UDシナリオ 車イスマークのない日本を目指して
作:関根 千佳 プロフィール
キーノートスピーチ
株式会社ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所)代表取締役
このお話の目的
このストーリーは、ユニバーサルデザインを身近に感じていただくためのものです。
最初に公共交通機関や建物、案内などを通じて、それまで意識していなかったバリアに、若い世代の人々が気づいていきます。
次に、ユニバーサルにデザインされた環境の中では、高齢者などがかなり快適に過ごせること、それが社会にとって重要であることが認識されていきます。
最後に、企業や行政がユニバーサルデザインを進めるために、さまざまな立場、ニーズ、年代の方の意見を集約し伝えるためにどうすればよいかなどが話されます。
目次
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第1部 暮らしにくいまち、つかいにくいもの
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第2部 誰にも使いやすいものや街って何だろう?
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第3部 これからどうすればいいのか?
登場人物
- 宗太郎(70歳)
地方都市に住む元鉄鋼マン。現在は地域の民生委員をしている。趣味は海外旅行。少し耳が遠くなってきている。彼はこのストーリーの中で、定年を迎えた高齢者の代表であり、橋や建物など大きな「ものづくり」の象徴でもある。かつての日本の繁栄を支えた世代としての誇りを持っているが、定年と高齢化に直面し、地域社会に目をむけ、これからの日本をよりよくしていきたいという前向きな姿勢を持つに至った。
- 初子(67歳)
宗太郎の妻で元小学校の教師。現在は長年の趣味を活かして茶道を教えている。また、地域の中学校の茶道部で、週一回ボランティアでお茶の指導をしている。少し足が弱ってきた。彼女はこのストーリーの中で、公務員の立場と課題を知る人であり、また日本文化を継承しつつ地域に生きる高齢者の代表である。高齢者の社会における意義や、深い知恵を次代へ伝える役割を持っている。この話の中では、バリアフルな環境では弱者なのに、ユニバーサルな環境では元気に活躍できる例として設定してある。
- 高志(42歳)宗太郎、初子の次男。
電子機器メーカーの開発エンジニア。仕事に打ちこみすぎる傾向があり、健康に少し不安がある。彼は郊外に住んで幸せな家庭とやりがいのある仕事を持ち、一見、何不自由なく生活しているように見えるが、その実、長い通勤時間と労働時間に拘束されて、社会全体が見えていない現代サラリーマンの象徴である。電子機器や家電など、身近な「ものづくり」の象徴でもある。彼のような人間が変わることで、今後の社会の在り方が変わることを示唆する。
- 深雪(38歳)高志の妻。
出産後も嘱託で週3日、家電メーカーのお客様相談窓口に勤務しているが、いつも時間に追われている。彼女は企業の視点、ユーザーの視点、生活者の視点を併せ持つ存在である。企業間、企業とユーザー、ユーザー間などの、相反する利害を調整する組織の象徴である。社会のニーズに敏感であり、それを高志や社内にかみくだいて伝える努力をしている。
- 麻耶(5歳)高志と深雪の一人娘。
近所の保育園に通っている。高齢者と同じニーズを持つことも多く、かつ、忙しい両親を気遣う理解者でもある。