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平成21年11月20日 知事定例記者会見
日時:平成21年11月20日(金曜日)午前10時00分から
場所:知事応接室
発表項目
質疑応答
発表項目
九州地方整備局長の訪問について
蒲島知事
本日は4つの発表項目があります。
第1番目は、昨日、九州地方整備局の局長が来庁されました。
そして来年度の概算要求の状況についての説明がありました。
その概要をまとめると、次の3つです。
第1番目は、国土交通省全体で14%減少であると。※それから道路については中九州横断道路の阿蘇大津道路が休止、九州横断自動車道延岡線や南九州西廻り自動車道が大幅に削減。※それから・・以降の道路関係の説明が「2番目」になります。
3番目は、河川関係ですけれども、ダム事業はまだ未定であると。ただし、球磨川や白川の河川改修は、計画的に進めるというものでした。
それに対して私の方からは、以下のコメント、要望を出しました。
新幹線全線開業に向けた供用間近の道路整備などに必要な事業費を確保する姿勢に対しては感謝の意を表明しました。
予算を削減された事業については、改めて必要な事業費の確保を求めました。
特に道路の中では、休止と説明のあった阿蘇大津道路、大幅な予算削減の九州横断自動車道延岡線や南九州西回り自動車道については、着実に整備を進めるよう強く訴えました。
さらに河川については、球磨川の中流部の治水対策など、地元の状況をふまえ、スピード感を持ってしっかり取り組んでいただくこと。白川の治水対策の必要性や立野ダムの重要性を改めて伝えました。
併せて、五木村の振興については、大臣が表明されている新たな立法措置、財政措置について、できるだけ早くその内容を明らかにしていただくこと。必要な措置を講じる際は、地元の意向を踏まえていただくことをお願いしました。
また、港湾・空港についても、物流基盤となる港湾整備事業などの着実な実施を求めました。
その他にも、新熊本合同庁舎は熊本駅周辺のまちづくりの核であること。そしてA棟については、九州新幹線の全線開業に間に合うよう、早期に供用することをお願いしました。
B棟についても着実な事業の推進を図っていただくことを強く要請した次第です。
今回説明を受けたものは、来年度の概算要求の状況ですので、12月の政府予算編成までに、補助事業を含めて国に地方の実情を強く訴えていく必要があると考えています。
熊本私学夢プラン(仮称)検討会議の設置について
- 報道資料:熊本県私学夢教育プラン(仮称)のイメージ(PDFファイル:54KB)
- 報道資料:熊本私学夢プラン(仮称)検討会議の概要(PDFファイル:11KB)
- 報道資料:私立高等学校に通う生徒・保護者の意識調査結果速報(概要)(PDFファイル:12KB)
2番目は、熊本私学夢プラン検討会議の設置についてです。
県では今年度から、私学振興の観点から「夢のある教育」を進めています。
これまでにも東大や熊大の教授、陸上の末續選手などを講師として、特別授業などを実施してきました。
このように、子どもたちに夢を与えるような教育を更にステップアップした形で、何かできないか、そして私学の底上げにつなげていけないか、具体的に検討して欲しいと思い、このたび熊本私学夢プラン、仮称ですけれども、検討会議を設置することとしました。
最終的には年度内に、「熊本私学夢プラン」としてとりまとめる予定です。
会議の概要は、お手元の報道資料のとおりですが、具体的な開催日程は12月初旬を目処に現在調整中です。詳細は後日改めてお知らせします。
また、プランの作成に先立ち、本県の私立高等学校に在籍する生徒や保護者の意識を把握するために、今年9月に県として初めて「私立高等学校に通う生徒・保護者の意識調査」を実施しました。
今回、調査結果を速報値としてまとめましたので、添付の報告書をご覧ください。詳細は第1回検討会議の際、改めて公表します。
知事特命「くまもとソーラープロジェクト」の進捗状況について
報道資料:知事特命「くまもとソーラープロジェクト」の進捗状況(PDFファイル:10KB)
3番目は、知事特命「くまもとソーラープロジェクト」の進捗状況についてです。
熊本県政の中でも特に力を入れたい分野の一つとして、知事特命で、今年6月に発足させました「くまもとソーラープロジェクト」の進捗状況についてご報告いたします。
PTでは、ソーラーの普及拡大と関連産業の振興に向けて、様々な取組みを行っています。
その取組みの一つに、本年度創設した住宅向けや事業所向けの補助制度があります。
住宅向けでは、10月末現在で2300件の補助申請があっています。これは全国の設置件数の伸びを上回っています。
また、事業所向けでは36件の国の補助採択がありました。この件数は、東京に次いで第2位となっています。
今年県が始めた補助制度の効果が出たものと考えています。
また、県として、県内のソーラー産業を積極的にアピールするために、「県庁」、「熊本県環境センター」「県立技術短期大学校」の3施設に県内立地企業の富士電機システムズとホンダソルテック製のパネルを設置することとしました。
その他、資料にありますように、産学官連携により利用技術の実証実験や次世代技術の開発を進め、太陽光発電の先進県を目指し、積極的な取組みを進めて参ります。
なお、これらの詳細につきましては、本日午後1時10分から「くまもとソーラープロジェクトチーム」のリーダーである竹上次長から記者レクをさせたいと思いますので、是非皆さんに聞いていただければと思います。
行政委員報酬のあり方に関する検討について
最後は行政委員報酬のあり方に関する検討についてです。
行政委員の報酬については全国で様々な動きがあり、県民の関心も高い事柄と認識しています。
私も、メンバーになっている全国知事会の行革PTでも、行政委員報酬のあり方について議論していくことになりました。
各県様々な事情を抱えており、難しい問題だと感じています。
しかし私としては、本県の行政委員の報酬について、日額制を含めどのような形がいいのかを検討する必要があると考えています。
月額制で残すのか、日額制とするのか、整理すべき課題もありますが、今、事務方に整理をさせているところです。
来年度からの実施を目指してまいります。
以上が私の方からのコメントです。
質疑応答
九州地方整備局長の訪問について
(幹事社)
今、九州地方整備局長の訪問の話の中で、阿蘇大津道路の休止の話が出ていましたが、阿蘇大津道路の事業の必要性について知事のお考え方をお聞きしたい。
蒲島知事
さきほども申し上げましたように、阿蘇大津道路というのはずっと調査対象になっていました。その調査がずっと続けられてきましたけれども、それが休止になったということです。
休止というのは中止の意味かということを聞きましたら、いやそうではないということでした。
選択と集中の結果、阿蘇大津道路を休止するというお話でした。
(幹事社)
今、新幹線の話もされたと思うんですけれども、県としてなぜこの道路が必要なのかということですが。
蒲島知事
これは大分側は大変進んでいるところです。それで大分とのつなぎ、それから新幹線から阿蘇に向けた動きという意味では、将来的にはとても重要な道路だと思っておりますけれども、整備局の説明では、それが長期的になるよりも、短期的に必要なもの、例えば新幹線に合わせた道路を、局長の話によると、選択と集中によって早くしたいという、そういう説明でした。
けれども私の方は、阿蘇大津道路の休止や延岡線、それから南九州西回り自動車道路の予算削減は、社会基盤の遅れている熊本にとっては納得できるものではないというふうに申し述べました。
しかしながら供用を間近に控えた国道57号線の拡幅、それから国道208号玉名バイパス、そういうものに早く取り組みたいという積極的な、あるいは早く確保したいという積極的な姿勢も見られましたので、その点については評価しています。
(幹事社)
各社さんどうぞ。
蒲島知事
今の点でもう一つ付け加えると、大分側の方が整備が進んでいると言いましたけれども、熊本側では休止ということになれば、大分との連携、それから新幹線から大分、あるいは将来の熊本市の中核都市、そして政令都市による九州における中核的な位置づけが、これによって阻害されるという危険性もありますので、これについても整備についてお願いしたところです。
行政委員報酬のあり方について
Q
行政委員の報酬のあり方について、先程お話がありましたが、今、事務方に整理をさせているということだったんですけれども、例えば外部の方たちの意見を聞くような何かを設けられたりとかありますか。
蒲島知事
外部の話、あるいは委員会という、そういうこともありましたけれども、来年度からの実施というものを目途に取り組んでおりますので、今回は、外部の方の検討委員会というものは考えておりません。
Q
関連ですけれども、今、知事のお話でいくと、日額制も含め、というお言葉がありました。日額制も含め検討している。来年度から実施と。来年度から何を実施するのかというのがうまくつながらなかったんですが、ということは日額制も一部実施を考えているということでよろしいですか。
蒲島知事
それも含めて、今回我々が検討した案が、議会にもちろんその前に諮りますけれども、2月の議会を踏まえて、来年度から実施できたらというふうに今思っています。
Q
少なくとも一部は日額制になると。
蒲島知事
それはまだ、この段階では結論は出ておりません。それを含めて、ということです。
日額制の変更も含めて、来年度からの実施を目処に鋭意取り組んでいきたいと思っているのが現在の段階です。
Q
知事ご自身としては、この行政委員の報酬については、どういう点に問題点があるというふうに考えているので見直しをしたいというふうに思っていらっしゃるんですか。
蒲島知事
この問題については、先程も言いましたように、大変世論の、県民の関心も高いことでもありますし、私自身が行革PTの中で、この問題はとても重要だと。私だけではなくてやはり各県もそれぞれにこの問題に取り組みたいという意識がありました。そういう意味でもう一度報酬のあり方について、これはもう随分長い間この形でやられてきたと思いますけれども、それから多分国の制度に非常に沿った形、そういう面もありましたけれども、県としてどう考えるかということを検討して、その検討した結果を来年度の実施を目指してやりたいと思っています。
Q
逆の言い方をすると、検討した結果、現状維持、すべて現状維持ということもあり得るということですか。
蒲島知事
これから検討して、今、事務方に整理をさせておりますし、また委員さん達の考え方もあるだろうし、それぞれの事務局の考え方もあるでしょうし、それを勘案して最終的には2月の議会に出させてもらうと。
議会のお考えを聞いて、それを来年度から、という流れになっています。
Q
確認ですけれども、現在の月額制だと、委員によって勤務実態によっては報酬の額が高すぎる、見合ってないというふうに問題点があるので検討されているのかということと、行政委員は全部一律で同じ制度を導入するおつもりですか。それとも別々に、これは月額にする。これは日額。
蒲島知事
いや、月額制、委員によってはやはり月額制にならないとおかしいという考え方もあるだろうし、それから、これだったら日額制の方が適当だと思われる委員会もあるだろうし、それをどれが月額制で、どれが日額制と、今この段階で表明する時点ではありませんけれども、それを考えていきたいと。
時間をだらだらとするのではなくて、2月の議会に出して、そして来年度から実施したいと。その段階でどういう形になるかは明らかになると思いますが、今、一律に全部日額制になるとか、一律で全部月額制になるということは、ちょっと私自身も答えることはできません。
Q
検討というのはどこで検討するんですか。知事が中心となって検討するということなんですか。
蒲島知事
この検討は、今事務局内で、そして知事部局、それから行政委員会の事務局もありますし、それから行政委員の方もありますし、行政委員の方も新しい方もあるし、それからずっとやられた方もあるし、様々な複雑な要素と整理すべき論点があります。
論点は整理しながら、そして私自身がメンバーになっている行革PTの中での検討も含めながら、より合理的な形で結論が出たらいいなと思っています。
Q
知事すみません、今の確認なんですが、県庁内で検討されている一番中心となっている部署とか、それから今までもいろいろプロジェクトチームみたいなやつを庁内に立ち上げたりしていますけれども、検討の組織の中身といいますか、具体的にどこがどういうふうに検討するのか。
蒲島知事
はい、人事課に対して、具体的に日額化も含め、報酬のあり方について検討するよう指示しております。
日額化というふうになれば、単価の水準とか報酬を支給する業務の範囲など、検討課題が出てきます。
そうすると各委員会事務局との意見調整も必要になってくる。委員さんとの意見調整もある。そういう意味では、主導は人事課ですけれども、それを越えた範囲、それから現時点で性急にやって将来どうなるかということも考えなくてはいけないですから、それを踏まえてただ、時間を切ってやらないと、こういうのはだらだらとなってしまいますので、私の方からは来年度実施を目処に、鋭意取り組んでほしいというふうに指示しているところです。
Q
対象となる委員会の数ですけれども、大体の県庁の中でどのくらいあって、知事としては何委員会を対象にと考えていますか。
蒲島知事
今、委員会が10あります。その中の収用委員会のあっ旋委員を除いて月額制となっています。
多分これは国の制度に沿っているので、他の都道府県も同じような状況ではないかと思っています。その全ての検討を行いたいと。
Q
この問題に関しては住民も高すぎるんじゃないかと言って、日額制でどうでしょうかという、住民監査請求も起こっているわけなんですけれども、知事ご自身としては今、熊本県のこの報酬の状態についてはどういう感覚をお持ちでしょうか。
蒲島知事
これは様々な価値判断があります。それから、高い、安いという価値判断というのは、この場で私は表明するべきじゃないと思っています。
Q
それは知事の基本的なというか、知事会もそうでしょうけれども、いわゆる行政委員の報酬と実態が見合っていないところもあると、それが目につくという所がこの問題点の出発点だと思うんです。それについては知事もやはり同様の問題意識をお持ちだということでよろしいですか。
蒲島知事
はい、すべてが動くということは、何らかの問題点が感じられたと。それから県民の世論の方もそのような動きがあったので、今この報酬について改めて考える時期ではないかというふうに判断しました。
熊本私学夢プラン(仮称)について
Q
夢プランについていいですか。
中身ではないんですけれども、その私学に特化したプランを作られるという意味合いと、教育委員会を含めたところの中高とかそういうその辺のお考え。
蒲島知事
当然、公立の方は教育委員会があります。それで私立高校の方は私学文書課という区分けになっていると思いますけれども、当然両者の関係は分離できるものではありません。だから協力的に連携していきたいと思っています。
ただ、このプランは「くまもとの夢4ヵ年戦略」それから「くまもと『夢への架け橋』教育プラン」これは教育振興基本計画ですけれども、私学に係わる部分の実行計画として位置づけております。
そういう意味では、現在の制度の中で、どのような振興策があるかというものをここで検討したいというのが、この部分です。
このプランの目指すところは、夢に向かって邁進し、夢を一歩ずつ実現させるための夢への架け橋となる実行計画というものを考えています。
Q
ということは、公立に対する実行プランを教育委員会に、もう作ってあるのかどうか分かりませんが、作ってないならば一緒に作ってほしいとか、そういうような要請をされておられるんでしょうか。
蒲島知事
これは当然、お互いに私立、公立という明快に分ける、私自身の頭の中ではすべて高校生は夢のある、そういう教育を受けてほしいと思っておりますので。ただ今回の私学夢プランについては、さきほど言ったように、私学に係わる部分についての実行計画という、そういうものではないかと私は位置づけています。
政府の予算編成についての所感
Q
知事すみません、整備局長の訪問に関連してお尋ねなんですけれども。民主党政権が誕生してから様々な変化と言いますか、大きく動いている部分というのがありますが、まさにその結果として国交省の概算要求の部分で、県にとって関係するところとかにも、道路整備にも出てきていると思うんですけれども、暫定税率の廃止ということも民主党政権は掲げていまして、これもかなり熊本県にとっては金額的にも、暫定税率という制度自体も影響というのもかなり大きいかと思いますが、こういった一連の民主党政権による、こういったいわゆる予算の使い方ですよね、国の中の予算のあり方の見直しの状況というのを全般的に総括されどういうご感想をお持ちでしょうか。
蒲島知事
政権交代が起こったわけですから、新しい政権の下での方向性というのは当然異なるものだというふうに私は考えています。
ただ私自身は、県民の幸福量の最大化という観点から行動しております。
それで、多くの知事さんも同じようにそのような行動をされています。
今、暫定税率の廃止ということで、熊本県には90億ぐらいの減少になるんではないかというふうに聞いております。
それに代わる財源が、あるいはそれに代わるお金が入ってくればそれはいいんでしょうけれども、そうでなければこの暫定税率は消極的に考えていますし、この前の九州知事会でも同じような意見ではなかったかと思います。
事業仕分けについて
Q
知事、政府の方で事業仕分けが進んでおりますけれども、いくつかの事業は廃止なり予算を大きく削減という方針が打ち出されていますけれども、熊本県に対してどのような影響があると、今の時点で分析されていますか。
蒲島知事
政権交代によって、公開の場で事業の仕分けが行われていますけれども、それは透明性を高めて予算に対する国民の関心を高めるという意味では一つの手法ではあるとは考えています。
ただその結果が、限られた時間の中で本当にそれぞれの地方の実情を反映したものになっているかどうかという所には少し懸念があります。
例えば、私が知事になって、真っ先に取り組んだのが耕作放棄地の解消問題です。
この熊本初の耕作放棄地をどう解消するかという問題について、その後農水省の方でも、例えば耕作放棄地再生利用緊急対策というものができました。
それが仕分けによって予算計上されなかったですが、熊本県の中における耕作放棄地対策を、私は、とても成功した事例ではないかと思っています。
まず、教育に使う。そもそも耕作放棄地があることがおかしいというふうに県民が思うと、そこから県民運動として始まって、それで、学校でもこれを使いながら教育の場としているわけですね。
ただ、これがあんまり使われていないからといって国レベルで予算に計上しないということになれば、せっかくのモデル的な取り組みが消えてしまうのではないかという危惧を持っていますし、その流れを理解したうえでこれを計上しないと決めたのかどうか、そこにもやはりとても疑問はあります。
そういう仕分けすべき、計上すべきでない事業もあるとは思いますけれども、それぞれの大きな流れの中でできた政策もありますので、私自身は、たくさん熊本県に関連するものありますけれども、この耕作放棄地再生利用緊急対策費を計上しなかったということについては、疑問に思っています。
皆さんも、多分、熊本県にいらっしゃって、この耕作放棄地の問題は元々経済的に考えると、そういうものだと思っていらっしゃった方が多かったわけですが、それはおかしいと思うところから始まって、県民運動として、教育運動としてこれを取り組んできて、しかしながら、僅か1時間半の仕分け作業で、ばっさり計上されないということに関しては、知事としてはおかしいなと思っています。
Q
知事としては、来年度以降も続けるということですよね。
蒲島知事
私はそういうつもりですけれども。
Q
その仕分け自体が短い時間でやるのがおかしいのか、仕分け自体について疑問をもっているんですか。
蒲島知事
仕分け自体は、先ほど言いましたように、透明性の確保と、新しい予算の立て方、そういう意味では、一つの方法ではないかなとは思っています。
ただ、誰が仕分け人かということによっても異なってきますし、例えば地方代表なのか都市部の代表なのか。一番いい例が、もし100%経済的合理性で考えると、使われない耕作放棄地というのは当然経済的な意味がないんだから、それは自然に戻るべきだという考え方も一つはあると思いますね。
でも、私はそうではなくて、やはり景観の面、特に福岡から電車で熊本に来ますと、耕作放棄地がたくさんあります。それが回りの景観をすごく阻害しているような気がしますし、それから、当然、田園というのは、ちゃんと整備されているべきものだ、というロジックからいけば、これはどうにかしなくてはいけないと思いますけれども。
そういう意味で一つだけ挙げるとすれば、この問題が割り切れないなとは思いました。
ただ、これは予算編成の第一歩ですから、今後、どのように予算編成に反映されるか注視していかなければいけないと思うし、今のような問題点をどんどん政府に伝えなければいけない、政府政党に伝えなければいけないとは思っています。
荒瀬ダムについて
Q
2、3日前に衆議院の委員会で社民党の中島さんが、前原大臣に荒瀬ダムの件で、また撤去費用の負担補助というようなところの質問をしていますが、また現段階でも大臣としては国として負担する考えがないというようなお考えを示されまして、ただ同時に将来的には国の許可工作物の撤去について誰が撤去するのかということで勉強したいというようなことも言われているということで、知事は一度前原大臣には要望されているところなんですけれども、今回のこのやりとりについてのご感想と、今後また改めて県としてどうかするというようなお考えがあるのかというところについて。
蒲島知事
皆さんもご存知のように荒瀬ダムの撤去に関しては、4つの条件が整えば撤去したいと。その資金の確保ですね、それから撤去による危険性の除去、撤去によって失われる利便性の補填、そして撤去工事の技術の確立という、4つの条件が満たされた時に荒瀬ダムの撤去ということを言っています。
そして撤去の条件を出しつつ、存続の方向性を示した後で2つのことが起こりました。
一つは、政権交代、それからもう一つは八代市長の交代。それによって更に、撤去したいという地元の要望がとても大きくなっております。
それに知事として答えなくてはいけないと思い、新しい政権の下で、その4つの条件が満たされることはないのかと。それを第1番目にこの前、前原大臣にお会いした時にお願いしました。
新しい政権の下でこの4つの条件、特に資金の確保ともう一つは安全撤去、危険性の除去ですよね、そういうことをお願いしたところです。
その時の印象をもう既に記者会見で述べておりますけれども、大変難しいというお話でした。
その流れの中で様々なチャンネルの中で是非考えてほしいというのが、私を含めて福島市長、この前の中島議員の質問だというふうに思っています。
ただ、今の状況では厳しい状況に変わりはないという認識でおりますし、それから中島議員に対するお答えもそういうものではなかったかと思っています。
難しいけれども検討したいという気持ちは多分おありではないかとは思っていますし、それがにじみでた答弁ではなかったかと思っています。
ただ、県にとって大きな問題は水利権の申請、これが間近に迫っています。それでその前に条件が満たされない限り、水利権の申請をしなければなりません。
それで、さっき言ったように、長期的にはとか、将来的にはとか、あるいは環境を、全体の環境をもっと新しいものとか、そういう時間がないというのが知事のジレンマでもあります。
その時間を、どうやって時間内に民主党政権から、政策変更と言いますか、あるいは民主党政権、民主党そのものがやはりこの問題については、菅副総理も選挙前でしたか私の所に要望に来られて、荒瀬ダムは撤去すべきだと。そして国がその一部を当然持つべきだというお話を地元にもされていますし、私の所にもその要望をされました。
また、福島瑞穂社民党代表も、同じようなことを言っておられましたので、そういう意味では皆が期待したということは間違いないと。民主党の政権とそれから社民党との連立ですね。しかし事態はそういう方に動いていないというふうに認識しています。
Q
時間が限られているというのは、いつごろまでに水利権の申請を。
蒲島知事
1月にはやらないといけないと思っています。
Q
来年の1月。
蒲島知事
はい。
Q
その時に更新か新規かという問題も出てくると思うんですけれども、要するに更新でする場合に、撤去が前提になっていたので、更新という項目がないと。というと普通考えると新規ですることになると思うんですが、その時にまた漁協とか、漁師さんの同意が得られなければならないと思うんですけれども、そういうあたりの同意を得るために県が準備していることがあれば。
蒲島知事
県としては更新だと考えておりますし、判断するのは国交省だと思います。
Q
荒瀬に関連してなんですけれども、丁度、知事が去年の6月に撤去方針を凍結されて、それから撤去から存続へというふうに最終判断をされてちょうど1年近くなって・・・
蒲島知事
凍結から存続ですね。
Q
存続へ変わったものですね。議会の方で表明されて。
今水利権の更新に向けてのお話というのもありましたけれども、その一方で国の方が政権交代という形で様々な動きもあります。
そして知事も先程触れられたように、やはりこの1年間も地元八代市の坂本町は特に撤去ということを望まれる住民の方が多くいらっしゃって、その声というのもやはりずっと変わっていない、変わっていないどころか、高まっている部分というのも恐らく感じられていると思います。
この1年間の知事が最終判断をされてからの荒瀬ダムをめぐる動き、それからなかなか地元への存続に対する理解が深まっているとは我々外部から見てると、それはなかなかそういうふうには感じられないんですけれども、この1年間の総括、今後の地元に対しての知事の方針をどういうふうに理解してもらうのか、そのあたりのお考えというのを改めてお願いします。
蒲島知事
私はもう、表明した時点から4つの条件、とりわけ資金の確保、安全性の確保、これが必須条件だと思っております。
今、想像を絶する不況です。そして、想像を絶する財政状況にあります。
それで政権交代によって、その財政状況が好転しつつあるのかというと、それもまだ不明です。
そういう意味で熊本県の財政を考えると、この4つの条件の特に最初の条件が満たされることがとても大事だと思っています。
しかしながら、積極的にこの4つの条件を満たすように努力すべきではないかとも考えていますので、政権交代というのが一つのそのためのチャンスというふうに捉え、国交大臣にも会った時にお願いした次第です。
今後も時間は限られておりますけれども、そのような方向であらゆるチャンネルをとおしながら、時間内にそれができないかということを追求してまいりたいと思っております。
それではありがとうございました。