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まず最初に、三笠宮崇仁親王妃百合子殿下の御薨去に際し、謹んで心から哀悼の意を表します。
次に、今回の定例会に提案しております議案の説明に先立ち、最近の県政の動向について御説明申し上げます。
(1)「くまもと新時代共創基本方針」の策定について
まず、「くまもと新時代共創基本方針」の策定についてです。
4月16日に知事に就任し、7カ月が経過しました。
これまで、赤潮や台風第10号による被害など、早急な対応を要するものには危機感を持って臨み、渋滞解消や地下水保全などの喫緊の課題には5つの推進本部を設置し、対応策を庁内横断的に検討・推進して参りました。
また、先月には、観光文化部の新設や、食のみやこ推進局、国際・くまモン局などの設置による庁内組織体制の強化を図るなど、マニフェストに掲げた政策の実現に向け、スピード感を持った県政運営に取り組んでいます。
こうした中、県政運営の基本方針について、県民の皆様、市町村、関係団体の御意見を賜りながら検討を重ねて参りましたが、このたび、「くまもと新時代共創基本方針」として今定例会に提案いたしました。
基本方針では、将来に向けた県全体の持続的発展に向け、こどもまんなか熊本の実現、地域活力に不可欠な人材の育成、農林畜水産業をはじめとする様々な産業の振興、経済と環境の両立、そして安全安心の地域づくりなどを取組みの基本的方向性としています。
この基本方針のもと、県議会、県民の皆様と共に、新たな熊本県をしっかりと創って参ります。
(2)旧優生保護法に基づき不妊手術等を受けられた方への対応について
次に、旧優生保護法に基づき不妊手術等を受けられた方への対応についてです。
先月17日に、不妊手術等を受けた方などへの新たな補償金等の支給法が公布されました。
また、今月7日に県内2名の方が提訴されていた旧優生保護法に係る訴訟について、福岡高裁において和解が成立しました。
こどもを持つ権利を奪われ、心身に多大な苦痛を受けてこられた当事者のお気持ちを考えると大変心が痛みます。
当時の法律に基づく事務執行だったとはいえ、優生思想に基づく不妊手術の強制などは人権上大変問題があり、県もそうした手術等を進めてしまったことは、誠に申し訳なく、当事者の皆様に対しお詫び申し上げます。
来年1月17日から、補償金申請の受付が始まるに当たって、県としては、制度周知や相談体制の整備など出来る限りの対応をしていくことが大事であり、被害を受けた方々に寄り添った対応をして参ります。
(3)阿蘇くまもと空港の国際線ネットワークの拡大・強化について
次に、阿蘇くまもと空港の国際線ネットワークの拡大・強化についてです。
先月、需要見込みの増を背景に、スターラックス航空が台北線の航空機を大型化されました。また、今月にはソウル線において、アシアナ航空が週3便、大韓航空が週7便で運航を再開されました。さらに来月19日からは、イースター航空による釜山線が新たに就航することが決定しています。
2年前まで便数ゼロだった国際線が、今や4路線・週40便と、阿蘇くまもと空港の国際線ネットワークが拡大・強化され、アジア各地との接続が充実します。
TSMCの本県進出を契機に、熊本県及び阿蘇くまもと空港が世界から注目されています。この機会を的確に捉え、アジアに近い地政学的優位性を遺憾なく発揮できるよう、引き続き、熊本国際空港株式会社との連携のもと、新規路線の誘致、既存路線や国際航空貨物の利用促進に取り組んで参ります。
(4)球磨川流域の創造的復興と「緑の流域治水」の推進について
次に、球磨川流域の創造的復興と「緑の流域治水」の推進についてです。
まず、人吉市青井地区の土地区画整理事業についてですが、関係権利者全員の方から仮換地案の合意をいただき、先日、全ての宅地において仮換地指定を完了しました。現在、「令和2年7月豪雨からの新時代共創復興プラン」の改訂作業も進めており、引き続き、被災地の復興に全力で取り組んで参ります。
また、今月5日に開催された、国・県・市町村で構成する第10回球磨川流域治水協議会では、新たな流水型ダムの環境影響評価完了後も、ダムの構造、試験湛水手法やダム運用など、治水効果の最大化と環境影響の最小化に向け更なる検討が行われることなどについて、流域市町村長と認識を共有しました。引き続き、流域をはじめ県民の皆様への丁寧な説明を継続して参ります。
なお、今定例会には、国による従来の貯留型川辺川ダムの建設に関する基本計画の廃止に当たり、県として異議がない旨の意見を述べる件についても提案しております。
今後も、関係機関としっかり連携を図り、五木村、相良村の振興とともに、新たな流水型ダムを含む「緑の流域治水」を着実に推進して参ります。
(5)高病原性鳥インフルエンザの国内発生に伴う対応について
次に、高病原性鳥インフルエンザの国内発生に伴う対応についてです。
先月17日に、今シーズン全国初となる高病原性鳥インフルエンザが北海道の家きん農場において発生し、その後も全国各地で複数例確認され、今月20日には、九州で初めて鹿児島県出水市でも確認されました。
また、県内の死亡野鳥からも本病ウイルスが検出されており、厳重な警戒が必要です。
これらを受け、県では、県内192カ所の農場に異状が無いことを確認するとともに、家畜伝染病予防法に基づく消毒命令を今月21日に発出しています。
引き続き、本県から発生することがないように関係機関一丸となって、防疫措置に万全を期して参ります。
(6)パリ2024オリンピック・パラリンピックメダリストへの表彰について
次に、パリ2024オリンピック・パラリンピックメダリストへの表彰についてです。
オリンピック・パラリンピックという大舞台で県関係選手が活躍される姿は、県民に大きな感動を与えてくれました。その中でも特に素晴らしい成績を収められたメダリストの皆様を、このたび表彰することとしました。
パラリンピックで金メダルを獲得された、車いすラグビー競技の島川慎一選手、乗松聖矢選手、車いすテニス競技の田中愛美選手に、「熊本県県民栄誉賞」をお贈りします。パラリンピックでの金メダル獲得は、歴史に残る快挙であり、国民的規模での敬愛と感動を与えられ、県民の大きな誇りにつながりました。
また、オリンピックで銅メダルを獲得された、フェンシング競技の菊池小巻選手、バドミントン競技の志田千陽選手、松山奈未選手、パラリンピックで銅メダルを獲得された、競泳競技の富田宇宙選手に、「熊本県スポーツ特別功労賞」をお贈りします。その活躍される姿は、多くの県民に希望を与えただけでなく、スポーツの普及・促進にも大きな貢献をされました。
4年に一度開催という限られた世界の大舞台で、持てる力を存分に発揮され、活躍された選手に賞をお贈りできることを大変嬉しく思っています。
続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明いたします。
まず、一般会計補正予算は、災害復旧関連事業やマニフェストの実現に向けて取り組む事業などを計上しています。
この結果、60億円の増額補正となり、これを現計予算と合算しますと、8,688億円となります。
このほか今定例会には、条例案件や工事関係、そして計画関係として先ほど述べました「くまもと新時代共創基本方針」の策定、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。
また、今会期中には、人事案件についても追加提案する予定です。
これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。