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平成22年1月4日 知事年頭記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006473 更新日:2010年1月4日更新

日時:平成22年1月4日(月曜日)午前11時00分から
場所:知事応接室

発表項目

『東大×くまもとランチ』について

質疑応答

発表項目

(幹事社)
 知事、あけましておめでとうございます。

 今年もよろしくお願いいたします。

 まず、幹事社の方から、知事の発表項目の方からお願いいたします。

『東大×くまもとランチ』について

 報道資料 『東大×くまもとランチ』(PDFファイル:8.0KB)

蒲島知事
 はい、今日は一つだけあります。

 『東大×くまもとランチ』について、お手元に資料があると思いますけれども、首都圏の若者に県産の農林水産物を印象づけるために、東京大学内のレストランにおいて県産食材を使用した料理の提供を行います。

 昨年夏に実施した県産品の認知度調査において、学生の世代は他の世代と比べて産地に対する意識が低いことが分かりましたので、この層をターゲットに産地認識を高めてもらおうと企画したものです。

 期間限定のキャンペーンですが、初日には私とスザンヌ宣伝部長が東京大学を訪れてランチを楽しみ、熊本の食材の魅力をPRする予定です。

 詳細はお手元の報道資料等をご覧ください。

 以上が私の発表項目です。

質疑応答

年頭の所感について

(幹事社)
 では、発表項目について各社ございますでしょうか。

 いいでしょうか。

 では幹事社の方からまず質問をいたします。

 あけましておめでとうございます。

 年頭の所感を改めてということで、お正月をどう過ごされたのかというのと、最後に、先ほどの挨拶で、150%の確実性よりも80%の可能性というお話がありましたけれども、これはどういったお気持ちで述べられたのか、3つお願いします。

蒲島知事
 休みをどう過ごしたかということですけれども、大変忙しい休みでした。

 一つは筑波の方の自宅があり、そこでイングリッシュガーデンをやっておりまして、私はほとんど手をかけることができなかったものですから、春に咲くための庭園の手入れといったらおかしいですけれども、手入れをしたり掃除をしたりして過ごしました。

 そして残りの時間は久しぶりの休みだったものですから、改めて熊本の県政について考え、そして反省すべきところは反省し、そしてこれから向かうべき道をさらに検討してきました。それが休みの間にやったことです。

 それから正月は宮中参賀ということで、皇居に行って、参賀をした次第です。

 それから先程の150%と80%の話ですけれども、私が1年8ヶ月、知事になって感じたことは、すごく行政というのは手堅いといったらおかしいですけれども、100%確実で、プラス50%もう少し確実にならないと、なかなかその先に進まないというふうに感じました。

コメントする蒲島知事の写真

 だから150%ぐらいの確実性がないと行政は動かないんだなというのが私の感覚です。ただ世の中の動きというのは、イチローでも打率が3割5分もあればいい方ですから35%、それから企業でも多分50~60%の確率があればやってみようかという話になると思いますけれども、そういう意味で世の中の動きに素早く対応するために、80%の確度があれば行政も動いたらどうだろうかと。それが熊本県民のためになれば、そういうことを今日はお願いした次第です。

 ただ20%のリスクがありますけれども、そのリスクは、やはりリーダーである知事が担うと。責任をとるというふうなかたちで、スピード感と機動性を持つためには80%の可能性があれば、とにかく動いてみようというのが今日の年頭のあいさつです。

 それによって機動性が増すのではないかなと思っています。

(幹事社)
 幹事社からもう2点程お願いしたいんですけれども、年頭所感ということと重なる部分もあると思うんですけれども、知事にとっては任期の折り返しを今年は迎えるわけなんですけれども、どういうふうに今年はどんなことに力を入れていきたいかということを今考えていらっしゃるのか。

蒲島知事
 就任当時から目標ははっきりしておりまして、3つの困難と4つの夢、これに向かって進んでいるところです。

 1年8ヶ月が長かったようであるし、短かったようでもありますけれども、3つの困難に関しては道筋が見えてきたのではないかなと私は思っています。

 今はその4つの夢に向かって、もう「think」じゃなくて、「do=行動」ですね、「考える」ではなくて「行動」するべき時期にきたのかなと思っています。

 着実に成果は上がっているのではないかなと思っておりますけれども、ただ外的要因がとても大きい。一つは大不況、だから大不況の中にあって、そういう外的要因の中にあってもそれにへこたれずに、4つの夢に向かって進んでいるというふうに思っています。

 その他にもマニフェストに掲げなかったいろんな問題が当然起こってきておりますので、それに対処しながらでも3つの困難と4つの夢に向かって進むのが私の4年の任期ではないかなと思っています。

 4年のうち、あと4ヶ月で折り返し点にきますけれども、1年が1期だと思って、時間的緊迫性をもって取り組んでいきたいと思っています。

来年度予算について

(幹事社)
 もう1点なんですけれども、年明けから来年度の県の予算の編成が本格化してくると思うんですけれども、知事としてはどういった方針で取り組みたい、臨みたいというふうに今思っていらっしゃるのかということと、予算の規模なんですけれども、今年度予算並みとか、予算の規模ですね、どのくらいを考えていらっしゃるのか。

蒲島知事
 政府予算が完璧に今分かっておりませんので、この段階で予算の規模とかそういうことはコメントできませんけれども、一つ言えることは財政再建の旗を下ろさずに、「くまもとの夢」に向かってどれほど予算を組むことができるか、という観点から、今予算を組んでいるところです。なるべく夢の部分を膨らました形でできればと思っています。

 ただ、なかなかこの自由度というのがないわけですけれども、政府の予算がどうなるかを踏まえながら、「くまもとの夢」に向かってできる、そういう予算編成をしたいと思っています。

ただ、平成22年度の予算について、一言コメントしますと、政府の予算は自由度が高まっているという反面、公共事業などの大幅な削減など厳しいものがあります。

しかしながら、私の4つの夢に関連して言わせていただくと、「経済上昇くまもと」については、中小企業支援や雇用対策、あるいは農家の戸別所得補償、それから太陽光発電の住宅用設置補助、そのようなものがありますし、それから残念ながら耕作放棄地再生利用緊急対策の計上が見送られましたけれども、これについては国に働きかけていきたいと思っています。

 そういう意味で、「経済上昇くまもと」に関しては、政府の予算もそれに沿ったものがあるので期待しておるところです。

 それから「長寿を恐れない社会」に関しては、医師確保対策であるとか、生活保護受給のひとり親家庭の母子加算などが計上されています。

 それから「品格あるくまもと」については、九州新幹線鹿児島ルートの全線開通に必要な事業費が配分されました。

 それから「夢のある教育」については子ども手当、それから高校授業料無償化などがありますので、そういう意味では4つの夢の実現に向けて、この政府予算を有効に活用してまいりたいと思っています。

(幹事社)
 幹事社からは以上です。各社お願いいたします。

川辺川ダムについて


 じゃ2つ、一つ目なんですが、年始の挨拶の中でも1つ目に触れていましたが、川辺川ダムの問題なんですけれども、国が責任をもってダムなし案での解決の方向に向かっているというようなお話でしたが、そのダムなし治水について、いつまでにどうしたいというビジョンは知事も持たれているかと思うんですけれども、このダムなし治水をいつまでにどうしたいという考え、希望を持っているかというのを教えてください。それが一つ目です。

蒲島知事
 川辺川ダムについては、もう国の方針もダムなし案でいくという方向が見えてきたと私は思っていますし、それから前回のダムなし案の協議の場、検討する場でも国土交通省の方から、非常に具体的な治水対策が出されました。

 その中で直ちに実行するもの、直ちに検討するもの、長期的に検討するものと3つの段階に分かれておりますけれども、私は直ちに実行すべき治水対策、これを早くやれば毎年洪水の恐れを感じられている、そういう住民の方々の危険性に対しても対処できるのではないかと思っています。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 まず直ちに実行できる治水対策をやってほしいと。そしてその先にある、より高い安全度を求めてやって欲しいんですけれども、まず私が求めているのは、直ちにできる治水対策をやってほしいと。これは前原大臣にも私は申し上げておりますし、それと同時に五木村の振興もお願いしているところです。

 そういう意味で前回の協議の場でみられたように、直ちに実行できること、直ちに検討できること、あるいは長期的に検討すること、そういう意味で、時期をなるべく区切って、早く実行してほしいなと思っています。

 その中でまた更に安全度が高まるような方策が検討されていくのではないかと思っています。


 率直な私の疑問として、ダムなし治水というのは、どういうものが求められているかどうかというのは把握するのも難しいですし、成り立つのかなと思うんですけれども、ダムなし治水がこれで成り立つ事が証明されましたと言えるには、今の状況をみると、例えば流域住民がどのぐらいまでを求めていることが分かるとか、今の状況に何が加わった時に、これでダムなし治水は成り立ちますというふうに言えるというふうにお考えでしょうか。

蒲島知事
 今、それを考える協議の場が設けてありますけれども、流域の市町村長、それから県と国がダムなしの治水案を出し合い、そしてそれの安全性を確かめて、そしてここまでは安全だというそういう共通の認識ができることが私は重要だと思うんですね。

 その共通の認識を共有する場としての協議の場が私は大事だと思っておりますので、ここで私がここで安全だとか、そういうことはちょっと言うことはコメントできませんけれども、協議の場で、それぞれが認識を共有するということが大事ではないかと思っています。


 流域の住民の民意が入りこむべきだとか、そういうのはいかがですか。

蒲島知事
 今は市町村長が、人々の意見を担って協議の場に臨まれていると思っています。


 もう一つ関連なんですけれども、前原大臣が去年、記者会見でおっしゃっていた中で先程知事がお触れになりました五木村の振興について、前原大臣の方は会見の方で、去年の話ですので、来年のある時期に地元の方で、川辺川ダムの正式な、いわゆる中止ですね、それを決めてもらって、そこから実際具体的に振興策の話を自らいろいろ五木村とも協議したいという意向を示されておられますので、ある意味では治水対策がいつまとまるかによって、五木村の今後の現状は進んでいるとしても今後の更なる振興策というのが、連動してくると思うんですね。

 つまり五木村の振興策を速やかに検討し、実行していくためにはその治水の方の、いわゆる一定の結論ですね、それが正式な川辺川ダムの中止ということに最終的には結びつくんだと思うんですけれども、これは非常に時間としてはやはりある程度急いでいかないといけないと思うんですけれども、そのあたりの時間軸の考え方を知事はどういうふうにお考えですか。

蒲島知事
 治水対策が完璧にできないと五木村振興はできないかと。そういうことはないと思います。

 我々の熊本県でも五木村の振興策を今一生懸命やっておりますけれども、そういう意味では、大きな流れとしては県、国、それから流域の流れとしては、ダムなしの治水という方向に向かっておりますので、ある段階で五木村の方も決断の時期が来るのではないかと思いますけれども、それはこちらから一方的に結論を迫るのではなくて、大きな流れの中で五木村の方々が自らダムなし案の中での振興策というかたちで決められるのではないかなと思っています。

 ただ、いつまで決めて欲しいとか、そういうことはちょっと言えないのではないかと思っています。

 自らそういう形で五木村の振興をダムなしの中で、考えられる時期が来るのではないかとは私は思っていますけれども。

荒瀬ダムについて


 知事、荒瀬ダムの問題なんですけれども、年内に国から回答をいただくようにということで去年動かれたと思うんですけども、実際回答があっているのかというのと、無かった場合は水利権の更新に踏み切るのかということ。

蒲島知事
 年内で回答を求めておりますけれども、現段階ではまだ回答をいただいておりません。

 それで私自身が、年が明けましたので、実際大臣とお会いして、この問題についての回答をいただきたいと思っています。

 今日程を調整中です。

普天間基地移設について


 普天間の移設問題ですけれども、九州に移設する案というか、説が浮上しているんですけれども、仮に九州ということで熊本というのも候補にあるかもしれないんですけれども、その場合知事としてはこれは受け入れる可能性があるのかないのか、今のところどのようにお考えですか。

蒲島知事
 今その案なるものが私の方には全く届いておりませんし、そういう仮定を前提としたものにはちょっとコメントできませんけれども、大変重要な国の安全保障に係わる問題でもありますので、この現段階で仮定の質問にはちょっとお答えできません。ただ私の方には一切そういうのはまだきておりません。


 知事、今の基地問題については国の考え方云々は別に示されていないかも知れませんが、ご自身のご認識、考え方としては、例えば熊本県内に米軍基地を持ってくることそのものについて、一定のご見解はお持ちだと思うんですが。

蒲島知事
 そういうことに関してちょっと私自身がまだ想定したこともありませんし、多分そういうことはないだろうと思っていますけれども、想定することに関してお答えはできません。

昨年を振り返って


 冒頭の部分で、このお正月休みに反省すべきは反省したとおっしゃったんですが、どのようなことを具体的にいうと反省をされたんでしょうか。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

蒲島知事
 そうですね。例えば自分のスケジューリングに関しても、もう少し効率的な方策があっていいのかなという、大変毎日毎日忙しいスケジュールですから、それに追われている部分もありますので、もう少し能動的に哲学のあるスケジュールというとおかしいですけれども、あと2年と4ヶ月しかありませんから、この2年4ヶ月をどう活かすかと、この任期をどう活かすかという面で、少しスケジューリングを、大きなフレームワークの下で動くべきなのかなということを考えたりしました。


 その県政の大きな方針であるとか、知事の決断であるとか、そういう部分で何か反省すべき点というか、反省されたところは何か。

蒲島知事
 私の3つの困難と4つの夢という方向性という意味と、それから方向性に関しての行動という意味では、反省といったらおかしいですけれども、ある種、運に支えられた部分もあったのかなということも思っています。


 例えば運と言うと、どういったことですか。

蒲島知事
 一番いい例が川辺川ダム問題だと思いますけれども、知事の判断が2008年の9月11日に下されて、それでダムなし案という、それを検討する場というのは国・県、流域の市町村で設けられましたけれども、実際にその進捗状況というか、あるいは本気度というのかな、それが前の政権と今の政権ではちょっと違うと感じています。

 だから新しい政権が本気で川辺川ダム問題、私の決断に沿って動いているのかなと思っています。

 だからそれも一つの運ではないかなと思っています。

 それからもう一つ、水俣病問題に関しても昨年5月から7月に向けて、民主党に相当な働きかけをしました。

 最初は民主党の幹部の方々も、まだ水俣病があるのですかというふうな認識で争点としては風化していたわけですね。

 それを改めて争点化し、その重要性を認識してもらって、そして異例ともいう形で国会で与野党合意のもとで法案が成立したということ。その法案がもし、あれは民主党が合意しないまま法案にならなかったとすれば、政権交代によってまたゼロから始まるんですよね。そのゼロから始まった時の時間的なコストというのは相当大きいのではないかなと思っていますので、民主党政権になって、あの時の合意が今、活きてきたなと。架け橋というんですかね、そういう意味ではスピード感をもって今、民主党政権が水俣病に取り組んでいらっしゃるという意味では、これも一つの熊本県政には運が加勢したなという感じがします。

荒瀬ダムについて


 荒瀬ダムの水利権の関係で大臣に会ってという話だったんですけれども、今日程調整中で、大体、早ければ今週中にもという感じですか。

蒲島知事
 今ちょっと向こうもお忙しいので日程調整中です。


 時期としては、早いうちに。

蒲島知事
 なるべく早くしないと間に合いません。


 期限はいつまでに会わないと間に合わないんですか。

蒲島知事
 当然、1月の早い時期ということになります。


 知事としては、その回答としてどれぐらいの明確性、確実性のあるご回答が得られれば…。

蒲島知事
 だから前から申し上げているように、4条件、その中でも特に私が重視しているのが資金の確保と安全性の確保ですね。

 これを今、民主党政権に対しての回答を大臣から貰うということになると思います。

 ただ、楽観的ではないというふうな状況にあるとは思いますけれども、明快に大臣の方から回答をいただきたいと思っています。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真


 荒瀬ダムに関して、国の考え方を確認なさるという段階が次にあると思いますが、既に水利権更新の手続きに向けては年末会見でもおっしゃった知事のお考え、と同時に八代市長もそういう中で合意はしかねるという発言も公になさっています。その中で事を打開していくために、知事なりにご自身で行動すべき点というのは何かお考えでしょうか。

 地元に手続き論だけで合意がなくてもできるんだということで、仮に今後、存続前提のお尋ねですけれども、その前に、それでもやはり納得をできない状況ならば納得する形というのが好ましいと思うんですけれども、知事としてどういう行動をとりたいと。

蒲島知事
 まだその判断時期に至っていませんので、判断の時期に至って、水利権を申請するということに決定が決まれば、あらゆる努力をして地元の方のご理解を得なくてはいけないと思っています。

 だから、今は両睨みといったらあれですけれども、政府の考え、これは民主党政権のひとつの約束、選挙前の約束でもあるわけですから、それに対するご回答をいただきたいということと、それが得られない場合は地元のご理解を最大限得ながら水利権の更新をしなくてはいけないなと思っています。

五木ダムについて


 ダムに関してなんですけれども、年末に前原大臣が全国のダム事業の、いわゆる再検証か、検証するか、継続するか、という一定の判断を示されました。

 それからまだちょっと間もないんで、何か具体的に県庁内でということもないのかも知れないんですけれども、いわゆる補助ダム、県営のダムの中で路木ダムについては年末にも、また改めて知事はおっしゃられましたけれども、もう一つの対象となっている五木ダムですね、これは球磨川のこの治水対策にも関わってくる話で、現在検討されているダムなし治水の中には、五木ダムというのは想定されてはいない、というふうに聞いているんですけれども、改めて例えば県として再検証する、知事から何か指示を出されたのかどうかとか、あるいは現在五木ダムについての必要性、重要性というのはどういうふうに現段階で認識していらっしゃるでしょうか。

蒲島知事
 五木ダムについては今後示される新たな基準というのが出てきます。

 それに沿って最善の方法を考えたいと思っておりますので、新たな基準というものを今待っているところです。


 ただ、一方でダムなし治水、球磨川のダムなしの検討が進んでいきますと、五木ダムが例えば、できるかできないかによって、今は想定してないんで、できないという想定で案というのはできていると思うんですけれども、仮に五木ダムを必要だと、作った方がいいという判断をした場合に、治水の、今検討されている前提条件というものが変わってくると思うんですよね、率直に。

 その場合に、やはりダムなし治水の検討にも、この五木ダムの検証というのは影響を与える可能性があると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

蒲島知事
 当然新たな基準が出された時には、五木ダムに関わらず他のダムもそうですけれども、その基準に沿って再検討されるべきだと思っています。

 ただ、路木ダムについては既に私が再検討を行って、自らの手で検討した結果、これは必要だという認識のもとで今進んでおりますので、それを大臣に伝えたいと思っています。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真


 今の五木ダムに関してなんですけれども、知事は日頃からダムはそれぞれの条件で考えるべきで、脱ダムとかそういう考えるものじゃないという御主張だと思うんですが、こと球磨川水系に関しては、やはりダムによらない治水というのを明確に打ち出されている知事だと思うんですね。そのお考えからして、五木ダムに関しては国が示す基準というものを今おっしゃいましたけれども、そもそもあの水系に新たなダムを作るということに関しては、知事としてはお考えが当然おありかなと思っておるんですけれども。

蒲島知事
 はい、考えは勿論ありますけれども、それを検討する前に表明するというのではよくないと思っていますので、更なる検討をしたいと思っています。

水俣病問題について


 水俣病の話なんですけれども、ずっと気になっていたことがありまして、訴訟側の皆さんとの事前協議の場に、県が今のところまだ加わっておられません。それは環境省に対して同じ被告という立場で、一応白紙委任をされているのか、今後どういった場面で参加していくということなのか、やはりこの協議の中身はある一面から見れば県の税収、税金もそこにいろんなかたちで投入することになる話でもある。それなのに県がそこの協議に参加していないというのが非常に不可思議でならないんですけれども、そこはどうお考えですか。

蒲島知事
 前から申し上げていますとおり、県の意向が国によって担保されていることがとても大事だと思っておりますので、そういう意味では県と国は強い連携をしながら情報交換をしております。

 事務次官も説明に来られたし、それから副大臣もそういう形で強い連携の下で今進んでおりますので、それが県の意向に反するようなことになれば当然強くそれを抗議するし、あるいは参加を求めていきたいと思っています。

 県の意向については、既に5条件と言いますか、12月11日でしたか、私の方から環境省に申し入れて、とりわけ大事なことは疫学的な観点からの再検討、それから離島への配慮、それから胎児性患者の方々を含めた健康福祉の問題、そういうことをお願いして、今回の案の中にもそれが入っておりますので、そういう意味では県と環境省は同じ方向に向かっておりますので、わざわざ私が行って、私も協議の場に参加させるべきだということは今の段階では必要ないと思っています。

 ただ、ある段階にくれば県も、当然参加する方向にいくと思いますけれども、今のところ交渉の数、大体交渉というのは人数が増えれば増えるほど困難になりますので、今国が代表してやっているというかたちで、県の意向を配慮している限り、それでいいのではないかなと思っています。


 交渉というかですね、その…。

蒲島知事
 ただ、熊本県がまた入りますと、他の県もという形になるでしょうから。

 私は、熊本県の意向が今の交渉に代表されているからいいのではないかなと。


 交渉は、つまり訴訟派との事前の和解協議ですよね。和解に向けての事前協議。そこに被告として入っているのは熊本県だけですよね。

 鹿児島とか新潟は被告にはなっているところも、訴訟によってはありますけれども、その交渉の中に誰か県の人が1人でも入って、いわゆるリアルタイムでそこでのやりとりを情報として得ないというのはどういうことなのかと。

蒲島知事
 そのリアルタイムで情報は入っておりますから。

2010年の抱負について


 先程の「3つの困難」と「4つの夢」ということで話がありましたけれども、改めてですけれども、この2010年に、その中でも、先程例えば私学振興とか、いわゆる州都を目指した長期的な目標というのはありましたけれども、あえて伺いますが、この2010年の、特に蒲島県政として、ここをこの時代、この時期だからこそ特に重点的に取り組む、具体的に取り組むというものをお示しいただければと思うんですけれども。

蒲島知事
 やはり熊本県が明るい夢を持つこと。目標を持つことが一番私大事だと思うので、そういう意味では州都、州都構想をある面具体化していくということかな。これが一つの大目標であります。

 それから、私の約束である「4つの夢」。「経済上昇くまもと」の中では、一つはやっぱりこういう大不況ですので、企業誘致はなかなか難しいけれども、手を抜かずに企業誘致の努力をするとともに、私は既に来ておられる企業、誘致企業に対して働きかけを行って、なるべく熊本に集積して欲しいというのと、それから研究開発部門を熊本に持ってきてほしいと。実は、不況というのはチャンスでもあるというのは、これまで東京に研究開発部門があって工場は地方にあるという、そういう形が多かったわけですけれども、もう不況の場合はそういう余裕がないわけですから、とにかく工場と研究開発部門を一緒にしようという動きがあります。

 これは自動車の方もそうですし、それからいろんな企業もそういう方向に向かっていくのではないかと思っていますので、だから企業誘致というか、むしろある誘致企業に対して研究開発部門を誘致するというそういう方向。

もう一つはソーラー関連の企業を頑張ってもらって、そして熊本県もソーラー大県にしたいなと思っています。

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 それから米粉、これは今成功している方じゃないかなと思いますけれども、米粉パン、あるいは米粉パンの給食導入をもう少し西日本全体に波及させていく。一度米粉パンを食べたら美味しいから、みんな好きになりますから、だから米粉パン、あるいは米粉の需要を拡大することによって、熊本県の休耕田、耕作放棄地を解消したいなと思っています。これは戸別の所得補償も追い風になるのではないかなと思っています。

 これはどうしても取り組みたいなというのが「経済上昇くまもと」で、それから「品格あるくまもと」づくりはもう既に動き出していますよね。新幹線、それから政令指定都市、それから州都、でもそれはあくまで目標であったり制度であるわけですから、人がやっぱり来なきゃいけませんので、今回はソフトの部分、熊本を売り出すと、そのソフト戦略を、PR戦略を重点的に予算化したいなと思っています。

 だからハードではなくてソフト戦略、これが「品格あるくまもと」づくり。それから「長寿を楽しむ社会」については、既に認知症と、認知症になった方のケアとして4600の特養の増床というのは、とても大きな数字だと思いますので、これをすることによって、少なくとも待っていらっしゃる方が施設に入れないという状況は私の任期中に無くしたいと思っています。

 それから教育の方も、高校の授業料の無料化などで新しい政策によって追い風が吹いておりますので、より夢のある教育、とりわけ経済的格差が教育に及ばないような形で、例えば大学に行きたいと思った人の中で経済的な理由で行けないようなことがないように熊本ではやりたいなと思っています。

 そういう意味では、どれを重視するかというのはなかなか難しいですけれども、この4つに関しては私の重点項目ですので、一生懸命やっておりますし、それから県庁自体もその方向に動いているのではないかなと思っています。

地方分権、道州制について


 今おっしゃった中で、その4つの前の州都構想の具体化することになんらか取り組みたいというお話でしたが、例えば地方、この頃の言葉でいうと地方主権、地方分権、そういったところで知事ご自身が学者時代にいろいろ発信なさっていたことからすると、知事になられてから、これは私の印象ですけれども、知事会とかの議論にある程度任せてというか、知事ご自身が、蒲島知事として前面に出て、全国にアピールする議論の種を蒔くというか、巻き起こすというか、そういった形はあえて選んでいらっしゃらないように感じるんですけれども。

蒲島知事
 議論はたくさんありますけれども、私はフルセットで地方分権が与えられないと地方分権はないという考えに立っておりませんので、とにかく川辺川ダムもそうですけれども、与えられない状況でも、地方分権を主張できるというふうな考え方であります。

 ただそれでも難しい部分、やってもどうしても越えられない部分がありますよね。そういう越えられない部分に関しては、はじめてそこで知事会なりで、あるいは地分主権を考える場で主張すべきだと思っていますけれども、今はとにかく与えられた状況の中で最大化、最大限の努力をしてみる、そういう1年と8ヶ月であったような気がします。

 ただこれからも勿論、これがないととてもじゃないけど地方政治はできないということがあれば、知事会の場であるだろうし、あるいは論壇でも、そういう場が与えられたらやっていきたいと思っています。

 今はとにかく国のせいにしないと、とにかくやろうと思えばできるという、そういう観点でやっておりますので、あえてフルセットを求めているような感じではありません。


 州都構想の具体的な取組みというのは、いわゆる道州制の議論がまさにこれからという中で、道州制はどう具体化するというのはこれからという中で、州都というのを掲げるというのは、県民の理解を得るというのは、特にそういう点では難しい部分もあると思うんですけれども、その具体化というのがちょっと、言葉ではおっしゃられましたが、ちょっと分かりにくい。

蒲島知事
 多分、これから一直線に道州制に行く政治状況じゃないと思います。

 まず地方機関の廃止ということが現政権で言われておりますので、そうなるとその受け皿が必要です。

 受け皿となると九州全体で広域連合的なもので受け皿を作ると。

 だから県は県のままあって、広域連合的なもので国の出先機関を受け入れる形になっていくでしょう。

 そこでどこが受け入れるかという話になった時に、やはり熊本は積極的に受け入れ機関にならなくてはいけないのかなと、それが具体化への第一歩ですかね。その先に道州制という問題があると思いますけれども、経済界も政界も、新しい政治の流れとして道州制というのは国の政治から見てもとても魅力的なものではないかなと思っています。

 国でもどうしても地方へ気配りができない状況というのが今の国の状況ですから、多分道州制という方向は思った以上に早く進むのかなと私は想定しています。

 だから動き始めて州都の手を挙げるのではなくて、早くから州都と言い続けると。控えめにという話も皆さん言われますけれども、控えめにしたからといって州都が来るはずはありませんから、とにかく言い続けると。そしたら企業誘致も、企業というのは期待で動きますから、そういう言い続けているうちにひょっとしたら熊本に州都が来るかも知れないと皆思い始めるかもしれない。

 その期待によって、人が集まるだろうし、あるいは企業が集まるだろうし、そういうふうなものに動いていくのかなと。なによりもその期待を県民自体が持つことによって大きな目標、だから大きな目標を持つ喜びというのはやっぱり大きいと思うんですよね。

 目標が全くないのと。それから目標があるのと、だからそういう目標を設定するのが私は目標の政治じゃないかなと思っています。

 そろそろ時間だそうですので。

 よろしいですか。

 今年もよろしくお願いします。

(幹事社)
 よろしくお願いします。

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