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平成22年 9月 1日 知事定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006489 更新日:2010年9月1日更新

日時:平成22年9月1日(水曜日) 午前10時00分から
場所:知事応接室

発表項目

質疑応答

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発表項目

「ひとり親家庭等応援事業」に係る在宅就業者の募集について

報道資料(PDFファイル:46KB)

蒲島知事
 おはようございます。

(幹事社)
 今月から幹事社が変わりますので、よろしくお願いします。

 まず知事の方から。

蒲島知事
 はい、3つあります。

 第1番目は「ひとり親家庭等応援事業」がスタート致します。

 本県では、厚生労働省からの補助による「ひとり親家庭等応援事業」に取り組んでおります。全国15自治体で取り組まれておりますけれども、本県の特色は次の4つに集約できると思います。

 まず、事業規模です。事業予算が16.8億円、及び就労支援の対象者が420名となっておりますけれども、これは全国規模では第1位であります。ちなみに第2位は北海道の6.1億円、第3位は佐賀の4.8億円となっています。

 2番目の特色は、全国で唯一、親の就労支援にとどまらず、子ども達の教育支援、生活支援など、ひとり親家庭の支援を総合的に行うことです。

 3番目の特色は、能力適性に応じたメニュー選択が可能となるよう、全国で唯一2社に委託しております。

 それから4番目ですけれども、皆さんのお手元に今日の毎日新聞記事を配らせていただきました。雨宮処凛(あまみやかりん)さんの「シングルマザーを救え」という記事です。

 この「ひとり親家庭等応援事業」の特色の一つとして、子ども達の最大幸福量を最終ターゲットに置いているというのが特色であります。

 親御さんの就労支援というのもとても大事ですけれど、その子ども達が置かれている社会的経済的状況は、非常に悪いということもありますので、子ども達の幸福を最大にしたいというのがこの事業の最終目的であります。

 このように、非常に特徴的な取り組みで全国から注目されております。企業、団体、地域を含めた県民の皆さんの支援により、ひとり親の皆さんや子ども達が積極的に社会参加できる「熊本モデル」を発信したいと考えております。

 昨日、在宅就労のための訓練業務等を委託する企業と、協定書の調印を行いました。

 今月中には、参加者の募集を開始する予定です。いよいよ「ひとり親家庭等応援事業」がスタート致します。

発表項目

ねんりんピック2011(ふれ愛)熊本開催1年前イベントについて

 2番目は、「ねんりんピック2011(ふれ愛)熊本」開催1年前のイベントです。

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 「ねんりんピック2011熊本」の開催まで1年余りとなりました。そこで1年前を迎える今年10月を広報強化月間と位置づけ、1年前イベントを実施致します。詳しくはお配りしてある資料とチラシをご覧ください。たくさんの県民の皆さんのご参加をお待ちします。

 また、来年の熊本大会に全国から参加される選手の皆さんにお配りする、『おもてなしの記念品』の製作費にあてるため、「みんなでおもてなし募金」の募集も始めます。是非、県民の皆様のご理解、ご協力をお願い致します。

発表項目

2010世界大百済典への参加について

 3番目は、「2010年世界大百済典」への参加についてです。

 このたび本県と27年以上にわたり、姉妹友好関係を締結している韓国忠清南道(チュンチョンナムド)で、9月18日から10月17日までの1ヵ月間、「2010世界大百済典」が開催されます。

 ご存知のとおり本県は、一昨年に百済系菩薩立像が出土した鞠智城に見られるように、百済文化と深いつながりがあり、私も多くの県民の皆さんと9月16日から19日まで韓国を訪問し、この祭典に参加します。 17日午後には、扶余(ブヨ)郡にある大規模な歴史テーマパーク「百済文化団地」で開催される大百済典開会式に出席します。

 本県は、百済文化と深いつながりがある鞠智城をテーマとしたブースを出展致します。私も鞠智城や熊本の観光を大いにPRしたいと考えています。

 また、9月24日金曜日から9月26日日曜日までの3日間、大百済典のメインプログラムの一つである「海外芸術団公演」に、本県からも「山鹿灯籠踊り保存会」や子ども舞踊団「ザ・わらべ」が参加し、熊本の郷土芸能を披露する予定です。

 1ヵ月間の大百済典期間中、是非多くの県民の皆様に忠清南道を訪問していただき、百済の歴史・文化を肌で感じていただきたいと思っております。

 以上3つです。

質疑応答

「ひとり親家庭等応援事業」に係る在宅就業者の募集について

(幹事社)
 今の発表項目についてご質問をどうぞ。


 ひとり親家庭の件で伺いたいんですが、募集されるコースがAコースとBコース、2つに分かれていると思うんですけれども、どういったところに違いがあるかを教えていただけますか。

蒲島知事
 2つの会社がこれに参加しています。一つは市町村の(国民)健康保険のレセプトの業務を行っている会社です。もう一つは、コンピュータ等を使った様々なインターネットの事業を行っておられる会社でありますので、パソコンソフトやインターネットの基礎知識、あるいは就労に必要な技能を習得させるための訓練を考えています。(どちらも)基礎訓練が5ヵ月、応用訓練が7ヵ月になっております。その訓練によって技能が高まり、次第に実務にシフトしていくというイメージです。当然、訓練期間中には手当が支給されます。訓練の期間は、基礎訓練が5万円、応用訓練については2万5000円となっています。

そういった意味で、一つは就労支援です。もう一つは子育て支援です。シングルマザーの方、あるいはひとり親の方で、そちら(子育て支援)の方の仕事を希望される方もあるかも知れません。非常に多様な在宅就労に従事していただきながらお子さんを近くで見ることができる、あるいは誰かがお子さんを見てくれる、というものです。

 この説明を求められた時に私は「おばあさんの役割」というのを言っております。人類の発展の歴史の中で、「おばあさん」というのはとても大きな役割を果たしてきました。しかしながら今、シングルマザーの方の苦しみ、それから核家族化の中でその役割を果たす人がなかなかいない、行政がその役割を果たすべきだという思いでこの新しい取り組みにチャレンジしているところであります。この事業は、「ひとり親家庭の『おばあさんの役割』を持っている」という認識でやっています。


 スタートにあたってですけれども、今回、最大で420名を対象にされているということですが、今後も何年間か続けていくと、母子世帯であっても420名では到底、全部網羅できないわけで、最終的にはどういうふうに継続していこうというお考えでしょうか。

蒲島知事
 この事業は2年間の事業です。2年後にどうなっているかというのは、とても大きな関心であると思います。

私は、この2年間でこの事業が成功して、420人の方がまず正規に就労できること、これが大事だと思っています。また、このモデルを成功させることによって、他の企業も参入したい、あるいは行政と一緒にやってみたいというような手が挙がってくると思っていますので、この広がりを求めているところです。まずこの420人をきっちりと就労させて、そのお子さん達をきっちりと育てていく。これが成功し、この広がり、波及効果を求めて(期待して)いるところです。

これが成功すれば、次の段階で政府の援助、あるいは熊本県の自主事業でいろいろなことが考えられると思いますけれども、まずは2年間でこのプロジェクトを成功させたいと思っています。

 ここに雨宮さんの記事(注:平成22年9月1日付毎日新聞)があります。このような事件(大阪:2幼児死体遺棄)が起こりますと、事件が起こった後はすぐどうにか対応しろということを求められますけれども、もっと深いところから、あるいは基礎的なところから始めるというのが大事だと思っています。その基礎の部分で我々は今回、16億円という巨額の予算を受けてやりたいと思っています。


 420名の枠に募集を始めると、更にそれを上回るような応募数になる可能性もあると思うんですが、その時はどういう選択基準でその420名を選ぶかというのは、既に検討をされてはおられると思いますが。

蒲島知事
 まずはこの420名の方を募集します。そしてどういう方が応募されているか(を踏まえて検討していきます)。先程言ったような教育の方をやってみたいと思われる方があるかも知れません。

420名という大変な人数ですけれども、まずこれをやってみて、それからどういうことが可能かということもまた考えるべきかも知れません。ただ、今はまず420名という予算規模でやってみたいと思っています。


 予算規模で420名なんですけれども、応募数が上回った時は、どういう形で対応されますかということです。

蒲島知事
 まだそこまで具体的にどういう対応をするか、ここでコメントするところまで至っていません。

ただ希望が多く、それだけひとり親家庭の方の苦しみが(多く)あれば、他の様々な事業ができないのか、他の事業やプロジェクトと関連させることができないか、あるいは雇用対策と関連させることができないか、いろいろな可能性がないわけではないと思います。まずこの事業では420名を募集していきたいと思っています。


 今の段階では、例えば追加補正もあり得るとか、そこまでは。

蒲島知事
 これだけの巨額ですので考えておりません。


 ひとり親事業に対してなんですが、やはりこういう情報をメディアでやった(報道した)としても届きにくい家庭というのが一番困っている家庭だと思うんですよ。そういう方達にどうやって伝えていくか。

蒲島知事
 これはやはり広報が大事だと思います。とりわけ、困っている家庭の方も同じようなスタートラインに立てるような周知徹底が大事だと思っています。

 それからやはり県庁も、ただ待っているだけではなく、様々な組織などを通してそこにリーチできないか。福祉関連の部もありますので、そういう所に手が届くように努力しなくてはいけないと思っています。

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質疑応答

新熊本合同庁舎B棟について

(幹事社)
 これでよろしいですか、発表項目については。

 では、発表項目以外を始めます。まず幹事社から一つだけ。

先日コメントをいただきました熊本合同庁舎。2年連続でB棟の概算要求が見送られたということは、地元にとって非常に大きな問題だと思うんですが、今までも熊本市と一緒に一生懸命に陳情活動をされてこられましたけれども、その効果、結論として、今回までに(予算措置が)出来なかった。今後どのように取り組まれるつもりなのかというのを改めて。

蒲島知事
この合同庁舎のケースについて、A棟は完成するということですけれどもB棟が(建設されず)駅前の一等地に空き地が残るというのは、都市計画上、許されるものではないと私は思っています。

 これまでこの問題については、県と市と国と進めてきて、出先機関の受入先が不透明、あるいは出先機関をどうするかが不透明ということで、今、ストップされているところです。

 これは慣性の法則からみると、一度ストップしてまた事業が動きだすのに多分4、5年掛かるのではないかということで、是非このB棟は来年度予算でやって欲しい、この概算要求にのせて(計上して)欲しいという運動(要望)をしてきました。ただ、残念ながら概算要求にのって(計上されて)いない。

 しかし、全く諦めためたわけではなく、さらに元気を出してこれを復活させたいと、今、一生懸命にやっているところです。自民党政権下であれば、一度概算要求にのらない(計上されない)ものを復活させるというのは、相当な困難を要求されましたけれども、新たに政権交代が起きて政務三役主導という状況がありますので、それに懸けて、熊本市と連携しながら最大限の努力をしたい。9月、12月の復活予算(折衝)で、これが復活できたら素晴らしいと思いながら、一生懸命にやっているところです。

 ただ、現状でそれほど楽観的でありませんけれども、可能性がゼロでなければそれに最大限力を注ぐというのが蒲島県政ですので、一生懸命やります。皆さんも是非、側面応援していただきたいと思います。

 これは県とか市だけではなくて、熊本県全体の将来像(にかかわることです)。それから九州知事会では、将来出先機関をまるごと受け入れるという決定をしています。そして九州連合、あるいは広域連合という形で(国の出先機関を)受け入れようと(考えています)。その時、熊本県にこのB棟があると、それだけ多くの国の機関が熊本に集中するということでもあります。熊本が州都を目指すうえにおいても、このB棟の建設というのはとても大事だと考えています。

 今まで必死でやりましたけれども、これからも手を抜かないで必死でやりたいと思っています。

質疑応答

九州新幹線全線開業について


 九州新幹線の試験運転が昨日からスタートしていますけれども、改めてあと半年あまりというところまできましたが、新幹線開業について、これから県が取り組んでいかなければいけないと思っていることというのを改めて。

蒲島知事
 昨日、試験運転がありましたけれども、私も新幹線を見て、「ああ、本当に熊本に来たのだな」と(感じました)。それから(新幹線が)とても大きく見えました。そういう意味で、この新幹線の全線開業の効果を全県に広げていかなくてはいけないという覚悟を、改めて決めたところです。

 それから熊本県の中には、これ(新幹線)が素通り(熊本駅を通過)して行くのではないかという思いを持っていらっしゃる方もありますので、とにかく来年の3月に向けて全国から多くの(方々に)熊本に新幹線で来てほしいというプロジェクトをいくつも組んでいます。「くまもとサプライズ」もありますし、お出迎えの一つの方法として、沿線を菜の花やレンゲで敷きつめるイエロープロジェクトといった運動もしています。また熊本駅は、建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を貰った西沢立衛さんの広場と安藤忠雄さんの駅(舎)という建築界でも珍しい組み合わせで駅ができます。

 そういう全てのことにプラスして阿蘇。阿蘇はどこに行っても熊本の象徴でもありますので、まずこれを中心に熊本を売り出す。そして熊本駅から阿蘇方面、それから人吉、天草、県北の方面に皆さんが旅行に出掛けるような形での波及効果(が大事だと思います)。

もっと大事なことは、九州は一つですので、例えば熊本駅から宮崎県の高千穂の方に行ってもらいたい。あるいは長崎の方に行ってもらいたい。あるいは人吉を通って鹿児島の方に行ってもらいたい。(そういった)ハブ的な機能を確立することができたら、まず九州(熊本)に来て分散していく、そういうことも可能なのではないかと思っています。今、ハブ機能は福岡にあり、福岡から分散していますけれども、地理的有利性からみると熊本の方がとても有利だと私は思っています。

 そういう意味で、何よりも熊本の魅力は県民総参加によるおもてなしの運動(だと思っています)。私は新幹線の(開業)効果は、2年は続くような気がするんですけれども、その先がどうなるかということを踏まえながら、新幹線の(開業)効果の後に、例えば大河ドラマでも招致できたらいいと思い、今、運動に取り組んでいるところです。


 新幹線に関連してなんですけれども、大阪・関西との交流人口が増えるというか、要するに時間が短縮されますね。ただ、その一方で航空業界もスカイマークエアラインズが来月から熊本空港に就航して、かなり価格競争力をつけていると思うんですが、その辺に関して、その新幹線とのパイの奪い合いみたいになるのではないかというような話も出ていますけれども、その中で新幹線をどう活かしていくのかというのを(お願いします)。

蒲島知事
 新幹線が全線開業することによって何が起きているかというと、熊本県民の間におもてなしの心が段々と芽生えています。熊本の魅力を、海外や国内、特に関西、関東に売っていこうという取り組みをしています。九州の魅力、あるいは阿蘇の魅力、熊本の魅力を全国に発信する機会でもあるんです。その時に新幹線だけではなく、飛行機を利用する人も増えるのではないか。ゼロ・サム(誰かが勝てば誰かが負ける)ではなくポジティブ・サム(両者が得をする)と言いますか、パイが増えることによって両方が潤う。パイを増やすという意味での新幹線の(開業)効果があるような気がするのです。

そういう意味で、これは熊本だけで取り組んでもなかなか難しいんですけれども、宮崎、熊本で同時に取り組んで飛行機を利用する人が増えるような(取り組みが必要)。

パイを増やすような運動として新幹線戦略に取り組むことによって、波及効果として飛行機の方(利用)も来る(増える)のではないか、と私は考えています。

質疑応答

民主党代表選について


 知事すみません。話が変わるんですけれども、報道等でご承知かとは思うんですが、今日、民主党の代表選挙が告示されまして、これまでのところ菅総理、小沢前幹事長の2人が立候補して代表選を戦われるということになっております。

民主党の代表選というのが、今、政権与党でありますので、事実上、総理を選ぶ選挙という位置付けになろうかとも思います。

知事が今、ご覧になっている範囲で民主党の代表選挙に対する印象、それから今後の事実上総理を選ぶ選挙ということですので、熊本県政、地方にも、それぞれの候補者の方がどういう政策を掲げていくかということで、当然影響も出てくると思いますが、そういった点も含めて、今後の期待、それから懸念なり何かお考えありますでしょうか。

蒲島知事
 熊本県知事として発言すると、政党批判とか政府批判ということになってしまう可能性もなきにしもあらずですから、政治学者蒲島としてこれから先は発言させていただきます。

 政治の大目的は何かというと、これは県民や国民の幸福量の最大化です。あくまで政党とか党首というのは、その手段にすぎないのです。だから政党の目標が最大化される、あるいは党首選に出ている人達の目標が最大化されるということは間違いではないかと(思います)。党首選が行われていますので、民主党の将来像も討論されると思いますけれども、それはあくまで大目的のための手段であるということを認識してもらいたいというのを、私はお願いしたいと思っています。

 それから熊本県政も大事ですけれども、熊本県だけではなく日本がどのような方向に進むかという岐路にあります。例えば景気対策をどうするか、安全保障対策をどうするか、あるいは福祉教育をどうするか、そういう大きな進路を決めなくてはいけない。

そういう時は、一般的にはやはり安定の方が重要なのです。対立、紛争の状況ではなかなかそれに取り組めない。消費税にしてもそうですけれども、私は一般的に、やはり安定というものをもっと重視しなくてはいけないと思っています。熊本県政においても、やはり国の政策に一貫性がなく、安定していなければなかなかできるものではありません。

安定性を望むという観点から(見ると)、今回の党首選が、菅総理が就任されてわずかの期間に行われるというのはいかがなものかと私は思っています。しかしながら、民主主義の本質というのは対立ですから、対立があってそれをいかにルール化するか、というのが民主主義ではないかと思っています。今回の選挙で(代表を)選ぶというのは、一定のルールの下で対立を招きながらも、大事なことが3つあるのだと思っています。

 選挙をしても、対立構造があってもいいけれども、対立を超えて結集する時には結集しなくてはならないのではないか(と思います)。民主党は対立だけではなく、選挙を通しての対立、(あるいは)党首選という対立の先に結集し、さらに民主主義のために、あるいは民主党のために今よりも、より高みに立って欲しい、対立を超えて結集して欲しいというのが一つです。

 2番目に民主党政権の大きな問題は何だったかと言うと、(政権が)期待と失望の悪循環に陥ったことです。これは期待度が高ければ高い程、それが満たされない時には失望になるということです。失望になった時に政府というのは、大体において次に、さらに高い期待を与えようとします。(しかし政府は)またそれができなくなる。(すると政府は)段々と信頼が無くなる。(私は)期待と失望の政治学と呼んでいますが、そこから脱出して欲しいと(思っています)。誰が党首になってもそれを考えて欲しい。私は議会でも「できないことは言わない」ということと、「言ったことは守る」と言いました。それが、期待と失望の悪循環に陥らない一つの方法ではないかと思っています。

 3番目に、私自身が初めて政治を実際にやって分かりましたけれども、政治に私心がないということを有権者が感じることがとても大事だと思います。政治家の私心というのは、‘私の心’です。(有権者に)私心を感じさせるようだとやはり、政治的信頼というものが失われていく。政治的信頼が失われた時の政治は、とてもやりにくいと思います。

 少なくとも熊本県政は、私腹を肥やさないという一定の信頼感があると、政治もやりやすいと思います。そういう政治的信頼の確立、この3つを是非、今度の党首選が終わった後の新しい党首には、考えて欲しいと思っています。

 以上が政治学者としてのコメントであります。

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 関連してなんですけれども、選挙権の戦いを経たあとに結集すべきだとおっしゃいましたけれども、一方でまだ党が分裂し、政界再編に至るのではないかという観測もあるわけです。そこの読みはこれは政治学者として…。

蒲島知事
 党首選を戦う人がどういう人かによって変わってくると思います。

 日本の政治の中で小沢一郎氏というのは大変ユニークで、政治学の対象としては興味深い方であります。まず、自民党から新生党を立ち上げられて出られました。これは細川政権の成立に結びついて、細川政権の中でも圧倒的な力を発揮したわけです。その後、新進党を結成されたけれども、やはり今回と同じような分裂があって新進党は解党、そして自由党を作られました。自由党というのは意外と小さかったのですけれども、とても固まりがあった政党です。自由党ができた後で、この自由党と自民党の連立ができました。公明党も入っていました。その自自公(連立)の中でやはり政権を担当され、力を発揮されたわけです。

 この自自公(連立)がまた分裂し、自由党は‘庇(ひさし)を借りて母屋を取った’という言われ方をしますけれども、民主党と一緒になった。民主党の中で(旧)自由党(勢力)は小さかったけれども、民主党という大きな家の中で成長して、今は民主党の中で150人という最も多くの人を傘下に持った小沢グループとなりました。

 今度(代表選に)負けたらどうなるかと言った時に、‘歴史は繰り返す’と言いますので、負けた小沢グループが民主党から退出して、自民党なりと組む可能性もないわけではない。ゼロではないと私は思っています。

 ただ、世論がそれを許すかどうか。例えば新生党ができた時は、自民党に対する批判が非常に強かった時だったので、新党を作って出た時には世論の喝采がありました。それから民主党と一緒になった時は、民主党はもっと強くならなくてはいけない、政権交代可能な政党にしなくてはいけない、という一種の暗黙の支持があったような気がするのです。

 この段階で、自民党と一緒になるという可能性があるかどうかというのは、世論の動向がそうなっているかどうかということがとても重要じゃないかと(考えています)。私は、そうなっていないと感じます。ただ政治は‘一寸先は闇’だと言われていますので、なかなか正確に予測することはできませんけれども、様々な可能性がある。

 私自身は、さっき言ったように、やはり大目標は日本国民の幸福量の最大化のために政党はある、日本国民の(幸福量の)最大化のために政治家、党首はあるのだという観点から、やはり安定は大事だ(と思います)。そしてこの闘争の後に、より高みに立った再結集と、期待と失望の政治からの脱退、そして政治における私心の無さ、というのを示すことによる政治的信頼の確立、これを政治家蒲島ではなくて、政治学者蒲島としては求めたいと思っています。

 だから結論は自ずと導き出されるものだと思います。ただ、私もたくさんの政治を見て来ましたし、とりわけ小沢氏の政治行動というのは、普通の政治家の方の政治行動から導き出されるものがありませんので、予測は不可能です。でも、願望はさっき言ったとおりであります。


 せっかくなので、今までの政党の変遷だとか、あるいは自民党の政争だとか、後は選挙制度が変わって世論が大きく変わってきた今までの中で、今度の代表選というのは、日本の政治史のパラダイムが大きく転換するような、何かそんな予感はしませんね。

蒲島知事
 私は大きく変わることはないと思っています。

 まず大きく変わったのは小選挙区制度の導入、これが全体的な政治を決めていくのだと思っています。今は二大政党下で進んでおりますけれども、その二大政党制に進む過程における様々な摩擦の表出、あるいはそれへの対応の不準備、それが時折出てきているのかと私自身は考えております。最終的に、民主党と自民党の二大政党プラス小選挙区だけではなく、比例代表がありますので、公明党を含め他の政党が衛星的に存在する。それは変わりないのではないか。そういう意味では、やはり選挙制度の影響というのはとても大きいと思います。

 地球や宇宙でも、爆発する時にはマグマ、火の玉など、いろいろなものが飛んで、段々今の安定したところにきているのと同じように、その過程で様々な摩擦が出ているというふうに私は思っています。


 二大政党制というのは無理ですか。

蒲島知事
 小選挙区だけだったらそれは可能でしょうけど、比例代表制がある限り比例代表で一定の支持者を持つ政党は存在します。それがあることによって、二大政党制の中に入ってこない(人たち)、あるいは二大政党制で代表されない人たちが一定の力を持つようになります。とりわけこの2つの政党が均衡しているのです。そうするとこの小政党がキャスティングボードを握りますので、力を持つということになります。

質疑応答

九州新幹線全線開業について


 先程の新幹線の質問で、ハブ的な機能を熊本に持って来たいというようなお話だったんですけれども、ハブ的な機能を持たせるためには地理的優位性以外に、やはり交通の利便性をどうにかしないといけないと思うのですが。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

蒲島知事
 そう思います。まず考えているのは、修学旅行で熊本に来てもらうことです。熊本には見てもらう様々なものがあります。(新幹線の)車両基地もその一つだと思うし、阿蘇も熊本城もそうでしょう。そこから長崎の方に行くか、あるいはSLに乗って鹿児島の方に行く、あるいは宮崎の方に行くか、阿蘇・久住という一つの括りで大分の方に行く、という意味では、ハブ機能の地理的優位性はあると思うのです。そこにどうやってひっぱっていくか(が重要だと考えます)。阿蘇への修学旅行など、とても可能性があるような気がします。

 ただ今の質問に対する答えは、質問に対する私の思いつきの答えであります。そういう可能性もあるのではないかと思っています。

質疑応答

県議会の政務調査費について


 知事、最後に知事としてまた戻っていただいて、県議会の政務調査費の問題を、うちも含めていろいろな指摘をして問題提起をしたと思うのですが、議会費はきちんと知事が予算を組むわけですが、知事として今後(政務調査費を)どういう使い方である(べき)とか、県議会に対する要望であるとか、提案であるとか苦言などがございましたら。

蒲島知事
 私も報道で政務調査費の使用について詳しく読ませてもらいましたけれども、幸いなことに他県と比べると、それほど悪質な事案は見られなかったのではないかとホッとしています。

 もう一つは、やはり先程、制度ができた後の調整過程ということを言いましたけれども、初めて領収書が公開された後、あるいは公開された時に、これが正しいと思っていたかも知れないけれども許されないとか、あるいは世論上どうかという、そういう事案もあったと思います。次回からは正常化していくのではないかと思って、楽観的に見ております。


 楽観的に。

蒲島知事
 はい、常に楽観的に。


 今のに関連しますと、公金なんですね。その政務調査費というのは税金ということで。その観点からいくと、やはり議員個人の判断でこれはふさわしい、ふさわしくないということよりも、やはり外部からのチェックとか、使ったはいいけれどもどういうことに使ったのかという公金としてのあり方というチェックというものも含めて問われていると思うんですけれども、そのあたりは知事として何か。

蒲島知事
 私も知事として、その前は公務員として公金の使用を行っていましたけれども、常に「パブリックのために、これは正当な使い方であるかどうか」というのは、自分自身に問いながらやっていましたし、多分、政務調査費についてもそのような形で使われているものだと思っています。

 公金意識は十分皆さんはお持ちであろうし、またこの報道を通して、更にそれが深まっていくのではないかと思っています。


 あえてその外部のチェックということを制度化するとか、そういったのはどうでしょう。外部からのチェック体制をきちっと作ってしまう。このあたりは。

蒲島知事
 それはこの段階では、政治家の一つの説明責任というのがありますので、それにお任せするべきだと私は思います。

 多分、公開されるということは、誰でも見ることができますし、誰でも問題点を指摘できるわけですから、それそのものが一つの情報公開、チェック(だと考えます)。それがあったからこそ、今回も様々な問題が全国的に出ているのではないかと思っています。

(幹事社)
 はい、よろしいですか。

 ありがとうございました。

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