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平成21年10月21日 知事定例記者会見
日時:平成21年10月21日(水曜日)午前10時00分から
場所:知事応接室
発表項目
質疑応答
- クマモト・オイスターについて
- 鞠智城イメージキャラクター発表について
- 「ダムによらない治水を検討する場」ついて
- 立野ダムについて
- 川辺川ダムについて
- 新政権の評価について
- 子ども手当等の政策への地方負担について
- 水俣病問題について
- 政府予算編成への対応/不適正経理について(質問)
- 不適正経理について
(幹事社)
知事の方から発表項目をお願いします。
「ダムによらない治水を検討する場」について
蒲島知事
発表項目が4点あります。
昨日、第5回目の「ダムによらない治水を検討する場」が開かれました。
これまで4回の会議を踏まえ、国から治水対策の今後の取り組みの考え方が示されました。
これに対し、流域の各市町村長から、それぞれの立場で意見や要望が述べられました。
私は、前原大臣が、川辺川ダム本体工事を中止すると表明されたことで、この「検討する場」の性格も変わるのではないかとの考え方を示し、それに対し、九州地方整備局の岡本局長も同様の認識を示されました。
今後は、国が治水対策案を提案し、県や市町村が意見を述べるという形で議論が進んでいくのではないかと思っています。
県としても、こうした枠組みで治水対策を議論する場は重要であると認識しており、ダムによらない治水の実現に向かうよう、しっかりと役割を果たしていきたいと考えています。
今後、国交省におかれましては、治水対策の検討を早急に進めるとともに、五木村の振興についても、大臣の意を汲んでしっかり取り組んでいただきたいと思います。
クマモト・オイスターの県内での養殖の展開について
2番目は「クマモト・オイスター」の件です。
これまで県水産研究センターでは、世界的に有名なカキのブランドである「クマモト・オイスター」の養殖に向けた生産試験を実施してきましたが、このたび10万個単位での稚貝の生産が可能になりました。
これにより、県内での「クマモト・オイスター」の養殖に向けた基礎がほぼ固まりましたので、今後新たな「熊本ブランド」としての確立を目指し取り組んでまいります。
また、これら「クマモト・オイスター」の養殖試験を希望する養殖業者の方を募るとともに、熊本産「クマモト・オイスター」の認知度の向上と販路開拓に取り組んでまいります。詳しくは、お配りの報道資料をご覧ください。
「第2回熊本~東アジア食の商談会」の開催について
3番目は、「第2回熊本~東アジア食の商談会」の開催についてです。
11月6日、ホテル日航熊本において、「第2回熊本~東アジア食の商談会」を開催します。
経済成長著しい東アジアの県産品の販路拡大を支援するため、昨年度に引き続き、東アジアで食品を取り扱っているバイヤーとの商談の機会を設けます。
売り手企業は46の企業・団体が参加予定であり、前回の28企業・団体から大幅に増加しました。
今回の商談会は、ジェトロ熊本などの紹介による韓国、シンガポール、台湾、香港からの7つの海外バイヤーと4つの国内商社を招いての商談会です。
本県の安全・安心で、多彩な食材をアピールするよい機会ではないかと考えています。
鞠智城イメージキャラクター発表のお知らせについて
最後は、鞠智城イメージキャラクターの発表です。
鞠智城の国営公園化への弾みとするために、平成21年6月15日から9月14日まで鞠智城のイメージキャラクターの名前とデザインを募集しました。
皆様のご協力もあって、北は北海道から南は沖縄まで、全国から私の予想をはるかに超える857作品の応募がありました。
この場を借りて、応募してくださった皆様に感謝申し上げたいと思います。
応募作品については、県、県教育委員会、山鹿市、菊池市により、慎重な選考を重ね、10月8日、私と山鹿市長、菊池市長、県教育長、県期成会常任理事の5人による選考委員会を開きました。
素晴らしい作品が多く、選考は難航しましたが、各賞を決定することができました。
ここで発表したいところですが、発表は10月25日に、歴史公園鞠智城で行われます「鞠智城の日」の表彰式にて大々的に行いますので、もうしばらくお待ちください。
ぜひ皆様にも来ていただき、一緒に鞠智城イメージキャラクターの門出に立ち会っていただきたいと思います。
以上が、私の方で用意した発表項目です。
クマモト・オイスターについて
(幹事社)
幹事社の方から1点、ちょっと確認を1点ですね。
1点は「クマモト・オイスター」のブランドカキですが、養殖を募るにあたって、予算上、何か助成をするなど、そういったことは考えていらっしゃるんですか。
蒲島知事
それについては事務局の方で答えてもらいますけれども、「クマモト・オイスター」については、ずっと熊本にいると、この人気度が分からないと思いますけれども、私は海外におりましたし、特にボストンにおりましたけれども、ボストン、ニューヨークでのこの「クマモト・オイスター」の人気というものはすごいものがあります。
それで、この「クマモト・オイスター」がまさに、熊本初としてブランド化されれば、熊本の産業にとっては、素晴らしいことだというふうに思っています。
そういう意味からちょっと養殖についての補助金について、担当の方から。どうぞ。
(幹事社)
こちらが「クマモト・オイスター」の1年半飼育したものです。
蒲島知事
ちょっと小さいんですよね。
普通のマガキはないんですか。
(幹事社)
今日はちょっとすみません。
蒲島知事
多分半分ぐらいだと思います。
そして何か補助金について。
(幹事社)
養殖試験については、水産研究センターの試験としてやりますので、実際に必要な品物関係については多分持っていらっしゃる方が対象というか、やることになりますので、あとは成長とかそういった調査関係のサポートを県の仕事としてやりたいと思っています。
1業者さんについては、5000個単位ぐらい、5000個から1万個ぐらいになると思いますので、施設的にはそう大きな施設は要りませんから、今持っていらっしゃる施設で十分対応できる範囲だと考えます。
Q
いろんな業者さんに養殖してもらうとか、あるいはもう生産体制まで、そこまでいってないのかも知れませんけれども、広げるという趣旨での何か補助金制度なり、そういうことがあるのかなということです。
(幹事社)
現在はまだそこまで検討しておりません。
Q
一つの業者に5000個から1万個単位を県から提供して養殖してもらって、それを試験的に養殖してもらうことが始まるということですか、来年度から。
(幹事社)
はい。そうです。
蒲島知事
養殖してもらう5000個の分は無料なの。
(幹事社)
無料です。
蒲島知事
じゃそれが補助になるのかな。
Q
自分の、例えば真珠で使っていた所とかにやってもらうとか。
(幹事社)
はい、そうです。今年年内には配付できるようになりますので、年内から準備ができ次第やりたいと思います。
蒲島知事
私も、ニューヨークでこの「クマモト・オイスター」という名前を、カキを食べる所で何で熊本かというふうに聞きましたけれども、その人たちは知りませんでした。
ただ「クマモト・オイスター」は高いんだということがその時に分かりました。
鞠智城イメージキャラクター発表について
(幹事社)
鞠智城のキャラクターについて、25日の発表は、知事も同席するんですか。
蒲島知事
私が出席して私が発表いたします。
Q
このキャラクターをとおして、PRしたいという部分で、知事のコメントなりというのはその時に出されるのか。
蒲島知事
その時に。はい。
Q
例えばそのキャラクターの印象であるとかは、その時に…。
蒲島知事
いや、私が見てもすばらしいので、皆さんもきっと気に入られると思います。
(幹事社)
それでは発表項目について、ダムなし治水も含めて、一括して質問事項をどうぞ。
「ダムによらない治水を検討する場」について
Q
「ダムによらない治水を検討する場」に関してですが、昨日、非常に具体的な国の提案もあって、具体的なステージに入ったかとは思うんですけれども、一方では、いわゆる河川整備計画との連続性というところで、非常に具体的な議論に入ってきたからこそ、非常にそこにつながってくる議論に入ったと思うんですけれども、知事はこれが分権のモデルということで、非常に重視なさっておりますが、一方で河川整備計画策定にあたっては、例えば流域委員会といったものを、いわゆる一般の住民の方も含めた議論の場というのが求められる部分もあると思うんですよ。
今回の場合は、いわゆる首長さん方がフルメンバーで入っていらっしゃいますが、いわゆる行政の長以外の、例えばいろいろ専門の方、そういった環境問題とか、地域の問題に関心をお持ちの方が、球磨川の河川整備に関して意見を述べる場、例えば淀川水系でいうところの流域委員会、そういったものが関与する機会を、逆に失ってしまうという懸念もあると思うんですけれども、知事としてはそういった一方での、流域委員会のような住民の意見を反映する場の必要性というのはどう捉えていらっしゃいますか。
蒲島知事
川辺川ダム問題については、40数年という長い年月の中で、昨年の9月11日、白紙撤回という意思表明をいたしました。
それから1年経って、それが実際にその方向に今動きだしているのかなという感慨もあります。
そこで私自身は、「ダムによらない治水を検討する場」としては、性格が随分、今回の前原さんの決断の後で変わってきたような気がします。
ただ、変わってきても、この地域の声をそこで出すという意味での重要性はあるのかなと、そういう意味で地域主義、あるいは地方分権のモデル、あるいは制度となり得るというふうに私は思っています。
ただ、前原大臣の発言以降、まだそれほど時間が経っていませんので、国交省は昨日、ダムによらない治水案を出されましたけれども、それと例えば専門家チームの関係、あるいは我々の「検討する場」、それから流域の検討委員会、そういう関係がまだ明解ではありません。
そういう意味で、治水対策は※県が積極的、主体的に行うというところが明解になって、それ以降それをどうやって達成していくかということに関して、組織の面から含めて明解でありませんし、現段階において、これについて県としてこういうふうにやってほしいということよりも、国において現在検討されているのではないかと考えます。
※「県」の部分は、正しくは「国」です。
Q
組織としては、流域委員会という形をとるかどうか、それはひとまずおくにしても、住民が意見を述べたいという、住民の意見を反映する機会をなんらかの形で、どこかの段階できちんと設けていく、その必要性についてはどうお考えですか。
蒲島知事
参加型の政治を私はずっと考えてきましたので、そういう機会があるかどうかというのは、ちょっと私自身でコメントできるところではありませんけれども、一般的に言えば、いろんな方の考え方が反映される、現在は市町村を通して、あるいは知事を通して、あるいは意見書を通してという形でこれが反映されているのかなと思っていますけれども、それ以降、昨年の金子前国土交通大臣との合意では、知事とそれから国と、それから市町村長という形になっておりますので、その先を私だけで表明できる時点に至っておりません。
Q
ダムなしの治水を考える場ですけれども、知事は必ずその期限を区切らなければならないと、期限を設けた方がいいというお考えですけれども、これはこの場で一定の結論が出るのは、いつまで出すべきだというふうに知事はお考えですか。
蒲島知事
私は、時間の政治学という形で重要な決定を行う場合は、時間を設定した方が効果的に決定が下せるのではないかなというふうに、一般的にはそう思っています。
ただこの川辺川ダム問題とダムによらない治水ということに関して、明解に、この時期まで決定すべきだ、ということは言えないのではないかなと思っています。
ただ、早くスピード感をもってやってほしいということは、国に対して要望しておりますので、いつまでやるということまでは、多分この段階で誰もそこは言えないのではないかなという気もします。
ただ、スピード感を持ってやってほしいということは私の希望でもあります。
Q
何をもって、結論というふうに知事はお考えですか。
蒲島知事
国からダムによらない治水案が示され、それをこの検討の場でも示されると思いますし、それから専門家チームなども前原大臣によると設置されるということですから、専門家チーム、それから技術の粋を集めた治水対策、それを流域市町村長、それから地元の代表である知事が合意すると言ったらおかしいですけれども、共有する、そういうものになるのではないかなと思っています。
ただ今後のスケジュールに関しては、これは国の方に代わって言うわけではないんですけれども、ちょっとやっぱりまだ大臣の意見表明以来、時間がそれほど経っておりませんので、この段階でいつごろまでというのは、ちょっと誰もまだ分からないのかなという気がします。
ただ、スピード感を持ってやられていることは大臣の表明にもありますので、私どももスピード感を持って、とにかく安全度を今よりも早く高めてほしいと思っています。
立野ダムについて
Q
ダムの関係で、川辺川とは離れるんですが3つ、立野ダムに関しては、国は見直しを検討していて、熊本市の方はダムが必要という立場を示されて、熊本県の方は直轄事業負担金90億円を出されていますけれども、その多額のお金を出している県として、立場はどういうふうな形になっているのかということと、つまり川辺や路木のように態度を表明するということならばどういう態度なのかというのと、あとは出したお金はもしダムが中止になるならばどうしたいと考えているのかというのが2点目と、もう1点は、基金を4億円ほど、4億2000万円ほど白川水源地域対策基金を積んでいますが、こういったものは今後どうされていこうというふうに考えているのかという3点をお願いします。
蒲島知事
県としては、立野ダムはとても重要なダムだと考えております。
とりわけ立野ダムによって、それができるできないということによって影響を受けられる住民の数が20万を超えているということですので、この必要性を訴えていくと。だからそういう中止は考えておりません。
Q
90億円出されてますけれども、これに関しては、もし、中止は考えていないということですね。
蒲島知事
そうです。はい。
Q
中止となった場合には。
蒲島知事
その時に考えますけれども、現在のところ全く、前原大臣がおっしゃっているように、全てのダムが止まるということではありませんので、一度立ち止まって考えるということでありますので、このダムは重要性という観点と、それからもう既に地域住民の方々の同意も済んでいるということですので、それから熊本市長も強くこの完成を望んでおられますので、その観点から県としても国に対しては進めてほしいということを言いたいと思います。
Q
関連してなんですけれども、熊本市長が先般、国交省の方に上京されて、この立野ダムについて継続要望されました。今月末には下流域の熊本市も含めた市町村長が期成会を結成しているんですけれども、上京されて国交省に対して要望されるということなんですけれども、この立野ダムにも今知事がおっしゃった県としての必要性という部分に関して、県として流域のその自治体と歩調をあわせて何か大臣に対して要望するとか、県としての今後のリアクションというのはどういうふうにお考えでしょうか。
蒲島知事
その立場立場と、その時一番有効な時に国交大臣の方に訴えていきたいと思っています。
Q
県としても直接必要性を訴える機会があるということですか。
蒲島知事
はい。
Q
この前、その大臣と会われた時には、この話はされたんでしょうか。
蒲島知事
いろいろとダム問題が熊本県はあるということと、それからこの立野ダムもその一つで重要だと考えていることを申し伝えました。
Q
それについて大臣からは何か。
蒲島知事
いや、それはありません。
Q
事業を続けてくれという話をされたということでしょうか。
蒲島知事
重要性を。
川辺川ダムについて
Q
川辺川ダムにちょっと話は戻りまして、その住民の意見という部分で、もうちょっとお尋ねしておきたいのが、ここ10年ほどの河川行政上、河川法が改正されて、住民の意見を取り入れるような方向性を打ち出されて、淀川水系では流域検討委員会というのが立ち上がったという、そういった流れがあるんですけれども、とりあえずそういう流れがある中で、知事が、異なるコンテキストの中で言われたかもしれないんですが、川辺川ダムを、河川行政上のモデルにというお話、発言があったかと思いますが、コンテキストが違うかも知れませんけれども、ちょっとごっちゃにさせていただきます。
川辺川ダムを一つのモデルケースという言葉の中で、ここ数年の河川行政の中での住民の意見を取り入れるという考え方、ちょっと先程のお話だと若干逆に後退する河川行政、ここ数年の河川行政的にみると後退するという…。
蒲島知事
後退という感じは持っておりませんし、多分、自分の任期中について考えますと、私自身は十分住民の方のご意向を汲み、民意として白紙撤回という形で表明いたしましたので、そういう意味で私自身は多くの方々の参加、それから住民の方々の意見を十分汲んだつもりです。
それを国に対して表明したと。そういう形での表明もありますし、それから各市町村長の表明もありますし、それからいろんな方のグループの参加、そういうものはいろんな形で届いているのではないかなと思います。
ただ、流域委員会を作るかどうかという判断が、これからどうやって行われていくかということは、私自身にイニシアティブがないということですね。
国の方でここの計画をどういうふうに策定されていくかということも含めながら、検討されていくのかなというふうに思います。
Q
淀川水系の場合も非常に先駆的なモデルというふうに始まったものの、結果的には国交省そのものが、その動きについて、逆行するような部分があって、それを逆に流域の4県知事が流域委員会の意見、それと国交省の意見が対立軸の中で一つの方向性を見いだされたという部分もあったと思うんですよね。
国交省自身は住民参加の流れを、ちょっと止めたい、逆に…。
蒲島知事
そうでしょうかね、私はそうは…。
Q
流域委員会の広がりがこれまで見られなかったということに表れていると思うんですよ。
今回の国の方向転換という大きな要素はありますが、仕組みとしての流れというのは、この10年の流れがありつつも、必ずしも一つの方向ではなくて、逆流した部分もあると思うんですよね。
そういう意味では、国任せではなくて、やはり地元がその住民参加ということに関してどういう意識を持っていくかということを常に発信し続けなければ、決してモデルというふうにはなり得ないんじゃないかなと思うんです。
蒲島知事
そういう意味で昨日、「検討する場」をどうするかという話題になった時に、これは地元の意見を表明する重要な場である、だから大事にすべきだという考え方を示しましたし、それから前原国交大臣も、これは貴重な場であるというふうに認識されていると。
だからこれがこのままいくのか、あるいはそれからこの場が十分かどうかということも含めて、これからの検討課題になるんじゃないでしょうかね。
Q
お尋ねしているのは、ダムによらない検討の場は、あくまで行政の長でいらっしゃる首長さん方の集まりであって、さっきからお尋ねしているのは、もっと、いわゆる一般の方の意見が反映する機会というのをどう捉えていらっしゃるのかということなんですけれども、これは分けて答えていただきたいんですが…。
蒲島知事
今の段階で言わせていただければ、この3つの団体、国、県、市町村長という形の検討の場で地元の意見が汲み上げられているという認識で、これでは足りないと、どう見ても足りないという形で、国、県、市町村が認識されればまた違った形になるかもしれません。
すでにこの場をどうするかというのは、まだそこまで、はっきり言って今方向転換するだけで、国の方はもう大変だというふうに考えておりますので、それを含めながら多分検討されるか、あるいは提案されるか、そういう場がくるかもしれませんが、ただ、今現状で私から国交省の意向はちょっとコメントできません。
新政権への評価について
(幹事社)
一旦ダムなし治水を含めた部分、ここで止めますけれどもよろしいですか。
じゃその他についてなんですけれども、幹事社から1点だけお伺いします。
鳩山新政権がほぼ1か月過ぎました。現時点での評価、あるいは感想などをお願いいたします。
蒲島知事
これは、一応知事という立場を離れて評価ということになりますので、戦後本格的な初めての政権交代という中で、やっぱり鳩山政権は様々な形でご苦労もされているのかなというふうに思います。
そして、マニフェストと掲げた理想、この理想に向かって様々な大臣がいろんな方向性を示されております。
例えば財政難という課題の中で、現実主義に、現実的な現象に直面されるのもこれから考えられるんじゃないかなと思っています。
だから、高く民主党政権が掲げられた理想主義の旗を下ろさずに、やはり現実主義とどう折り合っていくかということを、これから鳩山政権はやらざるを得ないのかなと思っています。
そういう意味で、その時にいかに説明責任を果たすかということが大事かなと思っていますので、ただ、今はまだ期間が経っておりませんので、評価を下すというところまでは至っておりません。
ただ頑張って欲しいと。思いは一つですから、国民の幸福量の最大化、私にとっては県民の幸福量の最大化、だから県知事としては前から申し上げてますように、あらゆる状況に備える形で対応できるような体制を整えておきたいと思っています。
(幹事社)
では、各社さんから。
子ども手当等の政策への地方負担について
Q
子ども手当てのことに関して、20日だったかと思うんですけれども財務省とか官房長官は自治体での負担も検討したいということを示されて、福岡県知事が民主党はずっと財源を国庫から出すと、今までしてきた話と違うじゃないかという批判をされて、その翌日に鳩山首相は全額国が負担するのが当たり前だというような考え方を示されましたけれども、そこでちょっと2点お伺いしたいんですが、財源が地方自治体にもという話がでてきた部分に関してどう感じているのかというのが1点と、もう1点が政権の中で意見の食い違いが出てきているという部分に関してどう感じているのかという2点をお願いします。
蒲島知事
はい、これは誰が考えても、地方がこの子ども手当てを負担するというのは想像もしていなかったと思います。
当然反対です。だから、それは民主党のマニフェストに述べられていて、そのマニフェストを見る限り、当然国で負担すべきものということ、それから財源も含めて考えなくてはいけないかと思っています。
ただ、先程言いましたように、そういう理想主義の旗と、それから現実の財政難という、そのジレンマに今、内閣はあるのかなと思っています。
そのジレンマの中で様々な意見が出てきていると、対立というよりも、様々な意見が出てきているというふうには見ております。
Q
今の関連で確認ですけれども、基本的に民主党政権が掲げたマニフェストに基づく、いろいろな政策に対する財源の負担というか、そういった部分での地方負担というのは基本的にあり得ない、あるべきじゃないというお考えですか。
蒲島知事
多分想定外だと思います。
例えば子ども手当てに関して、地方自治体が負担するとは、多分誰も想定もしてなかっただろうし、それが発言としてあったことそのものにも驚いているところです。
それじゃよろしいですか。
水俣病問題について
Q
水俣病に関してお尋ねなんですけれども。
先日、お一人の大阪の方を認定されまして、繰り返しの質問になるのかも知れませんが、いわゆる司法の場での損害賠償というのを受けられて、今後この行政認定を受けた後に、チッソとの協定を結んでという手続きになると思うんですが、チッソの方はやはり司法の場での損害賠償があるわけで、補償金の支払というのは拒む考えというのを示されているということなんですが、改めてやはり県として、チッソと認定された方の間の協定について、何か立ち入ってということはお考えになってないのか、というのがまず一つと、大阪の認定された方に関しましては、先般県の方から認定を伝達に行かれた際に、これは個人とチッソとの交渉ということになるんでしょうけれども、その場に県の方も立会いといいますか、同席をして欲しいというようなことを要望されて、県の担当の方は、持ち帰って知事に報告するというようなことをお伝えになったんですけれども、その認定された方からもそういった要望について、知事としてどういうふうに考えをもっていらっしゃるのか、以上2点。
蒲島知事
はい、これは既に環境大臣の方から記者会見で明らかにされたと思いますけれども、政治家である環境大臣に対して、行政の長ではなくて、県民の代表として、そして知事としてどうにかならないのかという思いを率直に申し上げました。
どうなるか分かりませんけれども、一応検討したいという話にはなっています。
そういう意味で、チッソとの交渉で、行政としては裁判中でもあるので、立ち会うとかそういうのは裁判の状況とか環境省の対応等の推移を見ないと何ともいえないのではないかというふうに思います。
私が面会することで進展する見通しがあるかどうかを見極めながら考えていきたいと思っています。
政府予算編成への対応/不適正経理について(質問)
Q
知事、すみません。2点お願いします。
一つは概算要求で、農水省と国交省、それぞれ公共事業関連経費という14から15%削られると、そこから熊本県の規模で大体推定すると、やっぱりかなり熊本県としても公共事業費が削られざるを得ないというのが、かなり蓋然性が高いと推定できるんですけれども、これについてどう受け止められて、どうアクションをとろうとお考えなのかというのが1点と。
あと例の不正経理のお話なんですけれども、公表された直後、知事としては再調査はされないというお考えを述べられましたけれども、県民としてというか、県民の中にそれでは納得いかないという声がかなりあると思うんですけども、それに対してもう一度改めて、どういうお考えなのか、その2点をお願いします。
蒲島知事
最初の方の質問ですけれども、現時点ではこの政府の予算編成の結果が全く、明らかになっていない部分が多いところがあります。
この前もお答えしましたように、現時点で言えばこれまで本県が予算化した部分については、直接の影響はないというふうに考えております。
しかし、定住自立圏等民間投資促進交付金の縮小とか、あるいは子育て応援特別手当ての執行停止される補正予算については、地方に関係するものもあります。
県内の景気とか雇用情勢は引き続き厳しい状況にあります。
そういう意味で政府においては、今後平成22年度当初予算編成においても、こういった地方の実情をしっかり把握したうえで迅速に対応されるよう求めていきたいと思っています。
ただ先程言いましたように、各団体、あるいは地方に直接、県を通さずにいくところに影響もあるということはありますので、それもずっと注視していきたいと思っています。
不適正経理について
それから不適正経理についてですけれども、これは既に事務局の方から示されましたとおり、自主的な調査の部分で我々が扱ったものと、会計検査院が不適正と認めたところと、差があります。
とりわけ私どもが自主調査で重視したのは、預け金とか、あるいは差し替え、つまり裏金につながりやすい、根本的なものといったらおかしいですけれども、それを徹底的に調査をしました。
外部調査委員会の助言を受けて行ったところです。
今回それを超える形で会計検査院の指摘がありました。
例えば消耗品、Aという消耗品とBという消耗品が違うじゃないかとかですね。
何で消耗品をやらなかったのか、ということになります。
これは、調査するためには3つのことが必要です。
県の会計書類がなくてはいけないこと、業者からの報告、現物の確認という、3点セットが必要です。
消耗品の場合は、備品と違って残っていないものが多くて、現物確認を行うことができない。それから県には法的な権限がないので会計検査院のように業者の方からすべて帳簿を提出させる、そして消耗品差し替えの一つ一つを確認することが困難であるという、技術的な困難性もあります。
だから、一番大きな問題になっている裏金につながりやすい預け金、それから差し替えというものを短期間に、そして根本的にやろうというのが、この外部調査委員会の助言を受けた自主的な調査だったわけです。
それで、じゃその部分がどうかということになると思います。
その預け金と差し替えの部分が、もし会計検査院の調査と違っていたら、これは調査自体がおかしかったのではないかということになりますけれども、1点だけ、ハードディスク3万円ちょっとが新しく出てきて、それを調べてみると、他の点では申告している。けれどもそれについては申告漏れだということで、申告を隠したのではなくて、多分記憶がなかったのかなというふうに思っていますけれども、それがあったので、ほぼ自主調査と、それから会計検査院の調査の根本的な部分は一致していたのかなと私は安堵しました。
今言ったように、その消耗品の部分、それから例えば一括払いの部分と、それから納品が遅れてる、例えば3月31日に当然来なくてはいけませんよね、会計上は。しかしそれが在庫の関係で4月何日に来るとか、あるいは5月の始めに来るとか、そういう1点1点指摘されたものがあります。
そういう意味でその指摘されたものの中には、見解の相違もありますし、それから当然こちらの落ち度もあるというふうに思いますけれども、それを私は全てインターネット上で公開して、一つ一つそこに我々がいう不正があったかなかったかというのを皆に点検してもらおうと。そして私自身は、この自主調査で今後そういう問題も含めて起こらないような体制で臨んでおりますし、2年後に私自身の調査のあとの部分について検証いたしますので、その検証の結果に私は責任を持ちたいと思っています。
Q
知事がおっしゃる2年後の検証というのは分かるんですが、我々が聞いているのはそうではなくて、過去の部分で起きてしまったことに対してどうするんですかという話をしております。
我々民間の企業はどこもそうだと思うんですが、ボールベン1本、ペーパー1枚、消耗品だからといって、それが何というのかな、裏金に使われていないとか、むだに使われていないとか、そういうふうな普通の民間の見方からすると、それっていうのはなかなか納得しづらい話なんですよね。
消耗品だからその辺は別に大丈夫だろうというような、その辺を、知事はおっしゃいますけれども、県民からするとそれっていうのはとても納得できないようなお話ではないかと思うんですよね。そこをもうちょっとお聞かせ願いたい。
蒲島知事
さっき言ったように、技術的な面の難しさと、一定の期間内にやらなきゃいけなかったという自主調査については、この消耗品の部分が入っておりません。
再調査するということは、農林水産部と土木部が今回行われましたけれども、それ以外の部局で同じ調査をやるべきだということを今想定されていると思いますけれども、そのことも踏まえて、今対応策を私の調査の後行っておりますので、実際にそれがきちっとやられたかどうかというのが、私の任期においてですよ、任期において守られたかどうかは2年後の調査で、私は明快になると思うし、それに対して私は責任を持ちます。
じゃ過去の調査をやって制度設計に結び付ける、あるいは、新たな対応策をとるということが大事になってきますけれども、まず技術的に難しいということと、それから根源的なところでの調査結果が、今の政策に活かされているという観点から、再調査を行わないという方向を持っています。
Q
今の関連で、確認です。
今おっしゃった点は、2年後とおっしゃっている調査段階では、消耗品も対象となさるというお考えなのかということと、先程その調査の消耗品に対しての調査の技術的な面を強調なさいましたが、それと分けて伺いたいんですが、裏金につながりやすいか、そうでないかというのと、ちょっとごっちゃになっているんですけれども、知事としては消耗品と備品等も、3万円なりの額の違いで裏金になりやすい、なりやすくないというのはどうご判断なさっているのか、ちょっと先程の調査の技術的なところはひとまずおいといて。
蒲島知事
例えば消耗品だと随意契約。私自身も何で消耗品の差し替えがあったのか理解できませんけれども、外部調査委員会では※これに限ってやろうと、それから技術面も含めてですね。会計検査院の指摘内容は、もう既に皆さんも貰っていらっしゃると思いますけれども、いずれも業務に必要なものに支出している。何か無駄にやっているというものではなくて、業務に必要なものに支出している。今回指摘を受けた内容というのは、職員の意識の問題もあっただろうし、物品検査の不徹底もあっただろうし、それから単価契約品目が少ないことなどに要因がありましたけれども、これは既に3月に策定した再発防止策により対応策を講じています。
※印部分の「これ」は、「預け金、備品相当品への差し替え」との趣旨の発言です。
だからちょっとすみません、さっきの質問一つだけ、担当の人から聞きたいんですけれども、2年後の調査には、今言った会計検査院のものも含まれているということですか。
(幹事社)
今後は対象も含めて検討したいと思いますが、そういうものも含めたところで。
蒲島知事
今の課長からの答弁のように、今回の指摘を受けて、それを含めた形で調査するということです。
Q
それは農水、土木に限らず消耗品を全庁的にということですか。
蒲島知事
ということですか。
(幹事社)
今言いましたように、今後いろいろ検討していく中でそういうものも含めて、どのような調査ができるかという調査の手法等も含めて検討していきたいと思います。
Q
1点、今の課長とのやりとりを伺っていて、この点はまさに知事、県民の代表である知事がどういうリーダーシップを発揮なさって、どういう指示をなされるかというところが私達は注目しているんですけれども。
蒲島知事
私も技術的なところが明快じゃなかったので、今課長に答弁をお願いしましたけれども、技術的に可能であれば私は徹底的に調査すべきだと思うし、私自身も3月に策定した再発防止策により、これは胸を張って、熊本県には不適正経理はない、と言うために2年後に調査をやると約束したものです。
だからそういう意味では、再調査というのは、過去に遡った調査ですけれども、むしろ未来志向で、2年後に調査をされて、その結果には私も責任を持ちますということです。
Q
責任を持つというのは、具体的にはどういう。
蒲島知事
それは具体的には、ここで答えるわけはいきませんけれども。
Q
その未来志向もよく分かるんですけれども、端的に言えば、消耗品から消耗品の差し替えが裏金に繋がらないとお考えになる根拠を、普通の一般の人が分かるようにちょっとご説明願います。
つまりそこがなければ確かに県がやった備品の部分の調査だけで十分だったって皆思えるんでしょうけれども、そこがよく分からないんですよね。
蒲島知事
私にも、何で、別に差し替えする必要も何もないのにね、何でやったかというのは理解できないところがあります。
(幹事社)
消耗品から消耗品というのは、台帳にもちろん載りませんし、裏金をするためにそういうことをする必要はないという考えを持っております。
消耗品から備品相当品というのは、備品はその都度台帳に載せますからあれですけれども、備品というのは換金性が非常に高い、消耗品についてわざわざ差し替えをして、それをまた換金するということは基本的に考えにくく、そういうことをするんであればむしろ預けの方にという発想が普通かなということもありまして、私どもの方としては消耗品から消耗品というのは非常に換金性が低く、いわゆる裏金につながる可能性は非常に低いということでございます。
蒲島知事
一つ、私が原口総務大臣とお会いした時に、原口大臣はこういうことを言われました。
補助金、あるいは各省をまたぐ補助金というのは、大変使いにくくなっているので、改善、使い方を、一括交付金という形もあるかもしれませんけれども、使い勝手をよくするために、あるいはそういう弾力性をもちながら有効に使ってほしいということをいわれました。
それが大きな今の流れだとすると、会計検査院の調査で指摘されているというのは、もうがんじがらめ、使い方に関してですね、それが単年度予算もあり、それからガイドラインもない、それから職員もそういう意識があったということなど、いろんな要因があると思うんですよね。
だから今後制度的に、やはりもし今、民主党政権が弾力的な有効な使い方、多分皆有効に使いたいと思ったと私は思っていますけれども、川上から川下まで有効に弾力的に使うような支出のあり方というのは、私は知事会でもこれから提言していかなきゃいけないなと思っています。
皆さんもどうぞ、1点1点隠さず、全部今公開しておりますので、ここまでやるのかというところも皆さんも見られると思いますので。やはり私自身は自分でも研究をやっておりましたけれども、例えば研究費で何月何日にどういうものを使って、それがどう研究に役に立ったかということでやられると、なかなか弾力的でないなという実際の経験もあります。
研究の成果はほとんど見えないけれども、100%完璧なスケジューリングをやった中での執行、補助金というのはそういうものですけれどもね、それが本当に有効に、それから県民の幸福の最大化に使われているかどうかということも含めながら、大きなマクロの視点からこの問題も考えていって、そして適切な場所で発言していきたいと思っています。この問題については。
ただ少なくとも、先程言いましたように、この問題、3月に自主的な調査以降に対応策を作りましたので、今日の問題も含めながら、我が県では不適正経理はないと胸を張って2年後に答えたいと思っています。
(幹事社)
それでは以上にさせていただきます。ありがとうございました。