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平成26年 7月 2日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成26年 7月 2日(水曜日) 10時00分から
場所:知事応接室
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会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
発表項目
質疑応答
- 平成26年度グローバルジュニアドリーム事業の実施について
- 集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定について・1
- 水俣病問題について
- 集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定について・2
- 地下水と土を育む農業の推進について
- 熊本県の農業振興について
- 熊本広域大水害に係る復旧・復興に向けた取組状況について
- 予防的避難について・1
- 川辺川ダム問題について・1
- ロアッソ熊本への支援について
- ローソン会長新浪剛史氏のサントリーホールディングス次期社長への就任内定について
- 川辺川ダム問題について・2
- 予防的避難について・2
- 川辺川ダム問題について・3
- 集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定について・3
(幹事社)
おはようございます。7月の幹事社の日本経済新聞とNHKと時事通信です。よろしくお願いいたします。
早速ですけれども、冒頭は、知事の方から発表案件をご説明していただきたいと思います。
発表項目
平成26年度グローバルジュニアドリーム事業の実施について
- 報道資料(1):平成26年度グローバルジュニアドリーム事業の実施について(PDFファイル:59KB)
- 報道資料(2):平成26年度グローバルジュニアドリーム事業の実施について(PDFファイル:59KB)
蒲島知事
はい。本日は、発表が1件あります。
「グローバルジュニアドリーム事業の実施について」です。
8月に、県内の小中学生25名と高校生5名を、熊本青少年大使として台湾に派遣いたします。
この事業は、海外における交流を通して、子どもたちに自分の夢と可能性を発見する機会を提供し、グローバル社会に対応できる人材の育成を目的とするものです。
また、この事業は、昨年9月に台湾高雄市との間で締結した「国際交流促進覚書」の柱の一つである「観光、教育等における相互交流の促進」を具体化するものです。
台湾では高雄市長表敬訪問、高雄市の子どもたちとの交流会などを予定しています。
今回は、定員の10倍を超える多数の応募がありました。
グローバルな視野を広げたいという積極的な子どもたちが多いことを大変嬉しく思っています。
子どもたちには、帰国後、台湾で学んだことや感じたことを学校の全校集会などの場で発表していただきたいと思っています。
このような経験を通じて、将来、グローバル社会で活躍できる人材が更に増えていくことを期待しています。
以上が本日の発表です。
質疑応答
平成26年度グローバルジュニアドリーム事業の実施について
(幹事社)
ありがとうございます。
発表案件について二、三お聞きしたいのですが、不勉強で申し訳ないのですが、こういった高雄市との青少年の派遣というのは、覚書を締結して以来初めてということですか。
蒲島知事
個々の高校については、(台湾高雄市を訪問する)修学旅行があったような気がしますが、このような形で県が主催して交流をするというグローバルジュニアドリーム事業としては初めてです。
質疑応答
集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定について・1
(幹事社)
じゃすみません、大変恐縮なんですけれども、発表案件以外の件でご質問させていただきます。
最初に、昨日もコメントをいただいたんですけれども、安倍内閣が集団的自衛権行使を容認する閣議決定をしたということで、大変恐縮なんですが、改めてこれについてコメントいただければと思います。
蒲島知事
昨日のコメントに全てが表れていますが、集団的自衛権の行使というのは、我が国の外交、防衛政策にとって極めて重要な問題であります。
このような問題について、未だ国民の間に激しい賛否両論があります。
これからの国会で法制化が進んでいくと思いますが、国会の場で十分に議論をしていただきたいと思っています。
これは議会でも述べましたが、私は常々、知事としての役割というのは、県民の幸福量の最大化だというように申し上げてきました。その姿勢は就任以来、一度も変わったことがありません。
そして、知事として決めなければいけない時、これは賛否両論があっても、知事として決断をして、そして最終目標は県民の幸福量の最大化だということを通してきました。
そういう意味では、決断というのは大変辛いものがあります。全ての人が賛成することを決断するのは容易ではありますが、賛否両論に分かれているこの争点について決断することは大変難しいものがあります。
この点から言いますと、今回の集団的自衛権に関する問題は、国家レベルの政策判断でありまして、知事が県民の幸福のために自ら判断できる分野でありません。
そういう意味では、私は知事として、県民の付託に答える県政の場で決断しなければならないことに専念することが重要だと思っています。ということで、これについての賛否というものに、私は求められても控えさせていただいているところです。
質疑応答
水俣病問題について
(幹事社)
水俣病なんですけれども、国の臨水審〔※臨時水俣病認定審査会。以下同じ。〕の審査が今月5日に行われることになりました。このことについての受け止めと、いよいよということになってくるかと思いますが、県の審査再開に向けた準備の状況を教えていただければと思います。
蒲島知事
水俣病問題については、臨水審で今後、議論が進んでいくと思います。県としては、前から申し上げていますように、臨水審でこの通知(3月に環境省から発出された通知)に沿って、ちゃんとできるかどうか実証して欲しいということを求めて参りました。
そしてその結果、国で臨水審を開くということでありますので、そこでの議論、それから認定作業の結果を見ながら、県として(認定審査業務を)やれるという段階が見えてきたら、県としてもすぐにでも取りかかるというのが今までの私どもの立場でありますし、今の私どもの立場でもあります。
32名という方々が臨水審に手を挙げておられますので、(その結果と、)それと不服審査会における13件の方々の審査を見ながら、いつでも(認定審査業務が)できるように県としては準備していきたいと思っています。
(幹事社)
その準備というのは、なかなか具体的には難しいかもしれませんが、準備の進捗状況はいかがでしょうか。
蒲島知事
いずれにしても、臨水審に諮るにしても、それまでに疫学調査とか、そういう県がやらなくてはいけないこともたくさんあります。
そういう意味では、それも一つの準備だと思いますが、たくさんの方々が今、結果を待っておられますので、県としては国の動向を見て、これだったら(認定審査業務を)できるというように踏んだ〔※判断した〕時にはすぐにでも行いたいと思っています。
(幹事社)
すみません、関連なんですけれども、県の審査を始める際に、今回手を挙げておられる32名の方と、あと不服審査会の13件の審査が全て終わってからというふうにお考えですか。それともどこか、ある程度の実績がたまった段階で県としての審査を行われるのでしょうか。
蒲島知事
仮定のことで答えにくいのですが、どの段階で県が判断するかということに関しては、まだ(臨水審での審査が)1件も始まっておりませんので、その動向を見ながらということになると思います。
(幹事社)
それでは各社、ご自由に質問よろしくお願いします。
質疑応答
集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定について・2
Q
集団的自衛権の賛否はもうお聞きしません。何度もおっしゃっていますので。ただ、その議論の進め方のスピード感というのは早いと思われるか、もうちょっとここに書いてある国会の場で十分議論して欲しいと書いてあるので、国会や国民がもう少し考えるというか、議論をすべき事案だと思うのか、そこはいかがでしょうか。
蒲島知事
閣議決定というのは政府の態度が決まったという段階です。これはそれを通して、(これから)2つの段階があると思います。
1つは国会における法制化の段階。それから、司法の場にもまたこれがいく可能性もありますが、そういう意味では、国会の場で十分に議論して(欲しいということです)。
(集団的自衛権の行使容認については、)今激しい対立があります。これについて、そのままで決めていいのかということが問題になると思いますが、いまだ国民の間に激しい賛否両論、対立があるわけです。法制化がこれからどんどん進んでいくと思いますが、その段階で国会の場で十分議論して、国民の間の賛否両論がある時の、これは分裂争点というんですが、それを全ての人が納得するということはないかもしれませんが、多くの方が納得することで、それを法制化するということが、私は国会の仕事だと思います。そのための十分な努力をして欲しいということが私の気持ちです。
Q
期限をある程度決めてやるべきと知事はいつもおっしゃいますけれども、期限を決めてやるという話なのか、議論が尽くされる国民の分裂争点がある程度精査されるまで、ゆっくりといくべきなのか。
蒲島知事
国会には期限がありますし、それから国会の場での議論、それからそれが採決される、そういうようなプロセスを経てやられると思いますが、その時も十分な時間と議論を尽くして欲しいと思っています。
Q
知事、よろしいでしょうか。
蒲島知事
はい。
Q
同じく集団的自衛権の賛否のことは伺いませんけれども、知事は元々政治学者でいらっしゃいますので、お尋ねしたいんですが、今回もう一つ別の問題で、内閣の決定によって、長年続いてきた憲法解釈を変えると、今まで駄目だったというふうにされてきたものをこれからOKですというように変えることは立憲主義にもとるんではないかと、あるいは立憲主義を歪めるんではないかという指摘がかなり出ております。
これは集団的自衛権の賛否とは別の議論なんですけれども、これについては政治学者である知事はいかがお考えでしょうか。
蒲島知事
政治学者である知事としてというのであれば、少しお答えいたしますが、憲法を解釈する時に憲法を変えないで、解釈だけ変えた時のいくつかの問題点は想定されるのではないでしょうか。
例えば、憲法は変わっていない、けれども解釈は変えるということでありますので、それが司法の場でどう判断されるかということ。そういうことの問題点もあるような気がします。ただ、それは想定される問題であります。
それからこれは大変な賛否両論のある争点でありますから、合意争点であれば納得の部分が多いかも知れませんが、この分裂したままで、解釈だけ変更するというところには、政治的な大きな波があるのではないかと(思います)。具体的に政治学者として想定できる2つのことはそれだけです。
Q
司法で問題になる可能性もあるということですね。
蒲島知事
それは、可能性としては、私はあると思いますが。
Q
政治的な大きな波というものは、どういうものなんでしょうか。
蒲島知事
それは皆さんのそれぞれのご想像にお任せします。
質疑応答
地下水と土を育む農業の推進について
Q
別の問題でよろしいでしょうか。
蒲島知事
はい。
Q
知事が6月議会で地下水を育む農業を条例化も視野に推進していくという考えを表明されましたけれども、具体的に言えば肥料の削減ですとか、堆肥(の広域処理)とか、(環境に)負荷をかけない農業ということを言っていたと思うんですけれども、実際にこれを取り組むのは農家であったり、農業団体が直接的にやることになるので、その理解と協力を得るというのは、簡単にはいかないと思いますけれども、これを推進していく上での知事のお考え、あるいはなぜこういうことを持ち出されたのかということのお考えを伺いたいと思います。
蒲島知事
これまでは農家の方々、特に熊本の農家の方々は、地下水のことも大変関心を持ちながら、グリーン農業を進めてこられました。そして、そういう農家の方々の努力をとても私は感謝しています。
ただ、地下水というのは50年100年、これから我々が未来に向けて守っていかなければいけない貴重な財産でありますので、更に全県民的な議論を踏まえて、そしてこれまでの農家のご努力に報いるような形で更にこれを条例化して、地下水を守っていかなくてはいけないと(思います)。
地下水を守る時には、農家の方々と一緒にやらなくてはいけないんです。これはグリーン農業も踏まえ、それから肥料をあまり使わないとか、堆肥を硝酸性窒素が少なくなるようにするとか、いろんなことがあると思います。
それを多分、財政的な負担もかかってくると思いますが、そういう地下水を守っていくという私の強い決意をもとにやっていきたいというのが議会での答弁であります。
そういう意味で条例化というのは、全国初だと思いますが、それだけ熊本の地下水は守らなければいけない価値がある、宝であるというように思っています。
だから農家の人との対立構造ではなくて、これまで一生懸命良いものを作ろうとされたことと、それから地下水を守ろうというそういう取り組みに感謝しながらこれから一緒にやっていこうと(いうことです)。
そのためには消費者の方々のご理解、それから県民の方々のご理解が必要だと思いますので、そのための条例化でもあります。
Q
関連して最後にもう1点お尋ねしますけれども、農家の協力を得るのはもうこれから大変な作業になると思うんですけれども、消費者というのはまた千差万別考え方が違いますので、これに協力するとか、あるいはこれに理解を示すというのは、なお一層目に見える成果を出すのは非常に困難を伴うんじゃないかと思いますけれども。
蒲島知事
困難が伴ってもやらなくてはいけないことはやる。それがこの地下水と土を育む農業の推進ではないかと私は思っていますので、一生懸命取り組みたいと思っています。
質疑応答
熊本県の農業振興について
Q
知事すみません、農業関連でもう1点。
先日、九州農政局から2013年度の九州農業白書というのが発表されて、各紙記事になったと思うんですけれども、これによると農業就業人口が九州の1985年の40%まで減って、耕作放棄地も琵琶湖の面積に匹敵するということで、何度もお聞きしているんですけれども、改めて熊本県あるいは九州として強い農業を展開して、若い農業就業者を増やすために今何をするべきだと思われますか。
蒲島知事
農業問題は私が知事就任以来、ずっと重点的に取り組んだものであります。
幸い熊本に関しては、農業に従事したいという新しい担い手の方々が増えております。
そして、私がくまもと農業経営塾というものを開いたところ、もう約100人の方々がその塾生として活動されております。その総会に行ったらオイシックス(株式会社)の高島社長と一緒だったんですけれども、2人とも同意見だったんですが、ものすごくベンチャー企業のような考え方をもった農家の人が増えているんです。そういう新しい担い手(増やしていくこと)。
それからもう一つは、(農業への)企業参入(を増やすこと)。
それから熊本が全国に先駆けて取り組んでいる農地集積(を進めること)。これは、その担い手プラスコストのダウンです。
そういうことを踏まえて、力強い農業を熊本では展開していきたいと思っています。
耕作放棄地の方も、まだそれほど国の方が関心を持っていない時代から取り組んできました。
そして、耕作放棄地は解消の方向にありますし、それから農地集積をしますと、その中に耕作放棄地があった時には、皆の力でそれは解消できます。
だから、耕作放棄地といえども、一括してなかなか言えないところがあるんです。将来にわたってずっと農地にはならないだろうと(というところもある)。例えば、みかん山がもう完全に山になってしまったところなんかは、もう農地として考えないようにしようと。
そういういろんなアプローチを持って、耕作放棄地の解消と、それからそのための農地集積と、また担い手の育成と、それからコストダウンでしょうか。私は稼げる農業と呼んでいますが、そのようなものをしていきたいと思っています。
幸いに熊本は、九州の中でも生産農業所得は1位になっています。
そういう意味で、今農業の元気がいいのではないかと思っていますので、更にこれを加速化していきたいと思っています。
質疑応答
熊本広域大水害に係る復旧・復興に向けた取組状況について
Q
知事、間もなく九州北部豪雨から2年になるんですけれども、まだ被災地は河川改修とかが本格化する中で、まだ被災者の生活再建というのが道半ばの状況だと思います。間もなく2年ということで知事として今の復興の進捗状況並びに、被災者支援、こういったものはどういうふうになっていますか。
蒲島知事
はい。ほぼ2年前の熊本広域大水害の際に本部を立ち上げた時に、私は3原則を示しました。
1つ目は被災された方々の痛みを最小化すること。2つ目は、単なる復旧ではなくて創造的な復旧・復興をしようと(いうこと)。3番目がこの復旧・復興を将来の熊本の発展の転機にしようという3原則でやってきました。
確かにまだ被災者の方々が完全に復帰されていない、例えば阿蘇の仮設住宅にまだおられて、それで2年後も出ることができないという意思表示をされた方々もおられます。
そのため、最初から痛みを最小化するために、熊本県は県産の木材で木造の仮設住宅を作って、長く居てもいいような形で作ったんです。
だから、今は2年で駄目になる仮設住宅ではなくて、より長期に住めるような仮設住宅のもとで、そしてその土台を少し強くするなどして、長く住めるような形で、なるべく痛みを最小化できるよう、今やっています。
それからその他の復旧・復興についても、私の(聞いている)情報では、ほとんどの阿蘇における復旧については、工事が完了しつつあるのではないかというように聞いています。
それから、難しい創造的な復興というのは、言うのは簡単ですが、(成し遂げるのは)難しいんです。例えば、農地を土砂崩れの時の土を使って広げて、そしてこれまで3反の農地を9反にするとか、将来の発展に繋げていくということにしたんですが、それにも関わらず、随分と農地の復旧も早く、私から見ると早く終わっているのではないかというように思っています。
ただ、実際に被災された方の印象は、遅い遅いと思われるかも知れませんが、客観的に見るとそういう難しい原則の中で、県庁の職員も一生懸命やって、速度を進めて、加速化しているのではないかと思っています。
ただ、今おっしゃったように、まだ十分ではないところもありますので、そこはさらに加速化していきたいと思っています
だから仮設住宅については、私が一番最初から心配していたのは、2年以上お住まいの方がいらっしゃるのではないかと、あるいはお年寄りの方で家を更に建てるというのは難しい方もいらっしゃるのではないかということで、それを予想して木造で作ったんですが、それが今はとても良かったと(思います)。その予想が当たって、それで適切だったというように思っています。
それをどう判断されるかは皆さんだと思いますが、県としては一生懸命に、それからスピード感を(持って)やってきたと思っています。
質疑応答
予防的避難について・1
Q
知事、豪雨関係でもう1点。今回の豪雨を受けて、熊本県が予防的避難の取り組みというのを始められました。
今シーズン、梅雨のシーズンも、実際それは阿蘇の方でやっていますけれども、改めてこの予防的避難というものの意味、大切さというのをお願いします。
蒲島知事
阿蘇の大水害の時に(分かったことですが)、やはり夜間に避難するというのは大変なことなんです。
それから避難する方も、危ないこともあるんです。雨の中で真っ暗闇で、だから避難してくださいと言う方もなかなか言えないところがある。予防的避難というのは、明るいうちに予想して避難することでありますから、より安全性が高いと。
ただ、そう良いことばかりではなくて、昼間避難して、安全な時間に避難するということは、空振りのリスクがあるんです。避難したけれども何もなかったと。それが何回も何回も続くと、今度はもう避難をしなくてもいいのではないかという気持ちになる場合もあります。そういう空振りのリスクはあるけれども、自分の命を守るのは自分ですから、予防的避難をして欲しいというのが我々のこれまでの訴えかけであります。
この予防的避難というのは熊本発なんですが、今は全国的な言葉になっているのではないかと思っています。
ただ、実際に経験したところと経験しなかったところで温度差があることは確かですが、少なくとも予防的避難ということで、全国的にこれが実行されていけば、より多くの生命が救われるのではないかと(思います)。
財産の方は後でもどうにかなると私は思うんですが、命の方は自分で守らなくてはいけないと思っています。熊本ももう7月が豪雨の時期でありますから、是非、予防的避難をこれからも訴えかけていきたいし、それから県民の方々にそれを守って欲しいと思っています。
質疑応答
川辺川ダム問題について・1
Q
知事、川辺川ダムのことでお尋ねします。
蒲島知事
はい。
Q
先日、球磨郡町村議会議長会主催の勉強会があさぎり町であって、国と県が代替の治水対策案を示しましたが、説明を受けた議員の中からは、早急な対策はもちろんだけれども、80分の1という治水安全度を実現して欲しいという声とか、終了後は球磨郡町村議会議長会の会長が取材に対して、現行の20分の1程度の治水安全度では低いと思うというふうに話しています。
早急な対策を実施して欲しいというのは、県も流域市町村も一緒なんでしょうが、治水安全度は、現行のものでは低いので、高くして欲しいという声がある中で、県と国というのは、次回のダムよら〔※ダムによらない治水を検討する場。以下同じ。〕の開催時期や進行方法については国、県で協議していくということですが、治水安全度をもっと高めて欲しいという声を具体的にどういうふうに受け止めて次回のダムよら会議を進めていくお考えでしょうか。
蒲島知事
今のご意見のように、治水安全度が全国の直轄河川に比べて低いということに対してご心配の声が上がっていることについては、川辺川ダムの白紙撤回を表明した私としては真摯に受け止めなくてはいけない。
確かに現段階で飛躍的に治水安全度を向上させる方策を提示することができないことは、今、この場で言いたいと思います。ただ、今の対策案とそれから防災・減災ソフト対策を併せた総合的な治水対策を実施することによって、流域の皆様方のご心配を解消すべく取り組んでいきたいと思っています。
一番最悪なことは、80分の1(の治水安全度)ができないから、そこまで何もやらないと(いうことです)。でも、危険は日々迫っています。
だから現段階でできることをなるべく早く、早急にやるということが、私は治水対策の重要なポイントだと思っています。
白川も治水安全度の最終的な目標はものすごく高いんです。だからといって、そこまでできないからといって、白川の堤防(改修)を、もし、一昨年の大水害の時にやっていなかったら多分、大きな問題になったのではないかと思っています。あれも〔※白川の河川改修〕着々とできることを進めている。治水安全度も、今やっているものは目標よりも低いんですが、どんどん日々やり続ける、切れ目なくやり続けることが私は大事だと思っています。
そういう意味では、川辺川ダム問題についても同じ姿勢で着々とやる。そういう方向でやりたいと思っています。
そういうことに対する流域住民の方々のご理解を求めていくということになると思います。
質疑応答
ロアッソ熊本への支援について
Q
知事すみません。ロアッソ熊本についてなんですが、今、債務超過を数千万抱えている状況で、Jリーグへのライセンスをぎりぎりの状況でやってて、自分達で募金活動をされたりとか、活動をやっていらっしゃいますが、今日、午後から中間発表もあるそうなんですけれども、出資者の1つである県として、今の現状をどう見ていらっしゃるのか。県として何か考えていらっしゃることがあれば教えていただければ。
蒲島知事
ロアッソ側も懸命な努力とそれからそれに応えた多くの企業等が増資されましたが、まだ目標の7,000万には少し足りないというような報告を受けています。
県としては民間等による増資の状況を見極めながら、要請があった段階で判断したいというように思っています。。
質疑応答
ローソン会長新浪剛史氏のサントリーホールディングス次期社長への就任内定について
Q
ちょっと話は逸れるんですけれども、以前、ローソンファーム熊本の開設の時に、知事に表敬訪問された新浪剛史様が、熊本にもサントリービール工場がありますけど、異例の抜擢でサントリーの社長になったということで、ちょっとエールというか、感想をいただければ。
蒲島知事
はい、新浪さんは私が知事になった後、親しく付き合っていただいている財界人の一人ですが、とても有能な方で、それからポジティブ思考な方ですから、危機にあったローソンをあれほど大きな企業に育てられて、その実績を認められて、今度はサントリーの社長さんになられたということであります。きっとサントリーが素晴らしい人を選んだんだということだと思いますので、サントリーが国際的に更に飛躍できるそういう企業になるように新浪さんにエールを送りたいと思います。
そのサントリーがまた成長して発展すれば、熊本のサントリーもまた発展するきっかけになります。個人的にサントリーの会長の方も知っておりますが、新浪さんも今回、サントリーに移られたので、一生懸命連携しながらやっていきたいと思っています。
ただ、ローソンファームの方も、自分がいなくなったからもう、俺は知らないぞと、言ってもらうと困りますので、ローソンファームの方もちゃんと関心を持ち続けて欲しいということを、様々な場面でお会いした機会にでも言っておきたいと思っています。
新浪さんがとても力を入れたのがローソンファームでありますので、成功することがとても大事だと思っています。
質疑応答
川辺川ダム問題について・2
Q
すみません、先程の川辺川ダムの話でお聞きしたいんですけれども、ダムよら会議の中で流域の錦町の方から、増水した時に水を溜める、治水専用のダムというものを安全度を上げるために提案があっているんですけれども、この間、ダムに反対表明されてから、流域の市町村からダムというものの文言が入った話が出てきたのを初めてじゃないかなと思うんですけれども。
蒲島知事
ダムというよりも遊水地だと思いますが。
Q
いや、資料の中にも、治水専用ダムというようなのが明記されているんですよ。
蒲島知事
そうですか。私が理解する限り、ダムということをダムよらの会議の中で検討されたと(は考えていません)。ダムによらない会議ですから。
だから、そういう意味では、私は遊水地の一つではないかというように思っています。それはテクニカル〔※技術的〕に名前がどう呼ばれるかどうかということですが。私の認識では遊水地ですが。
Q
いや、まさにダムによらない会議のはずなのにですね、その流域の一部の市町村からはそういう治水専用ダムを作って、治水安全度を上げることができるのではないかと、そういう提案があっているということなんですけれども。
蒲島知事
私は、この会議そのものがダムによらない会議ですから、ダムによらないで、いかに極限まで治水対策ができるかということをこれまでやってきたわけであります。今の議論は、私の頭の中では遊水地の一つ(です)、名前はどう呼ぶか分かりませんが、基本的には川辺川ダムによらない治水です。。
質疑応答
予防的避難について・2
Q
知事、すみません。最後に、話が前後して恐縮なんですが、予防的避難に関して、なかなか取り組む自治体がまだ少ないというところと、阿蘇市や南阿蘇村で実施しても避難者がなかなかいないという現状があります。これについてどう見ていらっしゃるかと、あともし、県として何か働きかけられることがあればお聞かせください。
蒲島知事
先程も言ったように、やはり空振りのコストということになりますでしょうか。避難したけれども何もなかったと。それは、むしろ良いことだと。何もなかったことが良いことだというようにプラスに考えることが私は大事ではないかと思っています。
そういう意味では、とりわけ予報もまた大事です。きちっとした予報が出ること。予報の正確性を高めるということと、その予報をもって是非、避難してくださいという我々への信頼性も大事かもしれません。
そういうことの中で、とにかく自分の命は自分で守るということを考えていただいて、予防的避難をして欲しいということが我々の気持ちです。
それ以外には、啓発活動を進めていくしかないと思います。ただ、おっしゃるように、阿蘇と南阿蘇はその経験がありますので、経験があるところはとても真剣に取り組まれると。
経験がないと何もしなくていいかというとそうではなくて、経験がないところに大きな被害が現れるということが災害の常でありますので、そういうことを踏まえながら、真剣にこの予防的避難に取り組んでいただきたいということが知事としての希望です。
質疑応答
川辺川ダム問題について・3
【事務局】
知事、すみません。先程のダムの話で、事実関係だけ説明させます。
【河川課】
河川課ですが、先程記者の方からご質問があったのは、安全度を上げるために、各首長さんに何か対策はないかという照会をした中で、遊水地なんかと併せて、錦町さんの方から支川に、場所については特段何もないんだけれども、そういった小さなダムをつくればどうかというご提案がございました。
ただ、これについては、場所とか規模とか具体性が何もないものですので、ダムよら会議の中でも検討ができないということで、そういうお答えを市町村の方には返している、そういう状況でございます。
蒲島知事
すみません。そういうところで、私もダムよら会議でそれを聞いていません。
質疑応答
集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定について・3
Q
最後に、少し話を戻してしまって大変恐縮なんですけれども、集団的自衛権に関してもう一つだけお伺いさせていただきたいです。
昨日、安倍首相が一国のリーダーとして会見を開かれて、国民に向けて説明をされたわけですけれども、その首相会見を知事ご自身としてはどのように受け止められたのか。教えていただいてよろしいでしょうか。
蒲島知事
大変な決断をされたと。(そして、)自分の言葉でその決断の理由を国民に説明したいという姿勢が現れていた会見ではなかったかと私は思っています。
Q
その説明をお聞きになられて、賛否に関しては勿論、先程お話のとおりですけれども、知事ご自身としては、その納得という面ではいかが受け止められたのでしょうか。
蒲島知事
既に賛否両論と表裏一体でありますので。それは、今言ったような大変な決断をされて、その自分の決断の意味を国民に知って欲しいという気持ちが表れたというような会見ではないかと思いました。(ただ、)それ以上の評価というのは少し控えさせて頂きます。
(幹事社)
以上です。ありがとうございました。