本文
平成22年 4月 1日 知事臨時記者会見
日時:平成22年4月1日(木曜日) 午後3時00分から
場所:知事応接室
発表項目
質疑応答
発表項目
蒲島知事
昨日、水利権の期限を終了しました藤本発電所は、取水及び発電を停止し、荒瀬ダムのゲートを開放しました。そして本日、新たに企業局内に荒瀬ダム撤去準備室を設置し、撤去に向けて新たな一歩を踏み出しました。
さらに、荒瀬ダム撤去が、我が国初の本格的なダム撤去のモデルとなるよう、安全面、環境面の技術を確立するとともに、その過程をきちんと残し、今後に役立てるために、荒瀬ダム撤去技術研究委員会を設置することと致しました。
本日、委員をお願いする方々から、就任の内諾を得ましたので発表いたします。
今回、委員顧問に就任していただく方々は、平成15年に設置致しました荒瀬ダム対策検討委員会及びダム撤去専門部会の委員の方々に、日本を代表する有識者を加え、次のような委員構成と致しました。別紙の委員名簿をご覧ください。名簿に記載の順にご紹介いたします。まず、委員の先生方をご紹介します。
1番目の池田駿介先生は、東京工業大学名誉教授で、河川工学がご専門です。今年3月に東京工業大学を退官されたばかりです。川辺川ダム事業に関する有識者会議でも委員を務めていただきました。2番目の大本照憲先生は、現在、熊本大学大学院自然科学研究科の教授で、河川工学がご専門です。3番目の柏井条介先生は、財団法人ダム技術センターダム技術研究所の首席研究員で、河川工学がご専門です。前回の委員会専門部会でも委員を務めていただいております。4番目の角哲也先生は、京都大学防災研究所水資源環境研究センターの教授で、河川工学がご専門です。前回の委員会専門部会でも委員を務めていただいております。5番目の福岡捷二先生は、現在、中央大学理工学部教授で、河川工学がご専門です。前回の委員会専門部会でも委員を務めていただいております。6番目の藤田光一先生は、国土交通省の国土技術政策総合研究所の流域管理研究官で、河川工学がご専門です。前回の委員会専門部会でも委員を務めていただいております。7番目の佐藤洋平先生は、独立行政法人農業環境技術研究所の理事長で、地域環境工学がご専門です。川辺川ダム事業に関する有識者会議でも委員を務めていただきました。8番目の篠原亮太先生は、熊本県立大学環境共生学部の教授で、水環境科学がご専門です。前回の委員会専門部会でも委員を務めていただいております。9番目の森誠一先生は、岐阜経済大学経済学部教授で、淡水生態学がご専門です。10番目の鷲谷いづみ先生は、東京大学大学院農学生命科学研究科の教授で、保全生態学がご専門です。川辺川ダム事業に関する有識者会議でも委員を務めていただきました。11番目の村松岐夫先生は、京都大学名誉教授で、行政学がご専門です。今年の3月に学習院大学を退官されたばかりです。
それから関係機関として、国土交通省九州地方整備局の藤澤河川部長、同じく九州整備局八代河川国道事務所の笠井所長とともに、熊本県の戸塚土木部長にも委員として参加していただきます。
この他に、3人の方々に顧問をお願いしております。まず、大和田紘一先生は、熊本県立大学環境共生学部の教授で、水産環境学がご専門です。前回の委員会でも委員を務めていただいております。次に下津昌司先生は、元熊本大学の教授で、河川水文学がご専門です。前回の委員会では委員長を務めていただいております。最後に谷口将紀先生は、東京大学大学院法学政治学研究科の教授で、政治学がご専門です。
既に皆様の内諾をいただいておりますが、各所属機関との手続きを並行して行っているところであり、調整中の委員もおられますのでご了解ください。なお、委員長については委員の互選によりお願いすることとしております。
次に、開催時期・テーマについて述べます。この委員会は、これまでの検討結果を確認し、様々な分野の観点から検証を行い、荒瀬ダム撤去計画の策定に向けて課題を整理するものです。短期間ではありますが、集中的に開催したいと考えております。
なお、この委員会でいただいた指導・助言をもとに、企業局で荒瀬ダム撤去計画を策定し、撤去の準備を進めていく予定です。荒瀬ダム撤去計画作成後は、環境モニタリング調査の評価・検証や撤去計画実施にあたる課題に関して、指導・助言をいただくために、委員を再構成して継続していく予定です。
会議のスケジュールですけれども、第1回会議は委員の皆さまが大変ご多忙な方々であり、日程調整は大変難しいと思っておりますが、4月下旬の開催を目処に現在調整を行っているところです。決定次第、皆さんにお伝えします。
最後ですけれども、私は荒瀬ダム撤去を発表した2月3日に、撤去にあたっては県民の皆様方に荒瀬ダムは一体何だったのか、そういうことをもう一度考え、記憶の中に留めていただきたいということを申し上げました。荒瀬ダムの撤去を成功裡に行う一方、私は戦後復興の時期に先人が荒瀬ダムに託した夢は何だったのか、産業振興や県民生活の質の向上にいかに貢献したのか、そして時を経て、地域社会や環境面にどういう影響を及ぼしたのかなど、歴史にしっかりと刻み、県民で共有する必要があると思っています。
荒瀬ダムは、住民の皆様に憎まれたダムであったのかも知れませんが、県民の期待に応えて働いてきたことも事実です。もしそうであるならば、今まで立派に役割を果たしてきた荒瀬ダムに、感謝と敬意の念を持って送り出したいと思っています。
昨日、荒瀬ダムは約55年の役割を終えました。そして今発表したとおり、わが国初の本格的なダム撤去に向けた体制を整えました。私達、はこの撤去に向けた調整を、わが国のモデルとなるように成功させなければなりません。撤去資金の確保や安全面、環境面への配慮など、乗り越えなければならないハードルは数多くあります。しかし、私は立派に撤去を成し遂げる所存です。そのため、挙県一致はもちろんのこと、わが国初のモデルとして、挙国一致で取り組んでいただきたいと思います。皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。
以上が荒瀬ダムに関する私の発表であります。
質疑応答
荒瀬ダム撤去技術研究委員会の設置について
(幹事社)
幹事社の方から、RKKですけれども、一つお尋ねします。
この荒瀬ダムを撤去することに関する具体的な工法というのは、前の潮谷知事の時に委員会である程度検討されているんですが、その検討内容がまだ足りないと思っていらっしゃる部分は具体的にどのようなことなんでしょうか。
蒲島知事
荒瀬ダムは、わが国初の撤去のモデルとなるものです。だから、慎重には慎重を重ね、そして、セカンドオピニオンも必要だと思っています。
平成15年6月設置の、荒瀬ダム対策検討委員会とダム撤去工法専門部会の検討の後、約2年間の中断があります。その中でどのような工法に関する技術的な進歩があるのか、それも含めて検証が必要だと考えています。
それから環境面がとても大事になっています。委員の構成を見られると分かりますけれども、今回は、環境面における委員の方々が増えております。各委員はそれぞれの分野でトップレベルにありますので、客観的、科学的な意見をいただけるものと思っています。
そういう意味で、この荒瀬ダムの撤去方針、計画について、平成15年6月に設置されたものに加えて、再度慎重に、新たに別の視点からも検討すべきだというふうに考えました。当然、もともと入っていらっしゃる方も中心メンバーに入っていらっしゃいますので、それは踏襲されます。その他の環境であるとか、あるいは社会科学的な側面、そういうものを含めて新しく研究会を設置したところです。
(幹事社)
各社さんどうぞ。
Q
確認なんですけれども、撤去の期間とか、6年で右岸から左岸というようなやり方でやるという話だったと思うんですけれども、根本的なところは変わらないと考えていいですか。
蒲島知事
一度この検討委員会で作られた案がありますので、まったくゼロベースからやるのとは違います。そういう意味では、効率的、かつ、より幅広い観点から検討できるというふうに思っています。だからそういう原型があって、それをベースにもっと進んだものができないだろうか、あるいはもっとそこに問題がないか、そういう観点からこの委員会では検討していただくということになります。
Q
撤去計画というのは、このスケジュールでいくと、7月に第3回目を終えて、いつぐらいに計画は策定されるという見通しでいらっしゃるんでしょうか。
蒲島知事
撤去計画は県の案ですけれども、この段階で7月の何日に検討委員会が終わるかということもまだ不明確でありますので、7月の撤去計画に向けた課題の整理ができた段階で、なるべく早く取りかかりたいと思っています。
Q
となると、このスケジュールからいくと、年内にもという、それぐらいのスケジュールですか。
蒲島知事
明解なスケジュールについては、ちょっと企業局の方から。
(企業局)
荒瀬ダム撤去準備室長の下村でございます。今のお尋ねについてお答えしますが、7月までにこの委員会を終了した後に、県としての、企業局としての撤去計画を作ります。時期については、今、はっきりといつまでという明言できませんが、なるべく早く作りたいと思っています。
その後は、河川管理者でございます国土交通省と協議をしていく期間が必要になります。その後に、撤去のための除却申請という河川法の手続きを行います。それを最終的に2年の間に完了させて、平成24年度から撤去に入る必要がございますので、その期間内に撤去に入れるように早急に準備を進めていきたいと思っています。
Q
これはかなり計画が早くできたとしても、撤去の具体的な作業に移る時期は12年度の当初からということには変わりはございませんか。
蒲島知事
それは、もし早く国交省との協議が整うとか、あるいは早く準備が進むとか、そういうことであれば前倒しになる可能性もありますが、ただ予算の関係がありますので、予算をどうやって設定するかということですから、今のところ、2年後の撤去、実際に作業ということを考えております。
Q
知事のお気持ちとしては早めた方がいいのか、それとも慎重にというのか、どちらですか。
蒲島知事
私は慎重であるべきだと思っています。特に初めての撤去計画でありますし、撤去の作業でありますので、まかり間違っても変なことになってはいけない。だから慎重に計画を立て、慎重に作業を行いたいと思っています。
Q
この委員会ですけれども、場所はどちらでやられるんですか。
蒲島知事
最初は、熊本でということを考えております。ただ、全部熊本になるかどうか今のところわかりません。
Q
東京にも行くんですかね。
蒲島知事
東京の場合もあります。
Q
東京のこともあるかも知れませんが、今知事がおっしゃった、このダムの撤去の過程をきっちり残して、モデルとしたいというお話からすれば、やはり三回ですけれども、やはり地元で開かれるという、そっちにこだわられてもよろしいんじゃないかと思うんですが。
蒲島知事
それは委員の方々のスケジューリングということになると思いますけれども、きちんとしたデータは別に熊本でなくても残せます。
よろしいですか。
Q
確認ですけれども、委員と顧問のあり方の区別というのを、改めて教えてください。
蒲島知事
顧問の方々は、例えば、大変重要な前の委員会で役割を果たされたけれども、今度は顧問という形でお手伝いしたいという方もおられますし、それから実際委員に入っていただきたいとお願いしても、顧問という形ではどうだろうかということで申し出られた方もいらっしゃいます。
そういう意味で、委員とは少し違った立場ですかね。例えば一番いい例が元の委員長の下津昌司先生です。当然、今回も委員となってほしいということをお願いしましたけれども、今回は顧問ということでお願いしたいということでありました。とても重要なメンバーで、是非参加してほしい方でありますけれども、ご都合もありますので、顧問として残っていただきたいということで顧問という形にしました。
ダム撤去技術に関する様々な助言、そういうものについて、委員としては、スケジュール上あるいは体調上出られないけれども、顧問という形で関与したいという方々がこの3人の方であります。
Q
そうなりますと、顧問の方は毎回委員会には来られない。
蒲島知事
来られないこともあるし、来られることもあります。ただ、情報は確実にお伝えするということになります。
Q
知事、撤去費用が課題になっていますけれども、この研究委員会の中で、撤去費の圧縮とか、そういったことも議論されていくんでしょうか。
蒲島知事
撤去費用の圧縮というよりも、この委員の方々というのはむしろ環境面・安全面でいかに間違いなく撤去をする工法があるかを議論していただきます。その中でこれまでの計画がもう出ておりますので、撤去費用に関してこういうことができないか、という新たな助言や新たな工法による助言などもあり得るとは思いますけれども、撤去費用を圧縮するための委員会ではありません。
Q
そうすると行政学とか政治学の方が入っていらっしゃるのは、これはどういった。
蒲島知事
ダム撤去というのは、全国初であります。ダム撤去のモデルとなるようきちんとした形で歴史に残しておきたい。それは行政的な手続きも非常に重要な意味がありますし、政治学的な研究対象ともなり得るものでありますので、なるべく社会科学も含めた形でダム撤去の技術検討を行いたい、あるいは記録に残しておきたいというのが、行政学と政治学の研究者が入っている理由であります。
Q
純粋に技術を研究するというのと記録を残すのと、一緒にするとちょっと分かりにくいのではないかと。
蒲島知事
私も政治学者でありますけれども、政治学の先生というのは、議論の過程、工法、それから結論に至る様々な過程、そういうものを含めて違った観点からみることができます。社会科学的な観点から、幅広く指導・助言もいただく。そういう意味で行政学や政治学の立場での助言、それから指導もいただくことになっております。
Q
そうすると財源の面をどうするかという話は、どの辺で検討されていくんですか。県庁の内部で検討するのでしょうか。
蒲島知事
これは県庁内部で検討します。国との交渉の過程でもその話が出てくるかもしれませんが、いずれにしてもこの委員会のメンバーに財源を圧縮してください、工事費を圧縮してくださいというお願いをするような委員会ではありません。
Q
財源の話なんですけれども、少なくともこの2年のうちに計画を立て、国交省に除却の申請をするという手順からいくと、知事が任期を迎えられる2012年3月前の予算編成の段階で、通常だと骨格予算を組みますよね。その中にこの荒瀬の撤去の、まさにトンカチ用の予算は少なくとも盛り込むということはいえるわけですよね。
蒲島知事
皆さんご存知のように、予算はすぐできるわけではありませんので、例えば2年後に撤去するとすれば、1年前くらいから予算の作業を始めますので、その段階でどういう予算かというのは分かると思います。
Q
つまり来年、23年度の夏ぐらいから始まる24年度の予算編成の中で工事費を盛り込むことにはなるということですかね。
蒲島知事
はい、そうなります。
いずれにしても、今年度予算にも当然荒瀬ダム関連の予算は入っておりますし、撤去に向けた動きはもう既に動いております。
Q
この委員会は工法を中心に議論するということですが、どのレベルの環境に配慮していくかによっては、財政との関係が非常に強くリンクしていくということもあって、今質問があったようにお金との絡みが出てくるんだろうと思うんですけれども、知事は最終的には財政とあるいは環境、安全、このあたりのバランスというのは考え方としてはどのように。
蒲島知事
やはり、大事にしなくてはいけない部分は環境の面、安全の面ですので、例えば環境の観点からいろいろなアドバイスをいただいたりする時に、それは財政の観点からはどうですかといった議論をこの委員会でいただくことはありません。最高の環境の中で、最高の技術を用いて撤去ができないか、そこを研究者として議論していただく。その後の財政面においては、やはり県の方で検討しなければいけないと思っています。研究会というのはそういうものです。
Q
その後の県の検討段階で、特に河川管理者の国土交通省がどのレベルの環境対策、あるいは安全対策を求めてくるかということによって、技術の議論はこの委員会でされたにしても、そこら辺がかなり重要になってくるんだろうと思うんですが、そこはどのレベルの環境対策を選択すれば、どれだけの財政支出がいると、そこの量りになってくるんだろうと思うんですが。
蒲島知事
環境対策と財政負担の問題について、この委員会との絡みでいいますと、2つのポイントがあると思います。
一つは、この荒瀬ダム撤去技術委員会のメンバーの方々にきちんと議論していただければ、これは優れた案だということで、国土交通省との話し合いもうまくいくであろうということ。もう一つは国土交通省の藤澤さんと笠井さんがメンバーとして入られますので、その段階で何かあれば助言があるものだと思います。
Q
そこの過程というのは非常に大事と思うんですけれども、と言いますのは、昨年の秋から3月までの水利権をめぐっての国交省と企業局のやりとりは、「いや、こっちは先に伝えとった…」の、「こっちは聞いてなかった…」の、何かそんなことでなかなか県民にはわかりにくかったプロセスというのが非常にあったと思うんです。
これからの撤去に向けた河川管理者である国交省とのやりとりというのは、是非、県民に今どういう要求がきていて、これを採用するとどういう工法が必要になって、いくらになる、そのレベルをもう少し下げた場合はどうなる、このあたりをテーブルにのせていき…。
蒲島知事
はい、私はそれが大事だと思います。今後の国との協議、特にこの撤去委員会のアドバイスを受けて撤去計画が作成されますけれども、それ以前の段階から、国との交渉については、オン・ザ・テーブルということでいきたいと思っています。
Q
ちょっと繰り返しになるんですけれども、撤去計画の作成のタイムリミットはいつと考えていらっしゃるのですか。
蒲島知事
タイムリミット、これは逆算していきます。例えば2年後に撤去工事に入りますが、その前に撤去計画を作る必要があります。そして撤去計画については国交省との交渉が始まるわけですけれども、それがどのくらいかかるかということになってくると思います。それが短ければ短いほど余裕が出てくると思いますが、そこのところは我々だけでは決められないところがあります。今、国交省も、なるべく短くと考えていると思いますが、その辺りについて企業局は何か聞いていますか。
(企業局)
もちろん全国初のダム撤去ですので、我々も、国交省の立場でも、なかなかそこはどれぐらいということは言えないと思いますけれども、現状からすれば、我々も早期に計画を作ってご相談をしたいし、なるべく短期間で結論に至りたいと思っております。
国の方もおそらくそれについては、あまり長期間かけてやりとりをするというのは望んでいらっしゃらないだろうとは思いますが、具体的なお話まではまだ至っておりません。
蒲島知事
いずれにしても、これは挙県一致と言いましたけれども、やはり挙国一致で取り組まないといけない大きな課題であると思っています。国交省のご協力はとても重要ですし、今日の発表に至るまでの国交省との交渉についても大変協力的であります。
Q
知事が、記録に残したいというのは、例えばどこからどこまでどういう形で残したいというふうにお考えですか。
蒲島知事
荒瀬ダムの撤去に至るまでと、撤去そのもの、そして撤去後の環境の変化、それが大変重要だと思っています。だから撤去の前と後ろもやはり大事です。
Q
例えば高度成長の時代に作られて、こういう役割を果たしたとか、そういうところも記録に入れるとか、そういうことですか。
蒲島知事
どのくらいのレベルで残せるか分かりませんけれども、当然それは先程の私のコメントにもありましたように、どのような思いで荒瀬ダムが作られて、どういう貢献をしたのかというのは、やはり正しく残さなくてはいけないと思っていますし、それがどういう悪影響を与えて今の世論になったのか。それは、やはりこれからのダムの問題にとても重要な意味を持っていると思っていますので、そういうところは是非記録に残すべきだと私は思っています。
Q
行政学と政治学はよく分からないんですけれども。
行政学と政治学が入ること、これはお2人は本当に承諾されているんですよね。
蒲島知事
皆さん承諾されています。
Q
河川工学とか環境問題という、非常にテクニカルな話をしている時に、行政学の村松先生って、何かただボーと座っているだけになるんじゃないかなと。
蒲島知事
そんなことはありません。行政、特に河川行政にとって多分初めての経験になると思います。撤去に至る道までの行政の過程、行政の様々な動向、これは日本で初めてだと思います。
一つ例をとると、水利権の申請にあたっての漁協の同意なしの水利権の申請というのも、おそらく、日本の行政、河川行政の中では初めてのことでありますし、河川行政としても、モデルと言ったらおかしいですけれども、おそらく初めてのケースですから、村松先生は行政学の大家、大御所ですけれども、行政学から見た位置づけ、これはとても私は重要だと思っています。
Q
村松先生が何らかの意見を言ったとして、それに対するカウンターの意見というのは、これだと出てこないと思うんですけれども。
蒲島知事
それでいいのではないですか。別にお互いにカウンター意見ではなくて行政学的な視点からコメントをいただければ。
何もお互いに討論する必要は全然ないと思います。
Q
知事、僕らは前提として、知事が最初に2年間というのをおっしゃったので、2年間と頭に刷り込まれているんですけれども、考えてみれば逆に前倒しで、1年でも何ヶ月でも早く、できるというかそれを急ぐ必要というのは、どうお考えでしょうか。慎重なのは分かりますが。
蒲島知事
計画とか技術とかそういう面では前倒しができるかも知れませんけれども、予算計画、これはやはりきちんと2年なら2年で立てておかないと、予算がすぐできるというわけではありません。
ただ、撤去資金の都合などによっても変わってくるかもしれませんけれども、今は2年という計画のもとで進んでおります。
Q
2年というのは、いわゆる瀬戸石の電源開発さんとの関係でやっぱり2年ぐらいはという、当初その知事の任期というのもあったかも知れませんが。
蒲島知事
任期中です。任期中に始めたいということです。それは私の決意でありますので、先に延ばさないし、それができるよう予算は1年ほど前から考えます。
Q
荒瀬が今やっているゲート調整はどうなるんでしょうか。
蒲島知事
今のところゲートはオープンということにしておりますが、国土交通省の要請、それから地域住民の方々の様々な要請、そういうことは今後出てくる可能性があります。やはり安全というのはとても大事なことです。ただゲートオープンをずっと要請されてきた方々もいらっしゃる一方で、逆にゲートを開けてもらったら危ないのではないかとか、あるいは利水で困るのではないかなど、様々な問題を言われる方も勿論あります。
今のところはゲートオープンですけれども、いろいろな問題に適切に県は対応しなければいけないと思っています。