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平成22年11月 4日 知事定例記者会見
日時:平成22年11月 4日(木曜日) 午前10時00分から
場所:審議会室
発表項目
質疑応答
- チッソ株式会社の事業再編計画への意見について
- 格安航空会社(LCC)「春秋航空」の誘致について
- 平成23年度予算編成に向けて
- 耕作放棄地再生を支援する県職員ボランティア「農援隊」について
- 格安航空会社(LCC)の誘致について
- 公共関与管理型最終処分場の整備について
- TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について
- 熊本市長選について
- TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について
発表項目
チッソ株式会社の事業再編計画への意見について
チッソ株式会社の事業再編計画への意見書(PDFファイル:46KB)
(幹事社)
今月から朝日新聞とKABが幹事社です。よろしくお願いします。
まず発表項目が4項目あるということで、知事の方からご説明をお願いします。
蒲島知事
第1番目は、「チッソ株式会社の事業再編計画への意見について」であります。
これについて、チッソ株式会社に対して、熊本県知事としての意見を提出します。意見書については、皆さんのお手元にコピーがきていると思います。
主な内容は、地元の不安解消のための意見であります。具体的には、患者補償等の財源については、事業再編後も事業会社の収益から最優先で確保することを計画に明示し、公表すること。救済より事業再編が進捗しているという思いを被害者の方々に抱かせないよう、国、県とともに救済に全力を尽くすこと。3番目は、事業再編後も事業会社を含めた企業全体で地域への責任を果たしていくことを計画に明示し、それを丁寧に説明すること、などです。具体的な正確な案については、意見の写しを配付しておりますのでご参考にしてください。
発表項目
平成23年度予算編成に向けて
次は、「平成23年度予算編成に向けて」であります。来年度の予算編成に向けて、来週から本格的に庁内議論がスタートします。
熊本は、来年3月に九州新幹線の全線開業を迎え、その翌年には政令指定都市が実現します。このようなビッグチャンスが続く時期にありますので、平成23年度の予算編成にあたっては、このチャンスを活かし、熊本が大きく飛躍するよう、更に次のような新たな取組みを検討するよう指示したところです。
まず、急成長するアジアをターゲットにした誘客、ビジネス展開を最大化するための取組み。それから定住や雇用を促す新たな地域振興の取組み。「特区構想」で打ち出した農林水産業での新エネルギー活用の取組み。この他、絶対守らなければいけないのは、熊本の素晴らしい地下水であります。それを守る自然に対する対策強化。それから若者の「夢」への挑戦をサポートする「時習館構想」の新展開などがあります。
これからまさに平成23年度予算編成に向け、庁内議論で具体化を図って参ります。「4ヵ年戦略」の最終年度の政策予算でありますので、「くまもとの夢」の実現と県勢発展の礎を築くという強い覚悟をもって、全庁一丸となって取り組んでいきたいと考えております。
発表項目
中国訪問の報告について
3番目は、「中国訪問の報告について」です。10月18日から21日にかけて、中国の広西壮族(こうせいそうぞく)自治区及び上海市を訪問しました。
19日には、同自治区の南寧(なんねい)市にオープンする「日本園」に「広西・くまもとプラザ」を開設致しました。同プラザの開設にご協力をいただいた南寧東信不動産有限会社代表取締役の祝允(しゅく・いん)氏に「くまもと友好大使」を委嘱し、本県の魅力を広くPRしていただくようお願いしました。
続いて、20日には、24日まで開催されました「第7回中国−アセアン博覧会」の県のブースのオープニングセレモニーを行いました。ブースには多くの人が訪れておりまして、今回初めて出展した県産米を炊飯加工した「パックライス」も大変好評でした。私自身も皆さんに配りましたけれども、もっともっと食べたいという声が多かった。それから樽酒を皆さんに飲んでもらいましたが、とても大好評でした。中国で成功するには、やはり食べ物が一番大事だと思った次第です。
それから南寧市では、これまで本県において留学研修をされた約50名の皆様をお招きして、交流会や現地の経済関係者との意見交換会も実施致しました。今回の訪問を契機として、両県区の交流がさらに活発化し、「広西・くまもとプラザ」を通じて本県の観光や物産を広くPRできるものと期待しております。
21日には上海市において春秋航空を訪問し、王正華(おう・せいか)会長に「熊本~上海線」の就航を要請しました。王会長はこれに対し、強い関心を持たれたという印象を持ちました。
続いて復旦(ふったん)大学を訪問し、私の教え子である日本研究センターの郭定平(かく・ていへい)所長に「くまもと誘友(ゆうゆう)大使」を委嘱致しました。上海市においても、今後、復旦大学は交流拠点の一つとなるように願っています。ちなみにこの復旦大学が中国での評価がとても高く、言い換えると中国の京都大学のような位置にあります。
発表項目
耕作放棄地再生を県職員ボランティア「農援隊」が支援
最後ですけれども、「農援隊」のボランティア活動についてです。県では耕作放棄地解消を重点課題として取り組んでおります。この度、県職員のボランティアによる「農援隊」で、地域の耕作放棄地解消活動を支援することとしました。今回は手始めとして、来春開業予定である九州新幹線の新八代駅、新玉名駅周辺における景観向上のため、それぞれ11月6日と11月13日午後に地元の農業者や関係機関の皆さんと一緒に、草刈りなどの耕作放棄地再生と菜の花などの種まきを行います。どちらの取り組みにも、私自らが隊長として先頭に立って参加する予定です。
なお、「農援隊」の活動については、この会見の後、担当課の方から皆さんに詳しく説明致します。
以上が私の方で用意した発表項目であります。
質疑応答
チッソ株式会社の事業再編計画への意見について
(幹事社)
どうもありがとうございました。
幹事社から発表項目について1点、1点目の水俣病(チッソ(株)事業再編計画)の意見の関係ですけれども、これを出された狙いというか、県としてこうした見解を出したのはどうしてなんでしょうか。
蒲島知事
(チッソ(株)の事業)再編計画について先程ご説明をしましたけれども、地域の発展ということと、チッソが(水俣から)出ていくのではないかといった様々な懸念が地域にあります。
県としては今日、(チッソに意見書を)送りました。
先程の発表項目のように、3つの項目について、地元の不安をとにかく解消したいということで意見を出させていただきました。
これらの意見は、地元の不安を解消したいというもので、具体的にいえば財源について、実際に(チッソの)収益から最優先で(補償の財源を)確保すること、そして事業会社の収益から最優先で(補償の財源を)確保することを計画に明示し、公表して欲しいというのが一つであります。
それから(チッソの)事業再編計画が、救済よりも進んでいるのではないかという懸念もあります。そういう懸念を抱かせないように、国・県とともに救済を急いで欲しい、全力をつくして欲しいというのが2点目であります。
そして、事業再編後も企業全体で地域への責任を果たしていくことを計画に明示して欲しい、そしてそれを丁寧に説明して欲しいというのが、今回の事業再編計画への意見の内容であります。
実際の(意見書の)全文は、皆さんのお手元にお配りしています。担当課の方でもう少し付け加えることはありませんか。
(環境生活部次長)
特にはございませんけれども、チッソの分社化に向けた手続きの中でその都度その都度で意見を申し上げているということで、ねらいとしては知事の方からお話致しましたように、新聞等で報道されているように地元の不安という非常に懸念される部分があったものですから、その部分の不安解消ということを念頭に置いております。
蒲島知事
本日、意見書をチッソ本社に送付するということにしております。
(幹事社)
知事、今おっしゃったことはどれも重要なことですので、その指摘は理解できるのですけれども、もう一方の柱としてチッソの責任として公的債務の返済というものがあったと思いますが、そのことについては今、公表されている(事業再編計画の)内容で十分だという御認識なのか。
蒲島知事
公的債務の返済計画については、当然、きちんと説明を受ける必要があります。しかし、今回の意見は地元の知事として、地元の不安解消の観点から意見を述べさせていただきました。
Q
その地元の不安解消の観点からも(重要)ですけれども、分社化というのはチッソに大きな特典を与える措置だと思うのですが、その唯一の根拠というのは患者や地元への責任を貫徹すること、そして債務を全部返済することだと思うですが、その根拠の部分というものが今、出ている内容では金目のこと、資金計画というものが出ていませんので、頑張りますといわれても、なかなか確かめようがないという指摘も出ているのですけれども、そこら辺はどうですか。
蒲島知事
金目(資金計画)というのは多分、株式譲渡あるいは公的資金、公的債務の問題ですね。
ただ今回の事業計画というのは、チッソを事業会社と持株会社に分けるための計画であって、それに対する意見は述べましたけれども、その金目(資金計画)のもの、例えば株式譲渡は将来、当然考える必要がありますね。しかし、法律上はしばらくの間は凍結されておりますので、そういう意味では今回(意見書で)はそれについて触れておりません。
それから公的債務についても、きちんと説明を受ける必要はあるわけですけれども、今回の意見は先程言ったように、むしろ事業再編計画の事業会社と持株会社に分けるための計画に対する地元の知事としての意見としています。
Q
ということは、この意見というのは、第一段階ということであって、これからそれぞれのステップでその都度、第二段、第三段で詰めていくという。
蒲島知事
計画認可にあたっては、これが最後の意見になるかも知れませんけれども、今後の節目節目で、それに含まれていない資金計画であるとか、株式譲渡であるとか、必要があれば意見を言っていかなくてはいけないと思っています。
Q
知事、同じ趣旨ですけれども、この事業再編計画をご覧になった時にここが足りない、不十分だと思われた点、印象を持った点を少し。
蒲島知事
既に述べましたように、一つは資金面において事業会社に変わったからといっても、最優先で患者補償に取り組んで欲しい、これを明確に明示して欲しいということです公表も含めてですね。
それから事業会社を含め、企業全体で地域への責任を果たしていくことを計画に明示して欲しいとお願いしている。足りなかった点については、そういう(意見書という)形で今回要請しております。
Q
知事、特措法の時には後藤会長にお会いされて、「水俣から撤退しないように」という話をされたと思うのですけれども、今後、後藤会長なり環境大臣なりに直接、知事のお考えを伝えられる機会は。
蒲島知事
私は後藤会長に対し、日にちは明快に覚えていませんけれども二者会談の時に確認をしました。会長は「チッソが水俣から出ていくことはありません」というふうに明言されましたので。
それを改めて今回は確認しませんでしたか。
(環境生活部次長)
直接的に確認ということではないですけれども、会長自らがそうおっしゃいましたので。
蒲島知事
いずれにしても、私と(後藤会長と)の二者会談においてそのことをおっしゃって、その後の会社の活動もその方向に進んでいると私は思っています。
(幹事社)
その都度、節目節目でご意見を述べられるというお考え方でしょうけれども、地元の不安の一番の核心は分社化して、その次のステップですけれども、事業会社が株を売却されて全くチッソと関係のない会社になった時に、それでも地域振興が続くのかということだと思うんですね。
蒲島知事
だから、そこで我々は意見書を提出して、そうならないようにきちんと(事業再編)計画に書き入れて欲しい、丁寧に説明して欲しいということを書いています。
(幹事社)
ということは株式を売却しないで欲しいという意向を伝えるということですか。
蒲島知事
そうではなく、今の(事業再編)計画そのものは、持株会社と事業会社に分けるという説明(計画)ですね。株式の方は、しばらくの間は(譲渡は)凍結という状況になっていますので、それに対する意見ではなく、持株会社と事業会社を分ける時に、事業会社の収益から最優先で患者補償の財源について確保することを計画に明示してください、それを公表してくださいということを今、(意見書で)言っているわけです。
それに対して熊本県知事として意見を出しているというのが現状であります。
Q
水俣から撤退することなく、責任を果たしていくことを明示して欲しいというこれは、あくまで事業再編後であって、株式譲渡後も、という意味ではないということですか。
蒲島知事
株式譲渡まではここでは言っていません。
Q
までは言ってないのですか。
蒲島知事
言っていませんね。
(環境生活部次長)
はい。そこまでの想定は先程、知事が述べましたようにまだ先の話としてです。現時点においては、事業再編後での株式譲渡の話としては明記をしておりません。
今、ご質問があった点については、2の(1)で、事業再編後も株式会社を含めた企業全体で責任を果たしていただきたいということを明記していただくということで、そういったものの明示をお願いしているところです。
蒲島知事
全体の認識としては、この事業再編計画がアクセプト(受諾)されると、すべて水俣におけるチッソの会社の存続の問題と将来の問題が解決するということではなく、一歩一歩ステップがあると思うのです。その第一のステップがこの事業再編計画ですので、その第一改革(段階)に対して我々の意見はこれであるというふうに理解して欲しいと思います。
先程も言いましたように、そういうステップの段階で、県として必要である意見は言わせていただくということになります。
Q
もう一つ、チッソが公表してきた再編計画には、あくまで患者への補償という意味で、今回の1の(1)に含まれている裁判であるとか、特措法の分野が含まれてなかったことについて知事の見解はいかがでしょうか。
蒲島知事
そういう意味で計画にそれを明示して欲しいというのが、今回の我々の要請であります。患者補償等の財源については、再編後も事業会社の収益から最優先で確保することを計画に明示して欲しいということをお願いしています。
(幹事社)
ほかに発表項目について何か。
質疑応答
格安航空会社(LCC)「春秋航空」の誘致について
Q
(格安航空会社春秋航空の)熊本~上海線(の就航)について要請をされたということですけれども。
蒲島知事
春秋航空のことですね。格安航空運賃でビジネスを行う春秋航空ですけれども、ここの社長とお会いすることができました。1時間半にわたって、向こうの方(春秋航空)からいかに優れたエアライン(航空会社)であるかということや、この格安航空ライン(会社)ができた(就航した)時に、(日本の)他の航空会社がマイナスの影響を受けるのではないかという恐れはないという利点をプレゼンしてもらいました。
私どもは熊本空港のロケーション、それから熊本の九州におけるロケーション、熊本の持つ観光資源、これらについて丁寧に説明したところ、私が見た限りでは1時間半に及ぶ会談だったのですけれども、とても(熊本に)関心を持たれたと思っています。
私が聞いたところ、九州のどこかにベースとなる空港を設けられたいという希望があると聞いておりますので、そういう意味で九州における熊本の利点を十分論じ(ることができ)たと思っています。
これ(誘致)は継続(すること)が大事ですので、一回行ったからいいというわけではありませんない。上海から(熊本は)意外と近く、1時間20分ぐらいで熊本まで来ますし、熊本からよそに行く時のハブ機能をセールスポイントとして売り出すことができたら大変うまくいくのではないか。これは交渉相手がいることですので、100 %成功だったということは言えないのですけれども、第1回目のトップセールスの感触としては良かったと思います。
Q
知事、この前の共同通信の都道府県のアンケートを行いまして、熊本県は(格安航空会社を)誘致するかどうかについては、検討するというような回答だったと思うのですけれども、今の知事の話ですと誘致をする、誘致をしたいということでいいんですか。
蒲島知事
誘致活動に入っています。上海の春秋エアラインについてです。
Q
今のところ春秋航空1本ですか。
蒲島知事
今のところそうです。アシアナの方は安定化の方向に向かっていますので、将来的には週5便が(就航)できたらいいと思っていますし、上海線が来ればとてもいいと思います。将来的には、他のエアライン(航空会社が)、他のアジア地域から来ると、熊本は便利になると(思います)。
私が熊本(空港)の利点を紹介したのは、まず日本一美しい空港であるということ。二番目に九州の真ん中であるということ。三番目にここ(熊本)から観光を始めても十分な観光資源があるということです。
Q
LCC(格安航空会社)については、佐賀県も誘致を表明していますし、北九州空港も非常にメリットが大きいといわれていますけれども、今、知事が空港のロケーションなどのメリットを強調したということでしたが、実際にハードルになりそうなことはどういう点ですか。
蒲島知事
一番のハードルは価格になりますかね。。熊本の利点はたくさんあるけれども最後は価格競争ですか。
(交通対策総室)
知事が申しましたように、トップセールスを開始したばかりで、交渉はこれからになりますので、どういう点がハードルになるかというのはこれからの先方との協議の中で明らかになってくるかと思います。
質疑応答
平成23年度予算編成に向けて
Q
予算の関係ですけれども、先程5点ほど挙げられましたが、この位置付けがよく分からなかったのですけれども、夢づくり推進枠との関係で、夢づくりの推進枠の中に入れる話なのか、その(夢づくり推進枠と)別枠の中で重点化するのか。
蒲島知事
私は3つの困難と4つの夢をマニフェストに掲げて当選しました。当然、その4つの夢を促進するような政策を平成22年度からやっているわけです。平成23年度予算は(4ヶ年戦略の)最終年度になりますので、(平成23年度の)本格予算は4ヶ年戦略における4年間の最終の予算になります。
そこで、より広範に加速できるもの(事業)、少し漏れていたもの(事業)というものもあります。例えば、マニフェストの時は十分ではなかった熊本における水の重要性、これはもっと力を込めてやらなくてはならないのではないか。あるいは私学(振興)という時習館構想も、マニフェストの段階では「夢のある教育」と言っていましたけれども、具体的に私立高校のレベルアップまでは考えておりませんでした。それらを更に加速していく(必要があると考えています)。
その他に春秋航空の話がありましたけれども、アジアをターゲットにした戦略。これは上海だけではなく、広西壮族自治区もそうです。広西壮族自治区には5千万人の人がいます。一方、熊本は180万人ですから、大変恵まれた姉妹都市関係にあります。そういう意味で今回、広西壮族自治区にくまもとプラザを出すことができたのは大成功だったと思います。これも無償でやって(出展させて)もらえましたので、熊本の持ち出しはない形で熊本のPRができるのではないかと思っています。そのようなアジア戦略を打ち出します。
それから特区構想を改めて打ち出します。農業の振興をこれまでもやってきましたが、コストと販売価格、そして利益という3つの観点から改めてやって(考えて)みると、ソーラーエネルギーあるいはバイオエネルギーを使った重油に代わるハウス生産が必要ではないかということも次第に分かってきました。それを23年度では、更に突っ込んでいくという形になっております。
Q
夢づくり推進枠ではなくて、それを補うような形ということでしょうか。
蒲島知事
プラスアルファの新たな取組みということ。加速してプラスアルファと思っていただいたら(いいと思います)。
Q
特別枠としてこの4つを設けるというような意味合いではなく、ここを中心にやりますというような形ですか。
蒲島知事
これを更に加速する部分もあります。一番いい例が「品格ある熊本づくり」がマニフェストにあって、それに伴う予算もやってきました。しかし、更に加えて地下水の重要性というのを考えたものですから、地下水についてはもっと加速プラス新たなエネルギーを通してやる、という感じです。時習館構想についてもそうです。時習館構想も最後の本格予算ですので、例えば時習館からハーバード(大学)に学生を送るとか、そういう目標を持って新たな取り組みを23年度でやりたいと思っています。
Q
知事、今の質問は予算(編成)方針の中で、(新たに)夢づくり枠23億円を今回作られていますが、この中だけでさっきおっしゃったことをするのか、全体の予算の中でも冒頭おっしゃったことも当然やっていくということですか。
蒲島知事
新たな枠(夢づくり枠)でやります。
Q
夢づくり枠の中でこれらをやられる。
蒲島知事
新たな試みなのできちんと確認しておかないといけないですね。
そうですよね。
(企画課)
そうです。
蒲島知事
これまであまりお金(予算)がなかったのです。来年度23億円という枠があるので、更に大きな夢を広げられないかということで、新たな促進剤というか、取り組みをしているところです。
質疑応答
耕作放棄地再生を支援する県職員ボランティア「農援隊」について
Q
県職員ボランティア「農援隊」というのは、休日に無給で職員さんが頑張られるというものですか。
蒲島知事
ボランティアですから当然、休日に無給というとおかしいですけれども、自発的に「農援隊」というのを作ろうと(いうものです)。
Q
少し引っ掛かるのは、知事の発案、動き自体はとても評価に値することだと思うのですけれども、雇い主の知事が発表する項目にそぐうのかという。
蒲島知事
私も一番心配したのはそこであります。知事が言って(呼びかけると)、(職員は)反対できないのではないかと。そういうことよりも、今までの官庁組織というのはどこかの組織や団体を通して何かを動かすという事業が多かったのですけれども、地域に貢献するために県庁自らがボランティアとして動いて、「農援隊」という一つのシンボリックな行為にしたらどうかと。
幸いなことに県庁の中にはトラクターを運転できる方もおられますし、兼業農家の方もいらっしゃるので、(耕作放棄地解消の)お手伝いをしたい、草刈りをやりたいというボランティアの方が出てこられました。だから強制ではありません。
大事なことは、こういうことを考えている八代や玉名の方々、振興局、組織の方々の参加の機運がとても高まったのです。それが発火装置となりました。こっちからやりましょうというだけではなかなか進まない(と思いました)。私も大学で教えてきましたけれども、自ら動かないと、ただこれやれ(かけ声)だけでは学生はほとんど動きません。
そういう気持ちがあったから、今回「農援隊」構想を出し、来年のイエロープロジェクトに間に合う11月に種をまいて来年の春に美しいレンゲや菜の花を咲かせます。
Q
立派な試みだと思いますので、勤務とボランティアの区別がきちんとしてあればと思っただけです。
質疑応答
格安航空会社(LCC)の誘致について
Q
さっきのLCC(格安航空会社)の話に戻りますけれども、アジアをターゲットにした戦略ということをおっしゃったんですけれども、もうちょっと掘り下げてLCCが来ることによる熊本のメリットというか狙いというものを。
蒲島知事
例えば春秋エアラインが茨城に来ています。茨城には私も住んだことがありますけれども、空港としてはとても不利でもあるのです。しかし知事の熱意で、春秋(航空)は初めて日本に来た(就航する)。また、インターネット(予約)で時間帯によって(価格が)違うと思いますけれども、香港−茨城の片道の値段は一番安いのは5000円位だそうで、それがすごくエネルギーになるような気がするのです。例えば熊本から1時間半以内で上海に行くのですから、そういう形で交流人口が増えれば素晴らしいと私は思っています。
今、アシアナ(航空)がソウルに飛んでいますけれども、是非将来的には(週)5便になって、そして上海までも行くの(便)がある。あるいは他もエアラインができる(就航する)。私はなぜ熊本(と海外との交流人口)が少ないかというと、福岡(空港)と比べると(海外との発着)便数が少ないんですね。便数を増やせばもっと熊本から出ていく人が多くなる。熊本の人が福岡(空港)まで朝早く行って2時間前に着いて待つよりも、熊本空港のパーキング(駐車場)に停めてすぐに(海外に)行ったほうがどんなに便利かが分かりません。そういう意味では、是非この便数を増やしたい。それから行く場所(航路)も増やしたいと思っています。
ただ皆さんもご存知のように、今はちょうど時期的には悪い時期かも知れませんけれども、これから熊本も発展するだろうし、アジアも発展していくと思います。そこで今のうちから手を打っておく、種をまいておくというのが現在の県政の立場であります。
(幹事社)
時間も迫ってきているようですので、発表項目以外について何か質問があれば。
質疑応答
公共関与管理型最終処分場の整備について
Q
知事すみません、話がガラッと変わるんですけれども、先日、我々の方に報道発表がございました南関町の公共関与の最終処分場の件です。今度の8日、9日に地元説明、それから現地視察が予定されていると伺いました。
知事は現地に入られるのは初めてなのかということと、改めて今回、知事自ら現地に入られる狙いと思いを聞かせてください。
蒲島知事
議会でも説明しましたけれども、クローズドで無放流という新たな方式で処分場の施設を造るということの説明を一から丁寧にやりたいと思っています。それから、説明のために私が地元に入って、誠実に丁寧に説明をすることが重要ではなかろうかと思ったわけです。それで南関町と和水町の方に入り、地元の説明会をすることにしました。
そこで理解が得られるとは思っておりませんけれども、一生懸命にこの問題の重要性、それからこの問題のマイナスの面をいかに避けながらプラスの面を出していくかということをご説明申し上げたいと思っています。これは難しい問題であります。しかし、熊本県にとってはどうしても必要な施設ですので、そういう観点からご理解いただけるように一生懸命頑張りたいと思っています。
Q
知事が現地に行かれるのは初めてですか。
蒲島知事
はい。ただ私は南関町、和水町は何回か行ったことはあります。この最終処分場の問題に関して私が入るのは初めてです。
それからその前(これまで)と違った提案ですので、まず議会に説明し、議会の次に住民の方々に(説明を)と思っていたところです。
質疑応答
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について
Q
今、にわかに議論になっていますTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のことでお尋ねしたいんですが、先日、県の農林水産部で影響額の試算を出されましたけれども、今回のTPPは農産物だけの話ではないので、商工観光労働部で誘致企業であるとか県内の地場企業であるとか、そういうところに対する影響額の試算などをお考えになってますでしょうか。
蒲島知事
商工観光労働部で試算した結果もあります。具体的な数字は、農林水産部での農業関係の試算でマイナス的効果として1147億でしたか。それから商工でやった(試算した)ものはありますか。
(担当課)
商工サイドで参加しなかった場合の損失額という形で試算をされています。後で詳しい考え方等について説明致します。
蒲島知事
ただ熊本県に関しては、農業と商工の差はそれほど(それぞれの影響額に)なかったような気がしました。その試算のやり方が農業と工業分野は違います。その比較が本当に可能かどうかということも含めて具体的な数字が(今、)私の手元にないのです。
Q
逆に言うと、商工サイドの試算が出ない段階で、具体的に知事がこの前の議会終了後、県議会の意見書に沿って考えるといったTPPに反対というようなことを表明されていたので、我々からすると情報が無いままそういうご判断をされたのかと思っているんですけど。
蒲島知事
これはプラスとマイナス、メリットとデメリットがあることは確かです。国レベルで考えた時と県レベルで考えた時は違います。県議会の意見書に理解を示したというのは、拙速にこの問題を片付ける、決めるべきではないというところがとても大事だと思います。
これは国運を決めるとても重要な問題だと思っています。だから拙速(な結論)はいけない。もしある決定がなされた時に、マイナスのポイントとプラスのポイントを積算し、慎重に比較検討するということがとても大事だと思っていますので、もし実施するとすれば農業分野にどのような農業ビジョンがあるのか、農業のダメージをどのくらい軽くしてくれるのか、つまり農業ビジョンとセットだと思っています。
マイナスが出ない、つまりどの産業もゼロサム(一方が得をすれば一方が損をすること)ではなくウインウイン(Win-Winどちらも得をする)になるような形でこれを決着して欲しい。そのためにも国民の合意が必要だし、理解も必要だと思っています。そういう意味で、どっちがイエスでどっちがノーというそういう問題ではなく、もう少し時間をかけて合意形成が必要ではないかというつもりでこの前の議会(後)のコメントはしたところです。
Q
そういう意味では知事は、参加に向けた協議の場に入ることについては賛成でいらっしゃるというふうに捉えてよろしいんですね。
蒲島知事
協議の場に入るかどうかという前に、やはり関係者の態度がとても大事です。賛成するつもりで(協議の場に)入るのか、あるいは絶対反対として入るのか、どういう態度かによって随分違います。だから参加するということ(を決定すること)にどの位の精神の自由があるのかというところ(が大事)だと私は思います。もう腹を決めて入る(協議に参加する)のか、そうではないのか。腹を決めて入る(協議に参加する)のであれば、その前の合意形成、農業なら農業のビジョンが必要だと私は思っています。
Q
今のところ政府は9日に閣議決定する、いわゆる参加するということで動き出しているんですね。それに対して、都道府県知事がそれぞれどういう意向をお持ちなのかというのは、それぞれの都道府県民としても非常に関心がある話なんです。だからその時点、今の動いている時点で、知事としては拙速な参加は避けるというお考えで。
蒲島知事
拙速な行動は、ですね。拙速な行動というか参加を含めた行動については、慎重であって欲しい。もう少し議論が必要で、一方では、もしマイナスがあった時にはこうやりますというビジョン、やはりそういう影響との精査をしなくてはいけないだろうし、国民的議論を尽くしていかなくてはならない。特に熊本県は農業県でありますし、今、熊本県は農業の活性化に懸けています。農業というのは、先程、地下水の話をしたように環境・観光、これらにとても重要な問題で、ただの経済的な価値だけではないと私は思っています。そういう意味でTPPの問題に関しては、より慎重であって欲しいというのが私の今のスタンスです。
Q
そこは大事なのでちょっと確認させてください。参加を前提にして各国との話の場に入るということは拙速だと思っていらっしゃるのか。メリット、デメリットを明確にするために協議の場に入ることについては別にいいと思っていらっしゃるのかそこを。
蒲島知事
その(協議の場に)入るスタンスですね。参加するスタンスがどこにあるのかがちょっと分かりませんね。一方ではもう早期に提携するという参加(スタンス)なのか、あるいはおっしゃったようなメリット、デメリットを精査するための参加(スタンス)なのか。そういうところがまだ明快ではないような気がするのです。
Q
参加前提だと反対ですけど、(メリット、デメリットを)明確にするためであれば知事は意義があると現時点ではお考えですか。
蒲島知事
最終的な国運を左右する決断は、総理大臣がしなくてはいけませんね。その決断が(TPPに)参加したうえで様々な合意、マイナスの影響、或いは農業のビジョン、それらと整合性があればいいですけれども、ただ必要性に迫られているからやる(参加する)というのは反対。だから同じ参加でも参加の背景というか意欲が違うのではないですか。
質疑応答
熊本市長選について
Q
知事、熊本市長選について聞いていいですか。
蒲島知事
市長選についてですね。どうぞ。
Q
いずれにしても7日に(市長選の)結果が出て新しい体制になる。現職有利と言われていますけれども、新体制になった後の熊本市との連携をどういうふうにしていくかというところを。
蒲島知事
先程言いましたように、新幹線の全線開業効果を最大限にするという意味では、熊本市の役割はとても大きいと思います。それから熊本市が政令指定都市になりますけれども、この政令指定都市効果を全県に波及させるという意味でも、今後の熊本市の動向はとても重要だと思います。これまでも熊本市と熊本県は最大限連携してきました。合併問題についても連携してきましたので、選挙の結果はどうなるとしても連携は続け、県と市が熊本県のために最大限プラス効果になるような政策を心掛けていきたいと思っています。
(幹事社)
そろそろ時間も迫っているようですが。
Q
市長選はなかなか関心が高まらないところが重要性に比して課題となっていますけれども、候補者の方や市民の方に期待されるところはどんなところでしょうか。
蒲島知事
(候補者)全員が真剣に政策を提示され、それに関して有権者が判断される。多くの有権者が投票に行かれることを期待しています。
Q
こういう時はあまり関心があがらないものなんですか。
蒲島知事
政治学的にはいろいろ議論がありますけれども、ここは具体例になってしまうので、これについてはコメントは控えさせていただきます。
質疑応答
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について
Q
TPPでもう1点ですけれども、先程、商工と農業の比較をして、あまり大差がないとおっしゃられましたけれども、その試算を踏まえて知事はどういう印象を持たれたかというのを。
蒲島知事
これは私にとっても難しい問題です。更に国レベルでの政権の判断というのはとても難しいと思います。
いずれにしてもどちらかの判断をとるとすれば、先程言ったように不利益、デメリットを被る人達、あるいはそのグループに対して、最大限の配慮とビジョンを示すべきではないかと思っています。いずれにしても、これは「参加する」「参加しない」どちらをとっても、とても影響の深い問題であります。影響を受けるグループに対して、丁寧な説明とそれに代わる効果的な政策をとらなくてはいけないのだろうと私は思っています。これは難しい選択ですけれども、それは多くの政治家がしなければならない決断でもあります。
Q
知事、もう1回確認ですけれども、今の政府の動きとしてはやっぱり議論が拙速だと。
蒲島知事
私はそう思います。私自身がこれ(TPP)について認識し始めたのも10月以降です。議会、行政、それから官庁組織レベルでもその位ですから、まだ国民的な議論や、実際に影響を受けられる方々の認識がそこまで深まっていないような気がします。やって(協議に参加して)みたけれども、合意が得られないなど様々な場面があります。そういう意味で拙速であって欲しくないと私は思っています。
(幹事社)
どうもありがとうございました。
蒲島知事
はい、どうも。