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甲佐町営乙女団地・白旗団地災害公営住宅
甲佐町営乙女団地災害公営住宅
自然に囲まれた、緑豊かな地域に建つ「甲佐町営乙女団地災害公営住宅」。
シンボルとして残された大きなケヤキと共有の広場には心地よい風が流れ、コミュニケーションの場として機能する。
中央通路とこれに続く住棟の大きな庇や土間空間は、農村地らしい生活を支える住まいの提案である。
住戸内の大きなワンルームのような空間は、子育て世代など様々な生活スタイルに対応するよう配慮されている。
建築概要
植木の苗等を育てる農家が多く点在する甲佐町の台地に、ケヤキに囲まれ北側に開けた敷地にこの住宅は建っている。シンボルとして敷地の中央に残したケヤキや共有の広場には気持ちのよい風が吹き、ケヤキの横を通る中央通路の両側に並ぶ各住戸は、その風を受け止めるように東西に張り出した大きなアプローチ、南の妻面は和室、縁側そして庭につながり、そこからさらに小庇をだし、雨や日差しをしのぐ。この庇の下では洗濯物を干したり、大工仕事をしたり、住民同士がお互いの気配を感じながら助け合いの生活をする。
この住宅を希望される方々は、朝早くから畑に出かけたり、収穫した農作物をお互いにやり取りするため、そうした生活の場としての土間空間を設けている。日々使う作業道具や米庫を置く、近所の人と立ち話をする場として機能する。この大きな屋根は熊本県で育ったスギ材で支えられ、床や壁、畳などの内装も地元の材料を使用し、親しみの持てる住宅になっている。各部屋が大きなワンルームのような空間は農家だけでなく、若い世代にとっても魅力的な空間になり、将来的には子育て世代など様々な生活スタイルの方に住んでもらえることを願っている。
建築データ
名称 甲佐町営乙女団地災害公営住宅
所在地 上益城郡甲佐町大字田口4263
主要用途 長屋
事業主体 熊本県、甲佐町
設計者 工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H
施工者
株式会社木村建設
大光電業株式会社
株式会社金剛設備工業
敷地面積 3,181.60平方メートル
建築面積 1,136.13平方メートル
延べ面積 765.17平方メートル
階数 地上1階
構造 木造
外部仕上
屋根 ガルバリウム鋼板 縦ハゼ葺き(嵌合式)
外壁 窯業系サイディング、杉羽目板張り
施工期間 2018年4月~2019年1月
総工事費 249百万円
甲佐町営白旗団地災害公営住宅
「甲佐町営白旗団地災害公営住宅」は、住宅地と畑に囲まれた約2,000平方メートルの敷地に10戸を配置する計画である。
妻側に張り出した大小の庇とリビングから続く土間空間は農村地らしい生活を支えるすまいの提案である。
2戸1棟型の住宅は将来的には二世帯住宅としても使用でき、多様な世代の生活スタイルに配慮されている。
中央に配置された共有の広場は地域の豊かなコミュニケーションを育むだろう。
建築概要
この場所を希望する方々の多くは、朝早くから昼間のほとんどを田畑で過ごす。一日の大半が長靴で、収穫した野菜や農作業の道具が身近にあるような生活である。そうした農村地らしい生活を支える住まいを提案した。収穫してきたものを置いたり、ちょっとした作業やリビングの延長として使用することが可能な土間空間を設けている。また、妻方向に張り出した大きな庇と小さな庇の下は、洗濯物を干したり、大工仕事をしたり、近所の人と立ち話をしたり、プランターを置くなど、お互いの気配が感じられる雰囲気となっている。
庇により内外が連続した空間や、各部屋が大きなワンルームのような空間は、農家だけでなく若い世代にとっても魅力的な空間になっている。将来的には子育て世代など様々な生活スタイルに対応することを想定している。また、2戸1棟型の住宅としているが間仕切りの一部が取れるつくりとすることで2世帯住宅等としての使用にも対応できるようにしている。敷地には共有の広場を中心に設け、お互いの顔を合わせることができる。構造材や下地材などは地域産材を使用しており、通常の工務店が調達可能な金物を基本とした計画としている。外周部には耐震壁をバランスよく配置することで、地震にしなやかに対応する構造としている。
建築データ
名称 甲佐町営白旗団地災害公営住宅
所在地 上益城郡甲佐町大字芝原950
主要用途 長屋
事業主体 熊本県、甲佐町
設計者 工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H
施工者
株式会社有江建設
大光電業株式会社
株式会社金剛設備工業
敷地面積 2,084.36平方メートル
建築面積 834.71平方メートル
延べ面積 561.45平方メートル
階数 地上1階
構造 木造
外部仕上
屋根 ガルバリウム鋼板、縦ハゼ葺き(嵌合式)
外壁 窯業系サイディング、杉羽目板張り
施工期間 2018年4月~2018年12月
総工事費 183百万円
建築家プロフィール
工藤 和美(くどう かずみ)
1960年 福岡県出身
1985年 横浜国立大学建築学科卒業
1986年 シーラカンスを共同で設立
1987年 東京大学大学院修士課程修了
1991年 東京大学大学院博士課程修了
1998年 シーラカンスK&Hに改組
現在 代表取締役、東洋大学教授
堀場 弘(ほりば ひろし)
1960年 東京都出身
1983年 武蔵工業大学建築学科卒業
1986年
東京大学大学院修士課程修了
シーラカンスを共同で設立
1998年 シーラカンスK&Hに改組
現在 代表取締役、東京都市大学教授
主な作品
千葉市立打瀬小学校、福岡市立博多小学校、坂井市立丸岡南中学校、さつき幼稚園、金沢梅みらい図書館、山鹿市立山鹿小学校、The University DINING(千葉商科大)、東松島市立宮野森小学校
主な受賞
BCS賞 1993年、2013年
日本建築学会賞 1997年
日本建築学会作品選奨 1996年、1997年、2008年、2009年、2015年
JIA日本建築大賞 2014年
甲佐町営災害公営住宅(乙女地区・白旗地区)ー農家型の災害公営住宅ー
完成イメージ(左:乙女地区、右:白旗地区)
この地域は、一日の大半を長靴のまま田畑で過ごし、収穫した野菜や農作業の道具が身近にあるような生活を送っている方が多い。
そうした農村らしい生活を支える住まいが提案された。
収穫してきたものを置いたり、リビングの延長として使用することが可能な土間空間。南北方向に張り出した庇の下では、大工仕事をしたり、近所の人と立ち話をしたりと、お互いの気配が感じられる雰囲気をつくり出す。
▼建築データ
乙女地区
所在地/上益城郡甲佐町大字田口4263
設計/工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H
構造・階数・戸数/木造・平屋・12戸
施工/株式会社木村建設
完成/平成31年3月(予定)
白旗地区
所在地/上益城郡甲佐町大字芝原950
設計/工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H
構造・階数・戸数/木造・平屋・10戸
施工/株式会社有江建設
完成/平成31年3月(予定)
<設計者>
▼工藤和美+堀場弘/シーラカンスK&H<外部リンク>
宇土市・甲佐町における災害公営住宅 くまもとアートポリスで取り組みます!(平成29年3月8日)
~2月15日協定締結の宇土市・甲佐町における災害公営住宅~
県が受託する災害公営住宅(宇土市・甲佐町)については、各事業主体と協議した結果、ともにくまもとアートポリス事業で取り組むこととなりましたのでお知らせします。
なお、宇土市については、隣接地の小規模仮設住宅に計画する「みんなの家」(※)も併せて設計をすることとします。
また、3月9日(木曜日)に「仮設を超えてー災害公営住宅とみんなの家ー」と題して開催するシンポジウムでは、設計者も参加して設計のイメージを提示していただき、参加者との意見交換を行う予定としています。
※小規模仮設住宅に計画する「みんなの家」:日本財団のわがまち基金を活用して整備
1.災害公営住宅
- 宇土市
概要:境目団地、25戸、木造の平屋建て
設計者:内田文雄(東京都)+西山英夫(熊本市) - 甲佐町
概要:白旗地区・乙女地区、各10戸、木造の平屋建て
設計者:工藤和美+堀場 弘/シーラカンスK&H(東京都)
2.みんなの家
- 宇土市境目第2仮設団地(14戸)及び同第3仮設団地(12戸)
概要:各1棟、木造の平屋建て
設計者:内田文雄(東京都)+西山英夫(熊本市)
くまもとアートポリスフェイスブックでも「みんなの家」に関する情報を発信しています。
アクセスはこちらから!⇒くまもとアートポリス公式フェイスブック<外部リンク>