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水俣病の発生・症候

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0001707 更新日:2021年1月15日更新

水俣病の発生

(1)患者発生の報告

 昭和31年(1956年)4月21日に原因不明の激しい脳症状を訴える5才の女児が新日本窒素肥料(株)(注:現JNC(株))水俣工場附属病院を受診し、同月23日に入院しました。同年5月1日同工場附属病院長が水俣保健所に脳症状を呈する患者の発生を報告し、この日が「水俣病公式確認の日」とされています。

(2)政府統一見解

 昭和43年(1968年)9月26日に厚生省が発表した水俣病に関する政府統一見解によると、「水俣病は、水俣湾産の魚介類を長期かつ大量に摂取したことによっておこった中毒性中枢神経系疾患である。その原因物質は、メチル水銀化合物であり、新日本窒素水俣工場のアセトアルデヒド酢酸設備内で生成されたメチル水銀化合物が工場廃水に含まれて排出され、水俣湾内の魚介類を汚染し、その体内で濃縮されたメチル水銀化合物を保有する魚介類を地域住民が摂食することによって生じたものと認められる。」とされています。

メチル水銀がアセトアルデヒド工程から発生し人体に至る経路

経路

水俣病の症候

(1)水俣病の病像

 水俣病は、メチル水銀により中枢神経を中心とする神経系が障がいを受ける中毒性疾患です。腎臓等が障がいを受ける無機水銀中毒とは異なった病像を示し、神経系以外に障がいが生じることは確認されていないことが定説となっています。
 臨床的には多様な症候が生じ、主要な症候(※)は、四肢末端の感覚障がい、小脳性運動失調、両側性求心性視野狭窄、中枢性眼球運動障がい、中枢性聴力障がい、中枢性の平衡機能障がい等です。また、母親が妊娠中にメチル水銀の曝露を受けたことにより、脳性小児マヒに似た症状をもって生まれる胎児性の水俣病もあります。

※ 四肢末端の感覚障がい
 両手両足の先にいく程、触れていることや痛みなどを認識する感覚が弱くなる。
 小脳性運動失調歩行は不安定、動揺性で、ふらふらする。
 両側性求心性視野狭窄物の見える範囲が狭くなる。
 中枢性眼球運動障がい眼球が円滑に動かない。
 中枢性聴力障がい耳が聞こえにくい。
 中枢性の平衡機能障がい体の平衡が保ちにくくなる。

(2)水俣病の発生機序

 水俣病は、他の物質による中毒症と同じく、体内に蓄積された原因物質であるメチル水銀量が発症閾値(※)を超えた場合に発症の可能性が生じますが、体内に摂取されたメチル水銀は、同時に体外へ排泄されるため、継続的に一定量の摂取が続いた場合、継続摂取量に対応する限界蓄積量以上に体内にメチル水銀が蓄積されることはありません。

※ 発症閾値とは、もっとも感受性の高い成人に最初の神経症状が現れる値。

(3)水俣病の認定

 水俣病の認定は、「公害健康被害の補償等に関する法律」に基づく法定受託事務として国が示した同法律に係る処理基準(後天性水俣病の判断条件及び小児水俣病の判断条件)により、県知事が行います。