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令和6年(2024年)4月5日 知事定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0202647 更新日:2024年4月5日更新

【4月5日】熊本県知事定例記者会見

令和6年4月5日(金曜日)10時~ 

知事定例記者会見

​​日時:令和6年(2024年)4月5日(金曜日) 10時00分から 

場所:知事応接室

会見録

 知事定例記者会見の会見録や資料等を掲載しています。
 なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。

説明資料(スライド資料) (PDFファイル:1.36MB)

発表項目・コメント

質疑応答

コメント

台湾東部沖で発生した地震について

 知事 写真蒲島知事
  最初のお知らせです。
  4月3日に台湾東部沖で発生した地震で犠牲となられた方々に対し、深い哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一人でも多くの命が救われることを切に願っています。
  台湾の皆様には、熊本地震や令和2年7月豪雨の際、励ましの言葉や義援金などの温かい支援により、大変勇気づけられました。
  また、TSMCの進出をきっかけに、台湾と熊本県との交流は、ますます活発になってきています。
  こうした経緯を踏まえ、熊本県と熊本県議会では、災害見舞金100万円の贈呈を決定しました。
  また昨日から、県庁本館1階ロビーなどに復興応援 募金箱を設置しました。県民の皆様もぜひ、御協力をお願いいたします。​

 新年度を迎えて

 最初のコメントです。
 本日は、令和6年度最初の、そして私の任期中、最後となる、第290回目の定例会見です。
 私の任期も、ついに、残すところ10日となりました。
 昨年の12月6日に知事の職を退くことを表明してから今までの間、私は、残された課題に道筋をつけられるよう、懸命に取り組んできました。
 そして、今の本県の良き流れを強く大きくしていかなければならないとの強い思いをもって、県政運営を進めて参りました。
 まず、令和2年7月豪雨については、先週の復旧・復興本部会議でも御報告したとおり、被災地の創造的復興が着実に進んでいます。発災当初に設定した目標は、概ね達成できたと考えています。
 しかし、その一方で、災害を契機とした被災地の人口減少と産業の衰退は、今でもなお、進んでいます。人吉球磨の主要産業である観光面においても、まだ完全には宿泊者数が戻っていません。
 今後も、県として、この大きな課題に向き合っていく必要があります。災害からの復旧・復興の先にある、持続可能な地域への再生と発展に取り組むという、新たなフェーズに移っていかなければなりません。
 次の知事のもとでも、引き続き県庁が一丸となって、被災地の創造的復興の歩みを更に加速させ、「緑の流域治水」の理念のもと、球磨川流域の再生と発展を力強く進めていくことを期待しています。
 また、熊本地震の発生から、間もなく8年となります。県民の皆様の努力と国からの御支援、県と各市町村との連携・協力により、創造的復興が着実に進んでいます。
 本年2月には、九州の横軸である九州中央自動車道の、山都中島西インターチェンジから山都通潤橋インターチェンジ間が開通しました。また、中九州横断道路の整備も着実に進められています
 甚大な被害を受けた益城町においては、役場の新庁舎や復興まちづくりセンターも完成し、徐々に新しい街並みが見えて参りました。今月には、県道熊本高森線4車線化事業で、惣領交差点までの供用を開始する予定です。
 また、本年秋には、「世界津波の日」高校生サミットと、国主催の「第9回防災推進国民大会」を、本県で同時開催します。熊本地震からの創造的復興を国内外に向けて発信するまたとない機会です。成功に向け、引き続き、しっかりと準備を進めていく必要があります。
 そして今、本県は、TSMCの進出により、100年に一度のビッグチャンスを迎えています。新工場も完成し、本年末からは、いよいよ本格的な生産が始まります。本年2月には、第2工場も本県に立地することが発表され、「新生シリコンアイランド九州」の実現に向け、大きく前進しました。
 県としても、今後、人材育成、渋滞・交通アクセス対策、教育環境の整備、地下水保全の取組みを、これまで以上に加速させる必要があります。
 50年、100年先の熊本の発展に向け、TSMCの進出効果を最大化し、それを県内全域に波及させるためにも、国や市町村をはじめ、関係機関と連携して、取組みを進めていくことが必要です
 4期16年にわたる蒲島県政の中で、本県は多くの困難を経験してきました。しかし、本県は今、困難を乗り越えた先に、そのポテンシャルを最大限に生かした地方創生を実現し、さらには日本の「経済」「感染症」「災害」「食料」「環境」の5つの安全保障に貢献できる存在になりつつあると、私は考えています。
 私の任期も残りわずかとなりましたが、「県民総幸福量の最大化」を目標とする蒲島県政の集大成を目指し、任期の最後の一日まで、引き続き全力を尽くして参ります。
 最後に、これまでの間、県民の皆様との深い「相互信頼」の中で県政運営に当たることができましたことに対し、県民の皆様に、改めて、心から感謝を申し上げます。

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発表項目

県庁総合案内のデジタル化について

 知事 写真2次の発表です。
 県庁には、毎日たくさんのお客様にお越しいただきます。
 来庁される皆様の利便性向上のため、今月15日から、県庁の総合案内が、生まれ変わります。
 新たな取組みとして、県庁の本館と、新館1階ロビーに、受付職員がモニターを通して案内を行う、リモート案内システムを導入します。
 これまで本館ロビーの受付窓口のみに職員を配置していましたが、このシステムの導入により、新館ロビーでもお問い合わせが可能になります。
 また、導入するリモート案内システムには、外国語翻訳機能がありますので、外国語を使われるお客様の利便性の向上も期待できます。
 併せて、来庁された方が自ら検索できる総合案内システムを本館と新館に設置します。
 会議案内のためのデジタルサイネージを本館と新館に加え防災センターにも新設します。
 総合案内システムは、どなたでも操作しやすいユニバーサルデザイン仕様のものとなります。
 なお、対面でのご案内が必要な方については、従来どおり職員が柔軟に対応します。
 運用開始後も、来庁者の方々の御意見などを踏まえ、県民サービスの更なる向上を図って参ります。

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発表項目

2023年くまモン利用商品売上高について

 知事 写真3最後の発表です。
 くまモン、入っておいで。
 2023年の、くまモン利用商品の売上高が、1,664億円となり、前年から約74億円増加して、過去最高額となりました。
 また、2011年の調査開始からの累計売上高は、1兆4,596億円となりました。
 新型コロナの5類移行により、観光需要が拡大したことや、くまモンランド化構想の取組みにより、くまモンの全国的な露出が拡大したことなどが、増加の要因と考えています。
 くまモン利用商品の購入を通して、本県を応援してくださっている皆様に、改めて感謝申し上げます。
 こちらの例のとおり、様々な商品にくまモンイラストを利用していただいています。
 くまモン、たくさんイラストを使ってもらって嬉しいね!

 私からは以上です。​

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質疑応答

流水型ダムについて

(幹事社)
 この16年の中で、最も大きく揺れ動いた政策として、川辺川ダムの白紙撤回と流水型ダムの建設容認という御判断があったと思います。
 このダムに関する知事の16年を経ての思いと、建設計画地の、知事の任期中に方向性をつけるというふうにおっしゃっていましたが、まだそこには至っていない状況ですが、今後どういうふうに取り組んでいかれるか、その2点についてお願いします。

蒲島知事
 私は方向転換の政治学と呼んでおりますけれども、2008年最初の川辺川ダム問題についての決断をしたときには、私は民意を尊重して、そのときの民意をしっかりと把握して、白紙撤回という決断をいたしました。
 それに関しては85%の県民が支持してくださいました。
 その後、12年後に皆様も御存知のように令和2年7月豪雨災害がありました。このときに「ダムによらない治水」という決断が本当によかったのかと(考えました)。あれほどの大きな災害が起こったことによって、もう1度これを検証すべきじゃないかということで、30回以上、私自身が流域住民の方々と話し、学問的にも検証し直して、皆様の御意見に耳を傾けました。流域住民の民意が2008年は「ダムによらない治水をやってほしい」と「極限までやってほしい」という御意見であったため、私は白紙撤回の決断をしました。
 しかし、それを超える大きな地震、大きな豪雨災害が起きたときに、やはり私の思い以上の気象変動が起きたのではないかと考え、皆様の御意見を聞いたところ「命と清流の両方を守ってほしい」と。つまり、これから先の球磨川流域の治水は「命と清流の両立を目指してほしい」という、お気持ちに変わったなと思いました。
 そこで、令和2年11月の議会で、私がこれまでのダムによらない治水から流水型ダムを含む「緑の流域治水」に方向転換したいということを申しました。これも私にとっては最大限に考えて得た結論でありましたので、その議会で「もしこれが県民に受け入れられないときには即座に辞任します」と明言いたしました。
その後、今井教授の調査によると、これは中央公論に載っていますけれども、71%の方が「緑の流域治水」、命と清流を守る治水対策を支持するという結果が出ています。このような一人の政治家による方向転換の政治というのは、なかなか受け入れてもらえません。
 でも、この方向転換を71%の方が受け入れてくださったことに心から感謝を申し上げた次第であります。「緑の流域治水」という形で今、国と一緒に同じ方向でやろうと進んでいますけれども、もともと「緑の流域治水」というのは坂東眞理子さんが「グリーンニューディール」と呼ばれたものです。これを日本語で「緑の流域治水」というふうに翻訳しました。このニューディールという言葉に、治水対策をやりながらその地域の経済発展も行おうという意味があります。だから、「緑の流域治水」の形で治水対策をやりながら、地域の開発にもしっかりと取り組むことによって、地域が発展するのではないかなと。今、人口減少にとても悩んでおられますので、そういうものに対応するために、「緑の流域治水」を進めようとしているところであります。
 ただ、今、質問でもおっしゃったように、五木村とそれから相良村の同意を求めていかなきゃいけないなと思っています。五木村と相良村の大事なことは、発展と、それから「緑の流域治水」に対して、皆さんがぜひ同意していただきたいなと思って、ずっとこれまで頑張っていますし、あと10日しかありませんけれども、しっかりと最後まで取り組んでいきたいと思っています。

(幹事社)
 関連するんですけれども、政治学者の知事が実際に知事をお務めになって、初めて分かったことをちょっとお尋ねしたくて。現場でどういうことを感じられたとかいうことを教えてください。

蒲島知事
 政治学者として一番大事なことは、ずっとこれまでやってきた時間的な制約、時間的な緊迫性をもって決断をすることだと私は思います。時間は待ってくれません。そこで自分の最大限の知識をもって、それから県庁の知識をもって、最も正しい判断をしていかなきゃいけない。
 でもそれには、やはり最初の2008年の川辺川ダムの白紙撤回の発言を読んでいただくとわかりますけれども、今求めているのはこうだと。ただ、気象変動のもとにこれはどう変わるかわからないと、そこもちゃんと考えながら、やっていかなければならない。いわゆる人間の限界、能力の限界に対する恐れを常に考えながら決断をしなきゃいけない。
 それが最終的には歴史によって評価されるんでしょうけれども。今回は非常に早い12年という、早い段階で我々が知ったと。この環境の変化の速さと想像もできないような災害も起こったと。熊本地震もそうですよね。やはり想定しなかったような大きな地震ですけれども。ただ、私がいつも言っているのは、やはり、それが起こった後で迅速に対応する。それから対応の中で県民の痛みの最小化を考える。そして、復興にあたっては前よりもいい形で創造的復興を行う。この原則は全然変わっていないです。そういう意味では原則をきちんと持つこと。自分が知らないことへの恐れ、そういうものもきちんと持ちながら政治をやらないといけないなと思っています。政治というのはそういうもので、いくつも政治レジームがありますけれども、やはり発災直後に示した三原則、一つ目は痛みの最小化、二つ目は災害からの創造的復興、三つ目はその創造的復興を熊本の更なる発展、社会の更なる発展に貢献するように行動するという部分は、ずっと変わらなかったし、政治学者としても、これから持論の中に入れていきたいなと思っています。

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質疑応答

熊本の農業における2024年問題について

(幹事社)
 2024年度が始まったということで、2024年の物流の問題を伺いたいんですが。特に農業の場合は地理的に東京・大阪に遠いという感じが熊本の場合はあると。しかも、船などの代替輸送も特に熊本は厳しい場所にある。下手すれば、2024年問題で一番影響を受けるのは熊本の農業だと思うんですが、そのあたりの認識と対応を聞かせてください。

蒲島知事
 物流の問題。これはもう熊本だけの問題じゃないと思いますが、やはり遠隔地にある熊本の農業にとっては、とても大きな問題だと思います。価格転嫁はですね。やはり、これは日本的、世界的に(問題と)認めなきゃいけないことじゃないかと思います。物流のコストというものをどういう形で最小化するかということを常に考えなきゃいけない。物流コストをどのような形で、みんなでシェアするかと。そういう意味では、これは国も、地域の問題だということではなくて、一緒になって考えていただきたいなと思います。
 熊本も一生懸命、とにかくコストを安くしようとする。それから今、脱炭素もいわれていますけれども。昨日の記者会見でもありましたが、熊本から、廃油を使った物流コストの低減と、環境への負荷への最小化が始まっていくという可能性を感じました。できることをどんどん熊本も考え、やっていかなきゃいけない。そして、どういうふうにこの物流問題に貢献できるかということ、そしてコストを安くする様々な取組みを農家の方々ともっと一緒になって、これから考えていかなきゃならないと思います。次の知事がとても若くて有能なので、これにも貢献していただきたいなと思っています。


 全国的に考えないといけない問題なんでしょうけれども、例えば、九州でも宮崎とか大分とか鹿児島は船を使って、トラック輸送の代替を進めたりしているのですが、熊本は遠い以前にそういう船も使いづらい。地理的要因ということで最も影響を受けるんじゃないかなという気もするんですけれども、そのあたり知事の見解とお考えをお聞かせください。

蒲島知事
 物流拠点としての八代(港)の活用とか、そういう海に近いところ、あるいは熊本港も(活用する)。中九州横断道路も九州中央自動車道も横軸がなかったところに(整備が進んで)、これから熊本も高速輸送システムがもう少し発展していくんじゃないかなと思います。そういう物流コストのことを考えながら、私の場合は熊本港の岸壁の強化とか、八代港のガントリークレーンとか、足りなかったかもしれないけれども、取り組んできました。

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質疑応答

台湾東部沖で発生した地震への支援等について


 台湾地震の関連でお伺いします。知事、冒頭でもコメントでいただきましたけれども、知事も台湾に訪れていますし、今でも親交のある方が数多くいらっしゃると思います。こうした中で、改めて知事ご自身が今回の台湾地震を受けてどのように感じられたか教えてもらってもいいでしょうか。加えて、県としては、今後、つながりが深い台湾への支援をどういうふうに進めていこうと考えていらっしゃいますでしょうか。

蒲島知事
 我々も(熊本)地震でとても苦しみました。そのときに、台湾の方々が真っ先に駆け付けてくださったんです。そのときの喜び、うれしさといいますか。頼清徳さんと陳菊さんが一緒にいらっしゃって、真っ先に温かい言葉と義援金を持ってきていただきました。これを我々も行動として返さなきゃいけないなと思って、今、議会と県庁と県民の皆様にも訴えて、どういう寄り添った支援ができるかと。福岡の台湾弁事処とか台湾人コミュニティとかJASM等を通じて、支援のニーズを確認中でありますし、その結果を受けて、迅速に対応していきたいと思っています。今、起こったばかりで、何が起こっているかというのは、なかなか熊本から見るのは難しい。しかし、気持ちだけはそういう気持ちで。それと一番感謝しておりますので。私自身も熊本地震だけじゃなくて豪雨災害のときも、しっかりと台湾の方々から助けていただきました。何よりもTSMC。TSMCが来るのは、最初はマスメディアで知ったんですけれども、その前に台湾の議会の方々、それから高雄市と我々は姉妹提携をもっていますけれども、高雄市の市役所の方々がマンゴーを送ってきた。それがたくさん送ってきたものですから何だろうって思ったら、そのあとでTSMCが来るということで、前祝いだったんだなと。その優しさが今でも忘れられませんので、常に親しみを感じながら、寄り添って対応していきたいなと思っています。


 ありがとうございます。
 そしてもう一点だけ。同じく台湾地震の関連なんですけれども、今回、東部沖を震源としていますけれども、TSMCが一時的に新しい工場の建設を停止したという発表もされていますが、昨夜の声明で工場設備の復旧率が既に80%を超えているとも発表されています。こうした中で熊本県内で言いますと、年内に予定されている第1工場の本格稼働。そして第2工場の建設開始というふうになるんですけれども、こういったところで影響というのはないかどうか。それについてはどういうふうに見ていらっしゃるでしょうか。

蒲島知事
 今、私のほうに、日本のTSMC関係についての遅れとか、あるいはその影響とか、聞いておりませんので、これは淡々と台湾の動きと違った形で日本は動いているのかと思いますが。どうですかね。誰か担当は、いますかね。

【担当課】
 企業立地課でございます。
 特にJASMさんの方で何か影響があるということは聞いてございません。

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質疑応答

熊本県旅行助成事業「くまもと再発見の旅」調査委員会について


 県の旅行割引事業の不適切受給問題に関して半年近く経っておりますが、第三者委員会の検証結果がまだ出ていません。蒲島知事の任期中にまだ目途がついていない状況だと思いますが、今の受けとめを教えてください。
 それと結果が出た際に関しては、会見やぶら下がりなど公の場でご対応などは応じていただけますでしょうか。

蒲島知事
 私はこの問題が出たときに、その日のうちに、熊本県としてこれは大変な問題だから調査いたしますと言いました。すると、早速それに対して、問題を提起された方と、それから弁護士の方から、当事者の県庁は出て来るなということでした。というのは自分たちが問題を起こして、自分達で調査するなんてと。私はそのときに、そうかと。この問題を提起された方が、県庁に出てほしくないと。そこで第三者委員会にお願いしようということで、これについてはあの当時、熊本県庁の中で知事として、県庁が口を出すなと、第三者委員会にみんな任せなさいと言明しました。そういうこともあって第三者委員会ができて、その運営も調査報告もすべて第三者委員会にやっていただきたいということをお願いした。それは多分皆さん、合意争点だと思いますよ。あのときの記事を見れば分かりますけれども。それでずっと私は第三者委員会の方々の御意見を待って、こっちから口をはさむことはありませんでした。それが求められたんだと私は思います、その当時は。最近になって、何してんだ県庁と。自律性がないじゃないかとか、そういうふうな論調に変わってきています。でも、まだ第三者委員会の方が懸命に今、議論しておられますので、その第三者委員会の方が発表の日を含めて、決められることだと思いますし、それについて知事が早く出してくださいとか、そういうことを言うべきじゃないと思っています。県庁も言っていないと思います。ただ、その時期を含めて、委員会もきっと一生懸命考えておられると思いますが、私にはそういうシナリオとか、それから状況とか時間とか来ておりません。皆さんや問題提起された方がそういうふうに手を出すなと、第三者委員会の意見を待つべきだと。これについては待つべきだと思います。その対応については当然知事ですから、今おっしゃったような形で対応するのが知事の役割ですから。ただ、それをいつですかとか、それはちょっと分からない。


 ありがとうございます。
 その結果が任期中に出なかった場合、次の知事にその対応も一任されるという考えでいいでしょうか。

蒲島知事
 これが出る出ないも含めて調査中の話なので、どうしますというのはちょっとここではコメントできません。

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質疑応答

くまモンについて


 今日の発表の中で、くまモンの商品が過去最高額ということが出ました。知事にとって、くまモンというのはもう本当に身近な存在でもありました。この良き16年振り返って、くまモンが知事にとってどういう存在であったのか。そして今後、くまモンに期待するところを教えていただいてもよろしいでしょうか。

知事 写真5蒲島知事
 私が最近上海にある復旦大学という、中国では第2位の大学だと言われていますけれども、そこでくまモンの政治経済学という形で講演をしました。そのときに最初に「知事が辞めると言っているけれども、くまモンはどうなりますか」という質問が学生からありました。私が答えたのは、くまモンはすべての県民から愛されるので、そういう愛されているくまモンは誰が知事になっても大事にしてくれると思います。そういう意味では、くまモンは特別な存在であると思います。嫌いな人がいないですよね、ほとんどの方が大好き。
 私は、それを理論的にくまモンの共有空間という形で中央公論に発表したことがあります。この共有空間は何かというと、くまモンを愛する人の空間が、どんどんどんどん広がっているんですよね。そして、これはロイヤリティフリーといいますか、「楽市楽座」だからできたことじゃないかなと思います。これは使用料を無料にしたことによって、くまモンを好きな人が自由にその空間の中に入って来て、くまモンを愛し、くまモンを使って、さまざまな形でのビジネスをやったりする。それで利益を得ることもできる。だから、これを自由にしたことが「楽市楽座」の成功になって、そしてくまモンを愛する人が自由に行動することができた。そういう意味では、この共有空間がどんどん広がっています。これは想像以上に広がっていると私は思っています。
 例えば、2011年の調査開始から1兆4,596億円という巨大なくまモン関連商品の売り上げがあると。これだけの空間が広がっているわけですよね。そこに自由に出入りして、特に我が国の人であれば、元気をあげることもできるし、くまモンをずっと愛するビジネスを作り上げることもできると。もし、くまモン商品の個々の部分について、申請に対する許可制にしていたら、みんな考えないんですよね。その許可のとおりしかやらない。そうすると今度は広がってこないでしょ。
 一番私が興味深かったのは、キリンビバレッジという午後の紅茶を作っているところがありますよね。午後の紅茶は、大体1,000万本ぐらい売れるらしいです。午後の紅茶が何でそんなたくさん売れますかと社長さんに聞いたところ、理由は三つあると。まず、午後の紅茶が美味しい。二番目にくまモンが大好き。三番目にこの午後の紅茶が売上の中からサンキューって言って、3円90銭を熊本県に災害対応として寄付される。この3円90銭というものを、飲んだ人たちが熊本に貢献しているという、社会に貢献しているという喜びを感じる。そういう形のくまモンの使い方があって、それが巨大に伸びているというふうに思います。
 くまモンはこの熊本に、県民に対するプライドも、夢も、安全・安心も、そして経済的な豊かさも与えてくれるなと。こんな有能な県庁の職員はいないんじゃないかな。くまモンは、私が考える世界一の公務員じゃないかなと思います。威張らないし、常に微笑みとユーモアを持って、県民を愛してくれるので、こういう県庁の職員を採用できたことを私自身はとても誇りに思っています。きっと県民も誇りに思っているじゃないかなと思います。
 最初はくまモンが載っていない午後の紅茶もあったらしいんですけれども、それは売れないわけです。くまモンが載っていないと売れないので、すべてのキリンビバレッジにくまモンのマークが載るようになりました。

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質疑応答

JR肥薩線の復旧について


 3日の肥薩線の検討会議の件でお伺いします。県とJR九州で肥薩線を鉄道で、川線地域ですけれども、復旧する方針を確認しました。その日の知事の囲みの取材で県民との約束を果たしたという話もありました。任期中までに道筋をつけると知事が発言したことは承知をしているんですが、実際最終合意までに向けては課題が多い中で、実際約束を果たしたとそれでも言えるのかどうかお伺いします。。

知事 写真4蒲島知事
 私は言えると思います。というのはJRさんが鉄道で復旧するとおっしゃった。まだ検討すべきところあるかもしれないけれど、大筋で我々が合意したわけですから、これがひっくり返ることはないでしょう。ひっくり返ったらもちろん責められてもいいですけれども。だから問題点はもちろん、今年度末までに詰めていく。私が辞めた後、次の知事がしっかりやるでしょう。でも、そうならない(ひっくり返らない)ような合意を形成しているということは申し上げたいと思います。


 わかりました。肥薩線についてもう1問。実際に鉄道を復旧する際には多額の公金を投入することになりますが、それについて流域の沿線の住民から懸念する声もあります。そこについて、公金を投入することへの県民の理解を得られたんでしょうか。

蒲島知事
 私はそれを含めて今回の合意が形成できたと思います。必ず何かやる時にはプラスとマイナス面があります。それで必ず反対もあるし、賛成もあります。今回の肥薩線に関しては球磨川流域、人吉球磨の人口減少対策、これからの発展になくてならないものだと思っていますから、それには公費を投入しても十分将来的には皆さんの理解を得られると思います。
 ぜひ、世論調査でもやってみてください。公費の投入も県議会の方々の理解を得ながら、一昨日も議会の方々の努力に対しては感謝を申し上げました。確かに、これで肥薩線を復興して金がかかるんじゃないかと(思われる気持ちは分かる)。でも、私が聞く限り、肥薩線の復旧に反対という意見の人はそんなにいなかったような気がします。そこで判断するのが政治家ですよね。ここで公費を投入する。それも判断するのが政治家。その責任は必ずいつも取っていますし、歴史が判断する。歴史の証人がいると思いますけれども。
 今日の段階で反対者がいるじゃないですか、とおっしゃったけど、そのときはやっぱりちゃんと世論調査かなんかしないと。県全体で私は賛成の方が多いと思いますので、そういう判断をした。公費を投入してでも肥薩線は復旧すべきだと。鉄道で復旧すべきだと。ものすごくハードルは高かったですけれどもね。でも、そのハードルが高くても、やろうと思ったことは政治家はやらなきゃいけないし、政治家は約束を守らなきゃいけないから、任期中にできたらというふうに思います。

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質疑応答

4期16年の任期について


 知事は必要があると思って4期16年務められたと思うんですけれども、県政史上最長ということで、長く務められたことによるプラスの面とマイナスの面それぞれどういうふうに感じてらっしゃいますか。

知事 写真6

蒲島知事
 私は、今振り返ってみるとそんな長くやるとは思いませんでした。私自身も、それから県民も。2期終わったときに、1期目に3つの困難。川辺川ダム問題、それから財政再建、そして水俣病問題。財政再建は2期で大体1兆700億円あった借金を1,500億円は返すことができた。貯金は倍にすることができた。それがなかったら災害対応はできなかったかもしれません。
 それから、水俣病問題については特措法を必死で野党の皆さん、自民党の皆さんも含めて、私もロビー活動をして、与野党全部で賛成していただいた。そこで「あたう限りの被害者を救済する」という文面が入って、結局あたう限りというところまで入った法律は意外と少なかった。ただ、これは時間が経つと大きな疑問も出てきますので、今、それが裁判で問われている。
 3つ目、川辺川ダム問題についてはさっきから話していますので、このような形で今、流域治水という形でやっている。
 2期目は、3つのことが思い出になっています。稼げる農業を1期目からやることで実りが出てきたなというのが1つ。それから、1期目に登場したくまモンが見事成功した。3番目は熊本市の政令都市のために知事として努力した。
 ここで辞めようかなと。みんな辞めろと言っていましたので。特にこの前亡くなった五百旗頭真先生がここで辞めたほうがいいよ、そして東京に帰ってきたほうがいいよと(おっしゃったので)。ちょうどその当時ハーバード大学からも、もし3期目をやらないんだったらポスト用意するから来たらどうか、と話があったので、私もぐらぐらとしたんです。
 そうしたら、やっぱりもう辞めたほうがいいって言いに来た五百旗頭先生がこうおっしゃった。「蒲島君、今、辞めることを忠告に来たけれども、皆さんが期待しているから、何かあったときに石を投げられるかもしれない。」
 そのときに、何かあったときというのがよくわからなかったけれども、今になってみると大地震ですよね。(辞めていれば)辞める直前に前震、辞めた次の日が本震。本震の日に私は飛行機で東京に帰る予定にしていたわけです。その前に3期目をやると決めたから、東京に帰っていなくて、そのときよかったなと思ったんです。
 こういうことがあると。期待されているときに、そこにいないということがいかに県民にとってはダメージかと。そういうこともあって、3期目を残ってやってよかったなと。だから後悔は全くしていません。やってよかったなと。
 4期目はどうかというと、4期目には創造的復興をやり遂げないといけない。そこでまた7月豪雨災害があります。4期目はコロナがあったので、私自身は全く選挙運動をしていなくて、外に出なくてコロナ対策をやったんです。
 そのとき言われたのは、コロナで従業員に来月払う金がないというんです。そこで、即決をしないといけない、専決予算を。専決予算をするためには知事の部屋にいないといけない。それをやるために選挙運動を全くしませんでした。選挙運動をしなかったけれども、やるべきだと思って、そのまま選挙には出馬したけれどもね。
 そういうことを考えると、確かにマイナスの効果もあるかもしれないけれども、やはりそれを避けるためには自分は「公僕」であるべきだと。県民のためにいるんだと。県民が悲しまないようにいるんだと。県民が何か恨まないようにいるんだという「公僕」というのがとても大事で、公僕意識がある限り、あるいはまだ力がある間は、長くやるべきじゃないという考えだけが正しいんじゃないなと。
 私の場合は3期目で続けて、自分自身もよかったと思うし、県民も多分、私がいてよかったと思ったと思います。そういうときに自分で判断するべきであって、あるいは歴史で判断するべきであって、マイナスは何ですかと言われると、私はやってよかったので。県民のためにはよかったなと思っています。

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質疑応答

ハンセン病問題に係る全国的な意識調査報告書について


 ハンセン病について、厚労省が3日に全国の意識調査の結果を公表したんですけれども、そこで2001年の強制隔離政策を違憲とした熊本地裁判決について、7割が知らないという回答だったということを発表しました。この件に関して県としての受け止め、また啓発活動が足りていたのかということに関して知事の考えを伺いしたい。

蒲島知事
 全国的に国の強制隔離政策を違憲とした判決を7割が知らなかったと回答されたということは、ハンセン病問題に対する啓発が不十分であるという結果の表れだというふうに認識しています。
 ただ、本県では約6割の方が知っていると回答されています。だから、全国的な傾向と比べると約6割の方が知っていると回答されていることは、熊本県においては平成15年の宿泊拒否事件を契機として、啓発活動を強化したり、私が知事になってからはハンセン病問題啓発推進委員会を立ち上げて、積極的に啓発活動に取り組んできた結果だと思っています。
 ただ、おっしゃるように全国的に7割の人が知らないということは、これも啓発活動を継続してやらないと熊本も同じようになる可能性ありますので、しっかりとやっていきたいと思っています。
 ただ、全国では7割の方が知らないと答えて、熊本では6割の方が知っていると答えてくださったことに私は県民にとても誇りを覚えます。この差は相当大きいと思います。

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質疑応答

五木村及び相良村の皆様へのメッセージ

(幹事社)
 再度流水型ダムの関係で一点伺います。71%の方が豪雨後に賛成に転じたという話がありましたけれども、一方で立地が計画される流域住民は非常に複雑な思いも、今回いろいろ二転三転している状況については、思っておられる方も非常に多いと思います。この16年終えられるにあたって、この流域住民、五木村や相良村を中心とした皆さんに対する思いといいますか、メッセージございましたらお願いします。

蒲島知事
 私は五木村と相良村の皆さんには、常に、二度も自分の方向転換をして、翻弄してしまったことに、心からお詫びを申したいと思っています。
 そのお詫びをずっと考えながら、やはり五木村と相良村の振興にしっかりと最後まで取り組んでいく。そしてこの問題に関して、五木村と相良村の方々が、やはり緑の流域治水を一緒にやってもいいと思っていただけるようなところまで、私としては五木村の将来、相良村の将来、発展に取り組んでいきたいなと思っております。
 今度、私は、東大の先端研にいきますけれども、そこからぜひ、五木村と相良村の振興といいますか、教育問題にも、熊本県庁としてもあそこに分校があるんですけれども、東大と熊本県教育委員会と一緒になって、最高の誇りある教育ができるようやっていきたいなと思って、今取り組んでいるところです。

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