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北向山の原始林(きたむきやまのげんしりん) 南阿蘇村

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0000321 更新日:2020年8月1日更新

北向山の原始林

所在地

 阿蘇郡南阿蘇村大字河陰

利用案内

 駐車場 JR豊肥線立野駅に20台あり
 トイレ なし

解説

 北向山 −照葉樹の原生林−

北向山の位置

 JR立野駅に降り立つと、白川の対岸にうっそうと広がる原生林が見えます。この山が北向山です。一般に北向山と呼ばれていますが、それは国有林名に由来する名前です。この地域の天然記念物としての名称は「阿蘇北向谷原始林」となっています。北向山は、山頂から戸下トンネル上部に伸びる尾根の南東部が旧久木野村、北西部が大津町に属しています。

北向山の概要

 北向山は、外輪山を白川が削った北向きの急斜面と、その東側の南外輪山の一部からなり、その面積は100haほどです。その最下部は標高約200mの白川の水面から500mほどの高さに切り立った断崖となっています。その上部は急な斜面が俵山から伸びてきた尾根の先端部にある797mの標高点まで続いています。この急斜面にだけ自然林が残されていて、その標高点から俵山に続く尾根と外輪山内外の斜面は一面の草原となっています。

北向山の植物

 阿蘇地域に残っている森林の中で、標高の最も低いところにあるのが北向山の森林です。北向山はスダジイ・ウラジロガシなどからなる照葉樹林です。照葉樹林は、気候が温暖な地域に発達し、かつては西日本の平地の全域を覆っていたものです。しかし、そこは同時に人間にとっても住み良い環境であるために、森林のほとんどが人間の活動によって破壊されたり、質が変えられて、手つかずの原生林のまま残っているところは、全国的に見ても大変少なく貴重なものになっています。北向山は、その残り少ない森林の一つであり、国の天然記念物にも指定されています。林内にはスダジイ・ウラジロガシ・アカガシ・タブノキ・イスノキ・ヤブニッケイ、ヤブツバキ、アラカシなどの照葉樹が混成し、高さ15mから20mの森林をつくっています。高い木の多くは斜面の下部ではスダジイやイスノキですが、標高300mを越えるあたりからウラジロガシが多くなります。地面には、クマワラビ・ハカタシダ・アリドウシ・ヤブコウジ・ヤブラン・ジャノヒゲ・キジョランなどが見られますが、上部がよく茂った照葉樹で覆われているうえに、急斜面であるために林内は薄暗くなっています。北向山の森林は遠目に見るとうっそうとしていて、森林内はジャングルのようになっていると思われているようですが、実際は低い木が少なく意外と歩きやすいものです。また、各所に垂直に立つ岩場が見られ、岩上にはハコネシダやイワタバコなどが付着しています。

 北向山下部にはキジョラン・オオバウマノスズクサ・ツルグミ・ムベ・アケビなどのつる植物が多く、上部では照葉樹が減少して夏緑樹のケヤキ・カエデ類・シデ類・エゴノキ・ヤマボウシなどが多くなります。

参考文献

 熊本県商工観光労働部観光振興課編 『阿蘇の植物便覧』 熊本県 1982
 今江正知編 『自然と文化阿蘇選書 自然と生き物の讃歌』 一の宮町 2001

周辺情報

 近くには、長陽温泉ヴィナス、阿蘇下田城温泉、鮎帰りの滝、数鹿流の滝、阿蘇火山研究所、立野のスイッチバックなどがあります。

地図