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馬見原橋
宮崎との県境。
五ケ瀬川に架かっていた旧馬見原橋は昭和11年に建設されたもので、通称三河橋と呼ばれ町民に親しまれてきた。
老朽化に伴う架け替えで、町活性化の起爆剤となることが求められた。
単に視覚的に目立つモニュメントではなく、住んでいる地域の人々の心に育っていくようなシンボルとなることを意識しており、さまざまな過ごし方が楽しめる憩いの場が出現した。
建築概要
宿場町として栄えた蘇陽町馬見原の中心にかかる橋である。
かたちは、道から歩いてくる人の体験の連続性を保つことを考慮して決定されたもの。ただし、単なる交通のための橋ではなく、そういう橋から人々が自然に留まれる場として橋に進化させることが試みられた。
橋のたもとから中央にかけて次第に分かれる2枚の面-上面版と下面版-で構成される。上面版はシメナワのかかった夫婦岩の間に吸い込まれ、下面版は「逆太鼓橋」として川面に近づき、ふたつの丸い穴から川を見下ろす。町で育てられた杉の板張。
構造としては、このふたつの面と柱によって、切れ目なく構成される一体的なもの。
建築データ
名称 | 馬見原橋 |
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ふりがな | まみはらばし |
所在地 | 上益城郡山都町馬見原滝上地内 |
主要用途 | 橋梁 |
事業主体 | 蘇陽町(現・山都町) |
設計者 | 青木淳+中央技術コンサルタンツ |
施工者 | |
下部工事 | 飯干建設 |
上部工事 | 石川島播磨重工業 |
橋長 | 38.25m |
幅員 | 上部4.8m 下部6.75m |
構造形式 | 変形フィーレンデール鋼橋 |
施工期間 | 1994年10月~1995年6月 |
総工事費 | 136百万円 |
受賞データ
1995年 くまもと景観賞さわやかまちかど賞
建築家プロフィール
青木 淳(あおき じゅん) | |
1956年 | 神奈川県生まれ |
1982年 | 東京大学建築学科修士課程修了 |
1983年 | 磯崎新アトリエ入所 |
1991年 | 青木淳建築計画事務所設立 |
現在 | 関東学院大学、東京大学講師 |
主な作品 H(エイチ) |
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受賞歴 | |
1994年 | 東京建築士会住宅賞 |
PHOTO:石丸捷一、KAP事務局