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平成26年 5月 7日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:平成26年 5月 7日(水曜日) 13時30分から
場所:知事応接室
動画
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会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
コメント
発表項目
質疑応答
- 高病原性鳥インフルエンザについて・1
- 水俣病問題について
- 川辺川ダム問題について(ダムによらない治水)について・1
- 高病原性鳥インフルエンザについて・2
- 川辺川ダム問題について(ダムによらない治水)・2
- 集会などに対する自治体の後援辞退等について
- 熊本広域大水害に係る農地の災害復旧工事の未施工について
- 認知症に関する県の取組みの成果について
(幹事社)
では、定例会見を始めさせていただきます。
知事、コメントと発表をお願いします。
コメント
鳥インフルエンザの発生について
蒲島知事
はい。本日は、コメントが2つあります。それから、発表が2つあります。
まず、4月13日に球磨郡で発生しました高病原性鳥インフルエンザについてコメントをします。
本件につきましては、迅速な「初動対応」、ウイルスの「封じ込め」、「監視体制」の強化、風評被害防止のための「広報」の4原則に基づき、防疫措置を講じて参りました。
これまで県内の全養鶏農家への聞き取り調査や制限区域内における清浄性確認検査等を実施した結果、異常はありませんでした。現時点では順調にウイルスの封じ込めができております。
このまま異常がなければ、明日、5月8日午前0時をもちまして移動制限区域が解除されることになります。
解除にあわせ、農業者への経営支援や今後の防疫強化に係る対策について、速やかに実施できるよう、現在、準備を進めております。
明日午前9時から開催します「熊本県鳥インフルエンザ防疫対策本部会議」において、これらの対策についても発表したいと思います。
コメント
豚流行性下痢(PED)について
次に国内で7年ぶりに発生した豚流行性下痢についてコメントいたします。
本県においても、5月6日までに29農場で発生し、死亡した子豚は3千4百頭余りに上っています。
これまで関係団体等と一体となって、まん延防止に努めて参りましたが、いまだに終息に至っておりません。
このため県では、農家への注意喚起と併せて、消毒薬を配布して侵入防止対策を強化して参りました。
今後、更に、農場の出入口における消毒設備の整備等の支援策を講じ、消毒の徹底、強化を図りたいと考えております。
また、発生農家の経営支援策として、利子補給など、国、県及び市町村が連携して取り組みたいと考えております。
なお、この病気は豚のみが感染する病気であり、ヒトに感染することはありません。
また、健康な豚のみが出荷され、検査に合格したものだけが流通しております。
これまでどおり、熊本県産の豚肉を安心してお召し上がりいただきたいと思います。
発表項目
「海外アーティスト招へい事業in阿蘇」について
- 報道資料(1):「海外アーティスト招へい事業in阿蘇」について(PDFファイル:61KB)
- 報道資料(2):「海外アーティスト招へい事業in阿蘇」について(PDFファイル:143KB)
- 報道資料(3):「海外アーティスト招へい事業in阿蘇」について(PDFファイル:80KB)
蒲島知事
次に、発表です。1つ目の発表は、「海外アーティスト招へい事業in阿蘇」についてであります。
海外アーティストを招待し、「阿蘇」をテーマとした創作活動を通じて、「阿蘇」の魅力や情報を広く世界に発信していただくプロジェクトを開始いたします。
本日から5月21日まで、参加いただく海外アーティストを募ります。
募集枠は、阿蘇市が3名、南小国町が1名、小国町が1名、産山村が1名、高森町が1名です。
海外アーティストの滞在期間は、8月下旬から11月初旬までの70日間です。
海外アーティストには、交流会やワークショップ、作品発表会等により地域住民や県内在住のアーティストとの交流を深めていただきたいと思っております。
このように海外アーティストと県内アーティストが交流することで、新たな文化活動の波が生まれ、さらには本県の文化振興の起爆剤となることを期待しています。
また、海外アーティストには、帰国後も作品の発表や芸術活動を通じて、「阿蘇」を積極的にPRしていただきます。
雄大な「阿蘇」と海外アーティストが出会ったとき、どのような作品が生まれるか、私も今から大変楽しみにしております。
発表項目
認知症に関する県の取組みの成果について
- 報道資料(1):認知症に関する県の取組みの成果について(認知症サポーター)(PDFファイル:78KB)
- 報道資料(2):認知症に関する県の取組みの成果について(認知症アジア学会)(PDFファイル:81KB)
蒲島知事
最後に「認知症に関する県の2つの取組みの成果」についてコメントします。
まず、第1点として、熊本県の認知症サポーター養成率が5年連続日本一を達成しました。
熊本県の認知症サポーターは、平成26年3月末現在で19万431人となりました。
実に、県民の10人に1人が認知症サポーターということになります。
この19万人を超える認知症サポーターは熊本県の貴重な財産であり、誇りに思っております。
既に県内各地で、認知症サポーターによる高齢者を支援する活動が広がっております。
具体的な活動をいくつか紹介いたします。
1つ目は、傾聴ボランティア活動です。傾聴の研修を受けて、ボランティアグループを立ち上げ、介護施設や一人暮らしの高齢者宅を訪問し、傾聴活動に取り組まれています。
2つ目は、徘徊模擬訓練や高齢者の見守り活動です。高齢者への声かけや関係機関への連絡を模擬的に訓練したり、見守りが必要な高齢者宅を訪問する活動に取り組まれています。
3つ目は山都町の島木地区の住民の活動です。
保育所の跡地を活用し、地元の食材を使ってお昼御飯を提供したり、茶飲み話を行う「島木の茶飲み場(ちゃのんば)」を作られています。
今後も市町村と連携しながら、認知症サポーターの養成とこのような活動の活性化に力を入れていきたいと考えております。
第2点は、認知症アジア学会が熊本で開催されることが決定いたしました。
この学会が日本で開催されるのは初めてのことです。
日程は、平成27年9月14日から16日までの3日間です。当学会には、アジアの13の国・地域の認知症研究者が加入しており、今回の熊本大会には国内外から約400名の参加が見込まれています。
本県への当学会誘致は、熊本大会会長である熊本大学の池田学教授が中心になって進められ、県もその支援を行って参りました。
今回の熊本大会の開催は、「熊本モデル」と呼ばれる本県の認知症医療連携体制を国内外にアピールする絶好の機会であります。
本県の認知症医療連携体制は、高度な専門性を持つ「基幹型」の認知症疾患医療センターを中心とし、各地域で専門医療を提供する「地域拠点型」センター9ヵ所、さらに「かかりつけ医」等との3層構造による“熊本独自”の体制となっております。
本県における認知症の早期発見・早期対応につながっております。
今回のチャンスを捉え、認知症対策の先進県として、熊本県の知名度をより向上させたいと考えております。
以上が、本日のコメント及び発表です。
質疑応答
高病原性鳥インフルエンザについて・1
(幹事社)
ありがとうございます。
では、まず幹事社からいくつか質問をいたします。
鳥インフルエンザの件ですが、今夜、解除に向けてということなんですが、これまでの取組み、繰り返しにもなりますが、知事、最も重要だったポイントとお考えになるのはどちらでしょうか。
蒲島知事
4つの原則のもとに取り組んできました。まず、初動を的確にやること、素早くやること。とりわけ殺処分とそれから埋却処分。これを72時間以内に行うこと。これに成功したことがとても大きかったのではないかと思っています。
71.5時間とギリギリでありましたが、実際に(鳥インフルエンザウイルスが)出た多良木の方は、50数時間で封じ込めが成功しました。そういう意味では初動体制が良かったということ。
2番目に、ウイルスの封じ込め、これは埋却処分を含めて消毒体制が大変うまくいったこと。
それから様々な機関の方々のご協力(がありました)。埋却処分においては、自衛隊をはじめ、JA、それから国土交通省、そして地域の自治体の方々、いろいろな方々にやっていただきました。過酷な条件のもとでやっていただいたことに、知事としてとても感謝いたしております。
封じ込めはそういうことで、うまくいって、少なくとも本日までは、まだ(鳥インフルエンザウイルスは)出ていないと。だから、今日の真夜中までこれが続けば(移動制限区域が)解除できるということになります。
3番目が、これは私としては重要なものだと思いますが、監視体制(です)。結局、そこ〔※鳥インフルエンザ発生地域〕だけで封じ込めても、よそがまた出てしまうと困りますから、よそに絶対出ないということを監視する。それから、消毒を含めた監視体制、それから実際に封じ込められた地域における監視体制、それがとてもうまくいったのではないかと思っています。
これからやはりやらなくてはいけないのは、風評被害です。たぶん迅速に初動、または封じ込めができたので、それほどの風評被害は出なかったのではないかと思っています。
そういう意味では、今度は被害を受けられた農家の方々にどういうような形で対応していくか、これは明日の(熊本県鳥インフルエンザ防疫対策)本部会議で議論されることだと思いますし、それから我々の対応が、次の鳥インフルエンザの発生に向けてどのような貢献ができるかという観点から、それを検証すべきだと思っています。
それからどこが一番良かったかということを、今考えてみますと、初動体制があれほど早くできたのは、いつも県庁の職員に皿を割れと、リスクがあってもリスクを恐れずにやろうということを言っておりました。
それで担当の職員、また(担当の)部局が簡易検査の結果、陽性(ということで)、それを踏まえて行動に移してくれたことだと私は思っています。
普通だと、まだ疑似でありますし、それから簡易検査でありますから、国の検査の結果がはっきり出ないと空振りに終わった時のコストがとても恐ろしいので動けませんが、それを振り切って果敢に初動体制をとったことが私としてはとても大きな要因ではなかったかなと(思います)。それを支える自衛隊や国土交通省、JA、それから市町村の皆様方も同じように思いを共有されたということが大きかったと思います。
(幹事社)
鳥インフルエンザに関連してですけど、0時に解除するのにあわせて、消毒ポイントも0時で終わるんでしょうか。
蒲島知事
消毒ポイントは、午前0時で解除ができるんですが、慎重に慎重を期して、明日の午前9時から本部会議を開きますので、その本部会議を終えた後で解除になるというように思っています。
それでよろしいですか。(事務局へ確認)
はい、だから明日の午前9時の本部会議を経て消毒ポイントの解除が終わるということであります。
(幹事社)
今のまま何事もなく解除できるということで、明日の本部会議を開く場合に、明日の本部会議というのは、もう最後の本部会議になるんでしょうか。
蒲島知事
私が本部長となる本部会議はそれで最後だと思っています。
ただ、検証とか、そういうものはありますので、その総括か何かまだありますか。今のところどういう予定ですか。
(事務局)
検証については、また別途、やりたいと思っています。
蒲島知事
これも皆さんのご協力があって、無事、今日の午前0時に解除できることを大変嬉しく思っています。まだ(最後まで)分かりませんが。
Q
鳥インフルエンザに関してなんですけれども、他県の例だと、大体、移動制限の区域の解除に伴って、知事が終息を宣言されているというようなことがありますが、熊本県でも知事が終息を宣言されるようなことは考えていらっしゃいますか。
蒲島知事
終息宣言というのは、(本部会議が)終わった段階になると思いますが、ただ、自動的に午前0時には終息しますので、それは自動的だと思います。宣言をするのは、今のところ、あるとすれば本部会議の後だと思います。
Q
あるとすればということは、出さないこともある。
蒲島知事
一応、自動的に終息ですから。今日の(私の)コメントが午前0時をもちまして移動制限区域が解除されることになりますということですから、(今日の私のコメントは)この終息宣言予告みたいなものです。
0時になったら自動的になります。ただ、先程も申しましたように正式には明日午前9時からの本部会議を開催しまして、その中でそれ〔※終息宣言〕を高らかに謳うことになるかもしれません。
まだ今は、午前0時までは手を抜いてはいけませんので、そういうこと〔※終息宣言〕はまだ考えてません。
Q
知事、県の対応、初動の対応の良さとかは、よく分かっていますが、もう1つ大事なのは農家の方が、一番最初に早い時点でご連絡されたことだと思うんですが、それもまん延防止を防いだ要因として考えてよろしいですか。
蒲島知事
はい、これがとても大きいことだと思います。
そこで1日、2日ためらったら、初動体制の迅速さはなかったのではないかと思っています。
そういう意味では、農家の方々に、早く県に通知すれば、それだけ早く初動が終わり、そして被害が少なくなるということを今回は日本中の畜産農家の方に分かっていただいたのではないかと思っています。
Q
知事、関連しての質問ですけれども、経営支援等については明日発表されるということでしたけれども、制限区域内の農家で経営に支障をきたしていらっしゃる方とか、或いは廃業だとか、そういう具体的な話は内情として聞かれていますでしょうか。
蒲島知事
これについては、担当の方から、実際に制限区域の方々が困っていらっしゃるとか、支援を求めていらっしゃるということについては。
(事務局)
現時点で農家の方が辞められるというお話は聞いてはございません。今後、農家の方といろいろとお話をしながら、その辺についてフォローをしていきたいというように考えております。
Q
すみません。今回は1例で封じ込めが成功しつつあることもあって、制限区域内の養鶏農家は、事実上、搬出制限区域の撤廃前から卵は、もう域内外に出荷出来ていて、肉用鶏についても、出荷適齢期がいないということで、そもそも農家にどういう被害があったというふうな報告を今、受けておられますか。
蒲島知事
それについては同じように課長の方から(答えさせます)。
(事務局)
移動制限区域内のブロイラー農家でございますが、これにつきましては体重が一定の時に達する日齢がございます。その出荷日齢が制限区域内にちょっと1件かかってございます。その方が、いつ出荷が受け入れられるかの話でございますが、ここで延びれば、どうしても餌代がその間かかりますので、その辺につきましては支援することになるかと思います。
Q
では、搬出制限区域内は肉用鶏、採卵鶏も県内に大きな被害というものの報告とかはないという認識でしょうか。
(事務局)
例えば、採卵鶏で、もう卵を産まなくなった鶏を出したいという農家も実はございましたけれども、そこについてはちょっと制限区域解除まで少しお待ちいただきたいということでしております。
その件につきましては、やはりどうしても餌代がかかるものですから、それにつきましてはまた農家と話をして、いろいろ対応していきたいというように思っています。
Q
発生した当該農場の営農再開に向けては、これから、例えば消毒の確認だとかという作業はなくなる、特に行わないと。
蒲島知事
発生農場に関しては、どうぞ。
(事務局)
私の方から。発生農場につきましては、通常の消毒とかいう形ではなくて、衛生プログラムを実施しております。
例えば天井とか壁とかにウイルスが付着していないかとか、そういったものをずっと検査を続けて参ります。
ですから、衛生プログラム(を行うこと)で再開までは少し時間がかかるということになります。
Q
知事、先程の終息宣言の話ですが、移動制限区域が解除されて、県内からすべての制限区域がなくなるということ、行政的な意味は分かるんですが、県民に向けて、これでもう県内からウイルスは一掃されて、完全に熊本県の鳥インフルエンザが終息しましたという、その政治家としての、行政の長としての終息宣言、県民向けの終息宣言というのは、ちょっと確認ですが、明日の対策本部会議の会場で発したりするんでしょうか。
蒲島知事
私はそういう想定なんですが、まだ、今日の午前0時の前に、いつ終息宣言をするとか、そちらの方が先行するのは私はあまりよくないと思っているので、まず午前0時をもって、それから次の午前9時の会議、それから多分、県民の皆様方の頭の中では、今まで大丈夫だったので、大丈夫ではないかと思っていらっしゃるかも知れませんが、私どもはやはり午前0時を祈るような気持ちで待っているところであります。
まだ、その終息宣言をいつやるか、どういうことをやるかと、まだそこまでは考えていません。
あと何時間ですか。あと10時間ですか。まだ手を抜かないようにしないといけないと思います。
質疑応答
水俣病問題について
Q
すみません。知事、水俣病問題について、5月1日の日に慰霊式があったんですけれども、チッソの森田社長が分社化の手続きのJNC株の売却の条件、法律の条件に定められている救済の終了というのを尋ねたんですが、(それに対して、森田社長は)特措法の救済対象者の確定がその要件の救済の終了だという認識を実は持っているという答えだったんですけど、熊本県の立場として何をもって救済の終了とするのかというお考えがあるのかお伺いしたいんですけど。
蒲島知事
まず、熊本県でやっている(特措法の)救済の判定ですが、私が聞くところによると99%は終わっていると。だから夏頃までには終わると思います。
ただ、私はずっと前から言っているように、特に12月19日の記者会見で申しましたように、公健法の世界を閉じてはならないというように思っております。
それは救済を求める人達がいる限りです。そういう意味で考えますと、今、株売却という段階ではないのではないかと私は思っていますし、同じようなことを環境大臣もおっしゃっておりましたので、私の認識ではそういうことであります。
Q
特措法の救済対象者の確定イコール救済の終了ということはないというご認識で。
蒲島知事
一義的には、これは環境大臣が判断されることと思いますが、私の考え方、それから環境大臣の考え方もほぼ一致しておりますので、救済を求める方々がいらっしゃる限り、そういう時期ではないというように思っています。
質疑応答
川辺川ダム問題について(ダムによらない治水)・1
Q
知事、よろしいでしょうか。
蒲島知事
はい。
Q
4月末に行われました、ダムによらない治水を検討する会議の件についてのお尋ねですが、この場での議論を踏まえて、なお、今後もまた議論を継続するということで確認されたと思うんですけれども、現状で実現可能な対策というのをすべて出し切った後で、今後どのように議論を進めていかれるのか、あるいはどういう方向で会議を決着させようと思っていらっしゃるのかその点を伺いたいんですが。
蒲島知事
私どもとしては、なるべく早い段階でこの会議を開いて、また、これまで出てきた様々な議論を検討して、流域市町村の方々の理解を得て参りたいと思っています。
それで次の会議の時期というのは、いつとは言えませんが、なるべく早くやりたいと(思っています)。それから、先に先に安全策を高めていかなくてはいけませんので、治水対策も遅れることなくやっていきたいと思っています。
ただ、それと同じように、この流域市町村の方々との(考え方の)共有というのはとても大事でありますので、ソフト対策などを含めたことを話し合いながら、やっていきたいと思っています。
100%これという立派な解決策というのがあれば、これほど長引いてはいないと思いますが、様々に皆がアイデアを出し合って、最大限、ダムによらない治水対策がどこまで行き着いたかというところの共有はされたのではないかと私は思っています。
そういう意味で、これからも丁寧に流域市町村長の方々、それから住民の方々に説明をして、なるべく早く今よりも高い治水安全度といいますか、それ〔※今よりも治水安全度を高める対策〕を少し急がなくてはいけないと思っていますので、切れ目なくやりたいと、そのように思っています。
質疑応答
高病原性鳥インフルエンザについて・2
Q
知事よろしいでしょうか。鳥インフルエンザの件でもう1度。
先程も出たんですけれども、今回、確かに県の方々の初動が成功したと思うんですけれども、その前に農家の通報が非常に早かったということで、過去の鳥インフルでは、農家の通報が遅れてそれが感染拡大したという経験もあったわけなんですけれども、今回、熊本の養鶏農家の方の通報が早かった理由、背景、どういうふうにお考えですか。
蒲島知事
それは宮崎の(口蹄疫及び)鳥インフルエンザの後で、様々な法改正が出されて、(発生)農家の方々に対する補填について、それまで8割だったと思います。それが10割になったこと。これはとても大きかったのではないでしょうか。
そこでためらうことなく通報されたということではないかと思っています。
ただ、これは実際に今回の鳥インフルエンザ(の対応)をやって分かったことなんですが、いろんなところに抜け穴があるんです。
今回はその抜け穴がなかったと。ただ、リスクはゼロだったかというとそうではなくて、例えば雨が降っていて、週末、土日で、それで人事異動の直後の出来事だったと。時期としては一番悪いです。
雨が降って何が起こったかというと、用意していた消毒用の消石灰が流れてしまって足りなくなると。これもこれから1つ考えなくてはいけないことです。
それから多くの方々がテレビを見て驚かれたのは、瞬時にして皆が白い防護服を着ていました。よくあれだけ一度に揃いましたねと言われましたが、あれも日頃から備蓄していたからできたのではないかと思っています。
ただ、あれも全部足りたかというと、4千数百名の延べ動員がありましたので、それを新たに発注したり、新たにどこからか持ってきたりするのもちゃんとやらないとなかなかできません。
消石灰1つにしてもそれがないと埋められないんです。消毒してから埋めないといけない。
それから農家の事情というか、経営者の事情も、その農家、農家によって随分違っていると。すごく防御しやすいところとそうでないところもあります。そういうことも考えなくてはいけない。
いろんなブラックボックスがあるので、それを今回の我々の経験から詰めていきたいと思っています。
一番良い例が、我々の簡易の検査で陽性として行動に移しました。行動に移すとそれは当然コストもかかります。それで、そのコストがかかって、もし国の検査で陰性だったとした時に、誰がこの責任を持つか。
私は県が(責任を)持って良かったと思います。なぜならば、これによるコストと比べると、(鳥インフルエンザが)拡大した時のコストが全然違うでしょう、何百倍も。
だから、そういう時の意識のあり方というのはやはりとても大事だと思う。
それぞれに抜け穴があったのが、今度は幸いにしてそれを乗り越えて初動(対応)が成功したというように思っています。
だから、計画したからそのままできたということでもないです。やはり問題点も十分あったというように我々は理解していますので、謙虚に検証しなくてはいけないと思っています。
Q
過去の例だと、まだ終わったわけではないんですけど、そういった検証ももちろんやられるわけですよね。
今回のその対応がどうであったという、そういうのは1つの文書にまとめられて、また国に報告したりだとかと思うんですけど。
蒲島知事
検証というのは2つあります。
1つは失敗例から検証すること、(もう1つは)成功例から検証すること。
失敗例の方が結構多いんですが、成功例の方は、より明快に検証できるのではないかと(思います)。失敗例だとどうしても怯みがありますから。そういう意味では今回は、問題点を含めてきちっとそれを国に提示したいと思っています。
質疑応答
川辺川ダム問題について(ダムによらない治水)・2
Q
ダムによらない治水の関係ですけど、先程、知事がダムによらない治水というのは、アイデアを出し合って、最大限行き着いたという共有というのは取れたというお話でしたけれども、知事ご自身もこれ以上ダムによらない治水対策というのは、現時点では積み上がる余地はないというようにお考えですか。
蒲島知事
これはどのくらいの時間の範囲を取るかによって変わってくると思いますが、今、見渡せる時間の範囲では、国交省としても大分といろんなことを出してくださって、そして最大限のところまで出てきたのではないかと思っています。
ただ、すべての対策が完全ということはありません。完璧ということはありません。100%大丈夫ということもないので、ソフト対策、それから生命財産であれば、生命の方を優先して守る。そして財産の方は、後で何らかの形で補填できるというように私は思っています。
そういうような災害に対する考え方、ソフト対策を含めた考え方のために熊本県も10億円という支出を決断しましたので、そういうことを含めながら、市町村長の方々と、またそのご要望を受けて、これから検討していきたいと。それを次の会議で是非、また話し合っていきたいと思っています。
Q
今のお話で、まさにその災害に対する考え方、その知事はソフトとハードを組み合わせてやるといって、首長の中にはですね、あくまでもハード整備だという方と、ここの考え方の違いがですね。
蒲島知事
あくまでハード整備で、それが整わない限り、あるいはこの目標が整わない限り、物事を動かせないんだと、つまりフルセットでなければ動かせないという考え方が私は一番危ないような気がするんです。
やはりフルセットはもちろん今後、考えていく、そういうケースはあるかもしれませんが、今、出されている工事、対策だけでも10年ぐらいかかると思うんです。
だから、なるべく早くやらないと(いけない)。例えば、この前の白川の大洪水の際も、白川は150年〔※白川水系河川整備基本方針の目標の年超過確率1/150〕という目標を立てていますが、当面やっているのは、10年か20年、30年ぐらい〔※白川水系河川整備計画の目標の年超過確率1/20~1/30〕の10年の単位だと思うんです。でも、あれをやっていたから今回、大洪水でも耐えられたと。
だから、そういう意味では、出来ることを早くやっておくというのは必要だし、完璧でないということも私は分かっていますし、それだから、人命を尊重すると。
それから将来にわたってここは浸水するかもしれないなというところは嵩上げをしたり、あるいは様々な他の方策をもって、なるべく(浸水地域を)少なくすると。そういうことが今、示されただけでも先が見えるんです。
この部分は床上浸水しますよと、この上は床下浸水するかもしれませんと。これは破堤を前提としたシミュレーションですが、破堤を前提とした一番厳しい時でも嵩上げをやっておけば、それもなくなると、そういうソフト対策です。
県も、まず自分達の生命を守ると(いうことが大切であると考えています)。財産はどういう形ででも、後で保険は保険でもいいけど、補填できるのではないかと。そういう話し合いですかね。そういうことを共有できたらいいと思っています。
Q
ということは話し合うというよりも、次回のダムによらない治水の親会議というのは、説得する場という性格づけになるんですかね。
蒲島知事
説得という上から目線ではなくて、一緒に皆さんのことを、私にとっては皆さん県民ですから、その理解を得て。いずれにしてもダムによらない治水というものを球磨川流域、川辺川流域では、その方向で今、決断し、それに沿ったダムによらない会議が続いているわけですから、これを丁寧にやっていくべきだというように思っています。
Q
すみません。もう1点だけ。知事が最初にダムによらない治水が始まる前に抱かれた、ダムによらない治水の安全度と、今、現状出てきている安全度というのは当初、思い描いたものから比べたらやはり低いですか。
蒲島知事
それは2008年9月11日に議会で、ダムによらない治水を極限まで求めて欲しいということをお願いし、そして、その結果出てきたのがこのダムによらない会議であります。
それによって、様々な案が示されましたが、この前、示されたシミュレーションがその結果で、それはこれまでの過去の最大限の洪水よりも大分、軽減されているということであります。
それが、では80年〔※球磨川水系河川整備基本方針の目標(人吉地点)の年超過率1/80〕かというところまでは、残念ながらそこにいくことはできませんでしたが、これまで経験した大洪水よりもその洪水の被害というのは相当程度軽減されているというように私は思っています。
だからそういう意味では、早くこれ〔※ダムによらない治水〕に向かって進んで、治水安全度を今よりも高めたいというのが私の気持ちです。
質疑応答
集会などに対する自治体の後援辞退等について
Q
知事、よろしいですか。
今、全国のいろんな自治体で憲法改正とか、特定秘密保護法とか、あとは集団的自衛権の憲法解釈の変更とか、こういったものに反対する団体の方が、自治体に後援要請をした時に、昨年までは後援を受けていたところが、今年になって後援を拒否するところがいくつか出てきているんですが、行政の長のお立場として、議論をする場を奪うまではないんですが、後援をしないということは、ちょっと違う歯止めをかけていることになると思うんですが、こういった動きに対して知事はどう思われますか。
蒲島知事
後援というのとそれから集会の場所を提供するというのとでは、違った観点ではないかと思っています。
後援というのはあくまで、その運動に対して県なりがコミット〔※委ねる〕しているとか、そういう意味があります。その場面では県の方向、あるいは市町村の方向としてはなるべく中立でいたいという思いが働くのは確かでありましょう。
会場について、様々な会合を開きたいということに関しては、私はそれほど敏感になる必要はないのではないかと思っています。
だから、これ〔※会場の提供〕は様々な団体がいろいろな考えのもとで、いろんな会場を準備されるわけです。
それについてとそれから後援とか主催とかいろいろあります。そういう時には、いろんな市町村の、また地方公共団体の考えがあるのではないかと思います。
Q
中立ということは後援をしなくてもいいという選択肢もあっていいということですか。
蒲島知事
実際に具体的に私の方にその判断(を求められたこと)が今までありませんが、一般的にいうと後援したり主催したりするのは、その目的に賛同する場合です。
だから、結局、賛同するというのは、(本県の場合は)熊本県の幸福量に貢献するような催しものであれば私も賛同したり、主催したり、それから後援したりすることはもちろん(あります)。
だから、基準がそういうところ〔※県民の幸福量に貢献するかどうか〕です。過去ずっとやってきたとか、そういうことではなくて、大目標である県民の幸福量に少しでも貢献すると思ったら、それはその方向かと(思います)。
Q
安倍政権が推進しようとしている憲法改正とか、特定秘密保護法の反対集会に対して後援をしないという自治体が出てきているんですが、知事のおっしゃっているやり方なら、私も理解出来るんですが、そういった政権への配慮というか、事なかれ主義といいますか、そういったものは。
蒲島知事
私のところにその判断を求められたことはありませんが、そういう形で判断するべきではないのではないかと思っています。
質疑応答
熊本広域大水害に係る農地の災害復旧工事の未施工について
Q
もう1点すみません。
先日、阿蘇の豪雨災害の農地復旧事業に関連してなんですけれども、県の方で所有者に直接、確認せずに工事をストップして、その結果、農家の所有者の方が農地復旧ができずに今年の田植えを断念したという報道がありましたけれども、県の確認ミスということは振興局の方でも言ってらっしゃいますが、この件について知事の受け止めと農家に対してどういうふうに報告をされていくのかお考えがあれば伺いたいと思いますが。
蒲島知事
はい。(熊本広域)大水害の後、3原則のもとで、復旧復興を進めてきました。1つは、被災者の方々の痛みを最小化するということ。それから2番目は、単なる復旧ではなくて、創造的な復興をしようと。3番目が将来の熊本の発展につながるような創造的な復興をしようという観点で(進めてきました)。
私は全体的にはこれはとてもうまくいったのではないかとそのように評価しています。
それに沿って熊本県庁でも最大限全力を挙げて取り組んできたわけであります。ただ、今回、本人への確認漏れもあって、このような事態を招いたことについては大変残念な気がしています。
全体がうまくいったこともあって、今回は本当にこのミスが大変残念であります。
そういうことで心を込めての謝罪と、それから5月末までには工事を完了させることで、ご本人にはご了解を得ております。担当課に対しては引き続き、丁寧な対応をするように指示をしました。
田植えができなくなったということでありますが、これについてもご本人の考えを十分お聞きして、真摯に対応するように担当課には指示しております。
だから、熊本県も真摯に対応して(いきたいと)。こういうミスが起きたことは残念でありますが、起きた後の対応がとても大事だと思うんです。
鳥インフルの初動と同じで。だから初動がとても大事でありますから、なるべく生産者の方の考え方に沿って対応できるようにしたいと思っています。
質疑応答
認知症に関する県の取組みの成果について
Q
知事、左手首にオレンジ色のリングをされていますが、それは毎日されているんでしょうか。
蒲島知事
いや、今日は特に認知症サポーターの報告でありますので。
なんと熊本県は10人に1人が認知症サポーターでありますから、本当は19万人の人が全員、毎日するとインパクトあるかもしれませんが、ただ、ここぞという時には私もしています。
でも、担当課は毎日して欲しいと言っていますけど。
(幹事社)
そろそろお時間だそうですけれども、よろしいでしょうか。
以上です。ありがとうございました。