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平成21年 9月 2日 知事定例記者会見
日時:平成21年9月2日(水曜日)午前10時00分から
場所:知事応接室
発表項目
その他
質疑応答
- 韓国訪問の報告について
- マニフェストの進捗状況について
- 衆議院選挙の所感及び新政権について
- 荒瀬ダムについて
- 新政権について
- マニフェストの進捗状況について
- 水俣病問題について
- 川辺川ダム事業について
- 新政権発足に伴う県の対応について
(幹事社)
おはようございます。では記者会見をお願いしたいと思います。
では知事の方から発表項目をお願いします。
韓国訪問の報告について
蒲島知事
今日は3つの発表項目があります。
一つは「韓国訪問について」です。
8月27日から29日にかけて韓国訪問をしました。
27日は忠清南道の李完九(イ・ワング)知事を表敬訪問し、去る7月9日に熊本市内で開催された『第3回忠清南道シンポジウム』のお礼を申し上げるとともに、来年秋に忠清南道で開催される『大百済典』について、本県とも連携して協力していくことを申し合わせしました。
翌28日には、まず大田(デジョン)日報の申(シン)社長を表敬訪問し、今後の忠清南道及び大田特別区との交流等について意見交換を行いました。
後で、その記事が配られると思います。
次に、大田市内にあるテレビ局「大田MBC」の尹(ユン)社長を表敬訪問するとともに、同テレビ局の情報番組に出演しました。そこで本県の魅力のPRを行ってきました。
次にソウルの方に移り、アシアナエアラインズの尹(ユン)社長を訪ね、熊本−ソウル線の安定した運航の維持や今後の利用促進について、要望や意見交換を行いました。
そして、ソウル観光公社と、熊本−ソウル線を活用した観光交流の促進を目的とした事業提携を結びました。
これがその提携書です。
今後互いに連携しながら、ソウル市内で開催されるイベントに併せたツアーの実施や、教育旅行の交流促進等に取り組んでいくことを申し合わせしました。
最後に、28日の夜は今回の私の訪韓に併せ特別ツアーが実施されましたけれども、その参加者100名との交流会に出席しました。
そこでは、韓国の交流拡大や、熊本−ソウル線の継続的な利用についての協力を呼びかけたところです。
県産米粉パンの学校給食開始について
2番目は「県産米粉パンの学校給食開始」についてお知らせします。
今日(※)から、県内の小中学校等の学校給食において、熊本県産のお米65%を入れた、ふっくらモチモチした食感が特徴の県産米粉パンが登場します。
※米粉パンは9月1日から開始されました。
それぞれの学校で、地元の野菜などを使用したおかずと、県産米粉パンを組み合わせたメニューとして、子どもたちへ提供される予定です。
これがそのメニューです。
なお、パンの形は、お茶碗についだご飯のイメージと、表面積を小さくすることで、製造後のパサつきを抑えるため、丸パンタイプで提供することにしました。
記者の皆さんの前に、丸い形の県産米粉パンと細長い標準パンを置いておりますので、是非食べ比べてください。時間が十分ありますので。一口食べたら次に移ります。
ちょっとだけ食べてください。
(記者)
是非知事も食べていただけたら。
蒲島知事
ああ、私も食べなきゃいけないの。
(記者)
はい。
蒲島知事
昨日も食べました。
とても、おいしいですよ。
ただ一口食べただけでは分からないので、噛むと味が出る。
どうぞ皆さま、まだ食べてる間、喋れないので。
(記者)
米粉パンが広がるのは生産者にとっても消費者にとってもいいことがたくさんあるかと思いますけれども、知事のこの米粉パンに対する期待というのはどんな感じですか。
蒲島知事
米の需要促進、そして県内の米を使っていく、需要促進することによって、休耕田の利用とか耕作放棄地、基本的な狙いはそこにありますので、米粉パンを食べるというのは、耕作放棄地や休耕田をなくすんだという気持ちで食べていただきたいなと、これは子どもたちも多分こちらが美味しいと思いますよ。
秋の恵み「くり」について
次、もう一つ秋の恵みの「くり」についてです。
熊本県ではこれから本格的な「くり」の出荷が行われます。
くまもとの「くり」の生産量が全国で第2位ということはあまり知られていません。
そこで、熊本産のおいしい「くり」を広く知ってもらおうと、本日から11月末まで実施される『水道町スウィーツプロジェクト』第3弾で、熊本県の「くり」が採用されることになりました。
熊本産の「くり」の特徴と「水道町スウィーツプロジェクト」の概要については、お配りの報道資料をご覧ください。
本日はそのスウィーツをお手元に準備しましたので、どうぞお召し上がりください。今日は皆さん昼ご飯は十分あると思いますので、それをどうぞ、食べてください。
マニフェストの進捗状況公表について
これが私のコメントで、もう一つ私の方から報告があります。
それはマニフェストの進捗状況公表についてです。
この度、平成20年度末時点におけるマニフェストの進捗状況を取りまとめましたので、ご報告します。
詳細な資料については、私のホームページをご覧いただきたいと思います。
約束しましたように、半年毎にマニフェストの進捗状況を公表するというふうにマニフェストに書いておりますので、これは第2弾目です。
以上が私の方からのコメントで、あとはそちらでよろしく。
韓国訪問の報告について
(幹事社)
では、とりあえず、こちらから1点なんですが、韓国訪問の中で、李知事などとも会見など通じて、韓国との新しい具体的な交流のやり方みたいなものが、もし見えたなというのが、あるいはアイデアみたいなものがありましたら。
蒲島知事
これまでは経済的な交流というよりも、行政的な交流、あるいは学術交流、そういうものが主だったと思いますけれども、今後経済交流についてはもう少し考えてもいいのかなというふうな思いを持っています。
李知事の方から、クルージングのアイデアがありました。熊本とそれから忠清南道を結ぶ、豪華客船によるクルージング、そういうアイデアもありましたし、そういうことの協力を通して経済交流、あるいは観光交流、人との交流を進めていったらどうかなというのが一つ。
それからもう一つ、新しいというよりも、百済というのが、忠清南道と非常に関わりが深いものがあります。
それから鞠智城というのが、熊本県にとってはとても重要な史跡でもあります。
この両者を結ぶのが百済というキーワードじゃないかなと思いますので、この学術交流、それから百済というコンセプトを基にした、新しい交流ができないのかというふうに思っています。既に26年の交流の歴史があります。それを更に展開していくと。そして花を開かせていくのがこれからの忠清南道と熊本の交流の将来の姿かなと思っています。
幸いなことに、李知事は大変有力な政治家で、将来、ひょっとしたらですよ、韓国の大統領を目指す人でもあるのではないかと推測しておりますので、そういう夢を持って両者の交流を更に促進していきたいと思っています。
(幹事社)
マニフェストを含めて発表項目について、皆さんご自由にどうぞ。
マニフェストの進捗状況について
Q
マニフェストについては、知事は、スピード感というのが一番、一番と言いますか、そのことを強調なさっていると思いますが、この1年、総括の部分で知事として納得いく成果が上がったとあえてお考えになる点と、この検討中等に含まれている中で、よりもっとスピード感を持って実現に向かいたいが、なかなか捗っていない。あるいは、もう一歩だというようなことを整理したものを、ご意見をいただければと思います。
蒲島知事
基本的なマニフェストの形というのは、いつも述べています、3つの困難を越えて4つの夢に向かって進みたいと。3つの困難が財政再建と川辺川ダム、そして水俣病問題。この3つはどちらかといえば「決断の政治」です。
決断の政治というのは大変な、血を伴うような、痛みを伴うようなそういうものが政治だと思いますけれども、それはスピード感を持って1年目、あるいは1年半目で一定の道筋ができたのかなと思っています。
あとは、夢に向かった「目標の政治」です。稼げる県くまもと、経済上昇くまもと、それから品格あるくまもと、それから夢のある教育と、そして長寿を恐れない社会の構築、この目標の政治はやはり時間がかかります。
しかし時間がかかるからといって10年計画とか、あるいは20年計画というそういうものではなくて、やはり時間を区切ってやらなくてはいけないなと。だから本年度の訓示の時も述べましたように、こういう目標の政治にも、時間的な緊迫性を持っていきたいなと思っています。
全体的に言うと、自分でできる決断については素早い決断ができたのかなと思っていますし、他の第三者、他のパーティーを含んだ形の時は、少しやはり時間が掛かっているなと思っています。
Q
また後ほど、新政権についての質問があろうかと思いますが、特に夢の部分では、現政権がやりました経済対策、それによって夢の道筋がついたということで、経済対策の部分で知事は評価なさっていたわけですけれども、今度政権が変わって、こういうものが状況変化があれば、さらにマニフェストの実現というところでは困難さが増して来ようかとも思うんですけれども、ここはどうお考えですか。
蒲島知事
今言いましたように、3つの困難と4つの夢という目標に向かう、あるいはそれを実現するということは政権の違いによってそれほど齟齬はないような気がします。
やはり4つの夢というのは、県民の総幸福量の増大ですから、これは政権の形がどうであれ、国民の総幸福量の増大を望む政治としては同じ方向ではないかなと思っています。
そういう意味では政権の形がどうであれ、この4つの夢に向けて一生懸命に邁進したいと思っていますし、それから政権が代わって変化があるとすれば、それに合わせる形でその特徴をよくつかみ、そして熊本県民の幸福量が更に増大するような形で対応していきたいなと思っています。
Q
とはいえ、財源の部分では、やっぱり経済対策に関しての部分で、既に新政権はかなり基金の削減とか凍結とか、そういった形で既に示された枠組みとは違う形をもう既に出してきているかとも思うんですけれども、やはり考え方は同じ方向にいくにしても、やはり元手となるものがないとなかなか動かせないということで…。
蒲島知事
ちょっと今の段階では具体的な方向性というのが見えておりませんので、どういう不利な面、あるいはどういう有利な面があるかということは、今の段階で述べることはできません。
ただ、どういう方向性があるとしても、やはり私は県民の代表ですので、県が有利になるように、県の幸せ、県民の幸せが高まるような形で対応していきたいと思っています。
衆議院選挙の所感及び新政権について
(幹事社)
ちょっと今、選挙関連も出ましたので、このままもう選挙関連に入りますが、いいですかね。
とりあえず総括的にこちらからまずお尋ねしておきたいのは、改めて選挙の結果に対してご感想なり、思うところを述べていただきたいということと、新政権に対して期待する部分と注文をつけたい部分をお願いします。
蒲島知事
はい、私も政治学者として、戦後日本の政治をずっと分析してきました。
その集大成として「戦後政治の軌跡」という形で岩波書店から本を出しておりますけれども、より長期的な理論的なものについては、皆さんこちらの方をご参考にしていただきたいと思いますけれども、長い分析、研究の結果から言えることは、今回の政権交代というのは制度的には予想されたものであるというふうに思っています。
つまり、小選挙区制が導入されたと。その段階で、小選挙区制の導入というのは、政権交代可能な二大政党制を実現するという、そういう目的でこの選挙制度が導入されたわけですね。それが長い間かかりましたけれども、一度、1993年は中選挙区制の下で政権交代が行われましたけれども、制度的に、それから予想的に見て政権交代が今回行われたというのは想定内の範囲ではないかなと思っています。
当時、私も、政権交代可能な政治の枠組作りというものに関わったこともありますけれども、その時に安定的な二大政党制という考え方でこういう小選挙区比例代表制を導入したわけですけれども、ただその時想定しなかったことが2つあります。
一つは、小選挙区によるブレの大きさ。そういう意味では議席のブレの方が支持率のブレよりもとても大きいんですね。今回民主党が308議席獲りました。そして小選挙区における得票率は47.43%です。
それに対して自民党は119議席、そして票のこの割合というのは38.68%ですから、議席の差の大きさと比べると、支持率というか、実際の得票率の大きさは非常に小さいですよね。
だから小選挙区というのは、得票率よりも議席の差が非常に極端にブレるなと。これは想定以上にブレたなと私は思っています。
これは2つの事が重要ですね。政党にとっては。こんな巨大な議席を得たというのは、本当は実態としてはそれ程巨大ではないかも知れない。逆に言えば負けた方も、こんなに負けてしまったと思うほど負けてはいないと。そこの認識を間違うと、非常に自信過剰になったり、あるいは異常に自信喪失したりするというふうに私は思っています。
これが議席のブレが大きいということ。これは何を示しているかというと、議席のブレと比べると実態としての支持率のブレというのは少ないわけですから、あまりにも過大に力を過信して民意を無視して政治を行うと、次の選挙でまた大きくブレる可能性が大きいということを示したものではないかなと思っています。
だから、現政権、民主党政権は、そういう意味では議席の大きさに惑わされずに、実態の支持の割合を常に念頭に置きながら、日本国民の民意はどこにあるかと、慎重に、そして誠実に、敬虔に、政治を行わなければいけないのかなと思っています。
当然民主党の指導者の方はご存知だと思いますけれども、今回の選挙結果を見て、そのようなことを思いました。
もう一つ言わせていただければ、これは、すみません、政治学者としていいですかね。知事としていうとちょっとあれかも知れませんけれども、私も知事をやって、そして政治学者として研究した結果、やっぱり与えられた時間が非常に少ないのではないかなと。新しい政権、民主党政権ができますけれども、私がハーバードで最初習った授業で、今でも明快に覚えているのは、アメリカ大統領でも、最初の6か月はとても大事だと。6か月でやりたいことをやるということができないと、できないんじゃないかと、そういう時間的な緊迫性、それを求められるのが今の新しい政権ではないかなと思っています。
だから、議席と実際の得票率の差、そして時間的な緊迫性、これを認識して新しい政治を行うということが求められているのではないかなと思っています。
民主党政権にはそうですけれども、自民党の方に対しても、さっき言ったように議席は支持率の減少と比べると過大に縮小しておりますけれども、実際の得票数低下はそれほどでもないと。だから過剰に萎縮する必要はないんではないかなと私は思っています。
これでいいですか。他のこと。
(幹事社)
新政権に具体的な政策面で、すみません、先程ちょっと言葉が足りませんでした。具体的な政策面で新政権に対するもの、注文をつけていきたい所、具体的な政策面で。
蒲島知事
私の具体的な政策というのは先程言った、私のマニフェストで、3つの困難と4つの夢を県民に約束したわけですから、この3つの困難と4つの夢を達成できる舞台ができることを期待しているし、その舞台ができなければ能動的にこちらから働きかけていきたいと思っています。
ただ、具体的に、じゃこの問題についてこうしなさい、こうして欲しいと、そこまではまだ政権ができておりませんですから、具体的に述べることはこの段階ではできないと思います。
(幹事社)
じゃ各社さんの方から自由にどうぞ。
荒瀬ダムについて
Q
荒瀬ダムについては、政権も変わりまして、そして地元の市長も新しく代わって、大きく動き出す可能性も出てきたんじゃないかなとは思うんですが、その辺の認識はいかがでしょうか。
蒲島知事
荒瀬ダムについては、既に声明を発表しておりますけれども、今の熊本県の財政状況では存続という決断を下しました。
ただ、そこで明らかにしたのは、未来永劫に荒瀬ダムが存続するということが最善ではないと。そして、4つの条件が満たされた時に撤去を考えたいと。この4つは大変難しい条件ですけれども、撤去資金の確保、これは想像以上に撤去費用が掛かるということが調査の結果分かりましたので、この資金の確保。
それから撤去することによる危険性の除去、危険性があることをどう取り除くかと。それから、今ある荒瀬ダムの下で一定の利便性が保障されておりますけれども、この利便性をどうやって補填できるか。そして撤去というのはやはり不安があるんですよね。
あれだけ50数年間、川と共に生きてきたダムを撤去することによって、環境面、様々な面においての問題点、そういう意味では撤去技術の確立というのが4番目の状況ですけれども、これが整えばいずれ撤去すべきであると考えておりますので、今年7月にはそのような形で国に対して要望を出しております。
引き続き、この国に対して撤去のための要望を行っていきたいと思っておりますけれども、今後については国の対応を見極めたいと思っています。
Q
新政権誕生、そして新市長が生まれているということに関して、事態が動くんじゃないかなというような、そういう認識というのはいかがでしょうか。
蒲島知事
私は一点のブレもなく、この4条件が満たされた時には、その方向に進むということを議会でも答弁しておりますし、そのように声明を出しておりますので、新しい政権が動けばですね。
Q
要望に応じてくれやすくなるのではないかという期待感というのはいかがでしょうか。
蒲島知事
期待感とかそういうものではなくて、4条件が満たされればということです。
Q
今の点では、県の方針は知事がおっしゃるとおり、一つに示されているかと思うんですけれども、今回八代市長選で、荒瀬ダムについてやはり撤去は必要だと主張される候補が市長として選ばれた。それが一定の民意、荒瀬ダムを抱える八代市の民意ということで判断すれば、この時期に改めて荒瀬ダムについて地元市民が一定の意思表示をしたとも解釈できると思うんですよ。これについては一定の重みがあると思うんですが、その辺も含めて知事は今、この現在、この段階でどうお考えなんでしょうか。
蒲島知事
旧坂本村の方々は、この荒瀬ダムについては撤去を望まれておりましたし、それはとても重く受け止めてきました。
それで、この4条件が満たされる形というところで県としても努力しているところです。
だから新しい市長、福島市長に関しては、一緒にその4条件を満たすような形で努力していくということになると思います。
それが新市長のマニフェストに沿うのかなと思っています。
Q
そうすると荒瀬ダムに関しては、水利権の更新というのが迫っていますが、その手続きには一旦入るということですか。
蒲島知事
それはまだ、何らさっきの4条件が満たされた状況ではないですから、予定どおりに進めていきたいと思っています。
Q
更新の作業に入っていくという、もう10月から国の方にも。
蒲島知事
まだ、どの段階で、いつということはまだ言えませんけれども。今の段階ではただ舞台が変わったというだけですから、状況は変わっておりませんので、その方向で進んでいきたいと思っています。
Q
例えば、福島市長が蒲島知事に会って、もう一度撤去を求めたいというような話で知事にお会いになりたいということになった場合、会われる考えはございますか。
蒲島知事
当然、それはお会いすることは当然だと思います。
新政権について
Q
知事、新政権についてなんですけれども、これまで熊本県、県議会、圧倒的に自民党が多数を占め、与党的な立場で県とまさに両輪でいろんな政策を展開されてきたと思うんですね。今回の経済対策にしても自民党の国会議員、県議会、知事を先頭に県のあらゆる部署と連携して組み立てられたと、そういう強固な部分があったと思います。今回、政権が代わるに当たって、実際県が求めている、いろんな国に対して要望していかなければいけないこと。そういったことを具体化するために、県議会の体制が、自民党がどういった形で中央と県政とつないでいくのか。
そういったところで懸念なさる部分というのがございますか。
蒲島知事
これまでは自公政権という形でずっと続いてきましたので、その中で最適な方法で県の要望を伝えてまいりました。
そして、それを県議会と一体となって様々な要望を伝え、それを与野党の議員の方に伝えてきました。
与野党の議員の中で当然、政権に入っている政党と、そうでない政党、濃淡ありますけれども、そういう意味で同じようなことが今回また行われると思いますけれども、熊本県の要望を超党派なり、あるいは議会と一緒になって国に伝えると。そして、国会議員の方々は与野党は変わったかも知れませんけれども、様々な政党、それから立場の方がいらっしゃって、ただ一点共通するのは、議会も執行部も、それから国会議員の方々も熊本県民の幸せのために行動すると、そういう一点は変わらないと。目標は変わらないと思います。
立場は違っても、その立場、立場で目標に向かって動くということに関しては、これまでと違いはないと思っています。
ただ、その土俵といいますかね、舞台はちょっと違ってくるかも知れませんけれども、メカニズムそのものについては変わっていないのではないかと思っています。
Q
水俣病の特措法の時もそうでしたけれども、知事ご自身は、非常に民主党にネットワークといいますか、人脈をお持ちで、非常に今回、おそらく政権の中枢に入られる方々とも個人的なお付き合いもあられると思うんですけれども、そういった部分を県政に活かしていこうというお考えはありますか。
蒲島知事
政党の違いにも関わらず、熊本県の為には最大限の努力をしたいと思っていますので、持っているすべてのネットワーク、持っているすべてのエネルギー、それから持っているすべての人的ネットワークといいますかね、人脈といいますか、そういうものをうまく活性化しながら熊本県のために頑張りたいと思っていますので、政権交代によってそれが阻害されないように頑張りたいと思っています。
Q
阻害といいますか、今お尋ねした内容からすると、かえって蒲島人脈が生きる可能性が出てくるんじゃないかなと想像をしていますが。
蒲島知事
そうあったら嬉しいなと思っています。
そういうふうに努力したいということですね。
マニフェストの進捗状況について
Q
知事、マニフェストについてちょっと追加してお伺いしたいんですけれども、ご自身のですね。実施中のものが77項目で検討中のものが7項目あります。
自分で決められることはなるべく早く進んだというふうに考えているとおっしゃっておられましたけれども、今後取り組まなきゃいけない、優先的に取り組んでいかなきゃいけないものはどれだというふうに、今のところお考えとしては、この実施中のところと、検討中のもののところでございますでしょうか。
蒲島知事
これは、どの項目、というよりも、さっきの3つの困難と4つの夢に向かっていくためにどうしても必要なものなんですね。だから、どれも大事ですので、取りかかれるもの、それから早く達成できるもの、それから短期間でできるもの、そういう様々な面がありますので、4年後には、今検討中のものも完了になったという形に持っていきたいなと思っています。
ただ、もう既に実施せずというのがありますので、これはもう早めにできないことはできないと。郵便局ネットワークの堅持というのは単県でできることではありませんので、これについてはもう早くからできませんというふうに言っています。
ただできませんというのが1個だけというのは、私にとってはとてもこの段階でそれを言えたのは嬉しいなと思っています。
Q
県農業大学校の県立大学の農学部への昇格は結構難しいのかなという感じもちょっと個人的にはするんですけれども、できないなと思うことは郵便局以外今のところはないというふうにお考えですか。
蒲島知事
一応検討中ということで、早く諦めるべきものではないと。違った形で農学部ができるできないというのを、県立大学をどのような形で発展させていくかということも含めながら、検討中ということです。
具体的にはこれは概要だけですので、プリントアウトをしていただきたいんですけれども、プリントアウトする時間がない方には、後で記者クラブで配付しますので、それを見てください。
いいですか。
水俣病問題について
Q
すみません、ちょっと少しやや時間が経った話で恐縮なんですが、今後も波及する可能性があるので、一度知事のご認識をお伺いしておきたいんですけれども、水俣病の問題で、関西訴訟で勝たれていた方が熊本県から認定を受けて、その後チッソから補償協定の締結と補償金の支払を拒まれている問題があるというのはご存知だと思いますが、それについてのこの現状、チッソが支払を拒否しているという現状についての知事のご認識のほどを聞かせてください。
蒲島知事
水俣病問題、今の問題に関しては民事的な問題という、民事上の関係として県としてコメントする立場にないというのが、公式な私の、県としてのコメントであります。
ただ、その県としてのコメントではありますけれども、少し知事としては割り切れない部分も残っているところではありますけれども、公式には、認定された方とチッソとの、これは民事上の関係であるということで、県としてコメントをする立場にないというのが今の県の立場であります。
Q
割り切れない部分というのは。
蒲島知事
それは、個人としてです。
Q
個人として。
どういう部分がひっかかりがあられるのか…。
蒲島知事
何と言いますかね、制度上の弾力性のなさということが一方にあって、政治家蒲島としては、どうにかならないのかなという気持ち。
それがどの政治についても難しいことですけれども、制度上のものと人間蒲島として考えるところで100%きれいに割り切れるものではないという、そういうところもあるなということで、そういう形で言わせていただきました。
Q
それは、知事として制度、法律上の問題点というか、それをこれでいいのかというような形で、法律上、法律が問題あるのではというようなご理解ですか。
蒲島知事
県の立場というのは個人の立場と違いますから、当然これは、今の問題は認定された方とチッソとの民事上の関係であるために、民事上の問題。つまり本来認定される方については速やかに救済が図られるべきだと考えておりますけれども、損害賠償金が支払われた後の補償契約という、民事上の問題については、県としてコメントする立場にはないということです。
Q
つまりは心情的には知事個人も、心情的にはやや腑に落ちないというか、部分があるんでしょうけれども、県としてはこれ以上コメントする立場にないということは、県としての関与はないということですかね。
蒲島知事
そういう県として指導する立場にないですね。
川辺川ダム事業について
Q
すみません、川辺川の件なんですけれども。民主党がダム反対ということで打ち出しているんですけれども、この民主党の方針が知事の白紙撤回の後押しとなっているのかというのが一つと、あとは民主党の政権が反対を、川辺を反対した後に、検討の場でのダム選択の余地というのはほぼなくなると考えていいのか。
蒲島知事
もともとこの検討の場が、ダムによらない治水を三者で考えるというものですので、発想そのものがダムは前提にない考え方の検討の場です。
だからダムによらない治水を極限まで考える場所、やはりこれはいずれ民主党政権であっても必要なことだと思います。
ただダム中止と、上から言って終わるようなものではないような気がするんですね。
やはり地元の理解も必要でしょうし、それから合意、いろいろ問題点の共有も必要だと思いますので、私は今ある、国と県と市町村の3者によるダムによらない治水を極限まで考え、その検討するというのは、時機にあった期間じゃないでしょうかね。
Q
民主党は、五木村を念頭に入れたダム計画で迷惑をかけた地域の生活支援を、法整備のようなことを一時期考えていたようなんですけれども、そういったものを今後求めていくというお考えはあるんでしょうか。
蒲島知事
私は9月11日に、この白紙撤回を声明に出した時に、五木村の振興というのは、ダムによる、よらないに係わらず最も重要なものだということを認識しておりましたし、そのように行動してきました。
昨日も五木村の振興計画を発表したところです。
それで自民党政権においても、私自身が福田首相に直訴したこともありますので、五木村の振興に関しては新しい政権になっても、制度的な枠組みを作るか作らないかは別として考えていただけるものと思っています。
Q
すみません、今後の方針とかというのを、新しい国交大臣と仕切り直しをしたりとかっていう考えというのは。
蒲島知事
国交大臣が誰になるか分かりませんし、それから十分、国交大臣、新しい国交大臣も、それから新しい政権もこの問題に少し真剣に関わって研究される時間も必要だと思いますので、決まりましたからすぐ会いに行くという、そういうものではないような気がします。
それではよろしいですか。
新政権発足に伴う県の対応について
Q
すみません、もう一点だけ、新政権がどういう政策を打つかはあれですけれども、現時点で県の予算を例えばこれから編成するうえ、あるいは県庁内で、何かこういうことを考えておけというような指示をされたとかいうようなことはありますか。政権発足を前提に。
蒲島知事
指示とすれば、民主党政権も、今後半年、1年に亘ってはマニフェストをベースに政治を進めざるを得ないだろうと。だから民主党のマニフェストを各部局が精読して、どのようにこれまでの計画と一致しているか、齟齬があるかと、そういうところを研究してほしいということを昨日の庁議で、部局長には指示を出しておきました。
(幹事社)
各社さん、以上でよろしいでしょうか。
では終わります。ありがとうございました。
蒲島知事
それでは、これ皆さん持って帰って今日は食べてください。