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熊本駅白川口(東口)駅前広場 暫定形
建築概要
熊本駅東口駅前広場暫定計画である。
この広場の計画は二段階式になっている。まず第一段階として、平成23年の新幹線開業時に合わせた、今回の計画部分(暫定形)がある。その次に、平成30年竣工予定の新駅舎建替事業に伴って駅前広場が拡大する予定で、その際に再整備される広場全体を完成形と呼んでいる。私たちはこの暫定形から完成形に至るまでの、都市空間としての時間的な連続性、調和性が重要と考えた。
具体的な提案は、薄く軽やかな雲形の屋根を複数浮かべるというものである。暫定形でまず一つ屋根が作られ、完成形においてさらにいくつかの屋根が作られる。屋根は、カーブしながら車や人、路面電車などの諸動線の流れから導き出されたカーブ曲率をおのおの持っていて、柔らかくカーブしながら雲の群れのように空中に浮かび、熊本の強い日差しから人々を守る大きな日傘となる。構造としては、キャンチレバーのスチール柱群がRCのフラットスラブを支えるというシンプルな計画とした。壁というものがないので、誰でもどちらからでも気軽に訪れ、通りぬけることができるような、非常な開放感と透明感を持つ。駅前に集中する諸動線の処理だけに終始する交通空間ではなく、緑と太陽、日向と日陰から成る、人々と街に開れた公共空間を作り出したいと考えている。
「新建築Online」(2011年5月)で紹介されました。
下のURLから動画で見ることができます。
http://www.japan-architect.co.jp/jp/movie/2011/sk_2.php<外部リンク>
2007年11月、熊本駅東口駅前広場の公募型プロポーザルで西沢立衛氏が設計者として選ばれたときの完成イメージ案です。
左から2つ目の真中より下部分が暫定形として建設されました。
建築データ
名称 | 熊本駅白川口(東口)駅前広場 暫定形 |
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ふりがな |
くまもとえきしらかわぐち(ひがしぐち)えきまえひろば ざんていけい |
所在地 | 熊本県熊本市春日3丁目637−2地先 |
主要用途 | 公共用歩廊上屋 |
事業主体 | 熊本県 |
設計者 | 西沢立衛 |
施工者 | 鉄建建設株式会社 |
敷地面積 | 6,037.72平方メートル |
建築面積 | 907.31平方メートル |
延面積 | 1,054.34平方メートル |
階数 | 地上1階 |
建築家プロフィール
西沢 立衛(にしざわ りゅうえ) | ||||
1966年 | 東京都生まれ | |||
1988年 | 横浜国立大学工学部卒業 | |||
1990年 | 横浜国立大学大学院修士課程終了 | |||
1990年~ | 妹島和世建築設計事務所入所 | |||
1995年~ | 妹島和世とSANAA共同主宰 | |||
1997年~ | 西沢立衛建築設計事務所主宰 | |||
2001年~ |
横浜国立大学大学院助教授 | |||
2010年~ | 横浜国立大学大学院Y-GSA教授 | |||
主な作品 ※は妹島和世との共同設計 |
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主な受賞 | ||||
2002年 | アメリカ芸術文化アカデミーアーノルド・W・ブルンナー賞受賞 | |||
2002年 | ヴィンセント・スカモッツィ賞受賞 | |||
2004年 | イタリアベネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展 金獅子賞受賞 | |||
2005年 | ショック賞(視覚芸術部門)受賞 | |||
2005年 | 第46回毎日芸術賞受賞 | |||
2006年 | 日本建築学会賞二度目受賞 | |||
2008年 | 日本建築学会賞作品部門審査員 | |||
2010年 | プリツカー賞 | |||
2011年 | 藝術文化勲章オフィシエ、フランス |
PHOTO:takashi okamoto