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(注目)AV出演強要問題対策の推進
性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が定められ、若年層の性被害に関する問題を広報啓発するのに適した入学・進学時期である4月を、AV(アダルトビデオ)出演強要問題の被害防止を含めた「若年層の性暴力予防のための月間」と位置付け、政府一体となって対策を推進しています。
AV出演強要問題とは、詐欺・脅迫的な言動を用いたり、出演を拒否した際に多額の違約金を請求されるなどして、AVへの出演を余儀なくされるという悪質な事犯です。
本人の意に反してAVへの出演を強いるような行為は、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題であるため、迅速かつ的確な対応が求められています。
主な被害事例
- 街中でスカウトからグラビアモデルにならないかと声をかけられ、契約書にサインしたが、後日、AVのモデルであることが判明、出演を拒否したが聞き入れてもらえず、出演を拒否すれば多額の違約金が発生するなどと言われ、仕方なく出演した。
- 街中でスカウトからグラビアモデルにならないかと声をかけられ、契約書にサインしたら、そのまま自動車に乗せられ、車内で複数の男性から無理やり性交され、その状況を撮影された。
- 知人の紹介でグラビアモデルの事務所に面接に行き、契約書にサインしたが、後日、撮影現場でAVの撮影であったことが判明、出演を拒否したが、長時間、密室に閉じ込められ、複数人から出演を説得された。出演に応じなければ部屋から出してもらえないと観念し、出演した。
- インターネットの求人に応募したら、面接でAVの女優だと告げられたので断ったら、「親にばらす。契約書にサインしろ。」と胸ぐらをつかまれて脅され、仕方なく契約したらその日のうちに出演させられた。その後、販売を差し止めてもらおうとしたら、販売差止めの対価として高額の違約金を請求された。
被害に遭わないために
AV出演強要問題では、相手側から、「契約違反となる。」「違約金を払え。」などと言われて萎縮し、結果として被害に遭ってしまう場合があります。
被害に遭わないために、民事における契約の一般論として
- 女性側がAVへの出演を承諾していなければ、AVに出演することを内容とする契約は成立していません。
- AVへ出演する契約として成立はしていたとしても、錯誤に基づくもの(現実に起こっている事柄と考えとが一致しないこと。【例:当初はモデル契約等として、 AVへの出演があることを知らずに契約した】)であれば、その契約は取消しとなります。
- 嘘や脅迫に基づくもの(例:「AVではないから。」等とだまされて契約した、脅されて契約した)であったり、女性が未婚で20歳未満であれば、AVへの出演を承諾した意思表示を取り消すことができます。
- AVへ出演する契約として有効に成立していたとしても、個別事情に基づき女性側から契約の解除をすることができるなどと解釈する余地もあります。
ということを覚えておきましょう。
相談窓口
アダルトビデオ出演強要の相談は、「♯9110」(警察相談専用電話)や最寄りの警察署、交番等に相談してください。