを何とか国、県が財政難の時代に、それでもやはりやりたい(整備したい)という地元の声もあるし、その中のすべてにPFIを使えという話ではないのですけれども、国もすごく注目していると思うんですけれども、その辺はいかがですか。

蒲島知事
 優先順位がものすごく高くても、お金がないという時のひとつの方法としては考えられるのだと思います。

(幹事社)
 各社、他に質問ございますか。

蒲島知事
 よろしいですか。

 ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

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