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令和2年(2020年)10月21日 知事定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0060795 更新日:2020年10月21日更新

知事定例記者会見

日時:令和2年(2020年)10月21日(水曜日) 10時00分から
場所:知事応接室

動画
 動画はこちらからご覧いただけます

 

会見録
 知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
 なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。

 

説明資料 (PDFファイル:2.65MB)

 

発表項目

質疑応答

発表項目

くまモンポート八代のプレオープンについて

コメントする知事の写真蒲島知事
 最初の発表です。
 くまモンポート八代は、八代港の国際クルーズ拠点として、本年3月に完成しました。
 こちらには6mのビッグくまモンや、54体ものくまモンが並ぶ合唱隊、竹林の道が魅力的な日本庭園など、子どもからお年寄りまで喜んでいただける熊本の新たな観光スポットになると考えています。
 このくまモンポート八代は当初4月に開園する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により、開園を延期しておりました。施設の完成以降、「早く開園してほしい」との声を多くいただいており、開園に向け、ロイヤルカリビアン社と調整を行なって参りました。
 この度、協議が整いましたので、土曜・日曜・祝日限定となりますが、くまモンパーク八代をプレオープンする運びとなりました。
 このプレオープンについては、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ観点から、来園対象者を段階的に広げていきます。まず、第一段階として10月31日から、八代市民の皆様を対象に、第二段階として11月28日から全ての県民の皆様を対象とさせていただきます。
 入園に当たっては、電話による事前予約制といたします。9時から17時までの開園時間を4つの時間帯に分け、時間帯ごとに、事前予約された200名の方に入園いただくかたちとなります。事前予約は先着順で、八代市民の方が10月24日から、県民の方は11月21日から受付を開始いたします。
 なお、全国の皆様を対象としたグランドオープンの時期については、今後の新型コロナの感染状況やクルーズ船の寄港状況を見ながら判断したいと考えています。
 県民の皆様には、ぜひこのくまモンポート八代を楽しんでいただきたいと思います。
 そして、県として、この世界でもユニークな観光資源を最大限活用し、まずは国内から、そして将来的には海外からの誘客に取り組んで参ります。

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発表項目

変革する空港周辺地域における新産業創出について

蒲島知事コメントする知事の写真
 続いての発表です。
 私はこれまで、様々な機会を通して空港周辺地域に、知的産業集積拠点の旗を掲げ、更なる可能性にチャレンジしていく、“くまもと版シリコンバレー構想”を申し上げてきました。
 そこで、本日はその考え方を具現化するプロジェクトのキックオフを宣言し、加えて、プロジェクトの名称を発表します。
 スライド5ページ目をご覧ください。
 まずプロジェクトの名称は、「UX(ユーエックス)プロジェクト」といたします。名称の所以(ゆえん)については後ほど紹介します。
 次の、スライドをご覧ください。
 まず、わが県の目指す姿です。
 “熊本の強み”を活かしつつ、“先端技術”と“アフターコロナにおける価値観の変化”などをしっかりと踏まえ、地域資源を活用した新産業が創出されるくまもとを目指します。
 そのためのコンセプトとして、変革する空港周辺地域を、新産業創出の拠点としたいと考えています。
 その拠点において、熊本の強みである、医療、介護、健康、食、ビューティ、スマート農業など、いわゆるライフサイエンス産業を中心として、「人・もの・技術・情報」が集まり、有機的に結びつく新たな「知の集積」を図ります。
 取組みの方向性は3つです。
 次の、スライドをご覧ください。3つの取り組みの方向性の一例です。
 取り組み1として、大学などの学術機関や企業の研究開発部門、公的研究機関やこれらを支える金融機関の集積などを図ります。
 取り組み2として、実証実験の場となる共同研究エリアの設置や、人や技術をつなげるコーディネーターの設置などを検討します。
 取り組み3として、先端通信技術の5G(ファイブジー)や6G(シックスジー)、VR(ブイアール)、AR(エーアール)、自動運転などの導入を検討します。
 次のスライドをご覧ください。
 最後に、「UXプロジェクト」の名称の所以(ゆえん)についてご説明します。
 「U(ユー)」には、身近な人、家族、県民、国民、全世界の人々を「あなた」と表現した英語の「You(ユー)」、また、人と人、技術、情報を「結びつける」を表現した「結う(ゆう)」。さらには、熊本の“熊(くま)”を表す「熊(ゆう)」を意味づけています。
 「X(エックス)」については、人と人、人と技術、人と情報を「クロス」させる「かけ合わせる」を表現しています。加えて、「X(エックス)」には、“未知”という意味もあります。これから起こるイノベーションの「未知」なる部分への期待と感動の意味を込めました。
 「UXプロジェクト」はこれから始めるプロジェクトであり、様々な機会を通じて、企業や県民の皆様のお知恵を頂戴し、まさにアイデアをクロスさせながら進めて参りたいと思います。
 私はこのプロジェクトを、50年後、100年後の熊本の発展につながる礎にしたいと考えています。
 そのためには、賑わいとイノベーションが持続的に創出され、ここで生まれた、あらゆる成果を、空港周辺のみならず、県内各地に波及させることが重要であります。
 皆様には「UXプロジェクト」の名称を是非覚えていただき、県内外問わず、幅広い、様々な方々の参画を期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。

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発表項目

応急仮設住宅の建設について

蒲島知事
 続いての発表です。
県では、7月豪雨で被災された方々の住まいを確保するため、応急仮設住宅の建設を進めており、既に7市町村474戸が完成し、入居が始まっています。
 そして、本日、球磨村と芦北町の仮設団地が新たに完成し、今週末にかけて入居者への引き渡しを行います。
 球磨村の「大王原(だいおうばる)公園仮設団地」は、錦町に建設したもので、木造平屋の住宅を23棟、88戸、集会と談話室として「みんなの家」を2棟整備しています。
 芦北町の「女島(めしま)ゆめもやい緑地(りょくち)仮設団地」は、先月から一部入居を開始していますが、今回、新たに木造平屋の住宅4棟10戸を整備しました。
 これで完成した仮設住宅は、合計17団地572戸となります。
 今後も引き続き、被災された方々への早期のすまいの提供に向け、スピード感を持って、建設を進め、12月中旬までに、808戸全ての住宅が完成できるよう取り組んで参ります。

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発表項目

「球磨川流域治水協議会」の設置等について

コメントする知事の写真蒲島知事
 最後の発表です。
 令和2年7月豪雨からの復旧・復興に関して、2点お知らせがあります。
 先週お知らせしました、球磨川の治水を検討する新たな協議の場についてです。
 この度、国、県、流域市町村で構成する「球磨川流域治水協議会」を設置し、その第1回目を10月27日の16時から、県庁地下大会議室で開催いたします。
 なお、詳細な報道資料については、本日夕方16時頃に、国と同時に発表いたします。
 次に、住民の皆様のご意見・ご提案をお聴きする会についてです。
 先週15日から、住民や団体の皆様と直接お会いし、今後の治水対策の考え方・生活再建・事業再開に向けた要望など、大変貴重なご意見・ご提案をいただきました。
 また、今後のスケジュールについても、概ね決定しましたので皆様にお知らせいたします。
 詳細は、お手元の報道資料のとおりですが、今月末から11月上旬にかけて、五木村を含む全ての球磨川流域の市町村を対象として、ご意見をお聴きして参ります。
 いただいたご意見をもとに、今後、県としての治水の方向性の考え方を整理し、復旧・復興プランに反映させていきたいと考えています。

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質疑応答

空港周辺地域の新産業創出について・その1

(幹事社)
 UXプロジェクトに関してなんですけれども、今回名称を発表ということですけれども、今後、どのようにこの名称を活用していくのかというか、この名称を作って、今後どういうふうにやっていくのかお考えはありますでしょうか。

蒲島知事記者からの質問に答える知事の写真
 はい。令和3年度末までに基本構想と実施計画を策定することとしていますが、今後もスピード感を持って、できることから対応していきたいと思っています。
 このタイミングで発表したのは、9月議会において、本プロジェクトの基礎調査に関わる予算をご承認いただきました。これを受けて、この場をお借りしてキックオフ、今日から始まるということで宣言したものであります。
 これから、鋭意具体化に向けて検討して参りたいと思います。こういう方向性、哲学を示すことによって、これから加速化していくと。
 それから実際の企業誘致、研究所誘致なんかも加速化していくんじゃないかなと思います。

(幹事社)
 空港周辺地域の変革とありますけれども、当然アクセス鉄道とかも含めた変革ということなんですか。

蒲島知事
 空港が大空港構想として今動いています。そして民営化も進んでいます。民営化とともにその周辺を、我々が言うシリコンバレー構想を含めた様々な構想が今立ち上がっていますので、それを一つの大きなプロジェクトとして、「UXプロジェクト」というふうに呼んでいきたいと、このように思っています。

(幹事社)
 50年後、100年後という話がありましたけれども、大体このプロジェクトというのは何年ぐらいを目途というか、スパンというのはあるんでしょうか。

蒲島知事
 我々はこれを熊本版シリコンバレー構想と思っていますけれども、アメリカのシリコンバレーを見ると、最初は半導体産業から始まって、今や世界で最も巨大なハイテク、イノベーション、ソーシャルメディア企業等の集積地になっています。
 それはなぜかというと、ビジネスの変化に柔軟に対応しながら、どんどん先端技術を生み出していくと。それはこの土壌でもあるし文化でもありますが、それが人を、人材を呼び込むんじゃないかと、このように思っています。
 そういう意味でもぜひ、人材、文化、投資、そして一流の研究、教育拠点、そういうふうな形でやっていきたいなと。それ(=アメリカのシリコンバレー)がモデルです。
 とりわけ今、コロナによって、必ずしも東京にいなくてもいいんじゃないかというふうな、そういう流れが出てきています。その流れを受けるという意味でも、このプロジェクトは、今とても大事じゃないかと、このように思っています。

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質疑応答

くまモンポート八代について

(幹事社)
 くまモンポート八代について質問します。くまモンポート八代は、当初は、国際クルーズ拠点として宣言されたと思うんですけれども、クルーズ船の寄港は、なかなか今先が見通せない状況だと思うんですけれども、改めてどのように説明をしていくか教えていただいてよろしいでしょうか。

 

記者からの質問に答える知事の写真蒲島知事
 くまモンポート八代というのは、おっしゃるように、クルーズ船対応として参りました。
 ただ、例えば、これ(=くまモンポート八代)がずっと早くからできていて、そしてクルーズ船がたくさん世界中から来ていた段階で、このコロナがあったとすれば、こちらのほうが(寄港を)断らなければいけなかったと思いますので、タイミングとしては、コロナの直後にできて、そして世界中のクルーズ船の市場が分かった後で、このくまモンポート八代の運営を開始できるという、タイミングとしてはそれほど悪くなかったんじゃないかなと思っています。
 このくまモンポート八代は、当初の予定どおりロイヤルカリビアン社と組んでクルーズ船の拠点として作りました。今、外国からは、ほとんど(船が)来ることはできませんけれども、今月26日から、国内クルーズ船の運航が試験的に始まると聞いています。
 だからまずは、国内向けに現地視察の実施や、動画を活用した寄港のビデオ発信などにより、これ(くまモンポート八代)をPRしていきたいなと。そしてこのコロナが終わった後で、実際に国際的に認知されると。もう既に相当認知されておりますけれども、まずは国内的に使っていただいて、やはりいいなと(思っていただく)。そしてそれがロイヤルカリビアンという核をベースに、国際的に広がっていくことを、今、期待しています。
 国際的に広がった後で、それから作り始めても、ストック効果はないので、遅いんですよね。実際に我々が経験したのはそうでした。最初は貨物船と混在するようなクルーズ拠点にしたんですけれども、あんまり魅力がなかったと。そういう意味ではストックがないと。クルーズ船文化が再開したときについていけないというので、この段階でこのようなものを用意して、ストック効果としては将来的にとてもいいんじゃないかなと思います。
 クルーズ船がなくなることはありません。将来的には必ず再開されると思います。それはアフターコロナの政策として、今から考えておかなければいけない。
 そういう意味で、今日、プレオープンしたのは、その先駆け。その後でグランドオープンしていきますので、そのプロセスのなかでPRをしていきたいと思っています。

(幹事社)
 ありがとうございます。
 一点確認したいんですけれども、グランドオープンというのは全国の、国内の全国対象となったのがグランドオープンということですか。

蒲島知事
 日本だけですかね。世界中入りますか。ちょっとそこのところを事務方からお願いします。

【事務方】
 グランドオープンにつきましては、全国ということで、日本国の対象という形になります。八代市民、県民、そしてグランドオープンで、日本国中という形になります。

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質疑応答

空港周辺地域の新産業創出について・その2

(幹事社)
 空港周辺の新産業創出の件ですが、九州の他県では、もう既にテクノポリス構想が、昭和から平成にかけての事業でも集積が進んでいるところは研究機関も含めてありますよね。空港の交通アクセス、これもかなり熊本は遅れていると。ともに一周遅れのような気がするんですが、そういう中でやはりこの事業進めないといけないんですか。

蒲島知事
 一周遅れがマイナスなのか、あるいはプラスなのか、それを考えてみると、今新しくアフターコロナの文化が始まる、そして、空港の民営化も始まっていく。そういうふうなときに、新たな地域、新たなチャンスのもとに始まるというのは、私はプラスじゃないかなと思っています。
 熊本にもテクノポリス構想があって、その遺産として、例えばソニーセミコンダクタであるとか、東京エレクトロンであるとか、ルネサスであるとか、それが熊本に立地していますので、今先端的な半導体産業が多く残っているのが、多分熊本じゃないですか。空港周辺だと思うんですよね。
 そういう意味では、それを核として、さらにそれを魅力的なものにしていくというチャンスがあると思うんですよね。
 遅れているという考え方は、新たなチャンスでもあると、私はそう思って、今はこのプロジェクトが始まったんじゃないかなと思っています。
 もともとこの発想は、熊本地震で傷んだときに、くまもと復旧・復興有識者会議のメンバーである谷口東大教授が、今チャンスがあるんじゃないかというふうに、有識者会議で発言されて、熊本版シリコンバレーがあるじゃないかという話をしたので、そういう形で改めてこの哲学を理論化をしたところであります。

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質疑応答

球磨川治水について・その1

(幹事社)
 現場でも聞かれていると思うんですけれども、球磨川の住民の意見を聴く会、農林水産団体もすでに終わったと思うんですが、農業団体からはダム推進とか、ダム検討を含むという、ちょっとダムに前向きな意見が多かったと思います。一方で農地を遊水地として扱うような治水には反対という意見が出たと思うんですけれども、それらの意見についてどのようにお考えでしょうか。

蒲島知事記者からの質問に答える知事の写真
 農林水産業団体の水産(団体)を除きますと、やはりきちんとした治水を行ってほしいと。そしてダムによる治水を行ってほしいというふうに明解に言われたと思います。
 それは、多くの人吉・球磨地域の農家の人の意見を代表するという意味があったのかなと思います。
 ただ農地というのは、農家の方々の命ですから、それを遊水地として使うのはちょっとやめてほしいという話がありました。そういう意味で、全ての農地を一律に遊水地として使うわけではなくて、例えば高齢化した農家の方々に、国・県・行政からの所得補償といいますか、そういう形でお支払いしながら農地を使っていただき、そして何か水害があったときにはそれを遊水地として利用させていただくとか、いろんな方法があると思うんですね。だからそういう、皆さんに受け入れられるような形で、今流域治水という考え方がかなり合意形成されていますけれども、いろんな治水を流域で考えるというなかで遊水地も考えていくのかなと。そういう意味で、農家の方々にとっては特に大変だなという、そういうふうな気持ちで、ご意見をお聞きしましたけれども、そういうさまざまな方法を駆使、利用しながらこの地域の安全・安心と、それから財産と人命を守るような、そういう治水対策、治水の方向性を決めていきたいなと。
 同時に、もう一つは皆さんが、とりわけ昨日反対派の方々がおっしゃっていたのは、「ダム反対」というのはやはり環境とかそういうのを守ってほしい、あるいはダムがあることによる恐怖に耐えられないと、そういうことですね。そういう恐れとか環境破壊とか、そういうものを最小化できる、そういうふうなものが一方であり、かつ、安全・安心を最大化する、それが、私が緑の流域治水、グリーンニューディールというふうに言っているもので、両方の立場、考え方を尊重しながら、これから治水対策を作っていきたいなというふうに思っていますけれども、その前に皆さんのご意見を聞いているところで、いろんな参考になるご意見がありましたので、それを活かしていきたいなと思っています。

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質疑応答

球磨川治水について・その2


 球磨川の治水の件なんですけれども、昨日反対派の方から環境への懸念というのがだいぶん示されたと思うんですが、治水の検証は終わったかと思うんですけれども、例えば治水策ごとによる、ダムとか、ダムなしとかで、環境への影響の検証というか、そういうのはお考えとしてはあるんでしょうか。

蒲島知事
 まだどういうふうな治水対策か示されていませんので、また示しておりませんので、その治水対策を示した後で、実際にそれが実行されるとすれば、当然環境に対する影響、それは大事ではないかなと思ってます。
 昨日のお話でも分かりますけれども、例えば、環境破壊、海の水の汚れ、それから緊急放流、さまざまなことが昨日の市民団体の方々のダムに対する反対意見だったと。大体そういうふうな意味でなかったかなと思います。ただ、そういう恐れがあるということは、それを最小化するということはとても大事なことだと思います。
 その最小化とともに、生命と財産を守る、安全・安心を最大化すると。非常に難しいことではありますけれども、そういうことが昨日の議論を聞きながら感じたところです。 一方では、安全・安心がとても大事だと。あのような災害はもう二度と見たくないというそういうご意見の方々に応えるためには、とにかく安全・安心を最大化すると。
 それから環境を心配される、あるいはダムの恐ろしさを強調される、そういうふうないわゆるダムへの恐怖心というのですか、それから環境問題の破壊に対する心配、そういう方々には、そういう恐れ、環境破壊に対するものを最小化していかなければいけないというふうに思います。
 そういう意味では、グリーンニューディールというのは、その両方を目的としているというふうに考えていただければいいんじゃないかと思います。


 昨日ちょっと意見の中で少し気になったのが、流水型、穴あきダムでも、土砂の堆積とか環境の悪化が見られるというのは、ちょっとどういうデータをもとに僕らも考えたらいいのかわからないんですけれども、そういう意見についてはどう思われますか。

蒲島知事
 それも意見の一つとして当然、これから我々がグリーンニューディールという中で、あるいは流域治水というなかで、いろんな意見を考慮しながら、新たな治水の方向性を決めさせていただきたいなと思っています。
 だから全員を100%満足させることはとても難しいけれども、私は両方の方々のご意見を聞き、そして多くの方々の治水に対するご意見を聞きながら、全員を100%満足させるような治水対策というのはとても難しいんじゃないかとは思いますけれども、ほとんどの人がここの辺がいいなと思う辺りで、治水対策を出すことができれば(と思います)。それが私に与えられた役割じゃないかなと思います。それをまた、国のほうも合意しなければいけないし、あるいは議会のほうも合意しないといけないし、市町村も合意しなければいけないし、そして何よりも県民が合意しなければいけないと。そういう中で、こういうふうな治水でいきたいということを、もうあとひと月しかありませんけれども、とにかく今年中のなるべく早い時期ですから、難しい、困難な時期ではありますが、鋭意皆さんの意見を聞いて、多くの皆様を満足させることができるような、治水対策をこれから示していかなければいけないと思っています。

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質疑応答

球磨川治水について・その3


 球磨川流域治水協議会なんですが、設置の目的や必要性について知事の口から説明をお願いしたいんですが。

蒲島知事
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、具体的にまだ国との協議がありますので、お示しできるのは、今日の夕方4時となります。そしたら報道資料として、もう少し具体的にお示しできると思うんですけれども、今はちょっと合意形成中ですので。


 可能な範囲で何か言えることはございませんか。記者会見の場なので、こちらも重視していただきたいんですが。

【事務方】
 申し訳ございません、国において調整の部分がございまして、午後4時ごろ、国と同時に報道資料として提供させていただきたいと思いますので、ご理解のほどをお願いします。


 そしたら意見を聞く場についてもう一回お尋ねしたいんですが、15日からいろんな団体の方、住民の方、意見を聞いてこられましたが、これまでの段階で、どのような治水を望んでいらっしゃるか、印象等あったら教えていただきたいんですが。

 

記者からの質問に答える知事の写真蒲島知事
 印象でいうと、例えば私が2008年にさまざまな方にお伺いしたときは、ダムはいらないという意見がもっと強かったと思います。
 ただ、そのときによくお聞きしたのが、球磨川の洪水が原因で亡くなられた方は一人もいないという中で、ダムの必要性を否定されていたような気がします。
 印象ですけど、遡ってそれを見ればわかると思いますが。ただ、今回は我々が想像もしない豪雨が来て、何百年に一回の豪雨だったかもしれないけれども、これからそれが常態化するんじゃないかという、そういう恐れの中で、治水をどうするかという、我々熊本県民、流域住民が、新たな体験をしているんですね。新たな体験のもとで、新たな治水のあり方を考える、それが私に与えられた使命だと。また国も、国に与えられた使命だと。流域市町村も、流域市町村長に与えられた使命だと。それを住民の方々と一緒に考えているということで、新たな体験をするということと、これまで60年近く、我々と県民はこの問題についてずっと考えてきたわけですよね。その蓄積を生かし、そして新たな体験をもとに形成される新たな民意、これをベースに治水を考えないといけないという、そういうふうに私は思っています。そしてその哲学としては、グリーンニューディールといったように、まず安全・安心を最大化する、そのためには生命と財産を守れるような治水対策が必要ですよね。それプラス、これまでずっとダムによらない治水というあの発想そのものが、ダムによる環境を守らなければいけないと。だからダムはいらないというそういう方策をとってくれというふうに、2008年に国にお願いしました。それをベースに国は、私は最大限ダムによらない治水を、期間の面もそれから費用の面も含めて検討して、ここでこの前の結果として検証されました。
 それについては繰り返しませんけれども、このダムによらない治水というのに、経費面でも期間の面でも実現可能性がとても遠いなという印象も持ちました。
 それで、あの検証のあと、すべての選択肢を排除しないで考えるというのが今の立場です。そういう状況でありますので、私の感想としてはそこで両方を最大化する。安全・安心を最大化する、そして環境を守る、恐れを最小化するそういうふうな方向でいかなければいけないとこれまでの感想を持ちました。


 2008年当時は、ダムの反対の声が強かったんだけれども、豪雨災害を受けて今回川辺川ダムを望む声が強くなっているというふうにお感じになっておられるということですか。

蒲島知事
 私はそう感じました。あの当時は(ダムを望まれる方は)ほとんどおられませんでしたので。ただ、もちろん昨日は、ほとんどの団体の方々はダム反対の意見が多かったんですけれども、それ以外のところは、2008年と比べると随分ダムを作ってくれという意見も多かったような気がします。
 皆さんも、それを聞かれているので分かると思いますけれども、ただ、住民に近い区長さんたちは、住民たち(の意見)が分かれているから、自分がそれを代表してなかなか言えないと、団体の長の人もそうかもしれませんけれども、そういうことであります。
 それから漁業組合の方々の代表者の方々も、やっぱり(意見が)分かれているというふうな気持ちが、実際にお聞きして代表者としても大変ご苦労されているなというふうには感じました。


 最後にもう一つ。意見を聞く場に五木村が今回入っていますが、目的や背景があったらお尋ねしてもいいですか。

蒲島知事
 すべての流域市町村の方にはお話を聞きたいと思っていますし、それから2008年の白紙撤回のときに最も苦しまれて、そしてダム問題に翻弄されてきた五木村の方々、これは熊本県もそれに対してお応えするために、最大限これまでも五木村と共に振興計画を行ってきました。
 同じように、これからも新たな治水対策を追求していますけれども、そのときに五木村の方々のご意見を聞きたいというのは当然です。
 最初、何で入っていないかというご意見がありましたけれども、最初からいっぺんにはできませんので、一週ごと、そして今度は全体的にお示したほうがいいんじゃないかというので全部お示ししたということです。

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質疑応答

球磨川の治水について・その4


 先ほどあった、球磨川流域治水の協議会の件で改めてなんですけれども、大きなテーマとしては、これまでの検証の結果と、あと今やっている意見聴取、こういうのを踏まえて具体的な治水対策を検討していく場ということでいいでしょうか。
 それと、今国の話がありましたけれども、国が第一じゃなくて県民第一だと思うんで、その辺の大きなテーマについて答えていただきたいということと、このメンバーは改めて国と県と流域市町村以外はないのかどうかというところの2点をお願いします。

 

蒲島知事記者からの質問に答える知事の写真
 まず、当然これからどういう治水のあり方があるかというのを協議していく場です。
 また、これまで意見をお聞きする場で様々なご意見が出てきました。それを踏まえながら、これからそこ(=協議会)で協議していくということになると思います。
 そして、そこ(=協議会)のメンバーは今言ったように、県、国、流域市町村ですけれども、その会合に専門家の方々の意見をお聞きする場があると考えています。
 これは私の考えですけれども、実際に今日の16時にそれも踏まえてお答えできるんじゃないかと思います。
 とにかく、多くの方々から、国、県、流域市町村長の方々以外に、必要に応じて専門家のご意見を聞くべきじゃないかというふうなお話がありましたので、協議会で、オープンの場でお聞きするということになると思います。
 この会議はオープンですので、インターネットでの傍聴が可能であります。それから、資料や議事録についても公開したいと思っています。
 オープンということと、メンバー以外のご意見をお伺いする場がある。それ以外に県民の皆様の意見を我々が聞いておりますので、それも反映されるということだと思います。

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質疑応答

球磨川治水について・その5


 球磨川の治水対策に関してなんですけれども、治水の方向性を決めるまで、住民の意見聴取をされていると思うんですが、昨日の意見でも、いろんな専門家の考え方も改めて示されたところがあると思うんですけれども、治水の方向性を決める前の段階で、専門家から何かヒアリングをしたりであったりとか、知事の流域治水に関しての意見書が届いたりしていると思うんですけれども、そういった国なんかが示した案とは違う考え方を持っている専門家もいると思うんですけれども、そういった人からヒアリングをする考え方はないんですか。

蒲島知事
 さっき言ったように、協議会の場でそういうふうな(場を設ける)方向で考えています。私自身も様々な方から送られてきた資料や論文も読んだりなんかもしていますけれども、さらにそれをベースに球磨川流域治水協議会の場でヒアリングを行うということを当然考えています。


 そうすると、県として治水の方向性を示したあとになると思うんですけれども、前に聞くということはないんですか。

蒲島知事
 後、前というのはスケジュールが決まっておりませんので、まだ何回やるのかも決まっておりませんので、この場ではお答えできません。


 質問ではないんですけれども、要望ですけれども、16時に国が発表するという話で、国がイニシアティブをもってやりたいというならば、国に直接こちらまで来ていただいて、直接説明するとか、資料の投げ込みを東京とかでやるとか、それをメールで送ってくるだけじゃなくて、どういう狙いがあるとかちょっと聞きたいので、国が16時に縛りたいというならば16時にこちらに来て説明するとか、そういうことも考えていただけるようにお願いをします。

 

記者からの質問に答える知事の写真蒲島知事
 私は、最大限皆さんの時間に合わせて、それから県民の方々とお話をするのも最大限皆さんに説明、自分の時間よりもそういうふうにやっていますけれども、やはりそれぞれ立場というよりも、用事を抱えていたり、それからスケジュールがなかなか合わなかったりそういう意味で都合があると思うんです。それぞれの都合にも配慮していかないといけないと、私は常日頃そう思っています。
 例えば、一つだけ言わせていただくと、記者の方も(知事)公邸にいらっしゃいますけれども、何時に来るかわかりませんよね。
 それで、私は必ず(記者の方が)いらっしゃったらすぐ中に入れるか、出発の時間の3分前ぐらいにいらっしゃっても、ちゃんと5分くらい取ってお話をしないとと思いますので、そういう配慮はみんなやっていると思います。
 国と県の上下関係ではなくて、やはり都合の問題だと私は思います。今まで、こうやって国との協議が整っていないからといって、ここでストップしたことはないと思います。
 何か、そういう意味では都合がつかなかったというふうに考えていただければと思います。


 今回だけじゃなくて、基本的に国が責任を持って治水対策をやらなければいけないんですけれども、県が前面に出ていて、国が後ろに一歩引いているような感じがするんです、印象として。
 こういうときに、国が自分たちの権限で説明するということならば、国がもう少し前面に出て説明責任というか、果たすような姿勢が必要じゃないかなとずっと感じていたので、お話しをしたところです。

蒲島知事
 検証委員会なんかを見ていると、国が前面に立って、県も前面に立ってというふうに思いますし、それぞれのできるところでみんな一生懸命やっていると思います。
 今回、2008年のときの私の判断と比較しても、国は大変誠意をもっていろんなことをやってくださっていると私はそう思います。
 それで、どっちが主導権をもつとか、そういうことは考えなくて両方で一番いい治水の方向性を示すべきだというのは共通の考えだと思います。流域市町村長もそうだと思います。
 国との関係について事務方からお願いします。

【事務方】
 今回、治水の協議会につきましては、1日も早く開催しなければならないということで国とも進めてきております。
 そのなかで、本日、一刻も早くこの会議の内容をお知らせしようという思いで国ともやってきておりました。
 その結果、本来はこの場に間に合うようなところで調整をしてきておりますが、どうしても国も走りながら、私どもも調整しながらやってきているというところで、結果としてこのような、どうしても国のほうで調整がつかない部分が、今もまさにやっているというところで、そういったことからなんとか午後4時にはということでという状況でございます。
 ここでというのは十分理解しておりますが、そういった事実だということでご理解をいただきたいと思います。

蒲島知事
 一つお願いですけれども、そういうときには、記者の皆さんに諮って記者会見の場を少し遅くするとか、お互いの時間を考慮し合うようにしたらどうでしょうか。

【事務方】
 はい、承知しました。

蒲島知事
 そういうことにしますので。


 結局会見はするんですか。国が出てこなくても県がするんですか。

【事務方】
 資料をお配りして、質問があれば、私どものほうでお答えをしたいと思います。


 会見を開いて資料を提供するということですか。

【事務方】
 資料提供ということで考えてございます。
 ただ、いろいろなご質問があれば球磨川流域復興局のほうでお答えさせていただきます。(了)

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