近年、屋外広告物の老朽化等による落下等の事故が発生していることから、屋外広告物には安全性の確保・向上が求められています。
このような状況を踏まえ、熊本県におきましても、令和元年7月に熊本県屋外広告物条例の一部を改正しました。
改正の概要
1 屋外広告物の管理義務を負う者の範囲の拡大
(改正前)
(改正後)
2 有資格者による屋外広告物の安全点検の義務化
屋外広告物の所有者や占有者に、有資格者による広告物又は掲出物件の劣化や損傷の状況等の点検をすることが義務付けられました。
※ 簡易広告(はり紙、はり札等、広告旗、立看板等及び広告幕)及び特殊広告(アドバルーン)を除きます。
(有資格者とは?)
以下の資格を持つ方です。
- 屋外広告士
- 1級及び2級建築士(木造建築士を除く)
- 屋外広告物点検技能講習会の修了者
3 許可更新時における点検結果の提出義務化
広告物の表示又は掲出物件の設置許可の更新を受ける際に、有資格者による安全点検結果報告書等の添付が義務付けられました。
更新許可申請を行う場合は、申請前3か月以内に有資格者による安全点検が行われていなければなりません。
点検の結果、当該広告物又は掲出物件の基礎部、上部構造、支持部及び取付部の変形、腐食又はゆるみ、広告板の腐食、破損又は変形等の
異常があり、改善が図られていないと認めるときは許可の更新ができません。
4 提出に必要な添付書類
- 屋外広告物安全点検結果報告書
※申請前3か月以内に実施した点検に限ります。
- 点検者が有資格者であることを証する書面の写し
屋外広告士の場合:登録証の写し
1級及び2級建築士の場合:免許証の写し若しくは免許証明書の写し
屋外広告物点検技能講習会の修了者の場合:修了証の写し
- 点検後の広告物等の全景、点検項目ごとの状態を撮影したカラー写真
- (点検の結果異常があった場合)当該異常のあった箇所の補修の前後を撮影したカラー写真
5 点検項目(参考)
(1)基礎部・上部構造
- ア 上部構造全体の傾斜、ぐらつき
- イ 基礎のクラック、支柱と根巻きとの隙間、支柱ぐらつき
- ウ 鉄骨のさび発生、塗装の老朽化
(2)支持部
- ア 鉄骨接合部(溶接部、プレート)の腐食、変形、隙間
- イ 鉄骨接合部(ボルト、ナット、ビス)の緩み、欠落
(3)取付部
- ア アンカーボルト・取付部プレートの腐食、変形
- イ 溶接部の劣化、コーキングの劣化等
- ウ 取付対象部(柱・壁・スラブ)・取付部周辺の異常
(4)広告板
- ア 表示面板・切り文字等の腐食、破損、変形、ビス等の欠落
- イ 側板、表示面板押さえの腐食、破損、ねじれ、変形、欠損
- ウ 広告板底部の腐食、水抜き孔の詰まり
(5)照明装置
- ア 照明装置の不点灯、不発光
- イ 照明装置の取付部の破損、変形、さび、漏水
- ウ 周辺機器の劣化、破損
(6)その他
- ア 付属部材(装飾、振れ止め棒、鳥よけその他付属品)の腐食、破損
- イ 避雷針の腐食、損傷
6 よくある質問
Q1 点検はどれ位の頻度で行えば良いですか?
A1 点検頻度に定めはありませんが、屋外広告物を常に良好な状態に保つ必要があります。
全国的にも屋外広告物の落下事故が報告されていますので、事故が起きないよう定期的かつ劣化、損傷等の状況に応じた点検をお願いします。
Q2 点検の方法はどうすればいいですか?
A2 屋外広告物は種類、大きさ、設置場所等により状況がさまざまです。
事故が起きないよう目視点検に加え、打診、触診等の点検をお願いします。
なお、次の資料なども参考にしてください。
- 屋外広告物の安全点検に関する指針(案)(国土交通省)
- オーナーさんのための看板の安全管理ガイドブック(屋外広告物適正化推進委員会)
- 屋外広告物点検基準(案)(一般社団法人日本屋外広告業団体連合会、公益社団法人全日本ネオン協会、一般社団法人サインの森)
Q3 有資格者を探すには、どこに相談すればいいですか?
A3 当該屋外広告物の設置業者に相談されるか、熊本県屋外広告美術協同組合(電話:096-370-5591)へお尋ねください。