熊本県

熊本県文化振興基本方針

最終更新日:
企画振興部 文化企画・世界遺産推進課 TEL:096-333-2154 FAX:096-381-9829 メール bunkasekai@pref.kumamoto.lg.jp

熊本県文化振興基本方針(平成元年11月30日策定)

はじめに

1 趣旨  
  わがふるさと熊本は、変化に富んだ豊かな自然の恵みを受け、古くから個性ある文化がはぐくまれてきました。私たちはこの誇るべき文化風土を守り、さらにより良いものに高めていかなければなりません。
  本県では、この文化振興に取り組む県の姿勢と決意を示すため、昭和63年12月「熊本県文化振興基本条例」を制定しました。
  この文化振興基本方針は、当条例に基づき、本県の文化振興行政の指針となる施策運営の理念及び必要な施策の体系やその基本方向を明らかにしたものです。今後はこの基本方針に沿い、熊本県総合計画と一体となって、長期的、継続的な文化振興施策の運営を図っていきます。
  併せて、この基本方針が、県民にあっては文化活動の、市町村にあっては文化振興施策充実の一助となることを期待します。

2 位置づけ
 (1)この基本方針は、熊本県文化振興基本条例(昭和63年熊本県条例第40号)第5条の規定に基づくものです。
 (2)この基本方針は、直接的な文化振興施策にかかわる行政分野のみならず、県が行うすべての行政分野に生かされる    べき理念を示すものであり、施策の実施に当たっては、この理念に沿って実施するよう努めなければなりません。
 (3)この基本方針は、文化振興施策の実施に当たって、市町村と連携協力し、あるいは必要な助言等を行う場合の指針となるものです。

第一章 目標・理念と行政の役割

 
  私たちは、豊富な物と情報のなかで自らの個性と選択によって、自由に行動することのできる新しい時代を迎えています。これは、人々が生活に質の高さや精神的充実を求めていく文化享受の時代であり、同時に、伝統文化に支えられた、豊かで個性ある新たな地域文化をはぐくんでいく文化創造の時代です。
  文化振興行政を進めていくに当たっては、このような大きな時代の流れを的確につかみ、長期的展望にたった目標と理念のもとに、総合的かつ効果的な施策が推進されなければなりません。

1 目標  
  …風新しく文化の振興…
  本県には、豊かな自然にはぐくまれ、地域に根ざした伝統文化や生活文化が数多く息づいています。私たちは、本県のこうした文化風土に誇りと愛着を持ち、熊本ならではの濃厚な地域性と開かれた国際性を併せ持つ確かな地域社会を創造していかなければなりません。
  それは、私たちが失いかけた地域のコミュニティや人と人との連帯の再生であり、世代、言語、地域などの境界を越えた多様な文化との相互理解の促進にほかなりません。
  そして21世紀を迎えた今、時代という風は新たな文化の担い手の登場や文化の領域の拡大という大きなうねりとなって新たな地域文化を形づくろうとしています。          
  私たちは、誰もが暮らしやすく豊かな熊本の実現を目指すユニバーサルデザインを基本理念として、あらゆる文化をすべての人が享受できる環境を整え、地域に根付いた熊本ならではの多彩な文化を継承・発展させるとともに、個性ある新たな文化を創造していきます。

2 五つの理念  
   (1) 地域化の推進…地域ならではの文化を
  地域文化を振興していくためには、一人ひとりが地域固有の自然風土や歴史・文化の伝統を確かめることが大切です。さらに自らの手で高め、地域の生活のなかに生かし、地域ならではの個性ある文化を創造していきます。
 (2) 国際化の推進…世界に開かれた文化を
  高度情報化社会や国際化社会のなかでは、地方も積極的に世界と交流し世界の活動に参加していくことが求められます。このような新しい時代を迎えて、地域の文化も国際的な視野でとらえ、世界に通用し影響を与えていく文化をめざします。
 (3) 自然との調和…自然と触れ合う文化を
  文化は、人と自然とのかかわり合いのなかではぐくまれます。自然を守り大切に維持していくことは、文化の継承にとって不可欠であり、同時に新しい文化創造の源です。
  今私たちは、人と自然とのかかわりを見つめ、人と自然とが調和した確かな文化をつくりだしていきます。
 (4) 交流と連帯…手を結ぶ文化を
  人は、風土や伝統のうえに立って、人と人の触れ合いを通して生きる喜びや生きがいを見いだしてきました。私たちは、自由に交流し、自己表現できる機会を広げ、人と人との新たな連帯を実現していきます。
 (5) 次代への継承…後世に残り得る文化を
  今享受している文化は、先人たちの優れた英知とたゆみない努力のあかしであり、時間の経過に耐えて永く継続し、地域社会の共有の財産として蓄積されてきたものです。私たちは、先人から受けついできた文化の遺産と伝統を守っていくとともに、さらに後世に残り得る文化を自ら創造し、次代に引き継いでいきます。

3 役割  
  文化を担っていく主体は県民です。県行政の基本的役割は、文化団体、NPO、文化ボランティア等とのパートナーシップのもと、県民の自主的文化活動のエネルギーを醸成し、引き出し、その諸活動の発展を促す環境づくりを進めていくことにあります。
  県は、このような自らの役割を自覚し、その責務を果すべく文化振興施策の充実を図っていきます。

第二章 施策の総合的推進

 1 文化を基調とする行政の運営
  今日、人々の文化への志向の高まりに伴い、県行政においても、直接的な文化振興行政だけでなく、産業、生活、健康、福祉などといったすべての分野が、文化の振興にかかわりを持ってきています。
  したがって、県行政の運営に当たっては、そのすべての分野に文化振興行政の理念を生かし、常に文化的視点に立った施策の推進に努めなければなりません。

2 六つの基本施策
  文化振興行政の運営に当たっては、特に次の事項を基本として、関連施策を含めた総合的な推進を図っていきます。
 (1)文化意識の高揚
 (2)文化資産の継承と発展
 (3)文化活動の促進
 (4)文化施設の整備
 (5)文化の国際交流の推進
 (6)文化をはぐくむ環境の保全と形成

第三章 文化振興施策の推進

[1]  文化意識の高揚
  文化の振興にとっては、県民一人ひとりが文化に対する深い理解と関心を持ち、自ら文化の諸活動に参加していく気運を醸成していくことが大切です。そのため、これからの少子高齢社会にも対応した学校教育や生涯学習、広報活動等を通じて、県民の文化意識の高揚のための適切な方策を推進していきます。
 (1) 教育の場における郷土学習、文化活動の推進
  次代を担う青少年の郷土への理解を深め、文化への関心の芽をはぐくんでいくため、学校教育の場における郷土学習をさらに充実していくとともに、芸術鑑賞事業の拡充や、部・クラブ活動における文化活動をより一層充実していきます。
  また、あわせて、教職員に対する研修についても、研修機会の充実や外部講師の活用など必要な指導体制を充実していきます。
 (2) 生涯学習の推進
  生涯学習は、知識や教養の修得だけでなく、自己啓発やキャリアアップによる自己実現のために、自ら積極的に社会参加を求める文化活動です。学習機会の拡充と内容充実に対する県民の欲求は、ますます高まっていくものと予想されます。そのため、生涯学習の総合的な推進体制の整備を図っていきます。
 (3) 啓発活動の推進
  伝統文化の復興や新たな文化の創造、文化財愛護、環境美化、景観形成、自然保護などの文化の振興に関する県民運動をより積極的に進めていくとともに、文化に関する講演会、研修会や県広報事業における啓発活動などを進めていきます。
 (4) 情報の提供
  県民の文化に対する理解と関心を高め、文化活動への参加を促していくためには、地域の文化資源、文化事業、生涯学習などの文化に関する幅広い情報が県民に広く提供されなければなりません。また、本県が国内だけでなく世界に向けて新しい文化を創造し発信していくためには、できるだけ多くの質の高い情報が県民に提供されなければなりません。情報の即時性や多様性が求められるなか、このような情報の意義を認識し、県民に提供していく方策について検討していきます。
 (5) 顕彰制度の充実
  顕彰制度は、後進の意欲の喚起に大きな役割を果すものであり芸術文化活動等に対する顕彰制度、文化財保護、環境美化、景観形成、自然保護などの活動に対する顕彰制度を充実していきます。
 (6) 地域づくり運動の推進
  今、県下各地域で地域づくり活動が活発に行われています。このような活動のなかから新しい地域の文化が生まれてくるものですが、特に地域の文化の掘り起こしや文化交流などによる地域づくり活動を積極的に奨励し、これを促進していきます。

[2] 文化資産の継承と発展  
  本県には、古くから豊かな文化が栄え、貴重な文化資産が各地に数多く残され、文化財の宝庫といわれています。そして、これらの文化資産が、それぞれ地域独特の文化風土を形づくっています。
  地域の文化は、常に継承と創造の連続によって、蓄積され、高められていくものです。私たちは、先人から伝えられた文化資産を大切に保護していくとともに、適切な活用に努めながら、過去、現在、未来へわたる県民共有の財産として次代へ継承していかなければなりません。

1 文化遺産の保存と活用  
  本県に残っている古墳、遺跡、神社仏閣、美術品、近代化遺産などの有形の文化遺産や、地名、方言などの無形の文化遺産について、その保存対策を充実していくとともに、公開・普及・活用を図っていきます。
 (1) 保護思想の普及
  文化遺産の保護に当たっては、とりわけ地域住民の理解と協力が必要であり、文化財保護思想の一層の普及を進めていきます。
 (2) 保存管理対策の推進
  市町村や所有者が行う文化財の保存管理に対する県の支援措置について検討を行うとともに、緊急な修理等保存管理を必要とするものについて、計画的な事業を推進していきます。
  指定文化財以外で貴重な文化遺産については、指定文化財とあわせた総合的な保護制度について検討していきます。
  また、特に貴重な文化遺産については、市町村と連携した買上げ制度、寄託制度の促進を図るとともに、民間と連携したコミュニティトラスト方式の導入の検討を行うなど公共的な管理を促進していきます。
 (3) 公開・活用対策の推進
  文化財等を広く人々に紹介し、これに親しむ機会を与えていくために必要な文化財情報の提供策の充実を図るとともに、アクセスの整備や案内誘導標識、現地説明板の設置、周辺環境の美化など、利用促進に必要な施設の充実整備を図っていきます。
  なお、公開・活用策については、観光振興施策との関連が極めて深いので、十分な連携を保ちながら一体となった施策を推進していきます。
 (4) 文化財を生かした環境の整備
  遺跡や近代化遺産などの歴史的建造物や歴史的まちなみ、伝統工芸品などは、郷土に対する認識や愛着を深めるものであり、これらの文化財を有効に用いた地域環境の整備について検討していきます。
 (5) 人的基盤の整備
  文化財の適切な管理と事業の円滑な運営を図るため、文化財専門職員の充実、文化財保護指導委員の充実、修理技術者の養成など、必要な人的基盤の整備を検討していきます。
 (6) 市町村との連携
  地域における文化財の管理に当たっては、まず、市町村が主体となるべきものです。したがって、県としては、市町村の文化財保存管理体制の充実、推進体制の強化について指導していくとともに、市町村との連携に努めていきます。

2 伝統芸能、伝承文化の継承  
  地域の伝統芸能や、古くからの生活行事、民俗芸能、伝統工芸などの伝承文化について、その保存対策を充実していくとともに、公開・活用を図っていきます。
 (1) 学校教育の場における伝承活動の促進
 学校教育の場で伝承活動が活発に行われるよう、地域伝承芸能の紹介やサークルの育成、指導者の派遣、優良校の表彰等、活動の奨励と促進に必要な施策を推進していきます。
 (2) 伝承活動に対する支援
  社会教育や地域学習などの活動を通じて、伝承活動を行う個人、団体の育成支援を図るとともに、指導者の派遣、優れた活動団体に対する表彰などについて検討していきます。
 また、伝統工芸についても、関係団体と連携協力し、伝統技術者の育成、伝統工芸産業の振興を促進していきます。
 (3) 公開・発表機会の拡充
  伝統芸能や民俗芸能、伝統工芸の存続のためには、伝承者の励みとなり、技術修練の場となる多くの公開・発表の機会が与えられなければなりません。そのため、公共施設等の開放、芸能発表催事の開催や参加の奨励など公開・発表を促進していくための環境づくりを進めていきます。
 (4) 調査、記録保存事業の計画的推進
  伝承文化についての調査や映像などによる記録保存は、伝承活動を進めていくうえで不可欠のものです。市町村と連携協力して、伝承文化の調査事業や記録保存事業を計画的に推進していきます。

3 歴史・文化調査研究の推進  
  地域の持つ歴史・文化の伝統は、私たちが自己を認識し、自己を確立していくために不可欠のものであるとともに、地域のコミュニティを維持、再生するものであり、未来に向かって新たな文化を創造していく礎となるものです。
  しかし、古文書をはじめとして地域の歴史・文化に関する資料は、急速な都市化の進展や生活環境の変化で散逸し、かけがえのない地域の記憶が次第に失われつつあります。今私たちは、地域の歴史・文化の伝統を掘り起こし、それを正しく認識し、先人の知恵に学び、そして次代に引き継いでいかなければなりません。
  そこで、地域の歴史・文化に関する資料等の収集整理や調査研究など総合的な推進体制の整備を図り、県民の活用に備えていきます。

[3] 文化活動の促進  
  本県の文化活動はきわめて活発であり、これは本県の伝統とも言うべきものです。この良き伝統のうえに立って、さらに熊本の個性あふれる創造的な文化活動が進められなければなりません。県民の文化活動を促進していくため、市町村や民間文化活動団体等と連携協力し、より一層の条件整備を進めていきます。

1 県民活動の支援
 
(1) 芸術創作活動に対する支援
  県民の文化活動を促進し、レベルを向上していくためには、芸術創作活動家等の優れた人材が育成されなければなりません。そのため、各種の助成制度の活用を促進し、芸術創作活動や発表活動に対する支援に努めていきます。
 (2) 文化活動支援体制の充実
  県民の文化活動の裾野を広げ、また活動内容の水準を高めていくため、関係団体との連携を密にして、指導者の派遣や県芸術文化祭における活動の成果発表など文化活動に対する支援体制の充実を図っていきます。
 (3) 文化情報の提供
  より優れた活動を行うためには、質の高い情報が不可欠です。そこで、国の内外の芸術文化に関する情報や文化事業などの情報を収集し、県民に提供していく方策について検討していきます。

2 鑑賞機会の提供
(1) 鑑賞事業の推進
  県立文化施設における文化事業等の充実をはじめとして、県民が広く優れた芸術文化を鑑賞できる機会を充実していきます。
(2) 市町村鑑賞事業に対する支援
  優れた芸術の鑑賞機会を、県内各地域に広げていくため、市町村が行う鑑賞事業に対する支援措置等について検討していきます。
(3) 学校における鑑賞事業の充実
  感受性豊かな時期にある青少年に優れた芸術文化に接する機会を与えていくため、子ども芸術劇場、青少年芸術劇場、スクールコンサート、中学生音楽教室、芸術鑑賞教室など、学校における舞台芸術、音楽芸術の鑑賞機会を充実していきます。

[4] 文化施設の整備
 文化施設は、県民に文化に関する情報を提供し、また、県民の自発的な文化活動を促進していく基盤となるものです。
 そのため、将来の文化発展の方向性や欲求の変化などを見越した、長期的視点に立って、県、市町村文化施設を整備し、併せて、施設間のネットワークの拡充や人材交流など、既存文化施設の機能充実や各種地域公共施設の活用を促進していきます。
 また、利用者のニーズや地域の実態に即し、公立文化施設の新たな運営形態についても検討を進めていきます。

1 整備の促進
  県、市町村、民間施設の役割や機能分担を明確にしながら、既存施設のバリアフリー化など、ユニバーサルデザインを取り入れた文化施設の整備に努めていきます。
 (1) 県立文化施設
  県立文化施設は、県民の文化活動の拠点として、大きな役割を果たしていますが、県民の文化的欲求は、今後ますます高度化、多様化していくことが予想されます。この県民の欲求にこたえていくため、新しい文化施設の計画的整備について検討を進めていきます。
 (2) 市町村文化施設
  地域における文化の振興を図るため、県内市町村において、各種文化施設の整備が進められつつあります。これら市町村の文化施設の施設整備や運営方法等について県の助言機能を高めていくなどの支援措置について検討していきます。
 (3) 民間文化施設
  民間の文化施設は、県民の文化的生活に深くかかわり、大きな役割を担っています。もとより文化の創造は、民間の創意と活動に待つべきものであり、民間の手によって多種多様な文化施設が整備されるよう、その促進に努めていきます。

2 施設間連携の強化
  県内各地には、県立文化施設をはじめとして、各種の公共文化施設が配置され、それぞれ地域の文化活動の拠点として活用されています。これら施設のより一層の充実と、利用の促進を図っていくため、県立文化施設の助言等の機能を充実し、共同企画や相互援助など文化施設間の連携を高めていきます。

3 公共施設利用の促進
  それぞれの地域には学校、集会施設等さまざまなコミュニティ活動の拠点となる公共施設が数多くあり、これらの施設を地域における文化・学習活動の場としてその活用を促進していきます。
 (1) 学校施設の積極的開放
  学校は地域の人々が最も親しみ、愛着を持つ地域コミュニティの場です。今後とも地域社会への開放を積極的に進めていくとともに、社会教育施設等と連携しながら、地域の文化活動の拠点としての機能を高めていきます。
 (2) 地域活動施設の効果的活用
  地域においては、各種行政施策のなかで様々なコミュニティ活動施設の整備が進められていますが、これらの施設が日常生活における文化活動施設として利用ができるよう、施設内容、運営方法についての検討を進めていきます。

[5] 文化の国際交流の推進
  国際化社会を迎えている今日、人々の生活のすべてが、世界とのかかわり合いなしでは考えられなくなってきている。
  これからの時代は、人や物や情報が国境にかかわりなく行き交い、その中から、人々の新しい生活や文化が創造される時代である。
  このような時代の流れを的確にとらえ、世界に開かれた地域社会をめざし、世界との文化交流を進めていかなければならない。

1 文化交流事業の推進
  世界の文化への理解を深めるだけでなく、日本や地域の文化を世界の人々に理解してもらうため、まず自らの文化について認識を深め、そのうえに立った国際文化交流を進めていきます。
 (1) 姉妹提携地域
  姉妹提携先との交流については、友好親善の意味だけでなく、相互の文化の向上と発展につながるような文化交流をめざし、市町村、民間と連携協力して、交流事業の内容の充実と推進に努めていきます。
 (2) アジア諸国
  アジア諸国とは歴史的かかわり合いも深く、現在、文化、経済、観光、学術などの各分野において活発な交流が行われています。
  今後も、国や国際交流基金、県国際協会、民間等との連携協力を図りながら、アジア諸国との文化交流を進めていきます。
 (3) 世界各国
  広く世界各国との文化の国際交流を進めるための事業を充実していくとともに、県立劇場、美術館等で行う文化事業についても、文化交流や活動家間の交流を視点においた事業の企画を検討していきます。

2 市町村交流事業の促進
  県内の市町村においても姉妹都市等の友好提携をはじめとして、諸外国との交流が盛んになってきています。
  文化交流事業を行う市町村に対し適切な助言等を行うとともに、モデルとなる市町村に対しては適切な支援措置を検討していきます。

3 民間交流の育成支援
  県民の交流活動を促進していくため、民間による文化交流活動や交流団体の育成に努めるとともに、「公益信託くまもと21ファンド」をはじめとする各種助成制度を活用し、交流活動に対する適切な支援措置を検討していきます。

[6] 文化をはぐくむ環境の保全と形成  
  快適な環境は、人々に潤いややすらぎを与えるとともに、文化をはぐくむ大切な基盤です。それは、豊かな自然、先人たちが築いてきた歴史や伝統などが、守り受け継がれ、そして、新たな美しい景観やまちなみが創造され、より高い文化性を有してくる、そのような快適な環境です。
  本県では、県民、市町村と連携協力して、なお一層潤いとやすらぎのある生活環境づくりを進めていきます。

1 潤いのある生活環境の形成  
  熊本がめざす、自然と人とが調和する社会は、同時に、緑と文化が息づく社会でもあります。この基本認識に立って、緑と水を基調にした潤いとゆとりのある生活環境づくりを進めていきます。
  (1) 生活空間の緑化の推進
  本県では、熊本の特性を生かす自然と共生した環境づくりをめざして、緑化の県民運動を進めています。
  今後もこれらの運動をより一層進めていくとともに、市町村等と連携して、公園や道路、学校、公共施設などの公共空間をはじめとして、生活空間の緑化を進めていきます。
  (2) 水辺空間の整備の促進
  河川や湖沼、海岸、港湾などの水と緑が織りなす水辺空間は、地域の個性ある景観を形づくるとともに、人々が水に親しみ触れ合う憩いとやすらぎの場として大切なものです。このため、地域の水路、河川などの浄化や水質の保全に努めながら、親水性や空間の広がり、水辺景観に配慮した環境整備を促進していきます。
また、都市の環境づくりに際しても、親水性に着目した新しい空間づくりを進めていきます。
  (3) 豊かな森林・里山の保全
  私たちは古くから森に遊び、学び、森林がはぐくむ水や木の恩恵を受けています。また豊かな森林によって涵養された水は、田畑を潤し、漁場をはぐくむなど、森の文化ともいうべき生活空間を形成しています。  
  これからも積極的に森林と関わることで里山などの営みを守り、緑と水が調和した潤いとゆとりのある生活環境づくりを進めていきます。

2 風土特性を生かした地域環境の形成
  変化に富んだ本県の豊かな自然は、各地それぞれに特色のある風土と文化をはぐくんでいます。
  地域の環境の整備に当たっては、地域社会はこの風土と文化を共有するがゆえの地域社会であることをまず認識し、地域の風土特性にあった環境づくりを進めていきます。
  (1) 自然環境の適切な保全と活用
  本県の豊かな自然は県民の誇りとするものであり、永く後世に伝えられるべき貴重な財産です。自然公園法、自然環境保全条例など関係法令の適正な運用を図り、自然の適切な保存と活用を図っていくとともに、特に貴重な自然資源については、県民共有の財産として、公共による保存管理の方策について検討していきます。
  (2) 地域の個性を生かした環境の形成
  個性豊かな地域環境を形成していくためには、住宅や公園、学校など身近な生活施設のなかにも、地域の風土や特性を生かしていく工夫が必要です。
  行政施策の実施に当たっては、市町村と連携して、このような視点に立った地域環境づくりを進めていきます。

3 美しい景観の形成
  一人ひとりの日常の生活のなかに質や美しさが求められているのと同じように、地域空間全体のなかに質や美しさが求められています。美しい県土の景観は、県民の一人ひとりがこれを自らの問題として受けとめ、それぞれの責任と自覚に基づいて行う実践活動のなかで実現されていくものです。このような県民の協力を得ながら、市町村と連携して、美しい景観の形成を進めていきます。
  (1) 県事業による良好な景観形成の推進
  より良好な景観の形成に寄与するように、公共事業等景観形成指針の活用による地域の景観へ配慮した公共事業の実施を推進していきます。
  また、電線類の地中化の促進や公共サインの整備指針の検討など良好な景観づくりに深くかかわる施策を推進していきます。
  (2) 県民、市町村による良好な景観形成の促進
  県民の主体的な取組みを基本として、市町村と連携しながら、景観条例、屋外広告物条例などの関係法令の適正な運用により、景観に配慮した美しいまちづくりを促進していきます。
  そのために、景観条例の届出制度による指導や屋外広告物条例による広告物の規制、都市計画法における地区計画制度の導入促進、建築基準法による建築協定制度の活用促進、商店街活性化事業による魅力ある商店街づくり計画などの規制、誘導施策を推進していきます。

4 文化空間としてのまちづくり
  地域の空間は、自然や歴史の雰囲気や美しい風景だけでなく、新しい芸術文化の創造空間であることが求められています。今都市では、絵画や彫刻が通りや街角のあちこちに置かれ、また、優れた建物や施設が次々に建設されつつあります。このような空間を日常のものとするなかから、文化に対する関心が高められ、新しい文化創造の芽がはぐくまれるものです。今後のまちづくりは、このような視点に立った取組みが必要であり、現在進めているアートポリス構想の着実な推進を図っていくとともに、通常の公共事業やまちづくり施策の実施に当たっても、この趣旨を生かし、県内外の建築家、芸術家等の協力も得ながら、後世に残り得るような新しい文化空間としてのまちづくりを進めていきます。

第四章 推進システムの構築

  文化振興基本方針に基づき、文化の振興に関する諸施策を展開していくためには、県内部の施策推進体制を充実していくことはもとより、県、市町村、民間関係団体等と相互に連携補完し合いながら、県全体として総合的な機能が発揮されるようなネットワークづくりを進めていかなければなりません。

1 文化振興の体制の整備
  (1) 庁内連携体制の強化
  文化の振興に関する諸施策は、知事部局、教育委員会を含め、県の広範な部課にわたっており、これら関係各部課間の連携をとり、総合的な文化振興行政を展開していくため、庁内連携体制について検討していきます。
  (2) 文化振興審議会意見等の反映
  文化振興基本方針に基づく重要な施策の具体計画の策定及び実施に当たっては、文化振興審議会の意見等を聴きながら、その適正な運営を図っていきます。
  (3) 文化担当職員の充実と職員の能力養成
  増大する県民の文化に対する欲求に対応していくため、文化振興行政に携わる職員の充実や適正配置を検討していくとともに、職員の能力開発のための研修を充実していきます。
  (4) 県立文化施設の役割の充実
  それぞれの施設の専門性を生かし、市町村の文化振興施策や県民の文化活動を積極的に支援していくための方策を充実していきます。

2 連携システムづくり  
  (1) 市町村との連携
  県、市町村一体となって文化振興施策を展開していくため、市町村に対する県の助言機能や、市町村施策に対する支援策の充実を図っていくとともに、研修会等の開催や情報の提供、交換等を通じて相互の連携の強化に努めていきます。
  また、県民の文化活動は、近年市町村域を越えて広域的に行われるようになってきています。そのため、生活文化圏を同じくする市町村にあっては、各文化事業の共同実施や情報交換、さらには、広域的な文化施設の活用等、市町村相互の連携の促進に努めていきます。
  (2) 民間文化団体等との連携
  本県では、熊本県文化協会を中心に民間文化団体、文化関係者の相互の連携と協働が図られ、本県の文化の振興の大きな力となっています。県の文化振興施策の展開に当たっては、これら民間文化団体との連携と協働を一層密にしていくとともに、文化協会と協力して、さらに民間文化団体等の幅広いネットワークづくりを促進していきます。
  (3) 総合的な支援体制の検討
  今、県民の間や学校等において、さまざまな分野の文化活動が行われていますが、これらの文化活動をさらに促進し、また、そのレベルの向上を図るためには、県全体として支援体制をつくっていくことが必要です。そのため、民間団体と協力して、指導者の派遣等も含めて、熊本の文化をプロデュースしていく支援体制について検討していきます。
  (4) 「公益信託くまもと21ファンド」との連携
 「公益信託くまもと21ファンド」をはじめとした文化活動支援団体による支援活動が積極的に活用されるよう、熊本県文化振興審議会及び民間文化関係者の協力を得て、支援が適用される民間団体等に対し、事業の企画運営等について支援をしていきます。

文化振興基本方針策定過程

・平成元年3月1日
  熊本県文化振興審議会が発足。第1回審議会開催。
  熊本県文化振興基本方針について、知事が審議会に諮問。
・平成元年4月27日~28日
  人吉球磨地域懇談会を実施し、地域の文化の現状、文化振興の方策について意見を聴取するとともに、地域の文化
  財等を視察。
・平成元年4月27日~28日
  熊本県文化振興審議会が発足。第1回審議会開催。
  熊本県文化振興基本方針について、知事が審議会に諮問。
・平成元年6月3日
  第2回審議会が開催され、基本方針に盛り込む項目について審議。
・平成元年6月16日
  地域文化団体懇談会を実施し、地域の文化の現状、文化振興の方策について意見を聴取。
・平成元年7月8日
  第3回審議会が開催され、基本方針に盛り込む項目について審議。策定の推進を目的として、4人の委員による検討
  会が設置される。
・平成元年7月28日
  第1回検討会が開催され、項目の文章化を検討。
・平成元年8月11日
  第2回検討会が開催され、項目の文章化を検討。
・平成元年8月30日
  第4回審議会が開催され、基本方針の原案について審議。基本方針の推進にあたり重要な事柄を、「重点課題の提
  言」として知事に示すことを決定。
・平成元年10月2日
  第3回検討会が開催され、基本方針の原案について検討。
  「重点課題の提言」について検討。
・平成元年10月11日
  第5回審議会が開催され、基本方針の原案について審議。
・平成元年10月20日
  第4回検討会が開催され、基本方針の原案について検討。
  「重点課題の提言」について検討。
・平成元年11月2日
  第6回審議会が開催され、「基本方針に関する答申」及び「重点課題の提言」について審議、了承。審議会に続き、知
  事に熊本県文化振興基本方針に関し答申を行うとともに、重点課題について提言を行う。
・平成元年11月30日
  熊本県文化振興基本方針を策定。
  熊本県告示908号の3により公表。
・平成15年2月20日
  平成14年度審議会が開催され、近年の文化を取り巻く環境の変化等を受け、見直しも視野に入れた基本方針の検
  証を行うことを決定。
・平成15年10月9日
  平成15年度第1回審議会が開催され、基本方針に基づく文化振興施策の推進状況についての意見交換や文化芸術
  振興基本法及び熊本県総合計画等との整合性を検証。
・平成16年2月9日
  平成15年度第2回審議会が開催され、基本方針を検証。
・平成16年12月2日
  平成16年度第1回審議会が開催され、検証結果をとりまとめる。
・平成17年1月27日
  基本方針の見直しについて、知事が審議会に諮問。
・平成17年2月8日
  平成16年度第2回審議会が開催され、見直し案について審議、了承。
・平成17年2月16日
  審議会から、知事に対して基本方針の見直しに関し答申を行う。
・平成17年3月30日
  熊本県文化振興基本方針を改訂。

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