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令和3年(2021年)11月18日 知事定例記者会見
知事定例記者会見
日時:令和3年(2021年)11月18日(木曜日) 10時00分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や報道資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
コメント
発表項目
質疑応答
- 「緑の流域治水」の今後の見通しについて
- 川辺川ダム建設促進協議会からの要望について
- TSMCの工場進出に関する受け入れ態勢について・その1
- 3回目のワクチン接種について
- 忘年会シーズンを迎えるにあたって
- 「緑の流域治水」の進捗状況の受け止めについて
- 「緑の流域治水」に対する住民の方の理解について
- 新型コロナの行動制限緩和について
- TSMCの工場進出に関する受け入れ態勢について・その2
- 令和2年7月豪雨に係る共同検証について
- 「麦わらの一味」巨大壁面パネルについて
コメント
治水の方向性の表明から1年について
蒲島知事
最初のコメントです。
昨年11月19日に、県議会で球磨川流域の治水の方向性を表明してから、明日で1年になります。
命と環境の両方を守りたいという流域の皆様の強い思いに応えるため、新たな流水型ダムを含む“緑の流域治水”を進めていくことを決断し、議場に臨んだことを、昨日のことのように思い出します。
非常に難しい決断でしたが、あの時、復旧・復興の前提となる新しい治水の方向性を決断したからこそ、「復旧・復興プラン」や「流域治水プロジェクト」などを直ちに策定することができました。
これにより喫緊の治水対策、住まいや生業の再建の加速につながったと考えています。
例えば、住民の皆様が望んでおられた河川の堆積土砂の撤去については、今年の出水期までに完了することができました。
また、国から宅地かさ上げや遊水地、引堤などの考え方が示され、新たなまちづくりや集落再生に向けて、各地区において具体的な検討が進められています。
さらに、先日、“緑の流域治水”の理念が盛り込まれた河川整備基本方針の変更案が河川分科会で了承され、安全・安心の確保に向けた法的手続きも進んでいます。
この変更案では、気候変動による将来の降雨量の増加リスクを、流域治水で受け止めていくという考え方への転換が示されています。 併せて、流域における暮らし、歴史・文化などへも配慮されています。
まさに、ここ球磨川において、治水のパラダイムシフトが生まれ、今後の治水計画のモデルとして広く全国に発信されることが期待されます。
このように復旧・復興に向けた取り組みは着実に進んでいます。
しかし、今なお3,300名以上の方々が、仮設住宅などで生活されています。そのため、最重要課題である住まいの再建に向けた取り組みを、更に加速させなければなりません。
引き続き、誰一人取り残さないという強い決意のもと、お一人お一人の意向にしっかりと寄り添いながら、創造的復興を成し遂げて参ります。
コメント
TSMCの工場進出に関する受け入れ態勢について
蒲島知事
次に、先日TSMCとソニーから発表された、新工場建設計画についてです。
このたびの新工場建設は、半導体産業の更なる集積とともに、熊本が経済の安全保障の一翼を担っていくうえで大きな契機となるものです。
県としては、国家的プロジェクトでもある、この新工場建設を円滑に進め、その波及効果を高めていくため、来週にも県庁内に部局横断的な組織を立ち上げます。
これにより人材の育成・確保や渋滞対策などの課題解決とともに、熊本の可能性を広げる取り組みを、スピード感を持って進めて参ります。
そして、TSMCの工場建設が、熊本地震からの創造的復興を目指す本県にとって、50年後、100年後の熊本の発展につながるよう、全庁を挙げて、対応して参ります。
なお、組織の詳細等については、決まり次第、お知らせいたします。
発表項目
【「麦わらの一味」巨大壁面パネルおよびゾロ像の設置について
蒲島知事
続いて、発表に移ります。
県では、漫画『ワンピース』と連携した熊本地震からの復興プロジェクトを進めています。
この度、プロジェクトの一環として、阿蘇くまもと空港に、全長30メートルを超える、巨大な「麦わらの一味」の壁画パネルを設置します。
パネルのお披露目は12月4日を予定しています。年末年始に帰省される方や、国内外から熊本を訪れる皆様を、『ワンピース』の仲間たちがお出迎えします。
そしていよいよ、9体目となるゾロ像の除幕式を、来年1月22日に大津町の大津中央公園で開催いたします。
除幕式への一般参加者の募集については、新型コロナウイルスの状況を見極め、12月中旬に決定します。
各地に像が設置されたことで、周辺の観光地を含めた新たな周遊ルートが形成されています。
ぜひ、9体のワンピース像を巡りながら、創造的復興が進んだ熊本の姿をご覧いただきたいと思います。
なお、残るジンベエ像につきましては、詳細が決まり次第、皆さまにお知らせいたします。
発表項目
ミニチュアアートによる熊本復興プロモーションについて
蒲島知事
最後の発表です。
くまモン、入っておいで。
~ (くまモン入室) ~
蒲島知事
県ではこの度、若年層の利用も多いインスタグラムなどのSNSを活用した新たなプロジェクトを本日からスタートします。
プロジェクトは「ミニチュアくまもと旅するモン」です。
このプロジェクトでは、本県出身で、著名なミニチュア写真家・見立て作家の田中達也さんと連携します。
田中さんには、ミニチュアのくまモンが熊本を旅するミニチュアアートを制作していただきます。
こちらが本日公開した第一弾の作品です。
県の特産品のスイカ、なす、トマトを使って、イルカが飛び跳ねる夏の天草を舞台に、くまモンが旅に出発する様子を表現しています。
このように県のさまざまな特産品で作られたミニチュアの世界をくまモンが旅してまわり、創造的復興が進む熊本の魅力を伝えていきます。
そして、このプロジェクトをさらに盛り上げるために、ARのくまモンを用いたSNSキャンペーンを併せてスタートします。
スマートフォンの画面の中で、自由自在に動かすことができるARのくまモンを使って、多くの方に自由な発想でくまモンに旅をさせてほしいと思います。
このARのくまモンは、とてもよくできていますので、ぜひ資料の二次元コードをカメラで読み取って、実際に写真を撮影してみてください。
世界中に330万人を超えるSNSのフォロワーを持つ田中さんのミニチュアアートをとおして、熊本の魅力・くまモンの魅力を全世界に発信していきます。
じゃくまモン、ありがとうね。バイバイ。
私からは以上です。
質疑応答
「緑の流域治水」の今後の見通しについて
(幹事社)
まず、ダムについてなんですけれども、容認から1年ということで改めて伺いますが、知事も被災地の方と直接お話をされて、(住民の方から)お話を聞かれていると思いますが、ダムや遊水地を含めて、この先を見通せないために、生活再建のめどもたたないという不安をお持ちの高齢の住民の方々がいらっしゃいますけれども、着工ですとか、完成ですとか、今後のスケジュールについてお話できることがあればお願いします。
蒲島知事
ご存じのように表明からちょうど1年経ちました。表明の段階では(治水の方向性を決めるには)まだ早すぎるのではないかと、普段の生活(の再建)がもっと最優先されるべきじゃないかというご意見がとても多かったと思います。
ただ、振り返って考えてみると、あの時期に表明してよかったなと思います。まず皆さんが心配していた堆積土砂を昨年の5月までに撤去できました。
そのようなことを踏まえて、私が仮設住宅を訪ねてみますと、今はむしろ早くきちんとした緑の流域治水を進めてほしいという要望が多いと感じます。
河川整備基本方針については、パラダイムシフトと私は思いますけれども、これまでの堤防とか、ダムとかそういうハード面から、緑の流域治水という流域全体で守る、そのような治水の方向性に今進んでいます。河川整備基本方針もそういう形で了承されています。
方向性は決まりましたので、これから国のほうがダムの諸元なり、どのような構造になるとか(検討されていくかと思いますが)、その前にしっかりとみなさんに意見を聞かなくてはいけないと思います。
そういう意味で、皆さんの意見を聞いて、不安の声も聞いて、今後も緑の流域治水の全貌を皆さんに早くお知らせするということがとても大事だと思います。
国のほうで河川整備基本方針はもう方向性が決まりましたので、それに沿って時期も含めて、これからの治水の計画が発表されていくと思います。ただその間、家を建てたけれども不安だとか、建てていいかどうか不安だとか、そういう声がたくさんありました。
そういうハードも必要ですけれども、ソフト対策、今どうやって避難するかとか、そういうことについてもきちんと我々が皆さんと一緒に考えなければいけないと。また水災保険の加入を今、球磨村でやっていますけれども、他の市町村でもこれを取り入れようという動きがありますので、そういう保険でまず守ることも可能だなというふうに思います。
結論的にいうと、緑の流域治水の理念の下で、球磨川流域の皆さんの安全安心を早期に実現できるような形でこれから進めていきたいと思います。
ただ、いつまでにできるとか、この段階ではまだ国のほうが、しっかりと諸元を設計していく段階になるし、その前に何よりも環境アセスメント、これをきちんとやらなければいけないと思います。
そういう意味で、方向性は決まっていますが、具体的な日時、時期までは、ちょっとこの段階では私のほうから皆さんにお知らせすることはできません。
Q
国から示されるのがいつ頃かということも難しいですか。
蒲島知事
整備計画がきちんとできた後で、それを踏まえた形で流水型ダムと他との関連ですよね、遊水地であるとか、そういうものが、この段階で私どもも国からいつまでということは全く聞いていません。ただ、急いでいるということは国のほうから言われていますので、この段階でいつ皆さんにお知らせできるか分かりませんけれども、国のほうもかなり急いでやってくれるんじゃないかなと思います。
Q
それから今のお話にも関連するんですけれども、県ですとか、自治体の方は、被災地の方からすれば結構お話を聞いてくれているという印象もあるみたいなんですけれども、国に自分たちの声が届いているのかみたいなことを不安に思っていらっしゃるかたもいらっしゃるようなんですけれども、その点はいかがでしょうか。
蒲島知事
皆さんこの前の(河川)分科会のほうを聞かれたと思いますけれども、国のほうもとても一所懸命に、委員の方もしっかりと緑の流域治水という新たな方向に、適切に反応されていると私は思いました。
そういう意味で、市町村、それから県、そして住民の方々、私どもの意見は、そのまま国のほうには通っていますので、私は十分住民の意思は国のほうに伝わっていると信じています。
(幹事社)
ありがとうございます。
質疑応答
川辺川ダム建設促進協議会からの要望について
(幹事社)
今のと関連して、先日、球磨川流域の12市町の川辺川ダム建設促進協議会のメンバーの方が、県庁に要望書を持ってこられたんですけれども、そのなかで、今の流水型ダムの容量を最大限活用してほしいというなかで遊水地を国が計画していますけれども、それを確保するのは難しいのではないかというような話が、森本さん(※錦町長)から出たんですけれども、その点に関しては知事どう受け止めていますか。
蒲島知事
先ほど言ったように、住民の要望なり、それから市町村長の要望などが国に届いていると思いますので、それも含めて国のほうは流水型(ダム)の形、そういうものも考えられるんじゃないでしょうか。そういう要望が今の段階でどんどん国のほうに届くことが大事だと思います。
質疑応答
TSMCの工場進出に関する受け入れ態勢について・その1
(幹事社)
話題を変えまして、発表項目のなかでTSMCがありましたのでお尋ねしますけれども、今知事のお話のなかで、来週にも県庁内に部局横断的な組織を立ち上げますとのお話で、詳細はこれからということなんですけれども、人数とか具体的に何をするのかというのをもうちょっとご説明を。
蒲島知事
それも含めて検討中です。人数が何人で、どの部局が入ってなど、そういうことじゃなくて、全庁的に一番能率的、そして効率的な組織を立ち上げたいと思っています。すぐこれは立ち上がりますので、決まり次第お知らせします。
ただ、今日は発表だけでありますので、人数とか具体的な形まではこの段階ではお知らせする段階ではありません。
質疑応答
3回目のワクチン接種について
(幹事社)
コロナのことでお尋ねしたいんですけれども、3回目のワクチン接種の動きが本格化していますけれども、県はグランメッセに県の大規模接種会場を設けて対応されましたけれども、3回目に関して、同じようにグランメッセに県が大規模接種会場を設ける予定はありますか。
蒲島知事
3回目でまず急いでいるのは医療関係の方々ですよね。この方々に早く3回目の接種をしてほしいと。医療を守るためにも非常に重要なことであります。
3回目の接種のワクチンの配分が現在7万2,540人分来ています。そして、市町村が12月1日から接種できるように支援しているということです。
それから3回目(の接種)ということになると思いますけれども、まず医療従事者の方、それから年齢層の高い方が早く打っておられますので、8か月ぐらいですか、2回目の接種完了から原則8か月以上とってくださいということですので、その時期になるまでに皆さんはいつやるかということは考えられるんじゃないですかね。それに合わせてワクチンの輸送が始まるということになると思います。
今のところさっき言ったように、12月1日から接種できるように、医療従事者の方々(への接種)が最優先に必要だと考えています。
(幹事社)
一般向けの大規模接種会場については、まだ検討中、これから考えるということですか。
蒲島知事
接種会場というか、今は2回目(を接種済みの方)が87%でしたか。87%終わっていて、ほとんど打ちたい方は打たれたんじゃないかなと思いますけれども、11月の末までに打ちたい方はすべて終わるというのが今の計画です。
今も空いていますけど、それほどたくさんの方がいらっしゃっているわけじゃないということですので、2回目を早く終わっていただくことが大事じゃないかと思います。
質疑応答
忘年会シーズンを迎えるにあたって
(幹事社)
最後にコロナに関連して、年末になりますので忘年会シーズンを迎えているわけなんですけれども、熊本県内は幸いにもコロナの感染者がゼロという状況ですけれども、言い出しづらいとか、世間の目を気にして忘年会をしないという企業が相次いでいるようなんですけれども、それに関して知事はどういうふうにお考えですか。
蒲島知事
幸いにして、熊本県の場合は11月は(感染者)ゼロが続いています。だから、感染防止対策を徹底したうえで、例えば、認証店の飲食店などを利用して、マスク会食などをしながら私は忘年会に限らずですけれども、そういう形で懇親会、あるいは忘年会を行なっていただくことで経済(回復)と感染症対策のベストバランスができるんじゃないかなと思っています。
そういう意味で、感染防止対策と経済回復のベストバランスという観点から、忘年会をやっていただきたいなと、あるいはそういう懇親会をやっていただきたいなというのが私の気持ちです。
(幹事社)
県庁内は昨年は忘年会はほとんどなかったと思うんですけれども、職員に対しても同様の呼びかけをされますか。
蒲島知事
はい。とにかく油断大敵ですので、忘年会あるいは懇親会を行う場合は、感染リスクを抑えるために、(会食時の感染リスクを下げる)4つのステップを実践し、マスク会食をやって、そして楽しんでくださいというのが私の職員に対する呼びかけです。
政府のほうも、医療提供体制を強化してできる限り社会経済活動を維持してほしいという方針を11月12日の政府対策本部会議で示されました。そういう状況でありますので、昨年とはまた全く違うんじゃないかなと思います。
(幹事社)
ありがとうございました。幹事社は以上です。各社さんどうぞ。
質疑応答
「緑の流域治水」の進捗状況の受け止めについて
Q
球磨川治水についてお尋ねをします。先ほどもいろいろコメント等もあったんですけれども、知事が表明されてこの1年、緑の流域治水の進捗について順調と感じているのか、遅れているのか、その辺の受け止めを現状の課題も含めてお聞かせください。
蒲島知事
一番大事なことは、住民の方々の意見を聞いて、その意見を最大限この流域治水に生かすことです。緑の流域治水という形でそれを私は打ちだしましたけれども、1年でここまで来たのが早かったかどうかというのは、毎日それに直面している私よりも、この前、五百籏頭真先生を座長とする復旧・復興有識者会議を開きましたが、そのときに、災害直後に東京から来て球磨川流域の現地に入られたときと、今回の印象を率直に言われましたけれども、1年でよくここまで来たなというのが感想でした。
私はもう毎日見ていますからね。もう少し早ければいいとかいろいろ考えもありますけれども、特に、住まいの再建です。これをもっとしっかりやらなければいけないとか、それから生業の再建、こちらのほうも、私はあゆの里にこの前泊まりましたけれども、素晴らしく創造的復興がなされているなと思いました。だからそういう意味では、着々と進んでいるんじゃないかなと。ただ、緑の流域治水というそのものが、どういうものかというのが住民の皆様にはっきり理解されていないかもしれませんので、それをもう少ししっかりとやらなければいけないと思います。それから国のほうで、早く緑の流域治水の全貌、先ほど遊水地の話がありましたけれども、そういうのが決まらないと、今度は流水型ダムの大きさも決まりませんので、そこにちょっと時間がかかっているのかなと思います。
その時間がかかっている場合でも、安心できるような形で、県の行政としては、一人一人に寄り添っていかなければいけないと思います。
答えになったかどうか分かりませんけれども、東京から(来られた有識者会議の委員の方から)見て、率直な感想としてスピード感があるんじゃないかとは感想を話されました。
質疑応答
「緑の流域治水」に対する住民の方の理解について
Q
いろいろ見方があって、住民からすると、なかなか進まないって方もいらっしゃる。
ただ、おっしゃったように東京から見るとスピードがあるんじゃないかといろいろ意見があると思うんですが、一方で知事がおっしゃられた緑の流域治水、まだはっきりと理解されていないところもあるんじゃないかとお話されたんですけれども、その辺はどのように理解を深めていくんですか。
蒲島知事
昨日、熊本県立大学で球磨川流域(の研究に関する)キックオフミーティングが行われました。
これから発足して、多くの研究者の方がそれに参加されています。
我々も全面的に一緒にやっていきたいと思うので、やはりもっとPRといいますか、この緑の流域治水というのはどういうものかということを、しっかりと皆さんに分かってもらいたいなと思いますので、努力していきたいなと思っています。
ぜひ皆さんも、報道していただければ大変うれしく思います。
私は球磨川流域大学構想というのは、そういう意味で、緑の流域治水の大きなテーマとして加えてよかったなと今は思っています。
それが機能し始めると、先ほどおっしゃったように住民の皆様に分かっていただけるんじゃないかなと思います。
Q
ダムに関していうと、今もまだ反対している方もいらっしゃいますし、例えば遊水地についても、当事者の方からすると、なかなか受け入れられないという声もあるんですが、そういった方たちへはどうやって向き合っていくんですか。
蒲島知事
やはり合意形成がとても大事です。一人一人のお気持ちに寄り添って、どういう感じだったら、どういうことで皆さんが応じていただけるかという、そこの合意形成の努力も必要だと思います。
「はい、ここを遊水地にします」と言っても、それはとてもじゃないけれども受け入れられないと思いますので、そのプロセスじゃないですかね。
例えば相良村なんかは、もう既に村のほうから、「ここを遊水地にどうですか」というふうな話もあると聞いています。
そういうもので、例えばどのくらい田んぼダムで受け入れられるか、どのくらい遊水地で受け入れられるのか、そういうものがはっきりしないと、流水型ダムの大きさとか、規模とか、それが出てこないというのが、今の国のほうの悩みではないでしょうかね。
一方で急いでくれという話と、一方でなかなか土地の利用、それから土地を買うにしても、どのくらいの土地かというのも分からないと先に進めないということもありますよね。それを一緒に進めていかないといけないと思います。
Q
改めてですけれども、緑の流域治水自体は住民には受け入れられているというふうに知事としては受け止めてらっしゃいますか。
蒲島知事
きちんと学問的な世論調査をやってくれたのが崇城大学の今井教授の、中央公論に書いた論文です。この研究によると、県全体では賛成が71.36%、被災地の方々は賛成が58.49%という客観的な数字です。それを私は(緑の流域治水が)受け入れられたという気持ちですから、この場所に立っています。
皆さんもご存じのように、昨年の11月19日に、もしこれが否定された時には、私は辞任すると考えていました。皆さんがこれは否定されていると思えば、そういう方向になると思いますけれども、私はこの数字は支持されたというふうに感じました。
ただ反対されている方もいらっしゃるということも確かですから、それについては皆さんの理解を得るために、努力しなければいけません。
ただ、今井教授の分析でも分かりますけれども、反対の41.51%という方々は、流水型ダムに反対というのもあるけれども、貯留型ダムに賛成の方もいらっしゃるんです。これも反対になっているので、それが混じっているということを理解していただきたいなと思っています。
中央公論に実際の論文が載っていますので、皆さんもそちらを読んでいただきたいなと思います。
質疑応答
新型コロナの行動制限緩和について
Q
新型コロナの関連で先ほどもちょっと知事おっしゃいましたけれども、国の分科会が今週になって、要はワクチンの接種済証書などを活用して、一定の行動制限を緩和するということを分科会も了承したということで、早ければ明日にも正式決定する見通しですが、知事として、一定の制限、行動制限を緩和する、つまりまん延防止等重点措置でもお酒の提供が可能であったりとか、もちろんこれは認証店に関してですけれども、営業時間の短縮要請をしなくていいとかということ、それについてまずどのようにお考えになっていますか。
蒲島知事
政府のコロナ対策の全体像を見ますと、やはり今転換期にきているなと思います。
そして全体像として政府が考えているのは、感染リスクを引き下げながら社会経済活動をしようという、そういうメッセージが入っているんじゃないかなと。
そして第6波に対応できる保健・医療提供体制づくりを進めてほしいと。我々熊本県も政府の転換期に対応して、第6波に対応できる医療提供体制づくりを進めています。
本当はこの記者会見のときにそれを発表できればよかったんですけれども、11月28日、県と熊本市との合同専門家会議でこの全容を説明したいと思います。つまり、専門家の方々と一緒になって、政府の方針を踏まえながら、熊本県はどうするかという(ことを検討していきたいと思います)。今のところ11月28日にそれを予定していますので、そのとき、熊本県のコロナ対策を発表したいと思っていますので、それまでちょっと待っていただければと思います。
Q
ありがとうございます。
関連してもう一点だけすみません。要は認証制度というものがより一層大切になるというふうに感じるんですけれども、この認証制度、いわば認証店による感染対策の徹底というのが形骸化してしまうと元も子もないというか、制度自体が破綻してしまうということになろうかと思いますが、この認証制度を知事としてはどのような形でしっかりと制度として維持していくのか、そこら辺のところをちょっと教えていただけますか。
蒲島知事
熊本県ではこの飲食店の認証をかなり早い時期から進めて参りました。今、県内飲食店の7割の5,800店がこの認証を受けられています。そういう意味で、その5,800店をみんながなるべく利用することで、この7割という数字がまた上がっていくでしょう。最近も上がっているんですよ。
この前の記者会見では5,000店と言いましたけれども、今日は5,800店まできていますので、そういう形で店のほうも重要性を認識されているので、私はこれは有効な方法ではないかなと思います。お客さんは、そういう努力に応えてそういう店を選ぶという、両方が頑張ればこれは有効な手段となると。とりわけ、国の方針が認証店も含めて経済活動のほうに、また、医療提供体制をしっかりやって経済活動を進めてほしいというメッセージを伝えていますので、それに沿った形で熊本県もこれから28日に検討していくと。
だから、認証店に関してはそういう形で増えているということは有効だというふうに思います。
質疑応答
TSMCの工場進出に関する受け入れ態勢について・その2
Q
TSMCのことで、発表内容がここまでだというのは理解するところもありますが、じゃあここに書いてある人材の育成、確保というのは、そのTSMCの工場で働く人たちのことを指すのか、渋滞対策というのはその周りの道路の整備とかを指すのか、その辺を教えてください。
蒲島知事
まず、TSMCさんとまだ直接お話はできていません。だから、意思疎通を図りながら、どういう人材がどのくらい必要なのか。1,500人というのは大体わかっていますけれども、その情報収集に努めて、TSMCさんの工場稼働に支障がないような形で、人材確保に努めていきたいなと。そして当然、ほかの新しい企業もいらっしゃるでしょうし、あるいは既存の企業もあるので、新規学卒者の県内の就職強化を進めたり、UIJターンなども活用しながらしっかりと対応していきたいと。幸いにして、もうちょっと時間がありますよね。今(すぐに)操業するのではないので。そういう意味では、その時間の間に、人材確保を進めていきたい。そのためには、やはりTSMCさんの要望(をお聞きすること)も必要だというふうに思います。
もう一つは、渋滞のほうも、企業はとても心配されていると思いますので、例えば一番急がなければいけないのは、この工業団地が近い、中九州横断道路、これの早期完成といいますか、それを今国に対して求めておりますし、国のほうも、これは国家事業ですので、とても積極的に対応してくださると、そういう方向にあります。
そのほかにも、まだ今検討中のアクセス鉄道もありますし、それからいろんな総合的な渋滞対策をやっていかないといけない。市内のほうの、流れるほうですよね、そっちのほうもこれから渋滞対策を踏まえながら、ここに多くの人が通勤してくるということを考えながらやっていかなければいけないと思っています。
Q
それと来週に発表されるのは分かるんですけれども、例えばこれ、これだけ大きな期待を持たれているのであれば、知事自らがトップに立って、組織のトップに立つとか、その辺までは言えないんですか。
蒲島知事
その辺までというか、ちょっとこの段階ではまだ発表できないです。
Q
なぜ発表できないんですか。
蒲島知事
実際に完成した形で皆さんにお示ししたいと思います。当然私が積極的に関与することは間違いありません。
Q
イコールトップでしょう。
蒲島知事
すみません、ちょっとこの段階で、まだその形が、私自身も発表できるところまでいっていませんけれども、当然私が一番深く関与することは間違いありません。
質疑応答
令和2年7月豪雨に係る共同検証について
Q
豪雨災害の関係ですけれども、11月4日にダムに反対する市民団体4団体の方から、いわゆる豪雨の検証が不十分であるという主張をされていますけれども、県と一緒に共同検証、どうすれば流域の50人の命を救えたのかというところとか、球磨川第4橋梁がどういうふうに洪水に影響したのかということを、一緒に共同で検証できないだろうかという提案があったと思うんですけれども、知事のお考えを。
蒲島知事
はい、私も伺っています。
それについての対応は、いずれ県のほうからお答えすると思いますので。
Q
今時点の知事の考えというのはないということですか。
蒲島知事
今時点では検討中ということです。
質疑応答
「麦わらの一味」巨大壁面パネルについて
Q
『ワンピース』のパネルについて一つお尋ねしたいんですが、設置の目的について少し詳しく教えてください。
蒲島知事
『ワンピース』の(パネル)設置は、先ほども申しましたように、熊本県を訪れる人たちを、この『ワンピース』の壁面パネルで大きく歓迎したいと。熊本の元気さを空港で皆さんに感じてほしいなと思いますし、それから、空港を出発点として、県内各地の『ワンピース』像を巡りながら、一番震災の(被害を受けた)場所ですからね、創造的復興が進んだ熊本の姿をご覧いただきたいというのが、空港に巨大なパネルを置く理由です。
Q
ありがとうございました。