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バイオ・人ねっと(研究者紹介)第5回目「消費者心理の分析も可能に-脳科学の威力-」(熊本大学大学院医学薬学研究部小児発達学)

更新日:2009年10月30日

氏名

友田 明美

所属

熊本大学大学院医学薬学研究部小児発達学

主な研究テーマ

・非侵襲的脳機能計測を用いた意欲の脳内機序と学習効率に関するコホート研究
・脳科学で迫る現代社会のブレックファスト開発

アピールポイント

 人が人を支え、癒し、育み、互いが大切にし合いながら生きていくことを小児科の立場から考え診療や研究を行っています。
 親子の絆を繋ぎ子どもの成長をサポートしていく上で適切な早期介入の時期を特定し、その有効性を実証し、発達・行動に与える効果を評価することは大切です。

 今日は、ちょうどMRI(磁気共鳴画像)という機器を使った実験中のところをお邪魔してきました。今回の実験は、脳の活動をMRIによって画像化し(fMRI[ファンクショナルMRI])、脳機能に関する理論の証明を行うというものでした。

左:聞き手の森下コーディネータ 右:友田准教授

(左:聞き手の森下コーディネータ  右:友田准教授)

(Q)この機器でどのようなことが分かるのですか。

(A)この機器では、脳のどの部分が活動しているかが分かります。というのも、何らかの刺激で局所の脳が賦活されると、その局所の脳血流が増加します。一方で、この機器では人体内の酸素濃度が確認できますので、脳の機能に関連した画像が得られることになります。脳機能について脳を実際に開けて見るわけにもいきませんので、この機器は脳の解明に非常に役立ちます。ただ、脳の世界は奥が深いので、まだまだ、入り口が見えてきた程度です。

(Q)この機器にはどのような利点があるんですか。

(A)以前から、脳の機能をみる手段として、脳波やポジトロン断層撮影(PET)などが用いられていますが、このfMRIは、放射性物質や造影剤などを使うことなく検査が可能です。よって、それらに比べて、被験者への負担が少なくて済みます。また、解像度が高い、MRI装置が普及しているなどの利点もあります。

(Q)そのような機器を使って、今日はどのような実験をされているのですか。

(A)今回は“ギャンブルゲーム”というものです。被験者は、画面に表示される3枚のカードの1つを選びます。それぞれのカードには、“60”“30”“0”の3つの数字が記載されています。また、全て×印の付いた別パターンのカードもあります。被験者は、選んだカードの数字が大きいものほど当りです。そして、それぞれのカードが出た時の脳の活動を分析し、『大きい数字を選びたい』という気持ち、つまり意欲についての脳機能を確認しているところです。

(Q)なるほど。脳の世界はまだ解明されていない部分も多いですし、これから、このような機器の発達によって、今まで分からなかったことも明らかになってくることでしょうね。

(A)そうですね。MRIの歴史もまだそれほど深いわけでもなく、さらに機器の進歩によって今後、明らかになってくることも増えるものと思われます。この機器は磁気が強いほど性能が上がります。本学で使用している機器は、普及しているMRIの中でも高性能のもので、全国的にも、この性能のMRIが3台も入っているのは本学だけです。この体制は、通常の医療診断に貢献できることはもちろんですし、今日も学内の医療機器の専門家、検査技師、県外の専門機関の研究員の方にも来ていただいていますが、色々な分野における人の融合があることで、そのことでより一層、医学の発展に繋がっていくでしょう。

実験準備中

        実験準備中

(Q)確かにその通りですね。専門性も細分化しており、色々な視点で物事を見ることでさらに知見は深まります。それでは、今回の実験を含め、将来的なビジョンをお聞かせください。

(A)今回は、大人の方に実験をしましたが、この実験結果を基に、将来的には、私の専門である発達障がいを持つ子どもに対して、治療効果を計る測定手法として確立できればと考えています。治療を施し、何となく症状が改善したとしても、それが本当に治療の効果なのか、確認する必要があります。その際に今回のような実験を様々行い、その結果を数値ができれば、それに照らし合わせて治癒具合や治療の効果をはっきりと数値として確認できます。その意味で、このfMRIによる実験は、今後、非常に大きな意味を持ってきます。

(Q)最後にPRをお願いします。

(A)医学の発達によって、病気の治療の進歩はもちろんのこと、例えば、これまで謎に包まれていた脳についても分かってきたように、私たちの体のことも少しずつ分かってきました。それは、医療機器の進歩に負うところもあります。さらにそのことは、これまで感覚的に判断していた事柄を数値化でき、客観的に表すことも可能となってきました。例えば、私がバイオイブニングカフェでお話した「脳科学で迫る現代社会のブレックファスト開発」についても、その朝食の効果を科学的に計ることも理論上可能です。ただ機器運用には制限もあり、なんでも測れるということではありませんが、脳科学を利用して何かを確かめたいという案件などがございましたら、ご相談頂ければと思います。

《インタビューを終えて》

 今回は実験に立ち合わせていただきました。先生をはじめ被験者の方々にお世話になりました。改めて御礼申し上げます。

 測定、研究、装置、理論のそれぞれの専門家が、MRIというツールで、普段は見ることの出来ない世界を可視化・データー化する先端技術の可能性を感じました。
 このような計測機器の進歩は、様々なデーターを私達に与えてくれますが、その一方で、データーの読み取り方一つで結果が大きく変わってしまいます。
 我々が強力な分析ツールを利用する時、測定の依頼だけでなく、専門の方々とたくさんの意見交換をしていくことの重要性を強く感じました。

【友田先生へのご相談は、まずはこちらへ】

財団法人くまもとテクノ産業財団 産学連携推進センター 科学技術コーディネータ 森下惟一

〒861-2202 熊本県上益城郡益城町田原2081-10TEL 096-286-2939 FAX 096-286-3929 E−mail morishita@kmt-ti.or.jp

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