本文
地下水かん養推進に関するご意見
平成17度の環境目的・目標達成状況一覧表において「地下水かん養に係る指針及びかん養域の開発に際しての指導要綱の策定」が未達成となっていましたが、平成18年度の実績はどうなっていますか?
地下水かん養について、提案ですが、家庭からの生活排水を、地下浸透させる方法は検討されていないのでしょうか。各家庭への合併浄化槽の設置推進と合わせて、地下浸透枡、地下浸透設備を検討、設計していただき、新築、または、リフォーム時の合併浄化槽の設置と合わせ、地下浸透枡の工事取り付けはできないのでしょうか?道路から雨水を地下に浸透させる場合より、水質管理がたやすくできると思います。
(県内 40代)
担当課からの回答
地下水のかん養推進についてのご意見ありがとうございました。
はじめに本県の地下水の現状ですが、熊本県は水道水源の約80%を地下水に依存しています。特に、特有の地質構造により一つの地下水盆を共有している、熊本地域14市町村は生活用水のほぼ百パーセントを地下水で賄っています。しかし、地下水かん養域の減少などによる地下水位の低下や湧水量の減少など、長期的に地下水の減少が観測されるほか、硝酸性窒素などによる地下水汚染が一部地域で顕在化しつつあります。
お尋ねの「地下水かん養に係る指針及びかん養域の開発に際しての指導要綱の策定」の状況について、まず、地下水かん養に係る指針ですが、平成7年度に県と熊本市で「熊本地域地下水総合保全管理計画」を策定し、これまで地下水かん養や節水等に取り組んできています。ただ、前述した熊本地域の地下水の現状を踏まえ、地下水かん養をはじめ水量と水質の両面にわたって地下水を管理(かん養目標、採取量削減目標、水質目標を定め、住民、事業者、行政が一体となって、それぞれの役割の中で地下水保全に取り組んでいく)していくための指針として、策定主体を県と熊本地域14市町村に拡大して「熊本地域地下水総合保全管理計画(次期計画)」の策定を進めているところです。
また、開発に際しての指導要綱の策定についてですが、これは住宅や工場建設等の開発行為において失われる水田や畑地等のかん養機能を補完するため、建築確認時などにおいて、事前に雨水浸透施設の設置等を指導することを想定したものですが、地下水保全に向けた実効性を確保する観点から、地下水採取量の削減方策も併せ、熊本県地下水保全条例の見直しを含めてどのような対応がとれるのか検討を進めたいと考えていますので、ご理解願います。
さて、ご提案いただきました合併処理浄化槽の設置と合わせた地下浸透ます等の設置についてですが、県としましては、水環境の保全を図るため、生活排水対策として国や市町村と連携し、補助制度を設けるなど、合併処理浄化槽の設置を推進しているところです。ただ、現段階では、以下のような硝酸性窒素等による地下水汚染への懸念から、浄化槽の放流水は地下に浸透させず、最寄りの水路や河川に放流するよう指導していますので、どうぞご理解願います。
- 家庭用の合併処理浄化槽には、「通常型」と「高度処理型」があり、「高度処理型」は、広く普及している「通常型」に比べ硝酸性窒素の原因となる窒素を高度に処理できますが、まだ普及を進めている段階であり、「通常型」が多い現段階では、全体として浄化槽放流水にある程度の窒素分が残ってしまう。
- 合併処理浄化槽の維持管理は各家庭で行うことから、浄化槽法で義務付けられた、保守点検、清掃、法定検査が適切に実施されず、浄化槽本来の性能が発揮されなかった場合、硝酸性窒素等による地下水汚染が懸念される。
なお、家庭における雨水の地下浸透については、現在、雨水浸透ますの設置に対する助成制度を設け、地下水かん養に取り組んでいる市町村があります。
地球は水の惑星、そして21世紀は水の世紀と言われています。世界的な人口増加や都市化の進展等により、水資源の確保は国内外の最大の課題となりつつあります。県としましても、国際間・地域間競争が強まる中、全国でも有数のこの優れた地下水は、熊本地域の潜在能力を高める最も価値のある戦略資源という認識のもと、住民、事業者、行政が一体となって、将来にわたり「守り」「活かし」「引き継ぐ」ことが大切であると考えています。
(平成20年5月回答)