本文
令和7年9月5日(金曜日)10時00分~
日時:令和7年(2025年)9月5日(金曜日) 10時00分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
発表項目・コメント
・8月10日からの大雨への対応について(コメント1)
・令和6年度県産農林畜水産物等の輸出実績について(発表項目2)
・熊本県渋滞対策パートナー登録制度の登録状況について(コメント2)
質疑応答
質疑応答1 8月10日からの大雨への対応について(総論)
質疑応答2 8月10日からの大雨への対応について(すまいの確保)
質疑応答3 令和6年度県産農林畜水産物等の輸出実績について 1
質疑応答4 NHK受信料について
質疑応答5 自民党について
質疑応答6 愛知県のスマホ条例について
質疑応答7 最低賃金について 1
質疑応答8 八代市長選について 1
質疑応答9 8月10日からの大雨への対応について(安否不明者1)
質疑応答10 最低賃金について 2
質疑応答11 最低賃金について 3
質疑応答12 令和6年度県産農林畜水産物等の輸出実績について 2
質疑応答13 交通税について
質疑応答14 トマト苗の支援について
質疑応答15 フードバレー構想について
質疑応答16 八代市長選について 2
質疑応答17 最低賃金について 4
質疑応答18 川辺川ダムについて
質疑応答19 健軍駐屯地を含めたスタンド・オフ・ミサイルの整備計画について
質疑応答20 8月10日からの大雨への対応について(みなし仮設住宅)
質疑応答21 8月10日からの大雨への対応について(安否不明者2)
質疑応答22 TSMC第二工場について
質疑応答23 公民連携によるスポーツ施設整備に関する検討について
9月5日、定例の記者会見を始めさせていただきます。
私から三点発表とコメントをさせていただきます。
まず、8月10日からの大雨災害でございます。
8月10日から11日にかけての大雨で災害が発生してから、来週で1カ月を迎えます。
今回の大雨で4名の尊い命が失われ、また現在も1名の方が安否不明でおられます。
また、8,000棟に迫る住家被害が発生して、猛暑の続く中、大変多くの被災者の方が不便な生活を強いられている状況です。
また、公共土木施設等の社会インフラ、また地域経済・生活の基盤であります農林畜水産業、商工業、観光業、交通関係など、甚大な被害が生じております。
改めて、亡くなられた方に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
まず、国への緊急要望を8月28日に実施いたしました。
私自身も一日も早い復旧に向けて、被災地等の現状把握を行ってきましたし、被災自治体の首長、または被災者の皆さんからも直接お話を伺ってまいりましたが、やはり災害からの早期復旧、それから再度の災害の防止のためにも、国からの支援が必要不可欠であるということから、8月28日に石破総理を訪問させていただいて、緊急要望を行ったところでございます。
しっかりと国、県、地元市町村、そして事業者の皆さん、関係機関が一緒になって、被災地の生活の一日も早い復旧、そして経済の再建、私が目指す「県民みんなが安心して笑顔になれる」熊本づくりに向けて頑張ってまいります。
続いて、県の被災者への支援策につきまして。
現在、被災地では、いわゆる発災直後の人命救助などを優先する状況から、生活の再建、事業の再建、そして営農の再開などのフェーズに移行していると考えております。
県では、そうした特に早急な対応が必要な事業につきまして、8月27日に、知事専決処分予算ということで、約86億円の予算措置をさせていただきました。
この内容については、記者クラブにも財政課の方からご報告させていただきましたが、大きく「被災者の救済、生活支援」、そして「産業復興支援」、そして「社会・産業のインフラの機能回復」などを軸としておりますが、今日、特に2つの支援策と新しい融資制度をご説明します。
被災された方のすまいについて、これが早急に必要なところでございます。
被災された方々の早期のすまい確保に向けて、国、被災市町村と調整をしております。
まず、公営住宅の入居につきまして、昨日9月4日時点で希望された12世帯、20名の方が被災市町の公営住宅に入居済みです。
続きまして、賃貸型応急住宅については、昨日時点で(9月4日時点で)10世帯24名の方から申請がありまして、調整がつきました3世帯7名の方が入居を開始したところでございます。
また、建設型応急住宅につきましても、今、国と市町で協議をしているところでございます。
次は、被災された農業者への支援についてです。
これ(資料を指して説明)は、専決予算の中身でございます。
大きく、今回の大雨災害の特徴として、農業に対する被害が厳しいです。作物ですとか農業用施設、または農業用機械などの被害です。
特に一番象徴的なのが、これから苗を植える定植と言いますけれども、定植を迎える直前であったトマトを中心に、苗の段階にあった作物、トマト、ナス、イチゴなど、そうした野菜苗が被害を受けておりまして、県とJA熊本経済連などで、野菜苗対策プロジェクトチームを設置いたしました。
その中でも、特に被害の大きかったトマトの苗につきまして、「緊急生産確保支援」というかたちで、新たに事業化いたしました。
一昨日9月3日から、県の相談窓口で代替苗の注文受付を開始したところでございます。
また、早期の営農再開に向けて、資材の調達などに対する「早期営農再開支援」、これが(資料の)1番です。そして、被災した農業用機械の修繕に向けた緊急支援として(資料の)3番、こういうかたちで予算措置を行ったところでございます。
また、この紙には書いていないことではございますけれども、実は現場を歩いていますと、被災された農家、特に例えば八代ですと、刈り取ったイグサがその後【被災時】水に浸かる被害などを受けました。
さらに、水に浸かったという意味においては、倉庫に置いていた農薬や肥料についても、その処分が課題となっておりました。
これにつきまして、先ほどの8月28日の国要望にも入れていたんですけれども、その後、政府と調整をいたしまして、環境省の災害廃棄物処理事業の補助対象に認められました。災害廃棄物として自治体が処分できるような環境が整いましたので、これから農家の方、また農協などと相談しながら、各自治体がしっかりと、この農作物として農薬肥料等の処分を行える準備が整ったところでございます。
引き続き、産地の被害の最小化に向けて頑張っていきたいと思います。
3点目が、「金融円滑化(特別)資金」の「令和7年8月大雨枠」を創設いたしました。
これにつきましては、県が持っています制度融資「金融円滑化特別資金」に、新たに令和7年8月大雨枠というのを設けました。
ポイントは、一企業の限度額が8,000万円と、一般枠より上げながら、利子は下げます。
利子を低利にいたしまして、さらに保証料につきましては、県の補助でゼロというかたちで、被災の中小企業者の負担軽減を図りたいと思っております。
9月17日から申込みを開始いたします。取扱金融機関、商工会議所などの窓口にご相談いただきたいと思っております。
今後も、こうした必要な対策を躊躇なく予算化し、被災者に寄り添った支援、そして被災地の一日も早い復旧、復興に努めてまいります。
最後に県民の皆様へのお礼でございます。
まず、今回被災された方々を支援するために、8月13日から義援金を募集していました。8月末時点で、すでに県の本庁(受入)分だけで約4,800万円のご支援をいただきました。県民の皆さん、そして県外の皆さんも含めてですけれども、誠にありがとうございました。温かい申し出に感謝申し上げます。
10月31日まで募集しておりますので、何卒よろしくお願いいたします。
また、もう一つのお礼が災害ボランティアについてです。
8月末までに延べ6,344名の方にボランティアに参画いただき、ありがとうございます。お礼を申し上げるとともに、まだまだニーズが、また、人手が必要なところがありますので、お近くのボランティアセンターに、ぜひお声をかけていただきたいと思っております。引き続き、一人でも多くの方のボランティア参加をお願いしたいと思います。
↑ページトップ
令和6年度、熊本県産農林畜水産物などの輸出実績についてです。
令和6年度の熊本県の農林畜水産物の輸出額は、おかげさまで過去最高の151億4,000万円ということで、実は令和9年度で目標としていました140億をもうあっさり達成してしまいました。
各部門の輸出実績についてご説明いたします。
これについては詳細な資料を別途用意しておりまして、私の会見後に担当課からご説明、ご質問にお答えしますが、簡単にご説明申し上げます。
まず一点目が農畜産物についてでございます。
アジア、アメリカなどを中心にした日本食への関心の高まり、外食需要の増を受けて、牛肉や加工食品の輸出量、輸出額がともに増大しまして、輸出額が70億9,000万円、前年比131%ということで過去最高の輸出額です。
次に林産物は、これはほとんどを占めているのは中国に対する丸太なんですけれども、
この中国に対する丸太がやはり今回も伸びまして、輸出量、額ともに最高となりました。輸出額48億2,000万円、前年124%です。
最後に水産物です。
いろいろ報道等にあります中国への輸出再開はまだでございますので、輸出が停止していた中国は全部ゼロとなっています。これに対しての販路拡大を事業者の皆さんが頑張られまして、北米ですとか、アジア、※の2が東南アジアですけれども、こうしたあたりが増えました結果、これも過去最高の32億3,000万円、前年比111%ということでございます。
輸出額がこのように過去最高となりましたことは、海外に熊本県産の農林畜水産物の品質の高さが評価された結果だと、とても嬉しく受け止めております。生産者をはじめ、輸出に関わる全ての皆様のご尽力に敬意を表します。
県では、これまで農林畜水産団体と連携して、例えば輸出規制に対応したセミナーとか、トップセールス、そして海外からの展示会の出展、バイヤーの受入れなどを行ってきています。
また、今年度は新しくインターナショナル・シーフード・ショーに出展したり、海外のマーケット調査なんかもいろいろ始めたり、台湾については総合的な支援を行なうなど、強化しています。今後も関係機関と一体となり、そして、また、くまモンを活用して海外プロモーションを積極的に行って、県産品の輸出拡大を努めてまいりたいと思っております。
↑ページトップ
県内の渋滞対策パートナー登録制度の状況報告です。
この記者会見でも、また別途、トップ会談などでも発表させていただきました、熊本県渋滞対策パートナー登録制度につきましては、今年5月に創設して200社を目標に進めてきたところでございますが、8月29日までに、ありがたいことに264社の方にご申請をいただきまして、無事目標を達成することができました。
ご賛同いただきました事業者の皆さん、本当に(共に)取り組むにあたり、心強く思うとともにありがとうございます。
現在、官民連携の「1万人のオフピーク通勤」にチャレンジしているところでございます。7時半から8時半の朝の通勤ラッシュを避けて、交通量の分散、抑制を図ります。ぜひ、今回の災害で被害を受けられたところは、無理のない範囲で、ということでございますけれども、参加された企業の皆さんたちとともに、このオフピーク通勤、県民の皆さんもご協力いただければと思っております。
なお、この渋滞対策パートナー登録制度、大変反響が大きかったので、今月末、9月30日まで登録申請の延長をいたします。
今後とも官民連携して、この良き流れを活かし、ソフト対策を充実しながら、渋滞の解消に努めてまいりたいと思います。
では、私からは以上でございます。
↑ページトップ
幹事社
今回の大雨の発災から間もなく1ヶ月を迎えるというところになりますけれども、全体を含めて、まず知事の今回1ヶ月を前にして、いかがでしょうか。
木村知事
間もなく発災から1ヶ月を迎えようとしております。
初動対応においては、孤立集落、孤立地域のいち早い解消など、県民、県職員、または、国関係機関を挙げて対応できたと思っています。
まだお一人、安否不明の方がおられるところは大変心苦しいところではあるんですけれども、これからの復旧・復興に向けた支援のほうに徐々にフェーズが変わってきていると思っております。
孤立状態も解消されましたし、この1ヶ月、関係機関は本当に頑張ってくださいましたし、何よりも被災された方が、この暑い中耐えていただいたと思っています。
安心したすまい、そして事業の再開、農業の再開、しっかりと支援していきたいと思います。
↑ページトップ
幹事社
続いてですけれども、今日、すまいの再建とすまいの避難先など、すまいの確保で、特に、もう既に実際、公営住宅とか、いわゆるみなし仮設に入居されることが決定していると思います。
そのなかで、3番目に、建設型応急住宅に関して国とか被災地域と協議を進めていらっしゃると思うんですけれども、具体的にいつ頃にその場所を決めたりだとか、建設が始まるだとか、今、スケジュール感などが見えていたら教えてください。
木村知事
はい。今回の災害の特徴は、熊本地震や令和2年7月豪雨と違って、家が全壊してしまうというような事案が非常に少ないというところでございます。
今は、建設型応急住宅をどこまで必要としているのかという、ニーズ調査の段階だと思っています。やはり一度建設型の仮設住宅を作ってしまうと、ご自宅を再建したときにそれをまたどうするのか、取り壊すのかとか、過去の場合ですと、みんなの家みたいに利活用するとか、もちろんニーズに合わせてしっかりやっていきたいと思っておりますけれども、まだ現在としては、公営住宅とか、賃貸型のいわゆるみなし仮設住宅のニーズの方が高いと認識していますので、市町と相談しながら建設型についての判断はしていきたいと思っております。
幹事社
先月の専決の中では150戸が新しく建設型で考えていらっしゃったと思うんですけれども、そこの数字も増加することもあると、減少する可能性もあるということなんですか。
木村知事
はい、そうです。
いわゆる、いつでもすぐに動けるように待ち受けとしてやったんですけれども、意外に今、対応を進めていると、ご自宅に住み続けたいという(声を聞くことが多いもの)ですから、ご自宅のリフォームとかがやはり早く進むように支援をしていくというのが一番なのかなというふうな思いでおります。
具体に、建設型についての進捗は、また折々ご報告をさせていただきます。
↑ページトップ
幹事社
まず、発表項目なんですけれども、この農林畜水産物等の輸出実績についてなんですが、もう令和9年度の目標が達成されたということで、今後の意気込みとして新たにこれぐらいの目標を設定していくとか、動きをお考えがあればお願いします。
木村知事
140億円の目標は、総合戦略、県のカチッとしたフォーマルなものに掲げていますので、私の今、一存でこれと言うふうにはいきませんけれども、ただ、やはり私は「食のみやこ熊本県」、または、総合戦略でも「世界に広がる」というのを目標に掲げていますので、それをもう達成した以上は、具体にこのKPIを直すかどうかというのは、担当課と協議しますけれども、安直な言い方でしたら、やはりここまできたら200億円は最低でも目指したいなと思います。
↑ページトップ
幹事社
発表項目外に、二点があるんですけれども、まず一点目、NHKの受信料について質問がありまして、7月の全国知事会でも、視聴予定がない通信機器についての契約で料金を支払い続けることは自治体の財政負担に繋がりかねないとか、そういった支払いルールの見直しというものが議論に上がったというふうに聞いています。
熊本県も受信料の未払いが発生していたというふうに承知していますけれども、NHKの受信料について、例えば避難所のテレビについては免除をお願いしたいとか、何か知事の方でお考え等あればよろしくお願いします。
木村知事
私がSNSに「NHKプラスありがとう」とか書いたからご質問かもしれませんけれども、必要なものに対してちゃんと使った分の受信料を払うという、受信料によって成り立つという仕組みのNHKですので、それは応分の受信料を払うべきだと思っています。
ただ、日頃ほとんど使っていないものについてどう思うか、払うかというのについて、またいろいろな議論があろうかと思っています。
私も知事会での議論については知っておりますが、熊本県にいわゆる未払いというか、未登録のものがカーナビ等々にあったということも承知していますし、それはしっかりお支払いするところだと思っています。それ以外の、例えば旅館みたいに使われて、満室ならば別にして、というのをどうカウントするかとか、たぶん昔からいろいろな課題があろうかと思っています。
私は受信料を払うこと自体は全く否定していませんので、より合理的というか、支払った、見ていた人が、いわゆる受益者がしっかりと負担しても良いというふうに納得するような制度になることを願っています。
今すぐに知事会レベル以上のことを私はガチャガチャ言うつもりはありません。まずは、しっかりと各層、各界いろんなところで受信料についての議論をしていただきたいと思っています。
幹事社
あと、自民党の動きについてなんですけれども、森山幹事長をはじめ党四役が先日辞意を表明されたというところで、中央のほうでは何かごたごた続きといいますか、こういった東京のほうの自民党の動きというものを知事、どのように見られていたか教えてください。
木村知事
国政政党のそれぞれの党内の動きについて県知事としてコメントするのはふさわしくないと思っています。
ただ、経済対策を打ちたいと総理ないしは与党の側が発言して、私もそれは今回の例えば予備費での災害対応は措置していただきましたけれども、それで足りないところなんかについては、まだいろいろ希望したいこともあります。
そうした経済対策を組むにあたって、政調会長が不在の状況で、私がかつて霞ヶ関にいた頃の経験からすると、意思決定が進むようにはあまり思えないので、早く意思決定がしっかりできる体制を、このまま与党が政権を続けるのであればしっかりと整えていただきたいと思っております。
↑ページトップ
幹事社
最後に、愛知県でスマートフォンの使用を一日2時間ぐらいを目安に制限するような条例が市議会に提出されました。もちろん罰則は無いんですけれども、面白い動きだなというふうに私は見てたんですが、知事のほうでどういうふうに見られたのかとかあればお願いします。
木村知事
そういう条例が出されたことは私も地方行政大好きな人間ですから興味深くは見ております。ただ、実効性のある条例をやって欲しいですし、また、どういう議論が起きてそこに至ったかまでちょっと把握できませんので、スマートフォンとの付き合い方というのは、まずはご家庭で、そしてまた、地域でいろいろな議論をしていただければと思っています。
ただ、一方で、スマートフォンがこれだけ生活の中に入っていくと、どこまでが良くないことで、どこまでがというのはいろいろな議論があろうかと思っています。
私は特段この件について意見を申し上げる立場にありませんし、いろいろな自治体がいろいろな条例を作ることはとても良いことだと思っていますけれども、あまり一方的に行政サイドがこういう実態として縛りもしない条例を作るのはもうちょっと考えたほうが良いんじゃないかなと思っています。
ぜひいろんな人と議論をしてやっていくのが条例を作るものとしては正しいと思っています。
↑ページトップ
幹事社
私からは、昨日決まりました最低賃金に関して伺えたらと思っています。
熊本県の場合、47都道府県の中で順番としては最後で、82円という上げ幅が全国の中でもトップで、最低賃金が大きく上昇したという結果になります。その一方で、専門部会を7回開いたりとか、最後採決の時に使用者側から委員が何人も退席したりしてという、ある意味異例尽くしの展開でもあったんですけれども、知事の率直なご感想というか、思いをちょっとまず伺いたいと思います。
木村知事
今回私もなかなか時間がかかっているなというのが正直な印象でした。
ただ、他の県のように知事が一定の方向に誘導するというのは、この最低賃金の仕組みで私は取るべきではないということで静観をしてまいりました。
ただ、今の物価高騰ですとか若者の人材が流出するということをなんとか防ぎたいという思いで、本当にこれだけ長い時間、労使の間で議論をされて出てきた結果ですので尊重したいし、よくこういう結論を出していただいたと思っております。
ただ、一方で、指摘にありましたように、使用者側が退席するというちょっと異例な状況ですので、やはり企業側がやはりこの急激な賃上げに対して不安をもっているということの表れだと思っています。
しっかりと、今後示される国の支援事業なども活用しながら、企業の生産性向上とか価格転嫁によってしっかりと企業側が利益を出して給与、賃金に反映できるように、やはり注視していきたいという思いを新たにしました。
幹事社
今のお話の中で一つだけ補足的に伺いたいんですけれども、ある種議論に積極的に関与するのは良くないということで、熊本の場合、今回は豪雨災害もあって物理的、時間的にも何より難しかったと思います。一方で、知事個人のお考えで、やはりそういうのがあるのかなと感じたんですけれども、去年の徳島の後藤田さんとか、今回秋田でも相当知事が動いてというのが、それは賛否両論だと思うんですけれども、その知事が参画していくことに関するところでもうちょっと詳しく補足的に知事の思いを伺いたいと思います。
木村知事
まずその前提として、賃金というのは、売上げがあって、利益が出て、そこからしっかりとした賃金が確保されていくものなので、まず、熊本の現状を見ていると、知事としてやるべきことは最低賃金がどうこうという額に介入するのではなくて、やはり価格転嫁が進んでいくこととか、しっかりと企業が生産性を向上できる環境を整えていくというのが私の使命だと思っているので、最低賃金審議会というところに労使それぞれが平等な立場で立つ中で行政が介入すべきではない。昨年の徳島県知事さん、私も大変個人的にも親しくしている後藤田さんの動きには、私はちょっと疑問を持っていたというところでございます。
今回もちろんその分長い時間の議論があり、また、一方で、今回の水害等もありますので、施行時期がちょっと遅くなるということも含めてきめ細やかに配慮して、しっかりと企業側が賃上げをできるように配慮した今回の案だと思っていますので、案自体を私は評価しているところでございます。
↑ページトップ
Q
八代市長選に関してなんですけれども、この市長選で非自民党の小野さんが当選されました。
八代市は今も災害など大変な状況にあると思いますが、この中で「チームくまもと」の中には小野さんは入れるでしょうかというか、そう言ったところをお伺いします。
木村知事
「チームくまもと」は別に特定の政党の方々のもの、一つの政党の組織でもないと思っておりますし、私は八代がこれからの災害の復旧・復興をしていくにあたって、しっかりと、少なくとも私たち県とは連携をしてやっていきたいと思っております。
そうした中で当然、先ほど私の冒頭の発言でもありましたように、八代市の災害復旧のためには、国からの支援が私は必ず必要だと思っていますので、小野新市長には私と一緒になって国の支援をしっかりとっていく体制を、私が間に入って整えていきたいと思っています。
Q
ありがとうございます。
「チームくまもと」に関しては知事としてはどのように定義されているというか、感じているのはありますでしょうか。
木村知事
はい、「チームくまもと」というのは、県内の市町村や県選出の国会議員としっかりと密に相談をして、それはその時の選挙における支援関係とは別に、今、市長の中には別に自民公明の推薦を受けていないで通っている人もいっぱいおられますし、また現職を破って首長になられた方も小野さん以外にもおられます。そうした人たちがしっかりと国会議員、すなわち今の県民が選んだ国会議員と連携して国に政策を提言し、制度の改正や予算を獲得していくというものでございます。そういうチーム、県選出国会議員と我々県庁と市町村が一緒になって熊本のために頑張っていく連携だと思っています。こう言ったことから「チームくまもと」はそういうかたちで、県選出国会議員や国を取り込んで、自分たちが引きずり込んでいこうという枠組みだと思っていますので、一党一会派のためのものではないと思っています。
Q
ありがとうございます。
ただ、八代でいうと、植柳盆踊りだったり、メロディ列車のイベントだったり、前の(市長の)中村さんと2ショットの場面も多かったと思っています。
これは傍から見ると応援しているようにも見えるのかなと思うんですが、これに対してはいかがでしょうか。
木村知事
はい、まず、一県内の市町村の選挙に、私は関与するものではありません。
これはSNSとかでも表明しているとおりでして、特に選挙運動になるようなことは一切しないと、これは私自身も肝に銘じて県知事でありますのでやっております。
ただ、中村前市長につきましては、まず県内の最大被災市町村で選挙があるからといって、そこの市町村を無視して、八代を無視すべきだったのかと言えばそれは私は違うと思っています。
現場に行って前市長や現場の被災された方とお話を伺うことでいろいろな実態が分かりました。
またイベントにつきましてはもともと予定していた、例えば盆踊りについて言えばあれは国の指定を今望んで動いているものがあります。
また八代亜紀さんについては、私の方がもともと企画していたものであり、事務所と話ししながらやっていたので、本当に公務というところで、しっかりと公務制が担保されるものに限って八代の現場に入っていたと思っています。
それは被災地であれば八代に限らず、他の宇城や宇土、また天草とも同様の対応だったと思っています。
Q
ありがとうございます。
最後に、小野市長は蒲島ゼミの同級生だと思います。
この部分で何か思うところだったりはありますでしょうか。
木村知事
(小野新市長とは)以前県庁でも一緒に仕事をしています。
正直、小野さんもおっしゃっているから申しますけど、今、毎日のように電話やメールをして、八代の被災にどう対応していくかとか、地元の課題を連絡し合っていますので、小野新市長と私の間の信頼関係は全く昔と変わらないというか、一緒になってやっていこうねという方向性で一致していると思っています。
↑ページトップ
Q
大雨被災の犠牲者公表についてお尋ねします。
氏名公表されていない方が中にいらっしゃいまして、この対応については何かといったところと、あとペーパーを見ると、ご遺族の意向というところは承知しておりますけれども、改めて県としてどのような基準の判断でこういった形になっているか教えてください。
木村知事
氏名公表については何度か災害対策本部の後もご質問いただいて、基本令和2年7月豪雨災害のあたりで決めた方針から県としては変わるところがありません。
やはり個人情報保護の観点と言いますか、県の持っている情報というのは原則公表の中で、個人情報保護との関係で守るべきものは不開示にするというところです。
今回の安否不明者に関して言えば、一つはまずもって安否不明者の情報自体は、私は個人情報に極めて近いと思っていますが、内閣府のガイドラインもそうですけれども、やはり災害、人命救助をしっかり行うために、人を特定していかなければいけないという公益性の中で、人命第一の観点で、氏名公表を行ってきているところでございます。
今回の場合ですと、安否不明者も捜索するサイドから言えば特定されているという状況の中で、現段階でその名前を出す必要はないと考えています。
また亡くなった方についても同様でして、亡くなった方についてはやはりご遺族のご感情を最優先にしていくと。
ですから県民にとって必要な、県民の財産である県政情報は基本公開するという大前提のもとで、個人情報保護との関係で守らなければいけないものは守るという原則だとご理解いただきたいと思います。
Q
先ほどの最低賃金の話で、注視されるという言葉があったかと思うんですけれども、現時点で中小企業の賃上げで経営が逼迫するような中小企業向けの支援などというのは考えていらっしゃるんでしょうか。
木村知事
はい、やはり私が先ほどから申し上げているように、一つは価格転嫁がしっかり進むこと、それと生産性が向上するような支援ということで、今回国もそうした企業活動を支援する枠組みを組んでいると聞いています。
まだその詳細まで全部は把握しておりませんし、また、今回の最賃金のいわゆる施行時期がちょっと1月にずれました。あともう一つは今回どうしても水害対応もありますので、水害対応におけるまず中小企業支援というのをやりつつ、最賃の問題はちょっとアンテナを高くして、追加の策も考える必要があるのかと思っていますが、まずもって今の段階では具体的にこういうことをしますというわけではなくて、国から来る支援メニューも含めて総合的に検討していきたいと思います。
なるべくそれはもう補正予算でもできる限りのことをやっていきたいと思います。
↑ページトップ
Q
今の関連なんですけれども最低賃金の上げ幅84円が全国最高で最大の上げ幅になるというような見通しですけれども、これに至った背景とか、またこれの影響とかについては何か分かるでしょうか。
木村知事
詳細については、担当課からこの後、根拠みたいなのは整理していたのをご説明させますが、ただ私はやっぱりこれまで安すぎたっていうのはどうしても熊本はあろうかと思っています。
九州各県との比較の中でもまた全国の比較の中でもほぼ最下位に近いんですよね。
ところが一方でやはりその熊本は今いろいろな物価もそうですし、いろんな費用が上がっている。実際TSMCが来てから賃金が一部のアルバイトの方の値段がすごく上がった事例なんかもありますので、そうした中でやはりしっかりと熊本県の現状を整理されてこの数字が出たと思っております。
なかなかこれを理由にっていうのは一つには言えないかもしれませんが、やはり物価高騰やさまざまな要因を整理したものだと思っております。
また事業者の方々が厳しい状況にあるのは、これは現実だと、それは私ども認識しておりますけれども、やっぱり今回の賃上げ、私は必ずしもマイナスだとは思っていません。
やはり熊本のこれからを考えた時に、ここ数年も景気が良いのか悪いのかって言ったらそんなに悪くないとは言えると思いますので、それをしっかり賃金のかたちで企業にも受け止めていただきたいし、企業が賃上げを実施できる環境を県としても支えていきたい。
またその具体策についてはこれからよく詰めていく必要がありますけれども、中小企業中心に、企業の声を聞いて最低賃金に近い賃金で何とかやっていらっしゃる企業のニーズをしっかり把握して対応していきたいと思います。
Q
二点聞かせてください。
まず県産農林畜水産物の輸出額が過去最高ということですけれども、今回の大雨で非常に県内の農林水産物被害が大きく出ています。
この大雨の影響というのが来年度以降、今度から発表されていく、7年度、8年度の輸出実績等にどのくらい影響するのかその辺の不安というところに関して知事は今どのようにお考えでしょうか。
木村知事
今回の水害の影響は、一番出ているのがトマトとかイグサとかでございまして、正直輸出に絡むところでいくと畜産とかには(影響は小さい)。輸出に絡む品目としてはイチゴがかなりその影響もあろうかと思っていますが、そこはしっかり精査していきたいと思っています。
一番被害が大きいのは、トマトやイグサを中心にした熊本が国内において圧倒的なシェアを誇っている農産物というところだと思っています。それ以上に農林畜水産物に対する世界ニーズが強うございますので、私は来年度も何とか今回の水準を超えられるように頑張っていきたいと思っています。
Q
あと一点。先日、公共交通のあり方に関して地域交通ホールディングスが知事に提言書を渡したと思います。
その中で、いわゆる宿泊税のような県民一律に税金を取る交通税のようなものを導入してはどうか、それを渋滞対策とか交通事業者への安定財源につなげられないかという提言がありました。
知事も最後の方で興味深い提言をいただいたという発言がありましたが、この交通税に関して知事はどのようにお考えでしょうか。
木村知事
私は霞ヶ関時代、税の担当もやっていましたので税について地方がそれぞれの税を工夫して考えていくことはとても良いことだと思っておりますが、宿泊税について聞かれた時に同じ答えをしたと思いますが、税を取るというのは相当多くの議論を重ねてやらないといけないことだと思っています。
私は交通税という提案はとてもおもしろいし、ただそれでどこまでバスとかの料金が下がるのか、例えばあのときざっくりした試算みたいなことを事業者の方がおっしゃっていたのが、一世帯が年間1万2千円払えば、無料で公共交通を利用できる、サブスク税みたいな感じ(というご提案でした)。だけど本当に1万2千円で収まるのかなというのが分かりませんし、税が必要なら是非やるべきですけど、先ほどの愛知の条例以上にもっと慎重にやるべきです。
ただ若い人たちを中心に暮らし向きが厳しいという中で、国でも減税、ガソリン税の暫定税率や消費税についての議論がある中で、税を新しく設けるというのは相当慎重な議論が必要ですし、まずは今回ご提言としていただきましたので、いろいろな可能性については研究をしていきたいと思います。
↑ページトップ
Q
トマト苗なんですが、県も対応が結構早くて、既に50万株の苗を確保しているということなんですけど、一方で市町村からの苗の被害というのが350万株を超えていると。これはどのように分析して、どのように対応していかれるんですか。
木村知事
まさに記者さんおっしゃるとおりでして、9月3日から代替苗の注文受付を開始をして、非常に農家の期待も大きかったので、既に9万苗の注文が来ていますけれども、ただ今回、40万から50万苗ぐらいをベースに今やっておりますので、何とか足りるかなと思っています。
というのは、農家がもう既にご自身で350万苗の方々のうちのかなりの部分が自ら確保されたりしていますし、また、被害に遭った部分でも本当に使えるか使えないかの精査などもしています。
県としては、しっかりと今こういうかたちで窓口も設けて、農家から常日頃連絡が来る体制になっていますので、必要に応じて、苗も追加できれば追加したいですけれども、今のところまず枠の中で収まると思っています。
しっかりと農家に寄り添った対応、しかもこのトマトの場合は、今評価もいただきましたけれども、迅速に対応していきたいと思います。
↑ページトップ
Q
もう一点なんですが、知事は、農林畜産物のPRに努勤めているんですけれども、県南フードバレー構想ですか、これは小野市長が副知事時代からすごく力を入れてきた施策で、これについて知事はどのように進めていかれるんですか。
木村知事
小野新市長が県庁時代に本当に力を入れていたことでもありますし、私は、そこは大変期待しております。若い農家さんに対しても小野新市長は政策参与時代から足しげく入られておりますし、農家の実態をよくご存知です。
ぜひ、県南フードバレーについては、今度はステージ2という形にして、県としても力を入れていきますので、八代が中核となって、パートナーとして一緒にやっていきたいと思って小野新市長にも期待していますし、たぶんお会いした時には、まずこれをやろうね、みたいなところの、災害からの復旧・復興に次ぐぐらいの項目になるんじゃないかと思っています。
Q
近く会見とかやる予定があったらどうでしょうか。
木村知事
フードバレーについて申し上げれば、たしかに8月の10何日かにもともと実はそういう場を予定していたんですけれども、豪雨災害で延期しましたので、先ほど申したように、電話やメールのやり取りは毎日のようにしていますけれども、今後新市長とお会いした時にいきなりこのフードバレーだけにもいかないでしょうから、まず一般論のお話をした後に、また他の県南の各市町も被災されているところも多いので、状況を見ながら、やはり一回延期していますのを、どこかでフードバレーのステージ2のキックオフの記者会見なり、何かイベントがあればそっちに統合しても良いですけれども、何かやりたいと思っています。
↑ページトップ
Q
「チームくまもと」について追加でお尋ねをしたいと思います。
今回の大雨被害の緊急要望だったりとかで、「チームくまもと」の力が発揮されるというのはすごく有意義なものなのかなというふうに受け止めているんですけれども、先ほど知事の発言の中で一つの政党のものではないというところ、ご指摘がありました。ただ、参院選だけ見ても自民党の馬場さんは「チームくまもと」を掲げて、立憲民主党の鎌田さんは野党統一候補でしたけれども、「『チームくまもと』に自分たちは入っていないんだ」という主張で、真っ向から対立をしていました。今回、八代市長選を見ても、中村さんは「チームくまもと」を前面に出されましたけれども、実質一つのものではないと言いつつも、実態はちょっと違うのではないのかなというふうに感じているんですが、そのあたりはいかがでしょうか。
木村知事
選挙での推薦とかではなくて、私は具体の政策を取りに行く体制だと思っていますので、県選出国会議員が、ほぼほぼ本県の場合は、今の国政与党の方々ばかりなので、お願いするにしてもそういう形になっているのだと思っています。
「チームくまもと」か否かで分断をされるようなことはあってはならないです。ですから私は、小野新市長がそういう政党の枠組みが、仮に今回、今の国政与党の推薦を受けていないとしても、私は被災者のこと、市民のこと、つまり今回敗北した側に投票した有権者もおられますので、そういう方々のことも含め全体を考えれば、被災者全てに政策、国と連動した被災者支援策を私は取りに行くべきだと思っていますし、そうした中で、一緒に組んでやっていける。それを一部の政党の人が「チームくまもと」と呼ぶのであれば、そう呼べば良いと思っています。私は国ともしっかりと連携をしていくという姿勢、木村県政はそういう姿勢です。国と対決したい県政ではないので、私はそういう意味で「チームくまもと」のメンバーがかなり中心にはなっていますけれども、そうしたかたちで特定の政党にというのではなくて、国政の場合、与党である、自民党、公明党に要望に行くということです。野党側になんで要望に行かないのかと言われれば、それは与党じゃないからというだけでして、それは「チームくまもと」が誰かを排除するというものではないと思っております。
Q
わかりました。と言いつつもやはり選挙戦になると「チームくまもと」というところが与野党の一つのキーワードになってこれまでも展開されてきました。
今回、小野新市長が勝利したことによって自民党県連内からは、自民党が友好な関係を築いている県や周辺の市町村とうまくやられるのかという懸念の声も上がっているんですが、知事の「チームくまもと」に対する政策に重点を置いたお考えというのを今伺いましたので、こういった間を取り持つというか、自民党と自民党推薦を受けていない小野さんというところで、そこの「チームくまもと」というのは継続していくと思うんですけれども、何か知事として働きかけだったりとか間に入ったりしたりとかするお考えというのはありますでしょうか。
木村知事
もう全ての市町村、これまでも八代以外にもいろいろな市町村長の選挙がありました。会うたびに私は常に申し上げていますが、民意で選ばれて勝利された方々には、やはり破った側の方に対しても包容的、包み込むようにあっていただきたいと思っています。
ですから、私はたぶん八代もそういうかたちで動かれると、私は小野新市長と連絡する中では私は、そういうふうに感じていますので、今の八代市と県、または県選出国会議員が対立をするようなことは無いと思っています。また、県はありえませんし、県選出国会議員の方にも八代の今後の展開はご理解いただけると思いますし、そういう中で、県と八代市で一緒になって働きかけるときがあれば、そういうことはしっかり私もやっていきたいと思っています。
↑ページトップ
Q
最低賃金の件で一点お伺いさせてください。
人材流出を防ぐという観点から、近県を睨んだような最低賃金の設定がされるようなことがあるのかもと思っていて。
例えば、大分県は熊本より高いという状態が常に続いていると。これはともすると、人材の奪い合いということになって本当に大事な、例えば生産性の向上である、そういった議論が置いていかれる懸念があるんじゃないかなと思うんですけれども。このあたり知事としてどのように考えていますでしょうか。
木村知事
私は本当にこの最低賃金の審議会は丁寧に丁寧に議論を重ねていただいて、この結論になったと思っています。今、ご指摘の点は外形的にはそういう面もなくはないのかもしれません。去年、熊本は(審議会の決定が)やたら早かったんですよ。その後、他の県がどんどん熊本より高い金額を出していったというのがあって、「何なんだろうな」と僕は正直に思ったところもありました。
ただ、ともかく、今回は、他県の状況を見ながらという議論ではなくて、相当双方がお互いの本当の本音の厳しい数字を、100円から30円みたいなところから、ドーンと出してから、グーッと議論してここまで100何十円、30円だったかな、なんか私も報道ベースで把握している限りなんですけれども、そう思っておりますので、ここはともかく、真剣に議論を重ねていただいた結果だと思っています。
ただ、最低賃金の制度が県別でどうあるべきかというのは今後、やはり今回もいろいろな議論がありましょうから、しっかりと見据えていき、そこの中で必要な意見を熊本県としても述べていきたいと思っています。
また、あまり最低賃金だけにこだわりたくないな、というか、最低賃金を、例えば県内の地域別に分けたらどうかという議論だってあるんですけれども。それをやってしまうと、たぶん中山間地の方たちがみんな都市部に来ちゃうというマイナスの面もあると私は思っていまして。
そういうのもあるので、やはり最低賃金はとりあえず、今の制度でいくのかなと思っていますけれども。これもいろいろな議論が今後起きるところでは、しっかりと熊本の意見を言っていきたいと思います。
↑ページトップ
Q
もう一点お伺いさせてください。本日、国が建設を予定している川辺川ダムをめぐって、地元住民らの意見を聞く公聴会が人吉で開かれると承知をしております。地元住民の方からは、水質低下を招くんじゃないか、災害対策として不十分なんじゃないかという不安だったり、懸念だったりの声があるかなと思います。県としてダムの必要性とか、こういった地元の声にどのように応えていくのか、お考えをお聞かせください。
木村知事
まずもって、今日の公聴会は事業者である国土交通省、国が行うものでございますので、そこで、しっかりと意見を聞いていただいて、また、必要な説明をしていただきたいと思っています。県としても、本当に長年の懸案を悩みに悩んで、またいろんな意見交換を重ねて命を守る、けれど清流も守るという理念の下での新たな流水型ダムということで、進めようということになりました。それに伴う地域の皆さんの不安とか不満には、県としても丁寧にこれからも説明を重ねて参りたいですし、メインの事業主体である国土交通省にもそれは、県からも求めていきたいと思っています。
↑ページトップ
Q
お伺いしたいんですが、先日、知事にも九州防衛局長が説明に来られた長射程ミサイルの関係で、これまで国から住民への説明を求めていくというお立場を知事としても出されておられますが、住民の県民の命を預かるお立場として、国の専管事項というのは承知していますが、責任を持って、例えば、何か情報を取りに行ったり、県の方から説明をしたりとか、県として何か主体的に果たす役割というのはあるのかどうか、またそういうお考えあるのかというのをお聞かせください。
木村知事
やはり防衛は国の専管事項でもありますし、あと、ミサイルの性能の詳細などについては、県はミサイルを持っていませんので、詳細な説明はできませんというところです。ですから、やはり防衛省、(九州)防衛局に説明を求めていくというのが県のスタンスだと思っています。
そうした中で、今回、九州防衛局長が説明に来られた際に、住民への丁寧な説明、情報提供等を行うということを言ってくださいましたし、その後、今回、防衛省のQ&Aみたいな、ちょっとすみません、違っているかもしれませんけれども、たぶん九州防衛局だと思うんですけれども、ホームページにも既にかなり詳細なQ&Aを発出してくださっています。ですので、やるべきことをやりつつあると思っておりますので、引き続き県民の不安に応えていく作業を、やはり防衛省にしていただきたいと思っています。
↑ページトップ
Q
今回の記録的大雨への対応である、すまいの確保の部分についてご質問です。
いわゆるみなし仮設についてなんですけれども、この入居期間の設定が被災当時に持ち家か借家で、最大2年という定めの中で、そこに差があるというところが今の制度としてあると思うんですけれども。その中でも借家では県としては1年と設定していて、熊本市では半年というふうに設定されています。
これは入居、いろんな状況の差があるとは承知しているんですけれども、こういった違いが「何で違うんだろう」というような住民の方の声であったり、「ちょっとわかりにくい」であったりという声もいただいているんですけれども、この違いがどのように発生しているのか、さらに、このちょっと分かりづらいという声に対しては、知事はどのように考えていらっしゃるか教えてください。
木村知事
みなし仮設の件につきましては、熊本市と熊本県で、6か月と1年で違うというのは、これは賃貸に住んでいらっしゃった方なので、基本はもうすぐ次の住宅を見つけていただくために、と言うことでございますので、熊本市の場合は、やはり他の住宅の事情が、いわゆる貸家の供給がいっぱいあるというところで、熊本市は政令指定都市として6か月という判断をされ、県は郡部も抱え、郡部では、そういう賃貸住宅が少ない事情もあろうからということで、1年というふうにしております。
ただ、その両者について重ねて申し上げたいのは、2年まで延長できるという点においては同じでございますので、そこの分かりにくさは丁寧にご説明したいと思っております。
ただ、繰り返しなんですけれども、やはりみなし仮設というのは、ある一定の時まで、つまりなるべく早く次の住宅を確保していくための間の制度でありますので、しかも今回の水害は冒頭のご質問等にも申し上げたように、令和2年7月豪雨や熊本地震のように全壊してしまって再建するのに何年もかかるということでは、たぶん私はないと思っています。実際、半年だとか、1年だというところによって、住民の皆さんの実際上の問題が生じるとはあまり考えていませんけれども、特に不安に思われる方には、事情があってどうしても見つからない場合は、2年まで延長できることが可能な制度なんですよ、というところは、熊本市とも情報共有をして丁寧に説明していきたいと思います。
↑ページトップ
Q
今まで出た部分の確認が一点なんですけれども、大雨災害の犠牲者の氏名公表について、知事のご説明、安否不明の方と犠牲者の方、両方含んでいたと思ったので、改めてなんですけれども、亡くなられた方についての公表方針については、原則公表なんだけれども、今回は例外的に非公開扱いという理解で言ってましたでしょうか。
木村知事
原則公表でご遺族の方がご同意されなければ、そこは非公表にするということです。
Q
例外的な扱いをする理由として、今おっしゃった通り、その遺族の方の御意向と、先ほどその令和2年7月豪雨の時の基準というのもおっしゃったかと思うんですけど、これは不明者の扱いについてなんでしょうか。
木村知事
はい、基本は安否不明者のところの扱いです。ただ、もちろんその中で、お亡くなりになられた方の取扱いも、今のようなかたちで定めています。
Q
では、今後もこういった災害の被害者に関する氏名公表については、遺族の方の御意向というのは、実質的に判断基準になっていくということなんでしょうか。
木村知事
はい、基本情報公開の理念にも即して、それはご遺族の方のプライバシーに配慮していきたいと思っています。変わりません。
↑ページトップ
Q
あともう一つは別の質問なんですけれども、TSMC工場の着工に関連して、9月にもなりましたので、改めて県としての最新のコミュニケーションといいますか、アップデートの状況があれば教えていただけますでしょうか。
木村知事
災害対応にずっと8月11日から関わっていたので、8月11日以降は新しい情報はないです。
ただ、第2工場を年内に作りたいという方針に変わりがないという幹部の方のインタビューが、たしか8月20日頃に2、3本報道機関に出ましたので、その情報までが現在のところです。
Q
直接県庁での手続きに向けたやり取りとかというのは、特に今の時点では把握されているものも含めてないというか。
木村知事
後ほどまた企業立地課にご質問いただければと思いますけれども、私にまで報告が上がってくるような何か、次のステップに行く大きな相談事はないと思っています。
↑ページトップ
Q
県有スポーツ施設の整備方針について、先日検討会議からの提言書を受け取られたと思います。
その時、知事としては公表時期、県としての公表時期はできるだけ早くということでしたけれども、あれからまだ数日しか経っておりませんけれども、時期など、知事の希望も含めてですけれども、何か言えることがあれば教えていただきたいです。
木村知事
県有スポーツ施設については、重い提言を、かなり深い議論をされたうえで提言をいただいたと思っています。
もう少し時間をいただいて、その方向性、もちろん大筋とても良いことを述べていただいているなと、一つ一つ勉強になる提言、そしてまた、付帯意見などをいただいていますので、そう遠くないうちに、県としての方向性を出せるように、県庁内での議論を進めていきたいと思います。
↑ページトップ