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肥後チャボ

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0000780 更新日:2010年9月6日更新

肥後チャボの写真1肥後チャボの写真2

「肥後五鶏の復元並びに保存に関する研究」より(平成14年1月 松崎正治(熊本県農業研究センター研究員))

「肥後ちゃぼ」について

 チャボは、原産地・占城(チャンバ・現在のベトナム)から中国を経由して江戸時代の初期に我が国へ渡来した鶏種である。

 チャボという名称は、チャンバが転訛(語の本来の音がなまって変化すること)した“ちゃぼ”という発音に基づき、かつ矮小化した鶏の意味を持たせて、「矮鶏」と書き表すようになった。(黒田・山口、1987)

 渡来期は江戸時代初期(1600年代)以降、元禄・文化・文政期に、江戸を中心に盛んに飼育された。この時代はいずれも町人文化の華やかな時代であり、豪商たちをはじめ、大名たちも競いあうようにして、羽色や形態の変異に富んだチャボを作出・飼育した(黒田・山口、1987)。その結果、江戸時代後期には現在飼育されている大部分の内種が出そろったといわれている。

 現在のチャボは小型愛玩鶏として日本独特の進化を遂げ、羽色や羽質、冠、尾などの形質の違いにより25内種を数えるに至った。

 羽色の変異による内種として、白色、黒色、真黒、浅黄、淡毛猩々、碁石、桜碁石、白笹、桂、猩々、銀鈴波、金鈴波、加比丹猩々、源平、鞍掛源平、銀笹、金笹、白笹、赤笹、黄笹等があり、羽質の変異による内種として逆毛、糸毛がある。また、冠および肉髯の変異による大冠と翁があり、尾の変異による内種として、達磨がある。

 チャボは日本に特有な畜養動物として、昭和16年8月1日に国の天然記念物に指定され、その主な産地として東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、群馬県、静岡県、大阪府、熊本県の各都道府県が記載された。

 このチャボを冠の大きさで分類すると、中冠種と大冠種に分けられ、中冠種は関東・東海地方に、大冠種は関西、中国、四国、九州地方に飼養されていた。明治時代より大正時代を経て、中冠種が全国的に普及していくのに対して、大冠種の飼養は西南地方に限られ、大正中・後期から、昭和初期にかけ次第に衰退していった。しかし、大正末期から昭和初期にはまだ西南部の各地に局地的に残っており、特に熊本地方には優秀な大冠種が飼育されていたといわれており「熊本に大冠あり」という言い伝えがあった。(根占正嘉、1979)

 終戦時、中冠種は関東を中心として全国に散在していたのに対し、大冠種はかつての産地であった西南の諸地方に散在していたものも完全に姿を消し、熊本県にだけ残っていた。(根占正嘉、1979)
 また、達磨チヤボは文政13年(1830)、島津重豪の鳥名便覧に丸尾チャボ・豊後碓木(臼杵)産とあるのが達磨チャボのことであると考えられ、明治末期から大正初期まで、九州、四国、中国などで飼養されていた。その後、大正中後期から昭和初期にかけて飼養羽数が減少し、戦後は山口と熊本の両県だけで保存されていた。

 「達磨」の呼称は、体に比べて冠、肉垂が大きく、鮮赤色か帯黒赤色を呈し、尾はチョキ尾で極めて小さいので、その容姿が達磨大師を連想させるための意訳であろうと考えられている。また、チョキ尾の別称は、チョッキンと切ったような尾型からの意訳と音訳であろうと言われている。(根占正嘉、1979)

 達磨の発祥の地は大分県であるが、戦後は熊本県が中心となって、中型、大冠、チョキ尾、に改良固定し保存されてきた経過から熊本県が原産といわれるようになった。

 戦後は熊本県において「大冠」、「達磨」とも小羽数が愛好家数名により細々と飼養されているだけで、絶滅寸前の状態であった。そこで、昭和43年(1968)に愛好者が集まり熊本県に残存する「大冠」と「達磨」を総称して「肥後ちゃぼ」と名付け、「肥後ちゃぼ保存会」が設立され、保存活動が開始された。

 しかし、当時は外国鶏の輸入が盛んになった時期で、マレック病などの新しい疾病が次々に流行し、従来の母鶏孵化、母鶏育雛で、ワクチン無接種による飼育方法では期待通りに増殖できなかった。そこで、昭和49年(1974)に旧熊本県養鶏試験場(現農研センター)へ協力があったのを契機に、肥後ちゃぼの保存改良および増殖方法の確立につとめた。

大冠白チャボの画像
大冠白チャボ

達磨チャボ(白)の画像
達磨チャボ(白)

参考

 肥後チャボの入手方法等については「肥後チャボ保存会(電話番号:096-381-0327)」にお問い合わせください。

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