
■ 第10回受賞施設 |
|
| くまもとアートポリス推進賞 | 3件 |
| くまもとアートポリス推進賞選賞 | 2件 |
| 応募件数 | 50件 |
|
◆ 総評 【第10回くまもとアートポリス推進賞の選考を終えて】 選考委員長 堀内清治 平成16年も段々おしつまり、今年もアートポリス推進賞受賞者を発表する時期がやってきた。今年も熊本県では依然として不況の声が著しかったので、どうなることかと心配していたが、今年は50件が応募された。 くまもとアートポリス推進賞は本来何を目標とするものだろうか。熊本県が出版しているパンフレットには、冒頭に「後世に残り得る文化的資産を造ります」と書かれている。最近は、建築の耐用年数が短くなって、鉄筋コンクリートの集合住宅の広告に、耐用年数を30年とするものを見かけるようになった。もし現代の建物の耐用年数が30年しかないとすると、「後世に残る文化的資産」とはなり得ないことは言うまでもない。今回の「田迎の家」はこの問題に真向から向き合った仕事のように思える。欧米と違って、木造建築を造ってきた日本では、建物を長持ちさせるために色々な工夫が凝らされてきた。「田迎の家」は建造後、すでに150年程経っているらしい。その位の年数を経ると、それまでの小修理ではなく、一度すべてを分解して、老朽化した部材を取り替えるための解体修理が行われる。これを繰り返すことによって木造の建物も無限の寿命を得ることができることになっていた。 |
| 55 九州新幹線 新水俣駅(推進賞) |
| 事業主 | : 鉄道建設本部 九州新幹線建設局 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 |
![]() |
|
| 設計者 | : 株式会社西部交通建築事務所 渡辺誠/アーキテクツオフィス |
||
| 施工者 | : 奥村・白石・光進特定建設工事 共同企業体 |
||
| 所在地 | : 水俣市初野 | ||
| 竣工年月 | : 2004年3月 | ||
| 用途 | : 駅舎(新幹線) | ||
| 構造 | |||
| 階数 | : 地上2階 | ||
| 敷地面積 | : 3,494m2 | ||
| 建築面積 | : 2,147m2 | ||
| 延床面積 | : 6,146m2 |
| 【講評】 |
| 従来のイメージを大きく打ち破る斬新なデザインの新幹線の駅が、水俣に出現している。駅がもつべき機能をシンプルな形で表現しつつ、近未来の鉄道施設にふさわしいスピード感に溢れたユニークな形態を見事に示している。アルミメッキ鋼板による細長い矩形のピースを壁から屋根に連続して用い、流れる一体感のある駅舎の形態を生んだ発想が卓抜である。駅機能を包み込む閉じた印象を与える外観だが、その鋼板の角度を変えて光と風が駅舎内に流れ込むように工夫され、空間全体が自然と共に呼吸する不思議な面白さがある。駅構内の大空間をゆったりと覆う構造体の美は、どこか19世紀のヨーロッパの終着駅の建築をも思わす。水平に走るルーバーのそれぞれの隙間からは、緑に包まれた背後の山並みの姿が透けて見え隠れし、土地と繋がった意外性のある風景と出会える。疾走する通過列車をこのホームで見送る建築体験もまた迫力満点だ。駅前広場の造形にも丹念に目を配り、環境デザイン全体を同じコンセプトでまとめる姿勢が見られる点も高く評価できる。 |
| 陣内秀信 |
![]() |
![]() |
![]() |
| 受賞施設一覧へ戻る |
| 56 S.W.H(推進賞) |
| 事業主 | ![]() |
||
| 設計者 | : 有限会社ロクス | ||
| 施工者 | : 株式会社橋本建設 有限会社サンユー電気設備工業 |
||
| 所在地 | : 阿蘇郡南阿蘇村大字河陽 | ||
| 竣工年月 | : 2003年12月 | ||
| 用途 | : 週末住宅 | ||
| 構造 | |||
| 階数 | : 地上1階 | ||
| 敷地面積 | : 857m2 | ||
| 建築面積 | : 145m2 | ||
| 延床面積 | : 141m2 |
| 【講評】 |
| 芝生の海に浮かぶガラスのボックスが、隆起のある敷地内に角度を振って静かに置かれている。阿蘇、長陽村にある分譲別荘地区で、数多くの山小屋風別荘が立ち並ぶ中、辿り着いた「S.W.H」は異彩を放っている。エントランスまでは、斜面にゆるやかな曲線をみせる導入路。室内に入ると正面は、陽光が眩しい全面ガラス仕上げ。明るく開放的な空間に、センスのいい家具が並ぶ。ゆったりとしたテラスも付帯している。浴室もトイレも目の前はガラス窓。端正で、直線的なデザインの外観と広く明るい室内は、贅沢な休日を過ごすための非日常空間を気持ちよく作り上げている。この充分すぎるような開放感をどのように捉えるかは、住人の生活感覚によるだろう。また、快適な維持管理に関しては、相応の手が掛かることだろうが、それを忘れてしまうくらいの気分よさを感じた。角地にある敷地をより広く感じさせるのは、建物自体の角度を振るというアイデアの産物だろう。作りたいものを、そのままに作った爽快感を別荘全体に感じた。審査を終えての帰路、山道を走る車窓から、真っ赤に染まった見事な入日が見えた。あのテラスで眺めたかったなあと思った。 |
| 轟 多朗 |
![]() |
![]() |
![]() |
|
| 受賞施設一覧へ戻る |
| 57 田迎の家(推進賞) |
| 事業主 | ![]() |
||
| 設計者 | : 有限会社UL設計室 | ||
| 施工者 | : 中村建築工房 | ||
| 所在地 | : 熊本市田迎1丁目 | ||
| 竣工年月 | : 2002年12月 | ||
| 用途 | : 専用住宅 | ||
| 構造 | |||
| 階数 | : 地上2階 | ||
| 敷地面積 | : 1,315m2 | ||
| 建築面積 | : 299m2 | ||
| 延床面積 | : 347m2 |
| 【講評】 |
| 安政年間の創建で、明治末、昭和20年、昭和40年と三次にわたって改造された上、床下の腐朽とシロアリの害で崩壊しかけていたといえば、通例は建て替えしか考えられない。しかし、この家では、客間周りの繊細な造作と炊事場の上で力強い曲線を描く小屋梁が家人の愛着をつなぎとめ、設計者の創意を触発した。 基本的な骨格と健全な古材はそのまま残したが、多くの新材を古色塗りせずに率直に組み合わせたため、内部は明るい。完全に近代化された老人室、厨房、食堂、寝室、浴室もそうした基本的構成との違和感をほとんど感じさせず、古民家の重厚さがいぜんとして生き続けている。外観は民家風の新住宅といった体裁で、ことさらに旧態にこだわっていないが、旧家屋の外観はまったく魅力に欠けていたから、これも適切な判断であった。 つまり、内部も外部も単なる文化財的な復原修復法に頼らず、そこに生き残っていた建築的生命力の継承と未来への持続を計り、同時に建物の健全化・近代化を巧みに果たした好例といえよう。古民家再生の新しい手法と実務を示唆する作品として評価したい。 |
| 桐敷真次郎 |
![]() |
![]() |
| 受賞施設一覧へ戻る |
| 58 東海大学付属第二高等学校(推進賞選賞) |
| 事業主 | ![]() |
||
| 設計者 | : 大成建設株式会社 | ||
| 施工者 | : 株式会社豊工務店 | ||
| 所在地 | : 熊本市渡鹿9丁目 | ||
| 竣工年月 | : 2003年12月 | ||
| 用途 | : 高等学校 | ||
| 構造 | |||
| 階数 | : 地上3階 | ||
| 敷地面積 | : 82,437m2 | ||
| 建築面積 | : 6,302m2 | ||
| 延床面積 | : 11,579m2 |
| 【講評】 |
| 道路拡幅と既存校舎の老朽化を要因として全面建て替えとなった学校は、ガラスを多用された白亜の学び舎に生まれ変わった。三つのブロックからなる3階建ての教室棟と、2階建ての共用スペースを持つセンターハウスは、それぞれブリッジで結ばれ、開放感溢れる明るいキャンパスとなっている。生徒達は、正門又はJRの学園前入り口から登校し、グランドと校舎に挟まれたキャンパスストリートを抜けて、東門からそのまま2階へ続く生徒昇降口から、両面ガラス窓の渡り廊下を経て教室へ入る。 授業に集中できる距離に分散配置された校舎間のブロックコートは、授業の合間や昼休みの息抜きに絶好の緑の空間を形成しており、教室・図書室やラウンジの白いタイルと、それらを結ぶブリッジ、渡り廊下、バルコニー等に多用されたガラスが見事にマッチしている。それは、清潔感と透明感を持った構成となっている。 青春の輝く思い出を作る学生生活に、自信と誇りを感じることのできる学び舎になった、と言えるのではなかろうか。 |
| 星子邦子 |
![]() |
![]() |
| 受賞施設一覧へ戻る |
| 59 ひだまりのまち B4(推進賞選賞) |
![]() |
|||
| 設計者 | : 有限会社FU設計 | ||
| 施工者 | : 株式会社多々良 | ||
| 所在地 | : 八代郡宮原町大字宮原 | ||
| : 2003年12月 | |||
| 用途 | : 店舗付住宅 | ||
| 構造 | |||
| 階数 | : 地上3階 | ||
| 敷地面積 | : 683m2 | ||
| 建築面積 | : 394m2 | ||
| 延床面積 | : 913m2 |
| 【講評】 |
| 気ままに散歩していると、いつの間にかこの商店街の中に入っている。そんな自然体で付き合える一角が宮原町の真ん中に生まれていた。 ここは国道3号交差点の改良工事のため、多くの商工業者や住宅が移転せざるを得なくなったブロック。中心部の空洞化を防ぎ再生をめざす宮原町、地域を愛する商業者の連携が居心地の良い「まち」を生み出したのだろう。基本構想から3年弱でオープンにこぎ着けた。 国道側に連なる店舗兼住宅は外壁や屋根などの外観をそろえ、どれも自己主張せず自然に視線が流れる。古いまち並みにもしっくりなじんで違和感がない。 国道から4店の間の路地を抜けると、買い物広場が待っている。ここは特別な日に訪れる空間ではなく、ゆったり日常の時間を送る場所。ほんの少しの「仕掛け」があれば、いつも子どもやお年寄りの笑い声、若い家族の会話が聞こえる広場になるだろう。広場に沿って東と南に走るタイル張りの街区道路は、この後に続く再開発の広がりを示している。 こじんまりした再開発。ここには地方のまちの中心部を生き返らせる幾つかのヒントが埋め込まれている。 |
| 安達憲政 |
![]() |
![]() |
| 受賞施設一覧へ戻る |
| くまもとアートポリスへ戻る |