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事業認定について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0050106 更新日:2021年5月10日更新

事業認定とは

 土地収用法(以下「法」といいます)は、起業者が公益事業に必要な土地等について任意交渉による取得が困難な場合に、収用委員会の裁決により、土地所有者等への正当な補償を行うとともに、起業者に必要な土地等に関する権原を取得させる制度を定めたものです。

 事業認定は、この土地収用制度の第一段階をなすもので、法第3条各号に掲げる事業に関し、起業者の事業遂行に係る意思と能力、事業の公益性、土地の適正かつ合理的な利用への寄与の有無等を判断した上で、起業者に土地等を収用し、又は使用する権利(以下「収用権」といいます。)を認めるものです。

事業認定の主要手続きフロー図(PDFファイル:167KB)

対象事業(収用適格事業)

 どのような事業でも事業認定を受け、土地等の収用権が発生するかというと、そうではありません。事業の種類には一定の制約があり、法第3条各号のいずれかに該当するものに関する事業(収用適格事業)である必要があります。

 法第3条各号に掲げる事業を、事業目的によって分類すると、主なものは次のとおりです。

区分

事業例

交通物流関係

道路、駐車場、鉄道、港湾、飛行場など

国土保全

河川、砂防、地すべり防止、急傾斜地崩壊防止、水防など

農業関係

農道、用排水路など

衛生・環境保全関係

水道、下水道、病院、廃棄物処理施設など

教育関係

学校、公民館、図書館など

福祉・労働関係

社会福祉事業、職業能力開発など

国・地方公共団体の公用施設

庁舎、試験所など

国・地方公共団体の公共用施設

公園、緑地、広場、運動場など

 なお、収用適格事業に該当するからといって、直ちに起業者に収用権が発生するわけではありません。後述する事業認定庁が事業認定の要件(法第20条)を全て満たしていることを認定する、という手続きを経ることにより初めて、起業者に収用権が発生します。

事業認定の機関

 事業認定に関する処分を行う機関(事業認定庁)は、国土交通大臣又は都道府県知事です。起業地の範囲と事業の性質により区分されています(法第17条)。

事業認定庁

申請事業

国土交通大臣(本省)
  • 国、独立行政法人等の事業
  • 起業地が2以上の地方整備局の管轄区域にわたる民間事業

国土交通大臣(地方整備局長等)

  • 都道府県の事業
  • 地方整備局の管轄区域は超えないが、都道府県域を超える民間事業

都道府県知事

  • 市町村の事業
  • 都道府県域を超えない民間事業

事業認定の要件(法20条)

 事業認定庁は、次の4つの要件を全て満たすときは、事業認定をすることができます。

第1号要件:事業が法第3条各号の一に掲げるものに関するものであること。

第2号要件:起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。

第3号要件:事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること。

第4号要件:土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。

熊本県知事への事業認定申請についてはこちらをご覧ください。

事業認定手続き

 事業認定の主な手続の流れは次のとおりです。

(1)事業説明会の開催

 起業者は、事業認定を受けようとするときは、あらかじめ、国土交通省令(規則第1条の2及び第1条の3)で定める説明会の開催その他の措置を講じて、事業の目的及び内容について利害関係を有する者に説明しなければなりません(法第15条の14)。

(2)事業認定の申請

 起業者は、事業認定を受けようとするときは、事業認定申請書及び一定の添付書類を事業認定庁に提出しなければなりません(法第18条)。

 事業認定庁は、申請書の書類審査を行い、申請書に欠陥があれば、起業者に対し相当な期間を定めて補正を命じます(法第19条)。

(3)申請書の公告・縦覧

 事業認定庁は、申請書が整うと、これを受理するとともに、起業地が所在する市町村長に対して申請書及び添付書類のうち当該市町村に関係のある部分の写を送付します(法第24条第1項)。国土交通大臣が事業認定庁の場合には、更に起業地を管轄する都道府県知事にその旨を通知するとともに、申請書及びその添付書類の写を送付します(法第24条第3項)。

 起業地が所在する市町村長は、起業者の名称、事業の種類及び起業地を公告し、公告の日から2週間、事業認定申請書及びその添付書類の写を、公衆の縦覧に供しなければなりません(法第24条第2項)。この2週間の縦覧期間中に、事業の認定について利害関係を有する者は、都道府県知事に意見書を提出することができます(法第25条第1項)。

(4)公聴会の開催

 事業認定庁は、利害関係人から縦覧期間中に公聴会の開催請求があったとき、その他必要があると認められるときは、公聴会を開いて、一般の意見を求めなければなりません。(法第23条)

(5)第三者機関からの意見聴取

 事業認定庁は、縦覧期間中に事業認定庁の判断と相反する意見書が提出されたときは、事業認定庁が国土交通大臣の場合には「社会資本整備審議会」の意見を、都道府県知事の場合には「審議会その他の合議制の機関」の意見を聴き、その意見を尊重しなければなりません(法第25条の2)。

(6)事業認定告示

 以上のような手続を経た上、申請内容を審査し事業認定の要件を全て満たしているときに、事業認定が行われます。

 事業認定庁は、事業認定をしたときは遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知するとともに、起業者の名称、事業の種類、起業地、事業認定をした理由及び起業地を表示する図面の縦覧場所を告示しなければなりません(法第26条第1項)。事業認定は、この告示の日から効力を生じます(法第26条第4項)。

 なお、事業認定をしたときは、事業認定庁は、起業地が所在する市町村の長にその旨を通知しなければなりません(法第26条の2第1項)。

(7)公告後の義務

 事業認定庁から事業認定をした旨の通知を受けた市町村長は、起業地を表示する図面を、事業の認定が効力を失う日又は事業認定庁から土地等の取得の完了の通知を受ける日まで公衆の縦覧に供しなければなりません(法第26条の2第2項)。

 また、起業者は、事業認定の告示があったときは、直ちに土地所有者及び関係人に対して、これらの者が受けることができる補償等について周知させるため必要な措置を講じなければなりません(法第28条の2)。

事業認定の効果

 事業認定の効果としては、主に次のものがあります。

主に起業者に係る効果

  • 起業者は、事業認定の告示のあった日から1年以内に限り、収用委員会に収用等の裁決を申請できます(法第39条第1項)。
  • 事業認定の告示があると、起業者は、土地調書及び物件調書を作成しなければなりません(法第36条)が、これらの調書作成のために、土地又はその土地にある工作物に立ち入って、調査又は測量をすることができます(法第35条)。

主に土地所有者等に係る効果

  • 事業認定の告示があった後に新たな権利を取得した者は、既存の権利を承継した者を除き、起業者から補償を受けることができません(法第8条第3項)。
  • 事業認定の告示があった後は、何人も、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について事業に支障を及ぼすような土地の形状、地質に関する変更はできません(法第28条の3)。
  • 事業認定の告示があった後は、土地所有者等(質権者、抵当権者等は除く。)は、いつでも起業者に対して収用委員会に裁決申請すべきことを請求することができます(法第39条第2項)。
  • 土地所有者等(質権者、抵当権者等は除く。)は、事業認定の告示があった後は、いつでも起業者に対して土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の支払を請求することができます(法第46条の2)。

※事業認定の副次的な効果として、権利者は、租税特別措置法による譲渡所得の特別控除が受けられます(5,000万円)。事業認定を受けなければこの控除が受けられない事業と、道路事業や河川事業などのように、事業認定を受けなくても控除が受けられる事業(いわゆる「特掲事業」)があります。特別控除及び特掲事業の詳細については、管轄の税務署にご確認ください。

起業者としては上記の特別控除を目的とする事業認定の申請であっても、起業者に収用権を付与する事業認定の本質は何ら変わるものではなく、要件や手続き等も全く同一です。

事業認定の失効

 次の場合には事業認定の効力が失われます。

  • 起業者が事業認定の告示があった日(手続保留(※後述)をした土地については、手続開始の告示があった日)から1年以内に収用又は使用の裁決を申請しなかったとき(法第29条第1項)。
  • 事業認定の告示があった日から4年以内に明渡裁決の申立てがなかったとき(法第29条第2項)。この場合には、既にされた裁決手続開始の決定及び権利取得裁決は取り消されたものとみなされます。
  • 起業者が収用又は使用の手続を保留した土地について、3年以内に手続開始の申立てをしなかったとき(法第34条の6)。
  • 事業認定の告示があった後、起業者が事業の全部又は一部を廃止、又は変更したために土地を収用し、又は使用する必要がなくなったときに、都道府県知事がその旨の告示をしたとき(法第30条第4項)。

手続きの保留

 事業認定は、告示後1年以内に裁決申請をしないときは失効することとなりますが、大規模な事業においては資金的準備、用地事務処理能力等の関係から、起業地の全部について1年以内に任意取得を完了すること又は裁決申請をすることが困難な場合があります。

 また、事業認定の告示があると土地所有者又は関係人に与えられる裁決申請請求権や補償金支払請求権は、即時に行使できることになっているため、大規模な事業で一度に多数の支払請求等がなされた場合には、起業者はこれに応じられない事態が生ずることが予想されます。

 そこで、事業認定はできるだけ早期に受けて起業地は確定しておくが、事業認定の告示によって生ずる効果のうち一定のものを一時保留して、資金や事業執行体制が整い次第、いつでも土地収用手続に入れる制度があります。

 これが手続保留制度(法第31条)であり、起業者が事業認定申請と同時に手続保留の申立書を提出することによって行われます(法第32条第1項)。

 なお、起業者は、事業認定の告示から3年以内に手続を開始をしなければ、事業認定は失効します(法第34条の6)。

異議申立等

 審査請求は、事業認定の告示があった日の翌日から起算して3か月以内にすることができます(法第130条第1項)。

都市計画事業と土地収用制度

 都市計画事業については、これを法第3条各号の一に規定する事業に該当するものとみなして、法の規定を適用することとされています。また、事業認定については、都市計画事業の施行の認可又は承認(都市計画法第59条)をもってこれに代えるものとし、事業認定は行わないものとされています(都市計画法第69条、第70条)。

 なお、法第20条第3号要件の審査における代替案の検討(ルート案)については、基本的内容について事業計画が都市計画と整合している場合には、都市計画決定の際に合理性等十分検討されていることから、代替案の比較を省略できるとされています。

事業認定審議会

 事業の認定に関する処分(事業の認定又は事業の認定の拒否)が公正妥当に行われるようにするため、事業の認定に関する処分を行う機関(事業認定庁)がその処分を行おうとする場合において、事業認定申請書の縦覧期間内に提出された意見書に、次に掲げる意見が記載されているときは、第三者機関の意見を聴き、その意見を尊重しなければならないこととされています(土地収用法第25条の2)。

  • 事業認定庁が事業の認定をしようとする場合にあっては、事業の認定をすることについて異議がある旨
  • 事業認定庁が事業の認定を拒否しようとする場合にあっては、事業の認定をすべき旨

 本県では、その第三者機関として、熊本県事業認定審議会を設置しています(土地収用法第34条の7、熊本県事業認定審議会条例(PDFファイル:64KB))。

 熊本県事業認定審議会は、現在5人の委員で構成されています。

熊本県における事業認定事例(過去10年間)

 平成24年度 玉名市新庁舎建設事業並びにこれに伴う附帯工事及び農業用道路付替工事

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