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平成26年 5月21日 知事定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0006249 更新日:2014年5月21日更新

知事定例記者会見

日時:平成26年 5月21日(水曜日) 10時00分から
場所:知事応接室

動画

 動画はこちらからご覧いただけます。<外部リンク>

会見録

知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。

コメント

 熊本~ソウル線の夏季増便の見送りについて

発表項目

質疑応答

(幹事社)
 おはようございます。会見を始めさせていただきます。
 発表項目からお願いします。

 説明用資料(PDFファイル:530KB)

コメント

熊本~ソウル線の夏季増便の見送りについて

コメントする蒲島知事の写真
蒲島知事
 はい。今日は、コメントが1つ、発表項目が2つあります。
 まず、「熊本~ソウル線の夏季増便の見送りについて」コメントいたします。
 4月16日の定例記者会見で、アシアナ航空の熊本~ソウル線について、7月から8月の5週間にわたり、週5便、就航する方向で最終調整中との報告をしたところです。
 ところが、皆様もご存知のとおり、同日、韓国では旅客船沈没事故が発生しました。死者・行方不明者が300人を超える大惨事となり、現在でも国を挙げた懸命な捜索活動が続けられています。
 また、事故発生に伴う追悼ムードにより、韓国では旅行などを自粛する動きが広がっております。
 そのため韓国から日本へのインバウンド需要も激減していると聞いております。
 アシアナ航空からは、こうした現状から、夏の増便を見送ることになったとの説明がありました。
 今回の見送りの決定は非常に残念です。ただ、今後、状況が好転しましたら、週5便の早期実現に向けて、アシアナ航空に働きかけをして参ります。

発表項目

特別養護老人ホーム入所申込者に関する現状及び今後の取組み状況について

 報道資料:特別養護老人ホーム入所申込者に関する現状及び今後の取組み状況について(PDFファイル:253KB)

 次に2つの発表です。
 1つ目は、「特別養護老人ホームの入所申込者に関する現状と取組みについて」です。
 まず、今回調査における特養待機者数は、7,440人です。そのうち在宅で生活しながら要介護度や認知症度合が高い「早急な対応が必要な高齢者」は、1,673人です。
 全国的に見ると、待機者の増加傾向が顕著に表れており、4年前の調査に比べ、国全体で約24%、人数で約10万人増えています。
 これは、「高齢化の進展」や「介護を要する人々の増加」の影響であります。
 この前の図〔※会場前方のスクリーンに投影した図〕にありますように、その中で待機者が減少したのは、熊本県をはじめ、わずかに4都道府県であります。
 その点、熊本県は全国的な傾向と異なっています。
 本県の特養待機者は863人の減少、そのうち早急に対応が必要な方は、203人の減少となっています。
 これは、熊本県がこの4年間で約4,700人分の特養などの基盤整備や在宅サービスの充実を他県に先駆けて進めてきた結果であります。
 パワーポイント〔※前方スクリーンに投影〕でも、それがよく示されているのではないかと思っています。
 この結果に満足することなく、引き続き、早急な対応が必要な1,673人をはじめとした待機者の解消に取り組んで参りたいと思います。

発表項目

平成25年度の農地集積の実績について

 報道資料:平成25年度の農地集積の実績について(PDFファイル:185KB)

コメントする蒲島知事の写真
蒲島知事
 2つ目は「平成25年度の農地集積の実績について」です。
 本県では、平成35年度まで農地の8割を担い手へ集積することを目標としています。
 それに沿って、新4カ年戦略では、平成24年度から平成27年度までの4年間で、8,400ヘクタールの農地集積を目指しています。
 このたび、平成25年度分の目標である2,100ヘクタールを達成しました。
 これは、蒲島県政がスタートして、最大の農地集積となります。
 これまで、県では、農業の生産性向上を図るとともに、悠久の宝である農地を守り、ふるさとの美しい田園風景を将来に引き継いでいくことを目指し、農地集積の加速化に取り組んできました。
 具体的には、まず、農家の皆さんに対し、私自ら「知事に農地を預けてください」というメッセージを発信し、農地を安心して任せられる環境づくりに努めてきました。
 また、市町村、農業委員会、JA等の関係機関と一体となって、「ふるさと農地・未来づくり運動」を立ち上げ、関係者の思いを1つにして、農地集積に取り組んできました。
 今回、年度目標が達成できたのは、関係機関の皆様のご尽力によるものであり、心から感謝申し上げます。
 このような取組みに加え、この2年間で42地区を県独自の農地集積重点地区に指定し、各地域振興局に農地集積専門員を配置しました。
 さらに、集積の取組みに対する交付金を創設するなど、地域の話し合いによる農地集積を進めてきました。
 これらの取組みが成果につながったと考えています。
 今後は、さらに22の重点地区を指定し、地域の話し合い活動による農地集積を進めて参ります。
 そして、本年4月から始まった、国の成長戦略施策の1つである農地中間管理事業を追い風に関係機関の総力を結集し、引き続き、しっかりと取り組んで参ります。
 以上が、本日のコメント及び発表です。

質疑応答

熊本~ソウル線の夏季増便の見送りについて

(幹事社)
 ありがとうございます。では、幹事社からいくつか。

蒲島知事
 はい。

(幹事社)
 ソウル線の見送りの件なんですが、先方の事情もあって、致し方ない部分もあるかと思うんですが、今後の県のタイミングもあるかと思うんですが、いかがお考えですか。

蒲島知事
 ソウル線については、実は前回の記者会見〔※前々回4/16の知事定例記者会見〕の直前にアシアナ航空から、吉報を持ってきてもらいました。
 そして、会見の場で即座に皆さんにご報告して、喜びを伝えたわけでありますが、残念ながら、同じ日に旅客船の沈没という、韓国にとってはものすごく大きな悲劇が発生しました。
 それだけではなくて、追悼ムードといいますか、皆さんが旅行を控えたり、あるいは楽しみを控えたり、そういうことが今、韓国全般に浸透しています。
 そして、(韓国から)熊本、あるいは日本向けの旅行が、(その他の)海外旅行も含めて激減したということで、タイミングとしては良くないので待ってくれと(のことでした)。
 ただ、それ〔※増便の話〕が終わったわけではありません。この一時的な状況が好転したら当然、同じようなプロポーザル〔※提案〕があると思いますので、週5便化に向けて取り組んで参りたいと思っています。

(幹事社)
 アシアナ航空からは、いつ連絡があったんですか。

蒲島知事
 正確にはいつでしたか。ちょっと日にちを正確には覚えておりませんので。

【事務局】

 交通政策課です。アシアナ航空の熊本支店から先週12日にそのような動きがあるということで連絡がありまして、14日にソウル支店を訪問しております。
 その後、アシアナ航空側と調整を行ったうえで、最終的に先週末ぐらいに方向性が大体定まったということで今回、知事からコメントをすることにしました。以上です。

(幹事社)
 アシアナ航空からは、なかなか難しいでしょうけど、いつぐらいには増便の話っていうのは。

蒲島知事
 私が聞いている限り、これ〔※増便の話〕が中止になったという正式な申入れではないというように聞いています。
 ただ今は、控えたいということであります。これは(状況が)好転すれば再開すると。ただどの時点で好転するかというのは多分、韓国社会全体が読めないところではないかと思っています。
 私も残念ではありますが、これについて強く抗議するとか、そういう状況ではありませんので、理解を示したところであります。
 ただ、好転したら力強く取り組みたいと思っています。

(幹事社)
 知事のお考えとしては、韓国の追悼ムードだとか、そういったものが払拭次第いちはやくというようなお考えでよろしいですか。

蒲島知事
 これはアシアナ航空の方がよくお考えだと思います。
 まず、そういうように約束したことを向こう〔※アシアナ航空〕の都合でこういうように見合わせられたということですから、例えば、旅行客が戻ってくるとか、そういうことであればその時期を見計らって、同じようなプロポーザル〔※提案〕が出てくると私は思っています。
 だから、あまりこちらから強く言うべきではないような気がします。

(幹事社)
 では各社さん、どうぞ。


 すみません。関連で質問ですけれども、熊本~ソウル便の需要が減少した原因というのは、単純に向こうの自粛ムードによるものなのか、あるいは韓国での乗物等の安全性が危惧される中で、こちらからのアウトバウンドも減少しているというような、そういう見立てはないんですか。

蒲島知事
 アウトバウンドに関しても、修学旅行が1つキャンセルになりました。
 これは、やはりその影響があったのではないかということであります。
 ただ、全体的に韓国からの熊本入りが75%ぐらいですか、正確には何%か分かりませんが、とても圧倒的だということで、むしろ韓国側の事情が大きいと私は思っています。
 もう1つ言うと、この週5便への試みがアシアナ航空の方から来たというのは、それだけ熊本へのお客さん、送客が多かったということの表れでもあると思いますので、それがこういうような事故で少し頓挫したということです。


 すみません。知事がおっしゃったその75%というのは、この1カ月で減少した数字を言われているんですか。

蒲島知事
 いや、それは、例えば乗客者数の割合でいうと、正確にはどのぐらいですか。

(事務局)
 補足させていただきます。
 知事が申し上げた75%というのは、韓国人の割合〔※正しくは、“利用者全体に占める外国人の割合”です〕でございます。日本人の利用者が25%というのが今の現状でございます。
 搭乗率の現状を申し上げますと、5月現在、途中まででございますけれども、一応、搭乗率は52%ということで、これは実は昨年度と比較すると伸びております。
 ですから、熊本路線に関しては、正直そこまで影響が今、出ているとはいえませんが、ただ、知事が申し上げましたように、アシアナ航空の日本向けの全般的な、あるいは韓国から海外向けの、そういった旅行需要が少なくなっているという会社側の判断によりこのような結論に至っているという状況でございます。


 今のお話であると、今、県も外国人宿泊客数というのを目標設定していますけれども、そこに大きな影響を与えるほど減少しているということは、この1か月ではまだ見えていないんですか。

蒲島知事
 現時点ではですね。

質疑応答

平成25年度の農地集積の実績について

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 農地集積についてお尋ねしたいんですけれども、熊本県独自の施策も、国の施策もいろいろありますけれども、2013年度にこれだけ農地集積が伸びた、その一番の要因というのを知事自身はどういうふうに、どの部分、どの施策が一番総合してというか。

蒲島知事
 一番大きなのは、やはり社会情勢の変化だと思います。担い手の方々が高齢化して、将来どうするだろうかという思いはずっとあったと思います。
 そういう背景の中で、いち早く熊本県は国に先駆けて、農地を知事に貸してくださいという言い方をしました。
 皆さんもご存知のように、農家の人は独自の文化があります。
 それはあまり自分の土地を人に貸したくないというのが1つ。2番目に隣近所にも貸したくない人もいるんです。ましてや知らない人には貸したくない。
 だからそういう時に預けやすい、そういうメッセージをいち早く(発しました)。もう3年前ぐらいから知事に預けてくださいという(メッセージを発した)ことが預けやすくなった要因になったのではないかと(思います)。
 そして先程も言ったように、市町村、JA、それから農業委員会、県、一体となって、これを進めてきましたので、昨年度ぐらいから急速に伸びてきたというように思っています。
 一昨年度でしょうか、急速に伸びたのは。そして、それを国が後追いという形で、新たな法律のもとで、(農地中間)管理機構を設立するということになりました。それが追い風になったということでありますが、ただ私の持論ですが、全国が農地集積してしまうと、熊本が早くやった創業者利得というんでしょうか、先行利得というのはなくなってしまいます。
 皆が農地集積をして、大きな農地を耕せば、当然コストが下がってきます。コストが下がると豊作貧乏と同じで、やはり大きな農地を持っていても経営的には苦しい状況に陥ります。
 だから、どこよりも早く熊本県が先行したので、次に皆が農地を集積した後、何をやらなくてはいけないかというのをよく考える時間があるんです。
 その農地集積を先行させることの方が農地集積の絶対値よりも重要だと私は思っています。
 アメリカで農業をやっていましたが、アメリカの農地はものすごく広いんです。でも農業者は、私にいつもぼやいていました。こんな広大な農地を耕しても生活は苦しいんだと。日本なんかは一町、二町でとてもいい生活をしているからそちらの方がいいのではないかということを言っていました。それはどうしてかと言いますと、広大な農地を耕すことによってコストが下がりますが、コストがどんどん下がっていくと消費者も安いコストで食べようとしますので、結局あまり利益が上がらないという状況になります。
 そういうことを避けるために熊本は早く先行し農地集積をして、他が農地集積をやる頃には、次のことを考えなくてはいけないと。だから農地集積が全ての解決ではないんです。将来的にはまた大きな問題が生じるというように思います。

質疑応答

天草エアラインの機材更新について

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 すみません。天草エアラインに関してなんですけれども、一昨日ですか、天草市長の方から、空港の整備だけではなくてですね、機体購入の費用も県の方で負担をして欲しいというような話、発言をされていますけれども、県として今後、その負担をされるのか、どのように見られているか教えていただけますか。

蒲島知事
 天草エアラインについては、これまで地元と長い協議の期間があります。
 その中で天草市の方から平成24年度に、機材更新は天草市単独〔※正しくは、天草が単独で行うことことも含め、地元で負担〕で行うということが表明されています。
 その方針で天草市は機材更新と熊本県は空港の整備、これを分担して行うということでこれまで協議してきました。
 そういう意味では、今までと同じように、機材更新は地元でやっていただく、そして県は空港を支える方針でやっていく。そして空港の維持管理に関する予算の措置を講じたいと思っています。


 今、天草市から求められている部分に関しては、それは応えられないということでよろしいですか。

蒲島知事
 今言ったとおりで、天草市との協議についてもずっとそのような形〔※天草市を含む地元は機材更新、県は空港整備〕で進んできました。それに沿って、予算をもう計上しなくてはいけませんので、そういう意味ではこれまでの方針どおりでいっていただきたいと。機材の更新は市単独で〔※正しくは、天草市が単独で行うことも含め、地元で負担〕、そして、空港の整備は県が行うということです。
 別に県が費用分担を逃げているわけではなく、これから15年間の機材の整備と空港(の整備にかかる費用分担)のシミュレーションといいますか、それでいうと大体、県が75%ぐらい、市が25%ぐらいの負担割合になるのではないかと思っています。
 これは間違いないですよね、数字は。

【事務局】

 ちょっと1点だけ。知事が申し上げた件で。天草市が単独で行うことも含めて地元で負担するということになります。

蒲島知事
 はい。地元で、ですね、すみません。

【事務局】

 天草市だけではないということです。天草市も含めて地元でという話が平成24年から出ています。

質疑応答

農協改革について


 知事すみません。政府の農協改革について数点伺いたいと思うんですが、まず政府が産業力競争会議で全中、いわゆる全国農業共同組合中央会が農協を指導する制度を廃止する提案をいたしました。
 中央会の指導というのは、地域性は各農協の実態を反映させて都道府県ごとに設置されて、工夫ある事業展開や経営力体質の強化に取り組んでいると思うんですが、この中央会制度の廃止についての知事のご所見を伺いたいと思います。

蒲島知事
 私も、農協の職員であったことがありますし、それから中央会というのは、全国的に組織する農業の組織の中では大事な役割を果たしてきたと思います。ただ、今、議論になっているのは、地域の農協の独創性とか、そういうものが削がれているのではないかと。そういう観点から今、制度改革の話が出てきていると思っています。
 そういう意味では直すべきところは直す。これは大事だと思います。
 私は一番直すべきところというか、農協の中で実際に農協の仕事をして、今農協を見て思うことは、土地の集積があった時に農協自体が耕作する。あるいは土地が耕作放棄地になった時に、農協が自ら耕す、そういう農協であることによって地域性は活かせるのではないかと思っているんです。
 そういう現状の農業にいかに農協の今の組織が適応できるか、そして、その適応できない時に、どのように制度改革をするべきか。そういう意味でも制度改革が全てではないと思っているんです。
 だからギリギリやって、ここはもう、とてもじゃないけど、今の制度では駄目だということで、制度変更をすべきだと私は思っています。
 では、何が問題なのかというのをはっきりさせたうえで、農協改革もやって欲しいと思っています。
 私の持論は、とにかく農協が自ら耕すような組織。それによって、本当の現場の農業の問題点も指摘できるでしょう。
 それから農協の組織ということであれば、地域のコミュニティも農協を中心に守れるということもできるのではないかと思っています。
 だから本当の問題はどこにあるか、それを突き詰めて考えて、やはり制度改革しなければ(ならない場合は)するという観点です。


 中央会は、いろいろ優良事例の紹介、あるいは成功事例を他のJAに波及させたりする経営面から指導をしていると思うんですね。
 そして、農協の健全な経営展開ができなければ、組合員の営農とか、あるいは地域の経済活動、あるいは先程、知事が言われた農地集積の運動などにもかなり大きなデメリットが出てくるんじゃないかと思うんですけれども、その辺のデメリットについては。

蒲島知事
 おそらく全国組織の宿命的なものだと思いますが、ある農業のあり方が全国的に広がってしまうと、地域の独創性というんでしょうか、あるいは先行利得というんでしょうか、それがだんだん消えてしまうんです。
 だから、全国全部いいようにしようとするとどうしても地域の独創性が削がれてしまう。それが国の農政とも同じですが、先程の農地集積も全部農地集積してしまえば、日本全体の農業の競争力は高まりますが、例えば熊本県の農業がそれで将来良くなるかというのとはまた違う。そういう時に政府や農協は何をしなければいけないかというと、国全体の生産性が高まったら、まずその出口を探すことです。
 それは何かというと、輸出もそうです。これは日本で競争力が出たものを、輸出することによって底上げしていく。ただ、短期的に言うとそういうことで、皆が農地集積して皆効率的になったら全国的に価格低下圧力が高まるんです。そうなるとこんなはずではなかったということになるので、役割分担(が大事になってきます)。
 だから1つの農協でいい方法だと思って全国的に広める事が、長期的に言うとさっき言ったようにいろいろな地域の独創性が削がれていくのではないかと(思います)。これは組織のジレンマです。


 次に、もう1点、全農や経済連の株式会社化についてお伺いしたいんですが、仮に、株式会社とすれば、利益に追求、優先の状態となって、協同組合としての役割が失われて、山間部や遠隔地などの活動が削がれるおそれがあって、多くの農業の生産活動が損なわれる懸念というのはないんでしょうか。

蒲島知事
 それも農協のジレンマではないかと思っています。どれほど効率化し、どれほど経済的な側面を大事にするかということと、昔の協同組合的な側面をどのくらい残すか。それは非効率になるかも知れません。そこのうまい配分が農協に求められていて、それが例えばあまりにも経済的な効率性を追っているのではないかという農家からの反応で(農協に対する)農家の離反も招きます。
 だからこの農業改革もそうですが、あくまで農家の幸せのためにはどういうような組織であるべきか、ということを私は考えなくてはいけないと思っています。
 一番いい例が、ものすごくたくさんの農協が合併しましたが、農協が合併すると農協の支所がどんどんなくなります。(そうなると、農家と農協との)接点が段々なくなっていきますから、企業体としての農協が大きくなっていく。
 その時にどんどん企業体としての農協が利益を分配していけばいいんです。分配できない時に(農家と農協が)離れただけになってしまう。
  だから私が先程言ったように、農協自体が耕作者となって、耕作できない人達の受入れとなって、その地域全体を良くするような、そういう農協の組織がいいのではと個人的には考えています。

質疑応答

川内原発の再稼働について


 川内原発について3点ほど伺いたいんですが。

蒲島知事
 はい。


 再稼働の熊本県知事としての、スタンス、お立場と、あと先日5月16日に、鹿児島県の伊藤知事が記者会見の中で、同意をする際に、例えば熊本や熊本などの隣県への責任は負わないというような趣旨の発言をされたそうで、確かに制度上はそうかもしれないんですが、ひとたび事故などが起きると、熊本なども影響を受ける可能性はあるわけなんですけれども、その伊藤知事の発言に対しての。

蒲島知事
 伊藤知事の発言そのものは、私はよく分かりませんが、ただ前の記者会見でも述べたと思いますが、あまり距離ということだけを考えてやるというのは、鳥インフルエンザなんかのケースなんかでも、口蹄疫のケースなんかでも私は実感しましたが、やはり不安というのは残るのではないかと思います。30キロ以内が大丈夫で、35キロは大丈夫かとか。
 その時に不安がないように説明を求めるということは、知事としてはとても大事なことだと思っています。実際、九電とは覚書を交わして、情報を密にしているというところはあります。
 それから再稼働に関しては、国がしっかりと再稼働の条件なり、それから整備状況、そして国民に対して理解が得られるような、そういう説明責任があるというように考えています。
 そういう意味では、私が再稼働賛成、反対と言える立場ではありませんが、これは国の判断と、それからそれに対する国民の理解を得られるような、そのような(国の)説明責任があると思っています。


 現行ですと、そのいわゆる立地自治体しか同意は求められないかと思うんですが、その制度に関して国などに。

蒲島知事
 実際の覚書は、九電と取り交わしているものですが、これまで立地自治体だけに行われてきた説明と同程度の説明があっているというように聞いていますので、現状については、あんまり変わりはないのではないかと思っています。ちょっと来ていますか、原発の担当は。

(事務局)
 知事公室の方で、少し補完させていただきますが、九電と情報提供に関する協定を結んでおりまして、その立地自治体と同様かどうかとは別としまして、キチッとした情報提供をいただけるようになっております。また、隣県ともそのような情報提供を密にしながら対応して参りたいというように思っております。

質疑応答

集団的自衛権について


 集団的自衛権の行使の容認の是非についてお伺いしたいんですが、先日、首相が会見されて、まわりの状況、周辺の国の状況は変化してきていて、自国のみで守れないのが世界の共通認識だとおっしゃって、憲法解釈の変更による行使の容認に前向きな姿勢を示されました。それで与党の協議も始まりました。それに対する知事の考えを。

蒲島知事
 この憲法改正や集団的自衛権についての考え方は、一貫して私はこのように答えています。
 私自身も考えは持っておりますし、持論も持っておりますが、知事としてはコメントすべきではないということで差し控えたいと思っています。
 ただ、この国の防衛という重要な問題でありますし、それら賛否両論、これ分裂争点です。賛否両論がある中で、国民全体がしっかりと議論して理解する必要があると思っていますので、国会議員、あるいは政府の方々がこれについて真剣に議論する問題であると思っています。
 なんで私が、私自身の考えはあるけれども、知事としてコメントできないかということをいつも聞かれます。(それへの答えとして)私はソクラテスの言葉を常にドアの前に掲げています。
 それは約2400年前ぐらいの言葉なんですが、「君子というものは、己のためではなく、己を選んだ者達の幸福のために選ばれるのだ」と。
 今風に解釈すると、「知事というものは己のためではなく、己を選んだ県民の幸福のために選ばれるのだ」というような観点から発言をしております。そういうことから知事としてのコメントをすることは差し控えたいと思っています。


 よく分からなかったんですけど、要するに、国の防衛に関わることなので、国の専権事項だと知事がいつもおっしゃるような意味でおっしゃっているのか、それともご自身が発言することによって、県民の民意が流れるんではないか。

蒲島知事
 そういうことではなくて、国全体も賛否両論のある中で、私の発言は個人の発言ではなく知事の発言ですから、そういうものに対して自分はこう思うと、信念はこうだということを表明するために私は選ばれたわけではなくて、県民全体の幸せのために選ばれています。それを考えると知事としての発言は控えたい。そういう場面がいくつもあります、国政に関しては。これもその1つだと思っています。

質疑応答

人口減少問題について・1

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 知事よろしいでしょうか。
 別の話になりますけれども、先日、日本創成会議という有識者会議がですね、2040年までに、今後若い女性、いわゆる子供を出産、産める若い女性が半減して、いわゆる全国の自治体5割がですね、将来消滅の可能性があるというような提言をなさいました。
 この中に熊本県の市町村も全体の半数を超えて26市町村含まれるという、大変ショッキングな報告だったんですけれども、いわゆる少子高齢化問題と人口減対策についての知事のコメントを、報告を見られてのご感想、受け止めと、これからの取組みについての決意を改めて伺いたいと思うんですが。

蒲島知事
 発表された数字は、非常にショッキングなわけでありまして、(また、)ショッキングだけではなくて、発表した増田さん〔※増田寛也氏。元岩手県知事、元総務大臣〕は、とても尊敬すべき先輩でもありますので、改めて人口減少問題の重大さを認識した次第です。
 この推計は、ただ、ショックだと思うだけではなくて、この発表をきっかけに、人口減少問題をさらに日本全体で考えなくてはいけないと思っています。
 人口減少(の要因)には大きく言って2つあります。1つは少子化と、もう1つは人口の流出です。
 少子化の方はとても大事だと思います。
 人口の流出を止めるのは、どこかにまた同じ問題が生じます。1か0の世界ですから。
 ただ、少子化というものを阻止することによって、日本全体の人口減少問題にはプラスの影響を与えるのではないかと思っています。
 ただ、熊本県の知事ですから、人口流出を抑えたいという気持ちもあります。それは熊本県の魅力をより高めることです。私は政令市の誕生に力を尽くしました。これは増田元総務大臣も言っていますが、熊本市が魅力的になれば、周りの市町村も熊本に通勤することによって人口流出も止まるのではないかと。熊本が魅力的になれば、福岡に今行っている(熊本)県民も熊本に住んでくれるのではないかと。いろいろ方法はありますが、熊本の通勤都市としての魅力や住むことの魅力を高めていくことがとても大事だと思っています。
 それは、住むところとしての魅力、例えば横浜、鎌倉なんかがそれに近いと思いますが、それが高まれば、今度は子供も産もうということになって、少子化にもプラスに働くかもしれません。
 そういう意味では、県としてできることはやる、そして国としても、この問題にリーダーシップを発揮してもらいたいと思っています。

質疑応答

水俣病問題について


 水俣病問題で伺います。
 5月2日に、新潟県が認定審査会を再開しまして、審査のあり方については、環境省の新通知に沿って審査しましょうということで取組む一方で、新たに参考人という形で弁護士とか疫学の専門家4人を選びまして、疫学をしっかり見ていきましょうというような新しい取組みを新潟県は始められたんですけれども、熊本県としては、臨水審の動向を見守るというのは1つあると思うんですが、一方で県として独自に何かやろうというお考えがあるのかないのか、お尋ねします。

蒲島知事
 我々の判断というのは、私が昨年の12月19日に記者会見で述べたように、国の方針がちゃんと決まったところを見せて欲しいというのが、この臨水審のあれ〔※開催を要請した趣旨〕ですよね。
 臨水審での審査と不服審査会における審査を見ながら最高裁の判断に沿った認定ができるかどうか、それを見極めて、熊本県では審査するというように決めておりますので、その考えに淡々と沿っていくと。
 今おっしゃったように新潟県がこうだからというよりもむしろ、最高裁に沿った判断ができるかどうか、今回の臨水審はそのための要請ですから、そのために(県における認定を)返上する覚悟で待っているわけです。それを見届けたいと思っています。

質疑応答

川辺川ダム問題について(ダムによらない治水)

記者からの質問に答える蒲島知事の写真

 知事、川辺川ダムに代わる治水対策について伺いたいんですけど、6月にはですね、球磨郡のほうで町村議員さんが勉強会を開き、ここに国、県が説明に行かれるというふうに聞いていますけれども、流域の住民向けに説明する機会というのはどんなふうにお考えでしょうか。

蒲島知事
 はい。その問題については、川辺川ダムの「ダムによらない会議」でも出ました。それで、地元の市町村の全てがそれ〔※住民説明会〕を望まれているわけではありませんので、地元の市町村とよく話し合いながら(進めていきたいと思います)。国の説明も必要です。だから国と連携しながらこれにしっかりと取り組んでいきたいと思っています。正式にそういう要望が出てくればですね。


 会議の中では要望が出たかと思うんですけれども、県として説明するおつもりがあるということですか。

蒲島知事
 はい。それは、そこ〔※ダムによらない治水を検討する場〕でもお答えしたと思います。ただ、県と国でやらないと。どこが浸水する、しないとか、国の方にいろんな情報を提供してもらわないと(いけません)。そういうこともありますので、国と連携しながらしっかりと取り組んでいきたいと思っています。

質疑応答

人口減少問題について・2


 人口問題の話で、もう1点だけ。増田さんが出されたのとは別に、国の研究所が2035年に熊本の世帯主が高齢世帯65歳以上になるのが44.2%になって、しかもそのうち1人暮らしの老人の方が、いわゆる独居老人になると。それがそのうち35%ぐらい占めるとなると、介護制度の見直しとか、孤独化とか、そういった対応も県は必要になると思うんですが、その辺のお考えはいかがですか。

蒲島知事
 私は1期目から長寿を恐れない社会、2期目はそれを進めて長寿を楽しむ社会、これは蒲島県政の重要な目標になっています。
 先程、特養〔※特別養護老人ホーム〕の待機者の話が出てきましたが、就任直後から一生懸命取り組んできて待機者が減少しています。これは全国でも珍しいケースですが、そこ〔※配布した資料〕に全国的なものと九州全県の数字が出ていますが、もしあの時に何の取組みもしていなかったとすれば、きっと他の県と同じように待機者も上昇していただろうし、すぐに(特養に)入らなくてはいけない人達も上昇していたと思います。
 それが減少したというのは、早く取り組んでいたことが大事です。この長寿を恐れない社会づくりへの取組みはソフトとハードとあります。
 1つは、ハード対策で、グループホームとか特養をたくさん作ることです。1期目で4,500という目標を出して、それに取り組んだこと。
 ソフト対策は認知症対策です。認知症対策はものすごく頑張って認知症サポーター、それから認知症への病院の対応も含めて、先進モデルをいっていると思うんです。
 ただ、それでもまだ足りないいろいろなことがあると思います。例えば自宅で介護する人達の負担をいかに減らせるか、機械化を含めて。そういうことも1つのあり方です。
 だからそれを一生懸命やることによって、先程言った更なる高齢化、あるいは1人で住まわれる孤独な世帯、そういうものにさらに対応力が出てくるのではないかと思っています。
 だから、初動と同じで、初動をたくさんやって、次にそれに対応力を付けていくということを熊本県としては頑張っていきたい。地味かもしれませんが、それが王道ではないかと思っています。

(幹事社)
 それでは時間です。ありがとうございました。

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